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▶ クレイトン・ポリマーズ・ユー・エス・エル・エル・シーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】ケーブル充填用途用熱活性化ゲル
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/02 20060101AFI20220506BHJP
   C08K 5/01 20060101ALI20220506BHJP
   H01B 7/285 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
C08L53/02
C08K5/01
H01B7/285
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017564413
(86)(22)【出願日】2016-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-07-26
(86)【国際出願番号】 US2016036197
(87)【国際公開番号】W WO2016200797
(87)【国際公開日】2016-12-15
【審査請求日】2019-05-15
(31)【優先権主張番号】62/174,889
(32)【優先日】2015-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510145211
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・ユー・エス・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベニング,ロバート・シー
(72)【発明者】
【氏名】マーフィ,エリン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス,カール
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-516446(JP,A)
【文献】特表2008-534702(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0056721(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 53/00-53/02
C08K 3/00-13/08
H01B 7/17-7/288
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル充填用熱活性化ゲルであって、
a)一般式C-A-B(式中、Cは、15モル%以下のビニル含量およびAブロックの分子量より小さい分子量を有するブタジエンの半結晶性水素添加ブロックであり、Aは、モノアルケニルアレーンブロックであり、Bは、共役ジエンを含む非結晶性水素添加ポリマーブロックである)を有する半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマー、
b)一般式A-B(式中、Aは、モノアルケニルアレーンモノマーのポリマーブロックであり、Bは、共役ジエンの非結晶性水素添加ポリマーブロックである)を有する選択的水素添加ジブロックコポリマー、および
c)低極性流体
を含み、
前記半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーおよび前記選択的水素添加ジブロックコポリマーが前記低極性流体中に溶解されており、
前記低極性流体が、鉱油、ガス液化合成油およびこれの混合物から選択される、
熱活性化ゲル。
【請求項2】
ジブロックコポリマーに対する半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーの質量比が75:25から25:75である、請求項1に記載の熱活性化ゲル。
【請求項3】
総ポリマー質量が1から20重量%である、請求項1に記載の熱活性化ゲル。
【請求項4】
前記モノアルケニルアレーンがスチレンである、請求項1に記載の熱活性化ゲル。
【請求項5】
前記Bブロック中の前記共役ジエンがブタジエンもしくはイソプレンまたはこれの混合物である、請求項1に記載の熱活性化ゲル。
【請求項6】
前記Bブロック中の前記共役ジエンがブタジエンであり、前記Bブロック中のビニル含量が25モル%を超える、請求項1に記載の熱活性化ゲル。
【請求項7】
前記鉱油が、ナフテン系鉱油、パラフィン系鉱油またはこれの混合物を含む、請求項1に記載の熱活性化ゲル。
【請求項8】
前記半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーの前記Cブロックが10モル%以下のビニル含量を有する、請求項1に記載の熱活性化ゲル。
【請求項9】
