(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】ドリップ式コーヒーメーカー
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20220506BHJP
A47J 31/057 20060101ALI20220506BHJP
A47J 31/10 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
A47J31/44 190
A47J31/057
A47J31/10
(21)【出願番号】P 2018098667
(22)【出願日】2018-05-23
【審査請求日】2021-02-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトへの掲載: 平成29年11月27日に、ウェブサイト(http://www.caferoid.shop/)にコーヒーメーカーを掲載することで公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトでの販売: 平成29年11月27日、平成29年11月29日、平成29年12月22日、平成30年2月16日、平成30年3月29日、及び、平成30年4月20日に、上記のウェブサイト(http://www.caferoid.shop/)にて、コーヒーメーカーを販売
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトでの公開: 平成30年2月2日に、ウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=4vmQevofPTc&index=6&list=PLQD_rWsbYemRY47okHYeDIcCAry1yYAvk)にコーヒーメーカーを公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会等での公開: (1)展示会1: 平成29年12月13日~12月15日に、東京ミッドタウン・ホール(東京都港区赤坂9-7-1)で開催された「2017 TRONシンポジウム-TRONSHOW-」において、コーヒーメーカーを展示 (2)展示会2: 平成30年1月17日~1月19日に、東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1)で開催された「第4回自動車部品&加工EXPO」において、コーヒーメーカーを展示 (3)展示会3: 平成30年2月14日~2月16日に、東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1)で開催された「3D Printing 2018 Additive Manufacturing Technology Exhibition」において、コーヒーメーカーを展示 (4)展示会4: 平成30年2月20日~2月21日に、ザ・プリンスパークタワー東京(東京都港区芝公園4-8-1)で開催された「FACTORY2018」において、コーヒーメーカーを展示 (5)展示会5: 平成30年4月11日~4月13日に、ポートメッセなごや(愛知県名古屋市港区金城ふ頭2-2)で開催された「第3回名古屋設計・製造ソリューション展」において、コーヒーメーカーを展示 (6)展示会6: 平成30年5月9日~5月11日に、東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1)で開催された「第21回組込みシステム開発技術展」において、コーヒーメーカーを展示 (7)体験会1: 平成29年12月22日、及び、平成30年3月21日に、日本電熱株式会社東京支店(東京都港区西新橋2丁目23番1号3東洋海事ビル6F B室)で行われたコーヒーメーカーの実機の体験会において当該実機を公開 (8)体験会2: 平成30年2月20日に、株式会社ルクレ(東京都港区北青山1-2-3 青山ビル3F)内にて、株式会社ルクレの社員を対象にコーヒーメーカーの実機の動作を実演するために当該実機を公開 (9)体験会3: 平成30年3月8日に、株式会社ミカフェート(東京都港区海岸3-2-12 安田芝浦第2ビル3F)内にて、株式会社ミカフェートの社員を対象にコーヒーメーカーの実機の動作を実演するために当該実機を公開
(73)【特許権者】
【識別番号】390008497
【氏名又は名称】日本電熱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】小池 幸司
(72)【発明者】
【氏名】西原 剛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩幸
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501164(JP,A)
【文献】登録実用新案第3169268(JP,U)
【文献】特開2003-135279(JP,A)
【文献】特表2017-508518(JP,A)
【文献】特開2001-104160(JP,A)
【文献】特開2007-054611(JP,A)
【文献】特開2015-039409(JP,A)
【文献】特開2003-024703(JP,A)
【文献】特表2016-504082(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00278197(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー粉が充填されたフィルターが内部に配置されたドリッパーを回転させる回転手段と、
