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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】防水窓構造、及び窓開口の防水処理方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/62 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
E06B1/62 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018167993
(22)【出願日】2018-09-07
(65)【公開番号】P2020041295
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】星野 敦美
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-234543(JP,A)
【文献】特開2002-168056(JP,A)
【文献】特開2006-322246(JP,A)
【文献】特開平09-155896(JP,A)
【文献】特開平10-317819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/34
E06B 1/56-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に形成された開口の周縁を規定する開口周縁部材と、当該開口周縁部材に嵌め込むように取り付けられるサッシ枠と、当該サッシ枠と前記開口周縁部材との間に配置され、前記サッシ枠から前記開口周縁部材への水の浸入を防ぐ可撓性の樹脂からなるサッシ用防水部材とを備えた防水窓構造であって、
前記開口周縁部材は、前記開口の下縁を規定する窓台と、前記開口の左右の側縁を規定する一対の柱部材とを有し、
前記サッシ用防水部材は、前記窓台と前記サッシ枠との間に配置される中間防水部材と、前記窓台の左右両端部と前記一対の柱部材との接続部を含む前記開口周縁部材の下側のコーナ部と前記サッシ枠との間に配置される一対のコーナ防水部材とを有し、
前記中間防水部材は、前記窓台の左右方向の全範囲に亘って延びるように、前記窓台と同一の左右方向の寸法を有するとともに当該左右方向に亘って一定の断面形状を有するように形成され、かつ、前記各コーナ防水部材と前記窓台との間に前記中間防水部材の左右両端部が介在するように配置され
前記中間防水部材を前記窓台に貼り付けるための第1防水両面テープが、前記窓台の左右方向の全範囲に亘って取り付けられた、ことを特徴とする防水窓構造。
【請求項2】
請求項1に記載の防水窓構造において、
前記コーナ防水部材は、前記窓台の左右方向の端部における室外側の面を覆う本体部と当該本体部の端部から上方に延びて前記柱部材の室外側の面を覆う上方延設部とを含む前面カバー部と、前面カバー部の本体部の上縁から室内側に突出して前記窓台の左右方向の端部の上面を覆う上面カバー部と、前面カバー部の上方延設部の内縁から室内側に突出して前記柱部材の内側面を覆う側面カバー部とを有し、
前記中間防水部材は、前記窓台の左右方向の全範囲における室側の面を覆う中間前面カバー部と、当該中間前面カバー部の上縁から室内側に突出して前記窓台の左右方向の全範囲の上面を覆う中間上面カバー部とを有し、かつ、これら中間前面カバー部及び中間上面カバー部の左右方向の端部が前記コーナ防水部材の前面カバー部及び上面カバー部と前記窓台との間に介在するように配置される、ことを特徴とする防水窓構造。
【請求項3】
請求項2に記載の防水窓構造において、
前記コーナ防水部材の前記前面カバー部及び上面カバー部と、前記中間防水部材の前記中間前面カバー部及び中間上面カバー部との間に、両者を貼り合わせるための第2防水両面テープが設けられ、
前記第2防水両面テープは、前記前面カバー部及び上面カバー部における前記開口の幅中心に近い側の端部に位置している、ことを特徴とする防水窓構造。
【請求項4】
請求項2または3に記載の防水窓構造において、
前記前面カバー部は、前記本体部の上下方向の寸法が前記上方延設部の左右方向の寸法に対し2倍以上3倍以下の範囲で大きくなるように形成されている、ことを特徴とする防水窓構造。
【請求項5】
建物の外壁に形成された開口の周縁を規定しかつサッシ枠が嵌め込まれる開口周縁部材に対し、可撓性の樹脂からなるサッシ用防水部材を用いて防水処理を施す方法であって、
前記開口周縁部材として、前記開口の下縁を規定する窓台と、前記開口の左右の側縁を規定する一対の柱部材とを含むものを用意する第1のステップと、
前記サッシ用防水部材として、前記窓台と同一の左右方向の寸法を有するとともに当該左右方向に亘って一定の断面形状を有する中間防水部材と、前記窓台の左右両端部と前記一対の柱部材との接続部を含む前記開口周縁部材の下側のコーナ部に対応する形状の一対のコーナ防水部材とを含むものを用意する第2のステップと、
前記第1及び第2のステップの後、前記窓台の室外側の面及び上面を当該窓台の左右方向の全範囲に亘って覆うように前記中間防水部材を配置するとともに、前記窓台の左右方向の全範囲に亘って取り付けられた防水両面テープによって前記中間防水部材を前記窓台に貼り付ける第3のステップと、
前記第3のステップの後、前記一対の柱部材の室外側の面及び内側面と前記中間防水部材の左右両端部とを覆うように前記一対のコーナ防水部材を配置する第4のステップと、
前記第4のステップの後、前記窓台及び柱部材と前記サッシ枠との間に前記中間防水部材及びコーナ防水部材を挟み込むようにして前記サッシ枠を前記開口周縁部材に取り付ける第5のステップとを含む、ことを特徴とする窓開口の防水処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の窓開口の防水処理方法において、
前記一対のコーナ防水部材の素材として、鉛直面に沿ったシート状の本体部と当該本体部の左右両端部から上方に延びる一対の上方延設部とを含む前面カバー部と、前面カバー部の本体部の上縁から当該本体部の面直方向に突出する上面カバー部と、前面カバー部の各上方延設部の内縁から前記上面カバー部と同方向に突出する一対の側面カバー部とを有する防水素材を用意する準備ステップをさらに含み、