4から10重量%の前記半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーおよび前記選択的水素添加ジブロックコポリマーならびに90から96重量%の前記低極性流体を含む、請求項1に記載の熱活性化ゲル。
【請求項10】
熱活性化ゲルの形成方法であって、一般式C-A-B(式中、Cは、15モル%以下のビニル含量およびAブロックの分子量より小さい分子量を有するブタジエンの半結晶性水素添加ブロックであり、Aは、モノアルケニルアレーンブロックであり、Bは、共役ジエンを含む非結晶性水素添加ポリマーブロックである)を有する半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマー、一般式A-B (式中、A は、モノアルケニルアレーンモノマーのポリマーブロックであり、B は、共役ジエンの非結晶性水素添加ポリマーブロックである)を有する選択的水素添加ジブロックコポリマー、および低極性流体を43℃以下の温度にて混合することを含み、前記半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーが前記低極性流体中に分散されており前記低極性流体が、鉱油、ガス液化合成油およびこれの混合物から選択される、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の熱活性化ゲルを含むケーブル。
【請求項12】
請求項11に記載のケーブルを形成する方法であって、請求項1に記載の熱活性化ゲルを130℃未満の温度にてケーブルに充填することを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載のケーブルを切断する方法であって、少なくとも130℃の温度までケーブルの一区間を加熱し、次いで該加熱した区間にて前記ケーブルを切断することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、これの全体が参照により本明細書に組み込まれている、2015年6月12日に出願された米国仮特許出願第62/174,889号に対する優先権を主張する。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
なし
【0003】
本開示は、ケーブル充填用途で使用するための、半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマー、半結晶ブロックを有さない選択的水素添加ジブロックコポリマーおよび低極性流体を含む、熱活性化ゲル組成物を提供する。
【背景技術】
【0004】
様々な構造のブロックコポリマーがしばらく前から既知である。一般に、2個以上のブロックは、これらの個々のブロックのいくつかの組合せである特性を有する材料を作製するために、異なる物理的性質および/または化学的性質を有する単一ポリマー中で組合される。このようにして、モノアルケニルアレーンおよび共役ジエンは、アニオン重合によって調製したこのようなブロック用のモノマーとして使用されてきた。モノアルケニルアレーンを含むガラス状ブロックは物理的強度を与え、共役ジエンを含むゴム状ブロックはエラストマー性を与える。スチレン系ブロックコポリマーと総称されることが多い、これらのブロックコポリマーは、適切な構造に配置されると、熱可塑性エラストマーを形成する。
【0005】
De La MareらのU.S.Pat.No.3,670,054には、有機溶媒に対する感受性が低下したブロックコポリマーが開示されている。特に、開示されたブロックコポリマーは、選択的水素添加(ポリブタジエン-ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレン-ポリブタジエン)を含む。これらのブロックコポリマーは、ポリスチレンのガラス特性およびポリイソプレンのゴム特性を有することに加えて、水素添加ポリブタジエンブロックがポリエチレンに似ているため、半結晶性ポリマーに特有の性質も有していた。
【0006】
NaylorらのU.S.Pat.No.4,107,236は、低ビニルブタジエンブロック-ポリスチレンブロック-水素添加中ビニルブタジエンブロック-ポリスチレンブロック-水素添加低ビニルブタジエンブロック(lvB-S-mvB-S-lvB)構造を有する水素添加ブロックコポリマーを開示している。水素添加すると、低ビニルブタジエンブロックは、半結晶性ポリエチレンとなり、中ビニルブタジエンブロックはエチレン/ブチレンゴムとなる。
【0007】
WrightらのU.S.Publ.No.2010/0056721は、低ビニルブタジエンブロックの水素添加から生じる末端半結晶性ブロックを有する、選択的水素添加直鎖または放射状スチレンブロックコポリマーを開示している。ブロックコポリマーは、種々のフィルム、繊維および成形用途のために、未希釈でまたは溶融加工化合物中で使用された。
【0008】
