(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】粘性媒体を基板上に噴射するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B05D 1/26 20060101AFI20220506BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20220506BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20220506BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20220506BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20220506BHJP
B41J 2/045 20060101ALI20220506BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
B05D1/26 Z
B05C5/00 101
B05C11/00
B05D3/00 D
H05K3/34 505B
B41J2/045
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2018561628
(86)(22)【出願日】2017-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2017062662
(87)【国際公開番号】W WO2017202985
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-13
(32)【優先日】2016-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】591176085
【氏名又は名称】マイクロニック アーベー
【氏名又は名称原語表記】MYCRONIC AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ブリーブマーク、ダニエル
【審査官】吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-247492(JP,A)
【文献】特表2016-518959(JP,A)
【文献】特開2016-098828(JP,A)
【文献】特開2002-021715(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0263688(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0136661(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00 - 1/26
B05C 5/00
B05C 11/00
B05D 3/00
H05K 3/34
B41J 2/01
B41J 2/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性媒体を基板(23)上に噴射するための方法であって、
供給装置(12)によって吐出装置(1)の噴射チャンバ(5)に粘性媒体を提供すること(110)であって、
前記供給装置(12)の流路
は入口を介して前記噴射チャンバに接続されている、
供給装置(12)によって吐出装置(1)の噴射チャンバ(5)に粘性媒体を提供することと、
衝撃付与デバイス(6、7)を動作させること(120)
によって、前記衝撃付与デバイスは、粘性媒体と直接接触して、粘性媒体が前記噴射チャンバに接続されたノズル(4)を通して基板に向かって噴射されるように前記噴射チャンバ内のある体積の粘性媒体に直接衝撃を与え
て変位させ
ることと、
前記吐出装置(1)のセンサ(15)によって前記衝撃付与デバイスの変位を監視すること(130)と、
を含み、
前記衝撃付与デバイスの監視される変位は、前記噴射チャンバへの粘性媒体の供給速度に影響を与える入力データとして使用される、方法。
【請求項2】
前記吐出装置(1)のセンサ(15)によって前記衝撃付与デバイスの変位を監視することは、該衝撃付与デバイスの位置を監視し、それによって前記衝撃付与デバイスの前進衝撃移動の折返し位置を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吐出装置(1)のセンサ(15)によって前記衝撃付与デバイスの変位を監視することは、該衝撃付与デバイスの前進衝撃移動および初期位置への前記衝撃付与デバイスの制御された引戻しのうちの少なくとも一方の間の時間領域で前記衝撃付与デバイスのアセンブリハウジング(10)に対する前記衝撃付与デバイスの位置のシーケンスを監視することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
