(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】液体インジケーターを有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/60 20200101AFI20220506BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20220506BHJP
【FI】
A24F40/60
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2018556489
(86)(22)【出願日】2017-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2017060939
(87)【国際公開番号】W WO2017202594
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-04-30
(32)【優先日】2016-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ビラ ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】コロット ギヨーム
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0060554(US,A1)
【文献】特表2008-502551(JP,A)
【文献】国際公開第2015/082560(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/60
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
液体エアロゾル形成基体を収容する液体貯蔵部分と、
前記液体貯蔵部分の上に提供された水発色材料であって、前記水発色材料が前記液体エアロゾル形成基体と接触している時に第一の色を有し、前記液体エアロゾル形成基体が欠如している場合に第二の色を有する前記水発色材料と、を備えるエアロゾル発生物品。
【請求項2】
基層であって、前記基層上に位置付けられた多孔性基板材料を前記液体貯蔵部分が備え、かつ前記液体エアロゾル形成基体が前記多孔性基板材料の中へと収着されている、前記基層をさらに備える、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記水発色材料が前記多孔性基板材料の外表面上に提供された、請求項2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記液体貯蔵部分が前記液体エアロゾル形成基体を収容する液体貯蔵容器を備え、かつ前記水発色材料が前記液体貯蔵容器の内表面上に提供されている、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記液体貯蔵容器からの前記液体エアロゾル形成基体の送達のための出口を前記液体貯蔵容器内にさらに備える、請求項4に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記出口を通って延びる液体移動要素をさらに備え、前記液体移動要素が前記液体貯蔵容器の中に位置付けられた第一の端を有する、請求項5に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するために構成されたエアロゾル発生要素をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記エアロゾル発生要素が電気ヒーターを備える、請求項7に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記液体エアロゾル形成基体が水を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記液体エアロゾル形成基体がニコチンを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品と、
前記エアロゾル発生物品の前記液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するために構成されたエアロゾル発生要素と、
エアロゾル発生装置であって、前記エアロゾル発生装置が、
電力供給源と、
前記電力供給源から前記エアロゾル発生要素への電力の供給を制御するためのコントローラーと、を備え、
前記エアロゾル発生システムが、前記エアロゾル発生物品の前記水発色材料が前記エアロゾル発生システムの外部から見えるように構成された、エアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記エアロゾル発生物品および前記エアロゾル発生装置のうちの少なくとも一つが、前記水発色材料の上にある半透明部分または透明部分を備える、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
エアロゾル発生物品との組み合わせのために構成されたエアロゾル発生装置であって、前記エアロゾル発生装置が
電力供給源と、
エアロゾル発生物品が前記エアロゾル発生装置と組み合わせられている時に、前記エアロゾル発生物品の一部分の光学特性を感知するように構成された電子光センサーと、
前記エアロゾル発生装置がエアロゾル発生物品と組み合わせて動作された時に、前記感知された光学特性の値をモニターするように構成されたコントローラーであって、前記感知された光学特性の前記値が第一の範囲内である時に、前記コントローラーが前記電力供給源からエアロゾル発生要素への電力の供給を制御するように構成されており、前記感知された光学特性の前記値が前記第一の範囲外である時に、前記コントローラーが前記電力供給源から前記エアロゾル発生要素への電力の供給を阻止するように構成されている、前記コントローラーと、を備える、エアロゾル発生装置。
【請求項14】