U.S.Pat.No.5,737,469は、光ファイバケーブル産業用のゲルを製造する鉱油および水素添加スチレンブロックコポリマーを含むゲル組成物を開示している。任意の成分は、チキソトロープ剤および抗酸化剤である。いったんゲルが形成されると、ゲルは初期状態でも高い粘度を有する。このように、これらのゲルは、ケーブル構造に存在する小規模な空隙および隙間に圧送することが困難である。
【0009】
U.S.Pat.No.6,881,776は、1)エステル化合物ならびにトリブロックコポリマー、スターポリマー、放射状ポリマー、マルチブロックコポリマーおよびこれの組合せからなる群から選択されるポリマー化合物との混合物を含有するゲル化エステル組成物、2)疎水性の非極性溶媒とを混合することによって得た、2相ゲル組成物を開示している。開示された技術は、初期形成時には比較的低い粘度を有するが、加熱すると凝集性ゲルになる組成物を製造するために、2つの別個の溶媒/溶液を使用することを含む。このような組成物は、2つの異なる成分を個別に調製し、次いで混合するため、比較的複雑である。
【0010】
初期には低粘度を有し、きわめて高い圧送性であり、また非流動性ゲル状態が望ましい場合にはゲルに変換することができる、単純な配合物が依然として求められている。このようにして、最初にグリース状物質を非流動性ゲルに変換することが可能となるケーブルを形成することができる。このことはケーブルの補修または接合に有利である。補修または接合部位はより強固な性質であり、補修または接合部位からケーブル充填物は流出しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第3,670,054号明細書
【文献】米国特許第4,107,236号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0056721号明細書
【文献】米国特許第5,737,469号明細書
【文献】米国特許第6,881,776号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
最も広い意味では、本開示は、少なくとも1個の半結晶性ポリエチレンブロックを有する半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマー、半結晶性ブロックを有さない選択的水素添加ジブロックコポリマーおよび低極性流体を含有し、形成時に比較的低い粘度を有し、後で加熱後に非流動性のゲルになり得る、ケーブル充填およびフラッディング用途のための流体組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態において、本開示は、一般式C-A-B(式中、Cは15モル%以下のビニル含量およびAブロックの分子量より小さい分子量を有するブタジエンの水素添加ブロックであり、Aはモノアルケニルアレーンブロックであり、Bは、ビニル含量が25モル%を超える共役ジエンの水素添加ポリマーブロックである。)を有する半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマー、一般式A-Bを有する、半結晶性ブロックを有さない選択的水素添加ジブロックコポリマーおよび低極性流体のブレンドを含有し、ブレンドが21℃にて分散した固相を含有する低粘度流体である、ケーブル充填ゲルに有用な組成物を提供する。
【0014】
本開示はさらに、組成物を少なくとも130℃の温度まで加熱することを含む、熱活性化ゲルの形成方法であって、ここで、前記組成物が、一般式C-A-B(式中、Cは15モル%以下のビニル含量およびAブロックの分子量より小さい分子量を有するブタジエンの半結晶性水素添加ブロックであり、Aがモノアルケニルアレーンブロックであり、Bが共役ジエンを含む非結晶性水素添加ポリマーブロックである。)を有する半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマー、一般式A-Bを有するジブロックコポリマーおよび低極性流体を含み、ここで、該半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーが該低極性流体中に分散されている、方法をさらに提供する。
【0015】
本開示はさらに、一般式C-A-B(式中、Cは15モル%以下のビニル含量およびAブロックの分子量より小さい分子量を有するブタジエンの水素添加ブロックであり、Aはモノアルケニルアレーンブロックであり、Bはビニル含量が25モル%を超える共役ジエンの水素添加ポリマーブロックである。)を有する半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマー、一般式A-Bを有する、半結晶性ブロックを有さない選択的水素添加ジブロックコポリマーおよび低極性流体のブレンドであって、21℃にて分散した固相を含有する低粘度流体であるブレンドを含有する、ケーブルならびにこのようなケーブルを形成する方法を提供する。
【0016】