前記準備ステップでは、前記防水素材における前面カバー部の本体部及び前記上面カバー部に、前記前面カバー部及び上面カバー部を左右に2分割する線に沿って延びる一連の凹溝を形成し、
前記第2のステップでは、前記防水素材を前記凹溝の位置で2分割することにより前記一対のコーナ防水部材を用意し、
前記第4のステップでは、前記窓台に前記中間防水部材が取り付けられた状態の前記開口周縁部材の下側のコーナ部に分割後の前記一対のコーナ防水部材をそれぞれ取り付けることにより、前記窓台の左右方向の端部における室外側の面を前記中間防水部材の上から前記前面カバー部の本体部で覆い、前記窓台の左右方向の端部の上面を前記中間防水部材の上から前記上面カバー部で覆い、前記柱部材の室外側の面を前記前面カバー部の上方延設部で覆い、前記柱部材の内側面を前記側面カバー部で覆う、ことを特徴とする窓開口の防水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ枠が嵌め込まれる窓開口の周縁部に防水処理を施す技術に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物に適用される防水窓構造として、下記特許文献1のものが知られている。この特許文献1の防水窓構造は、住宅の外壁に形成された開口に嵌め込まれるサッシ枠と、サッシ枠周りからの漏水を防止するための弾性シール材とを備えている。サッシ枠は、その周縁部に、上記開口の周縁部の室外側の面に当接・固定されるツバ部を有している。弾性シール材は、上記開口の形状に沿った矩形枠状に形成されており、上記ツバ部と開口の周縁部との間に挟み込まれるように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-328651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の防水窓構造によれば、サッシ枠のツバ部と開口の周縁部との間に配置される弾性シール材により、サッシ枠周りから室内側に雨水等の水が浸入するのを防止することができる。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、弾性シール材として開口もしくはサッシ枠の形状に対応した矩形枠状のシール材を用いる必要があるので、サッシ枠のサイズ(形状)ごとに専用のシール材を用意する必要がある。このことは、シール材の種類ごとに金型を用意する必要が生じるなど、コストアップの要因となる。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、窓開口の寸法が種々異なった場合にも適用し得る汎用性の高い方法により的確に防水処理を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するためのものとして、本願の第1の発明は、建物の外壁に形成された開口の周縁を規定する開口周縁部材と、当該開口周縁部材に嵌め込むように取り付けられるサッシ枠と、当該サッシ枠と前記開口周縁部材との間に配置され、前記サッシ枠から前記開口周縁部材への水の浸入を防ぐ可撓性の樹脂からなるサッシ用防水部材とを備えた防水窓構造であって、前記開口周縁部材は、前記開口の下縁を規定する窓台と、前記開口の左右の側縁を規定する一対の柱部材とを有し、前記サッシ用防水部材は、前記窓台と前記サッシ枠との間に配置される中間防水部材と、前記窓台の左右両端部と前記一対の柱部材との接続部を含む前記開口周縁部材の下側のコーナ部と前記サッシ枠との間に配置される一対のコーナ防水部材とを有し、前記中間防水部材は、前記窓台の左右方向の全範囲に亘って延びるように、前記窓台と同一の左右方向の寸法を有するとともに当該左右方向に亘って一定の断面形状を有するように形成され、かつ、前記各コーナ防水部材と前記窓台との間に前記中間防水部材の左右両端部が介在するように配置され、前記中間防水部材を前記窓台に貼り付けるための第1防水両面テープが、前記窓台の左右方向の全範囲に亘って取り付けられた、ことを特徴とするものである(請求項1)。
【0008】
この第1の発明によれば、開口周縁部材の下縁部(つまり窓台)とサッシ枠との間に中間防水部材が配置されるとともに、開口周縁部材の下側のコーナ部とサッシ枠との間に一対のコーナ防水部材が配置されるので、開口周縁部材(もしくはサッシ枠)の寸法が種々異なった場合でも、これら中間防水部材及びコーナ防水部材を用いて的確に開口周縁部材の防水処理を行うことができる。すなわち、窓台を覆うことに特化した(つまり窓台に沿って左右方向に延びる形状を有する)中間防水部材をカットしたり複数つなぎ合わせることにより、種々の寸法の開口周縁部材の窓台を中間防水部材で適正に覆うことができる。さらに、この中間防水部材の左右両端部に重なる態様で、一対のコーナ防水部材が開口周縁部材の下側のコーナ部に配置されるので、これら中間防水部材とコーナ防水部材との協働により、開口周縁部材の窓台への漏水、つまりサッシ枠の周囲の隙間から浸入する雨水等の水が窓台に到達するのを効果的に防止することができる。
【0009】
特に、第1の発明では、窓台の左右方向の全範囲を覆うように中間防水部材が配置されるので、サッシ枠の側辺部と柱部材との隙間を伝って雨水等の水が下方に移動してきたとしても、当該水が窓台に到達することが前記中間防水部材及びコーナ防水部材によって確実に阻止される。すなわち、窓台の左右両端部(言い換えれば窓台と一対の柱部材との接続部)は、サッシ枠の左右の側辺部と柱部材との隙間を伝って下方に移動してくる水の浸入を受け易い箇所であるが、前記第1の発明では、当該箇所が中間防水部材の左右両端部とコーナ防水部材とによって2重に覆われているので、前記窓台の左右両端部に水が到達すること、ひいては窓台から室内側に水が浸入することが、より高い確率で阻止される。
【0010】