エアロゾル発生要素をさらに備える、請求項13に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品と、請求項13または14に記載のエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水発色材料を備えるエアロゾル発生物品、エアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システム、および電子光センサーを備えるエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一つのタイプのエアロゾル発生システムは電子たばこである。電子たばこは典型的に、気化されてエアロゾルを形成する液体エアロゾル形成基体を使用する。電子たばこは典型的に、電源と、分量の液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分と、アトマイザーとを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
液体エアロゾル形成基体は使用時に枯渇状態になり、そのため補充される必要がある。液体エアロゾル形成基体の詰め替え品を供給する最も一般的な方法は、カートマイザー型のカートリッジ入りである。カートマイザーは、消耗品のエアロゾル発生物品とされている場合があり、また電子たばこの再使用可能な部品は、エアロゾル発生装置とされている場合がある。カートマイザーは分量の液体基体およびアトマイザーの両方を備える場合があり、通常はエアロゾル形成基体に浸された毛細管材料の周りに巻かれた電気的に作動する抵抗ヒーターの形態である。カートマイザーを単一の消耗品ユニットとして交換することは、ユーザーにとって便利であるという利点をもたらし、またユーザーが掃除またはその他の方法でアトマイザーを維持しなければならない必要性を回避させる。しかし、カートマイザー内の液体エアロゾル形成基体がいつ枯渇状態になるのかを判定することは、ユーザーにとって困難である場合がある。従って、電子たばこのカートマイザーなどのエアロゾル発生システムの消耗部品をいつ交換するのかを判定することは、ユーザーにとって困難である場合がある。
【0004】
液体エアロゾル形成基体と、液体エアロゾル形成基体がいつ枯渇状態になるかを表示するインジケーターとを備えるエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様によると、液体エアロゾル形成基体を収容する液体貯蔵部分を備えるエアロゾル発生物品と、液体貯蔵部分の上に提供された水発色材料とが提供されている。水発色材料は、液体エアロゾル形成基体と接触している時の第一の色と、液体エアロゾル形成基体が欠如している場合の第二の色とを有する。
【0006】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を記述するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から発生されるエアロゾルは、見えてもよく、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の、気体状態の微粒子)、ならびに気体および凝縮された蒸気の液体の小滴を含んでもよい。
【0007】
本発明によるエアロゾル発生物品は、液体エアロゾル形成基体が枯渇状態になった時に色の変化を呈するように構成された水発色材料を含む。有利なことに、水発色材料は、液体エアロゾル形成基体の枯渇状態の単純かつコスト効果の高い表示を提供する。
【0008】
有利なことに、本発明によるエアロゾル発生物品は、すべての液体エアロゾル形成基体が消費される前にユーザーがエアロゾル発生物品を廃棄するリスクを最小化する場合がある。
【0009】
有利なことに、本発明によるエアロゾル発生物品は、すべての液体エアロゾル形成基体を消費済みになった後に、ユーザーがエアロゾル発生物品の使用を継続するリスクを最小化する場合がある。エアロゾルを発生するために液体エアロゾル形成基体が加熱される実施形態において、乾燥したエアロゾル発生物品の継続的な加熱のリスクを最小化することは、エアロゾル発生物品からの一つ以上の望ましくない物質の放出を阻止するために望ましい場合がある。
【0010】
水発色材料は、液体貯蔵部分の少なくとも一部分の上の被覆として提供されてもよい。水発色材料は、インクおよび塗料のうちの少なくとも一つを含んでもよい。水発色インクおよび水発色塗料は、水発色材料が被覆として提供される実施形態において特に有利である場合がある。
【0011】
第一の色および第二の色のうちの一つは、水発色材料が実質的に無色である状態であってもよい。本明細書で使用される「無色」という用語は、光を電磁スペクトルの可視部分にわたって実質的に等しく伝達する材料を指す。
【0012】
第一の色および第二の色のうちの少なくとも一つは、半透明または透明であってもよい。半透明材料および透明材料は、電磁スペクトルの可視部分の中の少なくとも一つの波長に対して、入射光の少なくとも50パーセントを伝達する。本明細書で使用される「半透明」という用語は、散乱を伴って光を伝達する材料を指す。本明細書で使用される「透明」という用語は、実質的に散乱することなく光を伝達する材料を指す。
【0013】
半透明材料および透明材料は実質的に無色でありうる。
【0014】
半透明材料および透明材料は、光の一部の波長をその他のものより多く伝達する場合があり、そのため半透明材料または透明材料は無色ではない。
【0015】
第一の色および第二の色のうちの少なくとも一つは不透明であってもよい。本明細書で使用される「不透明」という用語は、電磁スペクトルの可視部分のすべての波長に対して入射光の50パーセント超を反射または吸収する材料を指す。すべての波長を吸収する不透明材料は黒色を呈する。すべての波長を反射する不透明材料は入射光の色に対応する色を呈する。一部の波長を吸収し、かつ残りの波長を反射する不透明材料は、入射光の反射された波長の組み合わせに対応する色を呈する。