さらなる実施形態において、本開示は、ケーブルを接合または切断する方法であって、ここで、該ケーブルが、一般式C-A-B(式中、Cは15モル%以下のビニル含量およびAブロックの分子量より小さい分子量を有するブタジエンの水素添加ブロックであり、Aはモノアルケニルアレーンブロックであり、Bはビニル含量が25モル%を超える共役ジエンの水素添加ポリマーブロックである。)を有する半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマー、一般式A-Bを有する、半結晶性ブロックを有さない選択的水素添加ジブロックコポリマーおよび低極性流体のブレンドであって、21℃にて分散した固相を含有する低粘度流体であるブレンドを含有する、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の組成物は、一般式C-A-Bを有する半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーおよび一般式A-Bを有する選択的水素添加ジブロックコポリマーを含み、式中、Cが水素添加低ビニルポリブタジエンブロックであり、半結晶性であり、AおよびAは、モノアルケニルアレーンモノマーのポリマーブロックであり、BおよびBは、結晶化度をほとんどまたは全く有さない共役ジエンモノマーの水素添加ポリマーブロックである。C-A-B構造に類似しているが、少なくとも2個のAブロックを有するポリマー、例えばC-A-B-A-Cまたは(C-A-B)-X(式中、「X」は、最終生成物が鎖当たり少なくとも2個のA1ブロックを有するように結合部位を表す。)も、この用途に使用され得る。
【0018】
Cブロックは半結晶性であり、ポリエチレンの構造を有する。Cブロックは、低ビニル含量のポリブタジエンブロックの水素添加から生じる。1,3-ブタジエンモノマーは、1,4付加によって重合して、ポリマー骨格に沿って直鎖反復単位を生じることができる。1,3-ブタジエンモノマーは、1,2付加によって交互に重合して、分枝反復単位を生じることができる。通例、本発明のブロックコポリマーを製造するために使用されるアニオン重合技術は、1,4と1,2付加反復単位との混合物を生じる。本発明の目的のために、Cブロックのビニル含量は、1,2付加によって重合された単位の量として定義される。半結晶性Cブロックを製造するために、ビニル含量が低いまたはビニル含量がゼロのポリブタジエンブロックを最初に重合させて、次に後重合反応にて水素添加する。水素添加の前に、低ビニルポリブタジエンブロックのビニル含量は、ブロック中のブタジエン反復単位の総数に対して15モル%未満である。Cブロックの半結晶性が必須であり、このブロックの融点および結晶化度がビニル含量の増加と共に低下するため、ビニル含量は12モル%以下のビニル含量を有することが好ましく、10モル%以下を有することが最も好ましい。15モル%以上のビニル含量では、Cブロックは、有利なレオロジーまたは貯蔵および取り扱い特性を提供するためには、結晶性が不十分である。
【0019】
Cブロックは、比較的小さく、隣接するAブロックポリマーの分子量よりも小さい分子量を有する。Cブロックは、少なくとも74℃の融点を有するに十分な大きさでなければならない。大きすぎると、特にAブロックよりも大きい場合には、ブロックコポリマーは、所望のチキソトロピー流体または弾性ゲルを生じないか、または得られるチキソトロピー流体またはゲルの熱安定性を低下させる。理論に拘束されることなく、Cブロックの存在が大きすぎると、所望のレオロジーを生じる構造化溶液の形成に関与するAブロックの構成が妨げられると考えられる。ブロックコポリマーをチキソトロピー流体に使用する場合には、Cブロックの分子量は20,000g/mol未満であり、Aブロックの分子量は少なくとも20,000g/molである。ブロックコポリマーを凝集性ゲルに使用する場合には、CおよびAブロックの両方の分子量をより小さくすることができる。しかし、既に説明した理由から、CブロックはAブロックより小さくなければならない。ブロックコポリマーがチキソトロピー流体中で使用される好ましい実施形態において、Cブロックの分子量は4,000から20,000g/mol未満であり、最も好ましい実施形態において6,000から15,000g/molである。4000未満の分子量では、Cブロックは小さすぎて、本実施形態におけるこれの半結晶性を発現することができない。
【0020】
Cブロックは少なくとも74℃の融点を有する。より好ましい実施形態において、融点は少なくとも80℃であり、最も好ましい実施形態において、融点は少なくとも85℃である。
【0021】
Aブロック(AおよびAブロック)は、モノアルケニルアレーンモノマーの重合によって形成される。モノアルケニルアレーンは、スチレン、α-メチルスチレン、α-メチルスチレン以外のメチルスチレン、ビニルトルエン、パラブチルスチレン、エチルスチレンおよびビニルナフタレンであり得て、これらは単独でまたは2種以上組合せて使用することができる。好ましいのはスチレンである。Aブロックは、選択的水素添加工程の間に有意な程度には水素添加されない。
【0022】