前記第1の発明において、好ましくは、前記コーナ防水部材は、前記窓台の左右方向の端部における室外側の面を覆う本体部と当該本体部の端部から上方に延びて前記柱部材の室外側の面を覆う上方延設部とを含む前面カバー部と、前面カバー部の本体部の上縁から室内側に突出して前記窓台の左右方向の端部の上面を覆う上面カバー部と、前面カバー部の上方延設部の内縁から室内側に突出して前記柱部材の内側面を覆う側面カバー部とを有し、前記中間防水部材は、前記窓台の左右方向の全範囲における室側の面を覆う中間前面カバー部と、当該中間前面カバー部の上縁から室内側に突出して前記窓台の左右方向の全範囲の上面を覆う中間上面カバー部とを有し、かつ、これら中間前面カバー部及び中間上面カバー部の左右方向の端部が前記コーナ防水部材の前面カバー部及び上面カバー部と前記窓台との間に介在するように配置される(請求項2)。
【0011】
この構成によれば、窓台の前面及び上面と、柱部材の前面及び内側面とを、これら各面に沿った形状を有する中間防水部材及びコーナ防水部材によって適正に覆うことができ、上述した作用効果を確実に得ることができる。
【0012】
前記構成において、より好ましくは、前記コーナ防水部材の前記前面カバー部及び上面カバー部と、前記中間防水部材の前記中間前面カバー部及び中間上面カバー部との間に、両者を貼り合わせるための第2防水両面テープが設けられ、前記第2防水両面テープは、前記前面カバー部及び上面カバー部における前記開口の幅中心に近い側の端部に位置している(請求項3)。
【0013】
この構成によれば、例えばサッシ枠の左右の側辺部と柱部材との隙間を伝って下方に移動してきた雨水等の水がコーナ防水部材の上面カバー部に到達した場合に、この水がコーナ防水部材と中間防水部材との隙間から室内側に浸入するのを確実に防止することができる。すなわち、コーナ防水部材の上面カバー部に水が到達した場合、この水は、例えば当該上面カバー部に沿って開口の幅中心に向かう側に移動した後、さらに、コーナ防水部材の前面/上面カバー部と中間防水部材の中間前面/上面カバー部との間の隙間に浸入することがある。しかも、当該隙間に浸入した水は、窓台と柱部材との接続部まで到達してさらに室内側へと移動するおそれがある。これに対し、前記構成では、コーナ防水部材の前面/上面カバー部における開口の幅中心に近い側の端部(言い換えれば窓台と柱部材との接続部から最も遠い側の端部)と、中間防水部材の中間前面/上面カバー部との間に第2防水両面テープが貼り付けられているので、前記経路による水の浸入を確実に防止することができる。
【0014】
前記構成において、より好ましくは、前記前面カバー部は、前記本体部の上下方向の寸法が前記上方延設部の左右方向の寸法に対し2倍以上3倍以下の範囲で大きくなるように形成される(請求項4)。
【0015】
この構成によれば、前面カバー部の本体部のうちサッシ枠の下縁よりも下方に位置する余剰部分の上下方向の寸法を比較的大きくとることができる。このため、例えば当該余剰部分の裏側(室内側)に防水用のシートを配置するような場合に、この防水用のシートと前記前面カバー部とのオーバーラップ量を十分に確保することができ、防水性能をより高めることができる。
【0016】
また、本願の第2の発明は、建物の外壁に形成された開口の周縁を規定しかつサッシ枠が嵌め込まれる開口周縁部材に対し、可撓性の樹脂からなるサッシ用防水部材を用いて防水処理を施す方法であって、前記開口周縁部材として、前記開口の下縁を規定する窓台と、前記開口の左右の側縁を規定する一対の柱部材とを含むものを用意する第1のステップと、前記サッシ用防水部材として、前記窓台と同一の左右方向の寸法を有するとともに当該左右方向に亘って一定の断面形状を有する中間防水部材と、前記窓台の左右両端部と前記一対の柱部材との接続部を含む前記開口周縁部材の下側のコーナ部に対応する形状の一対のコーナ防水部材とを含むものを用意する第2のステップと、前記第1及び第2のステップの後、前記窓台の室外側の面及び上面を当該窓台の左右方向の全範囲に亘って覆うように前記中間防水部材を配置するとともに、前記窓台の左右方向の全範囲に亘って取り付けられた防水両面テープによって前記中間防水部材を前記窓台に貼り付ける第3のステップと、前記第3のステップの後、前記一対の柱部材の室外側の面及び内側面と前記中間防水部材の左右両端部とを覆うように前記一対のコーナ防水部材を配置する第4のステップと、前記第4のステップの後、前記窓台及び柱部材と前記サッシ枠との間に前記中間防水部材及びコーナ防水部材を挟み込むようにして前記サッシ枠を前記開口周縁部材に取り付ける第5のステップとを含む、ことを特徴とするものである(請求項5)。
【0017】
この第2の発明に係る防水処理方法によっても、上述した第1の発明(防水窓構造)と同様の作用効果を得ることができる。
【0018】
前記第2の発明において、好ましくは、前記一対のコーナ防水部材の素材として、鉛直面に沿ったシート状の本体部と当該本体部の左右両端部から上方に延びる一対の上方延設部とを含む前面カバー部と、前面カバー部の本体部の上縁から当該本体部の面直方向に突出する上面カバー部と、前面カバー部の各上方延設部の内縁から前記上面カバー部と同方向に突出する一対の側面カバー部とを有する防水素材を用意する準備ステップをさらに含み、前記準備ステップでは、前記防水素材における前面カバー部の本体部及び前記上面カバー部に、前記前面カバー部及び上面カバー部を左右に2分割する線に沿って延びる一連の凹溝を形成し、前記第2のステップでは、前記防水素材を前記凹溝の位置で2分割することにより前記一対のコーナ防水部材を用意し、前記第4のステップでは、前記窓台に前記中間防水部材が取り付けられた状態の前記開口周縁部材の下側のコーナ部に分割後の前記一対のコーナ防水部材をそれぞれ取り付けることにより、前記窓台の左右方向の端部における室外側の面を前記中間防水部材の上から前記前面カバー部の本体部で覆い、前記窓台の左右方向の端部の上面を前記中間防水部材の上から前記上面カバー部で覆い、前記柱部材の室外側の面を前記前面カバー部の上方延設部で覆い、前記柱部材の内側面を前記側面カバー部で覆う(請求項6)。
【0019】
