(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】発光ダイオードデバイス、光検出デバイス、およびグラファイト基板上のナノワイヤ又はナノピラミッドを含む組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 33/06 20100101AFI20220506BHJP
H01L 33/24 20100101ALI20220506BHJP
H01L 33/30 20100101ALI20220506BHJP
H01L 33/08 20100101ALI20220506BHJP
H01L 33/10 20100101ALI20220506BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H01L33/06
H01L33/24
H01L33/30
H01L33/08
H01L33/10
H01L31/10 A
(21)【出願番号】P 2018521702
(86)(22)【出願日】2016-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2016066694
(87)【国際公開番号】W WO2017009394
(87)【国際公開日】2017-01-19
【審査請求日】2019-07-01
(32)【優先日】2015-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2016-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518013796
【氏名又は名称】クラヨナノ エーエス
(73)【特許権者】
【識別番号】512101187
【氏名又は名称】ノルウェージャン ユニバーシティ オブ サイエンス アンド テクノロジー(エヌティーエヌユー)
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デーラージ、ダサ エル.
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン-チョル
(72)【発明者】
【氏名】フィムランド、ビョルン-オヴェ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヴェマン、ヘルゲ
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0187128(US,A1)
【文献】特表2013-534050(JP,A)
【文献】特表2014-506222(JP,A)
【文献】特開2010-153793(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0068153(US,A1)
【文献】特開2008-130877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0207075(US,A1)
【文献】特開2009-010012(JP,A)
【文献】特表2013-532621(JP,A)
【文献】特表2014-520389(JP,A)
【文献】特開2014-116580(JP,A)
【文献】特開2002-280610(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0014171(US,A1)
【文献】KENT T.F et al.,Deep ultraviolet emitting polarization induced nanowire light emitting diodes with AlxGa1-xN active regions,Nanotechnology,2014年10月20日,Vol.25, No.45,p.455201 (1-6),https://doi.org/10.1088/0957-4484/25/45/455201,DOI:10.1088/0957-4484/25/45/455201
【文献】ZHAO S. et al.,Aluminum nitride nanowire light emitting diodes: Breaking the fundamental bottleneck of deep ultraviolet light sources,Scientific Reports,2015年02月16日,Vol.5,p.8332 (1-5),https://www.nature.com/articles/srep08332,DOI: 10.1038/srep08332
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイト基板上に成長させた複数のナノワイヤ又はナノピラミッドであって、pn又はpin接合を有するナノワイヤ又はナノピラミッドと、
前記グラファイト基板と電気的に接触している第1の電極と、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップと接触しているか、又は前記ナノワイヤ若しくはナノピラミッドの少なくとも一部のトップと電気的に接触している第2の電極と接触している光反射層とを
備える発光ダイオードデバイスであって、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、少なくとも1つのIII-V族化合物半導体を含み、かつ、使用時に、前記
発光ダイオードデバイスから、前記光反射層と実質的に反対方向に光を放射する、発光ダイオードデバイス。
【請求項2】
前記光反射層は、前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップと接触しており、
前記光反射層は、第2の電極として機能する
請求項1に記載の発光ダイオードデバイス。
【請求項3】
前記光反射層は、前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップと電気的に接触している第2電極と接触しており、
前記光反射層は、電極として機能しない
請求項1に記載の発光ダイオードデバイス。
【請求項4】
光検出デバイスであって、
グラファイト基板上に成長させた複数のナノワイヤ又はナノピラミッドであって、pn又はpin接合を有するナノワイヤ又はナノピラミッドと、
前記グラファイト基板と電気的に接触している第1の電極と、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップと接触しており、光反射層の形態である第2の電極とを
備える光検出デバイスであって、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、少なくとも1つのIII-V族化合物半導体を含み、かつ、使用時に、前記
光検出デバイスに光が吸収され、
前記
光反射層が、入射光をナノワイヤ又はナノピラミッドに反射する
光検出デバイス。
【請求項5】
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドを、前記グラファイト基板上の孔パターンマスクの前記孔を通して位置させる、請求項1~4のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが前記
グラファイト基板とエピタキシャルである、請求項1~5のいずれかに記載のデバイス。
【請求項7】
前記
グラファイト基板がグラフェンである、請求項1~6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
前記
グラファイト基板の厚さが、20nm以下である、請求項1~7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
前記
グラファイト基板が、最高10原子層まで有するグラフェンである、請求項1~8のいずれかに記載のデバイス。
【請求項10】
成長したナノワイヤ又はナノピラミッドの反対側で、前記グラファイト基板に隣接する支持体をさらに有する、請求項1~9のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
前記支持体が溶融シリカ又は石英である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
成長したナノワイヤ又はナノピラミッドの反対側で、前記グラファイト基板に隣接する中間層をさらに含む、請求項1~11のいずれかに記載のデバイス。
【請求項13】
前記中間層が、hBN、金属グリッド又はAgナノワイヤネットワークである、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、GaN、AlGaN、InGaN又はAlInGaNを含む、請求項1~13のいずれかに記載のデバイス。
【請求項15】
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、多重量子井戸を有する、請求項1~14のいずれかに記載のデバイス。
【請求項16】
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、単一バリア又は多重量子バリアのいずれかであり得る電子ブロック層を有する、請求項1~15のいずれかに記載のデバイス。
【請求項17】
UVスペクトルにおいて、放射又は吸収する、請求項1~16のいずれかに記載のデバイス。
【請求項18】
ナノワイヤ内のpn接合又はpin接合が軸方向である、請求項1~17のいずれかに記載のデバイス。
【請求項19】
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、トンネル接合を有する、請求項1~18のいずれかに記載のデバイス。
【請求項20】
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、(Al)GaN/Al(Ga)N超格子を有する、請求項1~19のいずれかに記載のデバイス。
【請求項21】
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、AlGaNを含み、前記ナノワイヤ又はナノピラミッド内で、Alの濃度が、一方向に沿って増加又は減少する、請求項1~20のいずれかに記載のデバイス。
【請求項22】
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、Mg又はBeを用いてドープされている、請求項1~21のいずれかに記載のデバイス。
【請求項23】
ナノワイヤ間又はナノピラミッド間の空間が、前記
発光ダイオードデバイスから放射される光に対して透明な、支持及び電気的に絶縁するフィラー材により充填されている、
請求項1~3のいずれかに記載の発光ダイオードデバイス。
【請求項24】
ナノワイヤ間又はナノピラミッド間の空間が、前記
光検出デバイスに入射する可視光及び/又は紫外光に対して透明な、支持及び電気的に絶縁するフィラー材により充填されている、
請求項4に記載の光検出デバイス。
【請求項25】
グラファイト基板上にエピタキシャル成長させた複数のIII-V族ナノワイヤ又はナノピラミッドを含む組成物であって、
前記
III-V族ナノワイヤ又はナノピラミッドが、多重量子井戸として機能する真性領域により分離されたn型ドープ領域及びp型ドープ領域を有し、
前記p型ドープ領域が、電子ブロック層を有する、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、可視又はUVスペクトルにおける光の放射又は検出のための、LED及び光検出器、特に、UV-LED及び紫外光検出器内に形成することのできるナノワイヤ又はナノピラミッドの成長用透明基板としての薄いグラファイト層の使用に関する。ナノワイヤ又はナノピラミッドは、導電性且つ理想的には反射性のトップコンタクト電極材料を有し、フリップチップ配置を可能にし得る。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノテクノロジーが重要な工学分野となるにつれ、半導体ナノ結晶(ナノワイヤ及びナノピラミッドなど)への関心が高まっている。ナノワイヤは、著者によっては、ナノウィスカー、ナノロッド、ナノピラー、ナノコラム等ともよばれ、センサー、太陽電池及び発光ダイオード(LED)などの様々な電気デバイスにおいて重要な用途を見出している。
【0003】
本発明は、特に、紫外(UV)スペクトルにおいて、それぞれ光を放射及び検出するLED及び光検出器に関する。紫外光は、UV-A:315~400nm、UV-B:280~315及びUV-C:100~280nmの3種類の異なる波長タイプに分類することができる。
【0004】
UV-C光(特に深紫外線(250~280nm)の用途としては、水及び空気の浄化、並びにバクテリア、ウイルス、原生生物や他の微生物を、それらのDNAを直接攻撃することにより破壊する表面殺菌が挙げられる。深紫外線殺菌はまた、化学的な選択肢に比べて多くの利点もある。深紫外線殺菌は、過剰投与の可能性がなく、副生成物、毒素又は揮発性有機化合物を生成することはない。深紫外光は、化学殺菌剤に対する耐性が極めて高くなっている微生物を処理するのに非常に適している。というのも、それら微生物は、深紫外放射に対する免疫を得ることができないからである。
