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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/18 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
H02K3/18 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018110270
(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公開番号】P2019213423
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597034440
【氏名又は名称】川俣精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】荒木 貴志
(72)【発明者】
【氏名】河上 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】院南 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】田村 亮
(72)【発明者】
【氏名】福原 弘康
(72)【発明者】
【氏名】大槻 正喜
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-278677(JP,A)
【文献】国際公開第2013/145459(WO,A1)
【文献】特開2010-022082(JP,A)
【文献】特開2010-193624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、
平板円環形状で内径側に複数のティースを備えるヨークと、前記ティースに配置される複数の単位コイルと、を備えるステータを備え、
前記単位コイルは、前記単位コイルを構成する導電線の端部の構成が異なる第1単位コイル、第2単位コイル、及び第3単位コイルにより構成され、
前記ステータの反時計回り方向にコイルA、コイルB、コイルC、コイルDを順に配置した場合に、
前記コイルA及び前記コイルCは第1単位コイルにより構成され、前記コイルBは第2単位コイルにより構成され、前記コイルDは第3単位コイルにより構成されており、
前記各単位コイルから引き出される端部は、前記ステータの上方向に引き出されるように構成され、
前記コイルA及びCは、前記ステータの外径側に始点の端部を、内径側に終点の端部を備え、前記コイルB及び前記コイルDはステータの外径側に終点の端部を、内径側に始点の端部を備えるように配置され、前記それぞれの端部は、それぞれの接続部において、前記ステータの周方向に沿って同一方向に平行に対向して指向する回転電機。
【請求項2】
前記コイルAの終点の端部と前記コイルBの始点の端部による接続部は、前記ステータの周方向に沿う時計回り方向に指向しており、
前記コイルBの終点の端部と前記コイルCの始点の端部による接続部は、反時計回り方向に指向しており、
前記コイルCの終点の端部と前記コイルDの始点の端部による接続部は、時計回り方向に指向している請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記コイルAの終点の端部と、前記コイルBの始点の端部は前記ステータの内径側で相互を接続する渡り線部を構成し、
前記コイルBの終点の端部と、前記コイルCの始点の端部は前記ステータの外径側で相互を接続する渡り線部を構成し、
前記コイルCの終点の端部と、前記コイルDの始点の端部は前記ステータの内径側で相互を接続する渡り線部を構成する、請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
U相、V相、及びW相のそれぞれは前記コイルA,B,C,Dにより構成されるとともに、二つの中性点を備えてダブルスター結線されており、前記中性点は、前記U相を構成するコイルDの終点の端部、前記V相を構成するコイルDの終点の端部、及び前記W相を構成するコイルDの終点の端部に接続されることにより、前記ステータの外径側に配置されている請求項1から3の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記単位コイルは、平角線を巻回することにより構成されている請求項1から4の何れか一項に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機のステータコアに設けられたティースに、平角線を集中巻した単位コイルを挿入してステータを作成する際に、単位コイル間、電源線と単位コイル間、中性点とコイル間を配線により接続する。