前記コーヒー粉の上面に湯を注湯するノズル部と、
前記ノズル部に湯を供給する給湯手段と、
前記回転手段及び前記給湯手段を制御する制御手段と、を備え、
前記ノズル部は、下方に向けて開口して前記コーヒー粉の上面の中心部に向けて湯を注湯する第1注湯口、及び、斜め下方に向けて開口して前記コーヒー粉の前記上面の前記中心部よりも外周側に向けて湯を注湯する第2注湯口を有し、
前記制御手段は、コーヒーのドリップ時において、前記ドリッパーが回転するように前記回転手段を制御する回転制御処理を実行し、且つ、前記第1注湯口及び前記第2注湯口から湯が注湯されるとともに、前記第1注湯口及び前記第2注湯口から注湯される湯の注湯流量が時間の経過とともに増大することを繰り返すように、前記給湯手段を制御する注湯制御処理を実行する、ドリップ式コーヒーメーカー。
【請求項2】
前記ノズル部は、前記第1注湯口のみから湯が注湯される状態と、前記第1注湯口及び前記第2注湯口の両方から湯が注湯される状態と、を切り替えられるように構成され、
前記制御手段は、前記ドリップ時において、前記注湯制御処理を実行する前に、前記第1注湯口のみから前記コーヒー粉に湯を注湯させる蒸らし制御処理を実行する請求項1記載のドリップ式コーヒーメーカー。
【請求項3】
前記ノズル部の上流側端部は、連通路を介して給湯タンクに接続されており、
前記給湯手段は、前記連通路に配置されて、前記制御手段によって制御されることで前記給湯タンクの湯を前記連通路を介して前記ノズル部に供給するポンプを備え、
前記ドリップ式コーヒーメーカーは、前記注湯制御処理の実行の終了後において前記ポンプ、前記連通路、及び、前記ノズル部に残留している湯又は水である残留水を、前記制御
手段によって制御されることで、前記ポンプ、前記連通路、及び、前記ノズル部を通過させて前記ノズル部の少なくとも前記第1注湯口から排出させる残留水排出機構を備え、
前記制御手段は、前記注湯制御処理の実行が終了した後に、前記残留水が排出されるように前記残留水排出機構を制御する残留水排出制御処理を実行する請求項1又は2に記載のドリップ式コーヒーメーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドリップ式コーヒーメーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドリッパーの内部に配置されたフィルターに充填されたコーヒー粉に対して湯を注湯することでコーヒーをドリップする、ドリップ式コーヒーメーカーが知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。このようなドリップ式コーヒーメーカーにおいては、ドリップされるコーヒーの味を良好にするために、できるだけハンドドリップ(人の手によるコーヒードリップ)に近い形でコーヒー粉に湯を注湯することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-37642号公報
【文献】特開2005-137543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来のコーヒーメーカーでは、ハンドドリップに近い形でコーヒーのドリップを行うにあたり、ノズル部をX軸方向やY軸方向等に移動させているため、ノズル部の複雑な移動制御や位置決め制御が必要とされる。このため、従来のコーヒーメーカーは、構成が複雑化していた。
【0005】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素な構成でハンドドリップに近い形でコーヒーのドリップを行うことができるドリップ式コーヒーメーカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るドリップ式コーヒーメーカーは、コーヒー粉が充填されたフィルターが内部に配置されたドリッパーを回転させる回転手段と、前記コーヒー粉の上面に湯を注湯するノズル部と、前記ノズル部に湯を供給する給湯手段と、前記回転手段及び前記給湯手段を制御する制御手段と、を備え、前記ノズル部は、下方に向けて開口して前記コーヒー粉の上面の中心部に向けて湯を注湯する第1注湯口、及び、斜め下方に向けて開口して前記コーヒー粉の前記上面の前記中心部よりも外周側に向けて湯を注湯する第2注湯口を有し、前記制御手段は、コーヒーのドリップ時において、前記ドリッパーが回転するように前記回転手段を制御する回転制御処理を実行し、且つ、前記第1注湯口及び前記第2注湯口から湯が注湯されるとともに、前記第1注湯口及び前記第2注湯口から注湯される湯の注湯流量が時間の経過とともに増大することを繰り返すように、前記給湯手段を制御する注湯制御処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡素な構成によって、コーヒーのドリップ時においてコーヒー粉の上面の中心部から外周部にかけて全体的に湯を注湯することができるので、簡素な構成によって、ハンドドリップに近い形のコーヒードリップを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るドリップ式コーヒーメーカーの模式的構成図である。
【
図2】
図2(a)は、ドリッパー、ノズル部、及び、回転保持機構の周辺構成の模式図である。
図2(b)は、ノズル部の先端部の近傍領域の拡大断面図である。
【
図3】
図3(a)はノズル部の第1注湯口のみから湯が注湯された状態を示す模式的断面図である。
図3(b)はノズル部の第1注湯口及び第2注湯口から湯が注湯された状態を示す模式的断面図である。
【
図4】ドリップ式コーヒーメーカーの機能ブロック図である。