【0005】
保健分野では、深紫外光は、医療器具の殺菌、又はH1N1やエボラなどの致死性ウイルスの破壊に役立つ可能性がある。食品加工においては、紫外光は、食品の賞味期限を延ばすのに役立ち得る。紫外線発光体は、浄水器、空気清浄器、歯ブラシ殺菌器及び他の衛生用品などの家電製品に用途を見出すであろう。
【0006】
現在のUVエミッタは、高価で、エネルギー効率が悪く、かさばり、壊れやすく、且つ処分が困難である水銀ランプをベースとしていることが多い。紫外領域、特にUV-C領域で発光する信頼性が高く経済的なLEDを開発することは非常に興味深く、また、これは達成が最も困難でもある。
【0007】
小型で消費電力が少なく、動作寿命が長く、メンテナンスの必要性が低く、環境適合性があり、廃棄が容易であるため、UV-LEDは、水銀ランプのようなものよりもかなり魅力的な解決手段となっている。
【0008】
UV-LEDは、通常、III族窒化物半導体薄膜を用いて、特にAlを豊富に含む窒化物材料を用いて製造される。構造体に取り込まれるAl含有量が高いほど、より深い波長の光が得られる。いくつかの研究グループが、AlGaN、AlInGaN及びAlNを用いた薄膜系LEDの製作を実証している。しかしながら、これまでに達成された最大外部量子効率(EQE)は、UV-B及びUV-C LEDについてそれぞれ2~6%及び約1%である[非特許文献1]。
【0009】
UV-LED、特にAlGaN、AlInGaN及びAlN薄膜をベースとするものを製造するには数多くの問題があり、EQEが非常に低くなってしまう。ナノワイヤが成長し得るサファイア又はシリコンなどの従来の支持体上に高品質のAlGaN薄膜を成長させることは困難である。AlGaNと非常に密接に格子整合するAlN基板は、製造コストが高く、大型AlNウェハがない。我々の知る限りでは、入手可能な最も大きなウェハは、265nmで約60%の透明度を有する1.5インチのウェハである。
【0010】
紫外線発光体として機能するためには、紫外光に対して透明な電極材料を使用することが必要な場合もある。一般的な電極材料である酸化インジウムスズ(ITO)は、深紫外域において透明ではない。サファイア基板/空気界面での内部反射が大きいことから、LED内で反射した深紫外光の吸収が大きくなってしまうといった他の問題がある。よって、サファイアは、UV-LED用の基板として理想的ではない。従って、本発明は、半導体物質の膜ではなく、ナノワイヤ又はナノピラミッドをベースとしたUV-LEDに関する。
【0011】
しかしながら、UVナノワイヤ(NW)LEDは、深紫外線発光体であるSi上に成長させた窒素極性AlGaNのNWについて検討した論文である非特許文献2に示唆されている。ナノワイヤ成長のプロセスでは、Si支持体上にGaNのNW基部を成長させる必要があることに留意されたい。これらNW系LEDは、薄膜系LEDと比較して内部量子効率(IQE)は改善されているにもかかわらず、シリコン基板及びトップコンタクトによる放射光の吸収により、EQEは依然として低いままである。さらに、この研究において成長させたナノワイヤは、ランダムに配置されていることから、NWの組成及びサイズが不均一となり、デバイスの性能を低下させている。
【0012】
本発明者らは、理想的には、UV-LED、好ましくは、AlGaN、AlN若しくはAlInGaNナノワイヤ又はナノピラミッドをベースとするUV-LEDを探求している。AlGaN若しくはAlInGaNナノワイヤ又はナノピラミッド系材料は、UV-A、UV-B及びUV-Cバンド全体をカバーするLEDの実現に最適な材料である。
【0013】
従って、本発明者らは、グラフェンなどのグラファイト基板上にナノワイヤ(NW)又はナノピラミッド(NP)を成長させることを含む解決策を提案している。特に、本発明者らは、グラフェン上にAlN/AlGaN/AlInGaNのNW又はNPを成長させることを検討している。グラフェンは、基板としてだけでなく、NWに対する透明且つ導電性のコンタクトとしての機能も果たす。グラフェンは、全紫外線波長に渡って、特にUV-C波長領域において透明であることから、NW又はNPをベースとするUV-LEDデバイスのボトムコンタクトとしてグラフェンを使用することができる。更に、本発明者らは、好ましいデバイス設計は、LEDの放射側としてグラファイト状ボトムコンタクト/基板を使用するフリップチップ設計を含み、それにより光取り出し効率が向上することを見出した。
【0014】
また、LEDの外部量子効率(EQE)を高くするには、高いキャリア注入効率が必要となる。しかしながら、AlGaN合金におけるAlモル分率の増加とともにマグネシウムアクセプタのイオン化エネルギーが増加することにより、Al含有量の増加とともにAlGaN合金中の正孔濃度を高くすることが困難となる。本発明者らは、正孔注入効率(特に、Alの含有量が高いバリア層における)を高めるために、個々に又は共に使用することのできるいくつかの方法を考案している。
【0015】
グラフェン上でナノワイヤを成長させることは、新しいことではない。特許文献1では、分子線エピタキシー(MBE)を用いてグラフェン基板上で半導体ナノワイヤを成長させることについて検討されている。特許文献2は、グラフェン上に成長させたNW上にグラフェントップコンタクトを使用する特許文献1の開示事項の改良に関するものである。しかしながら、これらの先行文献は、UV-LEDフリップチップに関するものではない。より最近になって、本発明者らは、グラフェン上に成長させたコアシェルナノワイヤについて説明している(特許文献3)。
【0016】
特許文献4では、可視領域において発光するナノ構造LEDが説明されている。デバイスは、基板から突出する一群のナノワイヤを有するナノ構造LEDを備えている。このナノワイヤは、pin接合を有し、各ナノワイヤのトップ部は、電極としても機能し得る光反射コンタクト層で覆われている。電極と光反射コンタクト層との間に電圧を印加すると、ナノワイヤ内で光が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】国際公開第2012/080252号
【文献】国際公開第2013/104723号
【文献】国際公開第2013/190128号
【文献】米国特許出願公開第2011/0254034号明細書
【非特許文献】
【0018】
【文献】Kneissl, Semiconductor Sci and Tech. 26 (2011) 014036
【文献】Zhao, Scientific Reports 5(2015)8332
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、グラフェン上に成長させたナノワイヤ(NW)又はナノピラミッド(NP)をベースにしたLEDフリップチップは、これまで誰も検討していない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
従って、本発明は、一態様において、
グラファイト基板上に成長させた複数のナノワイヤ又はナノピラミッドであって、pn又はpin接合を有するナノワイヤ又はナノピラミッドと、
前記グラファイト基板と電気的に接触している第1の電極と、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップと接触しており、任意に光反射層の形態である第2の電極とを備え、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、少なくとも1つのIII-V族化合物半導体を含む、発光ダイオードデバイスを提供する。使用時、光は、ナノワイヤの成長方向に対し実質的に平行且つ反対方向に放射されるのが好ましい。
【0021】
本発明は、別の態様において、
グラファイト基板上に、好ましくは前記グラファイト基板上の任意の孔パターンマスクの孔を通って、成長させた複数のナノワイヤ又はナノピラミッドであって、pn又はpin接合を有するナノワイヤ又はナノピラミッドと、
前記グラファイト基板と電気的に接触している第1の電極と、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップと接触しているか、又は前記ナノワイヤ若しくはナノピラミッドの少なくとも一部のトップと電気的に接触している第2の電極と接触している光反射層であって、任意に第2の電極として機能する光反射層と、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップと電気的に接触している第2の電極であって、前記光反射層が電極として機能しない場合には必須である第2の電極とを備え、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、少なくとも1つのIII-V族化合物半導体を含み、また、使用時に、前記デバイスから、前記光反射層と実質的に反対方向に光を放射する、発光ダイオードデバイスを提供する。
【0022】
本発明は、別の態様において、
グラファイト基板上に、好ましくは前記グラファイト基板上の任意の孔パターンマスクの孔を通って、成長させた複数のナノワイヤ又はナノピラミッドであって、pn又はpin接合を有するナノワイヤ又はナノピラミッドと、
前記グラファイト基板と電気的に接触している第1の電極と、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップと接触している光反射層であって、任意に第2の電極として機能する光反射層と、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップと電気的に接触している第2の電極であって、前記光反射層が電極として機能しない場合には必須である第2の電極とを備え、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、少なくとも1つのIII-V族化合物半導体を含み、また、使用時に、前記デバイスから、前記光反射層と実質的に反対方向に光を放射する、発光ダイオードデバイスを提供する。
【0023】
本発明は、別の態様において、グラファイト基板上にエピタキシャル成長させた複数のIII-V族化合物半導体ナノワイヤ又はナノピラミッドを含むナノ構造LEDであって、
ナノワイヤ又はナノピラミッドのそれぞれが、基板から突出しており、各ナノワイヤ又はナノピラミッドは、pn又はpin接合を有し、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップ部は、光反射層又は透明コンタクト層で覆われ、ナノワイヤ群又はナノピラミッド群に対する少なくとも1つのコンタクトを形成しており、
電極が前記グラファイト基板と電気的に接触しており、
光反射層又は透明コンタクト層が、前記ナノワイヤ又はナノピラミッドを介して第1の電極と電気的に接触している、ナノ構造LEDを提供する。
【0024】
本発明は、別の態様において、特にUV領域のスペクトルにおける、LEDとして本明細書で上述したようなLEDデバイスの使用を提供する。
【0025】
第2の実施形態において、本発明は、光検出器に関する。本発明のデバイスは、光を放射するのではなく、光を吸収した後、光電流を生成することにより、光を検出するように構成し得る。
【0026】
従って、本発明は、別の態様において、
グラファイト基板上に成長させた複数のナノワイヤ又はナノピラミッドであって、pn又はpin接合を有するナノワイヤ又はナノピラミッドと、
前記グラファイト基板と電気的に接触している第1の電極と、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップと接触しており、任意に光反射層の形態である第2の電極とを備え、
前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、少なくとも1つのIII-V族化合物半導体を含み、また、使用時に、前記デバイスに光が吸収される、光検出デバイスを提供する。
【0027】
本発明は、別の態様において、グラファイト基板上にエピタキシャル成長させた複数のIII-V族化合物半導体ナノワイヤ又はナノピラミッドを有するナノ構造光検出器であって、
複数のナノワイヤ又はナノピラミッドのそれぞれが、基板から突出しており、各ナノワイヤ又はナノピラミッドは、pn又はpin接合を有し、
各ナノワイヤ若しくはナノピラミッドのトップ、又は複数のナノワイヤ若しくはナノピラミッドのうち少なくとも1群のナノワイヤ若しくはナノピラミッドが、透明コンタクト層で覆われ、ナノワイヤ群又はナノピラミッド群に対する少なくとも1つのコンタクトを形成しており、
電極が前記グラファイト基板と電気的に接触しており、
透明コンタクト層が、前記ナノワイヤ又はナノピラミッド内のpn又はpin接合を介して、第1の電極と電気的に接触している、ナノ構造光検出器を提供する。
【0028】
本発明は、別の態様において、特にUV領域のスペクトルにおける、光検出器として本明細書で上述したような光検出デバイスの使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、可能なフリップチップ設計を示している。