これらの接続を効率的に行わないと、接続のためのスペースが大きくなり、回転電機の小型化に反し、接続抵抗が高くなって消費電力が大きくなる等の弊害が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-165566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、上記課題に鑑みたものであり、小型化、低消費電力化が可能な回転電機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る回転電機は、複数のティースを備えるヨークと、ティースに配置される複数の単位コイルとを備えるステータを備え、単位コイルは、導電線の端部の構成が異なる第1単位コイル、第2単位コイル、及び第3単位コイルにより構成される。ステータの反時計回り方向にコイルA、コイルB、コイルC、コイルDを順に配置する。コイルA、コイルCは第1単位コイルにより構成され、コイルBは第2単位コイルにより構成され、コイルDは第3単位コイルにより構成される。各単位コイルから引き出される端部は上方向に引き出される。コイルA及びCは、ステータの外径側に始点端部を、内径側に終点端部を備える。コイルB及びコイルDはステータの外径側に終点端部を、内径側に始点端部を備える。それぞれの端部は各接続部においてステータの周方向に沿って同一方向に平行に対向して指向する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る回転電機の概略構成を示す正面図
図2】ステータの概略構成を示す斜視図
図3】ステータの概略構成を示す側面図
図4】ステータの接続略図
図5】第1単位コイルの概略構成を示す斜視図
図6】第2単位コイルの概略構成を示す斜視図
図7】第3単位コイルの概略構成を示す斜視図
図8】ヨークを除外し、コイルUが配置された箇所を中心に拡大したステータの概略構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。実施形態の説明において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。なお、以下の説明において、回転電機1の回転中心O方向を内径方向と、その逆方向を外径方向と称し、ステータ12の円環形状の外周に沿った方向(図中に、外周を時計回り方向に指向する矢印Y1、及びその逆方向の反時計回り方向に指向する矢印Y2で示す)を周方向と称する。
【0008】
図1図3は、それぞれ、実施形態に係る回転電機1及びステータ12の概略構成を示す正面図、斜視図、側面図であり、図4は回転電機1における電気的な接続の概略的に示す接続略図である。なお、図4はステータの内側より見た展開図である。
【0009】
図5は実施形態に係る回転電機1におけるステータ12の内径側に設けられた複数のティース11に配置可能な第1単位コイル31の概略構成を示す正面図、側面図、及び斜視図である。図6は実施形態に係る回転電機1におけるステータ12の内径側に設けられた複数のティース11に配置可能な第2単位コイル32の概略構成を示す斜視図である。図7は実施形態に係る回転電機1におけるステータ12の内径側に設けられた複数のティース11に配置可能な第3単位コイル33の概略構成を示す斜視図である。
【0010】
図8はステータ12の部分拡大斜視図であり、コイルU11、U12、U13、U14が設けられる領域を拡大して、各コイルU11~U14を接続する渡り線部20(以下、渡り線部201~218を総称する場合には「渡り線部20」と称する)の接続状態、及び、コイルU11~U14の配置状態をわかりやすく示すための図である。以下の説明で、コイルU11~U14、U21~U24をまとめてコイルUと、コイルV11~V14、V21~V24をまとめてコイルVと、コイルW11~W14、W21~W24をまとめてコイルWと称する。
【0011】
実施形態に係る回転電機1は、図1に示すように、ステータ12を備えている。回転電機1は、例えばインナーロータ型であり、円筒状のステータ12の内部にロータ16を備えている。
【0012】
ロータ16は例えば略円柱状に形成されており、同一円周上に等角ピッチで配列された例えば20組の磁石挿入穴13を備え、この磁石挿入穴13はロータ16を積層方向に貫通するように形成されている。磁石挿入穴13のそれぞれには永久磁石14が挿入されている。実施形態において、ロータ16は略円柱形状として説明したがこの形状に限定する意図はない。
【0013】
ステータ12は、ヨーク10、ティース11、及びティース11に装着された単位コイル31~33を備えている。ヨーク10および複数のティース11は、例えばケイ素鋼板などにより構成された平板円環形状の電磁鋼板の積層体によって形成されている。ステータ12は、所定のギャップを介してロータ16の周りを囲むようにして配設されている。
【0014】