【0016】
水発色材料は、所望の第一の色、第二の色、またはこれらの両方を提供するように、一つ以上の顔料または染料を含んでもよい。水発色材料は、一つ以上の無機顔料または無機染料を含んでもよい。水発色材料は、一つ以上の有機顔料または有機染料を含んでもよい。適切な顔料および染料には、アゾ染料、アントラキノン染料、キサンテン染料、アジン染料、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0017】
水発色材料は、エアロゾル発生物品の使用中に液体エアロゾル形成基体が消費されるにつれて、第一の色から第二の色へと徐々に変化してもよい。このようにして、水発色材料は液体貯蔵部分内の残りの液体エアロゾル形成基体の量の表示を提供してもよい。例えば、第一の色が半透明または透明であり、かつ第二の色が不透明な色である実施形態において、水発色材料は、液体エアロゾル形成基体が消費されるにつれて、不透明度の緩やかな増加を呈してもよい。
【0018】
液体エアロゾル形成基体は水を含んでもよい。水発色材料は、水の存在または欠如に反応して色が変化することが好ましい。
【0019】
水発色材料は、微粉ケイ酸、重晶石粉末、沈殿硫酸バリウム、炭酸バリウム、沈殿炭酸カルシウム、石膏、粘土、タルク、アルミナホワイト、塩基性炭酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0020】
エアロゾル発生物品は、基層上に位置付けられた多孔性基板材料を液体貯蔵部分が備え、かつ液体エアロゾル形成基体が多孔性基板材料の中へと収着されている、基層を備えてもよい。水発色材料は多孔性基板材料の外表面上に提供されることが好ましい。すなわち、水発色材料は、ユーザーに見える場合がある多孔性基板材料の表面上に提供されることが好ましい。
【0021】
エアロゾル発生物品は、単一の多孔性基板材料および多孔性基板材料の中へと収着された単一の液体エアロゾル形成基体を備えてもよい。
【0022】
エアロゾル発生物品は、基層上に位置付けられた多孔性基板材料の複数の個別のセグメントを備えてもよく、液体エアロゾル形成基体は多孔性基板材料の各々のセグメントの中へと収着された液体エアロゾル形成基体を備える。液体エアロゾル形成基体は実質的に同一であってもよい。液体エアロゾル形成基体のうちの少なくとも一つは、残りの液体エアロゾル形成基体とは異なっていてもよい。
【0023】
各々の多孔性基板材料の密度は、約0.1グラム/立方センチメートル~約0.3グラム/立方センチメートルであることが好ましい。
【0024】
各々の多孔性基板材料の空隙率は約15パーセント~約55パーセントであることが好ましい。
【0025】
各々の多孔性基板材料は、ガラス、セルロース、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタラート)(PCT)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、およびBAREX(登録商標)のうちの一つ以上を含んでいてもよい。
【0026】
各々の多孔性担体材料は、多孔性担体材料の中へと収着された液体エアロゾル形成基体に対して化学的に不活性であることが好ましい。
【0027】
基層および各々の多孔性担体材料は、実質的に平面の接触表面で相互に接触していてもよい。各々の多孔性担体材料を基層の実質的に平面の部分の上に提供することは、エアロゾル発生物品の製造を単純化する場合がある。
【0028】
本明細書で使用される「実質的に平面」という用語は、実質的に単一の平面に沿って配置されていることを意味する。
【0029】
エアロゾル発生物品は、各々の多孔性基板材料が基層とカバー層の間に密封されるように、基層へと密封されたカバー層を備えてもよい。カバー層は、基層の周辺の近くで基層へと密封されることが好ましい。
【0030】
カバー層は、エアロゾル発生物品の使用に先立って基層から取り外し可能になるように構成されてもよい。
【0031】
カバー層は、エアロゾル発生物品の使用中に基層上に残存するように構成されてもよい。例えば、カバー層はエアロゾル発生物品の使用に先立って貫通されてもよい。エアロゾル発生物品の使用中にカバー層が基層上に残存するように構成された実施形態において、水発色材料の上にあるカバー層の少なくとも一部分は半透明または透明であってもよい。
【0032】
基層は任意の適切な断面形状を有してもよい。基層は非円形の断面形状を有することが好ましい。基層は実質的に長方形の断面形状を有してもよい。基層は細長い実質的に長方形の平行六面体形状を有してもよい。基層は実質的に平坦であってもよい。基層は実質的に平面であってもよい。実質的に平面の基層は、少なくとも一つの固体エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品に対して特に適している場合がある。
【0033】
基層はポリマーの箔を備えてもよい。
【0034】
液体エアロゾル形成基体は、多孔性基板材料の中へと収着された液体ニコチン供与源を備えてもよい。
【0035】
液体ニコチン供与源は、ニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩(ニコチン-HCl、ニコチン酒石酸塩、もしくはニコチン二酒石酸塩など)、またはニコチン誘導体のうちの一つ以上を含むことが好ましい。
【0036】
ニコチン供与源は天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。
【0037】
ニコチン供与源は純粋なニコチン、水性溶媒もしくは非水性溶媒中のニコチン溶液、または液体たばこ抽出物を含んでもよい。
【0038】
ニコチン供与源は電解質形成化合物を含んでもよい。電解質形成化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。
【0039】
ニコチン供与源は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される電解質形成化合物を含んでもよい。