半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーのAブロックは、低極性流体中でミセル形成の駆動力を提供するのに十分な大きさでなければならない。Aブロックはさらに、凝集性ゲルが形成されるときに強度を提供するのに十分な大きさでなければならない。Aブロックの分子量は少なくとも5,000g/molである。好ましい実施形態において、分子量は少なくとも9,000g/mol、より好ましくは少なくとも20,000g/mol、最も好ましくは30,000から100,000g/molである。全ての場合において、Aブロックの分子量は、任意の特定の半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマー中のCブロックの分子量よりも大きい。
【0023】
Bブロック(BおよびBブロック)は、共役ジエンの重合体ブロックであり、ゴム特性を有する。共役ジエンは、1,3-ブタジエン、置換ブタジエン、例えばイソプレン、ピペリレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ミルセンおよび1-フェニル-1,3-ブタジエンまたはこれの混合物であり得る。好ましいのは1,3-ブタジエン(本明細書ではブタジエンと呼ぶ)およびイソプレンである。全ての場合において、Bブロックは非結晶性であり、熱量測定によって測定されるように1%以下の結晶化度を有する。1,3-ブタジエンがモノマーである場合には、Bブロックのビニル含量(1,2付加含量)が、ブロック中のブタジエン反復単位の総数に対して少なくとも25モル%となるように重合され、好ましい実施形態において少なくとも30モル%である。イソプレンがモノマーである場合には、極性添加剤の非存在下での炭化水素溶媒中でのアニオン重合によって通常得られる全てのビニル含量(3,4付加含量)は、Bブロックの構造が容易に結晶化しないため有用である。Bブロックは、後重合反応において選択的に水素添加される。
【0024】
半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーのBブロックの分子量は、低極性流体において良好な増粘効率を提供するために十分に高いことが望ましい。さらに、CブロックおよびAブロックに比べて分子量がより高いことによって、低極性流体中のブロックコポリマーの溶解度が上昇する。Bブロックの分子量は、C-A-Bポリマーを70°Fにてベース流体に可溶性にするために、それほど大きくないことが望ましい。本発明において、Bブロックの分子量は少なくとも70,000g/molである。好ましい実施形態において、Bブロックの分子量は、75,000から200,000g/mol、より好ましくは80,000から160,000g/mol、最も好ましくは90,000から150,000g/molである。
【0025】
本明細書で使用する場合には、「半結晶性」という用語は、熱量測定によって認められる融解吸熱を有するブロックを意味する。非結晶性とは、熱量測定によって求められるように1%未満の結晶化度を有するブロックを意味する。
【0026】
重合ビヒクルとして使用される溶媒は、生成ポリマーのリビングアニオン鎖末端と反応せず、市販の重合装置での取り扱いが容易であり、生成物ポリマーに適切な溶解特性を与える、いずれの炭水化物でもよい。例えば、非極性脂肪族炭化水素は、一般にイオン化水素がなく、特に好適な溶媒となる。頻繁に使用されるのは環式アルカン、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびシクロオクタンであり、この全てが比較的、非極性である。他の好適な溶媒は、所与の一連の処理条件で有効に機能するように選択することができ、温度は考慮される主要な因子の1つである。
【0027】
アニオン重合は特定の化合物によって開始される。このような化合物としては、これに限定されるわけではないが、例えばアルキルリチウム化合物およびs-ブチルリチウム、n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、アミルリチウムなどの他の有機リチウム化合物が挙げられる。リチウム開始剤工程は周知であり、例えばU.S.Pat.Nos.4,039,593およびRE 27,145に記載されている。対称直鎖コポリマーが望ましい場合には、m-ジイソプロペニルベンゼンのジ-sec-ブチルリチウム付加体などのジ開始剤を使用することが可能である。他のこのようなジ開始剤は、U.S Pat.No.6,492,469に記載されている。多様な重合開始剤のうち、s-ブチルリチウムが好ましい。
【0028】
共役ジエンBブロックのビニル含量は、重合中に微細構造制御剤を添加することによって制御され、例えばU.S.Pat.Nos.RE 27,145、5,777,031および7,439,301に記載されている。微細構造制御剤は、通常、アルキルエーテル、例えばジエチルエーテルおよび1,2-ジエトキシプロパンなどの重合溶媒に可溶性である極性化合物である。しかし、当分野で既知であり、共役ジエンの重合に有用である任意の微細構造制御剤が本明細書で使用され得る。該改質剤は、全ての低ビニルブタジエンセグメントが重合された後に添加され得る。イソプレンを重合させる場合には、上記の溶媒中で得られたポリマーの水素添加生成物が結晶性とならないため、微細構造改質剤を添加することは必要でなく、または望ましくない。
