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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20220506BHJP
   F24H 9/02 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
F24H9/00 P
F24H9/02 301Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018032474
(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2019148357
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100096806
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】鷲北 晋
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 信介
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-064059(JP,U)
【文献】特開2013-231546(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106016692(CN,A)
【文献】特開平06-147647(JP,A)
【文献】特開平08-303871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を収容し、一方の側板と前記一方の側板に対向する他方の側板とを有する筐体と、
前記筐体の内部に配置されて、前記熱交換器から発生する熱を遮蔽するとともに、前記側板が側方に湾曲することを抑制する遮熱板と、
を備え
前記遮熱板は、前記一方の側板の内側に固定された第1遮熱板と、前記他方の側板の内側に固定された第2遮熱板と、有し、
前記第1遮熱板および前記第2遮熱板のそれぞれは、一方の端部に設けられた第1突出部分と、前記一方の端部に対向する他方の端部に設けられた第2突出部分と、前記一方の端部および前記他方の端部に交差する端部において前記第1突出部分と前記第2突出部分との間の位置に設けられた取付部と、を有し、
前記第1遮熱板の前記取付部は、前記一方の側板に固定され、
前記第2遮熱板の前記取付部は、前記他方の側板に固定され、
前記第1遮熱板の前記第1突出部分および前記第2突出部分は、前記一方の側板が側方に湾曲しようとすると前記一方の側板の内面に当接し、
前記第2遮熱板の前記第1突出部分および前記第2突出部分は、前記他方の側板が側方に湾曲しようとすると前記他方の側板の内面に当接することを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記取付部は、板が折り曲げられた爪状の構造を有し、
前記第1遮熱板の前記取付部は、前記一方の側板の前端部に設けられたスリット部に嵌め込まれ、
前記第2遮熱板の前記取付部は、前記他方の側板の前端部に設けられたスリット部に嵌め込まれたことを特徴とする請求項に記載の給湯器。
【請求項3】
前記筐体は、後方部において前記側板と交差する方向に延び前記側板に接続された背板を有し、
前記第1遮熱板の後端部の他の少なくとも一部は、前記一方の側板と前記背板との間に挟まれて保持され、
前記第2遮熱板の後端部の他の少なくとも一部は、前記他方の側板と前記背板との間に挟まれて保持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の給湯器。
【請求項4】
熱交換器を収容し、一方の側板と前記一方の側板に対向する他方の側板と後方部において前記側板と交差する方向に延び前記側板に接続された背板とを有する筐体と、
前記筐体の内部に配置されて、前記熱交換器から発生する熱を遮蔽するとともに、前記側板が側方に湾曲することを抑制する遮熱板と、
を備え
前記遮熱板は、前記一方の側板の内側に固定された第1遮熱板と、前記他方の側板の内側に固定された第2遮熱板と、有し、
前記第1遮熱板の後端部の他の少なくとも一部は、前記一方の側板と前記背板との間に挟まれて保持され、
前記第2遮熱板の後端部の他の少なくとも一部は、前記他方の側板と前記背板との間に挟まれて保持されていることを特徴とする給湯器。
【請求項5】
前記第1遮熱板および前記第2遮熱板のそれぞれは、一方の端部に設けられた第1突出部分と、前記一方の端部に対向する他方の端部に設けられた第2突出部分と、前記一方の端部および前記他方の端部に交差する端部において前記第1突出部分と前記第2突出部分との間の位置に設けられた取付部と、を有し、
前記第1遮熱板の前記取付部は、前記一方の側板に固定され、
前記第2遮熱板の前記取付部は、前記他方の側板に固定され、
前記第1遮熱板の前記第1突出部分および前記第2突出部分は、前記一方の側板が側方に湾曲しようとすると前記一方の側板の内面に当接し、
前記第2遮熱板の前記第1突出部分および前記第2突出部分は、前記他方の側板が側方に湾曲しようとすると前記他方の側板の内面に当接することを特徴とする請求項に記載の給湯器。
【請求項6】
前記取付部は、板が折り曲げられた爪状の構造を有し、
前記第1遮熱板の前記取付部は、前記一方の側板の前端部に設けられたスリット部に嵌め込まれ、
前記第2遮熱板の前記取付部は、前記他方の側板の前端部に設けられたスリット部に嵌め込まれたことを特徴とする請求項5に記載の給湯器。
【請求項7】
前記第1遮熱板の形状は、前記第2遮熱板の形状と同一であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の給湯器。
【請求項8】