【
図5】コーヒーのドリップ時に制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートの一例である。
【
図6】実施形態の変形例1に係るドリップ式コーヒーメーカーを説明するための模式的構成図である。
【
図7】実施形態の変形例2に係るドリップ式コーヒーメーカーを説明するための模式的構成図である。
【
図8】実施形態の変形例2に係る制御装置がコーヒーのドリップ時に実行する制御処理を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係るドリップ式コーヒーメーカー1(以下、コーヒーメーカー1と略称する)について説明する。
図1に示すように、コーヒーメーカー1は、本体部10と、ドリッパー20と、回転保持機構30と、ノズル部40と、ポンプ50と、設定装置60と、制御装置70とを備えている。なお、
図1に図示されているX-Y-Zの直交座標のうち、Z方向は上方(重力の作用する方向とは反対の方向)である。
【0010】
本体部10の具体的な構成は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る本体部10は、一例として、支柱部11と、支柱部11の下端からY方向に延在する台座部12と、支柱部11の上端からY方向に延在する天井部13とを有している。本体部10の台座部12には、コーヒーサーバー80が載置されている。
【0011】
なお、制御装置70及びポンプ50は、本体部10の内部に配置されている。また、
図1には図示されていないが、本体部10の内部には、湯を貯留する給湯タンク等の種々の機器も配置されている。また、コーヒーメーカー1は電源コード(図示せず)を備えている。この電源コードが電源コンセントに差し込まれることで、コーヒーメーカー1に電気が供給される。
【0012】
図2(a)は、ドリッパー20、ノズル部40、及び、回転保持機構30の周辺構成を示す模式図である。なお、ドリッパー20は断面図示されている。本実施形態に係るドリッパー20は、一例として、下方に向かうほど、その内径が縮小する円錐形状を有している。ドリッパー20の底部(本実施形態では、円錐形状のドリッパー20の円錐頂点に相当する部分)には、ドリップされたコーヒーをドリッパー20から排出させて、コーヒーサーバー80に注ぐための注ぎ口22が設けられている。なお、注ぎ口22の形成箇所は
図2(a)の箇所に限定されるものではない。
【0013】
ドリッパー20の内部には、フィルター90が配置されている。具体的には、フィルター90は、ドリッパー20の内部形状に沿うようにドリッパー20の内部に配置されている。このため、フィルター90は、ドリッパー20の内部において円錐形状になっている。なお、本実施形態に係るフィルター90の底部(円錐形状のフィルター90の円錐頂点に相当する部分)は、一例として、ドリッパー20の注ぎ口22よりも下方側に突出している。このフィルター90の内側には、コーヒー粉100が充填されている。本実施形態においては、このコーヒー粉100の一例として、ミルで粉砕されたコーヒー豆の粉を用いている。
【0014】
なお、コーヒー粉100は、中心部が凹んだ形状(すり鉢形状)の状態でフィルター90内に充填されている。これは、フィルター90が円錐形状になっているため、この円錐形状のフィルター90の内部にコーヒー粉100が充填された結果、フィルター90内のコーヒー粉100がこのような形状になったものである。但し、この構成に限定されるものではなく、例えば、コーヒー粉100は、フィルター90内において、表面が平らの状態で充填されていてもよい。コーヒー粉100にノズル部40から湯(W)が注入されると、コーヒー粉100がドリップされ、このドリップされたコーヒー(コーヒー液)が注ぎ口22からコーヒーサーバー80に注がれる。
【0015】
回転保持機構30は、ドリッパー20を回転可能に保持するとともに、制御装置70の指示を受けてコーヒーのドリップ時にドリッパー20をその軸線21の周りに回転させる機構である。
【0016】
なお、
図1及び
図2(a)においては、図示を簡略化するため、回転保持機構30の具体的な構成は図示されていないが、本実施形態に係る回転保持機構30は、一例として、ドリッパー20を回転可能に保持する保持部と、制御装置70に制御されて、この保持部に保持されたドリッパー20を回転させる回転機構と、を備えている。そして、この回転機構の一例として、歯車列と、制御装置70に制御されて歯車列を駆動する電動式モーターとを有する回転機構を用いている。なお、歯車列に代えて又は歯車列とともに、回転ベルトを用いてもよい。なお、この回転保持機構30としては、例えば特許文献2に開示されているような公知の機構を適用又は応用することができるので、回転保持機構30のこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0017】
ノズル部40は、ドリッパー20の上方に配置されている。ポンプ50は、ノズル部40の上流側の部分に接続されている。ポンプ50は電動式のポンプであり、制御装置70によって制御されることで、コーヒーのドリップ時において、前述した給湯タンクの湯を吸い上げて、ノズル部40に供給する(すなわち、ノズル部40に湯を給湯する)。ノズル部40は、このポンプ50から給湯された湯をドリッパー20の上方からコーヒー粉100に対して注湯する。
【0018】