【
図2】
図2は、本発明の一つの可能なナノワイヤを示す。
【
図3】
図3は、ナノワイヤが放射状に成長し、コアシェル構造体を形成する別のチップ設計を示す。
【
図4】
図4は、ナノワイヤを示し、このナノワイヤは、放射状に成長しているが、シェル構造体内に
図2のものと同じ構成要素を有する。
【
図6a】
図6aは、グラファイトフレーク上のナノワイヤの成長及びナノワイヤとのトップ及びボトムコンタクトを示す概略図。
【
図6b】
図6bは、MBEによる多層グラフェンフレーク上に選択成長させたGaNナノワイヤの斜視SEM像(b)。
【
図6c】
図6cは、MBEによる多層グラフェンフレーク上に選択成長させたGaNナノワイヤの高分解能SEM像(c)。
【
図7a】
図7aは、MBEにより多層グラフェンフレーク上に成長したGaNナノワイヤの斜視SEM像。
【
図7b】
図7bは、MBEにより、孔パターンを有する多層グラフェンフレーク上に成長したGaNナノワイヤの斜視SEM像。
【
図9a】
図9aは、パターン化された単層又は二重層グラフェン上にMOVPEによって成長させたGaNナノピラミッドの低倍率斜視SEM像。
【
図9b】
図9bは、パターン化された単層又は二重層グラフェン上にMOVPEによって成長させたGaNナノピラミッドの高倍率斜視SEM像。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[定義]
III-V族化合物半導体とは、III族から少なくとも1つの元素とV族から少なくとも1つの元素とを含むものを意味する。各族から2つ以上の元素が含まれていてもよく、例えば、AlGaN(すなわち、三元化合物)、AlInGaN(すなわち、四元化合物)などが挙げられる。Al(In)GaNという表示は、AlGaN又はAlInGaNのいずれかを意味する、すなわち、Inの存在は任意であることを意味する。括弧で囲まれた元素は、含まれていても含まれていなくてもよい。
【0031】
本明細書において使用するナノワイヤという用語は、ナノメートル寸法の固体のワイヤー様構造を指す。ナノワイヤは、好ましくは、ナノワイヤの大部分、例えば、その長さの少なくとも75%にわたって均一な直径を有する。ナノワイヤという用語は、ナノロッド、ナノピラー、ナノコラム又はナノウィスカーの使用を包含するものであり、それらのいくつかは、テーパー状末端構造を有する場合もある。ナノワイヤは、本質的に、その幅又は直径がナノメートル寸法であり且つその長さが通常数百nm~数μmの範囲内である一次元形態であるといえる。理想的には、ナノワイヤの直径は、50~500nmであるが、直径は、数ミクロンを超えてもよい(マイクロワイヤと呼ばれる)。
【0032】
理想的には、ナノワイヤのベース及びナノワイヤのトップの直径は、ほぼ同一(例えば、互いの20%以内)であるべきである。
【0033】
ナノピラミッドという用語は、固体ピラミッド型構造を指す。本明細書において、ピラミッド型(pyramidal)という用語は、一般にベースの中心上の単一の点に向かって側面が先細になるベースを有する構造を定義するのに使用されている。当然のことながら、単一の頂点が面取りされたように見える場合もある。ナノピラミッドは、3~8面又は4~7面など、複数の面を有していてもよい。従って、ナノピラミッドのベースは、正方形、五角形、六角形、七角形、八角形などであってもよい。ピラミッドは、面がベースから中心点に向かって先細になる(従って、三角形の面を形成する)ように形成される。三角形の面は、通常、(1-101)面又は(1-102)面で終端している。(1-101)ファセットを有する三角形の側面は、先端の単一の点に収束するか、又は先端に収束する前に新しいファセット((1-102)面)を形成し得る。場合によっては、ナノピラミッドは、そのトップが{0001}面で終端され、切頂されている。ベース自体は、ピラミッド構造を形成すべく先細になり始めるまでは、断面が均一な部分を有していてもよい。従って、ベースの厚さは200nm以下、例えば、50nmであってもよい。
【0034】
ナノピラミッドのベースは、その最も広い点で直径が50及び500nmであり得る。ナノピラミッドの高さは、200nm~数ミクロン、例えば、長さ400nm~1ミクロンであってもよい。
【0035】
当然のことながら、基板は、複数のナノワイヤ又はナノピラミッドを担持する。これは、ナノワイヤ又はナノピラミッドのアレイと呼ばれることがある。
【0036】
基板用又は場合によってはトップコンタクト用のグラファイト層は、単層又は複数層のグラフェン若しくはその誘導体から成る膜である。グラフェンという用語は、ハニカム結晶構造のsp2結合炭素原子の平面シートを指す。グラフェンの誘導体は、表面修飾されたものである。例えば、水素原子はグラフェン表面に結合してグラフェイン(graphane)を形成することができる。炭素原子及び水素原子と共に酸素原子が表面に結合したグラフェンは、酸化グラフェンと呼ばれる。表面修飾は、化学ドーピング又は酸素/水素若しくは窒素プラズマ処理によっても可能であり得る。
【0037】
エピタキシーという用語は、「上方に(above)」を意味するギリシャ語起源のepiと、「規則正しい状態に(in ordered manner)」を意味するtaxisに由来する。ナノワイヤ又はナノピラミッドの原子配列は、基板の結晶構造に基づく。これは当技術分野でよく使用される用語である。本明細書において、エピタキシャル成長とは、基板の配向を模倣するナノワイヤ又はナノピラミッドの基板上での成長を意味する。
【0038】
選択領域成長(SAG)は、配置されたナノワイヤ又はナノピラミッドを成長させる最も有望な方法である。この方法は、金属触媒がナノワイヤ又はナノピラミッドの成長のための核生成サイトとして機能する、金属触媒支援気相-液相-固相(VLS)法とは異なる。ナノワイヤ又はナノピラミッドを成長させるための他の無触媒法は、ナノワイヤ又はナノピラミッドがランダムな位置で核生成される自己組織化や自発的なMBE成長などである。これらの方法では、ナノワイヤ又はナノピラミッドの長さ及び直径が大きく変動する。
【0039】
SAG法は、通常、基板上にナノ孔パターンを有するマスクを必要とする。ナノワイヤ又はナノピラミッドは、基板上のパターン化されたマスクの孔内で核生成する。これにより、ナノワイヤ又はナノピラミッドは、均一なサイズで、所定の位置に得られる。
【0040】
マスクという用語は、グラファイト層上に直接堆積するマスク材を指す。理想的には、マスク材は、LEDの場合には放射光(可視、UV-A、UV-B又はUV-Cであり得る)を吸収しないか、又は光検出器の場合には対象となる入射光を吸収しない。マスクはまた、電気的に非導電性でなければならない。マスクは、Al2O3、SiO2、Si3N4、TiO2、W2O3などを含む1つ又は2つ以上の材料を含み得る。その後、マスク材における孔パターンは、電子線リソグラフィー又はナノインプリントリソグラフィー及びドライ又はウェットエッチングを用いて作製することができる。
【0041】
MBEは、結晶基板上に堆積物を形成する方法である。MBEプロセスは、真空中で結晶基板を加熱して、基板の格子構造を活性化させることにより行われる。その後、原子ビーム又は分子量ビームを基板表面に指向させる。上記で用いた元素という用語は、その元素の原子、分子又はイオンの適用を包含するものとする。指向させた原子又は分子が基板の表面に到達すると、指向させた原子又は分子は、以下に詳細に説明するように、基板の活性化された格子構造にぶつかる。時間の経過と共に、入射原子がナノワイヤ又はナノピラミッドを形成する。
【0042】
有機金属気相成長法(MOCVD)とも呼ばれる有機金属気相エピタキシー法(MOVPE)は、結晶基板上に堆積物を形成するためのMBEの代替方法である。MOVPEの場合、堆積材料は有機金属前駆体の形態で供給され、高温の基板に到達すると分解し、基板表面に原子が残る。さらに、この方法は、基板表面全体にわたって堆積材料(原子/分子)を運ぶためにキャリアガス(通常、H2及び/又はN2)を必要とする。他の原子と反応するこれらの原子は、基板表面上にエピタキシャル層を形成する。堆積パラメーターを注意深く選択することにより、ナノワイヤ又はナノピラミッドが形成される。
【0043】
SPSLという用語は、短周期超格子のことを指す。
【0044】
当然のことながら、ナノワイヤ又はナノピラミッドは、pn又はpin接合を有する。接合の方向は重要ではない(すなわち、接合は、nip又はnp又はpin又はpnであり得る)。ほとんどの場合、まずn型層を成長させ、続いて、i型層(使用される場合)、そしてp型層を成長させるのが好ましい。
【0045】
[発明の詳細な説明]
本発明は、フリップチップ配置のLED又はフリップチップ配置の光検出器に関する。本発明は、主としてLEDに関して説明するが、本質的に同じデバイスを光検出器として使用できることが、読者には分かるであろう。また、本発明は、好ましくは紫外光の放射及び検出に関係するものであるが、本デバイスは、電磁スペクトルの他の領域、特に可視領域にも適用できる。
【0046】
本発明に係るデバイスは、グラファイト基板上に成長させた複数のナノワイヤ又はナノピラミッドを有するナノ構造LEDを備えている。各ナノワイヤ又はナノピラミッドは、基板から突出し、これらは実質的にpn又はpin接合を有する。完全性を期すために、何らかの理由により、少数のナノワイヤ又はナノピラミッドは、pn又はpin接合を含まない場合もある。本発明は、全てのナノワイヤ又はナノピラミッドが、必要な接合を有するものとするデバイスに関するものであるが、少数のナノワイヤ又はナノピラミッドがこのような接合を含まないデバイスを包含するものとする。理想的には、すべてのナノワイヤ又はナノピラミッドが、必要な接合部を含む。
【0047】
各ナノワイヤ又はナノピラミッドのトップ部は、光反射層を備えていてもよい。この光反射層は、単にナノワイヤ又はナノピラミッドのトップと接触していてもよいし、或いはナノワイヤ又はナノピラミッドの上部を包含していてもよい。光反射層は、デバイスのトップコンタクト電極として機能してもよく、あるいは、別個のトップ電極を設けてもよい。電極を設ける場合、光反射層は、この電極と電気的に接触していてもよく、この電極は、前記ナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも一部のトップと電気的に接触している。従って、ナノワイヤ又はナノピラミッドのトップ及び外部回路の双方と良好に電気的に接触している電極があることが重要である。
【0048】
導電性グラファイト基板を介して各ナノワイヤ又はナノピラミッドのボトムと電気的に接触した状態の電極も備えている。従って、ナノワイヤ又はナノピラミッドにおけるpn又はpin接合を介して他方の電極と電気的に接触しているトップ電極を介した回路がある。
【0049】
順方向電圧が電極間に印加されると、光、好ましくは紫外光が、ナノワイヤ又はナノピラミッド内の活性領域で生成され、デバイスはLEDとして機能する。
【0050】
逆電圧が電極間に印加され、光、好ましくは紫外光に暴露されると、ナノワイヤ又はナノピラミッド中の活性領域がその光を吸収し、それを光電流に変換することにより、デバイスは光検出器として機能する。
【0051】
ナノワイヤ又はナノピラミッドをエピタキシャル成長させることにより、形成された材料に均質性が付与され、例えば、機械的、光学的又は電気的特性など、様々な最終特性を向上させ得る。
【0052】
エピタキシャルナノワイヤ又はナノピラミッドは、固体、気体又は液体の前駆体から成長させてもよい。基板は、種結晶としての機能を果たすため、堆積したナノワイヤ又はナノピラミッドは、基板と同様の格子構造及び/又は配向になり得る。これは、多結晶膜又は非晶質膜を単結晶基板上にさえ堆積する、他の薄膜堆積法とは異なる。
【0053】
[ナノワイヤ又はナノピラミッドの成長用基板]
ナノワイヤ又はナノピラミッドを成長させるために使用される基板は、グラファイト基板であり、特にグラフェンである。本明細書で使用するグラフェンという用語は、ハニカム(六方晶)結晶格子に高密度に充填されたsp2結合炭素原子の平面シートのことを指す。このグラファイト基板は、好ましくは厚さ20nm以下とする。理想的には、10層以下、好ましくは5層以下のグラフェン又はその誘導体(これは、数層グラフェンと呼ばれる)を含むものとする。特に好ましくは、グラフェンの1原子厚の平面シートである。
【0054】
結晶又は「フレーク」形態のグラファイトは、積層された多くのグラフェンシート(すなわち、11シート以上)から成る。よって、グラファイト基板とは、1枚又は複数枚のグラフェンシートから形成されたものである。
【0055】
基板の厚さは一般に、20nm以下であるのが好ましい。グラフェンシートを積層し、面間隔が0.335nmのグラファイトを形成する。好ましいグラファイト基板は、そのような層をほんの数層有するのみであり、理想的には厚さが10nm未満であってもよい。更により好ましくは、グラファイト基板の厚さは5nm以下であってもよい。一般に、基板の面積は制限されない。この面積は、0.5mm2以上、例えば、5mm2以下又はそれ以上、例えば10cm2以下と大きくてもよい。よって、基板の面積は、実用性により制限されるだけである。
【0056】