前記第1遮熱板の後端部の少なくとも一部は、前記一方の側板に対して締結部材により締結され、
前記第2遮熱板の後端部の少なくとも一部は、前記他方の側板に対して締結部材により締結されていることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション等の集合住宅のパイプシャフト等に設置される給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱交換器を固定する胴板部の前面および後面に固着された前板および後板を備えた瞬間湯沸器が開示されている。特許文献1に記載された瞬間湯沸器では、異常温度検出手段が前板および後板のそれぞれに取り付けられている。これにより、特許文献1に記載された瞬間湯沸器は、省スペース化が進む日本の住宅事情においても、壁面に近接して設置することが可能とされている。
【0003】
特許文献2には、長尺ヒューズ部材を備えた燃焼機器が開示されている。特許文献2に記載された長尺ヒューズ部材は、絶縁基材と絶縁薄板材との間に任意の形状をもって各部均等に配置され、絶縁基材に絶縁薄板材でパック状に把持され一体的に固定されている。これにより、不特定局部位置における過熱検知が確実に行われる。そのため、特許文献1に記載された瞬間湯沸器と同様に、特許文献2に記載された燃焼機器は、省スペース化が進む日本の住宅事情においても、壁面に近接して設置することが可能とされている。
【0004】
例えば特許文献1および特許文献2に開示されたような給湯器は、マンション等の集合住宅の各戸に対応して配置されることがある。この場合において、給湯器の配置形態としては、1台の給湯器が、1つの住戸のパイプシャフト(パイプスペースともいう)において配置される場合と、2台の給湯器が、隣接する2つの住戸の共用のパイプシャフトにおいて並べて配置される場合と、がある。
【0005】
1台の給湯器が1つの住戸のパイプシャフトにおいて配置される場合には、パイプシャフトにおける給湯器の収容空間が十分に確保されている。そのため、給湯器の横幅寸法は、相対的に大きい値に設定されている。
【0006】
これに対して、2台の給湯器が、隣接する2つの住戸の共用のパイプシャフトにおいて並べて配置される場合には、1台の給湯器が1つの住戸のパイプシャフトにおいて配置される場合と比較して、パイプシャフトにおける給湯器の収容空間が狭い。このため、2台の給湯器のそれぞれの横幅寸法は、相対的に小さい値(例えば約半分程度の値)に設定されている。
【0007】
一般的に、給湯器は、熱交換器やガスバーナ等を収容する箱型の筐体と、フロントカバーと、を有している。フロントカバーは、筐体の前面の開口部を覆っている。筐体の側板の前端部は、筐体の強度を確保するために折り返し部分を有している。フロントカバーは、筐体の折り返し部分に重ねられ、筐体に取り付けられている。また他方、上記同一構造の給湯器は、戸建て住宅の壁面等に直付けされる場合もあり、マンション等のパイプシャフト用の金具を戸建て住宅用の金具に取り換えて取付される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実公平3-3800号公報
【文献】実公平8-7236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、隣接する2つの住戸の共用のパイプシャフトにおいて並べて配置される給湯器の横幅寸法を小さくするために、筐体の折り返し部分の形成幅をできる限り狭くして、筐体の内容積を大きく確保することが行われている。しかし、側板の折り返し部分の形成幅ができる限り狭い幅に設定されているので、筐体の側板が大きな強度を確保できないという点において改善の余地がある。
【0010】
すなわち、熱交換器や送風機や回路基板や電気配線の束線やパイプ類等の収容物が、このような構造の筐体内にぎっしりと収容されている。そのため、筐体の側板の強度が比較的低いと、側板が収容物により押されて側方に湾曲するおそれがある。これに対して、フロントカバーが筐体に取り付けられることで、側板の変形(湾曲)が矯正されることがある。
【0011】
しかし、作業者が給湯器を設置現場のパイプシャフトに設置する際に、筐体からフロントカバーを取り外すと、筐体の側板が側方に再び湾曲する。そして、作業者がフロントカバーを筐体に再び取り付ける際に、側板の変形(湾曲)を矯正することが困難である場合がある。そのため、隣接する2つの住戸の共用のパイプシャフトにおいて並べて配置される給湯器であっても、筐体の側板が湾曲することを抑えることが望まれている。
【0012】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、筐体の側板が側方に湾曲することを抑えることができる給湯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、本発明によれば、熱交換器を収容している筐体と、前記筐体の内部に配置されて、前記熱交換器から発生する熱を遮蔽するとともに、前記筐体の側板が側方に湾曲することを抑制する遮熱板と、を備えたことを特徴とする給湯器により解決される。
【0014】
前記構成によれば、給湯器は、熱交換器を収容している筐体と、遮熱板と、を備える。遮熱板は、筐体の内部に配置されて、熱交換器から発生する熱を遮蔽するとともに、筐体の側板が側方に湾曲することを抑制する。このため、側板の折り返し部分の形成幅ができる限り狭い幅に設定され、筐体の側板が大きな強度を確保できない場合において、作業者が給湯器を設置現場のパイプシャフトに設置する際に、例えば筐体からフロントカバーを取り外しても、遮熱板は、筐体の側板が側方に湾曲することを抑えることができる。また、遮熱板は、側板の折り返し部分が筐体の外側に向かって跳ね上がることを抑えることができる。筐体の側板が側方に湾曲することが抑制されるので、作業者は、フロントカバーを筐体に取り付け易く、例えば複数台の給湯器をパイプシャフト内に並べて確実に設置することができる。