図2(b)は、ノズル部40の先端部の近傍領域を拡大して示す拡大断面図である。ノズル部40は、第1注湯口41及び第2注湯口42を備えている。具体的には、本実施形態に係るノズル部40は、上流側端部がポンプ50に連通した1本のノズルが、下流側の所定箇所(分岐点45)において2本に分岐している。この2本に分岐された部分の一方を第1分岐ノズルと称し、他方を第2分岐ノズルと称する。そして、この第1分岐ノズルの下流側端部が第1注湯口41となっており、第2分岐ノズルの下流側端部が第2注湯口42となっている。
【0019】
第1注湯口41は、下方に向けて開口している。また、第1注湯口41は、コーヒー粉100の上面の中心部の上方部分に位置している。これにより、第1注湯口41は、コーヒーのドリップ時において、コーヒー粉100の上面の中心部に向けて湯を注湯する。なお、本実施形態において、このコーヒー粉100の中心部は、コーヒー粉100の中心点(軸線21の箇所)から半径15mm程度の範囲内の領域をいう。
【0020】
第2注湯口42は、斜め下方に向けて開口しており、コーヒーのドリップ時においてコーヒー粉100の上面の中心部よりも外周側に向けて湯を注湯する。
【0021】
図3(a)はノズル部40の第1注湯口41のみから湯が注湯された状態を示す模式的断面図であり、
図3(b)はノズル部40の第1注湯口41及び第2注湯口42から湯が注湯された状態を示す模式的断面図である。ここで、本実施形態に係るノズル部40は、
第1注湯口41のみから湯が注湯される状態と、第1注湯口41及び第2注湯口42の両方から湯が注湯される状態と、を切り替えられるように構成されている。
【0022】
具体的には、本実施形態に係るノズル部40は、ノズル部40に供給される湯(W)の流量が所定流量よりも少ない場合には、第1注湯口41のみから湯が注湯され、ノズル部40に供給される湯の流量が所定流量以上になった場合に、第1注湯口41に加えて第2注湯口42からも湯が注湯されるように、構成されている。
【0023】
より具体的には、本実施形態に係る第2注湯口42はノズル部40よりも内径が細く形成されている。そのため、第1注湯口41に加えて第2注湯口42から注湯するためには、ノズル部40内の圧力を所定圧力以上にする必要がある。ノズル部40に供給される湯の流量が所定流量よりも少ない場合は、ノズル部40内の圧力が所定圧力未満になるため、第2注湯口42よりも圧力損失の少ない第1注湯口41のみから湯が注湯される(
図3(a))。一方、ノズル部40に供給される湯の流量が所定流量以上になると、ノズル部40内の圧力が所定圧力以上になるため、第1注湯口41に加えて第2注湯口42からも注湯が可能となる(
図3(b))。分岐点45の位置や、第1注湯口41の内径および第2注湯口42の内径が適切に設定されることによって、このような構成が実現されている。
【0024】
ノズル部40が上記のような構成になっているので、ノズル部40に供給される湯の流量が所定流量よりも少なくなるように制御装置70がポンプ50の出力を制御することで、第1注湯口41のみからコーヒー粉100に湯を注湯させることができる。次いで、制御装置70がノズル部40に供給される湯の流量が所定流量以上になるようにポンプ50の出力を制御することで、第1注湯口41及び第2注湯口42の両方からコーヒー粉100に湯を注湯させることができる。また、制御装置70がポンプ50の出力を時間の経過とともに増大させて、ノズル部40に供給させる湯の流量を時間の経過とともに増大させた場合、第2注湯口42から吐出される湯の流量も時間の経過とともに増大していき、第2注湯口42からコーヒー粉100の上面に注湯される湯は、時間の経過とともにコーヒー粉100の上面のより外周側に向けて注湯されるようになる。
【0025】
なお、本実施形態に係る第2注湯口42は、コーヒーのドリップ時において第2注湯口42から注湯される湯の注湯流量が最大値になった場合に(つまり、第2注湯口42から吐出された湯がコーヒー粉100の上面の径方向で最も外側に注湯された場合に)、第2注湯口42から吐出された湯がコーヒー粉100の上面の外周縁部に注湯されるように、第2注湯口42の開口角度や開口位置が設定されている。この構成によれば、コーヒーのドリップ時において、コーヒー粉100の上面の中心部から外周縁部にかけて全体的に湯を注湯することができる。
【0026】
図4は、コーヒーメーカー1の機能ブロック図である。設定装置60、回転保持機構30、及びポンプ50は、制御装置70と電気的に接続されている。設定装置60は、ユーザーが各種情報を設定するための装置である。設定装置60に設定された情報は制御装置70に伝えられる。このような機能を有するものであれば、設定装置60の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、タッチスイッチやタッチパネル等を用いることができる。本実施形態においては、設定装置60の一例として、タッチパネルを用いている。なお、前述した
図1に例示されているように、本実施形態に係る設定装置60は、本体部10の支柱部11に配置されている。但し、設定装置60の具体的な配置箇所は支柱部11に限定されるものではない。
【0027】
設定装置60には、コーヒーのドリップを開始するための開始ボタンが表示される。ユーザーが開始ボタンをタッチした場合、制御装置70はコーヒーのドリップを開始させる。また、本実施形態に係る設定装置60は、コーヒーのドリップ時にドリッパー20に注湯される湯量(mm3)(すなわち、コーヒーのドリップ量)をユーザーが設定できるように構成されている。制御装置70は、この設定装置60に設定された湯量の湯がノズル部40からドリッパー20内に注湯されるように、ポンプ50を制御する。また、本実施形態に係る設定装置60は、ドリッパー20に投入されるコーヒー粉100の量(すなわち、コーヒーの粉量)も、ユーザーが設定できるように構成されている。