【0040】
ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩、またはニコチン誘導体、および電解質形成化合物の水溶液を含んでもよい。
【0041】
ニコチン供与源は他の構成成分を含んでもよく、構成成分には例えば天然風味、人工風味、酸化防止剤などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0042】
液体エアロゾル形成基体は、第一の多孔性基板材料の中へ収着されたニコチン供与源を備える第一の液体エアロゾル形成基体と、第二の多孔性基板材料の中へ収着された酸供与源を備える第二の液体エアロゾル形成基体とを備えてもよい。使用中、ニコチン供与源および酸供与源からの揮発性化合物は気相で反応して、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを形成してもよい。
【0043】
酸供与源は有機酸または無機酸を含んでもよい。酸供与源は有機酸を含むことが好ましく、カルボン酸を含むことがより好ましく、α-ケト酸もしくは2-オキソ酸または乳酸を含むことが最も好ましい。
【0044】
酸は、3-メチル-2-オキソペンタン酸、ピルビン酸、2-オキソペンタン酸、4-メチル-2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸、乳酸、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される酸を含むことが好ましい。有利なことに、酸はピルビン酸または乳酸を含む。より有利なことに、酸は乳酸を含む。
【0045】
液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を収容する液体貯蔵容器を備えてもよく、水発色材料が液体貯蔵容器の内表面上に提供されている。水発色材料の上にある液体貯蔵容器の少なくとも一部分は、実質的に半透明または実質的に透明であることが好ましい。有利なことに、液体貯蔵容器の実質的に半透明な部分または実質的に透明な部分は、エアロゾル発生物品の使用中にユーザーが水発色材料の色を観察することを可能にする場合がある。
【0046】
液体貯蔵容器は、ALTUGLAS(登録商標)医療用樹脂ポリメチルメタクリレート(PMMA)、Chevron Phillips K-Resin(登録商標)スチレンブタジエンコポリマー(SBC)、アルケマ特殊性能ポリマーPebax(登録商標)、Rilsan(登録商標)、およびRilsan(登録商標)Clear、DOW(Health+(商標))低密度ポリエチレン(LDPE)、DOW(商標)LDPE91003、DOW(商標)LDPE91020(MFI 2.0、密度923)、ExxonMobil(商標)ポリプロピレン(PP)PP1013H1、PP1014H1およびPP9074MED、Trinseo CALIBRE(商標)ポリカーボネート(PC)2060-SERIESなどの、実質的に透明な材料で形成されてもよい。液体貯蔵容器は、射出成形プロセスなどで、成形加工されてもよい。
【0047】
液体貯蔵容器は、液体貯蔵容器から液体エアロゾル形成基体を送達するための出口を液体貯蔵容器内に備えることが好ましい。出口は液体貯蔵容器の端に提供されてもよい。液体貯蔵容器は、閉止端および開放端を有する実質的に円筒形の容器と、出口を備え、かつ開放端を横切って延びるリッドとを備えてもよい。リッドは、実質的に円筒形の容器を締まりばめで係合するように構成されてもよい。
【0048】
エアロゾル発生物品は、出口を通って延びる液体移動要素をさらに備えてもよく、液体移動要素は液体貯蔵容器内に位置付けられた第一の端を有する。有利なことに、液体移動要素は、液体貯蔵容器からの出口を通した液体エアロゾル形成基体の制御された送達を容易にする場合がある。
【0049】
液体移動要素は毛細管芯を備えてもよい。毛細管芯は、ガラス繊維、炭素繊維、および金属繊維、またはガラス繊維、炭素繊維、および金属繊維のいずれかおよびすべての組み合わせを含む、毛細管繊維で形成されてもよい。金属繊維を提供することは、芯全体の疎水特性に悪影響を与えることなく、芯の機械的耐性を高める場合がある。こうした繊維は、芯の中心軸に平行に提供されてもよく、網状、らせん状または部分的に不織布状であってもよい。
【0050】
毛細管芯は繊維質または海綿状の構造を有してもよい。毛細管芯は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管芯は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸はエアロゾル発生物品の長軸方向に、概して整列されてもよい。毛細管芯はロッド形状へと形成された海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。芯の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成し、これを通して液体エアロゾル形成基体は毛細管作用によって搬送されることができる。毛細管芯は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例には、繊維または焼結粉末の形態のセラミックまたはグラファイトをベースにした材料がある。毛細管芯は、密度、粘性、表面張力、および蒸気圧などの異なる液体物理特性を併用するような、任意の適切な毛細管性および多孔性を有してもよい。芯の毛細管特性は、液体エアロゾル形成基体の特性と相まって、液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵容器内に残る限り、芯に確実に維持される。
【0051】
液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料および非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。
