(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】電線検査装置
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
H02G1/02
(21)【出願番号】P 2018087429
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慶吾
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-314113(JP,A)
【文献】特開平09-318550(JP,A)
【文献】特開2017-099036(JP,A)
【文献】特開平02-114807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を保持し、かつ当該電線の長手方向に移動可能な電線保持部と、
前記電線保持部に回転可能に支持され、前記電線の外周に沿って回転し、当該電線の状態を検査する検査部と、
前記検査部を回転させる検査部駆動手段と、
を備え、
前記電線保持部及び前記検査部が前記電線の径方向に分割されており、
前記電線保持部が、前記電線上を当該電線の長手方向に走行する車輪と、前記車輪を回転させる車輪駆動手段と、
ケースと、該ケース内に取り付けられ、前記検査部を回転可能に支持する軸受と、を備え、
前記ケースが、前記電線の径方向に二分割された第1のケース及び第2のケースで構成され、
前記軸受が、前記電線の径方向に二分割された第1の軸受及び第2の軸受で構成され、かつ、前記第1の軸受が前記第1のケースに取り付けられ、前記第2の軸受が前記第2のケースに取り付けられている
ことを特徴とする電線検査装置。
【請求項2】
前記検査部が、前記電線の全周を包囲するとともに前記検査部駆動手段から動力が伝達される歯車を備え、
前記歯車は、その外周面に複数の歯が設けられ、その中心に前記電線が通される断面正円形状の孔が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電線検査装置。
【請求項3】
前記第1のケース及び前記第2のケースの一方に位置決め用の凹部が設けられ、他方に前記凹部に嵌まる位置決め用の凸部が設けられ、
前記凹部及び前記凸部が、前記軸受に隣接して設けられている
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載の電線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の状態を自動で検査する電線検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、架空電線の状態を自動で検査する電線検査装置の開発が進められており、種々の電線検査装置が発明されている。その一つとして、特許文献1には、複数本の金属素線を螺旋状に撚り合わせてなる送電線に沿って移動中に、この金属素線の損傷等の異常箇所を検出し撮影する電線検査装置が開示されている。
【0003】
上記特許文献1の電線検査装置は、送電線をその内側に通過させ、送電線の外周に沿って回動する円筒歯車と、円筒歯車に取り付けられた撮影手段と、円筒歯車の外周面に設けられた外歯に噛合する歯車と、この歯車を駆動させるモータと、円筒歯車の回動数を検出する回動数検出手段と、円筒歯車が送電線の異常箇所に接触したことを検知するセンサなどを備えている。また、円筒歯車の内周面には内歯が設けられており、この内歯は、送電線外周面の螺旋状の溝部(複数本の金属素線が螺旋状に撚り合わされることで形成される溝部)に噛合する。
【0004】
このような特許文献1の電線検査装置においては、モータが駆動すると歯車が回動し、この歯車に噛合する外歯が送電線の長軸を中心に回動する。これと同時に回動する内歯が送電線の溝部に噛合しているため、円筒歯車の回動に伴って、装置全体が溝部に沿って螺旋状に進行する。 そして、円筒歯車が送電線の異常箇所に接触した場合、撮影手段がこの異常箇所を撮影するとともに、回動数検出手段がこの時点での円筒歯車の回動数を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の電線検査装置は、送電線外周面の螺旋状の溝部に沿って螺旋状に進行する構成であるがゆえに、外周面に螺旋状の溝部がない電線には適用できないという問題があった。また、特許文献1の電線検査装置は、円筒歯車の内歯が送電線の溝部に噛合する際、送電線を傷付けてしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、幅広い電線に適用することができ、かつ、電線を傷付けることを防止できる電線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電線を保持し、かつ当該電線の長手方向に移動可能な電線保持部と、前記電線保持部に回転可能に支持され、前記電線の外周に沿って回転し、当該電線の状態を検査する検査部と、前記検査部を回転させる検査部駆動手段と、を備え、前記電線保持部及び前記検査部が前記電線の径方向に分割されており、前記電線保持部が、前記電線上を当該電線