このように、一対のコーナ防水部材として、左右対称の防水素材を凹溝の位置で2分割したものを使用するようにした場合には、一対のコーナ防水部材をそれぞれ個別に成型する必要がなく、コーナ防水部材の製造コストを削減することができる。もちろん、施工現場等で防水素材を左右に2分割する作業が必要にはなるが、分割すべき位置に一連の凹溝が形成された前記構成によれば、その作業性を良好なものとすることができる。すなわち、肉厚が薄くされた凹溝の存在により、防水素材を2分割する作業の作業負担を軽減できるとともに、分割すべき位置を凹溝によって明瞭に認識することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、窓開口の寸法が種々異なった場合にも適用し得る汎用性の高い方法により的確に防水処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る防水窓構造の開口周縁部材を示す正面図である。
図2】上記開口周縁部材にサッシ枠を取り付ける状態を示す分解斜視図である。
図3】上記開口周縁部材にサッシ枠が取り付けられた状態を示す断面図であり、(A)は上記開口周縁部材とサッシ枠との間に配置される防水部材等の部材の配置順を説明するための図、(B)は上記取り付けが完了した状態を示す図である。
図4】中間防水部材の形状を示す斜視図である。
図5】一対のコーナ防水部材の形状を示す斜視図である。
図6】上記防水窓構造の施工手順(その1)を示す斜視図であり、(A)は窓台の上面に防水両面テープを貼り付けた状態を、(B)は当該防水両面テープを介して中間防水部材が窓台に取り付けられた状態をそれぞれ示している。
図7】上記防水窓構造の施工手順(その2)を示す斜視図であり、(A)は開口周縁部材の下側のコーナ部にコーナ防水部材を取り付ける前の状態を、(B)は当該コーナ防水部材の取り付けが完了した状態をそれぞれ示している。
図8】上記防水窓構造の施工手順(その3)を示す正面図であり、サッシ枠が開口周縁部材に取り付けられた状態を示している。
図9】上記防水窓構造の施工手順(その4)を示す正面図であり、サッシ枠の周囲に防水両面テープが貼り付けられた状態を示している。
図10】上記防水窓構造の施工手順(その5)を示す正面図であり、サッシ枠の下側領域に透湿防水シートが取り付けられた状態を示している。
図11】上記防水窓構造の施工手順(その6)を示す正面図であり、サッシ枠の左右及び上側の領域に透湿防水シートが取り付けられた状態を示している。
図12】上記コーナ防水部材用の素材(防水素材)の形状を示す図であり、(A)は防水素材を斜め前方から見た斜視図、(B)は防水素材を斜め後方から見た斜視図である。
図13】上記防水素材の形状を示す図であり、(A)は正面図、(B)は背面図である。
図14】上記実施形態の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0025】
本実施形態に係る防水窓構造は、図1図3(B)に示されるように、建物の外壁11に形成された開口12の周囲を規定する開口周縁部材10と、この開口周縁部材10に取り付けられるサッシ枠20と、これら開口周縁部材10とサッシ枠20との間に配置されるサッシ用防水部材30とを備える。すなわち、本実施形態に係る防水窓構造では、開口周縁部材10とサッシ枠20との間にサッシ用防水部材30が配置されることにより、サッシ枠20から浸入した雨水等の水により前記開口周縁部材10が濡れることが防止されるようになっている。
【0026】
開口周縁部材10は、建物の外壁11において室内と室外とを連通するように形成された開口12の周囲を規定する部材である。この開口周縁部材10は、一対の柱部材13,13と、窓台14と、まぐさ15とを備える。
【0027】
一対の柱部材13,13は、開口12の左右の側縁を規定する部材である。一対の柱部材13,13は、例えば上下方向に延びる角材からなり、サッシ枠20の幅寸法(図2における左右方向の長さ)に対応する間隔をあけて互いに平行に配置されている。
【0028】
窓台14は、開口12の下縁を規定する部材である。窓台14は、例えば水平方向(左右方向)に延びる角材からなり、外壁11の所定の高さ位置において一対の柱部材13、13間に掛け渡されるように配置されている。
【0029】
まぐさ15は、開口12の上縁を規定する部材である。まぐさ15は、例えば水平方向(左右方向)に延びる角材からなり、窓台14の上方において一対の柱部材13、13間に掛け渡されるように配置されている。具体的に、まぐさ15は、窓台14の上方においてサッシ枠20の高さ寸法(図2における上下方向の寸法)に対応する間隔を空けて当該窓台14と平行に配置されている。
【0030】
このように、開口周縁部材10は、水平方向に延びる窓台14と、窓台14の上方で当該窓台14と平行に延びるまぐさ15と、窓台14とまぐさ15との端部同士を接続する一対の柱部材13,13とを有し、これら各部材(14,15,13,13)によって開口12の周縁(下縁、上縁、左右の側縁)を規定している。
【0031】
サッシ枠20は、ガラス窓を外壁11に取り付けるための枠である。このサッシ枠20は、窓台14とまぐさ15と一対の柱部材13,13とによって囲まれる開口12に沿った形状(本実施形態では矩形)の枠本体22と、枠本体22から室内側に突出しかつ開口12に嵌め込まれる嵌め込み部24と、枠本体22の外周縁から外側(枠本体22の中心から遠ざかる方向)に向かって張り出す鍔部26とを有している。鍔部26は、枠本体22の周方向の全体に亘って設けられており、嵌め込み部24が開口12に嵌め込まれた状態で、開口周縁部材10の室外側の面(以下、前面ともいう)にサッシ用防水部材30等を介して当接するように配置される。
【0032】
サッシ用防水部材30は、サッシ枠20から浸入した雨水等の水によって開口周縁部材10が濡れるのを防ぐための部材であり、本実施形態では、図4図7(B)に示されるように、開口周縁部材10の窓台14に配置される中間防水部材31と、開口周縁部材10の下側の各コーナ部(窓台14と柱部材13との接続部及びその近傍)に配置される一対のコーナ防水部材35とを有している。このサッシ用防水部材30(中間防水部材31及びコーナ防水部材35)は、可撓性を有する合成樹脂、例えばPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)等の熱可塑性樹脂や、熱可塑性樹脂系のエラストマーまたは合成ゴムからなり、インジェクション射出成形によって一体成形されている。
【0033】