【0052】
液体エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含むことが好ましい。
【0053】
エアロゾル発生物品は、液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するために構成されたエアロゾル発生要素をさらに備えてもよい。
【0054】
エアロゾル発生物品が液体貯蔵容器の中に位置付けられた第一の端を有する液体移動要素を備える実施形態において、エアロゾル発生要素は、液体エアロゾル形成基体を液体移動要素の第二の端でエアロゾル化するように位置付けられてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、液体貯蔵容器から、液体移動要素に沿ってエアロゾル発生要素に向かって移動される。エアロゾル発生要素が起動された時に、液体移動要素内の液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生要素によって気化されて過飽和蒸気を形成する。過飽和蒸気は気流と混合され、気流で搬送される。流れている間、蒸気は凝縮されてエアロゾルを形成し、エアロゾルはユーザーの口に向かって搬送される。
【0055】
エアロゾル発生要素は、圧電素子などの振動可能要素を備えてもよい。振動可能要素は、電源への電気的接続を可能にするように構成された電気接点を備えてもよい。
【0056】
エアロゾル発生要素はサセプタを備えてもよく、ここでサセプタは誘導的に加熱された時に、液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するように構成されている。
【0057】
エアロゾル発生要素は電気ヒーターを含んでもよい。電気ヒーターは、電源への電気的接続を可能にするように構成された電気接点を備えてもよい。電気ヒーターは抵抗ヒーターであってもよい。適切な電気抵抗性の材料には例えば、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料製・金属材料製の複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例には、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロミウム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有の合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporation(1999 Broadway Suite 4300,Denver Colorado)の登録商標である。複合材料では、電気抵抗性の材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的性質に応じて、随意に断熱材料に包埋、封入、または断熱材料で被覆されてもよく、もしくはその逆であってもよい。電気ヒーターは、不活性材料の二層の間で絶縁された、エッチング加工が施された金属箔を含んでもよい。その場合、不活性材料はKapton(登録商標)、全層ポリイミドまたはマイカ箔を含んでもよい。Kapton(登録商標)は、E.I.du Pont de Nemours and Company(1007 Market Street,Wilmington,Delaware 19898,United States of America)の登録商標である。
【0058】
電気ヒーターは、赤外線発熱体、光子供給源、または誘導発熱体を備えてもよい。
【0059】
電気ヒーターは任意の適切な形態を取ってもよい。電気ヒーターは、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを有するケーシングまたは基板の形態を取ってもよい。電気ヒーターは、ディスク(端)型の発熱体、またはディスク型の発熱体と加熱用の針またはロッドとを組み合わせたものであってもよい。エアロゾル発生物品が液体移動要素を備える実施形態において、電気ヒーターは液体移動要素の第二の端を囲むまたは部分的に囲むように配置された柔軟な材料シートを備えてもよい。その他の可能性としては、電熱線またはフィラメント、例えばNi-Cr、白金、タングステン、もしくは合金製のワイヤー、または加熱プレートが挙げられる。随意に、電気ヒーターは剛直な担体材料内またはその上に配置されてもよい。
【0060】
本発明の第二の態様によると、本発明の第一の態様によるエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムと、エアロゾル発生物品の液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するために構成されたエアロゾル発生要素と、エアロゾル発生装置とが提供されている。エアロゾル発生装置は、電力供給源と、電力供給源からエアロゾル発生要素への電力の供給を制御するためのコントローラーとを備える。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品の水発色材料がエアロゾル発生システムの外部から見えるように構成されている。
【0061】
本発明の第二の態様によるエアロゾル発生システムでは、水発色材料はエアロゾル発生システムの外部から見える。従って、有利なことに、ユーザーはエアロゾル発生システムの使用中に、液体エアロゾル形成基体がいつ枯渇状態になったかを判定するために、水発色材料を観察することができる。
【0062】
エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置のうちの少なくとも一つは、水発色材料の上にある半透明部分または透明部分を備えることが好ましい。エアロゾル発生物品は、水発色材料の上にある半透明部分または透明部分を備えることが好ましい。
