(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】太陽光発電装置を用いた太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H02S 40/22 20140101AFI20220506BHJP
H02S 20/20 20140101ALI20220506BHJP
【FI】
H02S40/22
H02S20/20
(21)【出願番号】P 2018180522
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】新井 勘
(72)【発明者】
【氏名】淵▲崎▼ 礼奈
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-284215(JP,A)
【文献】特開2014-049550(JP,A)
【文献】特開2016-167935(JP,A)
【文献】特開平08-148711(JP,A)
【文献】特開昭60-187065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0151769(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 40/22
H02S 20/20
H01L 31/04-31/056
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部を備えた太陽光発電パネルと、反射面を備えた反射パネルとを備え、
太陽光発電パネルの受光面と反射パネルの反射面とが連なるように配置された
とともに、
前記太陽光発電パネルの受光面とは反対側の面側に、当該太陽光発電パネルとは別の太陽光発電パネルを備え、当該別の太陽光発電パネルは、受光面とは反対側の面が、前記太陽光発電パネルの受光面とは反対側の面と向かい合うように配置された構成の太陽光発電装置を複数用い、
各太陽光発電装置は、太陽光を直接に受ける位置に、前記太陽光発電パネルの受光面と反射面とが設置されるとともに、各太陽光発電装置の前記別の太陽光発電パネルの受光面が、隣りの太陽光発電装置の反射面を反射した反射光を直接に受ける位置に設置された太陽光発電システムであって、
各太陽光発電装置は、反射面が受光面よりも下方に位置されるように、地上側から上方に向けて斜めに傾斜する傾斜面に沿って間隔を隔てて上下方向に並ぶように配置され、
各太陽光発電装置の傾斜角度は、前記傾斜面の傾斜角度よりも大きくなるように設定されるとともに、上下に隣り合う上下の太陽光発電装置は、下側の太陽光発電装置の上端が、上側の太陽光発電装置の下端よりも、上方に位置されるように設置されたことを特徴とする太陽光発電
システム。
【請求項2】
各太陽光発電装置の設置地点の冬至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線が、上下に隣り合う下の太陽光発電装置の上端と上の太陽光発電装置の反射面の上端とを通過するとともに、各太陽光発電装置の設置地点の夏至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線が、上下に隣り合う下の太陽光発電装置の上端と上の太陽光発電装置の下端とを通過するように、上下の太陽光発電装置が設置されたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電
システム。
【請求項3】
光電変換部を備えた太陽光発電パネルと、反射面を備えた反射パネルとを備え、
太陽光発電パネルの受光面と反射パネルの反射面とが連なるように配置されたとともに、
前記太陽光発電パネルの受光面とは反対側の面側に、当該太陽光発電パネルとは別の太陽光発電パネルを備え、当該別の太陽光発電パネルは、受光面とは反対側の面が、前記太陽光発電パネルの受光面とは反対側の面と向かい合うように配置された構成の太陽光発電装置を複数用い、
各太陽光発電装置は、太陽光を直接に受ける位置に、前記太陽光発電パネルの受光面と反射面とが設置されるとともに、各太陽光発電装置の前記別の太陽光発電パネルの受光面が、隣りの太陽光発電装置の反射面を反射した反射光を直接に受ける位置に設置された太陽光発電システムであって、
各太陽光発電装置は、反射面が受光面よりも上方に位置されて、かつ、垂直面に沿って間隔を隔てて垂直方向に並ぶように配置されたことを特徴とす
る太陽光発電
システム。
【請求項4】
各太陽光発電装置の設置地点の冬至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線が、垂直方向の上下に隣り合う上の太陽光発電装置の下端と下の太陽光発電装置の上端を通過するように、さらには、各太陽光発電装置の設置地点の夏至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線が、垂直方向の上下に隣り合う上の太陽光発電装置の下端と下の太陽光発電装置の反射面の下端とを通過するように、上下の太陽光発電装置が設置されたことを特徴とする請求項3に記載の太陽光発電
システム。
【請求項5】
太陽光発電パネルの受光面と反射パネルの反射面とが、同一平面上で隣り合うように、太陽光発電パネルと反射パネルとが配置されたことを特徴とする請求項1
乃至請求項4のいずれか一項に記載の太陽光発電
システム。
【請求項6】
太陽光発電パネルの受光面と反射パネルの反射面とのなす角度が変更可能となるように構成されたことを特徴とする請求項1
乃至請求項4のいずれか一項に記載の太陽光発電
システム。
【請求項7】
太陽光発電パネルと反射パネルとが連結手段により連結されたことを特徴とする請求項1乃至請求項
6のいずれか一項に記載の太陽光発電