の長手方向に走行する車輪と、前記車輪を回転させる車輪駆動手段と、ケースと、該ケース内に取り付けられ、前記検査部を回転可能に支持する軸受と、を備え、前記ケースが、前記電線の径方向に二分割された第1のケース及び第2のケースで構成され、前記軸受が、前記電線の径方向に二分割された第1の軸受及び第2の軸受で構成され、かつ、前記第1の軸受が前記第1のケースに取り付けられ、前記第2の軸受が前記第2のケースに取り付けられていることを特徴とする電線検査装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電線を保持し、かつ当該電線の長手方向に移動可能な電線保持部と、前記電線保持部に回転可能に支持され、前記電線の外周に沿って回転し、当該電線の状態を検査する検査部と、前記検査部を回転させる検査部駆動手段と、を備え、前記電線保持部が、前記電線上を当該電線の長手方向に走行する車輪と、前記車輪を回転させる車輪駆動手段と、を備えているので、外周面の螺旋状の溝部の有無に関わらず幅広い電線に適用することができ、かつ、電線を傷付けることを防止できる電線検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる電線検査装置が電線に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の電線検査装置が電線に取り付けられる前の状態を示す斜視図であり、開かれたケースに検査部を構成する二部材のうちの一方がセットされ、これらが電線に沿わされた状態を示す図である。
【
図3】
図2の検査部を構成する一方の部材に他方の部材が組み付けられた状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4の検査部に設けられた位置決め構造を説明する説明図である。
【
図6】
図2のケースに設けられた位置決め構造を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる「電線検査装置」について、
図1~6を参照して説明する。
【0012】
図1に示す本実施形態の電線検査装置1は、架空配電線10の損傷等を自動で検査するための装置である。架空配電線10は、配電用変電所から電柱にかけて架け渡された電線や、電柱間に架け渡された電線等である。以下、架空配電線10を単に「電線10」と呼称する。電線10は、芯線と、この芯線を覆った絶縁被覆と、を有している。電線10は、その長手方向と垂直な平面で切った断面形状が略正円である。
【0013】
電線検査装置1は、電線10の全周を包囲して電線10を保持する電線保持部2と、電線10の全周を包囲し、電線保持部2に回転可能に支持された検査部3と、検査部3を電線10の外周に沿って回転させる検査部駆動手段4と、を備えている。また、電線保持部2は、電線10の長手方向に移動可能な自走機能を備えている。また、電線保持部2及び検査部3は、電線10の径方向に二分割されている(詳細な構成は後述する。)。
【0014】
電線保持部2は、電線10が挿通されるケース5と、電線10上を走行する二つの車輪21,22と、一方の車輪21を回転させる車輪駆動手段7と、検査部3を回転可能に支持する二つの軸受6と、を備えている。
【0015】
ケース5は、
図1に示すように、外形が直方体である。ケース5は、
図2,3に示すように、電線10の径方向に二分割された合成樹脂製の第1のケース51及び第2のケース52で構成されている。これら第1のケース51及び第2のケース52は、後述するようにほぼ同形状となっている。
【0016】
第1のケース51は、平面視が長方形の底壁51aと、4面の側壁51b,51c,51d,51eと、を有する箱状に形成されている。側壁51b,51cは、底壁51aの長辺それぞれから立設している。側壁51d,51eは、底壁51aの短辺それぞれから立設している。また、第1のケース51の内部には、側壁51dと対向する隔壁51fと、側壁51eと対向する隔壁51gと、が設けられている。
【0017】
第2のケース52は、底壁51aと対向する上壁52aと、4面の側壁52b,52c,52d,52eと、を有する箱状に形成されている。側壁52b,52cは、上壁52aの長辺それぞれから下垂している。側壁52d,52eは、上壁52aの短辺それぞれから下垂している。また、第2のケース52の内部には、側壁52dと対向する隔壁52fと、側壁52eと対向する隔壁52gと、が設けられている。
【0018】
第1のケース51の側壁51cと第2のケース52の側壁52cとは、蝶番53によって連結されている。これにより、ケース5は、
図1に示す閉鎖状態と、
図2,3に示す開放状態とにわたって開閉可能となっている。また、第2のケース52の側壁52bには係止部54が設けられ、第1のケース51の側壁51bには係止受け部55が設けられている。これら係止部54及び係止受け部55は、
図1に示すケース5の閉鎖状態において互いに係止することで、ケース5の閉鎖状態を維持する。
【0019】