【0063】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部を受けるためのくぼみを画定するハウジングを備えてもよい。こうした実施形態において、ハウジングは、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分がくぼみの中に受けられた時に、水発色材料の上になるように構成された半透明部分または透明部分を備えてもよい。
【0064】
エアロゾル発生要素は、本発明の第一の態様を参照して本明細書に記載されている通り、エアロゾル発生物品の一部を形成してもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生要素上の電気接点と電気的に接続するように構成された電気接点を備えてもよい。
【0065】
エアロゾル発生要素は、エアロゾル発生装置の一部を形成してもよい。
【0066】
エアロゾル発生要素はエアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置の両方とは別個に提供されてもよく、エアロゾル発生要素はエアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置と組み合わせられてエアロゾル発生システムを形成する。エアロゾル発生要素が複数のエアロゾル発生物品との使用のために構成された実施形態において、エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置の両方とは別個に提供されたエアロゾル発生要素は有利である場合がある。例えば、エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置とは別個に提供されたエアロゾル発生要素は、エアロゾル発生要素の掃除を容易にする場合がある。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生要素上の電気接点と電気的に接続するように構成された電気接点を備えてもよい。
【0067】
適切なエアロゾル発生要素は、本発明の第一の態様を参照して本明細書に記載されている。
【0068】
電力供給源は直流電流(DC)供給源を備えてもよい。好ましい実施形態において、電力供給源は電池を備える。電力供給源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、もしくはリチウムポリマー電池)を含んでもよい。
【0069】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置と組み合わせられている時に、エアロゾル発生物品の水発色材料の光学特性を感知するように構成された電子光センサーをさらに備えてもよい。コントローラーは、エアロゾル発生装置がエアロゾル発生物品と組み合わせて動作される時に、感知された光学特性の値をモニターするように構成されている。コントローラーは、感知された光学特性の値が第一の色を示す第一の範囲内である時に、電力供給源からエアロゾル発生要素への電力の供給を制御するように構成されている。コントローラーは、感知された光学特性の値が第一の範囲外であり、かつ第二の色を示す時に、電力供給源からエアロゾル発生要素への電力の供給を阻止するように構成されている。これは、エアロゾル発生要素が電気ヒーターを備える実施形態において、特に有利である場合があり、その理由はコントローラーが第二の色が検出された時にエアロゾル発生物品をさらに加熱するのを阻止するように構成されているからである。すなわち、コントローラーは、液体エアロゾル形成基体が枯渇状態になっている時に、さらに加熱するのを阻止するように構成されている。
【0070】
コントローラーは、エアロゾル発生物品と組み合わせたエアロゾル発生装置の動作中に、感知された光学特性の値がもはや第一の範囲内でなくなる時を判定するために、感知された光学特性の値を繰り返し測定するように構成されてもよい。コントローラーは、感知された光学特性の値を定期的に測定するように構成されてもよい。コントローラーは、エアロゾル発生物品と組み合わせたエアロゾル発生装置の動作中に、感知された光学特性の値を継続的に測定するように構成されてもよい。
【0071】
コントローラーは、水発色材料の感知された光学特性の測定された値に基づいて、エアロゾル発生物品の中の残りの液体エアロゾル形成基体の量を推定するように構成されてもよい。本発明の第一の態様を参照して本明細書に記載されている通り、水発色材料は、液体エアロゾル形成基体が消費されるにつれて、第一の色から第二の色へと徐々に変化してもよい。エアロゾル発生装置は、推定された液体エアロゾル形成基体の残りの量を示すフィードバックをユーザーに提供するためのフィードバック装置を備えてもよい。
【0072】
光学特性は反射率、吸光度、透過率、色、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む場合がある。
【0073】
本発明の第三の態様によると、エアロゾル発生物品との組み合わせのために構成されたエアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は、本発明の第一の態様によるエアロゾル発生物品との組み合わせのために構成されていることが好ましい。エアロゾル発生装置は電力供給源と、電子光センサーと、コントローラーとを備える。電子光センサーは、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置と組み合わせられている時に、エアロゾル発生物品の一部分の光学特性を感知するように構成されている。コントローラーは、エアロゾル発生装置がエアロゾル発生物品と組み合わせて動作される時に、感知された光学特性の値をモニターするように構成されている。コントローラーは、感知された光学特性の値が第一の範囲内である時に、電力供給源からエアロゾル発生要素への電力の供給を制御するように構成されている。コントローラーは、感知された光学特性の値が第一の範囲外である時に、電力供給源からエアロゾル発生要素への電力の供給を阻止するように構成されている。第一の範囲は、所定の閾値より大きいまたは小さい任意の値を含んでもよい。
