(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】保護すべき細長部材の周囲に繊維スリーブを固定するための用具、および細長部材の周囲に保護繊維スリーブを固定する方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/14 20060101AFI20220506BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20220506BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20220506BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20220506BHJP
H02G 15/18 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H02G1/14
F16L57/00 A
H02G1/02
H02G1/06
H02G15/18
(21)【出願番号】P 2018548339
(86)(22)【出願日】2017-03-14
(86)【国際出願番号】 US2017022217
(87)【国際公開番号】W WO2017160780
(87)【国際公開日】2017-09-21
【審査請求日】2020-01-10
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル-モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福山 省三
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-13169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0056388(US,A1)
【文献】米国特許第4205221(US,A)
【文献】特開2014-107920(JP,A)
【文献】特開2014-121155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/14
H02G 15/18
H02G 1/02
H02G 1/06
F16L 57/00
B29C 65/30
B29C 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に配置された細長部材の周囲に繊維スリーブを固定するための用具であって、
開放状態と閉鎖状態との間で軸を中心として枢動する対向クランプ部材を有するクランプアセンブリを備え、
前記クランプ部材の各々は、前記枢動の軸から離れて前記クランプ部材の自由端まで第1の軸に沿って長さ方向に延在する平坦なクランプ面を有し、
前記平坦なクランプ面は、前記平坦なクランプ面の幅にわたって前記第1の軸に対して横切る第2の軸に沿って長さ方向に配置された前記繊維スリーブにクランピング当接するように構成され、
前記平坦なクランプ面の各々は、加熱されるように動作可能に電源に接続された複数の加熱部材を含み、
前記加熱部材が互いに独立して相対運動するように支持されることによって、前記平坦なクランプ面は、前記クランプ部材の間に配置された前記繊維スリーブの一部の外周形状に自動的に沿うことが可能である、用具。
【請求項2】
前記加熱部材は、前記クランプ部材の前記幅にわたって前記第2の軸に沿って長さ方向に延在する隣り合う列に並んでいる、請求項1に記載の用具。
【請求項3】
各列は複数の前記加熱部材を含む、請求項2に記載の用具。
【請求項4】
複数のばね部材をさらに備え、
前記ばね部材の各々は、複数の前記加熱部材に動作可能に係合するように構成されており、前記独立した相対運動のために前記加熱部材に対してばね付勢を与える、請求項1に記載の用具。
【請求項5】
前記ばね部材の各々は、前記第1の軸に沿って可変のばね付勢を与えるように構成されている、請求項4に記載の用具。
【請求項6】
前記ばね部材に動作可能に連結された調節可能な引っ張り部材をさらに備え、
前記調節可能な引っ張り部材は、前記加熱部材に対して与える前記ばね付勢を変化させるように選択的に調節可能である、請求項4に記載の用具。
【請求項7】
前記調節可能な引っ張り部材はトーションばねを含む、請求項
6に記載の用具。
【請求項8】
前記クランプ部材は第1および第2のセクションを有して構成されており、前記第1および第2のセクションは、前記第1の軸に沿って互いに離隔した関係で互いに隣り合い、前記第2の軸に沿って長さ方向に延在しており、
前記第1のセクションは、最大で第1の直径を有する繊維スリーブを収容するように構成され、
前記第2のセクションは、前記第1の直径よりも大きな第2の直径を有する繊維スリーブを収容するように構成されている、請求項1に記載の用具。
【請求項9】
前記クランプ部材は、前記クランプ部材の前記自由端に隣接するノーズ部と、前記ノーズ部に隣接するメイン部とを有することができ、
前記第1のセクションは前記ノーズ部にあり、前記第2のセクションは前記メイン部にある、請求項8に記載の用具。
【請求項10】
非クランピング状態のときに前記加熱部材を実質的に遮蔽する保護位置と、クランピング状態のときに前記加熱部材を露出させる位置との間で、前記第1の軸に沿って摺動可能な保護カバーをさらに備える、請求項1に記載の用具。