中間防水部材31は、図6(B)に示すように、窓台14に沿って左右方向に延び、かつ窓台14の左右方向の寸法(一対の柱部材13,13の内側面どうしの間隔)と同一の寸法を有するように形成されている。この中間防水部材31は、図4及び図6(A)(B)に示すように、中間上面カバー部32と中間前面カバー部33とを一体に備えている。
【0034】
中間前面カバー部33は、窓台14の左右方向の全範囲における前面(室外側の面)を覆うように形成されている。具体的に、中間前面カバー部33は、正面視において(室外側から室内側を見たときに)左右方向に長い矩形を呈するシート状のものであり、サッシ枠20の鍔部26と窓台14との間に配置される。中間前面カバー部33の高さ寸法(上下方向の寸法)は、中間前面カバー部33の下端がサッシ枠20の下側の鍔部26の下端よりもさらに下側に位置するように設定されている。なお、鍔部26よりも下側に位置する部分(余剰部分)の中間前面カバー部33の裏側、つまり当該中間前面カバー部33と外壁11との間には、後述する透湿防水シート62が配置される。
【0035】
中間上面カバー部32は、窓台14の左右方向の全範囲の上面を覆うように形成されている。具体的に、中間上面カバー部32は、中間前面カバー部33の上縁から室内側に突出しかつサッシ枠20の嵌め込み部24と窓台14との間に配置される本体部320と、本体部320の室内側の端部から上方に立ち上がる水返し部321とを有している。
【0036】
本体部320は、平面視(上面視)で左右方向に長い矩形を呈するシート状のものであり、その前後幅、つまり開口周縁部材10の開口面と直交する方向(室内から室外またはその逆に向かう方向)の寸法は、開口12内にサッシ枠20の嵌め込み部24が嵌り込んだ状態において本体部320の室内側の端部が嵌め込み部24の室内側の端部よりもさらに室内側に位置するように設定されている。これにより、サッシ枠20(下枠)の前後方向におけるいずれの位置から雨水等の水が浸入してきても、この水が窓台14に到達するのを防止することができる。
【0037】
水返し部321は、その立上り代(上下方向の寸法)が本体部320の前後幅よりも小さくなるように、本体部320の室内側の端部から短く上方に突出している。このような水返し部321は、サッシ枠20の下枠等から本体部320上に雨水等の水が漏れてきたときに、この水が室内側に流れ込むのを防止する役割を果たす。
【0038】
図5及び図7(A)に示すように、一対のコーナ防水部材35は、それぞれ、上面カバー部36と、側面カバー部37と、前面カバー部38とを一体に備えている。
【0039】
前面カバー部38は、開口周縁部材10の下側のコーナ部の前面、つまり、窓台14の左右方向の端部と柱部材13の下端部の各前面(室外側の面)を覆うように形成されている。具体的に、前面カバー部38は、正面視において上記コーナ部の形状に沿ったL字型を呈するシート状のものであり、サッシ枠20の鍔部26と窓台14及び柱部材13との間に配置される。言い換えると、前面カバー部38は、窓台14の左右方向の端部の前面を覆う本体部380と、本体部380の端部から上方に延びて柱部材13の前面を覆う上方延設部381とを有している。
【0040】
図5に示すように、本体部380の高さ寸法(上下方向の寸法)をL1とし、上方延設部381の幅寸法(左右方向の寸法)をL2とすると、前面カバー部38は、L1をL2で割った値(L1/L2)が2以上3以下となるように設定されている。言い換えると、前面カバー部38は、本体部380の高さ寸法L1が上方延設部381の幅寸法L2の2倍以上3倍以下の範囲で大きくなるように形成されている。
【0041】
本体部380の高さ寸法L1は、中間防水部材31の中間前面カバー部33の高さ寸法と同一に設定されている。このため、本体部380は、その下端がサッシ枠20の下側の鍔部26の下端よりもさらに下側に位置するように配置される。
【0042】
上面カバー部36は、窓台14の左右方向の端部の上面を覆うように形成されている。具体的に、上面カバー部36は、前面カバー部38の本体部380の上縁から室内側に突出しかつサッシ枠20の嵌め込み部24と窓台14との間に配置される本体部360と、本体部360の室内側の端部から上方に立ち上がる水返し部361とを有している。
【0043】
本体部360は、平面視(上面視)で左右方向に長い矩形を呈するシート状のものであり、その前後幅(開口周縁部材10の開口面と直交する方向の寸法)は、中間防水部材31の中間上面カバー部32(本体部320)の前後幅と同一に設定されている。このため、開口12内にサッシ枠20の嵌め込み部24が嵌り込んだ状態において、本体部360は、その室内側の端部が嵌め込み部24の室内側の端部よりもさらに室内側に位置するように配置される。このことは、サッシ枠20(下枠)から浸入した雨水等の水が窓台14に到達するのを防止することにつながる。
【0044】
水返し部361は、その立上り代(上下方向の寸法)が中間防水部材31の水返し部321と同一になるように、本体部360の室内側の端部から短く上方に突出している。このような水返し部361は、サッシ枠20の下枠等から本体部360上に雨水等の水が漏れてきたときに、この水が室内側に流れ込むのを防止する役割を果たす。
【0045】
側面カバー部37は、柱部材13の下端部の内側面(開口12を規定する面)を覆うように形成されている。具体的に、側面カバー部37は、前面カバー部38の上方延設部381の内縁(開口12に近い側の縁部)から室内側に突出しかつサッシ枠20の嵌め込み部24と柱部材13との間に配置される本体部370と、本体部370の室内側の端部から内側(開口12の幅中心に向かう方向)に折り返された水返し部371とを有している。
【0046】
本体部370は、開口12内から柱部材13側に向かう側面視において上下方向に長い矩形を呈するシート状のものであり、その前後幅(開口周縁部材10の開口面と直交する方向の寸法)は、上面カバー部36の本体部360の前後幅と同一に設定されている。また、水返し部371の折り返し幅(左右方向の寸法)は、上面カバー部36の水返し部361の立ち上がり代と同一に設定されている。本体部370及び水返し部371は、正面視L字状の前面カバー部38の内角部に対応する位置において、上面カバー部36の本体部360及び水返し部361に接続されている。