【0074】
コントローラーは、エアロゾル発生物品と組み合わせたエアロゾル発生装置の動作中に、感知された光学特性の値がもはや第一の範囲内でなくなる時を判定するために、感知された光学特性の値を繰り返し測定するように構成されている。コントローラーは、感知された光学特性の値を定期的に測定するように構成されてもよい。コントローラーは、エアロゾル発生物品と組み合わせたエアロゾル発生装置の動作中に、感知された光学特性の値を継続的に測定するように構成されてもよい。
【0075】
コントローラーは、感知された光学特性の測定された値に基づいて、エアロゾル発生物品の中の残りの液体エアロゾル形成基体の量を推定するように構成されてもよい。エアロゾル発生装置が本発明の第一の態様によるエアロゾル発生物品との使用のために構成された実施形態において、コントローラーは水発色材料の感知された光学特性の測定された値に基づいて液体貯蔵部分の中の残りの液体エアロゾル形成基体の量を推定するように構成されてもよい。水発色材料は、液体エアロゾル形成基体が消費されるにつれて、第一の色から第二の色へと徐々に変化してもよい。エアロゾル発生装置は、推定された液体エアロゾル形成基体の残りの量を示すフィードバックをユーザーに提供するためのフィードバック装置を備えてもよい。
【0076】
コントローラーが本発明の第一の態様によるエアロゾル発生物品との組み合わせのために構成された実施形態において、第一の範囲内の感知された光学特性の値は、水発色材料の第一の色を示す場合がある。第一の範囲外の感知された光学特性の値は、水発色材料の第二の色を示す場合がある。
【0077】
光学特性は反射率、吸光度、透過率、色、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む場合がある。
【0078】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品との組み合わせのために構成されている。すなわち、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品と動作可能に接続されるように構成されている。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受けるためのくぼみを備えてもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置をエアロゾル発生物品に取り外し可能なように取り付けるための取り付け部分を備えてもよい。取り付け部分は、対応するねじ山をエアロゾル発生物品の上に係合するためのねじ山を備えてもよい。取り付け部分は、対応する取り付け部分をエアロゾル発生物品の上に締まりばめによって係合するように構成されてもよい。
【0079】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生要素をさらに備えてもよい。適切なエアロゾル発生要素は、本発明の第一の態様を参照して本明細書に記載されている。
【0080】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生要素を備えるエアロゾル発生物品との組み合わせのために構成されてもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品および別個のエアロゾル発生要素との組み合わせのために構成されてもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生要素上の電気接点と電気的に接続するように構成された電気接点を備えてもよい。
【0081】
エアロゾル発生装置は、本発明の第二の態様によるエアロゾル発生システムの一部を形成するエアロゾル発生装置を参照して本明細書に記載された随意の特徴および好ましい特徴のいずれかを備えてもよい。
【0082】
本発明の第三の態様によるエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生システムを形成するための本発明の第一の態様によるエアロゾル発生物品と組み合わせられてもよい。
添付図面を参照しながら、例証としてのみ、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品を示す。
【
図2】
図2は、
図1のエアロゾル発生物品との使用のためのエアロゾル発生装置を示す。
【
図3】
図3は、部分的使用後の
図1のエアロゾル発生物品を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品10を示す。エアロゾル発生物品10は、基層12と、基層12上に位置付けられた複数の個別の液体貯蔵部分14とを備える。そのため複数の液体貯蔵部分14が基層12とカバー層16の間に密封されるように、取り外し可能なカバー層16は基層12に固定されている。
【0085】
液体貯蔵部分14の各々は、多孔性基板材料と、多孔性基板材料の上へと収着された液体エアロゾル形成基体とを備える。水発色材料18は、多孔性基板材料の各々の表面の上に提供されている。水発色材料18は、液体エアロゾル形成基体と接触している時に、実質的に透明になるように構成されており、そのため下にある多孔性基板材料の色が見える。
【0086】
図2は、
図1のエアロゾル発生物品10との使用のためのエアロゾル発生装置100の断面図を示す。エアロゾル発生装置100は、エアロゾル発生物品10を受けるためのくぼみ114を画定するハウジング112を備える。空気吸込み口116はくぼみ114の上流端に提供されており、またマウスピース118はハウジング112の下流端に提供されている。空気出口120はくぼみ114と流体連通しているマウスピース118内に提供されており、そのため気流経路はくぼみ114を通って空気吸込み口116と空気出口120の間に画定される。使用中、ユーザーはマウスピース118を吸い、空気吸込み口116を通してくぼみ114の中へと空気を引き出し、かつ空気出口20を通してくぼみ114の外へと空気を引き出す。