【請求項11】
前記保護カバーは前記保護位置に向かってばね付勢され、前記クランプ部材の間に繊維スリーブが配置されたことに直接的に反応して、前記第1の軸に沿って前記ばね付勢に抗して摺動可能である、請求項10に記載の用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年5月17日に出願された米国仮出願第62/337,430号、2016年3月14日に出願された米国仮出願第62/307,805号、および2017年3月13日に出願された米国実用出願第15/457,729号の利益を主張し、これらの出願の内容全体を本明細書に引用により援用する。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、概して、内部に収納された細長部材に保護を提供するための保護繊維スリーブに関し、より特定的には、保護繊維スリーブを、当該保護繊維スリーブ自身に対して、および/または、当該保護繊維スリーブを通って延在する細長部材に対して固定するための用具に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
その内部を通って延在する細長部材に保護を提供するための保護繊維スリーブが知られている。典型的には、保護スリーブは、周方向に連続的な壁を有する管状壁、または、互いに重なり合う関係に巻き付けられるように構成された、長さ方向に延在する対向端縁を有する巻き付き可能な壁、のうちの1つを有して形成される。上述の壁の種類および最終用途に応じて、別途施される巻き付きテープ、または取り付けの際に塗布される接着剤を介して、スリーブの一部は、スリーブ自身に対して、またはスリーブを通って延在する細長部材に対して固定され得る。スリーブを適所に固定するためにテープを使用することは、さまざまな欠点を有する。なぜなら、それは材料および手間の観点からコストがかかるとともに、正しく施さなければ体裁が悪くなる虞もあるからである。さらに、外側から施されるテープは、スリーブの取り付けの際に容易に使用可能でなければならず、さもなければ組み立て処理が遅延する虞がある。さらに、テープが施される際に意図せずに折れ曲がること、または、汚れた環境もしくは手を介して汚れることなどによって、組み立ての際にテープが意図せずに破損し、または効力が無いように施される虞がある。これにより、意図通り確実にスリーブを固定するというテープの性能に悪影響が及ぶ虞がある。組み立ての際に別途塗布される接着剤を使用することもまた、材料および手間の観点からコストがかかる。さらに、接着剤はスリーブの組み立ての際に容易に使用可能である必要がある。また、接着剤を乾燥させる時間をとる必要があるため、さらにコストがかさむ虞がある。さらに、接着剤は高温で強度が不足するため、塗布の際に台無しになる虞がある。その結果、破損、修復、およびその必要な清掃に関連する追加のコストにつながり得る。上述の欠点に加えて、上記既知の機構は工程に多くの時間を必要とし、最終的に工程に追加のコストがかかる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明の一局面によれば、内部に収納された細長部材の周囲に保護繊維スリーブを固定するための用具が提供される。用具は、対向クランプ部材を有するクランプアセンブリを含む。各クランプ部材は、繊維スリーブに当接するクランプ面を有する。各クランプ面は、動作可能に電源に接続された複数の加熱部材を含む。各クランプ面における加熱部材は、繊維スリーブの外面に係合されたことに反応して互いに独立して径方向に相対運動するように支持されている。これにより、クランプ面は、当該クランプ面の間でクランプされているスリーブおよび細長部材の弧状の形状に自動的に沿うことが可能である。
【0005】
本発明の別の局面によれば、複数の加熱部材は、クランプ部材の幅にわたって長さ方向に延在する隣り合う列に並んでいてもよい。したがって、スリーブおよび細長部材がクランプ部材の幅にわたって長さ方向に延在している状態で、隣り合う列はスリーブおよび細長部材の外周の形状および輪郭に容易に沿うことができる。
【0006】
本発明の別の局面によれば、用具は、加熱部材に動作可能に連結された引っ張り部材をさらに備えてもよい。引っ張り部材は、加熱部材が互いに相対運動する相対的な容易さを変化させるように選択的に調節可能である。したがって、クランプされているスリーブおよび細長部材の物理的特性に応じて、クランピング力の下でクランプ面が動く相対的な容易さを増加または減少させるように、クランプ面を選択的に調節することができる。
【0007】
本発明の別の局面によれば、引っ張り部材は、調節可能なばね部材として設けられてもよい。
【0008】
本発明の別の局面によれば、引っ張り部材は、調節可能なトーションばねとして設けられてもよい。
【0009】
本発明の別の局面によれば、各クランプ面を形成する加熱部材は、付勢されていない非クランピング状態において実質的に平坦なクランプ面を形成するように構成されてもよい。加熱部材は、繊維スリーブ周囲にクランプされると、繊維スリーブの外形に実質的に沿うように互いに相対運動するように構成されている。
【0010】