【0047】
以上のような一対のコーナ防水部材35は、図12(A)~図13(B)に示される防水素材35’を左右に2分割することにより形成される。防水素材35’は、前面カバー部38’と、上面カバー部36’と、左右一対の側面カバー部37’とを一体に備えている。
【0048】
前面カバー部38’は、鉛直面に沿ったシート状の部材であり、正面視で左右方向に長い矩形を呈する本体部380’と、本体部380’の左右両端部から上方に延びる一対の上方延設部381’とを有している。この前面カバー部38’(本体部380’及び上方延設部381’)は、上述した一対のコーナ防水部材35の各前面カバー部38(本体部380及び上方延設部381)に対応している。
【0049】
上面カバー部36’は、前面カバー部38’の本体部380’の上縁から当該本体部380’の面直方向に突出する本体部360’と、本体部360’の突出方向の先端から上方に立ち上がる水返し部361’とを有している。この上面カバー部36’(本体部360’及び水返し部361’)は、上述した一対のコーナ防水部材35の各上面カバー部36(本体部360及び水返し部361)に対応している。
【0050】
側面カバー部37’は、前面カバー部38’の上方延設部381’の内縁から上面カバー部36’(その本体部360’)と同方向に突出する本体部370’と、本体部370’の突出方向の先端から内側に折り返された水返し部371’とを有している。この側面カバー部37’(本体部370’及び水返し部371’)は、上述したコーナ防水部材35の側面カバー部37(本体部370及び水返し部371)に対応している。
【0051】
前面カバー部38’及び上面カバー部36’の裏面には、一連のカット溝Sが形成されている。具体的に、カット溝Sは、前面カバー部38’の本体部380’の裏面(上面カバー部36’が突出している側の面)と、上面カバー部36’の本体部360’の下面と、上面カバー部36’の水返し部361’の裏面とに亘って形成されている。カット溝Sは、肉厚が相対的に薄くなるように形成された凹溝であり、防水素材35’を左右に2分割(2等分)する線に沿って形成されている。
【0052】
以上のような防水素材35’は、これを開口周縁部材10に取り付ける前に、カット溝S(凹溝)に沿って2分割される。そして、当該2分割によって形成される防水素材35’の各分割体が、上述した一対のコーナ防水部材35として用いられる。
【0053】
次に、以上のようなサッシ用防水部材30(中間防水部材31及びコーナ防水部材35)及びサッシ枠20を開口周縁部材10に取り付ける手順について説明する。
【0054】
まず、図6(A)に示されるように、窓台14の上面に、当該窓台14の左右方向の全範囲に亘って防水両面テープ60(第1防水両面テープ)が貼り付けられる。また、中間防水部材31として、窓台14と同一の左右方向の寸法を有するものが用意される。例えば、予め用意されたオリジナルの中間防水部材の長さが窓台14の左右方向の寸法よりも長かった場合には、このオリジナルの中間防水部材が長手方向の途中でカットされることにより、窓台14と同一の左右方向(長手方向)の寸法を有する中間防水部材31が用意される。逆に、上記オリジナルの中間防水部材の長さが窓台14の左右方向の寸法よりも短かった場合には、複数の当該中間防水部材が部分的に重ね合わせられつつ長手方向に連結されることにより、やはり窓台14と同一の左右方向(長手方向)の寸法を有する中間防水部材31が用意される。なお、オリジナルの中間防水部材の長さが窓台14の左右方向の寸法と同一であった場合には、当然ながら、このオリジナルの中間防水部材がそのまま中間防水部材31として使用される。
【0055】
次に、用意された中間防水部材31が、図6(B)に示されるように、防水両面テープ60を介して窓台14に取り付けられる。すなわち、窓台14の左右方向の全範囲における前面及び上面が中間前面カバー部33及び中間上面カバー部32によりそれぞれ覆われるように中間防水部材31が配置されるとともに、中間上面カバー部32が防水両面テープ60を介して窓台14の上面に貼り付けられる。このとき、中間前面カバー部33と中間上面カバー部32との接続部(角部)が窓台14の前面と上面との接続部(角部)と一致するように、中間防水部材31が位置決めされる。なお、上記の施行手順から理解されるように、中間防水部材31の左右方向の寸法と窓台14の左右方向の寸法(一対の柱部材13,13の内側面どうしの間隔)との間には、ある程度の誤差が生じ得る。すなわち、本明細書において、中間防水部材31の左右方向(長手方向)の寸法は、窓台14と完全に同一である必要はなく、多少の誤差を含んでいてもよい。
【0056】
このようにして中間防水部材31が窓台14に取り付けられると、次に図7(A)に示されるように、一対のコーナ防水部材35が用意されるとともに、各コーナ防水部材35の前面カバー部38の裏面(中間防水部材31に対向する面)に防水両面テープ60(第2防水両面テープ)が貼り付けられる。一対のコーナ防水部材35は、図12(A)~図13(B)を用いて既に説明したとおり、防水素材35’をカット溝Sに沿って2分割することによって用意される。防水両面テープ60は、各コーナ防水部材35の前面カバー部38及び上面カバー部36の内側端部、詳しくは、当該前面カバー部38及び上面カバー部36における開口12の幅中心に近い側の端部の裏面に貼り付けられる。
【0057】
次に、図7(B)に示されるように、各コーナ防水部材35が、開口周縁部材10の下側のコーナ部にそれぞれ取り付けられる。すなわち、中間防水部材31が取り付けられた状態の下側のコーナ部の各面が前面カバー部38、上面カバー部36、及び側面カバー部37によりそれぞれ覆われるようにコーナ防水部材35が配置されるとともに、前面カバー部38及び上面カバー部36が防水両面テープ60を介して中間防水部材31の前面及び上面(中間前面カバー部33及び中間上面カバー部32)に貼り付けられる。このとき、上面カバー部36と側面カバー部37との接続部(角部)が窓台14の上面と柱部材13の内側面との接続部(角部)と一致するように、コーナ防水部材35が位置決めされる。このコーナ防水部材35の取り付けにより、窓台14の左右方向の端部の前面が中間防水部材31(中間前面カバー部33)の上から前面カバー部38の本体部380によって覆われ、窓台14の左右方向の端部の上面が中間防水部材31(中間上面カバー部32)の上から上面カバー部36によって覆われ、柱部材13の前面が前面カバー部38の上方延設部381によって覆われ、柱部材13の内側面が側面カバー部37によって覆われる。