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換部を搭載した太陽光発電装置を用いた太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光電変換部(太陽電池)を搭載した太陽光発電装置が知られている(特許文献1、2参照)。
特許文献1には、基板の一方の面に光電変換素子を備えるとともに基板の他方の面に光反射体を備えた構成の太陽光発電装置や、基板の一方の面に光電変換素子及び光反射体の積層構造体を備えた構成の太陽光発電装置が開示されている。
特許文献2には、屋根部材の上面に反射板(反射面)を備えるとともに屋根部材の下面にフィルム型の色素増感太陽電池を備えた構造の太陽光発電装置や、屋根部材の上面にフィルム型の色素増感太陽電池を設けて当該色素増感太陽電池における屋根部材の下面側に反射面を設けた構成、即ち、上記屋根部材の上面に色素増感太陽電池及び反射面の積層構造体を備えた構成の太陽光発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平4-107860号公報
【文献】特開2017-199885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたような、基板の一方の面に光電変換素子を備えるとともに基板の他方の面に光反射体を備えた構成の太陽光発電装置や、特許文献2に開示されたような、屋根部材の上面に反射面を備えるとともに屋根部材の下面に色素増感太陽電池を備えた構成の太陽光発電装置では、太陽電池及び反射面の両方に太陽光を照射させることが困難となる。
また、特許文献1に開示された光電変換素子及び光反射体の積層構造体や、特許文献2に開示された色素増感太陽電池及び反射面の積層構造体を備えた太陽光発電装置では、光反射体や反射面の太陽光受光面側に反射光電変換素子や色素増感太陽電池を備えた構成であるため、反射光電変換素子や色素増感太陽電池に遮られて反射面に対する入射量及び反射量が少なくなってしまう。このため、反射面を反射した反射光を受光する光電変換部の発電効率が低下する。
即ち、特許文献1や特許文献2に開示された太陽光発電装置では、反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現できないといった課題があった。
本発明は、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現可能な太陽光発電装置を用いた太陽光発電システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る太陽光発電システムは、光電変換部を備えた太陽光発電パネルと、反射面を備えた反射パネルとを備え、太陽光発電パネルの受光面と反射パネルの反射面とが連なるように配置されたとともに、前記太陽光発電パネルの受光面とは反対側の面側に、当該太陽光発電パネルとは別の太陽光発電パネルを備え、当該別の太陽光発電パネルは、受光面とは反対側の面が、前記太陽光発電パネルの受光面とは反対側の面と向かい合うように配置された構成の太陽光発電装置を複数用い、各太陽光発電装置は、太陽光を直接に受ける位置に、前記太陽光発電パネルの受光面と反射面とが設置されるとともに、各太陽光発電装置の前記別の太陽光発電パネルの受光面が、隣りの太陽光発電装置の反射面を反射した反射光を直接に受ける位置に設置された太陽光発電システムであって、各太陽光発電装置は、反射面が受光面よりも下方に位置されるように、地上側から上方に向けて斜めに傾斜する傾斜面に沿って間隔を隔てて上下方向に並ぶように配置され、各太陽光発電装置の傾斜角度は、前記傾斜面の傾斜角度よりも大きくなるように設定されるとともに、上下に隣り合う上下の太陽光発電装置は、下側の太陽光発電装置の上端が、上側の太陽光発電装置の下端よりも、上方に位置されるように設置されたことを特徴とする。
また、各太陽光発電装置の設置地点の冬至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線が、上下に隣り合う下の太陽光発電装置の上端と上の太陽光発電装置の反射面の上端とを通過するとともに、各太陽光発電装置の設置地点の夏至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線が、上下に隣り合う下の太陽光発電装置の上端と上の太陽光発電装置の下端とを通過するように、上下の太陽光発電装置が設置されたことを特徴とする。
また、本発明に係る太陽光発電システムは、光電変換部を備えた太陽光発電パネルと、反射面を備えた反射パネルとを備え、太陽光発電パネルの受光面と反射パネルの反射面とが連なるように配置されたとともに、前記太陽光発電パネルの受光面とは反対側の面側に、当該太陽光発電パネルとは別の太陽光発電パネルを備え、当該別の太陽光発電パネルは、受光面とは反対側の面が、前記太陽光発電パネルの受光面とは反対側の面と向かい合うように配置された構成の太陽光発電装置を複数用い、各太陽光発電装置は、太陽光を直接に受ける位置に、前記太陽光発電パネルの受光面と反射面とが設置されるとともに、各太陽光発電装置の前記別の太陽光発電パネルの受光面が、隣りの太陽光発電装置の反射面を反射した反射光を直接に受ける位置に設置された太陽光発電システムであって、各太陽光発電装置は、反射面が受光面よりも上方に位置されて、かつ、垂直面に沿って間隔を隔てて垂直方向に並ぶように配置されたことを特徴とする。
また、各太陽光発電装置の設置地点の冬至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線が、垂直方向の上下に隣り合う上の太陽光発電装置の下端と下の太陽光発電装置の上端を通過するように、さらには、各太陽光発電装置の設置地点の夏至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線が、垂直方向の上下に隣り合う上の太陽光発電装置の下端と下の太陽光発電装置の反射面の下端とを通過するように、上下の太陽光発電装置が設置されたことを特徴とする。