【0087】
ハウジング112内に提供された透明な窓121は、エアロゾル発生物品10がくぼみ114の中に受けられた時に、ユーザーがエアロゾル発生物品10を観察することを可能にする。
【0088】
エアロゾル発生装置100は、くぼみ114の平面の壁124の上に提供された複数のエアロゾル発生要素122をさらに備える。エアロゾル発生要素122の各々は、共通の支持層128の上に提供された電気ヒーター要素126を備える。
【0089】
エアロゾル発生装置100は、ハウジング112の中に位置付けられた電力供給源140およびコントローラー142をさらに備える。エアロゾル発生装置100の動作中に、コントローラー142は、エアロゾル発生要素122を起動するための、電力供給源140から各々のエアロゾル発生要素122への電流の供給を制御する。コントローラー142は複数のエアロゾル発生要素122を群で起動するように構成されてもよく、各々の群は逐次的に起動および作動停止される。
【0090】
エアロゾル発生物品10およびエアロゾル発生装置100がエアロゾル発生システムを形成するように、使用中にエアロゾル発生物品10はくぼみ114の中へと挿入されている。次に、コントローラー142は、エアロゾル発生要素122を逐次的に起動および作動停止して、個別の液体貯蔵部分14を逐次的に加熱する。多孔性基板材料内に実質的にいかなる液体エアロゾル形成基体も残らなくなるまで、液体貯蔵部分14が加熱されるたびに液体エアロゾル形成基体はエアロゾル化される。液体エアロゾル形成基体が欠如している場合、多孔性基板材料の上の水発色材料18は、実質的に透明な状態から白色などの不透明な色へと変化する。
図3は、液体貯蔵部分14の一部が加熱されて、水発色材料18が実質的に透明から白色へと変換された後の、
図1のエアロゾル発生物品10を示す。
【0091】
使用中、ユーザーは各々の液体貯蔵部分14の上の水発色材料18の色を調べるために、エアロゾル発生装置100の透明窓121を通してエアロゾル発生物品10を観察してもよい。このようにして、ユーザーは加熱された液体貯蔵部分14の数を判定することができる。
【0092】
図4は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生システム200を示す。エアロゾル発生システム200は、エアロゾル発生装置202と、エアロゾル発生装置に取り外し可能なように取り付けられたエアロゾル発生物品204とを備える。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置202が電子喫煙システムの本体であり、またエアロゾル発生物品204がカートマイザーなどの交換可能なカートリッジである電子喫煙システムであってもよい。
【0093】
エアロゾル発生装置202は、ハウジング201、電力供給源207、フィードバック装置208、コントローラー209、吸煙検出システム211、電子光センサー212を備える。
【0094】
エアロゾル発生物品204は、液体エアロゾル形成基体215を収容する透明液体貯蔵容器214を備える液体貯蔵部分213を備える。エアロゾル発生物品204は、毛細管芯の形態の液体移動要素217と、電気ヒーターを備えるエアロゾル発生要素219とをさらに備える。毛細管芯の第一の端は液体貯蔵容器214の中へと延び、毛細管芯の第二の端は電気ヒーターによって囲まれている。電気ヒーターは、電気的接続221を経由してエアロゾル発生装置202に接続されている。
【0095】
水発色材料218は、液体貯蔵容器214の内表面上に、液体エアロゾル形成基体215と接触して提供されている。水発色材料218は、液体エアロゾル形成基体と接触している時に第一の色を呈するように、および液体エアロゾル形成基体215が液体貯蔵容器214から枯渇している時に第二の色を呈するように構成されている。第一の色は透明であってもよく、また第二の色は不透明であってもよい。
【0096】
エアロゾル発生物品204はまた、空気吸込み口223、空気出口225、エアロゾル形成チャンバー227を含む。
【0097】
使用中に、液体エアロゾル形成基体215は液体貯蔵容器214から毛細管作用によって、芯217の第一の端から、電気ヒーターによって囲まれている芯217の第二の端へと移動または運ばれる。ユーザーが空気出口225で装置を吸うと、周囲空気が空気吸込み口223を通して引き出される。吸煙検出システム211は吸煙を感知し、電気ヒーターを起動する。電力供給源207がエネルギーを電気ヒーターに供給して、電気ヒーターによって囲まれている芯217の端を加熱する。芯217の第二の端にある液体エアロゾル形成基体215は電気ヒーターによって気化されて、過飽和蒸気を発生する。同時に、気化された液体エアロゾル形成基体215は、毛細管作用によって芯217に沿って移動するさらなる液体エアロゾル形成基体215によって置き換えられる。発生した過飽和蒸気は空気吸込み口223からの気流と混合され、この気流内で搬送される。エアロゾル形成チャンバー227内で、蒸気は凝縮して吸入可能なエアロゾルを形成し、これが空気出口225に向かって搬送され、ユーザーの口の中へと入る。
【0098】
エアロゾル発生システム200の動作中に、電子光センサー212は透明な液体貯蔵容器214を通して水発色材料218の光学特性を感知する。液体エアロゾル形成基体215が液体貯蔵容器215から消費されるにつれて、水発色材料218は第一の色から第二の色へと徐々に変化する。コントローラー209は、感知された光学特性の値をモニターし、液体貯蔵容器214内に残っている液体エアロゾル形成基体215の量を継続的に推定する。推定された残りの液体エアロゾル形成基体215の量は、フィードバック装置208上に表示される。水発色材料218の感知された光学特性の値が第二の色を示す時に、コントローラー209は電気ヒーターのさらなる起動を阻止する。