【0015】
好ましくは、前記側板は、一方の側板と、前記一方の側板に対向する他方の側板と、を有し、前記遮熱板は、前記一方の側板の内側に固定された第1遮熱板と、前記他方の側板の内側に固定された第2遮熱板と、有することを特徴とする。
【0016】
前記構成によれば、第1遮熱板が筐体の一方の側板の内側に固定され、第2遮熱板が筐体の他方の側板の内側に固定されている。つまり、互いに対向する側板は、それぞれの内側に固定された遮熱板(第1遮熱板および第2遮熱板)により側方への湾曲を抑制される。これにより、第1遮熱板および第2遮熱板は、筐体内の遮熱を行うとともに、薄板を用いて軽量化された筐体であっても、筐体の補強を確実に行うことができる。
【0017】
好ましくは、前記第1遮熱板の形状は、前記第2遮熱板の形状と同一であることを特徴とする。
【0018】
前記構成によれば、遮熱板は、一方の側板と他方の側板の両方に共用して使用可能とされる。これにより、給湯器の構成部品の種類を減らすことができる。
【0019】
好ましくは、前記第1遮熱板および前記第2遮熱板のそれぞれは、一方の端部に設けられた第1突出部分と、前記一方の端部に対向する他方の端部に設けられた第2突出部分と、前記一方の端部および前記他方の端部に交差する端部において前記第1突出部分と前記第2突出部分との間の位置に設けられた取付部と、を有し、前記第1遮熱板の前記取付部は、前記一方の側板に固定され、前記第2遮熱板の前記取付部は、前記他方の側板に固定され、前記第1遮熱板の前記第1突出部分および前記第2突出部分は、前記一方の側板が側方に湾曲しようとすると前記一方の側板の内面に当接し、前記第2遮熱板の前記第1突出部分および前記第2突出部分は、前記他方の側板が側方に湾曲しようとすると前記他方の側板の内面に当接することを特徴とする。
【0020】
前記構成によれば、第1遮熱板の第1突出部分および第2突出部分は、筐体の一方の側板が側方に湾曲しようとすると一方の側板の内面に当接する。また、第2遮熱板の第1突出部分および第2突出部分は、他方の側板が側方に湾曲しようとすると他方の側板の内面に当接する。このため、作業者が例えば筐体からフロントカバーを取り外しても、筐体の側板が側方に湾曲することが確実に抑えられる。
【0021】
好ましくは、前記取付部は、板が折り曲げられた爪状の構造を有し、前記第1遮熱板の前記取付部は、前記一方の側板の前端部に設けられたスリット部に嵌め込まれ、前記第2遮熱板の前記取付部は、前記他方の側板の前端部に設けられたスリット部に嵌め込まれたことを特徴とする。
【0022】
前記構成によれば、第1遮熱板の爪状の取付部が一方の側板のスリット部に嵌め込まれている。これにより、第1遮熱板は、一方の側板のスリット部に対して容易に取り付けられるとともに一方の側板に確実に固定される。また、第2遮熱板の爪状の取付部が他方の側板のスリット部に嵌め込まれている。これにより、第2遮熱板は、他方の側板のスリット部に対して容易に取り付けられるとともに他方の側板に確実に固定される。
【0023】
好ましくは、前記第1遮熱板の後端部の少なくとも一部は、前記一方の側板に対して締結部材により締結され、前記第2遮熱板の後端部の少なくとも一部は、前記他方の側板に対して締結部材により締結されていることを特徴とする。
【0024】
前記構成によれば、第1遮熱板の後端部の少なくとも一部は、一方の側板に対して、締結部材により簡単かつ確実に固定される。また、第2遮熱板の後端部の少なくとも一部は、他方の側板に対して、締結部材により簡単かつ確実に固定される。
【0025】
好ましくは、前記筐体は、後方部において前記側板と交差する方向に延び前記側板に接続された背板を有し、前記第1遮熱板の後端部の他の少なくとも一部は、前記一方の側板と前記背板との間に挟まれて保持され、前記第2遮熱板の後端部の他の少なくとも一部は、前記他方の側板と前記背板との間に挟まれて保持されていることを特徴とする。
【0026】
前記構成によれば、第1遮熱板の後端部の他の少なくとも一部は、一方の側板に対して、一方の側板と前記背板との間に挟まれて保持され、一方の側板に対して容易に固定される。また、第2遮熱板の後端部の他の少なくとも一部は、他方の側板に対して、他方の側板と前記背板との間に挟まれて保持され、他方の側板に対して容易に固定される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、筐体の側板が側方に湾曲することを抑えることができる給湯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る給湯器を示す正面図である。
図2図1に示す矢印T11の方向から眺めたときの給湯器を示す側面図である。
図3図1に示す給湯器1を示す斜視図である。
図4】集合住宅に設置される給湯器の設置例を示す図である。
図5】筐体の変形を説明する図である。
図6】第1遮熱板および第2遮熱板を示す正面図である。
図7】第1遮熱板および第2遮熱板を示す斜視図である。
図8】第1遮熱板および第2遮熱板を示す側面図である。
図9】第1遮熱板および第2遮熱板を示す断面図である。
図10】遮熱板を示す図である。
図11図1に示す切断面A-Aにおける断面図である。
図12図1に示す切断面B-Bにおける断面図である。
図13】本実施形態の第1遮熱板および第2遮熱板の作用例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る給湯器を示す正面図である。
図2は、図1に示す矢印T11の方向から眺めたときの給湯器を示す側面図である。
図3は、図1に示す給湯器1を示す斜視図である。