好ましい実施形態では、基板は、単結晶グラファイトであるキッシュグラファイトから剥離された積層基板であるか、又は高配向性熱分解グラファイト(HOPG)である。グラフェンは昇華法によりSiC上に成長させることもできるし、SiやGeなどの基板上に自己組織化法で成長させることもできる。グラフェンは、そのような基板上に直接MBEによって成長させることさえできる。
【0057】
あるいは、基板は、化学蒸着(CVD)法を用いてNi膜又はCu箔上に成長させることもできる。この基板は、例えば、Cu、Ni、若しくはPtから成る金属膜又は金属箔上でCVD成長させたグラフェン基板であってもよい。
【0058】
これらのCVD成長させたグラファイト層は、エッチングにより又は電気化学的剥離法によりNi又はCu膜等の金属箔から化学的に剥離することができる。次いで、剥離後のグラファイト層は、ナノワイヤ又はナノピラミッド成長用の支持キャリアに移動させ堆積する。剥離及び移動中、電子ビームレジスト又はフォトレジストを用いて、薄いグラフェン層を支持してもよい。これらの支持材料は堆積後にアセトンにより容易に除去することができる。
【0059】
グラファイト基板は、改質することなく使用するのが好ましいが、グラファイト基板の表面を改質してもよい。例えば、水素、酸素、窒素、NO2又はそれらの組み合わせのプラズマで基板を処理することができる。基板の酸化により、ナノワイヤ又はナノピラミッドの核生成が促進される場合もある。基板を前処理し、例えば、ナノワイヤ又はナノピラミッド成長前に純度を確保することが好ましい場合もある。HF又はBOEなどの強酸を用いた処理は、任意である。基板は、イソプロパノール、アセトン又はn-メチル-2-ピロリドンで洗浄し、表面不純物を除去してもよい。
【0060】
清浄化したグラファイト表面は、ドーピングにより更に改質することができる。ドーパント原子又は分子は、ナノワイヤ又はナノピラミッドを成長させるためのシードとしての役割を果たし得る。FeCl3、AuCl3又はGaCl3の溶液を、ドーピング工程に使用することができる。
【0061】
グラファイト層、より好ましくは、グラフェンは、それらの優れた光学的、電気的、熱的及び機械的特性で周知となっている。それらは非常に薄いが非常に強く、軽く、フレキシブルであり、不浸透性である。本発明において最も重要なことは、それらが電気的及び熱的に伝導性が高く、透明であることである。現在商業ベースで使用されているITO、ZnO/Ag/ZnO、AlドープZnO及びTiO2/Ag/TiO2等の他の透明導電体と比べて、グラフェンは、はるかに高い透明性(波長200~400nmの対象のUVスペクトル範囲で透過率約98%)及び導電性(1nm厚でシート抵抗1000オーム(Ohm□-1)未満)を有することが実証されている。
【0062】
[基板用支持体]
グラファイト基板は、その上にナノワイヤ又はナノピラミッドを成長させるために、支持されることが必要な場合もある。基板は、従来の半導体基板及び透明ガラスを含む任意の種類の材料上で支持することができる。基板が、デバイスに対する光の出射又は入射を妨げないように、支持体は透明であることが好ましい。
【0063】
好ましい基板の例としては、溶融シリカ、溶融石英、溶融アルミナ、炭化ケイ素又はAlNが挙げられる。溶融シリカ又は石英、特に溶融シリカの使用が好ましい。支持体は不活性でなければならない。
【0064】
支持体が、基板を支持する役割を果たし且つ透明である限り、支持体の厚さは重要ではない。本明細書において使用される透明という用語は、支持体が、光、特に紫外光を透過させることを意味する。特に、支持体がUV-B及びUV-C光に対して透明であることが好ましい。
【0065】
理論的には、ナノワイヤ又はナノピラミッドが成長した後、支持体を(例えば、エッチングによって)除去してもよく、或いはナノワイヤ又はナノピラミッドを支持体から剥離することができる。支持体を除去するか、又は、別の支持構造体により置換する可能性のある場合、ナノワイヤ又はナノピラミッド成長プロセスの間、透明でない支持体の使用が可能になる場合もある。従って、支持体不在でのLEDの使用は、本発明の範囲内である。しかしながら、LED装置において支持体が存在するのが好ましい。
【0066】
[中間層]
グラファイト基板は、シート内に設けられ、所望のシート抵抗より高くなる可能性がある。シート抵抗は、名目上厚さの均一な薄膜の横方向抵抗の尺度である。シート抵抗を低減させるために、グラファイト基板と支持体との間に中間層を設けることが好ましい。その中間層は、好ましくは、六方晶窒化ホウ素(hBN)であるか、又は銀ナノワイヤネットワーク又は金属グリッドであり得る。中間層は、ナノワイヤ又はナノピラミッドの成長の前に存在していてもよい。
【0067】
他の実施形態では、支持体を除去した後に中間層を適用することができる。従って、NWは、支持体上に担持されたグラフェン層上で成長させることができ、その後、支持体を除去し、中間層をグラフェン基板の裏側に(すなわち、成長したナノワイヤ又はナノピラミッドの反対側に)適用する。
【0068】
この中間層の存在により、グラファイト基板のシート抵抗が低減することにより、デバイスの性能が向上する。実際、中間層として銀ナノワイヤを使用することにより、グラフェンのシート抵抗が16オーム□-1まで低減することが分かっている。
【0069】
シート抵抗を低減させるための更なるオプションは、2つ以上の別個のグラファイト層を使用することである。従って、グラファイト基板の表面上にナノワイヤ又はナノピラミッドを成長させる一方で、このデバイスは、ナノワイヤ又はナノピラミッド担持面の反対側にさらなるグラファイト層を備えることができる。
【0070】
この場合も、中間層は、光、特に紫外光、とりわけUV-B及びUV-Cに対して透明であることが重要である。
【0071】
中間層の厚さは重要ではないが、シート抵抗を低減する役割を果たすため、望ましい機能を発揮するためにはできるだけ薄くするのが理想的であり、hBNの場合には、数個の単層であってもよい。よって、基板層とほぼ同じ厚さであってもよい。従って、好適な厚さは、10~200nm、例えば、20~100nmである。
【0072】
[ナノワイヤ又はナノピラミッドの成長]
商業的に重要なナノワイヤ又はナノピラミッドを製造するために、これらは基板上にエピタキシャル成長することが好ましい。また、基板に垂直に、よって、理想的には[0001](六方晶構造の場合)方向に成長することも理想的である。
【0073】
本発明者らは、半導体ナノワイヤ又はナノピラミッド内の原子とグラフェンシート内の炭素原子との可能な格子整合を確定することにより、グラファイト基板上でのエピタキシャル成長が可能であることを見出した。
【0074】
グラフェン層における炭素-炭素結合長は、約0.142nmである。グラファイトは六方晶構造を有する。本発明者らは、成長するナノワイヤ又はナノピラミッド材料とグラファイト基板との間の格子不整合が非常に低くなり得るため、グラファイトにより、半導体ナノワイヤ又はナノピラミッドが成長できる基板を提供できることに以前気づいた。
【0075】
本発明者らは、グラファイト基板の六方対称性と、六方晶構造を有する[0001]方向に成長するナノワイヤ又はナノピラミッドの(0001)面における半導体原子の六方対称性とにより、成長するナノワイヤ又はナノピラミッドと基板との間で格子整合を得ることができることに気づいた。これに関する科学の包括的な説明は、特許文献2に見られる。
【0076】
理論によって制限されることを望むものではないが、グラファイト層内の炭素原子の六方対称性と、立方晶構造を有する[111]方向に成長するナノワイヤ又はナノピラミッドの(111)面内(又は六方晶構造を有する[0001]結晶方向に成長するナノワイヤ又はナノピラミッドの(0001)面内)の原子の六方対称性とにより、半導体原子がグラファイト基板の炭素原子よりも上方に、理想的には六方パターンに配置された場合、グラファイト基板と半導体との間に緊密な格子整合が得られる。これは新規かつ驚くべき発見であり、グラファイト基板上でのナノワイヤ又はナノピラミッドのエピタキシャル成長を可能にし得る。
【0077】
特許文献2に記載されているような半導体原子の異なる六方配列は、このような材料の半導体ナノワイヤ又はナノピラミッドを鉛直に成長させ、薄い炭素系グラファイト材の上に自立ナノワイヤ又はナノピラミッドを形成することを可能にし得る。
【0078】
成長するナノピラミッドにおいて、三角形の面は、通常、(1-101)面又は(1-102)面で終端している。(1-101)ファセットを有する三角形の側面は、先端の単一の点に収束するか、又は先端に収束する前に新しいファセット((1-102)面)を形成し得る。場合によっては、ナノピラミッドは、そのトップが{0001}面で終端され、切頂されている。
【0079】
成長するナノワイヤ又はナノピラミッドと基板との間に格子不整合がないことが理想的であるが、ナノワイヤ又はナノピラミッドは、例えば、薄膜よりもはるかに大きな格子不整合に対応できる。本発明のナノワイヤ又はナノピラミッドは、基板との格子不整合が最高約10%であってもよく、エピタキシャル成長は依然として可能である。理想的には、格子不整合は、7.5%以下であるべきで、例えば、5%以下などである。
【0080】
六方晶GaN(a=3.189Å)、六方晶AlN(a=3.111Å)のように、半導体によっては、格子不整合が非常に小さい(<約5%)ため、これらの半導体ナノワイヤ又はナノピラミッドの優れた成長が期待できる。
【0081】
ナノワイヤ/ナノピラミッドの成長は、フラックス比により制御することができる。ナノピラミッドは、例えば、高いV族フラックスが使用される場合に促進される。
【0082】
本発明において成長させるナノワイヤの長さは、250nm~数ミクロン、例えば、最高5ミクロンであってもよい。好ましくは、ナノワイヤの長さは少なくとも1ミクロンである。複数のナノワイヤを成長させる場合、それらが全てこれらの寸法要件を満たすのが好ましい。基板上に成長させるナノワイヤの少なくとも90%は、長さが1ミクロン以上であるのが理想的である。実質的に全てのナノワイヤの長さが、少なくとも1ミクロンであるのが好ましい。
【0083】
ナノピラミッドは、高さ250nm~1ミクロン、例えば、高さ400~800nm、例としては、約500nmであってもよい。
【0084】
さらに、成長させたナノワイヤ又はナノピラミッドが同じ寸法、例えば、互いの10%以内の寸法を有することが好ましい。よって、基板上のナノワイヤ又はナノピラミッドの少なくとも90%(好ましくは、実質的に全て)が、同一の直径及び/又は同一の長さ(すなわち、互いの直径/長さの10%以内)であるのが好ましい。従って、本質的に、当業者は、均質性と、寸法が実質的に同一であるナノワイヤ又はナノピラミッドとを求めている。
【0085】
ナノワイヤ又はナノピラミッドの長さは、成長プロセスが実行される時間の長さによって制御されることが多い。プロセスの時間が長い程、通常、ナノワイヤ又はナノピラミッドは(かなり)長くなる。
【0086】
ナノワイヤは、通常、六角形の断面形状を有する。ナノワイヤの断面直径(すなわち、その太さ)は、25nm~数百nmであり得る。上述の如く、直径は、理想的には、ナノワイヤの大部分にわたって一定である。ナノワイヤの直径は、下記に更に説明するように、ナノワイヤの作製に使用される原子の割合を操作することにより制御することができる。
【0087】
さらに、ナノワイヤ又はナノピラミッドの長さ及び直径は、それらが形成される温度に影響され得る。高い温度は、高いアスペクト比(すなわち、より長い及び/又はより薄いナノワイヤ又はナノピラミッド)をもたらす。直径は、マスク層のナノ孔開口サイズを操作することによっても制御することができる。当業者は、成長プロセスを操作し、所望の寸法のナノワイヤ又はナノピラミッドを設計することができる。
【0088】
本発明のナノワイヤ又はナノピラミッドは、少なくとも1つのIII-V族化合物半導体から形成される。好ましくは、ナノワイヤ又はナノピラミッドは、後述するように必要に応じてのみドープされたIII-V族化合物から成る。複数の異なるIII-V族化合物が存在していてもよいが、存在する全ての化合物が、III-V族化合物であることが好ましい。
【0089】
III族元素の選択肢は、B、Al、Ga、In及びTlである。本発明における好ましい選択肢は、Ga、Al及びInである。
【0090】
グループVの選択肢は、N、P、As、Sbである。全てが好ましく、特にNが好ましい。
【0091】
勿論、III族から2つ以上の元素及び/又はV族から2つ以上の元素を使用することも可能である。ナノワイヤ又はナノピラミッド製造用の好ましい化合物としては、AlAs、GaSb、GaP、GaN、AlN、AlGaN、AlGaInN、GaAs、InP、InN、InGaAs、InSb、InAs又はAlGaAsが挙げられる。Nと組み合わせたAl、Ga及びInをベースとする化合物が最も好ましい。GaN、AlGaN、AlInGaN又はAlNの使用が非常に好ましい。
【0092】
ナノワイヤ又はナノピラミッドは、(後述の任意のドーピング原子と共に)Ga、Al、In及びNから成るのが最も好ましい。
【0093】