ヨーク10の外形は、内部空洞の円筒状に形成されている。複数のティース11は、ヨーク10の内径部から内径方向に向かって突出しており、周方向に所定間隔を離間して配置されている。複数のティース11のうち周方向で隣り合うティース11の間には、外径方向に延びる凹部であるスロット22が形成されている。
【0015】
複数の単位コイル31~33は、複数のティース11に巻回するように組付けられて装着され、回転電機1を構成している。図1においては、例えば24個のティース11及びこれに設けられた24個の単位コイル31~33が設けられている。各単位コイル31~33は渡り線部20(201~218)において相互に接続されている。渡り線部20は接続部として機能する。なお、実施形態では、24個のティース11及びこれに設けられた24個の単位コイル31~33を例示して説明しているが、これらの個数を限定する意図はなく、任意の個数を用いて構成してもよい。
【0016】
各単位コイル31~33を構成する導電線はいわゆる平角線で構成されており、各単位コイル31、32、33は、平角線をエッジ側すなわち断面短辺側の方向に巻回して構成されたエッジワイスコイルである。なお、実施形態では、平各線が1層に左巻きに巻回された単位コイル31~33を例示して説明しているが、平角線の巻方向が左巻きの場合に限定する意図はなく、任意の巻方向のコイル31~33を用いてもよい。
【0017】
エッジワイズ巻のコイルを用いることにより、コイルの占積率を増やすことができるため、設置機器や装備の小型化や性能向上を図ることができる。また、コイルの断面積を増やすことができるため、放熱性に優れるとともに電流低減することができる。
【0018】
ここで、図1図3等に示すように、ステータ12の内径部に設けられたティース11には、U相端子に接続されたコイルU、V相端子に接続されたコイルV、及びW相端子に接続されたコイルW、すなわち、コイルU11、U12、U13、U14、コイルW11、W12、W13、W14、コイルV11、V12、V13、V14、コイルU21、U22、U23、U24、コイルW21、W22、W23、W24、コイルV21、V22、V23、V24がこの順番で反時計回りに配列されて挿入されている。
【0019】
これらコイルU、V、Wは、図4に示すようにダブルスター結線されている。コイルU11及びU21はU相線50aを介してU相端子50に接続されている。コイルV11及びV21はV相線51aを介してV相端子51に接続されている。コイルW11及びW21はW相線52aを介してW相端子52に接続されている。コイルU14、コイルV14及びコイルW14は中性点N1を介して接続されている。コイルU24、コイルV24及びコイルW24は中性点N2を介して接続されている。
【0020】
コイルU、コイルV、コイルWは、第1単位コイル31、第2単位コイル32及び第3単位コイル33を組み合わせて構成されている。各コイルU、V、Wにおいて、ステータ12の反時計回り方向に、コイルA、B,C,Dの順で配置されているとすると、コイルAは第1単位コイル31、コイルBは第2単位コイル32、コイルCは第1単位コイル31、コイルDは第3単位コイル33である。
【0021】
すなわち、コイルU11、V11、W11、U21、V21、W21はコイルAであり第1単位コイル31により構成されている。コイルU12、V12、W12、コイルU22、V22、W22はコイルBであり第2単位コイル32により構成されている。U13、V13、W13、U23、V23、W23はコイルCであり第1単位コイル31により構成されている。コイルU14、V14、W14、コイルU24、V24、W24はコイルDであり第3単位コイル33により構成されている。
【0022】
図5は第1単位コイル31の概略構成を示す斜視図である。図6は第2単位コイル32の概略構成を示す斜視図である。図7は第3単位コイル33の概略構成を示す斜視図である。
【0023】
また、図5図7における上下方向、内径・外径方向、Y1、Y2方向は、各単位コイル31、32、33がステータ12に組付けられた状態での方向を示している。
ステータ12において、U相端子50、V相端子51及びW相端子52は同一方向に引き出されており、この引き出されている方向は図2図3に示すように上方向である。
【0024】
ここで、各単位コイル31,32、33において、U相端子50、V相端子51、及びW相端子52に接続される側を始点である第1端部361、362、363とし、中性点N1、及びN2に接続する側を終点である第2端部381、382、383とする。コイルがステータ12に備えられて動作する際に、始点は電流の入り口に該当し、終点は電流の出口に該当する。また、U相線50a、V相線51a、及びW相線52aの接続部を接続部50b、51b、52bと、中性点N1、及びN2の接続部を接続部N1b、N2bと称する。
【0025】
第1端部361、362、363、第2端部381、382、383の先端部、中性点N1及びN2の接続部N1b、N2b、U相線50a、V相線51a、及びW相線52aの接続部50b、51b、52bでは、これら導電線の外部を絶縁コーティングするコーティング材がはがされて、これらの接続部は電気的に接続される。