図1図3に示す給湯器1では、フロントカバー3の図示を省略しており、筐体2を示している。図2では、筐体2の前面の開口部15に対応して、フロントカバー3が取り付けられている。図3に示す給湯器1の形状は、図1図2に示す給湯器1を分かり易くするために、簡略化して示している。図1および図3では、第1突出部分41および第2突出部分42を分かりやすく表示するため、遮熱板31,32の端部を省略している。
【0031】
本実施形態に係る給湯器1は、筐体2と、フロントカバー3と、を備える。図1から図3に示す筐体2とフロントカバー3は、鋼板のような金属板により作られている。筐体2を構成する金属板の板厚は、構造規定により0.8mm以上が求められるが、実際には、例えば0.8mmである。図1図3に示すように、筐体2は、一方の側板(左側の側板)10と、他方の側板(右側の側板)11と、天板12と、底板13と、背板14と、を有する箱状のケースである。説明の便宜上、以下の説明において、一方の側板を「左側の側板」と称し、他方の側板を「右側の側板」と称する。本実施形態の左側の側板10は、本発明の「一方の側板」に相当する。本実施形態の右側の側板11は、本発明の「他方の側板」に相当する。左側の側板10と右側の側板11とは、互いに対向している。筐体2は、前面に長方形状の開口部15を有している。
【0032】
左側の側板10は、筐体2の縦方向のZ方向に沿って折り返し部分20を有する。左側の側板10の前端部10Aには、スリット部10Hが設けられている。同様にして、右側の側板11は、筐体2のZ方向に沿って折り返し部分21を有する。右側の側板11の前端部11Aには、スリット部11Hが設けられている。本実施形態では、Z方向は、筐体2の上下方向に相当する。天板12は、筐体2の横方向のX方向に沿って折り返し部分22を有する。底板13は、筐体2のX方向に沿って折り返し部分23を有する。本実施形態では、X方向は、筐体2の水平方向に相当する。筐体2は、折り返し部分20,21,22,23を有していることで、比較的薄い金属板で作られていても強度を可能な限り確保することができる。なお、本実施形態では、Y方向は、筐体2の奥行方向に相当する。X方向と、Y方向と、Z方向と、は、互いに直交している。
【0033】
図2に示すフロントカバー3は、天板12の折り返し部分22と、底板13の折り返し部分23と、に対して重ねられてあるいは嵌合されてネジ等の締結部材で固定される。例えば、フロントカバー3は、天板12の折り返し部分22と、底板13の折り返し部分23と、のそれぞれに対して2箇所程度で締結部材により固定されている。これにより、フロントカバー3は、筐体2の前面の開口部15を閉じる。なお、フロントカバー3は、左側の側板10の折り返し部分20と、右側の側板11の折り返し部分21と、に対しては固定されていない。一方で、フロントカバー3は、筐体2から取り外されると、筐体2の前面の開口部15を開く。図2に示すように、フロントカバー3は、排気口3Aを有する。
【0034】
図1において二点鎖線で例示するように、筐体2の内部には、各種の装置や配線等の収容物が収容されている。収容物の例としては、例えば熱交換器5と、送風ファン6と、ガスバーナ7と、排気部8と、回路基板部9と、図示しない電気配線等の束線やパイプ類等が挙げられる。排気部8は、図2のフロントカバー3の排気口3Aの位置に対応している。
【0035】
図1図3に例示するように、筐体2の内側には、少なくとも一部分に、複数の遮熱板31,32,33が配置されている。すなわち、本実施形態に係る給湯器1は、遮熱板31,32,33をさらに備える。遮熱板31,32,33は、熱交換器5等が発生する熱を遮蔽あるいは遮断する遮熱効果と、筐体2の強度の補強を行う補強効果と、を兼ね備えている。遮熱板31,32,33は、例えば溶融アルミメッキ合金により長方形状に作られている。ただし、遮熱板31,32,33の材料は、これだけには限定されない。遮熱板31,32,33の厚みは、例えば0.4mmであるが、これだけには限定されない。
【0036】
図1図3に示すように、第1遮熱板31は、筐体2の左側の側板10の内側に固定されている。第2遮熱板32は、筐体2の右側の側板11の内側に固定されている。第3遮熱板33は、背板14の内側に固定されている。遮熱板31,32,33は、図1に例示するように、少なくとも熱交換器5を囲むような位置にそれぞれ配置されている。
【0037】
熱交換器5の外形を形成する部材は、例えば銅製である。また、ガスバーナ7を支える部分は、鋼材である。熱交換器5およびガスバーナ7の動作時には、熱交換器5の銅製の部材やガスバーナ7を支える鋼材の上部は、例えば約150℃程度にまで高温になる。これにより、熱交換器5の銅製の部材やガスバーナ7を支える鋼材には、応力が発生する。これらの部材の少なくとも一部に穴等が空くと、例えば約1800℃の炎が噴き出す恐れがある。噴き出した炎が直接筐体2を加熱すると、筐体2の加熱された部分が例えば700℃を超え、筐体2に対向する建物側(例えば壁面)が例えば100℃を超える場合がある。遮熱板31,32,33は、噴き出した約1800℃の炎を遮蔽するため(壁面温度が例えば100℃を超えないように筐体2の加熱された部分が例えば500℃を超えないようにするため)に設けられている。さらに、遮熱板31,32,33は、筐体2の変形を抑制するために筐体2の強度の補強を行っている。以下、図面を参照して遮熱板31,32,33をさらに説明する。
【0038】
図4は、集合住宅Hに設置される給湯器の設置例を示す図である。
図4に例示するように、集合住宅Hには、共用廊下Kに沿って、住戸R1,R2,R3設けられている。パイプシャフトPS1は、住戸R1に対応して設けられている。パイプシャフトPS1には、図4(a)に示すような相対的に広い横幅W1の1台の給湯器1Rが配置されている。一方、パイプシャフトPS2は、隣接する2つの住戸R2,R3に対応して共通して設けられている。パイプシャフトPS2には、図4(b)に示すような相対的に狭い横幅Wの2台の給湯器1,1が配置されている。なお、給湯器1Rは、本実施形態である給湯器1を比較するための比較例である。なお、相対的に狭い横幅Wの給湯器1台毎に1つのパイプシャフトが用意される場合もある。