本発明の別の局面によれば、クランプ部材は、クランプ面の長さに沿って互いに離隔した複数のセクションを有するように構成されてもよい。これらの複数のセクションは、互いに異なる直径を有する異なる繊維スリーブを収容するように構成されている。
【0011】
本発明の別の局面によれば、クランプ部材は、当該クランプ部材の自由端に隣接するノーズ部と、ノーズ部に隣接するメイン部とを有してもよい。ノーズ部は、第1の直径を有するスリーブを収容するように構成され、メイン部は、第1の直径よりも大きな第2の直径を有するスリーブを収容するように構成されている。
【0012】
本発明の別の局面によれば、用具は、非クランピング状態のときに加熱部材を遮蔽するとともに、クランピング状態のときに加熱部材から離れるように移動可能な、保護カバーを含むように構成されてもよい。
【0013】
本発明の別の局面によれば、保護カバーは、非クランピング状態において、加熱部材を実質的に遮蔽する保護位置に留まるようにばね付勢され、クランプ部材の間に繊維スリーブが配置されたことに反応して、クランプ部材の長さに沿って摺動可能であってもよい。
【0014】
本発明の別の局面によれば、用具は、対向クランプ部材に動作可能に取り付けられたハンドルを有する。
【0015】
本発明の別の局面によれば、用具は手持ち式として構成されてもよい。
本発明の別の局面によれば、用具は自動式であってもよい。
【0016】
本発明の別の局面によれば、クランプ部材は、開放状態および閉鎖状態のうちの1つに向かってばね付勢されてもよい。
【0017】
本発明の別の局面によれば、細長部材の周囲に保護繊維スリーブを固定するための方法が提供される。方法は、内部空洞を画定するように構成された内面を有する保護繊維スリーブを設けるステップと、内部空洞内に細長部材を配置するステップと、複数の加熱部材によって形成されたクランプ面を有する対向クランプ部材を用いて、細長部材の周囲の保護繊維スリーブのうちの少なくとも一部をクランプするステップとを含む。対向クランプ部材における加熱部材は、互いに径方向外側に自動的に調節され、スリーブの外面の弧状の形状および輪郭に実質的に沿う。方法はさらに、クランプ部材からの熱によって接着剤を活性化させ、繊維スリーブの少なくとも別の部分に、および/または細長部材に、内面を接合するステップを含む。
【0018】
本発明の別の局面によれば、方法はさらに、付勢されていない非クランピング状態において各クランプ面における加熱部材が実質的に平坦なクランプ面を形成するように、加熱部材を配置するステップを含んでもよい。一方のクランプ面における加熱部材のうちの少なくともいくつかは、他方のクランプ部材における加熱部材のうちの少なくともいくつかから離れて、繊維スリーブの長手方向中心軸に対して径方向に動くように構成されている。これによって、加熱部材はクランプされ繊維スリーブの外面に当接したときに、繊維スリーブの弧状の外形に実質的に沿う。
【0019】
本発明の別の局面によれば、方法はさらに、クランプ面の長さに沿って互いに離隔した複数の異なるセクションを有するようにクランプ部材を構成するステップを含んでもよい。これらの複数の異なるセクションは、直径が互いに異なる繊維スリーブを収容するように構成されている。
【0020】
本発明の別の局面によれば、方法はさらに、クランプ部材の自由端に隣接するクランプ部材のノーズ部を構成することによって、第1の直径を有するスリーブを収容するステップと、ノーズ部に隣接するクランプ部材のメイン部を構成することによって、第1の直径よりも大きな第2の直径を有するスリーブを収容するステップとを含んでもよい。
【0021】
本発明の別の局面によれば、方法はさらに、非クランピング状態のときに加熱部材を遮蔽する保護カバーを用具に設けるステップを含んでもよい。カバーは、クランピング状態のときに、加熱部材のうちの少なくともいくつかから、遮蔽関係から外れるように移動可能である。
【0022】
本発明の別の局面によれば、方法はさらに、非クランピング状態において、保護カバーが加熱部材を実質的に遮蔽する保護位置に留まるように保護カバーを付勢するステップを含んでもよい。また、クランプ部材の間に繊維スリーブが配置されたことに反応して、クランプ部材の長さに沿って摺動運動するように、保護カバーを構成するステップを含んでもよい。
【0023】
本発明のこれらのならびに他の局面、特徴、および利点は、以下の現在好ましい実施形態および最良の形態の詳細な説明、添付の請求項、ならびに添付の図面に関連して考慮されると、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一局面に従って構成された巻き付き可能な保護スリーブを、クランピング用具によって細長部材の周囲に固定した状態で示す斜視図である。
【
図1A】本発明の別の局面に従って構成された周方向に連続的で継ぎ目のない保護スリーブを、クランピング用具によって細長部材の周囲に固定した状態で示す斜視図である。
【
図2A】保護すべき細長部材の周囲に保護繊維スリーブを固定するための、本発明の一局面に従って構成されたクランピング用具を、開放非クランプ位置で示す側面図である。
【
図2B】クランピング用具を閉鎖位置で示す、
図2Aと類似の図である。
【
図2C】クランピング用具を、第1の直径を有するスリーブ周囲で閉鎖したクランプ位置で示す、
図2Aと類似の図である。
【