【0028】
制御装置70は、マイクロコンピュータによって構成されている。具体的には、このマイクロコンピュータは、各種の制御処理を実行する制御部としての機能を有するCPUと、このCPUが作動する際に用いられるプログラムや各種データ等を記憶する記憶部としての機能を有するROM、RAM等を有している。制御装置70は、コーヒーのドリップ時において、回転保持機構30にドリッパー20を回転させるとともに、ポンプ50を制御してノズル部40からの湯の注湯状態を制御する。
【0029】
なお、本実施形態に係る回転保持機構30は、ドリッパー20を回転させる「回転手段」としての機能を有する部材の一例である。また、本実施形態に係るノズル部40は、コーヒー粉100の上面に湯を注湯する「ノズル部」としての機能を有する部材の一例である。本実施形態に係るポンプ50は、ノズル部に湯を供給する「給湯手段」としての機能を有する部材の一例である。本実施形態に係る回転保持機構30及びポンプ50を制御する制御装置70は、回転手段及び給湯手段を制御する「制御手段」としての機能を有する部材の一例である。
【0030】
続いて、コーヒーのドリップ時に制御装置70が実行する制御処理の詳細について説明する。
図5は、コーヒーのドリップ時に制御装置70が実行する制御処理を示すフローチャートの一例である。
図5の各ステップは、制御装置70の具体的にはCPUが記憶部のプログラムに基づいて実行する。制御装置70は、コーヒーのドリップを開始させる旨の開始指令を受けた場合(ユーザーが開始ボタンをタッチした場合)に、
図5のフローチャートをスタートする。
【0031】
まず、制御装置70は、ドリッパー20を回転させる回転制御処理を実行する(ステップS10)。具体的には、制御装置70は、回転保持機構30を制御して、この回転保持機構30にドリッパー20の回転を開始させる。なお、このドリッパー20の回転は、
図5のフローチャートの実行が終了するまで、継続して行われる。
【0032】
次いで、制御装置70は、ステップS20において、蒸らし制御処理を実行する。具体的には、制御装置70は、この蒸らし制御処理において、第1注湯口41のみからコーヒー粉100に湯が注湯されるようにポンプ50を制御する。より具体的には、制御装置70は、前述した
図3(a)で説明したように、ノズル部40に供給される湯の流量が所定流量よりも少なくなるようにポンプ50の出力を制御することで、第1注湯口41のみからコーヒー粉100に湯を注湯させる。
【0033】
また、本実施形態に係る制御装置70は、ステップS20において、第1注湯口41からコーヒー粉100に湯が間欠的に注湯されるように、ポンプ50を制御する。具体的には、制御装置70は、注湯と注湯との間に注湯休止時間を挟むようにして、湯が間欠的に注湯されるように、ポンプ50を制御する。これにより、コーヒー粉100の中心部に、第1注湯口41から湯が間欠的に注湯されることになる。この蒸らし制御処理が実行されることで、コーヒー粉100を蒸らすことができる。
【0034】
なお、この蒸らし制御処理の構成は、上述した内容に限定されるものではなく、例えば制御装置70は、蒸らし制御処理において、第1注湯口41からコーヒー粉100に湯が
連続的に(つまり非間欠的に)注湯されるようにポンプ50を制御してもよい。この場合においても、コーヒー粉100を蒸らすことは可能である。
【0035】
なお、制御装置70は、ステップS20に係る蒸らし制御処理を、予め設定された所定時間の間、継続して実行する。
【0036】
ステップS20の実行後に、制御装置70は、ステップS30を実行する。このステップS30において、制御装置70は、第1注湯口41及び第2注湯口42から湯を注湯させるととともに、この第1注湯口41及び第2注湯口42から注湯される湯の注湯流量(mm3/s)を時間の経過とともに増大させることを繰り返す「注湯制御処理」を実行する。このステップS30の具体的な内容は以下のとおりである。
【0037】
まず、制御装置70は、この注湯制御処理において、ポンプ50の出力を時間の経過とともに増大させることで、ノズル部40に供給させる湯の流量を時間の経過とともに増大させる。これにより、第1注湯口41及び第2注湯口42から吐出される湯の流量は時間の経過とともに増大する。この結果、第2注湯口42からコーヒー粉100の上面に注湯される湯は、時間の経過とともに、コーヒー粉100の上面のより外周側に向けて注湯されるようになる。ここで、ドリッパー20が回転しているので、この第2注湯口42からコーヒー粉100の上面に注湯される湯は、上面視で渦巻きを描くようにして、コーヒー粉100の中心部近傍から外周側にかけて、注湯されることになる。
【0038】
そして、制御装置70は、このポンプ50の出力を時間の経過とともに増大させることを繰り返し実行する。すなわち、ポンプ50の出力がゼロから所定値(上限値)まで増大することが、繰り返される。これにより、第2注湯口42からコーヒー粉100の上面に注湯される湯は、コーヒー粉100の中心部近傍から外周側にかけて渦巻き状に注湯された後、再び、コーヒー粉100の中心部近傍から外周側にかけて渦巻き状に注湯される。これが繰り返される。
【0039】
また、本実施形態に係る制御装置70は、このステップS30において、第1注湯口41及び第2注湯口42からコーヒー粉100に湯を注湯するにあたり、第1注湯口41及び第2注湯口42から湯が間欠的に注湯されるように、ポンプ50を制御する。具体的には、制御装置70は、注湯と注湯との間に注湯休止時間を挟むようにして、湯を間欠的に注湯させる。但し、この構成に限定されるものではなく、例えば制御装置70は、ステップS30において、第1注湯口41及び第2注湯口42からコーヒー粉100に湯が連続的に注湯されるように、ポンプ50を制御してもよい。