【0039】
パイプシャフトPS1、PS2の収容空間容積(あるいは水平断面積)が同じである場合には、図4(b)に示す本実施形態の給湯器1の横幅Wは、図4(a)に示す比較例の幅広い1台の給湯器1Rの横幅W1の半分程度となってしまう。このように、2台の給湯器1,1が、隣接する2台の住戸R2,R3の共用のパイプシャフトPS2において並べて配置される場合には、幅広い1台の給湯器(比較例の給湯器)1Rが1つの住戸のパイプシャフトPS1において配置される場合と比較して、パイプシャフトPS2における給湯器1台あたりの収容空間が狭くなる。このため、2台の給湯器1,1のそれぞれの横幅Wは、比較例の1台の給湯器の横幅W1に比べて小さい値(例えば約半分程度の値)に設定されている。
【0040】
すでに説明したように、給湯器1は、箱型の筐体2とフロントカバー3とを備えている。フロントカバー3は、筐体2の前面の開口部15を覆っている。筐体2の側板10,11は、折り返し部分20,21をそれぞれ有している。筐体2の天板12は、折り返し部分22を有している。筐体2の底板13は、折り返し部分23を有している。フロントカバー3は、折り返し部分22,23に重ねられてあるいは嵌合されて締結部材により固定されることで、筐体2に取り付けられている。ここで、給湯器1の横幅Wをできるだけ小さくするために、給湯器1の筐体2の側板10,11の折り返し部分20,21の形成幅をできる限り狭くして、筐体2の内容積を大きく確保することが行われている。
【0041】
図5は、筐体の変形を説明する図である。
図5(a)は、比較例の給湯器1Rを示す底面図である。図5(b)は、本発明の実施形態である給湯器を示す底面図である。図5(c)は、本実施形態の筐体の変形を説明する斜視図である。図5(d)は、本実施形態の筐体の変形を説明する部分断面図である。図5(e)は、図5(d)に表した領域A11における拡大図である。
【0042】
図5(a)に示す比較例の給湯器1Rでは、折り返し部分200,201の形成幅Vは、例えば約10mm程度である。これに対して、図5(b)に示す本実施形態に係る給湯器1では、折り返し部分20,21の形成幅Sは、約7mm程度、あるいは7mm未満である。このように、図5(b)に示す本実施形態の給湯器1では、側板10,11の折り返し部分20,21の形成幅Sは、図5(a)に示す比較例の給湯器1Rの折り返し部分200,201の形成幅Vに比べて、できる限り狭い値に設定されている。このため、本実施形態の給湯器1の筐体2の側板10,11は、単独(単品)の状態では大きな強度を確保できない場合がある。
【0043】
そのため、図1に示すように、熱交換器5や送風ファン6や回路基板部9や電気配線の束線やパイプ類等が筐体2の内部に詰め込んで収容されると、図5(c)と図5(d)に示す矢印XXのように、筐体2の側板10,11が側方に湾曲し膨らんでしまうことがある。また、図5(d)および図5(e)に示す矢印YYのように、折り返し部分20,21が側板10,11に対する折り返し角度を保持できず、筐体2の外側に向かって跳ね上がることがある。これに対して、フロントカバー3が筐体2に取り付けられることで、筐体2の側板10,11の湾曲が矯正されることがある。
【0044】
しかし、作業者は、図4に示す給湯器1をパイプシャフトPS2に設置する際には、筐体2からフロントカバー3を外す。例えば、作業者は、筐体2からフロントカバー3を外し、筐体2の内部に設けられたリモコン線接続部にリモコン線を接続する。そうすると、折り返し部分20,21の形成幅Sが比較的狭いので、図5(c)と図5(d)に示す矢印XXのように、筐体2の側板10,11が側方に再び湾曲する。また、図5(d)および図5(e)に示す矢印YYのように、折り返し部分20,21が筐体2の外側に向かって再び跳ね上がる。そして、作業者がフロントカバー3を筐体2に再び取り付ける際に、側板10,11の変形(湾曲)を矯正することが困難である場合がある。具体的には、作業者がフロントカバー3を不用意に筐体2に取り付けようとすると、フロントカバー3を天板12の折り返し部分22および底板13の折り返し部分23に嵌合させることができる一方で、側板10,11の折り返し部分20,21に嵌合させることができない場合がある。この場合には、フロントカバー3と、側板10,11の折り返し部分20,21と、の間に隙間が生ずることがある。そうすると、雨水等が、フロントカバー3と、側板10,11の折り返し部分20,21と、の間の隙間から筐体2内に入るおそれがある。
【0045】
これに対して、本実施形態に係る給湯器1では、図1図3に例示したように、第1遮熱板31が、筐体2の左側の側板10を補強するために、左側の側板10の内面に固定されている。また、第2遮熱板32が、筐体2の右側の側板11を補強するために、右側の側板11の内面に固定されている。さらには、第3遮熱板33が、背板14を補強するために、背板14の内面に固定されている。このように、遮熱板31,32,33は、筐体2内に固定されていることで、熱交換器5等の熱を遮蔽する遮熱効果と、筐体2の強度の補強を行う補強効果と、を兼ね備えることができる。
【0046】
そのため、側板10,11の折り返し部分20,21の形成幅Sができる限り狭い幅に設定され、側板10,11が大きな強度を確保できない場合において、作業者が給湯器1を設置現場のパイプシャフトPS2に設置する際に、例えば筐体2からフロントカバー3を取り外しても、遮熱板31,32は、筐体2の側板10,11が側方に湾曲することを抑えることができる。また、遮熱板31,32は、折り返し部分20,21が筐体の外側に向かって跳ね上がることを抑えることができる。筐体2の側板10,11が側方に湾曲することが抑制されるので、作業者は、フロントカバー3を筐体2に取り付け易く、例えば複数台の給湯器1をパイプシャフトPS2内に並べて確実に設置することができる。