【0026】
ここで、各単位コイル31,32,33の導電線が巻回する部分を巻回部34とする。各単位コイル31,32,33は巻回部34において構造が共通している。巻回部34は断面長方形のティース11に組み付けられるために、全体として長手側及び短手側を有する角柱構造となるように構成されている。
【0027】
各単位コイル31,32,33における巻回部34、第1端部361、362、363、及び、第2端部381、382、383の対応関係は以下のようになっている。
単位コイル31:巻回部34-第1端部361-第2端部381
単位コイル32:巻回部34-第1端部362-第2端部382
単位コイル33:巻回部34-第1端部363-第2端部383
【0028】
巻回部34を構成する導電線により、巻回部34の上側に形成される壁面を上側壁面T1と、その逆側の壁面を下側壁面T2とする。各単位コイル31,32,33において、第1端部361、362、363及び、第2端部381、382、383は、巻回部34の上側壁面T1において巻回部34の導電線の巻回を延長するように上方向に引き出されている。
【0029】
図5に示すように、第1単位コイル31の第1端部361と第2端部381は、巻回部34の上方向に引き出されている。第1端部361は巻回部34の内径方向の端部からやや上方向に引き出され、Y1方向に屈曲して直線的に延伸した後、巻回部34の上側壁面T1付近で終端している。
【0030】
第2端部381は巻回部34の外径側端部からやや上方向に引き出され、Y2方向に屈曲して直線的に延伸した後、巻回部34の上側壁面T1の端部付近で終端している。第1端部361と第2端部381は、巻回部34に対して点対称となるように配置されている。第1端部361及び第2端部381の直線部は上側壁面T1から所定距離だけ上方向に離間して、互いに反対方向であるY1方向及びY2方向を指向し、上側壁面T1に平行となるように配置されている。
【0031】
図6に示すように、第2単位コイル32の第1端部362と第2端部382は、巻回部34の同一方向である上方向に引き出されている。第1端部362は巻回部34の内径側かつY2方向の端部の位置からやや上方向に引き出され、Y1方向に屈曲して直線的に延伸した後、巻回部34のY1側端部付近で内径方向に屈曲する屈曲部K1を有している。第1端部362は、巻回部34の幅を超えて、巻回部34の幅の半分程度延伸したところで終端している。
【0032】
第2端部382は巻回部34の外径側かつY1方向の端部付近からやや上方向に引き出され、Y2方向に屈曲して直線的に延伸した後、巻回部34のY2側端部位置付近で図内径方向に屈曲する屈曲部K2を有している。第2端部382は、巻回部34の幅を超えて、巻回部34の幅の半分程度延伸したところで終端している。第1端部362及び第2端部382は上側壁面T1から所定距離だけ上方向に離間して上側壁面T1に平行となるように配置されている。
【0033】
第2単位コイル32がステータ12に組付けられた場合に、第1端部362及び第2端部382は屈曲部K1及びK2においてステータ12の内径方向に屈曲し、これによって第1端部362及び第2端部382を、回転電機1の内径の曲率に沿うように配置可能となり、ステータ12の円環形状に沿った周方向に指向して配置することができる。
【0034】
第1端部362及び第2端部382は、巻回部34の幅を超えて、巻回部34の幅の半分程度延伸するため、第2単位コイル32がステータ12に組付けられた場合に、第1端部362及び第2端部382は隣接する単位コイル31又は33の巻回部34の内径側又は外径側近傍に位置させることができ、隣接する第1単位コイル31又は第3単位コイル33の第1端部361、363、第2端部381、382と対向する位置に配置させることができる。
【0035】
図7に示すように、第3単位コイル33の第1端部363と第2端部383は、巻回部34の同一方向である上方向に引き出されている。第1端部363は巻回部34の内径側かつY2方向端部の位置からやや上方向に引き出され、Y1方向に屈曲して直線的に延伸した後、巻回部34の右壁位置付近で内径方向に屈曲する屈曲部K3を有している。第1端部363は、巻回部34の幅を超えて、巻回部34の幅の半分程度延伸したところで終端している。第3単位コイル33の第1端部363は、第1単位コイル31の第1端部361と同様の形状を備えている。
【0036】
第2端部383は巻回部34の外径側かつY1方向端部からやや上方向に引き出され、Y2方向に屈曲して直線的に延伸した後、巻回部34の上側壁面T1位置で終端している。第3単位コイル33の第2端部383は、第1単位コイル31の第1端部361と同様の形状を備えている。第1端部363及び第2端部383は上側壁面T1から所定距離だけ上方向に離間して上側壁面T1に平行となるように配置されている。