【0040】
また、ステップS30において、第1注湯口41及び第2注湯口42からコーヒー粉100に湯を注湯するにあたり、時間の経過とともに段階的に注湯流量が増大するようにポンプ50の出力を制御してもよい。さらに、注湯休止時間の前後において、注湯流量が段階的に増大するようにポンプ50の出力を制御してもよい。このように注湯すると、第2注湯口42からコーヒー粉100の上面に注湯される湯は、上面視で同心円を描くようにして、コーヒー粉100の中心部近傍から外周側にかけて、注湯されることになる。
【0041】
なお、コーヒー粉100に湯を繰り返し注湯する際には、ポンプ50の出力がゼロ以外の出力の状態から(すなわち、ゼロよりも大きい出力の状態から)注湯を開始してもよく、また、ポンプ50の出力が所定値(上限値)になる前に注湯流量の増大を終了するようにしてもよい。
【0042】
なお、本実施形態において、このステップS30に係る注湯制御処理は、コーヒーのドリップが終了するまで継続して行われる。具体的には、制御装置70は、コーヒー粉10
0に注湯された湯量(総湯量)が設定装置60に設定された湯量に達した場合に、コーヒーのドリップが終了したと判断して、ステップS30の実行を終了する。次いで、制御装置70はフローチャートの実行を終了する(この場合、ドリッパー20の回転も停止される)。
【0043】
なお、ステップS30に係る注湯制御処理の実行を終了させるための条件は、上記の構成に限定されるものではない。他の例を挙げると、制御装置70は、コーヒーサーバー80の重量が予め設定された所定重量以上になった場合に、ステップS30の実行を終了することもできる。具体的には、この場合、コーヒーメーカー1は、例えば台座部12に、コーヒーサーバー80の重量(kgf)を検出する重量センサを備えている。そして、制御装置70は、この重量センサの検出結果に基づいて、コーヒーサーバー80の重量を取得し、この取得されたコーヒーサーバー80の重量が所定重量以上になった場合に、注湯制御処理の実行を終了させる。
【0044】
以上説明したような本実施形態によれば、コーヒーのドリップ時において、ステップS10に係る回転制御処理が実行され且つステップS30に係る注湯制御処理が実行されるので、ドリッパー20を回転させつつ、ドリッパー20の内部のフィルター90に充填されたコーヒー粉100の上面の中心部から外周部にかけて湯を注湯することを繰り返しながら、コーヒーをドリップすることができる。これにより、コーヒーのドリップ時において、コーヒー粉100の上面の中心部から外周部にかけて全体的に湯を注湯することができるので、ハンドドリップに近い形でコーヒーのドリップを行うことができる。また、本実施形態によれば、ノズル部40をX軸方向やY軸方向等に移動させるといった、ノズル部の複雑な移動制御や位置決め制御を行うことなく、上述したような簡素な構成によって、ハンドドリップに近い形のコーヒードリップを実現することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、簡素な構成によって、ハンドドリップに近い形のコーヒードリップを実現することができるので、ハンドドリップに近い形のコーヒードリップを実現することに伴うコストの大幅な増加を抑制することができる。また、ハンドドリップに近い形でコーヒーのドリップを行うことによって、ドリップされたコーヒーの味を良好にすることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、ステップS30において、第1注湯口41から注湯された湯によって、コーヒー粉100の中心部にコーヒーの通り道を確保しつつ、第2注湯口42から注湯された湯によって、外周部のコーヒー粉100のコーヒー成分を抽出することができる。これにより、コーヒーの抽出性を向上させることができる。この点においても、本実施形態によれば、コーヒーの味を良好にすることができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、第2注湯口42が斜め下方を向いて開口しているので、例えば、第2注湯口42が水平方向を向いて開口している場合に比較して、第2注湯口42から注湯される湯の流量を増大させた場合において、第2注湯口42から注湯された湯がドリッパー20の外側に飛び出してしまうことを効果的に抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、ステップS30の実行開始前にステップS20に係る蒸らし制御処理が実行されているので、注湯制御処理が実行される前に、第1注湯口41のみからコーヒー粉100に湯を注湯してコーヒー粉100を蒸らし、このようにコーヒー粉100が蒸らされた後に、注湯制御処理の実行を開始することができる。これにより、コーヒーの抽出性をより向上させることができる。この結果、コーヒーの味をより良好にすることができる。
【0049】
なお、本実施形態において、このステップS20に係る蒸らし制御処理は、ステップS
10に係る回転制御処理の実行後に実行されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、ステップS20はステップS10の実行前に実行されてもよい。すなわち、この場合、
図5のフローチャートは、ステップS20、ステップS10、ステップS30をこの順で実行することになる。この構成においても、ステップS20に係る蒸らし制御処理がステップS30に係る注湯制御処理の実行開始前に実行されているので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0050】