図2D】クランピング用具を、第1の直径よりも大きな第2の直径を有するスリーブ周囲で閉鎖したクランプ位置で示す、
図2Cと類似の図である。
【
図3】
図2Aのクランピング用具の部分平面図であって、クランピング用具の1つのクランプ部材を示す図であり、かつ、スリーブ(細長部材を収納しており、クランプ面の幅にわたって延在する横軸に対して傾斜した関係にある)に合わせて自動的に調節されるクランプ部材のクランプ面の機能を示す図である。
【
図4】
図2Aのクランピング用具のクランプ面の破断図であって、そのための内部加熱部材および引っ張りシステムを示す図である。
【
図6A】クランピング用具を閉鎖位置で示す部分図である。
【
図6B】クランピング用具を開放位置で示す部分図である。
【
図7A】保護すべき細長部材の周囲に保護繊維スリーブを固定するための、本発明の別の局面に従って構成されたクランピング用具を、開放装着可能状態で示す側面図である。
【
図7B】クランピング用具を閉鎖無装着状態で示す、
図7Aと類似の図である。
【
図7C】クランピング用具を第1の閉鎖装着状態で示す、
図7Bと類似の図である。
【
図7D】クランピング用具を、別の第2の閉鎖装着状態で示す、
図7Cと類似の図である。
【
図8】
図7A~
図7Dのクランピング用具のクランプ部材の拡大部分側断面図である。
【
図10A】保護すべき細長部材の周囲に保護繊維スリーブを固定するための、本発明の別の局面に従って構成されたクランピング用具を、閉鎖無装着状態で示す斜視図である。
【
図10B】クランピング用具を開放装着可能状態で示す、
図10Aと類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
現在好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照すれば、
図1および
図1Aは、本発明の一局面に従って構成された繊維スリーブを示す。これらの繊維スリーブは、
図1では巻き付き可能なスリーブ10として示され、
図1Aでは周方向に連続的で継ぎ目のないスリーブ10′として示される。以下では特に断りのない限り、これらを共通してスリーブと呼ぶ。異なる実施形態間で区別するためにスリーブ10′の参照番号にプライム記号(′)が付されていることを除いて、スリーブ10、10′の特徴を特定するために用いる参照番号は同じである。スリーブ10は、巻き付き可能な壁12(たとえば、何らかの外力が加わることなく自動的に巻いてその巻き付き形状を成す、巻き付き可能または自己巻き付き型の細長壁など)を有する。一方、スリーブ10′は、周方向に連続的で継ぎ目のない壁12′を有する。いずれの壁も、限定ではなく例として、ケーブル、ワイヤハーネス、または管などの細長部材14を経路付けおよび保護するためのものである。細長壁12は、開口した対向端部19、20の間の中心長手方向軸18に略平行に延在する、対向する内側自由端縁16と外側自由端縁17とを有する。細長部材14がスリーブ10の中心空洞C内に完全に包まれるように、端縁16、17は、「タバコ巻き(cigarette wrapped)」の方法で互いに重なり合う関係となるように、手動で巻き付けられ、または自己付勢され得る。壁12、12′は、内面21、21′とも呼ばれる最内側の面または表面と、外面23、23′とも呼ばれる最外側の面または表面とを有する。空洞Cは最内側面21、21′によって画定される。巻き付き可能なスリーブ10については、空洞Cは長手方向軸18の全長にわたって容易にアクセス可能である。そのため、使用の際などに、細長部材14を容易に空洞C内に径方向に置くことができるとともに、逆に空洞Cから容易に取除くことができる。壁12を当該壁12自身に接着および固定して、壁12をその閉じられた巻き付き形状に維持するために、および/または、壁12を細長部材14に接着および固定して、壁12、12′と細長部材14との間の相対運動を防止するために、さらに、製造の際のコールドカット時および使用時などにおいて、対向端部19、19′、20、20′の端部ほつれ防止を容易にするために、壁12、12′は接着コーティング層を有する。この接着コーティング層は、以下で接着コーティング22、22′と呼ばれ、最内側面21、21′および/または最外側面23、23′のうちの少なくとも一方の少なくとも一部に付着されている。接着コーティング22、22′は、まず壁12、12′に塗布された際の第1の乾燥非接着状態と、第2の活性接着状態とを有する熱活性化コーティング、および/または水活性化コーティングとして提供され得る。第2の状態は、本発明に従って構成されたクランピング用具24(
図2および
図3A~
図3C)によって、選択された時間および位置で活性化される。
【0026】
適用の必要事項に応じて、壁12、12′は、長さおよび径を含む任意の好適なサイズを有して構成され得る。発明の用具24は、スリーブ10、10′の寸法および形状を均等に収容するように自動的に調節される。さらに、壁12、12′は、組み、織り、または編みなどの任意の所望の絡み合わせ処理を用いて絡み合わせた糸で形成され得る。壁12が自己巻き付き型の壁として形成される場合、横糸方向、周方向に延在する糸のうちの少なくともいくらかは、マルチフィラメントおよび/またはモノフィラメントにかかわらず、たとえば、ポリフェニレンスルファイド(PPS)またはポリエチレンテレフタレート(PET)などの任意の好適なヒートセット可能なポリマー材料として与えられ得る。