監視される変位は、前記衝撃付与デバイスの後続動作に影響を与える入力データとして使用される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記吐出装置(1)のセンサ(15)によって前記衝撃付与デバイスの変位を監視する
ことは、
衝撃の間に前記衝撃付与デバイスの位置、速度、加速度およびストロークの長さのうちの少なくとも1つを決定することと、
決定された位置、速度、加速度またはストロークの長さあるいはこれらの組み合わせと少なくとも1つの基準値との比較に基づいて補正係数を計算することと、を含み、
前記補正係数は、前記衝撃付与デバイスの後続動作を調整するために使用される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記噴射チャンバ内の粘性媒体の存在を識別するように、前記変位と基準変位値との比較に基づいて少なくとも1つの存在値を計算する
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記吐出装置(1)のセンサ(15)によって前記衝撃付与デバイスの変位を監視する
ことは、前記衝撃付与デバイスの前進衝撃移動および初期位置への前記衝撃付与デバイスの制御された引戻しのうちの少なくとも一方の間の異なる時刻における前記衝撃付与デバイスの位置を決定することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記衝撃付与デバイスの変位と少なくとも1つの基準パラメータ値との比較に基づいて故障モードを識別する
ことをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
粘性媒体を基板上に噴射するためのシステムであって、
吐出装置(1)と制御ユニット(32)と、を含み、
前記吐出装置(1)
は、
粘性媒体を収容するように適合された噴射チャンバ(5)であって
、粘性媒体を該噴射チャンバに提供する供給装置(12)の流路
は、入口を
介して前記噴射チャンバに接続されている、噴射チャンバ(5)と、
前記噴射チャンバに接続され
ているノズル(4)と、
衝撃付与デバイス(6、7)であって、前記噴射チャンバ内のある体積の粘性媒体に衝撃を与えて、粘性媒体が前記ノズルを通して前記基板に向かって噴射されるように適合された、衝撃付与デバイス(6、7)と、
衝撃の間に前記衝撃付与デバイスの変位を反映する信号またはセンサパラメータを出力するように配置されたセンサ(15)と、を備え
ており、
前記制御ユニット(32)は、前記信号またはセンサパラメータに基づいて前記衝撃付与デバイスの動作を制御するように適合され
ており、
当該システムは、前記衝撃付与デバイスの監視される変位が、前記噴射チャンバへの粘性媒体の供給速度に影響を与える入力データとして使用されるように構成される、システム。
【請求項10】
前記センサは、前記噴射チャンバ(5)の内部に備えられ、前記衝撃付与デバイスの位置、速度および加速度のうちの少なくとも1つの非接触測定のために配置される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記センサは、光学センサ、容量センサ、磁気センサ、線形可変差動変圧器センサ、ボイスコイル、圧電センサまたは歪みセンサである、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御ユニットは、
前記信号またはセンサパラメータに基づいて、衝撃の間に前記衝撃付与デバイスの速度、加速度、位置またはストロークの長さのうちの少なくとも1つを決定し、
決定された速度、加速度、位置またはストロークの長さあるいはその組み合わせと少なくとも1つの基準値との比較に基づいて補正係数を計算し、
前記衝撃付与デバイスの後続動作を調整するために前記補正係数を使用する
ように適合される、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御ユニットは、
前記信号またはセンサパラメータに基づいて、衝撃の間に前記衝撃付与デバイスの加速度を決定し、
決定された加速度と基準加速度値との比較に基づいて補正係数を計算し、
前記衝撃付与デバイスの後続動作を調整するために前記補正係数を使用する
ように適合される、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御ユニットは、
前記信号またはセンサパラメータに基づいて、衝撃の間に前記衝撃付与デバイスの異なる位置に対する移動曲線を時間領域で決定し、
決定された移動曲線と基準移動曲線との比較に基づいて少なくとも1つの補正係数を計算し、
前記衝撃付与デバイスに関して時間領域で調整された移動曲線を達成するために、前記衝撃付与デバイスの後続動作を調整するために前記補正係数を使用するように適合される、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される発明は、粘性媒体の基板上への噴射に関する。より詳細には、本発明は、吐出装置の衝撃付与デバイスの変位が監視される、方法ならびに吐出装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