また、太陽光発電パネルの受光面と反射パネルの反射面とが、同一平面上で隣り合うように、太陽光発電パネルと反射パネルとが配置されたことを特徴とする。
また、太陽光発電パネルの受光面と反射パネルの反射面とのなす角度が変更可能となるように構成されたことを特徴とする。
また、太陽光発電パネルと反射パネルとが連結手段により連結されたことを特徴とする。
以上のような本願発明の太陽光発電システムによれば、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】太陽光発電装置を示す斜視図(実施形態1)。
【
図2】太陽光発電装置を示す側面図(実施形態1)。
【
図4】太陽光発電装置を示す側面図(実施形態2)。
【
図5】太陽光発電装置を示す側面図(実施形態3)。
【
図6】太陽光発電装置を示す側面図(実施形態4)。
【
図8】太陽光発電システムの一例である「反射面上側斜め配列方式」を示す図(実施形態8)。
【
図9】「反射面上側斜め配列方式」の設置例を示す図(実施形態8)。
【
図10】「反射面上側斜め配列方式」の設置条件を説明する図(実施形態8)。
【
図11】太陽光発電システムの一例である「反射面下側斜め配列方式」を示す図(実施形態8)。
【
図12】太陽光発電システムの一例である「水平配列方式」を示す図(実施形態8)。
【
図13】太陽光発電システムの一例である「垂直配列方式」を示す図(実施形態8)。
【
図14】太陽光発電システムの他例を示す図(実施形態9)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1に係る太陽光発電装置1は、光電変換部2、即ち、複数の太陽電池素子(セル)3(
図3参照)により構成された太陽電池モジュールを所定の電圧及び電流を得るのに必要な数だけ直列あるいは並列に接続して配列された構成の光電変換部(太陽電池)2を備えた太陽光発電パネル4と、反射面5を備えた反射パネル6とを備え、太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とが連なるように配置されて、当該太陽光発電パネル4と反射パネル6とが固定具や接着手段等の連結手段8により連結された構成である。
尚、受光面7と反射面5とが連なるとは、後述するように、受光面7と反射面5とが同一平面H上で隣り合った状態(
図2参照)、同じ側に配置された受光面7と反射面5とが互いに平行な平面H1,H2上においてこれら平面H1,H2に沿った方向で隣り合った状態、即ち、同じ側に配置された受光面7と反射面5とが段差を介して連続する状態(
図4参照)、同じ側に配置された受光面7と反射面5とのなす角度αが鈍角となる状態(
図5参照)、同じ側に配置された受光面7と反射面5とのなす角度βが180度よりも大きく270度よりも小さい角度となる状態(
図6参照)等に設定されることを言う。
【0008】
太陽光発電装置1は、例えば
図2に示すように、太陽光発電パネル4の受光面(太陽光発電パネル4の一方の板面)7と反射パネル6の反射面5とが、同一平面H上で隣り合うように配置された状態が維持されるように、太陽光発電パネル4と反射パネル6とが連結手段8により連結されて構成される。
【0009】
太陽光発電パネル4は、例えば
図3に示すように、配線(インターコネクタ)21により接続された複数の太陽電池素子3,3…の受光面22を太陽光発電パネル4の受光面7を形成する強化ガラス板23側に向けて、当該複数の太陽電池素子3,3…が、強化ガラス板23と裏面シート24との間に配置され、強化ガラス板23と裏面シート24との間に透明な樹脂25が充填された四角形の板状に形成される。
例えば、強化ガラス23の上に、EVA樹脂シート、配線21により接続された複数の太陽電池素子3,3…、EVA樹脂シート、裏面シート24の順でこれらを積層した後、この積層構造体を加熱装置で加熱することによって、EVA樹脂シートが溶けて、複数の太陽電池素子3,3…(即ち、光電変換部2)が強化ガラス板23と裏面シート24との間に樹脂25で封入された構成の四角形の板状の太陽光発電パネル4が製造される。
【0010】
反射パネル6は、例えば、四角形の金属板、あるいは、一方の板面が鏡面に形成された四角形の板材等により形成され、当該金属板の一方の板面、あるいは、板材の鏡面等が反射面5として機能するように構成される。
【0011】
実施形態1に係る太陽光発電装置1によれば、光電変換部2を搭載する太陽光発電パネル4と反射面5を備えた反射パネル6とを備え、受光面7と反射面5とが同一平面H上で隣り合った状態、即ち、受光面7と反射面5とが連なるように配置されているので、太陽光発電パネル4による発電と、太陽光が照射されない場所に設置されて反射面5で反射させた反射光を利用する図外の光電変換部を備えた別の太陽光発電パネルの発電とによる電力を得ることが可能となる。即ち、太陽光が照射されない場所(例えば後述するベランダ50の天井面52)に設置した別の太陽光発電パネルでの発電も可能となるため、太陽光発電パネルの設置可能場所を増やすことができるようになって、より多くの電力を得ることができるようになる。つまり、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現可能な太陽光発電装置1を提供できるようになる。
【0012】
実施形態2
実施形態2に係る太陽光発電装置1は、
図4に示すように、太陽光発電パネル4の受光面7(一方の板面)と反射パネル6の反射面5とが、互いに平行な平面H1,H2上において、これら平面H1,H2に沿った方向で隣り合うように配置された状態が維持されるように、太陽光発電パネル4と反射パネル6とが連結手段8により連結された構成とした。
【0013】
実施形態3