【0058】
以上のようにして中間防水部材31及びコーナ防水部材35が開口周縁部材10に取り付けられると、次に図8に示されるように、サッシ枠20が開口周縁部材10に取り付けられる。具体的には、嵌め込み部24が開口12内に挿入され、かつ鍔部26の裏面が各防水部材31,35の前面カバー部33,38、柱部材13の前面、及びまぐさ15の前面と当接するように、サッシ枠20が開口周縁部材10に取り付けられる。
【0059】
また、この取り付け状態において、サッシ枠20の鍔部26が柱部材13、まぐさ15、窓台14等にビスや釘等で固定されることにより、サッシ枠20が開口周縁部材10に固定される。これにより、中間防水部材31及びコーナ防水部材35の各前面カバー部33,38が鍔部26と窓台14及び柱部材13との間に挟み込まれ、両防水部材31,35の各上面カバー部32,36が嵌め込み部24と窓台14との間に挟み込まれ、コーナ防水部材35の側面カバー部37が嵌め込み部24と柱部材13との間に挟み込まれる。
【0060】
サッシ枠20が固定されると、次に図9に示されるように、サッシ枠20の周りに防水両面テープ60が貼り付けられる。具体的に、防水両面テープ60は、サッシ枠20の左右の側辺部及び上辺部(左右の鍔部26及び上側の鍔部26)に沿って貼り付けられる。このとき、サッシ枠20の上辺部に沿って貼り付けられる防水両面テープ(上部の防水両面テープ)60は、サッシ枠20の左右の側辺部に沿って貼り付けられる防水両面テープ(左右の防水両面テープ)60に対し前側(室外側)から重ね合わせられるとともに、この重ね合わせ部において、上部の防水両面テープ60が左右の防水両面テープ60よりも上側にはみ出さないように、左右の防水両面テープ60の長さが調整される。
【0061】
サッシ枠20の周りに防水両面テープ60が貼り付けられると、次に図10に示すように、サッシ枠20の下側の外壁11を覆うように透湿防水シート62が取り付けられる。具体的に、透湿防水シート62は、中間防水部材31及びコーナ防水部材35の各前面カバー部33,38よりも低い高さ位置から各前面カバー部33,38の上下方向の途中部(より詳しくは窓台14の上下幅の略中央部)に対応する位置までの範囲を覆うように取り付けられる。このとき、透湿防水シート62の上端部は、中間防水部材31及びコーナ防水部材35の各前面カバー部33,38(より詳しくは前面カバー部33,38のうち鍔部26の下縁よりも下方に位置する余剰部分)と窓台14及び外壁11との間に差し込まれる。その後、透湿防水シート62は、柱部材13等に釘等によって固定される。
【0062】
サッシ枠20の下側領域に透湿防水シート62が取り付けられると、次に図11に示されるように、サッシ枠20と同じ高さ領域やサッシ枠20よりも上側の領域にも透湿防水シート62が取り付けられる。具体的には、まずサッシ枠20の左右両側の領域に透湿防水シート62が取り付けられる。この透湿防水シート62は、左右の鍔部26及びコーナ防水部材35の各前面を含む領域を覆うように取り付けられるとともに、図9に示した左右の防水両面テープ60に貼り付けられる。このとき、当該透湿防水シート62の下端部と、既に取り付けられている透湿防水シート62(サッシ枠20の下側領域に取り付けられた透湿防水シート62)の上端部とが、上側のシートが下側のシートよりも前側(室外側)に位置するような関係で重ね合わせられる。次に、サッシ枠20の上側領域にも別の透湿防水シート62が取り付けられる。この透湿防水シート62は、上側の鍔部26の前面を含む領域を覆うように取り付けられるとともに、図9に示した上部の防水両面テープ60に貼り付けられる。このとき、当該透湿防水シート62の下端部と、その下側の(サッシ枠20の左右に取り付けられた)透湿防水シート62の上端部とが、上側のシートが下側のシートよりも前側に位置するような関係で重ね合わせられる。
【0063】
このようにしてサッシ枠20の周囲(上下左右)に透湿防水シート62が取り付けられると、その前側からサイディング等の外壁部材が取り付けられる。これにより、建物の外壁面が形成される。
【0064】
以上説明したように、本実施形態では、開口周縁部材10の下縁部(つまり窓台14)とサッシ枠20との間に中間防水部材31が配置されるとともに、開口周縁部材10の下側のコーナ部とサッシ枠20との間に一対のコーナ防水部材35が配置されるので、開口周縁部材10(もしくはサッシ枠20)の寸法が種々異なった場合でも、これら中間防水部材31及びコーナ防水部材35を用いて的確に開口周縁部材10の防水処理を行うことができる。すなわち、窓台14を覆うことに特化した(つまり窓台14に沿って左右方向に延びる形状を有する)中間防水部材31をカットしたり複数つなぎ合わせることにより、種々の寸法の開口周縁部材10の窓台14を中間防水部材31で適正に覆うことができる。さらに、この中間防水部材31の左右両端部に重なる態様で、一対のコーナ防水部材35が開口周縁部材10の下側のコーナ部に配置されるので、これら中間防水部材31とコーナ防水部材35との協働により、開口周縁部材10の窓台14への漏水、つまりサッシ枠20の周囲の隙間から浸入する雨水等の水が窓台14に到達するのを効果的に防止することができる。
【0065】
特に、上記実施形態では、窓台14の左右方向の全範囲を覆うように中間防水部材31が配置されるので、サッシ枠20の側辺部と柱部材13との隙間を伝って雨水等の水が下方に移動してきたとしても、当該水が窓台14に到達することが上記中間防水部材31及びコーナ防水部材35によって確実に阻止される。すなわち、窓台14の左右両端部(言い換えれば窓台14と一対の柱部材13との接続部)は、サッシ枠20の左右の側辺部と柱部材13との隙間を伝って下方に移動してくる水の浸入を受け易い箇所であるが、上記実施形態では、当該箇所が中間防水部材31の左右両端部とコーナ防水部材35とによって2重に覆われているので、上記窓台14の左右両端部に水が到達すること、ひいては窓台14から室内側に水が浸入することが、より高い確率で阻止される。