【0037】
第3単位コイル33がステータ12に組付けられた場合に、第1端部363は屈曲部K3においてステータ12の内径方向に屈曲し、これによって、第1端部363を、回転電機1の内径の曲率に沿うように配置可能となり、ステータ12の円環形状に沿った周方向に指向して配置することができる。
【0038】
第1端部363は、巻回部34の幅を超えて、巻回部34の幅の半分程度延伸するため、第2単位コイル32がステータ12に組付けられた場合に、第1端部363及び第2端部383は隣接する単位コイル31又は32の内径側又は外径側近傍に位置させることができる。
【0039】
次に、図1図4及び図8を参照し、回転電機1のコイルU、V、Wの配置及び接続構成を説明する。ここではコイルUを中心に説明する。コイルU、V、及びWにおいて、各単位コイル31、32、33の配置及び、各単位コイル31、32、33、U相線50a、V相線51a、W相線52a、中性点N1、N2それぞれとの接続構成は略同じである。
【0040】
コイルU11は、第1単位コイル31の第1端部361側がステータ12の外径側に、第2端部381が内径側に配置される。コイルU12は、第2単位コイル32の第1端部362側がステータ12の内径方向に配置され、第2端部382側が外径側に配置される。コイルU13は、第1単位コイル31の第1端部361が、ステータ12の外径側に、第2端部381側が内径側に配置される。コイルU14は、第3単位コイル33の第1端部363側がステータ12の内径側に、第2端部383側が外径側に配置される。
【0041】
上側壁面T1側はすべての単位コイル31、32、33においてステータ12の上方向に、第2短手側S2及び下側壁面T2はすべての単位コイル31、32、33においてステータ12の下方向に配置される。このように配置することで、各単位コイル31、32、33のすべての第1端部361、362、363、及びすべての第2端部381、382、383は、ステータ12の上方向に配置される。
【0042】
各コイルU,V,Wの接続構成は以下のようになっている。
図8に示すように、コイルU11を構成する第1単位コイル31の第1端部361が、ステータ12の外径側において、U相線50aの端部であるU相線接続部50bと接続している。U相線50aはステータ12の周方向であってY2方向に延伸して沿うように取り廻されて配置されている。第1端部361はステータ12の周方向であってY2方向に延伸して配置される。これにより、第1端部361とU相線50aの端部は、ともにステータ12の周方向の同一方向であるY2方向に平行に対向して延伸しているため、接続部50bを長く確保できる。
【0043】
コイルU11を構成する第1単位コイル31の第2端部381は、ステータ12の内径側において、隣接するコイルU12を構成する第2単位コイル32の第1端部362に接続されて渡り線部201を構成している。第1端部362はコイルU11の内径側にまで延伸しており、第2端部381と第1端部362はともにステータ12の周方向に沿うY1方向すなわち同一方向に平行に対向して延伸して配置されている。これにより、第2端部381と第1端部362の接続部の長さを長く確保できる。
【0044】
コイルU12を構成する第2単位コイル32の第2端部382は、ステータ12の外径側において、隣接するコイルU13を構成する第1単位コイル31の第1端部361に接続されて渡り線部202を構成している。第2端部382はコイルU13の外径側にまで延伸しており、第2端部382と第1端部361はステータ12の周方向に沿うY2方向すなわち同一方向に平行に対向して延伸して配置されている。これにより、第2端部381と第1端部362の接続部の長さを長く確保できる。
【0045】
コイルU13を構成する第1単位コイル31の第2端部381は、ステータ12の内径側において、隣接するコイルU14を構成する第3単位コイル33の第1端部363に接続されて渡り線部203を構成している。第1端部363はコイルU13の内径側にまで延伸しており、第2端部381と第1端部363はステータ12の周方向に沿うY1方向すなわち同一方向に平行に対向して延伸して配置されている。これにより、第2端部381と第1端部363の接続部の長さを長く確保できる。
【0046】
コイルU14、V14,W14を構成する第3単位コイル33の第2端部383はステータ12の外径側において、中性点N1の3つの接続部N1bに接続している。中性点N1はステータ12の外径側において周方向に沿うように延伸して配置されている。第2端部383はステータ12の周方向に沿う方向に平行に対向して延伸して配置される。これにより、第2端部383と中性点N1の接続部N1bとは、ともにステータ12の周方向に沿った方向に平行かつ対向して延伸して配置されているため、接続部を長く確保できる。
【0047】