実施形態3に係る太陽光発電装置1は、
図5に示すように、太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とのなす角度αが、鈍角となる状態が維持されるように、太陽光発電パネル4と反射パネル6とが連結手段8により連結された構成とした。
【0014】
実施形態4
実施形態4に係る太陽光発電装置1は、
図6に示すように、太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とのなす角度βが、180度よりも大きく270度よりも小さい角度となる状態が維持されるように、太陽光発電パネル4と反射パネル6とが連結手段8により連結された構成とした。
【0015】
実施形態2乃至実施形態4に係る太陽光発電装置1によれば、実施形態1に係る太陽光発電装置1と同様に、受光面7と反射面5とが連なるように配置されているので、太陽光発電パネル4による発電と、太陽光が照射されない場所に設置される図外の太陽光発電パネルの発電とによって、より多くの電力を得ることが可能となる。即ち、太陽光が照射されない場所に設置した太陽光発電パネルでの発電も可能となるため、太陽光発電パネルの設置可能場所を増やすことができるようになって、より多くの電力を得ることができるようになる。つまり、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現可能な太陽光発電装置1を提供できるようになる。
【0016】
実施形態5
図示しないが、実施形態5に係る太陽光発電装置1は、連結手段8として、太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とのなす角度を任意の角度に維持できる角度固定機能付きのヒンジを備えた連結手段8を用い、当該連結手段8により太陽光発電パネル4と反射パネル6とが連結された構成とした。
実施形態5に係る太陽光発電装置1によれば、太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とのなす角度を、上述したような、鈍角、あるいは、180度よりも大きく270度よりも小さい角度に自由に変更できるとともに、太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とが、同一平面上で隣り合うような状態にも設定できるようになる。即ち、実施形態1乃至実施形態4で説明した全ての構成を実現可能な太陽光発電装置1を提供できるようになる。
また、実施形態5に係る太陽光発電装置1によれば、太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とのなす角度を任意に設定できるので、太陽光が照射されない場所に設置する別の太陽光発電パネルの設置可能場所の範囲を広げることが可能となる。換言すれば、太陽光が照射されない場所に設置する別の太陽光発電パネルの設置場所をより自由に選択できるようになる。
【0017】
実施形態6
実施形態6に係る太陽光発電装置1は、
図7に示すように、一方の板面が受光面7に形成されるとともに、他方の板面が別の受光面7Aに形成され、受光面7を介して入射する光を受けて発電する光電変換部(太陽電池)2と、別の受光面7Aを介して入射する光を受けて発電する光電変換部(太陽電池)2Aとを備えた構成の太陽光発電パネル4Aと、反射パネル6とを備えた構成とした。
つまり、実施形態6に係る太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4Aは、例えば、受光面22を太陽光発電パネル4Aの受光面7を形成する強化ガラス板23側に向けて配置された光電変換部2と、受光面22を太陽光発電パネル4Aの受光面7Aを形成する強化ガラス板23A側に向けて配置された光電変換部2Aとを備え、光電変換部2,2Aが強化ガラス板23と強化ガラス板23Aとの間に樹脂25で封入された構成の四角形の板状に形成される。
即ち、両方の板面が受光面7,7Aに形成されて、各受光面7,7Aに対応して光電変換部2,2Aが設けられた構成の太陽光発電パネル4Aと、反射パネル6とを備え、これら太陽光発電パネル4Aと反射パネル6とが連結手段8により連結された構成の太陽光発電装置1とした。
【0018】
実施形態6に係る太陽光発電装置1によれば、太陽光を受ける位置に、一方の太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4Aの受光面7と反射パネル6の反射面5とを設置するとともに、他方の太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4Aの受光面7と反射パネル6の反射面5とを設置し、かつ、一方の太陽光発電装置1の反射面5を反射した反射光を受ける位置に、他方の太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4Aの別の受光面7Aを設置することにより、一方の太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4Aの光電変換部2による発電と、他方の太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4Aの光電変換部2,2Aによる発電とによって、より多くの電力を得ることができる太陽光発電システムを実現できるようになる。つまり、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現できるようになる。
換言すれば、実施形態6に係る太陽光発電装置1を用いることによって、太陽光を直接に受ける位置に太陽光発電パネル4Aの受光面7と反射パネル6の反射面5とが設置された一方の太陽光発電装置1と、太陽光を直接に受ける位置に太陽光発電パネル4Aの受光面7と反射パネル6の反射面5とが設置されるとともに、一方の太陽光発電装置1の反射面5を反射した反射光を直接に受ける位置に太陽光発電パネル4Aの別の受光面7Aを設置された他方の太陽光発電装置1とを備えた構成の太陽光発電システムを構築でき、より多くの電力を得ることができるようになる。