【0047】
また、互いに対向する側板10,11が、それぞれの内側に固定された遮熱板(第1遮熱板31および第2遮熱板32)により側方への湾曲を抑制される。これにより、第1遮熱板31および第2遮熱板32は、筐体2内の遮熱を行うとともに、薄板を用いて軽量化された筐体2であっても、筐体2の補強を確実に行うことができる。
【0048】
次に、遮熱板31,32,33について、図1図3を参照してさらに説明する。
図1図3に示す遮熱板31,32は、左右対称形状であり、共通した構造を有している。すなわち、第1遮熱板31の形状は、第2遮熱板32の形状と同一である。そのため、遮熱板31,32は、共用して使用可能とされる。これにより、給湯器1の構成部品の種類を減らすことができる。第3遮熱板33の形状は、第1遮熱板31および第2遮熱板32の形状とは異なる。遮熱板31,32,33のZ方向の長さが筐体2のZ方向の長さに対して例えば20%以上あれば、遮熱板31,32,33は、熱交換器5等の熱を遮蔽する遮熱効果と、筐体2の強度の補強を行う補強効果と、有する。図1図3に表した給湯器1では、遮熱板31,32,33のZ方向の長さは、筐体2のZ方向の長さに対して例えば28%程度である。ただし、筐体2のZ方向の長さに対する遮熱板31,32,33のZ方向の長さの割合は、これだけには限定されない。
【0049】
次に、第1遮熱板31および第2遮熱板32について、図6から図9を参照して詳しく説明する。
図6は、第1遮熱板および第2遮熱板を示す正面図である。
図7は、第1遮熱板および第2遮熱板を示す斜視図である。
図8は、第1遮熱板および第2遮熱板を示す側面図である。
図9は、第1遮熱板および第2遮熱板を示す断面図である。
なお、図8(a)は、図7に表した矢印T1の方向から第1遮熱板および第2遮熱板をみた側面図である。図8(b)は、図7に表した矢印T2の方向から第1遮熱板および第2遮熱板をみた側面図である。図9(a)は、図6に表した切断面A1-A1における断面図である。図9(b)は、図6に表した切断面B1-B1における断面図である。
【0050】
遮熱板31,32は、図6図7に示すように、長方形状の金属の成形板である。遮熱板31,32は、図6のB1-B1線において、上下対称形状になっている。これにより、遮熱板31,32は、図1に示す左右の側板10,11の両方に対して共通して使用可能である。このため、左右の側板10,11のそれぞれに異なる形状の遮熱板を用意する必要が無いので、給湯器1のために用意すべき構成部品の種類を減らすことができる。
【0051】
図7に示す遮熱板31の一端部31A側は、図3に示す側板10の前端部10A側に位置され、図7に示す遮熱板32の一端部32A側は、図3に示す側板11の前端部11A側に位置される。図7に示す遮熱板31の他端部31Bと遮熱板32の他端部32Bは、図3に示す背板14側に位置される。
【0052】
図7図8に示すように、遮熱板31,32の上端部(一方の端部)31C(32C)には、第1突出部分41が設けられている。本実施形態の上端部31C(32C)は、本発明の「一方の端部」に相当する。第1突出部分41は、金属の板の端部が折り曲げられて形成された部分であり、上端部31C(32C)の長さの一部または全長に渡って形成されている。同様にして、下端部(他方の端部)31D(32D)には、第2突出部分42が設けられている。本実施形態の下端部31D(32D)は、本発明の「他方の端部」に相当する。第2突出部分42は、金属の板の端部が折り曲げられて形成された部分であり、下端部31D(32D)の長さの一部または全長に渡って形成されている。
【0053】
また、図7から図9に示すように、遮熱板31の一端部31Aおよび遮熱板32の一端部32Aのそれぞれの中間位置には、爪状の取付部50が設けられている。具体的には、爪状の取付部50は、上端部31C(32C)と下端部31D(32D)とに交差する一端部31A(32A)において、第1突出部分41と第2突出部分42との間の位置に設けられている。取付部50は、金属の板が折り曲げられた爪状の構造を有し、図3に示す左側の側板10の前端部10Aと右側の側板11の前端部11Aに対して、遮熱板31,32を、それぞれ固定するためのものである。
【0054】
爪状の取付部50は、好ましくは、左側の側板10の前側に設けられているスリット部10H(図1および図3参照)と、右側の側板11の前側に設けられているスリット部11H(図1および図3参照)と、にそれぞれ嵌め込まれる。これにより、第1遮熱板31の一端部31Aと第2遮熱板32の一端部32Aは、側板10の前端部10Aと右側の側板11の前端部11Aに対して、それぞれ嵌め込むことで固定可能とされている。
【0055】
図6図7に示すように、第1遮熱板31の他端部31Bと第2遮熱板32の他端部32Bは、2つの固定部分60を有している。本実施形態の他端部31B,32Bは、本発明の「後端部」に相当する。図3に示すように、第1遮熱板31の他端部31Bと第2遮熱板32の他端部32Bとは、左右の側板10,11の内面に対して、固定部分60においてネジ(締結部材)61によりそれぞれ固定可能とされている。つまり、固定部分60は、本発明の「後端部の少なくとも一部」に相当する。
【0056】
なお、図3および図6では、2つの固定部分60の両方が、ネジ61を用いて左右の側板10,11の内面に対して、それぞれ固定されている。ただし、固定部分60の固定形態は、これだけに限定されるわけではない。2つの固定部分60のいずれか一方がネジ61を用いて左右の側板10,11の内面に固定され、2つの固定部分60のいずれか他方が左側の側板10と背板14との間、および右側の側板11と背板14との間に挟まれて保持されてもよい。この詳細ついては、後述する。