粘性媒体または流体、例えばはんだペースト、フラックスまたは接着剤の液滴をプリント配線板(PWB)などの基板上に噴射し、したがって例えば電気部品を基板に接続するために使用され得る堆積物を形成するための、吐出装置および方法が当技術分野で知られている。このような吐出装置は、一般に、ある体積の粘性媒体をその噴射に先立って収容するためのチャンバと、ノズル空間と連絡する噴射ノズルと、粘性媒体に衝撃を与えてこれをチャンバからノズルを通して液滴の形で噴射するための衝撃付与デバイスとを備える。さらに、媒体をノズル空間に送り込むために供給装置を利用することができる。いくつかの液滴を重ねて塗り、したがってより大きい堆積物を形成することによって、または、例えばより大量もしくはより少量の粘性媒体をチャンバに送り込むことで噴射液滴の体積を変えることによって、基板上の異なる場所で堆積される粘性媒体の量、または体積を変えることができる。
【0003】
高い生産精度および信頼性は、例えばプリント回路基板(PCB)アセンブリの製造のための重要な要素である。具体的には、例えば噴射プロセスの正確度および再現性などの信頼性は、例えばPCBアセンブリなどの最終製品の処理能力および品質へのその影響のために重要である。少量過ぎる堆積媒体または不十分に成形されもしくは置かれた堆積物は、例えば、ドライジョイントまたは部品の緩みにつながる場合があるのに対して、大量すぎる堆積媒体は、例えばはんだボールによって引き起こされる短絡、または接着剤もしくはアンダーフィルの汚染に起因する接触不良につながる場合がある。
【0004】
プロセス信頼性および性能を向上させるために、意図的でない短絡、汚染および誤った体積のリスクを低減させるように堆積媒体の塗布の改良された制御が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開示される技術の目的は、改良された、より信頼性が高い、噴射小滴の基板への塗布を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示される技術のこの目的および他の目的は、独立請求項に定められる特徴を有する、方法、吐出装置およびシステムを用いて達成される。開示される技術のさまざまな実装は、従属請求項に定められる。
【0007】
開示される技術の衝撃付与デバイスは、「自由移動」ピストン、すなわち、弁、座部または栓によってその移動において制限されず、その動きは、経時的に電圧および/または電流によって制御され、それは、経時的に変化するその往復移動、すなわち経時的に変化するストロークの長さに対して、折返し位置、または端位置を有する、ピストンを備える。
【0008】
開示される技術の態様に従って、経時的に電圧および電流を監視し変位センサと比較することによって、折返し位置およびストロークの長さの望ましくない変動につながる、噴射媒体のレオロジー差などのハードウェアおよび粘性媒体自体の変動は、衝撃付与デバイスおよびピストンの往復移動を制御するために印加される電圧および/または電流を調整することによって閉ループ方式で検出し補償することができる。
【0009】
開示される技術の吐出装置は、どんなときでも接続を閉じることになる弁または座部がないという点で、供給装置の流路へのオープン接続、または入口を同様に有する。したがって、流路は常に開いたままである。
【0010】
開示される技術の噴射原理は、媒体をせん断してこれに衝撃を与え、媒体を前後両方に変位させることに基づいている。容積型の方式で衝撃付与デバイスおよび座部を用いて流路を閉じる、他のいわゆる噴射弁と対照的に、前方流だけがノズルを通して噴射される。
【0011】
開示される技術の吐出装置と他の吐出装置、例えば、閉システムを作り出す座部または栓を有する吐出装置との他の重要な相違は、開示される技術の吐出装置のピストンが、チャンバ内の粘性媒体を前後両方に変位させる前後両方の移動を含む、ピストンの全体の往復移動を経時的に制御する印加電圧および/または電流によって駆動されることである。
【0012】
開示される技術の態様に従って、経時的に電圧および電流を監視し変位センサと比較することによって、噴射媒体のレオロジー差などを検出し補償することができる。
ノズル直径および形状と組み合わせた各媒体は、噴射品質および性能が最良であるプロセスウィンドウを有する。品質は、いくつかの側面、凝集性ドロップ、安定したドロップ配合、意図した標的を打つことについての高い正確度、体積安定性および直径安定性などからなる。このプロセスウィンドウは、経時的に電圧および電流によって制御され、ハードウェアおよび粘性媒体自体の変動を補償することができる。
【0013】
それゆえ、開示される技術の第1の態様によれば、粘性媒体を基板上に噴射するための方法が提供される。方法は、吐出装置の噴射チャンバに粘性媒体を提供するステップと、粘性媒体がチャンバに接続されたノズルを通して基板に向かって噴射されるようにチャンバ内のある体積の粘性媒体に衝撃を与える衝撃付与デバイスを動作させるステップと、衝撃の間に衝撃付与デバイスの変位を監視するステップとを含む。方法は、以下の行為、