また、実施形態6に係る太陽光発電装置1によれば、同一平面上に、光電変換部(太陽電池)2と光電変換部(太陽電池)2Aとを足した面積と同じ面積の光電変換部(太陽電池)を設ける構成と比べて、コストを削減できる。
また、同一平面上に、光電変換部(太陽電池)2の2倍の面積を持つ光電変換部を設けた構成の場合、季節の変化などで当該光電変換部の一部に太陽光が直接に当たらなくなると、当該光電変換部全体の発電効率が悪くなる。従って、実施形態6の太陽光発電装置1のように、季節の変化などで太陽光が直接に当たらなくなる可能性がある部分に反射面5を設けて、この反射面5で反射させた光を他方の太陽光発電装置1の別の受光面7Aに向けるようにすることで、一方の太陽光発電装置1の光電変換部(太陽電池)2と他方の太陽光発電装置1の光電変換部(太陽電池)2Aとの両方で、効率的に発電を行わせることが可能となる。
【0019】
実施形態7
実施形態7に係る太陽光発電装置1は、実施形態1乃至実施形態5の太陽光発電装置1において、太陽光発電パネル4の受光面7とは反対側の面側、又は、反射パネル6の反射面5とは反対側の面側のうちの少なくとも一方の面側に、当該太陽光発電パネル4とは別の図外の太陽光発電パネルを備えた構成とした。
即ち、実施形態7に係る太陽光発電装置1は、別の太陽光発電パネルの受光面とは反対側の面が、太陽光発電パネル4の受光面7とは反対側の面と向かい合うように配置されたことによって、太陽光発電パネル4の光電変換部2が受光面7を介して入射する太陽光によって発電を行うとともに、別の太陽光発電パネルの光電変換部が当該別の太陽光発電パネルの受光面を介して入射する太陽光によって発電を行うことが可能となるように構成されている。
つまり、実施形態7に係る太陽光発電装置1は、太陽光発電パネル4の裏側、又は、反射パネル6の裏側、又は、太陽光発電パネル4の裏側及び反射パネル6の裏側に、太陽光発電パネル4とは別の太陽光発電パネルを備えた構成とした。
【0020】
実施形態7に係る太陽光発電装置1によれば、太陽光を受ける位置に、一方の太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とを設置するとともに、他方の太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とを設置し、かつ、一方の太陽光発電装置1の反射面5を反射した反射光を受ける位置に、他方の太陽光発電装置1の別の太陽光発電パネルの受光面を設置することにより、一方の太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4による発電と、他方の太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4及び別の太陽光発電パネルによる発電とによって、より多くの電力を得ることができる太陽光発電システムを実現できる。つまり、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現できるようになる。
換言すれば、実施形態7に係る太陽光発電装置1を用いることによって、太陽光を直接に受ける位置に太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とが設置された一方の太陽光発電装置1と、太陽光を直接に受ける位置に太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とが設置されるとともに、一方の太陽光発電装置1の反射面5を反射した反射光を直接に受ける位置に別の太陽光発電パネルの受光面が設置された他方の太陽光発電装置1とを備えた構成の太陽光発電システムを構築でき、より多くの電力を得ることができるようになる。
【0021】
実施形態8
また、実施形態6又は実施形態7に係る太陽光発電装置1であって、太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とが同一平面H上で隣り合うように配置されて構成された太陽光発電装置1を複数用いることによって、
図8,
図11に示すように、地上側から上方に向けて斜めに傾斜する傾斜面11に沿って間隔を隔てて上下方向に並ぶように複数の太陽光発電装置1,1…が配置された太陽光発電システム(以下、「斜め配列方式」という)、又は、
図12に示すように、水平面12に沿って間隔を隔てて水平方向に並ぶように複数の太陽光発電装置1,1…が配置された太陽光発電システム(以下、「水平配列方式」という)、又は、
図13に示すように、垂直面16に沿って間隔を隔てて垂直方向に並ぶように複数の太陽光発電装置1,1…が配置された太陽光発電システム(以下、「垂直配列方式」という)を構築できる。
尚、これら各太陽光発電システムにおいては、各太陽光発電装置1,1…は、太陽光を直接に受ける位置に、太陽光発電パネル4の受光面7と反射面5とが設置されるとともに、各太陽光発電装置1,1…の別の受光面7A、又は、各太陽光発電装置1,1…の別の太陽光発電パネルの受光面は、隣りの太陽光発電装置1の反射面5で反射した反射光を直接に受ける位置に設置される。
【0022】
太陽光発電システムでは、例えば、各太陽光発電装置1,1…は、受光面7及び反射面5が、設置地点での最適傾斜角度(太陽光発電パネル4が最も効率的に発電を行うとされる傾斜角度)となるように設定され、かつ、真南を向くように設置される。
即ち、設置地点が、赤道に近い位置になるほど、太陽光発電装置1の傾斜角度が、水平(0°)に近くなるように設定され、北極点又は南極点に近い位置になるほど、太陽光発電装置1の傾斜角度が、垂直(90°)に近くなるように設定される。