【0027】
コーティング22の混合物を壁12に塗布するために、混合物は、まず、混合物から作製される予め成形されたコーティング22の固形シートとして形成され得る。次いで、コーティング22の固形シートが壁12の最内側面21に対して重ねられ得る。他の方法として、混合物のコーティング22、22′は、低粘度コーティング配合または高粘度コーティング配合として、限定ではなく例として、スプレー処理、ロール処理、またはディップ処理などによって、スリーブ10、10′の最内側面21、21′および/または最外側面23、23′の所望の領域上に直接塗布され得る。当然、コーティング22、22′は必要に応じて壁12、12′の全体に塗布され得ることを認識すべきである。スリーブ10、10′と細長部材14との間の相対運動を防止したい場合、コーティング22、22′の混合物は、最内側面21、21′のうち、少なくとも細長部材14に対して直接当接する部分に塗布および付着される。これにより、クランピング用具24による活性化によって、細長部材14の外面25に接着コーティング22、22′を接合することが可能になる。
【0028】
壁12の所望の領域にコーティング22を塗布し、付着させ、かつ乾燥させた後、壁12をヒートセットして自己巻き付き型の壁に変化させてもよく、および/または細長部材14の周囲に巻き付けてもよい。他の方法として、まず壁12をヒートセットして自己巻き付き型の壁に変化させ、次いで、壁12の所望の領域を、コーティング22の混合物を用いて、スプレー、ディップ、または他の方法でコーティングしてもよいことを認識すべきである。
【0029】
コーティング22、22′は、壁12、12′に塗布されて乾燥されると、その第1の非接着状態を得て、その後、所望の際に(在庫として保管された後、および/またはスリーブ10、10′が細長部材14の周囲に配置される所望の場所へ輸送された後を含む)、クランピング用具24によってコーティング22、22′が選択的に活性化され、所望の表面との接合を形成し得ることを認識すべきである。
【0030】
壁12を細長部材14の周囲に巻き付けたときにコーティング22が細長部材14の外面25および/または壁12の外面23に接合され、対向端縁16、17が互いに重なり合う関係に固定されるように、端縁16、17のうちの一方または両方に沿ってコーティング22が塗布され得ることを認識すべきである。クランピング用具24によって壁12、12′のコーティングされた部分または全体と他の表面との接合を可能にするために、コーティング22、22′は、壁12、12′のうちの事実上どの領域に塗布されてもよい(壁12、12′周囲の一部であってもよいし、全体であってもよい)ことも認識すべきである。
【0031】
図2A~
図2Dに示すように、クランピング用具24は、対向クランプ部材28、30を含むクランプアセンブリ26を有する。クランプ部材28、30の各々は、自動的に自己調節可能なクランプ面32を有する。各クランプ面32は複数の加熱部材34を有する。加熱部材34は、互いに隣り合う個々の列に並んでおり、各列はクランプ部材28、30の幅にわたって長さ方向に延在している。各列は、1列に並んだ、独立した複数の加熱部材34を含むものとして示されている。
図4に最もよく示されているように、加熱部材34は伝導部材36とも呼ばれる伝導ハウジングを有し、中央コア38の中を通って加熱要素40(
図5)が配置されているものとして示されている。加熱要素40は任意の好適な電熱線または電熱部材で形成されてもよく、例示的な一実施形態では、限定ではなく例として、ニクロム線として設けられる。加熱要素40は、電気位相制御方法により、3.5V、6.1A電源などの任意の好適なエネルギ源を用いて動作可能に電気伝導するように構成されている。
【0032】
加熱要素40は、外側のセラミックスリーブ42に包まれ、または覆われている。加熱要素40は略円筒形として示されており、さらに伝導部材36の貫通孔内に配置されるものとして示されている。例示的な一実施形態では、限定ではなく例として、伝導部材36はニッケルめっきが施された銅セグメントを含む。
【0033】
複数の加熱部材34は、可撓性かつ伝導性の金属層44に包まれ、または覆われている。現在好ましい一実施形態では、伝導性の金属層44は鋼箔として設けられる。ただし、本明細書では他の伝導性の金属箔も企図される。限定ではなく例として、箔層44は、靱性を保ちながらも可撓性を有する好適な厚み、たとえば約0.02mm~0.06mmの厚みで設けられる。これにより、層44は、下にある複数の加熱部材34の個々の動きに合わせて曲がることができる。
【0034】
個々の加熱部材34は、選択的かつ調節可能に引っ張られることにより、所望の度合いのコンプライアンスを呈し、クランプおよび加熱されているスリーブ10、10′の輪郭に最大限沿う。異なる種類(壁フープ強度および直径を含む)のスリーブの収容を容易にするために、加熱要素34の引っ張り力は、調節可能な引っ張り部材46によって調節可能とされてもよい。各クランプ部材28、30内の調節可能な引っ張り部材46は、個々の加熱部材34に動作可能に相互連結した連続的なトーションばね48と、調節デバイス50とを含む。調節デバイス50は、限定ではなく例として、選択的に伸縮可能なねじ付き部材などであり、トーションばね48内の引っ張り力を増加または減少させることによって、個々の加熱部材34のコンプライアンスの度合いを選択的に調節する。