吐出装置(1)の噴射チャンバ(5)に粘性媒体を提供すること(110)であって、噴射チャンバは、粘性媒体をチャンバに提供する供給装置(12)の流路へのオープン接続、または入口を備えることと、
粘性媒体と直接接触し、チャンバ内の自由往復移動で、衝撃付与デバイスに作用するアクチュエータに印加される電圧および/または電流によって制御され、粘性媒体がチャンバに接続されたノズル(4)を通して基板に向かって噴射されるようにチャンバ内のある体積の粘性媒体に直接衝撃を与え、変位させるように構成された衝撃付与デバイス(6、7)を動作させること(120)と、
ハードウェアおよび粘性媒体自体の変動のうちの少なくとも1つによって引き起こされる折返し位置の変動を補償するために、衝撃付与デバイスの変位を監視すること(130)と
を含み得る。開示される技術のある特定の態様で、折返し位置の変動は、(折返し位置およびストロークの長さを調整するために)衝撃付与デバイスに作用するアクチュエータに印加される電圧および/または電流ならびに噴射チャンバへの粘性媒体の供給速度に影響を与える入力データを調整する後続の行為の少なくとも1つによって上述の方法により補償される。
【0014】
第2の態様によれば、粘性媒体を基板上に噴射するための吐出装置が提供される。吐出装置は、粘性媒体を収容するように適合された噴射チャンバと、チャンバに接続されたノズルと、粘性媒体がノズルを通して基板に向かって噴射されるようにチャンバ内のある体積の粘性媒体に衝撃を与えるように適合された衝撃付与デバイスと、衝撃の間に衝撃付与デバイスの変位を反映するセンサパラメータを出力するように配置されたセンサとを備える。
【0015】
第3の態様によれば、第2の態様による吐出装置と、センサパラメータに基づいて衝撃付与デバイスの動作を制御するように適合された制御ユニットとを含む、粘性媒体を基板上に噴射するためのシステムが提供される。
【0016】
ある特定の態様によれば、開示される技術は、粘性媒体を基板(23)上に噴射するための方法を提供し、方法は、
吐出装置(1)の噴射チャンバ(5)に粘性媒体を提供すること(110)であって、噴射チャンバは、粘性媒体をチャンバに提供する供給装置(12)の流路へのオープン接続、または入口を備えることと、
粘性媒体と直接接触して、粘性媒体がチャンバに接続されたノズル(4)を通して基板に向かって噴射されるようにチャンバ内のある体積の粘性媒体に直接衝撃を与え、変位させるように構成された衝撃付与デバイス(6、7)を動作させること(120)と、
噴射チャンバ内部で往復移動を行う衝撃付与デバイスの変位を監視すること(130)と
を含む。
【0017】
ある特定の態様によれば、開示される技術は、粘性媒体を基板(23)上に噴射するための方法を提供し、方法は、
吐出装置(1)の噴射チャンバ(5)に粘性媒体を提供すること(110)であって、噴射チャンバは、粘性媒体をチャンバに提供する供給装置(12)の供給流路へのオープン接続、または入口を備えることと、
粘性媒体と直接接触し、それによって、粘性媒体がチャンバに接続されたノズル(4)を通して基板に向かって噴射されるようにチャンバ内のある体積の粘性媒体に直接衝撃を与え、変位させるように構成された衝撃付与デバイス(6、7)を動作させること(120)と、
噴射チャンバ内の衝撃付与デバイスの変位を監視すること(130)と
を含む。
【0018】
開示される技術のある特定の態様によれば、上述の方法の監視するステップは、衝撃付与デバイスの位置を監視して衝撃付与デバイスの位置(例えば、ストローク、または前進衝撃移動の端位置、または折返し位置)を決定することを含む。
【0019】
開示される技術のある特定の態様によれば、上述の方法の監視するステップは、衝撃付与デバイスの前進衝撃移動および初期位置への衝撃付与デバイスの制御された引戻しのうちの少なくとも1つの間の時間領域でそのアセンブリハウジング(10)に対する衝撃付与デバイスの位置のシーケンスを監視することを含む。
【0020】
開示される技術のある特定の態様によれば、上述の方法の衝撃付与デバイスの変位を監視するステップは、
衝撃の間に衝撃付与デバイスのストロークの長さを決定するステップと、
ストロークの決定された長さと基準長さ値との比較に基づいて補正係数を計算するステップと
を含み、
補正係数は、衝撃付与デバイスの後続動作を調整するために使用される。
【0021】
開示される技術のある特定の態様によれば、上述の方法の衝撃付与デバイスの変位を監視するステップは、
衝撃の間に衝撃付与デバイスのストロークの長さを決定することと、
ストロークの決定された長さと基準長さ値との比較に基づいて補正係数を計算することと
を含み、
補正係数は、統計処理および補正のために使用される。
【0022】
開示される技術のある特定の態様によれば、上述の方法の衝撃付与デバイスの変位を監視するステップは、
衝撃の間に衝撃付与デバイスの速度および加速度のうちの少なくとも1つを決定することと、
決定された加速度と基準加速度値との比較に基づいて補正係数を計算することと
を含み、
補正係数は、衝撃付与デバイスの後続動作を調整することならびに統計処理および補正のうちの少なくとも1つのために使用される。
【0023】