隣接するコイルU11とU12間で第2端部381と第1端部362が構成する渡り線部201はステータ12の内径側に配置されている。隣接するコイルU12とU13間で第2端部382と第1端部361が構成する渡り線部202は、ステータ12の外径側に配置される。隣接するコイルU13とU14間で第2端部381と第1端部363が構成する渡り線部203は、ステータ12の内径側に配置される。
【0048】
なお、コイルU11及びU21の第1端部361にはU相端子50が接続される。コイルV11及びV21の第1端部361にはV相端子51が接続される。コイルW11及びW21の第1端部361にはW相端子52が接続される。コイルU14、W14、V14の第2端部383には中性点N1が接続され、コイルU24、W24、V24の第2端部383には中性点N2が接続される。
【0049】
コイルU24、V24,W24を構成する第3単位コイル33の第2端部383はステータ12の外径側において、中性点N2の3つの接続部N2bに接続している。中性点N2はステータ12の外径側において周方向に沿うように延伸して配置されている。第2端部383はステータ12の周方向に沿う方向に平行に対向して延伸して配置される。これにより、第2端部383と中性点N2の接続部N2bとは、ともにステータ12の周方向に沿った方向に平行かつ対向して延伸して配置されているため、接続部を長く確保できる。
【0050】
上記に説明したコイルU11~コイルU14と略同様の構成、及び配置位置で、コイルW11~W14、コイルV11~V14、コイルU21~U24、コイルW21~W24、コイルV21~V24が構成されている。
【0051】
コイルU11及びU21、コイルV11及びV21、コイルW11及びW21の始点である第1端部361、362、363は、それぞれU相端子50、V相端子51、W相端子52に接続される。従って、コイルU、V、WのそれぞれとU相端子50、V相端子51、W相端子52とは、ステータ12の外径側において接続される。
【0052】
また、コイルU14、コイルW14及びコイルV14は中性点N1とステータ12の外径側において接続される。コイルU24、コイルW24及びV24は中性点N2とステータ12の外径側において接続される。
【0053】
実施形態に係る回転電機1によれば以下の効果を得る。
各単位コイル31、32、33の第1端部362~363、第2端部381~382は、これらを接続する渡り線部20(201~218)において、渡り線部20を構成する各端部が、ステータ12の周方向に沿って同一方向を指向するように配置されている。また、U相線50a、V相線51a、W相線52a、中性点N1、N2と、これらと接続する第1端部361、第2端部383は、ステータ12の周方向を指向し、同一方向又は逆方向を指向して配置されている。
【0054】
このように配置することで、接続される配線が平行かつ対向して重なる距離を大きくすることができるため、それぞれの接続部において、接続部における接触面積を大きく設定することができる。これにより、接続部の電気抵抗を低減し、接続強度を向上させることができる。
【0055】
また、第1端部361~363、第2端部381~383、U相線50a、V相線51a、W相線52a、中性点N1、N2の配線をステータ12の上側においてY1又はY2方向の周方向に延伸するように配置することができる。これにより、接続部及び第1端部361~363、第2端部381~383、U相線50a、V相線51a、W相線52a、中性点N1、N2の各配線を、ステータ12の上方向に集めることができる。また、コイルエンド長を短くすることができるため、コイルエンドの突出量を抑制できる。
【0056】
これにより、ステータ12の全体的な厚さを薄く構成することができ回転電機1の小型化が可能となる。また、接続部を接続する作業や、接続部に絶縁チューブを被せる等の絶縁物被覆作業が、ステータ12の上側のみで可能となるため、これらの作業効率が向上する。
【0057】
以上のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1…回転電機、10…ヨーク、11…ティース、12…ステータ、20、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218…渡り線部(接続部)、31…第1単位コイル(成形コイル)、32…第2単位コイル(成形コイル)、33…第3単位コイル(成形コイル)、34…巻回部、361、362、363…第1端部、381、382、383…第2端部、U、V、W、U11、U12、U13、U14、V11、V12、V13、V14、W11、W12、W13、W14、U21、U22、U23、U24、V21、V22、V23、V24、W21、W22、W23、W24…コイル、N1、N2…中性点、50b、51b、52b、N1b、N2b…接続部
図1
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図8