二元材料の使用が可能である一方で、本発明においては、AlGaNのような1つのV族アニオンと共に2つのIII族カチオンが存在する三元ナノワイヤ又はナノピラミッドの使用が好ましい。従って、この三元化合物は、式XYZ(但し、XはIII族元素であり、YはXとは異なるIII族であり、ZはV族元素である)のものであってもよい。XYZにおけるXのYに対するモル比は、好ましくは0.1~0.9であり、すなわち、前記式は、好ましくはXxY1-xZ(但し、添字xは0.1~0.9である)である。
【0094】
四元系も使用することが可能であり、式AxB1-xCyD1-y(但し、A、B及びCは異なるIII族元素であり、DはV族元素である)で表すことができる。ここでも、添字xとyは、通常、0.1~0.9である。他の選択肢は、当業者には明らかであろう。
【0095】
AlGaN及びAlInGaNナノワイヤ又はナノピラミッドの成長が、特に好ましい。これらのナノワイヤ又はナノピラミッドを含むデバイスによって放射される光の波長は、Al、In及びGaの含有量を操作することにより調整することができる。また、ナノワイヤ又はナノピラミッドのピッチ及び/又は直径を変化させ、放射される光の性質を変えることができる。
【0096】
ナノワイヤ又はナノピラミッドが異なる化合物の領域を含む場合、さらに好ましい。従って、ナノワイヤ又はナノピラミッドは、GaNなどの第1のIII-V族半導体の領域に続いて、AlGaNなどの異なるIII-V族半導体の領域を含んでいてもよい。ナノワイヤ又はナノピラミッドは、2つ以上又は3つ以上といった複数の領域を含むことができる。これらの領域は、軸方向に成長したナノワイヤの層又は放射状に成長したナノワイヤ又はナノピラミッドのシェルであってもよい。
【0097】
[ドーピング]
本発明のナノワイヤ又はナノピラミッドは、pn又はpin接合を有している必要がある。従って、本発明のデバイス、特にpin接合をベースとするデバイスは、任意に、p型半導体領域とn型半導体領域との間に非ドープ真性半導体領域を有する。p型領域及びn型領域は、オーミック接触に使用されるため、通常、高濃度にドープされる。
【0098】
従って、ナノワイヤ又はナノピラミッドは、ドープされていることが好ましい。ドーピングは、通常、例えば、MBE又はMOVPE成長中に、ナノワイヤ又はナノピラミッドに不純物イオンを導入することを必要とする。ドーピングレベルは、約1015/cm3~1020/cm3に制御することができる。ナノワイヤ又はナノピラミッドは、必要に応じてp型ドープ又はn型ドープすることができる。ドープされた半導体は、外因性導体(extrinsic conductor)である。
【0099】
真性半導体にドナー(アクセプタ)不純物をドープすることにより、n(p)型半導体は、正孔(電子)濃度よりも高い電子(正孔)濃度を有する。III-V族化合物、特に窒化物用の好適なドナー(アクセプタ)は、Si(Mg、Be及びZn)であり得る。ドーパントは、成長プロセスの間に、又は形成後のナノワイヤ若しくはナノピラミッドのイオン注入により導入することができる。
【0100】
前述の如く、LEDの外部量子効率(EQE)をより高くするためには、キャリア注入効率をより高くする必要がある。しかしながら、AlGaN合金中のAl含有量が増加すると共に、Mgアクセプタのイオン化エネルギーが増加することにより、Al含有量の高いAlGaN合金において正孔濃度をより高くすることは困難となる。本発明者らは、正孔注入効率(特に高含有量のAlからなるバリア層における)をより高くするために、個々に又は一緒に使用することのできるいくつかの方法を考案している。
【0101】
従って、ドーピングプロセスにおいて克服すべき問題がある。本発明のナノワイヤ又はナノピラミッドは、Alを含むことが好ましい。Alの含有量が高いほどバンドギャップが高くなることにより、ナノワイヤ又はナノピラミッドの活性層からのUV-C LED放射が可能になり、且つ/又はドーピングされたバリア層における放射光の吸収を回避するため、Alの使用は有益である。バンドギャップが高い場合、ナノワイヤ又はナノピラミッドのこの部分により紫外光が吸収される可能性は低い。従って、ナノワイヤ又はナノピラミッドにおけるAlN又はAlGaNの使用が好ましい。
【0102】
しかしながら、高い導電率(高い正孔濃度)を得るためのAlGaN又はAlNのp型ドーピングは、AlGaN合金中のAl含有量の増加と共にMg又はBeアクセプタのイオン化エネルギーが増加するため困難である。本発明者らは、平均Al含有量のより高いAlGaN合金において導電率を最大にする(すなわち、正孔濃度を最大にする)ために様々な解決策を提案している。
【0103】
ナノワイヤ又はナノピラミッドがAlN又はAlGaNを含む場合、p型ドーパントを導入することにより高い導電率を得ることは困難である。
1つの解決策は、短周期超格子(SPSL)によるものである。この方法では、Al組成のより高い均一なAlGaN層の代わりに、Al含有量の異なる交互に重なる層からなる超格子構造体を成長させる。例えば、Al含有量が35%のバリア層は、例えば、交互に重なるAlxGa1-xN:Mg/AlyGa1-yN:Mg(x=0.30/y=0.40)からなる、厚さ1.8~2.0nmのSPSLで置き換えることができる。Al組成のより低い層におけるアクセプタの低いイオン化エネルギーにより、バリア層のバリア高さを損なうことなく、正孔注入効率が向上する。この効果は、界面の分極場によりさらに増強される。SPSLに続いて、より良好な正孔注入のために、高度にpドープされたGaN:Mg層を設けることができる。
【0104】
より一般的には、本発明者らは、p型ドープされたAlzGa1-zN合金(x<z<y)の代わりに、p型ドープされたAlxGa1-xN/AlyGa1-yN短周期超格子(すなわち、AlxGa1-xN及びAlyGa1-yNが交互に重なる薄層)(Alモル分率xは、yより低い)をナノワイヤ又はナノピラミッド構造に導入することを提案している。当然のことながら、xは0といった低い値(すなわちGaN)であってもよく、yは1といった高い値(つまりAlN)であってもよい。超格子周期は、好ましくは5nm以下でなければならず、例えば2nmなどであり、その場合、超格子は単一のAlzGa1-zN合金(zはx及びyの層厚加重平均である)として機能するが、Al含有量のより低いAlxGa1-xN層に対するp型ドーピング効率がより高いため、AlzGa1-zN合金よりも高い導電率を有する。
【0105】
p型ドープされた超格子を有するナノワイヤ又はナノピラミッドでは、p型ドーパントがMg又はBeなどのアルカリ土類金属であることが好ましい。
【0106】
Al含有ナノワイヤ/ナノピラミッドのドーピングの問題を解決するためのさらなる選択肢は、同様の原理に基づく。Al含有量が少ないか又はAlを含有しない薄いAlGaN層を含む超格子の代わりに、ナノワイヤ又はナノピラミッド内のAlGaNの成長方向にAl含有量(モル分率)の勾配を有するナノ構造を設計することができる。従って、ナノワイヤ又はナノピラミッドが成長するにつれて、Al含有量を減少/増加させ、その後、再度増加/減少させ、ナノワイヤ又はナノピラミッド内にAl含有量勾配を作り出す。
【0107】
これは、分極ドーピングと呼ばれる場合もある。一方法において、層には、GaNからAlNに向かって又はAlNからGaNに向かって勾配を付与する。GaNからAlN及びAlNからGaNへの勾配領域は、それぞれ、n型及びp型伝導をもたらし得る。これは、隣接ダイポールと比較して大きさの異なるダイポールの存在により生じ得る。GaNからAlN及びAlNからGaNへの勾配領域は、それぞれ、n型ドーパント及びp型ドーパントで更にドーピングすることができる。
【0108】
好ましい実施形態では、ドーパントとしてBeを使用し、AlGaNナノワイヤにおいてp型ドーピングが用いられる。
【0109】
従って、1つの選択肢は、GaNナノワイヤ/ナノピラミッドから開始し、Alを増加させ、Ga含有量を徐々に減少させて、おそらく成長厚100nmを超すAlNを形成することであろう。この勾配領域は、結晶面、極性、そして勾配領域においてAl含量がそれぞれ減少しているか増加しているかによって、p型又はn型領域として機能し得る。次に、反対のプロセスを実施し、GaNを再度生成し、n型又はp型領域(前に作製したものとは反対の領域)を作り出す。これらの勾配領域は、Siなどのn型ドーパントやMg又はBeなどのp型ドーパントで更にドープし、それぞれ、電荷キャリア密度の高いn型又はp型領域を得ることが可能である。結晶面及び極性は、当該技術分野において公知であるように、ナノワイヤ/ナノピラミッドのタイプによって決まる。
【0110】
従って、別の態様において、本発明のナノワイヤ又はナノピラミッドは、Al、Ga及びN原子を含み、ナノワイヤ又はナノピラミッドの成長中に、Al濃度を変化させ、ナノワイヤ又はナノピラミッド内にAl濃度勾配を作り出す。
【0111】
第3の実施形態では、Al含有ナノワイヤ又はナノピラミッドにおけるドーピングの問題に、トンネル接合を用いて対処する。トンネル接合は、2つの導電性材料の間の、薄層などのバリアである。本発明において、バリアは、半導体デバイスの中央のオーミック電気コンタクトとして機能する。
【0112】
一方法において、薄い電子ブロック層が活性領域の直後に挿入され、その後、活性層に使用されるAl含有量より高いAl含有量を有するp型ドープされたAlGaNバリア層が続く。p型ドープされたバリア層の後には、高濃度にp型ドープされたバリア層と非常に薄いトンネル接合層が続き、そして、n型ドープされたAlGaN層が続く。トンネル接合層は、電子がp-AlGaN中の価電子帯からn-AlGaN中の伝導帯へトンネルし、p-AlGaN層に注入される正孔を生成するように選択される。
【0113】
より一般的には、ナノワイヤ又はナノピラミッドが、非常に薄いAl層などのAl層により分離されたドープGaNの2つの領域(1つのpドープ領域と1つのnドープ領域)を有することが好ましい。Al層の厚さは、1~10nmなど、数nmであってもよい。当然のことながら、高濃度にドープされたInGaN層を含め、トンネル接合としての機能を果たすことができる任意の材料は他にもある。
【0114】
ドープされたGaN層をAl層上に成長させることができることは、特に驚きである。
【0115】
従って、本発明は、一実施形態において、Al層により分離された、p型ドープされた(Al)GaN領域とn型ドープされた(Al)GaN領域を有するナノワイヤ又はナノピラミッドを提供する。
【0116】
本発明のナノワイヤ又はナノピラミッドは、放射状に又は軸方向にヘテロ構造形態を有するように成長させることができる。例えば、軸方向にヘテロ構造化されたナノワイヤ又はナノピラミッドの場合、p型ドープされたコアを最初に成長させた後、nドープされたコアを続けて成長させる(又はその逆)ことによりpn接合を軸方向に形成することができる。真性領域は、pinナノワイヤ又はナノピラミッドの場合、ドープされたコアの間に配置することができる。放射状にヘテロ構造化されたナノワイヤ又はナノピラミッドの場合、pドープされたナノワイヤ又はナノピラミッドコアを最初に成長させた後、nドープされた半導体シェルを成長させる(又はその逆)ことによりpn接合を放射状に形成することができる。真性シェルは、pinナノワイヤ又はナノピラミッドの場合、ドープ領域の間に配置することができる。
【0117】
ナノワイヤは、軸方向に成長させ、第1のセクション及び第2のセクションから、ナノワイヤ又はナノピラミッドの軸方向上方に向かって形成されることが好ましい。これら2つのセクションに異なるドープをし、pn接合又はpin接合を生成する。ナノワイヤのトップ又はボトムセクションは、pドープ又はnドープされたセクションである。
【0118】
pinナノワイヤ又はナノピラミッドでは、電荷キャリアがそれぞれのp領域及びn領域に注入されると、それらはi領域で再結合し、この再結合により光が生成される。pn接合の場合、再結合は空間電荷領域で生じる(真性領域がないため)。光は、各ナノワイヤ又はナノピラミッドの内部でランダムに生成され、全方向に放射される。このような構造における一つの問題は、生成された光の一部しか所望の方向に向けられないため、そのかなりの部分が無駄になることである。従って、反射層の使用により、放射光が、確実に所望の方向、特に、反射層とは反対の方向に向かってデバイスから放射されるようになる。特に、光は、基板及び支持層(これらは光反射層とは反対側にある)を介して反射される。
【0119】
光検出器の実施形態において、反射層は必須ではないが、存在する場合、さもなければ失われるであろう光を、検出するためナノワイヤ又はナノピラミッドに反射し得る。
【0120】
本発明のナノワイヤ又はナノピラミッドは、エピタキシャル成長するのが好ましい。それらは、共有結合、イオン結合又は準ファンデルワールス(quasi van der Waals)結合を介して下地基板に結合する。従って、ナノワイヤ又はナノピラミッドのベースと基板との接合部において、ナノワイヤ又はナノピラミッド内に結晶面がエピタキシャルに形成される。これらは、同じ結晶学的方向に互いに積み重なり合うことにより、ナノワイヤ又はナノピラミッドをエピタキシャル成長させる。ナノワイヤ又はナノピラミッドは、鉛直に成長するのが好ましい。本明細書において使用する鉛直という用語は、ナノワイヤ又はナノピラミッドが、基板に対して垂直に成長することを意味する。当然のことながら、実験科学では、成長角度は正確に90°でなくてもよいが、鉛直にという用語は、ナノワイヤ又はナノピラミッドが、鉛直/垂直方向の約10°以内、例えば、5°以内にあることを意味する。共有結合、イオン結合又は準ファンデルワールス結合を介したエピタキシャル成長により、ナノワイヤ又はナノピラミッドとグラファイト基板とが密接に接触することが期待される。接触特性をさらに高めるために、グラファイト基板をドープし、成長したナノワイヤ又はナノピラミッドの主要なキャリアと一致させることができる。