第1のケース51の側壁51d及び第2のケース52の側壁52dには、それぞれ、半円形状の切欠き58a,58bが設けられている。これら切欠き58a,58bは、ケース5の閉鎖状態において正円形状の電線挿通孔58を構成する。同様に、第1のケース51の側壁51e及び第2のケース52の側壁52eには、それぞれ、半円形状の切欠き58a,58bが設けられている。これら切欠き58a,58bは、ケース5の閉鎖状態において正円形状の電線挿通孔58を構成する。
【0020】
二つの車輪21,22は、第2のケース52の上壁52a内面に取り付けられている。車輪21と車輪22とは、上壁52aの長手方向(電線10の長手方向)に間隔をあけて配置されている。これら車輪21,22は、電線10上を電線10の長手方向に走行する。また、車輪21,22は、回転円筒体の外周面が電線10に接触する構成であり、前記外周面には、電線10を傷付ける可能性がある凹凸が設けられていない(従来技術として説明した電線検査装置は、円筒歯車の内歯が電線の溝部に噛合する際、電線を傷付けてしまうおそれがあった)。
【0021】
車輪駆動手段7は、第2のケース52の上壁52aの内面に取り付けられたモータ71と、モータ71の動力を上述した一方の車輪21に伝達する歯車72,73,74と、で構成されている。電線検査装置1が電線10に取り付けられた状態(
図1)でモータ71が駆動すると、このモータ71及び歯車72,73,74によって車輪21が回転し、車輪21が電線10上を走行する。
【0022】
他方の車輪22には動力源が取り付けられていないが、一方の車輪21が電線10上を走行することで他方の車輪22も電線10上を走行する。このように二つの車輪21,22が電線10上を走行することで、電線検査装置1全体が電線10の長手方向に移動する。
【0023】
二つの軸受6は、ケース5内に取り付けられている。
図2に示すように、各軸受6は、電線10の径方向に二分割された半円弧状の第1の軸受61及び第2の軸受62で構成されている。そして、第1の軸受61は、第1のケース51に取り付けられ、第2の軸受62は、第2のケース52に取り付けられている。
【0024】
本例では、一方の軸受6の第1の軸受61が第1のケース51の隔壁51fに取り付けられ、これに対応する第2の軸受62が第2のケース52の隔壁52fに取り付けられている。また、他方の軸受6の第1の軸受61が第1のケース51の隔壁51gに取り付けられ、これに対応する第2の軸受62が第2のケース52の隔壁52gに取り付けられている。
【0025】
上述した第1の軸受61及び第2の軸受62は、第1のケース51と第2のケース52とが閉じ合わされることで環状の軸受6を構成する。この軸受6によって検査部3を少ない摩擦力で滑らかに回転させることができる。
【0026】
また、ケース5には、第1のケース51と第2のケース52とを位置決めするための凹部56、及び凹部56に嵌まる凸部57が設けられている。本例では、
図2,6に示す様に、第1のケース51側に凹部56が設けられ、第2のケース52側に凸部57が設けられている(第1のケース51側に凸部57が設けられ、第2のケース52側に凹部56が設けられていてもよい)。また、本例では、凹部56及び凸部57が、軸受6に隣接して設けられている。さらに、本例では、凹部56及び凸部57が各軸受6の両側に設けられている。これらの構成により、第1の軸受61及び第2の軸受62を高精度に位置出しでき、検査部3を正確な軌道で回転させることができる。
【0027】
検査部3は、電線10の絶縁被覆の状態を検査するセンサ11と、電線10の外周面を撮影するカメラ12と、これらセンサ11及びカメラ12を取り付けた回転部材8と、回転部材8に取り付けられ、検査部駆動手段4から動力が伝達される歯車9と、を備えている。
【0028】
回転部材8は、合成樹脂で構成されている。回転部材8は、
図3に示すように、電線10の長手方向に間隔をあけて対向する一対の対向板部83と、一対の対向板部83間を連結した一対の連結部86a,86bと、一対の対向板部83それぞれから互いに離れる方向に延びた一対の円筒部85と、を有している。
【0029】
一対の対向板部83は、円形の板状に形成されており、その中心には正円形状の電線挿通孔84が設けられている。
【0030】
一対の連結部86a,86bは、長方形の板状に形成されている。一対の連結部86a,86b間には電線10が位置付けられる。上述したセンサ11及びカメラ12は、一方の連結部86aに取り付けられている。本例では、検査部3が電線10を中心として360度回転可能であり、一方の連結部86aに取り付けられたセンサ11及びカメラ12により、電線10の全周の検査・撮影が可能となっている。なお、これ以外に、センサ11及びカメラ12は、他方の連結部86bに取り付けられてもよいし、一対の連結部86a,86b双方に取り付けられてもよい。
【0031】
一対の円筒部85は、一対の対向板部83の電線挿通孔84の外周部からそれぞれ円筒状に延びている。一対の円筒部85の内側には電線10が通される。また、各円筒部85は、各軸受6の内側に位置付けられる。
【0032】
歯車9は、一方の円筒部85の先端部に取り付けられている。歯車9は、円形の板状に形成されており、その中心には正円形状の電線挿通孔94が設けられている。歯車9の外周面には複数の歯93が設けられている。歯車9は、外径及び内径が円筒部85の外径及び内径と等しく、かつ、円筒部85と同軸上に配置されている。