【0057】
次に、図10を参照して、第3遮熱板33について説明する。
図10は、第3遮熱板を示す図である。
なお、図10(a)は、第3遮熱板を示す正面図である。図10(b)は、図10(a)に表した矢印T12の方向から第3遮熱板をみたときの側面図である。図10(c)は、図10(a)に表した矢印T13の方向から第3遮熱板をみたときの側面図である。
【0058】
図10に示すように、第3遮熱板33は、耐熱性を有する長方形状の金属の成形板である。第3遮熱板33は、2つの突出部39を有している。作業者が突出部39の孔39Hにネジ(締結部材)37を通して、図3に示す背板14のメネジにねじ込むことで、第3遮熱板33は、背板14に対して固定される。遮熱板31,32,33は、図1に示す熱交換器5の左右側板と背面に対応して配置されている。しかも、図2に示すように、フロントカバー3は、その内側に設けられた遮熱板3Rを有する。これにより、熱交換器5の前面と左右側板と背面とが、遮熱板31,32,33と、フロントカバー3の遮熱板3Rと、により、熱的に遮蔽されている。このため、筐体2では、熱交換器5から発生する熱が、筐体2の外側に伝わることをできる限り遮蔽することができる。
【0059】
図11は、図1に示す切断面A-Aにおける断面図である。
図12は、図1に示す切断面B-Bにおける断面図である。
図11図12を参照して、遮熱板31,32,33の取り付け構造例について、さらに説明する。
【0060】
図11図12は、図1に示す背板14と第3遮熱板33との取り付け構造例、および右側の側板11と第2遮熱板32との取り付け構造例を示している。なお、右側の側板11と第2遮熱板32との取り付け構造例と、左側の側板10と第1遮熱板31との取り付け構造例と、は、互いに左右対称形状である、従って、図11図12を参照して、背板14と第3遮熱板33との取り付け構造例、および右側の側板11と第2遮熱板32との取り付け構造例を代表して説明する。
【0061】
まず、図11を参照して、背板14と第3遮熱板33との取り付け構造例、および右側の側板11と第2遮熱板32との取り付け構造例を説明する。ただし、説明の便宜上、第2遮熱板32および第3遮熱板33の一部分を省略している。
図11に示すように、スリット部11Hは、右側の側板11の前端部11Aに設けられている細い溝である。第2遮熱板32の爪状の取付部50は、右側の側板11のスリット部11H内に嵌め込まれることで、取り付けられている。
【0062】
一方、図11に示すように、第3遮熱板33の突出部39は、背板14の膨出部14Gに被さっている。ネジ37は、第3遮熱板33の突出部39の孔39H(図10参照)に通され、背板14のメネジ38にねじ込まれる。これにより、第3遮熱板33は、背板14に対して固定されている。図11に示す範囲RDは、第2遮熱板32および第3遮熱板33によっては覆われていない筐体2の領域を示している。この範囲RDが存在していても、熱交換器の遮熱能力と、筐体2の補強能力と、は確保されている。
【0063】
次に、図12を参照して、背板14と、第2遮熱板32と、の取り付け構造例を説明する。ただし、説明の便宜上、第2遮熱板32の一部分を省略している。
【0064】
図12に示すように、第2遮熱板32の他端部32Bは、筐体2の奥側に位置される端部である。第2遮熱板32の他端部32Bの固定部分60は、背板14の内端部14Mと右側の側板11の内面と、の間に挟み込まれることで固定されている。しかも、側板11の固定部分60には、ネジ孔60H(図7参照)が設けられている。ネジ61が、固定部分60のネジ孔60Hを通して、背板14の内端部14Mのメネジ14Wにねじ込まれている。これにより、第2遮熱板32の他端部32Bの固定部分60は、右側の側板11と背板14との間に挟み込まれた状態で、ネジ止めにより確実に固定されている。
【0065】
なお、図6図9に関して前述したように、第2遮熱板32の固定部分60が背板14の内端部14Mと右側の側板11の内面との間に挟み込まれているため、ネジ61によるネジ止めは、必ずしも必要というわけではない。例えば、2つの固定部分60のいずれか一方が背板14の内端部14Mと右側の側板11の内面との間に挟み込まれ、2つの固定部分60のいずれか他方が背板14の内端部14Mと右側の側板11の内面との間に挟み込まれるとともにネジ61によりネジ止めされていてもよい。
【0066】
図13は、本実施形態の第1遮熱板および第2遮熱板の作用例を説明する模式図である。
図13に示す第1遮熱板31が左側の側板10の側方(矢印XXの方向)への湾曲(図5(c)および図5(d)参照)を抑制する動作と、第2遮熱板32が右側の側板11の側方(矢印XXの方向)への湾曲(図5(c)および図5(d)参照)を抑制する動作と、は、互いに左右対称であり実質的に同じである。このため、図13では、第1遮熱板31が左側の側板10の側方(矢印XXの方向)への湾曲を抑制する動作を代表して説明する。
図13(a)は、左側の側板10が側方(矢印XXの方向)に湾曲する前の通常の状態を示している。図13(b)は、第1遮熱板31が、左側の側板10が側方(矢印XXの方向)に湾曲することを抑制している状態を示す模式図である。
【0067】
図13(a)では、第1遮熱板31の爪状の取付部50は、左側の側板10のスリット部10H内にはめ込まれることで、既に取り付けられている。第1遮熱板31の上側の第1突出部分41と下側の第2突出部分42は、左側の側板10の内面10Nに向かって突出して形成されている。このとき、上側の第1突出部分41と左側の側板10の内面10Nとの間、および下側の第2突出部分42と左側の側板10の内面10Nとの間には、それぞれ所定の隙間SSが設定されている。隙間SSは、左側の側板10および右側の側板11が側方(矢印XXの方向)に湾曲することを抑制され、フロントカバー3が筐体2に対して容易に取り付け可能とされる範囲で適宜設定される。