【0029】
本明細書に記載のコポリマーのブロックは、モノマーを逐次添加によって直鎖方式で重合され得る。このような場合には、C-A-B構造およびA-B構造が形成され得る。
【0030】
水素添加は、幾つかの水素添加または選択的水素添加工程のいずれかによって行われ得る。例えばこのような水素添加は、例えばU.S.Pat.Nos.3,595、942、3,634,549、3,670,054、3,700,633およびRE27,145などに記載された方法を使用して達成されている。水素添加は、共役ジエン二重結合の少なくとも約90パーセントが還元され、およびアレーン二重結合の0から10パーセントが還元されるような条件下で行われ得る。好ましい範囲は、共役ジエン二重結合の少なくとも約95パーセントが還元され、さらに好ましくは、共役ジエン二重結合の少なくとも約98パーセントが還元されている。
【0031】
本明細書に示す分子量は、ASTM D5296に従って行われるように、ポリスチレン較正標準を使用してゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定され得る。GPCは、ポリマーが分子サイズに従って分離される周知の方法であり、最大分子が最初に溶離する。クロマトグラフは、市販のポリスチレン分子量標準を使用して較正する。このように較正されたGPCを使用して測定したポリマーの分子量は、見かけ分子量と呼ばれる、スチレン換算分子量である。スチレン換算分子量は、ポリマーのスチレン含有率およびジエンセグメントのビニル含量が既知である場合には、真の分子量に換算され得る。使用した検出器は、好ましくは複合紫外線および屈折率検出器である。本明細書で示す分子量は、GPCトレースのピークにて測定し、一般に「ピーク分子量」を示す。個々のブロックの分子量は、差によって求められる:Cブロックの分子量(M)はこれの重合の後に測定し、次いで重合後にC-Aジブロックの分子量(MCA)をこれの重合後に測定するなどである。例えば、Aブロックの分子量は、M=MCA-Mとして求める。この差は、スチレン当量分子量、次いで本明細書に記載の換算によって計算した各ブロックの真の分子量から計算することができる。または、各ホモポリマーブロック、ジブロック、トリブロックなどの真の分子量は、スチレン当量分子量の換算によって最初に求めることができ、次いで差を計算することができる。第1の方法が好ましい。別途規定しない限り、「分子量」という用語は、コポリマーのポリマーまたはブロックの真の分子量(g/mol)を示す。
【0032】
好ましい低極性流体として、鉱油、Drakeol(R)34(Calumet/Penreco.)などの低毒性合成油、またはシェルオイル社(Shell Oil Co.)によって販売されているリセラ(Risella)油などのいわゆるガス液化合成油が挙げられ、ガス液化合成油が最も好ましいのは、これらがポリマーを早期に溶解する傾向が最も低く、鉱油よりも高い使用温度をもたらすためである。好適な鉱油は、ナフテン系またはパラフィン系であり得る。幾つかの状況下では、ディーゼル、バイオディーゼルおよびカルボン酸エステル、例えば2-エチルヘキシルオレエートなどのより高極性の流体が好適な結果をもたらし得るが、これらはポリマーを早期に溶解するか、またはあまりに低温にて極度の粘性損失を被る傾向が強い。ガス液化合成油の好ましい例は、リセラX420である。
【0033】
本明細書で提供する組成物は、低極性流体中に本明細書に記載する半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーを含む。半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーの組成および構造は、分散組成物が形成できるか否か、および任意のこのような分散組成物のレオロジー特性を決定する。出願人は理論に拘束されることを望まないが、低極性流体でのC、AおよびBブロックの溶解度が異なるために、ならびにCブロックの半結晶性の性質のために、このような分散組成物が形成されると考えられる。より低温では、半結晶性ブロックはポリマーの溶解を阻害するので、ポリマーは非極性媒体中に分散され、大半は溶解しないままである。この時点で、粘度は油の粘度によって決定される。加熱すると、ポリマーは溶解する。このような流体中でのAブロックの溶解度が低いため、構造化溶液が形成される。C-A-B構造の場合には、このことによって流体中のブロックコポリマーのミセル構造が生じる。Cブロックは溶解性がより低く、コアの崩壊を生じる。しかし、Bブロックは、非極性流体に容易に溶解するように選択される。この時点で、Bブロックコポリマーセグメントは流体によってより大幅に溶媒和され、高伸長鎖からなる「コロナ」を生じる。得られたミセル構造はチキソトロピー特性を流体に付与する。