【0121】
ナノワイヤ又はナノピラミッドは、高温での基板への物理的及び化学的結合を伴いエピタキシャル成長させるため、ボトムコンタクトは、オーミックであるのが好ましい。
【0122】
当然のことながら、基板は、複数のナノワイヤ又はナノピラミッドを含む。ナノワイヤ又はナノピラミッドは、互いにほぼ平行に成長するのが好ましい。従って、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、好ましくは実質的に全てのナノワイヤ又はナノピラミッドが、基板の同一面から同一方向に成長するのが好ましい。
【0123】
当然ながら、エピタキシャル成長が起こり得る基板内には多くの面が存在する。実質的に全てのナノワイヤ又はナノピラミッドが、同一面から成長するのが好ましい。その面が、基板表面に平行であることが好ましい。理想的には、成長したナノワイヤ又はナノピラミッドは、実質的に平行である。ナノワイヤ又はナノピラミッドは、基板に対して実質的に垂直に成長するのが好ましい。
【0124】
本発明のナノワイヤ又はナノピラミッドは、好ましくは、六方晶構造を有するナノワイヤ又はナノピラミッドの場合、[0001]方向に成長すべきである。ナノワイヤが六方晶構造を有する場合、ナノワイヤとグラファイト基板との間の(0001)界面が、軸方向成長が生じる面である。ナノワイヤ又はナノピラミッドは、好ましくは、MBE又はMOVPEにより成長させる。MBE法では、基板に各反応物の分子ビームを供給し、例えば、III族元素とV族元素とを同時に供給することが好ましい。グラファイト基板上におけるナノワイヤ又はナノピラミッドの核生成及び成長は、MBE技術を用いて、例えば、III族元素とV族元素とを交互に供給することができるマイグレーション・エンハンスト・エピタキシー(MEE)又は原子層MBE(ALMBE)を使用することによって、より高度に制御し得る。
【0125】
窒化物の場合の好ましい技術は、プラズマ支援固体ソースMBEであり、ガリウム、アルミニウム及びインジウム等の非常に純粋な元素を、ゆっくりと蒸発し始めるまで、別個のエフュージョンセル内で加熱する。通常、rfプラズマ窒素源を使用し、低エネルギーの窒素原子ビームを生成する。その後、ガス状の元素は、基板上で凝結し、そこで互いに反応し得る。ガリウム及び窒素の例においては、単結晶GaNが形成される。「ビーム」という用語の使用は、プラズマ源からの蒸発した原子(例えば、ガリウム)及び窒素原子が、基板に到達するまで、互いに又は真空チャンバーガスと相互作用しないことを意味する。
【0126】
MBEは、バックグラウンド圧力が通常約10-10~10-9Torrの超高真空中で行われる。ナノ構造は、通常、例えば、1時間当たり最高数μmの速度で、ゆっくりと成長させる。これにより、ナノワイヤ又はナノピラミッドをエピタキシャル成長させ、構造性能を最大化することができる。
【0127】
放射光の性質は、ナノワイヤ又はナノピラミッドの直径及び組成によって決まる。ナノワイヤ又はナノピラミッドのバンドギャップを調整するために、温度及びフラックスを使用することができる。(Nanotechnology 25(2014)455201)。
【0128】
MOVPE法において、基板は、反応器内に保持され、キャリアガス及び各反応物の有機金属ガス、例えば、III族元素を含む有機金属前駆体及びV族元素を含む有機金属前駆体が基板に供給される。典型的なキャリアガスは、水素、窒素又はこれら2つの混合物である。グラファイト基板上におけるナノワイヤ又はナノピラミッドの核生成及び成長は、MOVPE技術を用いて、例えば、III族元素とV族元素とを交互に供給することができるパルス層成長技術を使用することによって、より高度に制御し得る。
【0129】
[ナノワイヤ又はナノピラミッドの選択領域成長]
本発明のナノワイヤ又はナノピラミッドは、好ましくは、選択領域成長(SAG)法により成長させる。この方法では、グラファイト層上に堆積したナノ孔パターンを有するマスクが必要となり得る。
【0130】
成長したナノワイヤ又はナノピラミッドの高さ及び直径においてより均一でより規則的なナノワイヤ又はナノピラミッドのアレイを作製するために、本発明者らは、基板上におけるマスクの使用を想定している。このマスクは、規則的な孔を有し、ナノワイヤ又はナノピラミッドは、基板全体にわたって規則的な配列で均一なサイズに成長することができる。マスクの孔パターンは、従来のフォト/電子ビームリソグラフィー又はナノインプリントを用いて容易に製造することができる。ナノワイヤ又はナノピラミッドを成長させるグラファイト表面上に規則的な核生成サイトのアレイを生成するために、集束イオンビーム技術を使用してもよい。
【0131】
従って、マスクは、基板に適用し、基板表面を露出させる孔を、場合によっては規則的なパターンで、エッチングすることができる。さらに、孔のサイズ及びピッチは、慎重に制御することができる。孔を規則的に配置することにより、規則的なパターンのナノワイヤ又はナノピラミッドを成長させることができる。
【0132】
さらに、孔のサイズを制御し、各孔内に確実に1つのナノワイヤ又はナノピラミッドしか成長できないようにすることができる。最終的に、孔は、ナノワイヤ又はナノピラミッドの成長を可能にするのに十分な大きさのサイズに作ることができる。このようにして、規則的なナノワイヤ又はナノピラミッドのアレイを成長させることができる。
【0133】
孔のサイズを変化させることにより、ナノワイヤ又はナノピラミッドのサイズを制御することができる。穴のピッチを変化させることにより、ナノワイヤ又はナノピラミッドからの光の光抽出を最適化することができる。
【0134】
マスク材は、堆積時、下地基板を損傷することのない任意の材料であり得る。マスクは、放射光(LED)及び入射光(光検出器)に対して透明でなければならない。孔の最小サイズは、50nm、好ましくは、少なくとも100~200nmである。マスクの厚さは、10~100nm、例えば、10~40nmとすることができる。
【0135】
マスク自体は、不活性化合物、例えば、二酸化ケイ素又は窒化ケイ素などで作ることができる。特に、孔パターンマスクは、例えば、電子ビーム蒸着、CVD、PE-CVD、スパッタリング又はALDにより堆積される、SiO2、Si3N4、HfO2、TiO2又はAl2O3などの少なくとも1つの絶縁材料を含む。従って、マスクは、電子ビーム堆積、CVD、プラズマ強化CVD、スパッタリング及び原子層堆積(ALD)によるなど、任意の便利な技術により基板表面に設けることができる。
【0136】
ナノワイヤ成長の前に窒化又は酸化されたTiマスクは、均一なNWの成長を可能にすることが分かっている(例えば、J.Crystal Growth 311(2009)2063-68を参照)ため、そのようなマスクの使用が特に好ましい。
【0137】
選択領域成長法では、所定の位置に均一な長さ及び直径のナノワイヤ又はナノピラミッドが生成される。ナノワイヤ又はナノピラミッドは、ナノ孔パターンを有するマスクなしで成長させることも可能である。その場合、ナノワイヤ又はナノピラミッドは、サイズ(長さ及び直径)が不均一となり、ランダムな位置に配置されることになる。これらの方法は、GaAsなどの他のタイプのIII-V族ナノワイヤ又はナノピラミッドの成長に使用される触媒支援成長法とは異なる。
【0138】
一実施形態では、マスクを使用することなく、本発明のナノワイヤ又はナノピラミッドを成長させるのが好ましい。さらに、本発明者らは、マスクがない場合にナノワイヤ密度を最大にすることができることを見出した。1平方マイクロメートル当たり少なくとも20ナノワイヤ、例えば、1平方マイクロメートル当たり少なくとも25ナノワイヤといったナノワイヤ密度が可能である。これらの非常に高いナノワイヤ密度は、特に、GaN又はAlGaNナノワイヤに関するものである。
【0139】
次に、ナノワイヤ又はナノピラミッドの成長に際し、グラファイト基板温度は、対象のナノワイヤ又はナノピラミッドの成長に適した温度に設定することができる。成長温度は、300~1000℃の範囲内であり得る。しかしながら、使用する温度は、ナノワイヤ又はナノピラミッドの材料の性質及び成長方法により特定される。MBEにより成長させるGaNの場合、好ましい温度は、700~950℃であり、例えば、750~900℃、例としては760℃などである。AlGaNの場合、その範囲はわずかに高く、例えば、780~980℃、例としては830~950℃など、例えば、840℃である。
【0140】
従って、当然のことながら、ナノワイヤ又はナノピラミッドは、ナノワイヤ又はナノピラミッド内に異なるIII-V族半導体を含むことができ、例えば、GaN基部に始まり、続いて、AlGaN成分又はAlGaInN成分といった具合である。
【0141】
MBEにおけるナノワイヤ又はナノピラミッドの成長は、Gaエフュージョンセル、窒素プラズマセル及びドーパントセルのシャッターを同時に開くことにより開始され、ドープされたGaNナノワイヤ又はナノピラミッド(本明細書においては「基部」と呼ぶ)の成長を開始することができる。GaN基部の長さは、10nmから数百ナノメートルの間に維持することができる。その後、必要に応じて基板温度を上昇させ、Alシャッターを開きAlGaNナノワイヤ又はナノピラミッドの成長を開始することができる。GaN基部を成長させることなく、グラファイト層上においてAlGaNナノワイヤ又はナノピラミッドの成長を開始することができる。n型及びp型ドープされたナノワイヤ又はナノピラミッドは、ナノワイヤ又はナノピラミッドの成長中に、それぞれ、n型ドーパントセル及びp型ドーパントセルのシャッターを開くことにより得られる。例えば、ナノワイヤ又はナノピラミッドのn型ドーピングのためのSiドーパントセル、及びナノワイヤ又はナノピラミッドのp型ドーピングのためのMgドーパントセルなど。
【0142】
エフュージョンセルの温度により、成長速度を制御することができる。従来の面(層ごとの)成長中に測定される、便利な成長速度は、1時間あたり0.05~2μm、例えば、1時間あたり0.1μmである。Al/Gaの比は、エフュージョンセルの温度を変えることにより変化させることができる。
【0143】
成長させるナノワイヤ又はナノピラミッドの性質に応じて、分子ビームの圧力を調整することもできる。好適なレベルのビーム等価圧力は、1x10-7~1x10-4Torrである。
【0144】
反応物(例えば、III族原子及びV族分子など)間のビームフラックス比は変化させることができ、好ましいフラックス比は、他の成長パラメーター及び成長させるナノワイヤ又はナノピラミッドの性質によって決まる。窒化物の場合、ナノワイヤ又はナノピラミッドは、常に窒素が豊富な条件下で成長させる。
【0145】
本発明のナノワイヤ又はナノピラミッドは、好ましくは、np又はnip型Al(In)GaN又はAlGaNナノワイヤ又はナノピラミッドを含む。活性層(i領域)は、Alx1Gay1N/Alx2Gay2N(x1>x2及びx1+y1=x2+y2=1)多重量子井戸又は超格子構造から成り得る。p領域は、電子ブロック層(単一又は複数の量子バリア層)を含み(include/comprise)、少数キャリア(電子)のp領域へのオーバーフローを防ぐこともできる。
【0146】
従って、好ましい実施形態は、ナノワイヤ又はナノピラミッドが多重量子井戸を有するものである。よって、好ましい実施形態は、ナノワイヤ又はナノピラミッドが電子ブロック層を有するものである。理想的には、ナノワイヤ又はナノピラミッドは、電子ブロック層及び多重量子井戸の両方を有する。
【0147】
従って、本発明の一実施形態では、2段階成長法などの多段階成長法を採用し、例えば、ナノワイヤ又はナノピラミッドの核生成とナノワイヤ又はナノピラミッドの成長とを別々に最適化する。
【0148】
MBEの大きな利点は、例えば、反射高エネルギー電子回折(RHEED)を用いて、成長するナノワイヤ又はナノピラミッドをその場で分析できることである。RHEEDは、結晶材料の表面を特徴付けるために通常使用される技術である。この技術は、ナノワイヤ又はナノピラミッドがMOVPEなどの他の技術によって形成される場合には、容易に適用することはできない。
【0149】
MOVPEの大きな利点は、ナノワイヤ又はナノピラミッドを、はるかにより速い成長速度で成長させることができることである。この方法は、例えば、真性AlN/Al(In)GaN多重量子井戸(MQW)、AlGaN電子ブロック層(EBL)及びp型ドープされた(Al)GaNシェルから成るシェルを有するn型ドープされたGaNコアなど、放射状ヘテロ構造ナノワイヤ又はナノピラミッド及びマイクロワイヤの成長に有利である。この方法はまた、例えば、V/IIIモル比をより低く、基板温度をより高くするなど、成長パラメーターを変更した連続成長モード又はパルス成長技術などの技術を用いて、軸方向にヘテロ構造化されたナノワイヤ又はナノピラミッドの成長も可能にする。