また、このステップS20に係る蒸らし制御処理は、本実施形態に必須の構成というわけではない。すなわち、
図5のフローチャートは、このステップS20に係る蒸らし制御処理を実行しない構成とすることもできる。この場合、
図5のフローチャートは、ステップS10の後にステップS30を実行することになる。
【0051】
(実施形態の変形例1)
図6は、実施形態の変形例1に係るドリップ式コーヒーメーカー1a(以下、コーヒーメーカー1aと略称する)を説明するための模式的構成図である。本変形例に係るコーヒーメーカー1aは、ノズル部40に代えてノズル部40aを備えている点と、第2ポンプ51をさらに備えている点とにおいて、
図2(a)等に示すコーヒーメーカー1と異なっている。コーヒーメーカー1aの他の構成は、コーヒーメーカー1と同様であるので、この他の構成の説明は省略する。
【0052】
本変形例に係るノズル部40aは、第1注湯口41を有する第1ノズル43と、第2注湯口42を有する第2ノズル44とを備えている。第1ノズル43の上流側部分はポンプ50に連通し、第2ノズル44の上流側部分は第2ポンプ51に連通している。本変形例に係る制御装置70は、コーヒーのドリップ時において、ポンプ50及び第2ポンプ51をそれぞれ制御することで、第1注湯口41及び第2注湯口42から注湯される湯をそれぞれ制御する。
【0053】
具体的には、本変形例に係る制御装置70は、
図5のステップS20において、第2ポンプ51の運転は停止させておき(出力がゼロ)、ポンプ50の運転を開始させることで、第1ノズル43のみから湯を注湯させて、蒸らし制御処理を実行する。一方、制御装置70は、ステップS30においては、ポンプ50及び第2ポンプ51の両方を運転させることで、第1ノズル43及び第2ノズル44の両方から湯を注湯させて、注湯制御処理を実行する。
【0054】
本変形例においても、前述した実施形態に係るコーヒーメーカー1と同様の作用効果を奏することができる。
【0055】
(実施形態の変形例2)
図7は、実施形態の変形例2に係るドリップ式コーヒーメーカー1b(以下、コーヒーメーカー1bと略称する)を説明するための模式的構成図である。なお、
図7において、本体部10や、回転保持機構30、制御装置70等の図示は省略されている。本変形例に係るコーヒーメーカー1bは、連通路120と、残留水排出機構130と、残留水回収機構140とをさらに備えている点において、前述したコーヒーメーカー1と異なっている。
【0056】
連通路120は、ノズル部40と給湯タンク110(これはノズル部40に供給される湯が貯留されるタンクである)とを連通する通路である。すなわち、本変形例に係るノズル部40は、その上流側端部が連通路120を介して給湯タンク110に接続されている。本変形例に係るポンプ50は、この連通路120の通路途中に配置されている。このポンプ50は、給湯タンク110の湯を、連通路120を介してノズル部40に供給する。
【0057】
残留水排出機構130は、注湯制御処理の実行の終了後において、ポンプ50、連通路120及びノズル部40に残留している湯又は水(以下、これらを「残留水」と称する)を、制御装置70によって制御されることで、ポンプ50、連通路120及びノズル部40を通過させてノズル部40の少なくとも第1注湯口41から排出させる機構である。このような機構であれば、残留水排出機構130の具体的な構成は特に限定されるものではないが、本変形例に係る残留水排出機構130は、一例として、空気取入口131と、開閉弁132とを備えている。
【0058】
空気取入口131は、その一端が連通路120におけるポンプ50よりも上流側の部分の途中箇所に接続され、その他端が大気中に開放している。開閉弁132は、空気取入口131に配置されており、制御装置70によって制御することで開閉する弁である。制御装置70は、給湯タンク110の湯をノズル部40に供給させる場合には、開閉弁132を閉に制御した上で、ポンプ50を運転させる。一方、制御装置70は、残留水を排出させる場合には、開閉弁132を開に制御した上で、ポンプ50を運転させる。この場合、給湯タンク110の湯はポンプ50によって汲み上げられなくなり、代わりに、空気(外気)が空気取入口131から連通路120に流入し、この連通路120に流入した空気は、その後、ポンプ50及びノズル部40を順に通過する。これにより、連通路120、ポンプ50及びノズル部40の残留水を、空気とともにノズル部40の少なくとも第1注湯口41から排出させることができる。
【0059】
残留水回収機構140は、ノズル部40から排出された残留水を回収するための機構である。このような機構であれば、残留水回収機構140の具体的な構成は特に限定されるものではないが、本変形例に係る残留水回収機構140は、一例として、残留水貯留タンク141と、液受け142とを備えている。残留水貯留タンク141は、液受け142を通過した残留水を貯留するタンクである。なお、本変形例に係る残留水貯留タンク141は、本体部10の内部(具体的には支柱部11の内部)に収容されている。
【0060】
液受け142は、残留水を回収する場合には、
図7に示すように、ノズル部40から排出されてドリッパー20を通過した残留水を液受け142が受けられるような位置(具体的には、ドリッパー20よりも下方側且つコーヒーサーバー80よりも上方側の位置であり、「液受け位置」と称する)に変位する。この場合、ノズル部40から排出されてドリッパー20を通過した残留水は、液受け142によって受けられて、残留水貯留タンク141に導入される。一方、液受け142は、残留水を回収しない場合(つまり通常時の場合)には、ドリッパー20を通過したコーヒーに液受け142が干渉しない位置(具体的には、ドリッパー20よりも下方側且つコーヒーサーバー80よりも上方側の位置以外の位置であり、「退避位置」と称する)に変位する。この場合、ドリッパー20を通過したコーヒーは、液受け142によって受けられることなく(すなわち、干渉されることなく)、コーヒーサーバー80に流入する。