【0035】
クランプ部材28、30は、枢動軸52で互いに枢動可能に連結されており、開放位置(
図2A)と閉鎖位置(
図2B~
図2D)との間で互いに相対運動するように作動可能である。開放位置にある時には、スリーブ10、10′をクランピング部材28、30の間に容易に挿入することができるとともに、そこから容易に取り除くことができる。閉鎖位置にある時には、クランピング部材28、30は、スリーブ10、10′のそれぞれの外面23、23′とクランピング接触する(
図2Cは直径が比較的小さいスリーブ10、10′を示し、
図2Dは直径が比較的大きいスリーブ10、10′を示す)。開放位置と閉鎖位置との間で動くようにクランピング用具24を作動させるために、クランプ部材28、30のうちの少なくとも1つに、リンク機構56を介してレバー54が枢動可能かつ動作可能に連結されている。
図6A~
図6Bに最もよく示されているように、リンク機構56は、ピン60を受け入れて摺動させるための略L字型のスロットまたは切り欠き58を有するものとして示されている。手動動作または自動動作などによってレバー54を動かすと、レバー54は枢動軸62を中心として枢動する。これにより、ピン60が切り欠き58を横切り、それによってクランプ部材28、30が互いに相対運動する。一実施形態によれば、レバー54が完全に解放された位置にある時、クランプ部材28、30がばね64などによって付勢されることによって閉鎖位置となり得る。次いでレバー54をハンドル61の方へ枢動させると、ばね付勢に打ち勝ってクランプ部材28、30を互いから離して開放することができる。たとえば、レバー54をハンドル61の方へ約50パーセント~80パーセント押し込んだ場合などである。クランプ部材28、30が開放位置にある時には、内部に細長部材14が配置されたスリーブ10、10′をクランプ部材28、30の間に置くことができる。次いで、レバー54をハンドル61の方へ完全に押し込むことによって、クランプ部材28、30はばね付勢を受けて閉鎖位置に戻ることができる。これにより、独立して動くことができる加熱部材34を介して、均一かつ繰り返し可能なクランピング力がスリーブ10、10′の周囲に加えられる。
【0036】
スリーブ10、10がクランプおよび加熱されると、接着コーティング22が活性化され、少なくとも部分的に融解する。それにより、接着材22は、隣接する当接面(スリーブ壁12の別の部分、および/または細長部材14の最外側面23)に接合する。コーティング活性化処理全体が要する時間は、限定ではなく例として、わずか約2秒~4秒であり得る。時間またはデューティサイクルは予め設定可能であり、ブザーおよびLED点灯によって自動的に監視および調整されてもよい。このように、処理は迅速かつ経済的である。クランピング用具24は、手で保持したり手動で作動させたりできるように設置してもよいし、たとえば組立ライン内など適所に固定し、自動電子制御によって自動で作動させてもよいことを認識すべきである。クランピング用具24は、最小で直径わずか約3mmおよびそれ以上など、広範囲にわたるスリーブ直径に用いることができる。
【0037】
図7A~
図7Dには、本発明の別の局面に従って構成されたクランピング用具124が示される。ここでは、上で使用した参照番号に100を足した同じ参照番号を用いて同様の特徴を特定する。クランピング用具124は、対向クランプ部材128、130を含むクランプアセンブリ126を有する。クランプ部材128、130の各々は、自動的に自己調節可能なクランプ面132を有する(
図7Aに図示)。クランプ部材128、130は、クランプ面の長さに沿って互いに離隔した複数のセクションを有する。複数(限定ではなく例として、2つの場合を図示)のセクションは、互いに異なる直径を有する異なる繊維スリーブを収容するように構成されている。各クランプ面132は、上述のように、互いに隣り合う個々の対向する列に並ぶ複数の細長形状の加熱部材134を有する。
図11A~
図11Cに最もよく示されているように、加熱部材134は伝導部材136とも呼ばれる伝導ハウジングを有し、中央コア138の中を通って加熱要素140が配置されているものとして示されている。加熱要素140は任意の好適な電熱線または電熱部材で形成されてもよく、例示的な一実施形態では、限定ではなく例として、ニクロム線として設けられる。加熱要素140は、電気位相制御方法により、3.5V、6.1A電源などの任意の好適なエネルギ源を用いて動作可能に電気伝導するように構成されている。
【0038】
加熱要素140は、中央コア138の外側のセラミックスリーブ142に包まれ、または覆われている。加熱要素140は略円筒形として示されており、さらに伝導部材136の貫通孔内に配置されるものとして示されている。例示的な一実施形態では、限定ではなく例として、伝導部材136は細長形状の銅スリーブを含む。標準的なリンク型チェーンと同様に、伝導部材136は、限定ではなく例としてCクリップ43などの留め具によって保持されたリンク部材39(
