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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20220506BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H01R24/38
H01R13/42 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018215427
(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公開番号】P2020087530
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】岩本 侑大
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-032369(JP,U)
【文献】特開平07-014646(JP,A)
【文献】米国特許第06551115(US,B1)
【文献】特開2012-138201(JP,A)
【文献】特開2014-017101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと前記ボディに挿入されるコンタクトを含むコネクタであって、
前記コンタクトは、
前記コンタクトの挿入方向に垂直な第1の方向に突出された突出部と、
前記挿入方向および前記第1の方向に直交する第2の方向に張り出された張り出し部と、
前記コンタクトの外周に前記第1の方向および前記第2の方向の何れとも異なる方向に突出して設けられた突起を含み、
前記ボディはその内部構造として、
前記突出部と嵌り合い、前記挿入方向に延伸された案内溝と、
前記突起が圧入される収容部と、
前記張り出し部が圧入される圧入部を含み、
前記突出部が前記案内溝に嵌り合い始めてから最終位置に至るまでの、前記突出部の挿入距離Aと、
前記突起の圧入が開始されてから最終位置に至るまでの、前記突起の挿入距離Bと、
前記張り出し部の圧入が開始されてから最終位置に至るまでの、前記張り出し部の挿入距離Cとが、
A>B>Cの関係となる
コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記コンタクトは、
前記挿入方向の先端に位置し、先細に形成された先端部と、
前記挿入方向の末端に位置し、扁平に形成された末端部と、
前記先端部と前記末端部の間に位置し、前記先端部と前記末端部を接続する本体部を含み、
前記突出部および前記突起は前記本体部に形成され、
前記張り出し部は前記末端部に形成される
コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記収容部の内周に、
前記先端部の挿入を妨げず、前記本体部の挿入を圧入可能な程度に妨げる大きさの凸部が形成され、
前記本体部の挿入が妨げられ始めてから最終位置に至るまでの、前記本体部の挿入距離Dが、
A>D>Cの関係となる
コネクタ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のコネクタであって、
前記突起は、前記本体部の外周にそれぞれ120度の間隔を空けて3つ形成された
コネクタ。
【請求項5】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記凸部は、前記収容部の内周にそれぞれ120度の間隔を空けて3つ形成された
コネクタ。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載のコネクタであって、
前記案内溝は、
前記突出部の突出方向およびその反対方向に変形可能な片持ちバネの一部に形成され、前記コンタクトの挿入方向先端側に進むにつれ、案内溝の深さが浅くなるように傾斜した傾斜部を含み、
前記片持ちバネの挿入方向先端側に隣接し、前記突出部を最終位置で収容する孔を含む
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタとして、例えば特許文献1がある。特許文献1のコネクタは、コネクタハウジング内において端子金具が回転することを抑制することを課題とし、円筒状の筒状接続部を有する外導体端子を内部に保持する樹脂製のコネクタハウジングを備え、コネクタハウジングの内部に形成され、筒状接続部が挿入される端子収容部と、端子収容部の左右方向両側に位置する内壁に凹んで形成され、前後方向に沿って延びる案内溝と、筒状接続部の外面から先細り状に径方向外側に突出して形成され、案内溝に収容されることで、案内溝の左右方向両側に位置する両側内壁に圧入されるハウジング圧入突起を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第575198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタにおいて、各部品の同軸度は、嵌合に関わる重要な項目であるが、コネクタの小型化、構造の複雑化により、各部品の同軸度を適切に制御することが難しい場合があった。例えば、特許文献1のコネクタは位置決め片と位置決め片収容凹部(スリット)によって位置制御され、ハウジング圧入突起(凸部)によって位置決めと保持を行っているが、同軸度については考慮されていないため、必要な同軸度が確保できていない可能性がある。
【0005】