【0061】
なお、本変形例に係る液受け142は、液受け142における残留水の流動方向で下流側の端部が残留水貯留タンク141に連通しており、この下流側の端部を回転中心として、Z軸回りに所定角度範囲内で回転できるように構成されている。この構成により、液受け142は、液受け位置と退避位置との間で変位できるようになっている。具体的には、
図7の状態(液受け位置の状態)から、液受け142がZ軸回りに回転することで、液受け142は退避位置になることができる。
【0062】
また、本変形例に係る液受け142は、制御装置70によって制御されることで、液受け位置と退避位置との間で変位できるように構成されている。具体的には、本変形例に係る液受け142の下流側端部には、制御装置70によって制御されることで、液受け14
2を液受け位置と退避位置との間で変位させる変位機構(モーター等のアクチュエータを備える変位機構)が接続されている。制御装置70は、この変位機構を制御することで、液受け142を液受け位置と退避位置との間で変位させる。
【0063】
図8は、本変形例に係る制御装置70がコーヒーのドリップ時に実行する制御処理を示すフローチャートの一例である。
図8のフローチャートは、ステップS30に係る注湯制御処理の実行が終了した後に、ステップS40に係る残留水排出制御処理がさらに実行されている点において、
図5のフローチャートと異なっている。
【0064】
ステップS10、ステップS20、及び、ステップS30の実行中において、開閉弁132は閉弁状態に制御されており、且つ、液受け142は退避位置になっている。
【0065】
ステップS40に係る残留水排出制御処理において、制御装置70は、残留水がノズル部40の少なくとも第1注湯口41から排出されるように残留水排出機構130を制御する。具体的には制御装置70は、前述した
図7で説明したように、開閉弁132を開弁させた上で、ポンプ50を運転させることで、残留水をノズル部40から排出させる。また、本変形例に係る制御装置70は、この残留水排出制御処理の実行時において、ノズル部40から排出された残留水が残留水回収機構140に回収されるように、残留水回収機構140も制御する。具体的には、制御装置70は、液受け142を液受け位置に変位させることで、ノズル部40から排出されてドリッパー20を通過した残留水を液受け142によって受けて、残留水貯留タンク141へ貯留させる(すなわち、残留水を回収する)。
【0066】
なお、この残留水排出制御処理は、予め設定された所定時間の間、継続して実行される。この後に、制御装置70は、ポンプ50の運転を停止させ、開閉弁132を閉弁させ、液受け142を退避位置へ変位させる。次いで、制御装置70は、フローチャートの実行を終了する。
【0067】
以上説明したような本変形例によれば、注湯制御処理の実行が終了した後にステップS40に係る残留水排出制御処理が実行されているので、残留水を排出した状態で、次回のステップS20に係る蒸らし制御処理の実行を開始することができる。これにより、蒸らし制御処理の実行開始時において、残留水がコーヒー粉100に注湯されることを抑制することができる。この結果、蒸らし制御処理の実行開始時から高温の湯をコーヒー粉100に注湯することができる。これにより、コーヒーの抽出性を向上させることができる。
【0068】
また、仮に、
図8のフローチャートがステップS20に係る蒸らし制御処理を実行しない構成の場合には、本変形例によれば、残留水を排出した状態で、次回のステップS30に係る注湯制御処理の実行を開始することができる。これにより、注湯制御処理の実行開始時において、残留水がコーヒー粉100に注湯されることを抑制することができる。この結果、注湯制御処理の実行開始時から高温の湯をコーヒー粉100に注湯することができる。これにより、コーヒーの抽出性を向上させることができる。
【0069】
また、本変形例によれば、残留水回収機構140も備えているので、ノズル部40から排出された残留水を回収することができるとともに、残留水排出制御処理の実行時において残留水がコーヒーサーバー80に流入することも抑制することができる。
【0070】
なお、本変形例に係る残留水排出機構130及び残留水回収機構140は、前述した
図6のコーヒーメーカー1a(変形例1)に適用されてもよい。具体的には、この場合、連通路120は、給湯タンク110と第1ノズル43とを連通する第1連通路と、給湯タンク110と第2ノズル44とを連通する第2連通路と、を備える。ポンプ50は第1連通
路の途中に配置され、第2ポンプ51は第2連通路の途中に配置される。また、残留水排出機構130は、第1連通路及び第2連通路にそれぞれ適用される。この構成においても、上述した本変形例2と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0071】
1,1a,1b ドリップ式コーヒーメーカー
10 本体部
20 ドリッパー
30 回転保持機構(回転手段)
40,40a ノズル部
41 第1注湯口
42 第2注湯口
50 ポンプ(給湯手段)
51 第2ポンプ(給湯手段)
60 設定装置
70 制御装置(制御手段)
90 フィルター
100 コーヒー粉
110 給湯タンク
120 連通路
130 残留水排出機構
140 残留水回収機構