図11C)を介して、両端に隣接する伝導部材136と互いに連結されるものとして示されている。以下でさらに述べるように、リンク部材39によって個々の加熱要素140は互いに対して枢動することができ、それによって加熱部材134は、クランプされている繊維スリーブ10、10′の外面にぴったりと沿うことができる。
【0039】
個々の加熱部材134は、調節可能な引っ張り部材146によって選択的かつ調節可能に引っ張られることにより、所望の度合いのコンプライアンスを呈し、クランプおよび加熱されているスリーブ10、10′の輪郭に最大限沿う。調節可能な引っ張り部材146は、連続的なトーションばねと、調節デバイス150とを含む。調節デバイス150は、限定ではなく例として、選択的に伸縮可能なねじ付き部材などであり、トーションばね内の引っ張り力を増加または減少させることによって、個々の加熱部材134のコンプライアンスの度合いを選択的に調節する。
【0040】
クランプ部材128、130は、枢動軸152で互いに枢動可能に連結されており、開放位置(
図7A)と閉鎖位置(
図7B~
図7D)との間で互いに相対運動するように作動可能である。開放位置にある時には、スリーブ10、10′をクランピング部材128、130の間に容易に挿入することができるとともに、そこから容易に取り除くことができる。閉鎖位置にある時には、クランピング部材128、130は、スリーブ10、10′のそれぞれの外面23、23′とクランピング接触する(
図7Dは直径が比較的小さいスリーブ10、10′を示し、
図7Cは直径が比較的大きいスリーブ10、10′を示す)。
図6A~
図6Bに関して上述したのと同様に、開放位置と閉鎖位置との間で動くようにクランピング用具124を作動させるために、クランプ部材128、130のうちの少なくとも1つに、リンク機構156を介してレバー154が枢動可能かつ動作可能に連結されている。手動動作または自動動作などによってレバー154を動かすと、レバー154は枢動軸162を中心として、クランプ部材128、130が開放される位置0から、クランプ部材が閉鎖される位置1(
図7B~
図7D)まで枢動する(これらの位置は
図7Aに示される)。上述のように、スリーブ10、10′がクランプおよび加熱されると、接着コーティング22が活性化され、隣接する当接面(スリーブ壁12の別の部分、および/または細長部材14の最外側面23)に接合する。コーティング活性化処理全体が要する時間は、限定ではなく例として、わずか約2秒~4秒であり得る。時間またはデューティサイクルは予め設定可能であり、可聴信号(加熱および接合サイクルの完了時に知らせるブザー64、
図7A~
図7B)、ならびに、パワーオンLEDインジケータ66、クランプタイマーLEDインジケータ68(加熱および接合サイクルが完了したことを点滅によって知らせる)、および過熱LEDインジケータ70を含むLED点灯などの可視インジケータ(
図9)によって自動的に監視および調整されてもよい。このように、上記処理は迅速、簡単、かつ経済的となる。たとえば、2秒~4秒の時間で接合が完了し、レバー154がさらに位置2まで引かれると、クランプ部材128、130は開放位置まで戻る。レバー154を解放し、一連の処理をスリーブ10、10′および細長部材14の異なる領域または新たなスリーブ10、10′および細長部材14で繰り返すことによって、処理を繰り返すことができる。クランピング用具124は、手で保持したり手動で作動させたりできるように設置してもよいし、たとえば組立ライン内など適所に固定し、自動電子制御によって自動で作動させてもよいことを認識すべきである。クランピング用具124は、たとえば、最小で直径わずか約3mmおよびそれ以上、たとえば20mmまたはそれ以上など、広範囲にわたるスリーブ直径に用いることができる。
【0041】
クランピング用具124は保護カバー72をさらに含む。この保護カバー72は、使用中にユーザが誤って触れないように加熱部材134を遮蔽するとともに、加熱要素140から外部に熱が放出されないように遮蔽するように構成されている。保護カバー72は、完全に遮蔽する第1の位置(
図7A~
図7B)と使用中の位置(
図7C~
図7D)との間でクランプ部材128、130の長さに沿って摺動するように構成されている。使用中の位置にある時、クランプ部材128、130は閉鎖当接クランプ位置に置かれ、保護カバー72がノーズ部または領域74(
図7A、
図7B、
図7D、
図8)から離れて、後方に面する端部(クランピング用具124の近位端76とも呼ばれる)に向けて摺動する。それによって、クランプ部材128、130のノーズ領域74が露出する。スリーブ10、10′の直径によっては、クランプ部材128、130の略中央のメイン部または領域75(
図7A、
図7C、
図8)が露出する場合もある。保護カバー72は、完全に遮蔽する第1の位置に向けて、ばね部材78によって付勢される。しかしながら、スリーブ10、10′を装着して保護カバー72の端部80に当接させることによって、ばね部材78の付勢に打ち勝つことができる。それにより、保護カバー72は、スリーブ10、10′がクランプ部材128、130の間に位置した状態で、近位端76に向かって後方へ押される。スリーブ10、10′がクランプ部材128、130の間に適切に位置している場合、上述のようにレバー154を動かすことよってクランプ部材128、130が閉鎖される。次いでスリーブ10、10′をクランプ部材128、130の間から取り除くと、ばね部材78により、保護カバー72は完全に遮蔽する位置まで自動的に戻る。保護カバー72は耐熱性の熱的に絶縁された材料から作製されることを認識すべきである。さらに、カバー72の遮蔽領域は横断面で見た場合に略逆U字型を有するように構成されている。したがって、保護カバー72の上面81と両側壁82とによって画定された開放U字型通路が提供され、この開放U字型通路をクランプ部材128、130がすきまばめで通る。