【0150】
より詳細には、反応器は、サンプルを配置した後、排気しなければならず、且つ、N2でパージし、反応器内の酸素及び水分を除去する。これは、成長温度でのグラフェンへの損傷を避けるためであり、且つ、前駆体と酸素及び水との望ましくない反応を避けるためである。全圧は、50~400Torrになるよう設定する。反応器をN2でパージした後、約1200℃の基板温度でH2雰囲気下において基板の熱的クリーニングを行う。その後、基板温度は、対象のナノワイヤ又はナノピラミッドの成長に適した温度に設定することができる。成長温度は、700~1200℃の範囲内であり得る。しかしながら、使用する温度は、ナノワイヤ又はナノピラミッドの材料の性質により特定される。GaNの場合、好ましい温度は、800~1150℃であり、例えば、900~1100℃、例としては1100℃などである。AlGaNの場合、その範囲はわずかに高く、例えば、900~1250℃、例としては1050~1250℃などであり、例えば、1250℃である。
【0151】
有機金属前駆体は、Gaの場合、トリメチルガリウム(TMGa)又はトリエチルガリウム(TEGa)、Alの場合、トリメチルアルミニウム(TMAl)又はトリエチルアルミニウム(TEAl)、及びInの場合、トリメチルインジウム(TMIn)又はトリエチルインジウム(TEIn)のそれぞれいずれかであり得る。ドーパント用の前駆体は、シリコンの場合、SiH4、また、Mgの場合、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Cp2Mg)又はビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム((MeCp)2Mg)であり得る。TMGa、TMAl及びTMInの流量は、5~100sccmに維持することができる。NH3の流量は、5~150sccmの間で変化させることができる。
【0152】
特に、簡易な気相-固相成長の使用により、ナノワイヤ又はナノピラミッドを成長させ得る。従って、MBEの場合、触媒を用いることなく基板に反応物(例えば、In及びN)を簡易適用することにより、ナノワイヤ又はナノピラミッドを形成し得る。これは、従って、グラファイト基板上における上記の元素から形成された半導体ナノワイヤ又はナノピラミッドの直接成長を提供する本発明の更なる態様を成す。よって、直接という用語は、成長を可能にする触媒が存在しないことを意味する。
【0153】
本発明は、別の態様において、グラファイト基板上に、好ましくは、前記グラファイト基板上の孔パターンマスクの孔を通って、エピタキシャル成長させた複数のIII-V族ナノワイヤ又はナノピラミッドを含む組成物であって、前記ナノワイヤ又はナノピラミッドが、
多重量子井戸として機能する真性領域により分離されたn型ドープ領域及びp型ドープ領域を有し、前記p型ドープ領域が、電子ブロック層を有する、組成物を提供する。
【0154】
前記領域は、ナノワイヤ又はナノピラミッド内の層又はナノワイヤ又はナノピラミッドを形成するコア上のシェルにより示し得る。従って、本発明は、更に、順に、真性多重量子井戸を含むシェルを備えたn型ドープコア、電子ブロックシェル(EBL)及びp型ドープシェルを有する、グラファイト基板上にエピタキシャル成長させた複数の放射状III-V族ナノワイヤ又はナノピラミッドを提供する。n型ドープ領域は、正孔ブロック層(単一又は複数の量子バリア層)を含み(include/comprise)、少数電荷キャリア(正孔)のn型ドープ領域へのオーバーフローを防止し得る。
【0155】
[トップコンタクト]
本発明のデバイスを作製するために、ナノワイヤ又はナノピラミッドのトップは、トップ電極と、LED実施形態の場合、好ましくは反射層とを有する必要がある。いくつかの実施形態においては、これらの層は一体であってもよい。
【0156】
好ましい一実施形態において、トップコンタクトは、別のグラファイト層を用いて形成される。この場合、本発明は、形成されたナノワイヤ又はナノピラミッドの上にグラファイト層を配置し、トップコンタクトを形成することを含む。グラファイトのトップコンタクト層は、基板層と実質的に平行であることが好ましい。また、当然のことながら、グラファイト層の面積は、基板の面積と同じである必要はない。ナノワイヤ又はナノピラミッドのアレイを有する基板とのトップコンタクトを形成するために、多数のグラファイト層が必要となる場合もある。
【0157】
使用されるグラファイト層は、基板に関して詳細に上述した層と同じものであり得る。トップコンタクトは、グラファイトであり、より具体的には、グラフェンである。このグラフェントップコンタクトに含まれるグラフェン又はその誘導体は、10層以下、好ましくは5層以下(これは、数層グラフェンと呼ばれる)でなければならない。特に好ましくは、グラフェンの1原子厚の平面シートである。
【0158】
結晶又は「フレーク」形態のグラファイトは、積層された多くのグラフェンシート(すなわち、11枚以上)から成る。トップコンタクトの厚さは、20nm以下であるのが好ましい。更により好ましくは、グラファイトトップコンタクトの厚さは、5nm以下であってもよい。
【0159】
グラフェンは、半導体ナノワイヤ又はナノピラミッドに直接接触する場合、通常、ショットキーコンタクトを形成し、これは、コンタクト接合部でバリアを形成することにより電流の流れを妨げる。この問題により、半導体上に堆積したグラフェンに関する研究は、主にグラフェン/半導体ショットキー接合部の使用に限定されていた。
【0160】
形成されたナノワイヤ又はナノピラミッドへのトップコンタクトの適用は、任意の便利な方法により実現できる。グラファイト層を基板キャリアに移動させるための上述した方法と同様の方法を用いてもよい。キッシュグラファイト、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)又はCVDに由来するグラファイト層は、機械的又は化学的方法により剥離し得る。その後、それらを、HF又は酸溶液などのエッチング溶液に移し、剥離プロセスに由来する混入物質及びCU(Ni、Pt等)(特にCVD成長グラファイト層の場合)を除去することができる。エッチング溶液は、脱イオン水などの他の溶液にさらに交換し、グラファイト層を洗浄することができる。次いで、グラファイト層は、形成されたナノワイヤ又はナノピラミッド上にトップコンタクトとして容易に移動させることができる。ここでも、剥離及び移動プロセスの間、薄いグラファイト層を支持するために電子ビームレジスト又はフォトレジストを使用してもよく、これは堆積後に容易に除去することができる。
【0161】
グラファイト層は、エッチング及びすすぎ後、ナノワイヤ又はナノピラミッドアレイのトップに移される前に完全に乾燥させることが好ましい。グラファイト層とナノワイヤ又はナノピラミッドとの間の接触を強化するために、この「乾式」移動中に穏やかな圧力及び熱を加えることができる。
【0162】
あるいは、グラファイト層は、溶液(例えば、脱イオン水)と共に、ナノワイヤ又はナノピラミッドアレイの上に移動させることができる。溶液が乾燥するにつれて、グラファイト層は、下のナノワイヤ又はナノピラミッドとの密なコンタクトを自然に形成する。この「湿式」移動法では、乾燥プロセス中の溶液の表面張力により、ナノワイヤ又はナノピラミッドアレイが曲がったり又は破壊されたりする可能性がある。これを防ぐために、この湿式法を使用する場合、より頑強なナノワイヤ又はナノピラミッドを用いることが好ましい。直径80nm超のナノワイヤ又はナノピラミッドが好適であり得る。あるいは、鉛直ナノワイヤ又はナノピラミッド構造体を支持する、孔パターンを有する基板を使用することができる。臨界点乾燥法を使用し、乾燥プロセス中に表面張力により引き起こされるダメージを回避してもよい。これを防止する別の方法は、ナノワイヤ間又はナノピラミッド間の充填材として電気絶縁性の支持材を使用することである。充填材は、放射光に対し透明である必要がある。以下、フィラーの使用について検討する。
【0163】
ナノワイヤ又はナノピラミッドアレイ上に水滴があり、それを除去する試みが、例えば、窒素ブローを伴う場合、蒸発により水滴は小さくなるが、水滴は表面張力により常に球形を維持しようとする。これは、水滴の周囲又は内部のナノ構造を破損又は破壊し得る。
【0164】
この問題は、臨界点乾燥法により回避される。温度と圧力を上昇させることにより、液体と気体との間の相境界を除去することができ、水を容易に除去することができる。
【0165】
また、グラファイトトップコンタクトのドーピングを利用することもできる。グラファイトトップコンタクトの主要なキャリアは、ドーピングにより正孔又は電子のいずれかとして制御することができる。グラファイトトップコンタクトと半導体ナノワイヤ又はナノピラミッドにおけるドーピングタイプが同じであることが好ましい。
【0166】
従って、当然のことながら、トップグラファイト層と基板はいずれもドープすることができる。実施形態によっては、基板及び/又はグラファイト層は、化学的方法によりドープされ、その化学的方法は、金属塩化物(FeCl3、AuCl3又はGaCl3)、NO2、HNO3、芳香族分子などの有機若しくは無機分子又はアンモニアなどの化学溶液の吸着を伴う。
【0167】
基板の表面及び/又はグラファイト層は、その成長中に、置換ドーピング法により、B、N、S又はSi等のドーパントを導入し、ドープすることもできる。
[反射層/電極]
デバイスは、2つの電極を備えている。第1の電極は、グラフェン基板と接触して配置される。この電極は、Ni、Au、Ti若しくはAlなどの金属元素又はそれらの混合物若しくはそれらのスタック(例えば、Ti/Al/Ni/Auのスタックなど)をベースとするものであってもよい。Pd、Cu又はAgも使用してもよい。第1の電極は、n電極となることが多い。この電極は、グラファイト基板のいずれかの表面上、好ましくは成長したナノワイヤ又はナノピラミッドと同じ表面上にあってもよい。
【0168】
第2の電極は、成長したナノワイヤ又はナノピラミッドの上にトップコンタクトとして配置される。この電極は、p電極となることが多い。この電極が、ナノワイヤ又はナノピラミッドとの良好なオーミック接触を形成することが好ましい。好適な電極材料としては、Ni、Ag、Pd及びCuが挙げられる。特に、Ni/Auスタックを使用することができる。この電極は、ヒートシンクとしても機能し得る。以下でさらに詳細に説明するように、本発明のLEDデバイスは、好ましくは、フリップチップの形態である。よって、トップコンタクト電極は、フリップチップアセンブリのボトムに位置する。従って、この電極は、光を反射するか、又は光反射層を備えているかのいずれかであるのが好ましい。光反射層は、理想的には金属である。光反射コンタクト層はいくつかの方法で形成することができるが、PVD(物理蒸着)法及び周知のマスク技術を用いるのが好ましい方法である。リフレクタは、好ましくは、アルミニウム又は銀で作られるが、他の金属又は金属合金も使用し得る。光反射層の目的は、光が好ましい方向以外の方向に構造体から出光することを防ぐことと、放射光を単一方向に集束させることである。さらに、光反射層は、ナノワイヤ又はナノピラミッドに対するトップコンタクト電極として機能し得る。LEDによって放射された光は、反射層とは反対の方向に、すなわちフリップチップのトップの外に導かれる。グラフェントップコンタクト層が存在する場合、さらに光反射層も存在することが好ましい。
【0169】
反射層は、光を反射する必要があり、ヒートシンクとしても機能し得る。好適な厚さは、20~400nm、例えば50~200nmである。
【0170】
光検出器の実施形態において、反射層を使用する必要はないが、場合によっては、入射光をナノワイヤ又はナノピラミッドに反射して光検出を向上させるため、そのような層を使用することもできる。
【0171】
[フィラー]
フィラーが、例えば、紫外光に対して透明である限り、フィラーを使用し、フリップチップアセンブリを包囲することは、本発明の範囲内である。フィラーは、ナノワイヤ間又はナノピラミッド間の空間及び/又はアセンブリ全体の周囲に存在してもよい。ナノワイヤ間又はナノピラミッド間の空間には、アセンブリ全体とは異なるフィラーを使用してもよい。
【0172】
[応用]
本発明は、LED、特にUV-LED、とりわけUV-A、UV-B又はUV-C LEDに関する。LEDは、通常のデバイスと比べてチップが反転した、いわゆる「フリップチップ」として設計されることが好ましい。
【0173】
LED装置全体は、配置し分離したフリップチップボンディング用のコンタクトパッドを備え、平均直列抵抗を低減し得る。このようなナノ構造LEDは、ナノワイヤ又はナノピラミッドLEDチップ上のpコンタクトパッド及びnコンタクトパッドの位置に対応するコンタクトパッドを有するキャリア上に配置し、はんだ付け、超音波溶接、ボンディングを使用して又は導電性接着剤の使用により取り付けることができる。キャリア上のコンタクトパッドは、LEDパッケージの適切な電源リード線に電気的に接続することができる