【0034】
低極性流体中でブロックコポリマーの組成物を調製する好ましい方法は、ポリマーを効率的に分配し、懸濁するのに好適な条件下で混合しながら固体ポリマーを流体に添加することである。温度は、約43℃以下、好ましくは30℃以下、最も好ましくは21℃以下に維持すべきである。組成物は、鉱油中の最大約10重量%の半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマー、Drakeol(R)34(Calumet/Penreco.)などの低毒性合成油、またはシェルオイル社によって販売されているリセラ油などのいわゆるガス液化合成油を含有する。好ましい組成物は、2から10重量%の半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーを含有し、より好ましい組成物は4から8重量%を含有する。組成物は、ロータ-ステータ型高剪断ミキサーを用いて最も良好に形成される。しかし、ブロックコポリマーを均一に分散させるために十分な剪断力を発生できる任意の混合装置が使用され得る。混合時間は約15分と短くてよい。本発明のC-A-Bポリマーのこのような懸濁物は一般に、放置すると分離を示し、懸濁物を加熱すると遊離油層が形成される。これを抑制するために、キャボット社(Cabot Corp.)のCAB-O-SIL(R)TS720などの無機レオロジー改質剤を含む種々のチキソトロープ剤を添加することができるが、好ましい方法は、沈降を抑制するのに十分な濃度でジブロックコポリマーを添加することである。
【0035】
本発明のジブロックコポリマーは、選択的に水素添加され、半結晶性ブロックを有さない。ジブロックコポリマーは、一般式A-Bを有する。ブロックAおよびBは、選択的水素添加半結晶性ブロックコポリマーのモノアルケニルアレーンブロックならびに共役ジエンブロックAおよびBとは独立して、組成、微細構造および分子量が異なっていてよい。
【0036】
本発明において有用なジブロックコポリマーは、ポリスチレン-水素添加ポリイソプレン(A-B)ジブロックコポリマーである。これらのコポリマーは、約20から約50重量%の範囲に及ぶポリスチレン含量を有する。より好ましい実施形態において、ポリスチレン含量は約25から約40重量%の範囲である。ジブロックコポリマーの見かけの分子量は、約100,000から約200,000g/molの範囲に及ぶ。より好ましい実施形態において、見かけの分子量は110,000から約190,000g/molの範囲に及ぶ。
【0037】
任意のジブロックの添加は、ジブロックポリマーを流体中に予め溶解させることによって、またはジブロックコポリマーも容易に分散可能な形態または可溶性の形態であるという条件で、ジブロックポリマーを選択的水素添加半結晶性ブロックコポリマーと共に添加することによって行うことができる。ジブロックと流体との混合物を加熱し、次いで選択的水素添加半結晶性ブロックコポリマーを添加する前に冷却することによって、ジブロックが最初に溶解され得る。
【0038】
ジブロックコポリマーに対する半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーの質量比は、重量基準で75:25から25:75の範囲に及ぶ。好ましい実施形態において、この重量比は70:30から30:70であり、最も好ましい実施形態において60:40から40:60の範囲に及ぶ。これらの溶液は、同じ濃度のA-Bポリマー単独の溶液よりも実質的に低い粘度を示し、加熱後にはるかに高い粘度を示すと共に、圧送がなお容易である流体の調製が可能になる。
【0039】
熱活性化ゲル中の総ポリマー含量は、熱活性化後に穏やかな圧縮下で流動しない材料を生成するのに十分な量である。例えば、活性化後、ゲルは室温にて24時間の期間にわたりゲルの自らの重量で流動しない。このようなゲルは、約1から約20重量%の総ポリマーを含み、総ポリマー質量は、半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマーとジブロックコポリマーとの和である。好ましい実施形態において、総ポリマー質量は約2から約16重量%、より好ましい実施形態において、約4から約12重量%である。
【0040】
本明細書に記載の非流動性ゲルは、分散組成物を少なくとも65℃の温度に加熱することによって形成され得る。好ましい実施形態において、この変換は、少なくとも80℃、最も好ましくは少なくとも93℃の温度で行う。分散組成物のゲルへの変換は非可逆的である。いったんゲルが形成されると、例えば極性溶媒もしくは芳香族溶媒などの新たな成分の添加によって、またはブロックコポリマーもしくは流体のある物理的方法または化学的方法による分解によって組成を著しく変化させることなしに、低粘度分散組成物の状態を改質することはできない。C-A-BとA-Bブロックコポリマーとの混合物から調製した流体は、加熱後に本質的なグリース様特性を保持する、即ち非常に高い粘度を有するにもかかわらず、圧送がなお可能である。