【0042】
スリーブ10、10′の外周に実質的に均一なクランピング圧力がかかった状態で、比較的小さな直径(限定ではなく例として、約3mm~8mm)のスリーブ10、10′、および、比較的大きな直径(限定ではなく例として、約8mm~20mm)のスリーブ10、10′のクランピングを容易にするために、クランプ面132には複数(図では1対)の別個のセクションが設けられてもよい。それらは、ノーズクランピングセクション84およびメインクランピングセクション85として示されている。ノーズクランピングセクション84はノーズ領域74に形成され、メインクランピングセクション85はメイン領域75に設けられている。図示のように、ノーズクランピングセクション84はメインクランピングセクション85よりも収容可能な直径サイズが小さい。さらに、ノーズクランピングセクション84内の加熱要素140を付勢するトーションばね148の部分86(
図8)は、メインクランピングセクション85内のトーションばね140の部分87よりも軽いクランピングを与える。これにより、ノーズクランピングセクション84内の加熱要素140は、直径が小さなスリーブ10、10′の全体または実質的に全体の周囲に、より容易に沿うことが可能になる。スリーブ10、10′のうち、直径が狭められた、または縮小した端部領域または分岐部に対して、任意にノーズ領域74を用いてもよいことを認識すべきである。一方、スリーブ10、10′のうち、直径が比較的大きな領域、たとえば、電気コネクタ周りなどの拡張した領域に対して用いるためにメイン領域75を取っておいてもよいことを認識すべきである。所望の領域74、75内にスリーブ10、10′を位置付けることを容易にするために、クランプ部材128、130の間の領域74、75の正確な位置を特定する位置スケール88(
図9)を、クランピング用具124の上面91に設けてもよい。保護カバー72の上面81は位置スケール88を取り囲む窓89を有してもよく、カバー72の上面81上の識別マーク90は、位置スケール88上の対応する識別子に整合される。したがって、保護カバー72がクランピング用具124の上面に沿って摺動する際に、識別マーク90が位置スケール88上の位置インジケータに整合される。これにより、クランプ部材128、130の間の領域74、75におけるスリーブ10、10′の正確な位置が示される。したがって、ユーザは、クランプ部材128、130の間を見ることなく、クランプ部材128、130の間のスリーブ10、10′の位置を容易に認識することができる。クランピング部材128、130の間を直接見ることが保護カバー72によって部分的に妨げられていることを考えると、このことは、スリーブ10、10′をクランプする前に所望のセクション84、85内にスリーブ10、10′を位置付けるのに有用である。
【0043】
図10A~
図10Dには、本発明の別の局面に従って構成されたクランピング用具224が示される。ここでは、上で使用した参照番号に200を足した同じ参照番号を用いて同様の特徴を特定する。クランピング用具224は、クランピング用具124について上述したものと類似しており、上述のように、ノーズクランピングセクション284およびメインクランピングセクション285をそれぞれ含むノーズ領域274およびメイン領域275を有するクランピング部材228、230と、ばね部材278の付勢を受けてクランピング部材228、230に沿って選択的に摺動可能な保護カバー272とを含む。クランピング用具124、224の間の顕著な相違点は、ノーズ領域74、274およびメイン領域75、275と、関連するノーズクランピングセクション84、284およびメインクランピングセクション85、285のそれぞれの形状についてである。クランピング用具224のノーズ領域274およびメイン領域275、ならびに関連するノーズクランピングセクション284およびメインクランピングセクション285は、その内部でクランプすることが意図されたスリーブ10、10′の最大直径に沿う輪郭を有する。したがって、クランプ部材228、230のそれぞれのノーズ領域274は、限定ではなく例として半径が約6mm~12mmの輪郭を有し、クランプ部材228、230のそれぞれのメイン領域275は、限定ではなく例として半径が約10mm~22mmの輪郭を有する。各々の輪郭表面の半径は任意に規定され得ることを認識すべきである。
【0044】
上述の教示を考慮して、本発明の多くの修正および変形が可能である。したがって、本発明は具体的に説明されたものとは異なる態様で実践され得ること、および、本発明の範囲は特許請求項の範囲によって規定されることを理解すべきである。すべての請求項およびすべての実施形態のすべての特徴は、組み合わせることで互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせられ得ることが企図される。