このようなナノワイヤベースのLEDデバイスは、通常、機械的支持及び電気的接続を提供するキャリア上に搭載される。効率の向上したLEDを構成するための1つの好ましい方法は、フリップチップデバイスを作製することである。反射率の高い光反射層を、ナノワイヤ又はナノピラミッドの上に形成する。初期支持体は、プロセスの一環として除去し、基板層を残して、ナノワイヤ又はナノピラミッド用のベースとなっている当該基板層を通して光が放射されることを可能にし得る。支持体が透明であれば、もちろんそれを除去する必要はない。ナノワイヤ又はナノピラミッドのトップに向けられた放射光は、反射層に当たると反射されることにより、構造体から出射する光の明らかに優位な方向を作り出す。構造体を製造するこの方法により、放射光の大部分を所望の方向に導くことが可能となり、LEDの効率を高めることができる。従って、本発明は、可視LED及びUV-LEDの製造を可能にする。
【0174】
本発明はまた、デバイスが光を吸収し、光電流を生成する光検出器にも関する。光反射層は、光検出を向上させるために、デバイスへの入射光をナノワイヤ又はナノピラミッドに反射し得る。
【0175】
ここで、以下の非限定的実施例及び図面と関連させ、本発明について更に検討する。
【0176】
図1は、可能なフリップチップ設計を示している。従って、使用時、光はデバイスのトップを通過し放射される(huと記載)。支持体1は、溶融シリカ(最適な選択肢)、石英、炭化ケイ素、サファイア又はAlNから形成されるのが好ましい。他の透明支持体の使用も可能である。溶融シリカ又は石英の使用が好ましい。使用に際して、支持体が残存している場合、支持体はデバイスの最上部に配置されているため、支持体が放射光に対して透明であることにより、デバイスから光を出射させることが重要である。
【0177】
好ましい任意の層である層2は、グラフェンのシート抵抗を低減するために、支持体とグラフェン層3との間に配置されている。層2の好適な材料としては、hBNなどの不活性窒化物又はAgナノワイヤネットワーク若しくは金属グリッドなどの金属ナノワイヤネットワークが挙げられる。
【0178】
層3は、グラフェン層であり、1原子層厚以上のグラフェン層、例えば、厚さが最大20nmのグラフェン層などであり得る。
【0179】
ナノワイヤ4は、基板層3からエピタキシャル成長している。理想的には、ナノワイヤは、Al(In)GaN、AlN又はGaNから形成されており、ドープされ、nip又はnp接合が形成されている。
【0180】
フィラー5は、成長したナノワイヤの間に配置することができる。トップ電極/光反射層6は、ナノワイヤ4の上に配置されている。光反射層は、Ni又はAuを含むp電極を備えていてもよい。使用時には、この層は、デバイスが放射した光を反射し、光が確実に反射層の反対側のデバイスのトップを通過し放射されるようにする。これは、従来のLEDと比べて、デバイスが逆さであるため、いわゆるフリップチップ配置である。
【0181】
電極10は、グラフェン層3上に配置されている。この電極は、Ti、Al、Ni又は/及びAuを含んでいてもよい。グラフェン層は、マスク7を備え、グラフェン上の限定された位置にナノワイヤを成長させてもよい。
【0182】
デバイス全体が、はんだ層9を介してサブマウント8上の導電性トラック/パッド13に半田付けされている。
【0183】
順方向電流がデバイスを通過すると、組成物によって可視光又は紫外光が、ナノワイヤ内で生成され、場合によっては反射層で反射された後、デバイスのトップから放射される。
【0184】
逆電流がデバイスを通過し、デバイスが可視光又は紫外光に暴露されると、ナノワイヤは組成物によって可視光又は紫外光を吸収し、電流に変換することにより、光検出器として機能する。
【0185】
図2は、本発明の一つの可能なナノワイヤを示す。ナノワイヤは、成長段階において供給する元素を変えることにより、軸方向に異なる成分を有する。まず、n型ドープされたGaN材料を堆積し、続いてn-AlN又はn-(Al)GaNを堆積している。図示されているように、ナノワイヤの中央部には、(In)(Al)GaNから形成された一連の多重量子井戸がある。そして、AlGaN又は(Al)GaNをベースとしたpドープ領域と、p-Al(Ga)Nをベースとした電子ブロック層と、最後にp-GaN層とが続く。
【0186】
図3は、ナノワイヤが放射状に成長し、コアシェル構造体を形成する別のチップ設計を示す。よって、使用時に、光は、デバイスのトップを通過し放射される(huと記載)。支持体1は、好ましくは、溶融シリカ又は石英で形成されている。使用に際して、支持体が残存している場合、支持体はデバイスの最上部に配置されているため、支持体が放射光に対して透明であることにより、デバイスから光を出射させることが重要である。
【0187】
好ましい中間層である層2は、グラフェンのシート抵抗を低減するために、支持体とグラフェン層3との間に配置されている。層2の好適な材料としては、hBNなどの不活性窒化物又は銀ナノワイヤネットワーク若しくは金属グリッドなどの金属ナノワイヤネットワークが挙げられる。
【0188】
層3は、グラフェン層であり、1原子層厚以上のグラフェン層、例えば、厚さが最大20nmのグラフェン層などであり得る。
【0189】
ナノワイヤ4は、層3からエピタキシャル成長している。理想的には、ナノワイヤは、Al(In)GaN、AlN又はGaNから形成されており、ドープされ、nip又はnp接合が形成されている。グラフェンは、マスク層7を備え得る。
【0190】
フィラー5は、成長したナノワイヤの間に配置することができる。トップ電極/光反射層6は、ナノワイヤ4の上に配置されている。光反射層は、Ni又は/及びAuを含むp電極を備えていてもよく、又はそれ自体が電極であってもよい。使用時には、この層は、デバイスが放射した光を反射し、光が確実に反射層の反対側のデバイスのトップを通過し放射されるようにする。これは、従来のLEDと比べて、デバイスが逆さであるため、いわゆるフリップチップ配置である。
【0191】
電極10は、グラフェン層3上に配置されている。順方向電流がデバイスを通過すると、組成物によって可視光又は紫外光が、ナノワイヤ内で生成され、場合によっては反射層で反射された後、デバイスのトップから放射される。
【0192】
デバイス全体が、はんだ層9を介してサブマウント8上の導電性トラック/パッド13に半田付けされている。
【0193】
逆電流がデバイスを通過し、デバイスが可視光又は紫外光に暴露されると、ナノワイヤは組成物によって可視光又は紫外光を吸収し、電流に変換することにより、光検出器として機能する。
【0194】
図4は、ナノワイヤを示し、このナノワイヤは、放射状に成長しているが、シェル構造体内に
図2のものと同じ構成要素を有する。ナノワイヤは、成長段階において供給する元素を変えることにより、放射状方向に異なる成分を有する。まず、nドープされたGaN材料を堆積し、続いてn-AlN又はn-(Al)GaNを堆積している。図示されているように、ナノワイヤの中心シェルには、(In)(Al)GaNから形成された一連の多重量子井戸がある。そして、Al(Ga)Nをベースとしたpドープ領域と、p-Al(Ga)Nをベースとした電子ブロックシェルと、最後にp-GaNシェルとが続く。
【0195】
図5は、光検出器を示す。従って、使用時には、デバイスのトップを介して受光する。支持体1は、好ましくは、溶融シリカ、石英、炭化ケイ素又はAlNから形成されている。溶融シリカ又は石英の使用が好ましい。使用に際して、支持体が残存している場合、支持体はデバイスの最上部に配置されているため、支持体が入射光に対して透明であることにより、デバイスに光を入射させることが重要である。
【0196】
好ましい任意の層である層2は、グラフェンのシート抵抗を低減するために、支持体とグラフェン層3との間に配置されている。層2の好適な材料としては、hBNなどの不活性窒化物又はAgナノワイヤネットワーク若しくは金属グリッドなどの金属ナノワイヤネットワークが挙げられる。
【0197】
層3は、グラフェン層であり、1原子層厚以上のグラフェン層、例えば、厚さが最大20nmのグラフェン層などであり得る。
【0198】
ナノワイヤ4は、基板層3からエピタキシャル成長している。理想的には、ナノワイヤは、Al(In)GaN、AlN又はGaNから形成されており、ドープされ、nip又はnp接合が形成されている。
【0199】
フィラー5は、成長したナノワイヤの間に配置することができる。トップ電極層11は、ナノワイヤ4の上に配置されている。この電極は、理想的には、Ni又はAuを含むp電極である。
【0200】
電極10は、グラフェン層3上に配置されている。グラフェン層は、マスク7を備え、グラフェン上の限定された位置にナノワイヤを成長させてもよい。
【0201】
デバイス全体が、はんだ層9を介してサブマウント8上の導電性トラック/パッド13に半田付けされている。
【0202】
逆電流がデバイスを通過し、デバイスが可視光又は紫外光に暴露されると、ナノワイヤは組成物によって可視光又は紫外光を吸収し、電流に変換することにより、光検出器として機能する。
【0203】
図6:(a)グラファイトフレーク上のナノワイヤの成長及びナノワイヤとのトップ及びボトムコンタクトを示す概略図。MBEによる多層グラフェンフレーク上に選択成長させたGaNナノワイヤの斜視SEM像(b)及び高分解能SEM像(c)。
【0204】
グラファイトフレーク3(又はグラフェン)を、溶融シリカ基板1などの支持基板上に移動させる。グラファイトフレーク上に、Al2O3及びSiO2などのマスク材7を堆積する。グラファイトの表面が孔の中で露出するように、直径10μmの大きな孔を、フォトリソグラフィーを用いてマスク材にエッチングする。サンプルを、ナノワイヤ成長用のMBEチャンバー内に移す。基板を成長温度まで加熱し、Al及びAlNからなる核生成層を基板上に堆積し、続いて(Al)GaNナノワイヤ/ナノピラミッドの成長を開始させる。
【0205】
図7:(a)MBEにより多層グラフェンフレーク上に成長したGaNナノワイヤの斜視SEM像。(b)MBEにより、孔パターンを有する多層グラフェンフレーク上に成長したGaNナノワイヤの斜視SEM像。
【0206】
グラファイトフレーク(又はグラフェン)は、溶融シリカ基板などの支持基板上に移動させる。Al
2O
3及びSiO
2などのマスク材を、グラファイトフレーク上に堆積する。グラファイトの表面が孔の中で露出するように、電子ビームリソグラフィーを用いて、直径1μmの大きな孔を一つと直径約80nm以下の小さな孔をいくつか、マスク材にエッチングする。サンプルを、ナノワイヤ成長用のMBEチャンバーに移す。基板を成長温度まで加熱し、Al及びAlNからなる核生成層を基板上に堆積し、続いて(Al)GaNナノワイヤの成長を開始させる。
図7は、大孔領域(a)と小孔パターン(b)に成長したGaNナノワイヤの傾斜SEM像を示す。
【0207】
図8a及び
図8bは、ナノピラミッドの成長を示す。支持体1は、溶融シリカ(最適な選択肢)、石英、炭化ケイ素、サファイア又はAlNから形成されるのが好ましい。他の透明支持体の使用も可能である。溶融シリカ又は石英の使用が好ましい。使用に際して、支持体が残存している場合、支持体はデバイスの最上部に配置されているため、支持体が放射光に対して透明であることにより、デバイスから光を出射させることが重要である。
【0208】
層3は、グラフェン層であり、1原子層厚以上のグラフェン層、例えば、厚さが最大20nmのグラフェン層などであり得る。
【0209】
ナノピラミッド40は、層3からエピタキシャル成長している。理想的には、ナノピラミッドは、Al(In)GaN、AlN又はGaNから形成されており、ドープされ、nip又はnp接合が形成されている。コアシェルナノピラミッドは、成長期間中に供給されるフラックスの性質を変えることによって成長させることができる。
【0210】
フィラー5(図示せず)は、成長したナノピラミッドの間に配置することができる。トップ電極/光反射層(図示せず)は、ナノピラミッドの上に配置することができる。光反射層は、Ni又はAuのような導電性材料を含むp電極も備えていてもよい。使用時には、この層は、デバイスが放射した光を反射し、光が確実に反射層の反対側のデバイスのトップを通過し放射されるようにする。これは、従来のLEDと比べて、デバイスが逆さであるため、いわゆるフリップチップ配置である。
【0211】
グラフェン層は、マスク7を備え、グラフェン上の限定された位置にナノピラミッドを成長させてもよい。
【0212】
図9:パターン化された単層又は二重層グラフェン上にMOVPEによって成長させたGaNナノピラミッドの(a)低倍率斜視SEM像及び(b)高倍率斜視SEM像。
【0213】
グラフェン層を、溶融シリカ基板などの支持基板上に移動させる。グラフェン上にAl
2O
3及びSiO
2等のマスク材を堆積する。グラフェンの表面が孔の中で露出するように、直径約100nm以下でピッチが0.5~5μmの範囲内のいくつかの小孔を、電子ビームリソグラフィーを用いてマスク材にエッチングする。次に、サンプルをナノピラミッド成長用のMOVPE反応器に移す。基板を成長温度まで加熱し、AlGaNからなる核生成層を基板上に堆積し、続いて(Al)GaNナノピラミッドの成長が行われる。
図9は、グラフェン上に成長させたパターン化GaNナノピラミッドの斜視SEM像を示す。