そこで本発明では、同軸度を適切に制御できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ボディとボディに挿入されるコンタクトを含むコネクタである。コンタクトは、その挿入方向と垂直な方向に突出された突出部と、コンタクトの外周に設けられた突起と、挿入方向と垂直な方向に張り出された張り出し部を含む。ボディはその内側面に、突出部と嵌り合い、挿入方向に延伸された案内溝と、突起を含むコンタクトが圧入される内法とされた収容部と、張り出し部を含むコンタクトが圧入される内法とされた圧入部を含む。突出部が案内溝に嵌り合い始めてから最終位置に至るまでの、突出部の挿入距離Aと、突起の圧入が開始されてから最終位置に至るまでの、突起の挿入距離Bと、張り出し部の圧入が開始されてから最終位置に至るまでの、張り出し部の挿入距離Cとが、A>B>Cの関係となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコネクタによれば、同軸度を適切に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のコネクタのコンタクト、ボディ、およびシェルの斜視図。
図2図2Aは、実施例1のコネクタのボディの2-2断面における断面図、図2Bは、コンタクトの右側面図。
図3】実施例1のコネクタのコンタクトの正面図。
図4】実施例1のコネクタのボディの4-4断面における断面図。
図5】実施例1のコネクタのボディの5-5断面における断面図。
図6】実施例1のコネクタのボディの6-6断面における断面図。
図7】実施例1のコネクタのボディおよびコンタクトの2-2断面における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
本実施例のコネクタは、図1に示すように、コンタクト1と、ボディ2と、略円筒形のシェル3を含む構成である。コンタクト1はボディ2に挿入される。ボディ2はシェル3に挿入される。ボディ2は絶縁体(例えば樹脂)である。コンタクト1、シェル3は金属である。
【0011】
<先端部16、本体部17、末端部18>
図2B図3に示すように、コンタクト1は、コンタクト挿入方向の先端に位置し、先細な円錐台形の筒状に形成された先端部16と、コンタクト挿入方向の末端に位置し、扁平な板を複数回折り曲げた形状の末端部18と、先端部16と末端部18の間に位置し、先端部16と末端部18を接続する円筒形の本体部17を含む。末端部18は、扁平な短冊形状の金属板をクランク形に折り曲げて形成されており、具体的には、コンタクト挿入方向の逆方向に延伸する延伸部13と、延伸部13の末端から延伸部13の延伸方向と垂直な方向(図2B図3では下方向)に屈曲して延伸する屈曲部12と、屈曲部12の末端からコンタクト挿入方向の逆方向に屈曲して延伸する末尾部11を含む。
【0012】
<突出部15>
図2B図3に示すように、本体部17には、コンタクト挿入方向と垂直な方向(図2B図3では上方向)に突出された突出部15が形成される。突出部15の周囲の本体部17の側面(円筒面)に切欠き15aが形成されている。
【0013】
<突起14>
図2B図3に示すように、本体部17の外周(円筒面)には、突起14が、それぞれ120度の間隔を空けて合計3つ、コンタクト挿入方向と垂直な同一面内に、形成されている。突起14の個数に制限はない。例えば、突起14を4つ、または5つ形成してもよい。後述するように、この突起は、コネクタの同軸度を調整するための部位であるため、3つ以上形成すれば好適である。
【0014】
<張り出し部13a>
延伸部13の両側には、コンタクト挿入方向と垂直な方向(図2B図3では水平方向)に、棘状に張り出された張り出し部13aが形成されている。
【0015】
<案内溝21>
図2Aおよび図5に示すように、ボディ2は、その内側面に、突出部15と嵌り合い、コンタクト挿入方向に延伸された案内溝21を含む。案内溝21は、突出部15の突出方向(ボディ2の内側から外側に向かう方向)およびその反対方向(コンタクト1側に沈み込む方向)に変形可能な片持ちバネ23の一部に形成される。
【0016】
<傾斜部21a>
案内溝21は、コンタクト挿入方向先端側に進むにつれ、案内溝21の深さが浅くなる向きに傾斜した傾斜部21aを含む。
【0017】
<片持ちバネ23、孔24>
より詳細には、案内溝21の周囲の側面(円筒面)に案内溝21をコの字形(U字形)に取り囲む孔24が形成されている。孔24により棒状にくり抜かれた部分(案内溝21を含む部分)が、上述の方向に変形可能な片持ちバネ23である。孔24のコンタクト挿入方向先端側は、片持ちバネ23のコンタクト挿入方向先端側に隣接し、図7に示すように、コンタクト1の突出部15を最終位置で収容する。
【0018】
<突出部15と案内溝21の嵌合>
コンタクト1の突出部15は、案内溝21に嵌合して、案内溝21に挿入される。同軸度の制御に影響を与えないようにするため、突出部15を、案内溝21にスムーズに挿通できる程度の高さとすれば好適である。突出部15が傾斜部21aを通過する際、突出部15は、本体部17内に沈み込む方向に弾性変形する。このとき、片持ちバネ23は、突出部15の突出方向に弾性変形する。突出部15が傾斜部21aを通過した後、孔24に嵌りこむことにより、突出部15を本体部17側に沈み込む方向に押し込む力が解除されて初期状態に戻る。このとき、片持ちバネ23をボディ2の外側に隆起させる力が解除されて初期状態に戻る。この状態において、コンタクト1に引き抜き方向(コンタクト挿入方向と逆方向)の力が加えられたとしても、片持ちバネ23の先端が突出部15に係り合うため、コンタクト1を引き抜くことは出来ない。すなわち、片持ちバネ23はコンタクト1の抜け止め機構として機能する。
【0019】
<収容部26>
図2Aおよび図5に示すように、ボディ2は、突起14を含む本体部17が圧入される内法とされた、断面円形の収容部26を含む。
【0020】