【0033】
上述した回転部材8及び歯車9は、
図4に示すように、電線10の径方向に二分割されている。すなわち、回転部材8は、電線10の径方向に二分割された第1の回転部材81及び第2の回転部材82が組み付けられて構成されている。歯車9は、電線10の径方向に二分割された半割れ部91,92が合わされて構成されている。これら回転部材8及び歯車9の分割線は、電線10の中心を通る。
【0034】
第1の回転部材81は、一対の対向板部83それぞれの半割れ部83aと、一対の円筒部85それぞれの半割れ部85aと、一方の連結部86aと、を有している。各半割れ部83aには、電線挿通孔84を構成する半円形状の切欠き84aと、一対の固定部87と、が設けられている。一対の固定部87は、切欠き84aの両側に設けられている。
【0035】
第2の回転部材82は、一対の対向板部83それぞれの半割れ部83bと、一対の円筒部85それぞれの半割れ部85bと、他方の連結部86bと、を有している。各半割れ部83bには、電線挿通孔84を構成する半円形状の切欠き84bと、一対の固定部88と、が設けられている。一対の固定部88は、切欠き84bの両側に設けられている。
【0036】
上述した固定部87と固定部88は、互いに重ねられてボルト15及びナット16によって固定される部分である。
図5に示すように、固定部87には、凹部87aと、凹部87aの底面を貫通したボルト挿通孔87bと、が設けられている。固定部88には、凹部87aに嵌まる嵌合部88aと、嵌合部88aを貫通したボルト挿通孔88bと、が設けられている。嵌合部88aが凹部87aに嵌まることで、ボルト挿通孔87bとボルト挿通孔88bとが位置決めされる。そして、これらボルト挿通孔87b,88bにボルト15が通され、ボルト15にナット16が取り付けられることで、第1の回転部材81と第2の回転部材82が組み付けられる。
【0037】
なお、上記固定部87,88を設ける以外に、例えば、第1の回転部材81及び第2の回転部材82の一方に係止爪を設け、他方に爪受部を設けるといった係止構造により第1の回転部材81と第2の回転部材82を固定するようにしてもよい。
【0038】
歯車9の半割れ部91には、電線挿通孔94を構成する半円形状の切欠き94aが設けられている。この半割れ部91は、
図4に示すように、半割れ部85aに取り付けられている。歯車9の半割れ部92には、電線挿通孔94を構成する半円形状の切欠き94bが設けられている。この半割れ部92は、
図4に示すように、半割れ部85bに取り付けられている。これら半割れ部91,92は、第1の回転部材81と第2の回転部材82が組み付けられることで環状の歯車9を構成する。
【0039】
検査部駆動手段4は、第1のケース51の底壁51aの内面に取り付けられたモータ41と、モータ41の動力を上述した歯車9に伝達する歯車42,43等で構成されている。電線検査装置1が電線10に取り付けられた状態(
図1)でモータ41が駆動すると、歯車42,43等によってモータ41の動力が歯車9に伝達され、検査部3が電線10の外周に沿って回転する。すなわち、検査部3が電線10を中心として回転する。
【0040】
上記構成の電線検査装置1を電線10に取り付ける手順を説明する。
図2に示すように、ケース5を開放状態にして、第1のケース51に第1の回転部材81をセットする。そして、第1のケース51及び第1の回転部材81を電線10の下方に沿わせる。そして、
図3に示すように、第1の回転部材81に第2の回転部材82を組み付けるとともに第1の回転部材81と第2の回転部材82との間に電線10を挟む。そして、ケース5を閉じることで第1のケース51と第2のケース52との間に電線10を挟む。そして、係止部54及び係止受け部55を互いに係止させる。このような手順を経て電線検査装置1が電線10に取り付けられる。
【0041】
上述したように、電線検査装置1は、電線保持部2が、検査部駆動手段4と独立した車輪21,22及び車輪駆動手段7によって電線10の長手方向に移動する構成であり、電線10を傷付けることなく、電線保持部2を移動させることができる。また、電線検査装置1は、電線10の全周を包囲するケース5、軸受6、検査部3が電線10の径方向に二分割されているので、検査対象の電線10を切断することなく電線10に取り付けることができる。
【0042】
上述した実施形態では、絶縁被覆を有する配電線の検査に用いられる電線検査装置について説明したが、本発明の電線検査装置は、被覆電線に限らず裸線(外周面に螺旋状の溝部が設けられた撚り線を含む。)の検査に用いることも可能である。さらに、本発明の電線検査装置は、配電線に限らず送電線の検査に用いることも可能である。このように、本発明によれば、外周面の螺旋状の溝部の有無に関わらず幅広い電線に適用することができ、かつ、電線を傷付けることを防止できる電線検査装置を提供することができる。
【0043】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 電線検査装置
2 電線保持部
3 検査部
4 検査部駆動手段
5 ケース
6 軸受
7 車輪駆動手段
9 歯車
10 電線
21 車輪