例えば、太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とが同一平面H上で隣り合うように配置されて構成された太陽光発電装置1の最適傾斜角度は、90度-太陽高度(秋分、春分の太陽高度)とした。
【0023】
尚、「斜め配列方式」は、
図8に示すように、反射面5が受光面7よりも上方に位置されるように各太陽光発電装置1,1…が配置された「反射面上側斜め配列方式」と、
図11に示すように、反射面5が受光面7よりも下方に位置されるように各太陽光発電装置1,1…が配置された「反射面下側斜め配列方式」とがある。
【0024】
図8に示すように、傾斜面11に沿って間隔を隔てて上下方向に並ぶように複数の太陽光発電装置1,1…が配置された「反射面上側斜め配列方式」では、各太陽光発電装置1,1の傾斜角度bは、傾斜面11の傾斜角度aよりも小さくなるように設定される。
当該「反射面上側斜め配列方式」では、上下に隣り合う太陽光発電装置1,1は、上の太陽光発電装置1の下端1uが、下の太陽光発電装置1の上端1tよりも上方に位置されるように設置される。
そして、例えば、太陽光発電装置1,1…の設置地点の冬至時の太陽南中時の太陽の仰角cと同じ角度に設定された直線13、即ち、水平面12に対する傾斜角度cの直線13が、上下に隣り合う上の太陽光発電装置1の下端1uを通過するとともに、上下に隣り合う下の太陽光発電装置1の上端1tとを通過するように、上下に隣り合う太陽光発電装置1,1が設置される。
また、各太陽光発電装置1,1…の設置地点の夏至時の太陽南中時の太陽の仰角dと同じ角度に設定された直線14、即ち、水平面12に対する傾斜角度dの直線14が、上下に隣り合う上の太陽光発電装置1の下端1uを通過するとともに、上下に隣り合う下の太陽光発電装置1の反射面5の下端5uを通過するように、上下に隣り合う太陽光発電装置1,1が設置される。
このように構成された「反射面上側斜め配列方式」の場合、夏至時の太陽南中時以外においては、各太陽光発電装置1,1…の各太陽光発電パネル4Aの受光面7を介して光電変換部2に到達した太陽光によって発電が行われるとともに、太陽光が下側に位置される太陽光発電装置1の反射面5で反射し、当該反射光が上隣り側に位置される太陽光発電パネル4Aの別の受光面7Aを介して光電変換部2A(又は別の太陽光発電パネルの光電変換部)に到達して、この反射光によって発電が行われることになる。
従って、より多くの電力を得ることができるようになる。つまり、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現できるようになる。
尚、当該「反射面上側斜め配列方式」では、冬至時においては、反射面5の全面に直接に太陽光が届く。そして、冬至から夏至にかけて太陽光が反射面5に照射される面積が徐々に少なくなっていき、また、夏至から冬至にかけて太陽光が反射面5に照射される面積が徐々に増加していく。
また、「反射面上側斜め配列方式」では、夏至時の太陽南中時においては、各太陽光発電装置1,1…の反射面5には、直接には太陽光が届かない。従って、夏至時の太陽南中時においては、主に、各太陽光発電装置1,1…の各太陽光発電パネル4Aの受光面7を介して光電変換部2に到達した太陽光によって当該光電変換部2が発電を行う。
【0025】
例えば、
図9に示すように、建物Aの外壁面B側において傾斜面11に沿って複数の太陽光発電装置1,1…を配置することによって、「反射面上側斜め配列方式」の太陽光発電システムを備えた建物を構築できる。
当該「反射面上側斜め配列方式」の太陽光発電システムを採用した建物によれば、上下に隣り合う太陽光発電装置1,1間の間隔、及び、建物Aの外壁を貫通する窓等の開口部を介して、建物A内に風が通るように構成されているので、建物A内への通風を阻害せずに、かつ、より多くの電力を得ることができる太陽光発電システムを提供できるようになる。
【0026】
「反射面上側斜め配列方式」においては、例えば
図10に示すように、各太陽光発電装置1,1の傾斜角度bを大きくしていった場合において、下の太陽光発電装置1の上端1tの位置が、上の太陽光発電装置1の下端1uの位置よりも上方に位置されるようになった場合、太陽光Sが下側の太陽光発電装置1の反射面5で反射したとしても、当該反射光が上側の太陽光発電パネル4Aの別の受光面7Aに到達しにくくなる。
そこで、この場合、次に説明する「反射面下側斜め配列方式」を採用することが好ましい。
【0027】
図11に示すように、反射面5が受光面7よりも下方に位置されるように複数の太陽光発電装置1,1…が傾斜面11に沿って間隔を隔てて上下方向に並ぶように配置された「反射面下側斜め配列方式」では、各太陽光発電装置1,1の傾斜角度が、傾斜面11の傾斜角度よりも大きくなるように設定される。
さらに、「反射面下側斜め配列方式」では、上下に隣り合う上下の太陽光発電装置1,1は、下側の太陽光発電装置1の上端が、上側の太陽光発電装置1の下端よりも、上方に位置されるように設置される。
そして、例えば、太陽光発電装置1,1…の設置地点の冬至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線13が、上下に隣り合う下の太陽光発電装置1の上端1tと上の太陽光発電装置1の反射面5の上端5tとを通過するとともに、各太陽光発電装置1,1…の設置地点の夏至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線14が、上下に隣り合う下の太陽光発電装置1の上端1tと上の太陽光発電装置1の下端1uとを通過するように、上下の太陽光発電装置1,1が設置される。