【0068】
図5(a)~図5(d)に関して前述したように、熱交換器5や送風ファン6や回路基板部9や電気配線の束線やパイプ類等が筐体2の内部に詰め込んで収容されると、図5(c)と図5(d)に示す矢印XXのように、筐体2の側板10,11が側方に湾曲し膨らんでしまうことがある。そうすると、作業者が給湯器1の設置作業のために、筐体2からフロントカバー3を取り外した場合に、左右の側板10,11が、図13(a)の通常の状態から図13(b)に示すように側方(矢印XXの方向)に湾曲し膨らもうとする。
【0069】
これに対して、本実施形態に係る給湯器1では、図13(b)に示すように、左側の側板10が側方(矢印XXの方向)に湾曲しようとすると、第1遮熱板31の上側の第1突出部分41と下側の第2突出部分42は、左側の側板10の内面10Nに対して当接する。これにより、第1遮熱板31は、左側の側板10が側方(矢印XXの方向)に湾曲することを抑制することができる。従って、作業者が筐体2からフロントカバー3を取り外しても、左側の側板10が側方に湾曲することが確実に抑えられる。また、折り返し部分20が図5(d)に表した矢印YYの方向に跳ね上がることが確実に抑えられる。これにより、作業者は、筐体2に対して再びフロントカバー3を装着する作業を容易に行うことができる。
【0070】
本実施形態に係る給湯器1によれば、第1遮熱板31の第1突出部分41および第2突出部分42は、左側の側板10が側方に湾曲しようとすると左側の側板10の内面10Nに当接する。また、第2遮熱板32の第1突出部分41および第2突出部分42は、右側の側板11が側方に湾曲しようとすると右側の側板11の内面に当接する。このため、作業者が例えば筐体2からフロントカバー3を取り外しても、筐体2の側板10,11が側方に湾曲することが確実に抑えられる。また、側板10,11の折り返し部分20,21が筐体2の外側に向かって跳ね上がることが確実に抑えられる。
【0071】
また、第1遮熱板31の取付部50は、左側の側板10の前端部10Aに設けられたスリット部10Hに嵌め込まれている。これにより、第1遮熱板31は、左側の側板10のスリット部10Hに対して容易に取り付けられるとともに左側の側板10に確実に固定される。また、第2遮熱板32の取付部50は、右側の側板11の前端部11Aに設けられたスリット部11Hに嵌め込まれている。これにより、第2遮熱板32は、右側の側板11のスリット部11Hに対して容易に取り付けられるとともに右側の側板11に確実に固定される。
【0072】
また、第1遮熱板31の他端部31Bの少なくとも一部(固定部分60)は、左側の側板10に対してネジ61により締結されている。これにより、第1遮熱板31の他端部31Bの少なくとも一部は、左側の側板10に対して、ネジ61により簡単かつ確実に固定される。また、第2遮熱板32の他端部32Bの少なくとも一部(固定部分60)は、右側の側板11に対してネジ61により締結されている。これにより、第2遮熱板32の他端部32Bの少なくとも一部は、右側の側板11に対して、ネジ61により簡単かつ確実に固定される。
【0073】
また、第1遮熱板31の他端部31Bの他の少なくとも一部(固定部分60)は、左側の側板10と背板14との間に挟まれて保持されていてもよい。この場合には、第1遮熱板31の他端部31Bの他の少なくとも一部は、左側の側板10に対して容易に固定される。また、第2遮熱板32の他端部32Bの他の少なくとも一部(固定部分60)は、右側の側板11と背板14との間に挟まれて保持されていてもよい。この場合には、第2遮熱板32の他端部32Bの他の少なくとも一部は、右側の側板11に対して容易に固定される。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。なお、給湯器1の熱源は、ガスや石油等に限定されるわけではない。また、給湯器1の用途は、特に限定されるわけではない。例えば、給湯器1は、給湯用の給湯器以外にも、暖房用の熱源機や風呂給湯器等であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1、1R・・・給湯器、 2・・・筐体、 3・・・フロントカバー、 3A・・・排気口、 3R・・・遮熱板、 5・・・熱交換器、 6・・・送風ファン、 7・・・ガスバーナ、 8・・・排気部、 9・・・回路基板部、 10・・・側板、 10A・・・前端部、 10H・・・スリット部、 10N・・・内面、 11・・・側板、 11A・・・前端部、 11H・・・スリット部、 12・・・天板、 13・・・底板、 14・・・背板、 14G・・・膨出部、 14M・・・内端部、 14W・・・メネジ、 15・・・開口部、 20、21、22、23・・・折り返し部分、 31・・・第1遮熱板、 31A・・・一端部、 31B・・・他端部、 31C・・・上端部、 31D・・・下端部、 32・・・第2遮熱板、 32A・・・一端部、 32B・・・他端部、 32C・・・上端部、 32D・・・下端部、 33・・・第3遮熱板、 37・・・ネジ、 38・・・メネジ、 39・・・突出部、 39H・・・孔、 41・・・第1突出部分、 42・・・第2突出部分、 50・・・取付部、 60・・・固定部分、 60H・・・ネジ孔、 61・・・ネジ、 200、201・・・折り返し部分、 H・・・集合住宅、 K・・・共用廊下、 PS1、PS2・・・パイプシャフト、 R1、R2、R3・・・住戸、 S・・・形成幅、 SS・・・隙間、 V・・・形成幅、 W、W1・・・横幅

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13