【0041】
本明細書で提供される組成物は、ケーブル充填用途で特に有用である。本発明の切断可能または接合可能な光ファイバケーブルは、可撓性スリーブまたはシース内の光ファイバ導波管を含む。スリーブまたはシースは、熱活性化ゲル組成物で充填される。ケーブルの充填は、ゲル化の熱活性化を避けるために行う。ケーブルは130℃未満の温度で熱活性化ゲルが充填される。
【0042】
光ファイバケーブルを、一例として説明する。本明細書で提供する組成物は、油、グリースまたはゲルの充填が望ましい任意の種類のケーブルと共に使用され得る。
【0043】
光ファイバケーブルを切断または接合することが望ましい場合には、切断または接合されるケーブルの部分を、熱活性化ゲルが固化するまで加熱する。ケーブルを少なくとも130℃まで加熱して、ゲルを活性化する。ケーブルを次いでこのような部分で切断して、別の接合可能な光ファイバケーブルに接合してよい。
【実施例
【0044】
以下の実施例は、熱活性化ゲルを説明する。表1に、これらの実施例で使用した2種類の半結晶性選択的水素添加ブロックコポリマー、CAB3およびCAB4を示す。実施例で使用するジブロックはAB1として示し、これの特徴も表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
[実施例1]
熱活性化ゲルの調製
CAB3およびAB1を50:50の重量比で同時に、リセラ(R)420油に加えて混合した。ブロックコポリマーの総量は、組成物の総重量に基づいて8重量%であった。混合は、シルバーソン(Silverson)ミキサーを用いて室温にて開始し、2500rpmで1時間行った。高剪断混合の間、混合温度が室温から39℃まで上昇することが認められた。得られたブレンドは、1時間静置後、沈降の徴候(即ち、遊離油層)を示さなかった。
【0047】
粘度は、25℃にてBrookfield HBDV-II+Pro粘度計をCPE52スピンドルと共に使用して、ケーブル充填ゲルの標準手順を適用することによって試験した。多少の未溶解粒子が認められた。140℃にて混合した油中のポリマーAB1の8重量%溶液を含む比較例のデータと共に、結果を表2に示す。加熱せずに調製したCAB3/AB1ブレンドの粘度は明らかに低かった。高剪断速度(200s-1)で測定したブレンドの粘度は、比較例の粘度の約1/5にすぎなかった。本発明のブレンドを140℃にて2時間加熱すると、粘度が著しく上昇し、流体は未溶解固体を含まないように見えた。ブレンドの低/高剪断粘度の比(即ち、6s-1/200s-1)は、4.8から7.0に上昇し、CAB3ポリマーの溶解が、低い剪断速度にてポリマー網目の完全性を上昇させる所望の効果を有することを示している。最終値は、比較例の最終値を上回った。ケーブルゲルの性能を評価するために使用する3種類の標準試験にサンプルを供した。即ち、80℃にて24時間にわたる油分離、100℃にて24時間の油分離および油がゲルから滲出を開始する温度を測定する「滴点」試験に供した。サンプルは、140℃に加熱する前に、油分離試験に合格するのに必要なレオロジー特性を示さなかった。加熱後、初期粘度がより低いにもかかわらず、ブレンドは対照と同様または対照より良好に機能した。この結果は、CAB3ポリマーを完全に溶解し、所望のゲル構造を生成するために追加の加熱が必要であったことを示している。
【0048】
【表2】
【0049】
[実施例2]
ブレンドの調製
CAB3の代わりにCAB4を使用したことを除いて、実施例1に従ってブレンドを作製して試験を行った。初期混合の間、CAB4/AB1/リセラ420ブレンドの温度は、室温から42℃まで上昇した。得られた本実施例の本発明のブレンドは、1時間後に沈降を示さなかった。多少の不溶性粒子が認められたが、これのサイズおよび数は実施例1の本発明のブレンドよりも小さかった。結果を表3に示す。ブレンドの高剪断速度粘度は、比較例の約半分にすぎない。実施例1とは異なり、ブレンドは、140℃でエージングすることなく、油分離試験に合格することができた。このデータは、試験自体の熱履歴がCAB4ポリマーを溶解させ、所望のゲル構造を生成するのに十分であったことを示唆している。
【0050】
次いで、最初にブレンドした試料を140℃にて2時間加熱した。実施例1と同様に、CABの大部分が溶解することが認められ、とりわけ低剪断速度にて粘度の実質的な上昇が生じた。実施例1と同様に、6s-1/200s-1粘度の比は、比較例の粘度を超え、初期分離粘度が低いにもかかわらず、油の分離および滴点の値は同等であった。
【0051】
【表3】
【0052】
従って、上記の目的、目標および利点を完全に満足する熱活性化油ゲル配合物が提供されたことは明らかである。本発明は、これの具体的な実施形態と併せて記載されているが、上述の説明に照らして多くの改変、修正および変形が当業者に明らかである。従って、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲に含まれるこのような改変、修正および変形は全て、含まれることを企図する。