このように構成された「反射面下側斜め配列方式」の場合、冬至時以外には、各太陽光発電装置1,1…の各太陽光発電パネル4Aの受光面7を介して光電変換部2に到達した太陽光によって発電が行われるとともに、太陽光が上側に位置される太陽光発電装置1の反射面5で反射し、当該反射光が下隣り側に位置される太陽光発電パネル4Aの別の受光面7Aを介して光電変換部2A(又は別の太陽光発電パネルの光電変換部)に到達し、この反射光によって発電が行われることになり、より多くの電力を得ることができるようになる。つまり、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現できるようになる。
尚、当該「反射面下側斜め配列方式」では、夏至時の太陽南中時においては、反射面5の全面に直接に太陽光が届く。そして、夏至から冬至にかけて太陽光が反射面5に照射される面積が徐々に少なくなっていき、また、冬至から夏至にかけて太陽光が反射面5に照射される面積が徐々に増加していく。
当該「反射面下側斜め配列方式」では、冬至時においては、各太陽光発電装置1,1…の反射面5には、直接には太陽光が届かない。従って、冬至時においては、主に、各太陽光発電装置1,1…の各太陽光発電パネル4Aの受光面7を介して光電変換部2に到達した太陽光によって当該光電変換部2が発電を行う。
「反射面下側斜め配列方式」は、例えば、比較的、緯度の高い設置地点において、太陽光発電装置1の最適傾斜角度が大きい場合には、反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現できるようになる。
【0028】
図12に示すように、水平面12に沿って間隔を隔てて水平方向に並ぶように複数の太陽光発電装置1,1…が配置された「水平配列方式」では、反射面5が受光面7よりも下方に位置されるように各太陽光発電装置1,1…が配置される。
「水平配列方式」では、例えば、太陽光発電装置1,1…の設置地点の冬至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線13が、水平方向に隣り合う左の太陽光発電装置1の上端1tと右の太陽光発電装置1の反射面5の上端5tとを通過するように、さらには、夏至時の太陽南中時の太陽の仰角に合った角度に設定された直線14が、左右に隣り合う左の太陽光発電装置1の上端1tと右の太陽光発電装置1の下端1uとを通過するように、左右の太陽光発電装置1,1が設置される。
このように構成された「水平配列方式」の場合、冬至時以外には、各太陽光発電装置1,1…の各太陽光発電パネル4Aの受光面7を介して光電変換部2に到達した太陽光によって発電が行われるとともに、太陽光が右側(又は左側)に位置される太陽光発電装置1の反射面5で反射し、当該反射光が左隣り側(又は右隣り側)に位置される太陽光発電パネル4Aの別の受光面7Aを介して光電変換部2A(又は別の太陽光発電パネルの光電変換部)に到達し、この反射光によって発電が行われることになり、より多くの電力を得ることができるようになる。つまり、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現できるようになる。
尚、当該「水平配列方式」では、夏至時の太陽南中時においては、反射面5の全面に直接に太陽光が届く。そして、夏至から冬至にかけて太陽光が反射面5に照射される面積が徐々に少なくなっていき、また、冬至から夏至にかけて太陽光が反射面5に照射される面積が徐々に増加していく。
当該「水平配列方式」では、冬至時においては、各太陽光発電装置1,1…の反射面5には、直接には太陽光が届かない。従って、冬至時においては、主に、各太陽光発電装置1,1…の各太陽光発電パネル4Aの受光面7を介して光電変換部2に到達した太陽光によって当該光電変換部2が発電を行う。
【0029】
図13に示すように、垂直面16に沿って間隔を隔てて垂直方向に並ぶように複数の太陽光発電装置1,1…が配置された「垂直配列方式」では、反射面5が受光面7よりも上方に位置されるように各太陽光発電装置1,1…が配置される。
「垂直配列方式」では、例えば、太陽光発電装置1,1…の設置地点の冬至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線13が、垂直方向の上下に隣り合う上の太陽光発電装置1の下端1uと下の太陽光発電装置1の上端1tを通過するように、さらには、太陽光発電装置1,1…の設置地点の夏至時の太陽南中時の太陽の仰角と同じ角度に設定された直線14が、垂直方向の上下に隣り合う上の太陽光発電装置1の下端1uと下の太陽光発電装置1の反射面5の下端5uとを通過するように、上下の太陽光発電装置1,1が設置される。
このように構成された「垂直配列方式」の場合、夏至時の太陽南中時以外には、各太陽光発電装置1,1…の各太陽光発電パネル4Aの受光面7を介して光電変換部2に到達した太陽光によって発電が行われるとともに、太陽光が下側に位置される太陽光発電装置1の反射面5で反射し、当該反射光が上隣り側に位置される太陽光発電パネル4Aの別の受光面7Aを介して光電変換部2A(又は別の太陽光発電パネルの光電変換部)に到達し、この反射光によって発電が行われることになり、より多くの電力を得ることができるようになる。つまり、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現できるようになる。
尚、当該「垂直配列方式」では、冬至時においては、反射面5の全面に直接に太陽光が届く。そして、冬至から夏至にかけて太陽光が反射面5に照射される面積が徐々に少なくなっていき、また、夏至から冬至にかけて太陽光が反射面5に照射される面積が徐々に増加していく。
当該「垂直配列方式」では、夏至時の太陽南中時においては、各太陽光発電装置1,1…の反射面5には、直接には太陽光が届かない。従って、夏至時の太陽南中時においては、主に、各太陽光発電装置1,1…の各太陽光発電パネル4Aの受光面7を介して光電変換部2に到達した太陽光によって当該光電変換部2が発電を行う。