<ノッチ22>
図2Aおよび図6に示すように、ボディ2は、張り出し部13aを含む延伸部13が圧入される内法とされたノッチ22を含む。ノッチ22は、圧入部22とも呼称される。
【0021】
<凸部25>
図2Aおよび図4に示すように、ボディ2の収容部26の内周に、先端部16の挿入を妨げず、本体部17の挿入を圧入可能な程度に妨げる大きさの凸部25が形成される。図4に示すように、凸部25は、それぞれ120度の間隔を空けて合計3つ、コンタクト挿入方向と垂直な同一面内に形成されている。凸部25の個数に制限はない。例えば、凸部25を4つ、または5つ形成してもよい。後述するように、この凸部25は、コネクタの同軸度を調整するための構成であるため、3つ以上形成すれば好適である。
【0022】
<挿入距離A,B,C,D>
コンタクト1とボディ2の位置決めを制御する突出部15、突起14、張り出し部13a、凸部25の位置関係を規定することにより、コンタクト1の位置決めの順序を規定することができる。上記各部位の挿入距離A,B,C,Dについて以下に説明する。図7に示すように、コンタクト1の各部位の最終位置を黒三角形の記号で表すこととする。突出部15が案内溝21に嵌り合い始めてから(図中、aを付した白三角形の記号の位置)、最終位置(図中、aを付した黒三角形の記号の位置)に至るまでの、突出部15の挿入距離をAとする。また、突起14の圧入が開始されてから(図中、bを付した白三角形の記号の位置)、最終位置(図中、bを付した黒三角形の記号の位置)に至るまでの、突起14の挿入距離をBとする。また、張り出し部13aの圧入が開始されてから(図中、cを付した白三角形の記号の位置)、最終位置(図中、cを付した黒三角形の記号の位置)に至るまでの、張り出し部13aの挿入距離をCとする。また、本体部17の挿入が妨げられ始めてから(図中、dを付した白三角形の記号の位置)、最終位置(図中、dを付した黒三角形の記号の位置)に至るまでの、本体部17の挿入距離をDとする。
【0023】
<A,B,Cの大小関係>
A,B,Cの大小関係については、A>B>Cの関係となるように、各部位の位置を決定すれば好適である。前述のA,B,C,Dは最終位置(黒三角形)に至るまでの各部位の挿入距離を意味しているが、この挿入距離が長ければ長いほど、組立時に該当する部位が嵌合し始めるタイミングが早くなることを意味する。A>B>Cが成り立つ場合、三つの長さのうちAが最長となるため、コンタクト1を挿入し始めてから、一番最初に突出部15および案内溝21が嵌合することを意味する。また、Bが二番目の長さ、Cが三番目の長さであるため、突出部15および案内溝21の嵌合が開始された後、突起14の圧入が開始され、突起14の圧入が開始された後、張り出し部13aの圧入が開始されることを意味する。これにより、まず突出部15および案内溝21により、コンタクト1の挿入方向を軸とする回転が制御され、次に、突起14の圧入によってボディ2の中心とコンタクト1の中心とが揃うように同軸度が制御され、最後に張り出し部13aの圧入によって、ボディ2に対してコンタクト1が固定(係止)されるという順序で、ボディ2に対するコンタクト1の位置決めが可能となる。これにより、回転方向の制御→同軸度の制御→固定(係止)という順序でコネクタを組み立てることが可能になるため、同軸度を確保しつつ信頼性が高いコネクタを提供することが可能となる。
【0024】
<A,D,Cの大小関係>
A,D,Cの大小関係については、A>D>Cの関係となるように、各部位の位置を決定すれば好適である。A>D>Cが成り立つ場合、三つの長さのうちAが最長となるため、コンタクト1を挿入し始めてから、一番最初に突出部15および案内溝21が嵌合することを意味する。また、Dが二番目の長さ、Cが三番目の長さであるため、突出部15および案内溝21の嵌合が開始された後、本体部17の圧入が開始され、本体部17の圧入が開始された後、張り出し部13aの圧入が開始されることを意味する。これにより、まず突出部15および案内溝21により、コンタクト1の挿入方向を軸とする回転が制御され、次に、本体部17の圧入によってボディ2の中心とコンタクト1の中心とが揃うように同軸度が制御され、最後に張り出し部13aの圧入によって、ボディ2に対してコンタクト1が固定(係止)されるという順序で、ボディ2に対するコンタクト1の位置決めが可能となる。
【0025】
<突起14と凸部25、BとDの大小関係>
突起14と凸部25は何れも同軸度を制御するための部位である。突起14と凸部25の双方を設けることにより、コネクタ挿入方向の前後二箇所において、ボディ2とコンタクト1の同軸度を制御することができるため、ボディ2に対するコンタクト1の軸の歪みをより正確に補正することができる。突起14と凸部25の役割は同じであるため、挿入距離Bと挿入距離Dの大小関係について特に制限はない。
【0026】
<案内溝21および片持ちバネ23と本体部17の関係>
案内溝21および片持ちバネ23は、本体部17と接触しない構造とされていれば好適である。これにより、案内溝21および片持ちバネ23が、ボディ2とコンタクト1の同軸度の制御に関与しないため、突起14と凸部25のみで、コネクタの同軸度を制御することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 コンタクト
11 末尾部
12 屈曲部
13 延伸部
13a 張り出し部
14 突起
15 突出部
15a 切欠き
16 先端部
17 本体部
18 末端部
2 ボディ
21 案内溝
21a 傾斜部
22 ノッチ(圧入部)
23 片持ちバネ
24 孔
25 凸部
26 収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7