【0066】
より具体的に、上記実施形態では、中間防水部材31として、中間前面カバー部33と中間上面カバー部32とを有するものが用意され、窓台14の左右方向の全範囲における前面(室外側の面)及び上面が、中間前面カバー部33及び中間上面カバー部32によりそれぞれ覆われる。また、コーナ防水部材35として、前面カバー部38と上面カバー部36と側面カバー部37とを備えるものが用意され、窓台14の左右両端部の前面及び上面が、これを既に覆っている中間防水部材31(中間前面カバー部33及び中間上面カバー部32)の上から、さらに前面カバー部38の本体部380及び上面カバー部36によって覆われるとともに、柱部材13の下端部の前面及び内側面が、前面カバー部38の上方延設部381及び側面カバー部37によって覆われる。このような構成によれば、窓台14の前面及び上面と、柱部材13の前面及び内側面とを、これら各面に沿った形状を有する中間防水部材31及びコーナ防水部材35によって適正に覆うことができ、上述した作用効果を確実に得ることができる。
【0067】
また、上記実施形態では、図7(B)に示したように、コーナ防水部材35の前面/上面カバー部38,36の内側端部(各カバー部の開口12の幅中心に近い側の端部)と、中間防水部材31の中間前面/上面カバー部33,32との間に防水両面テープ60が貼り付けられている。このような構成によれば、例えばサッシ枠20の左右の側辺部と柱部材13との隙間を伝って下方に移動してきた雨水等の水がコーナ防水部材35の上面カバー部36に到達した場合に、この水がコーナ防水部材35と中間防水部材31との隙間から室内側に浸入するのを確実に防止することができる。
【0068】
すなわち、コーナ防水部材35の上面カバー部36に水が到達した場合、この水は、例えば当該上面カバー部36に沿って開口12の幅中心に向かう側に移動した後、さらに、コーナ防水部材35の前面/上面カバー部38,36と中間防水部材の中間前面/上面カバー部33,32との間の隙間に浸入することがある。しかも、当該隙間に浸入した水は、窓台14と柱部材13との接続部まで到達してさらに室内側へと移動するおそれがある。これに対し、上記実施形態では、コーナ防水部材35の前面/上面カバー部38,36における開口12の幅中心に近い側の端部(言い換えれば窓台14と柱部材13との接続部から最も遠い側の端部)と、中間防水部材31の中間前面/上面カバー部33,32との間に防水両面テープ60(図7(B))が貼り付けられているので、上記経路による水の浸入を確実に防止することができる。
【0069】
また、上記実施形態において、コーナ防水部材35は、前面カバー部38の本体部380の高さ寸法(上下方向の寸法)L1が、前面カバー部38の上方延設部381の幅寸法(左右方向の寸法)L2に対し2倍以上3倍以下の範囲で大きくなるように形成されている。このような構成によれば、前面カバー部38の本体部380のうちサッシ枠20の下縁(下側の鍔部26の下縁)よりも下方に位置する余剰部分の高さ寸法を比較的大きくとれるので、この余剰部分と、その裏側(室内側)に重ねて配置される透湿防水シート62とのオーバーラップ量を十分に確保することができ、防水性能をより高めることができる。
【0070】
また、上記実施形態では、一対のコーナ防水部材35として、左右対称の防水素材35’をカット溝Sの位置で2分割したものが使用されるので、一対のコーナ防水部材35をそれぞれ個別に成型する必要がなく、コーナ防水部材35の製造コストを削減することができる。もちろん、施工現場等で防水素材35’を左右に2分割する作業が必要にはなるが、分割すべき位置に一連のカット溝Sが形成された上記実施形態によれば、その作業性を良好なものとすることができる。すなわち、肉厚が薄くされたカット溝S(凹溝)の存在により、防水素材35’を2分割する作業の作業負担を軽減できるとともに、分割すべき位置をカット溝Sによって明瞭に認識することができる。
【0071】
なお、本発明の防水窓構造及び防水処理方法、並びにサッシ用防水部材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0072】
例えば、上記実施形態では、一対のコーナ防水部材35の素材である防水素材35’の上面カバー部36’の左右方向の寸法よりも、窓台14の左右方向の寸法の方が長いことを前提に、防水素材35’を左右に2分割して一対のコーナ防水部材35を形成し、これら一対のコーナ防水部材35を中間防水部材31と併せて防水処理に使用するようにしたが、窓台14の左右方向の寸法が短い場合には、上記とは別の施工手順で開口周縁部材10に防水処理を施すことが可能である。例えば、窓台14の左右方向の寸法が防水素材35’の上面カバー部36’の左右方向の寸法と全く同一である場合には、防水素材35’を左右に2分割することなく、そのままサッシ用防水部材として使用することが可能である。また、窓台14の左右方向の寸法が防水素材35’の上面カバー部36’の左右方向の寸法よりも短い場合には、図14に示すように、防水素材35’を左右に2分割して一対のコーナ防水部材35を形成し、かつ当該一対のコーナ防水部材35を部分的に重ね合わせつつ両面テープ等を用いて左右方向に連結することにより、防水素材35’よりも左右方向の寸法が短縮された連結体を形成する。そして、この連結体(つまり一対のコーナ防水部材35,35を連結したもの)を、サッシ用防水部材として開口周縁部材10の防水処理に使用する。
【符号の説明】
【0073】
10 開口周縁部材
11 外壁
12 開口
13 柱部材
14 窓台
20 サッシ枠
30 サッシ用防水部材
31 中間防水部材
32 中間上面カバー部
33 中間前面カバー部
35 コーナ防水部材
36 上面カバー部
37 側面カバー部
38 前面カバー部
380 本体部
381 上方延設部
35’ 防水素材
S カット溝(凹溝)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14