【0030】
上述した各太陽光発電システムにおいては、各太陽光発電装置1,1…の光電変換部2、及び、光電変換部2A(又は別の太陽光発電パネルの光電変換部)に到達した拡散光によっても発電が行なわれる。
【0031】
尚、上述した各太陽光発電システムにおいて、互いに隣り合う太陽光発電装置1,1の間隔は、太陽光発電装置1の傾斜角度、反射面5を利用した発電効率等を考慮して、決めればよい。
【0032】
当該実施形態8に係る太陽光発電システムによれば、各太陽光発電装置1,1…の各太陽光発電パネル4Aの受光面7を介して光電変換部2に到達した太陽光によって発電が行われるとともに、各太陽光発電装置1,1…の各太陽光発電パネル4Aの別の受光面7Aを介して光電変換部2A(又は別の太陽光発電パネルの光電変換部)に到達した反射光によって発電が行われる太陽光発電システムを実現でき、より多くの電力を得ることができるようになる。つまり、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現できるようになる。
つまり、実施形態6又は実施形態7に係る太陽光発電装置1によれば、少なくとも2つの太陽光発電装置1,1が互いに間隔を隔てて隣り合うように配置されることによって、一方の太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4Aの受光面7を介して光電変換部2に到達した太陽光によって当該光電変換部2による発電が行われるとともに、一方の太陽光発電装置1の反射面5を反射して他方の太陽光発電パネル4Aの別の受光面7Aを介して光電変換部2A(又は別の太陽光発電パネルの光電変換部)に到達した反射光によって当該光電変換部2A(又は別の太陽光発電パネルの光電変換部)による発電が行われることになるので、より多くの電力を得ることができる太陽光発電システムを構築できる。
【0033】
また、実施形態8に係る太陽光発電システムによれば、1年を通じて、各太陽光発電装置1,1…の光電変換部2、及び、光電変換部2A(又は別の太陽光発電パネルの光電変換部)に到達した拡散光によっても発電が行なわれるため、より多くの電力を得ることができる。
【0034】
実施形態9
また、実施形態1乃至実施形態5に係る太陽光発電装置1を用いることによって、次のような、太陽光発電システムを実現することも可能となる。
当該実施形態9に係る太陽光発電システムは、
図14に示すように、太陽光Sを受ける位置である例えば集合住宅(建物A)のベランダ50の手摺51に太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とを設置するとともに、反射面5を反射した反射光Rを受ける位置である例えばベランダ50の天井面52に、光電変換部を搭載した例えば別の太陽光発電パネル60を設置することにより、太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4での発電と、反射面5を反射した反射光Rを受ける別の太陽光発電パネル60での発電とを実現する太陽光発電システムである。尚、太陽光発電装置1は、例えば、連結手段53により、ベランダ50の手摺51の上端51t側に取付けられる。
当該太陽光発電システムによれば、太陽光発電装置1の太陽光発電パネル4での発電と、反射面5を反射した反射光Rを受ける別の太陽光発電パネル60での発電とによって、太陽光及び反射光を利用した効率的な太陽光発電を実現できるようになり、より多くの電力を得ることができるようになる。
【0035】
言い換えれば、実施形態1乃至実施形態5に係る太陽光発電装置1を用いて構築される太陽光発電システムは、太陽光Sを直接に受ける位置に太陽光発電パネル4の受光面7と反射パネル6の反射面5とが設置された太陽光発電装置1と、当該太陽光発電装置1の反射面5を反射した反射光Rを直接に受ける位置に設置された別の太陽光発電パネル60(太陽光発電装置1とは別の光電変換部を備えた太陽光発電パネル)とを備えて構築され、より多くの電力を得ることができる。
【0036】
尚、当該実施形態9に係る太陽光発電システムにおいて、太陽光を直接に受ける位置、別の太陽光発電パネル60を設置する位置(反射光を直接に受ける位置)は、上述したベランダ50の手摺51やベランダ50の天井面52以外の位置でも良く、特に限定されない。
【0037】
また、当該実施形態9に係る太陽光発電システムは、上述した実施形態6又は実施形態7に係る太陽光発電装置1を用いて実現することも可能である。
【0038】
また、光電変換部2,2Aを構成する太陽電池は、どのような構成の太陽電池であってもよい。例えば、光電変換部2,2Aは、シリコン太陽電池、色素増感太陽電池等で構成されていればよい。
【0039】
また、太陽光発電パネル4は、例えば、太陽光発電パネル4の四辺の周囲を囲むように設けられた図外のアルミフレーム等の補強枠により支持されている構成のものであってもよい。
また、反射パネル6は、例えば、反射パネル6の四辺の周囲を囲むように設けられた図外のアルミフレーム等の補強枠により支持されている構成のものであってもよい。
このような構成の場合、太陽光発電パネル4の補強枠と反射パネル6の補強枠とを連結手段8により連結することによって太陽光発電装置1を構成すればよい。
【0040】
また、上記では、別々の製作された太陽光発電パネル4と反射パネル6とが連結手段8により連結された構成の太陽光発電装置1を例示したが、本発明の太陽光発電装置は、太陽光発電パネル4と反射パネル6とが一体に形成された構成の太陽光発電装置であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 太陽光発電装置、2,2A 光電変換部、4,4A 太陽光発電パネル、
5 反射面、6 反射パネル、7 受光面、7A 別の受光面、8 連結手段、
11 傾斜面、A 建物、B 外壁面。