開示される技術のある特定の態様によれば、上述の方法の衝撃付与デバイスの変位を監視するステップは、
衝撃の間に衝撃付与デバイスの速度および加速度のうちの少なくとも1つを決定することと、
決定された位置(例えば、ストローク、または前進衝撃移動の端位置、または折返し位置)、速度および/または加速度と基準位置、速度および/または加速度値との比較に基づいて補正係数を計算することと
を含み、
補正係数は、進行中のジェット印刷ジョブのために衝撃付与デバイスの後続動作を調整するために使用される。
【0024】
開示される技術のある特定の態様によれば、上述の方法の衝撃付与デバイスの変位を監視するステップは、
衝撃の間に衝撃付与デバイスの位置(例えば、ストローク、または前進衝撃移動の端位置、または折返し位置)、速度および加速度のうちの少なくとも1つを決定することと、
決定された位置、速度および/または加速度と基準位置、速度および/または加速度値との比較に基づいて補正係数を計算することと
を含み、
補正係数は、次のストロークのための衝撃付与デバイスの後続動作のリアルタイム調整のために使用される。
【0025】
開示される技術のある特定の態様によれば、粘性媒体を基板上に噴射するためにシステムが提供され、システムは、
請求項9に記載の吐出装置(1)と、
センサパラメータに基づいて衝撃付与デバイスの動作を制御するように適合された制御ユニット(32)と
を含み、制御ユニットは、
センサパラメータに基づいて、衝撃の間にいつでも衝撃付与デバイスの速度、加速度、位置(例えば、ストローク、または前進衝撃移動の端位置、または折返し位置)またはストロークの長さのうちの少なくとも1つを決定し、
決定された速度、加速度、位置(例えば、ストローク、または前進衝撃移動の端位置、または折返し位置)および/またはストロークの長さと基準値との比較に基づいて補正係数を計算し、
衝撃付与デバイスの後続動作を調整するために前記補正係数を使用する
ように適合される。
【0026】
開示される技術のある特定の態様によれば、粘性媒体を基板(23)上に噴射するために吐出装置(1)が提供され、吐出装置は、
粘性媒体を収容するように適合された噴射チャンバ(5)と、
チャンバに接続されたノズル(4)と、
粘性媒体がノズルを通して基板に向かって噴射されるようにチャンバ内のある体積の粘性媒体に衝撃を与えるように適合された衝撃付与デバイス(6、7)と、
衝撃の間に衝撃付与デバイスの変位を反映するセンサパラメータを出力するように配置されたセンサ(15)と
を備える。
【0027】
上述の吐出装置のある特定の態様によれば、センサは、チャンバ(5)の内部に備えられ、衝撃付与デバイスの位置(例えば、ストローク、または前進衝撃移動の端位置、または折返し位置)、速度および加速度のうちの少なくとも1つの非接触測定のために配置される。
【0028】
開示される技術のある特定の態様によれば、吐出装置およびシステムは、
検出器から受け取った信号またはセンサパラメータに基づいて、衝撃の間に衝撃付与デバイスの異なる位置に対する移動曲線を時間領域で決定し、
決定された移動曲線と基準移動曲線との比較に基づいて少なくとも1つの補正係数を計算し、
衝撃付与デバイスに関して時間領域で調整された移動曲線を達成するために、衝撃付与デバイスの後続動作を調整するために前記補正係数を使用する
ように適合された制御ユニットを装備する。
【0029】
衝撃付与デバイスの衝撃は、噴射するべき粘性媒体中の圧力に影響を与える。チャンバ内の圧力は、例えば、衝撃付与デバイスによる粘性媒体に対する直接衝撃の強度、ストロークの長さ、および粘性媒体のレオロジー特性(より高い粘性が例えば、より高い圧力につながる場合があり、逆もまた同様である)によって決定することができる。衝撃付与デバイスによって誘導される圧力は、チャンバ内に存在する粘性媒体の量、吐出装置を形成する部品の機械公差、衝撃付与デバイスの移動の間に衝撃付与デバイスに作用する摩擦力などに同様に依存し得る。したがって、衝撃付与デバイスの変位を使用して、特定の吐出装置および/または現在使用されている粘性媒体の動作に影響を与える、チャンバ内の圧力および他のパラメータについての知識を間接的に得ることができる。
【0030】
本発明は、衝撃付与デバイスの実際の変位が衝撃付与デバイスのその後の移動を制御するとき入力として使用され得るという認識に基づいている。衝撃の間に変位を監視することによって、吐出装置の動作は、異なる吐出装置間の個別の変動および/または噴射するべき媒体のレオロジー特性の変動を補償するように、監視される変位(および間接的に監視されるチャンバ内の圧力)に応答して調整することができる。吐出装置は、例えば、機械公差、摩擦およびチャンバへの供給速度に関して変化し得るのに対して、粘性媒体の粘性特性は、例えば、全体的な粘性、せん断減粘特性、およびチキソトロピーに関して変化し得る。したがって、ストロークの間に監視される変位は、噴射の品質および信頼性を動的に向上させるように、噴射プロセスの間に例えば衝撃付与デバイスのストロークの速度および強度に関して後続動作を調節するために閉ループ方式で使用することができる。
【0031】
代わりに、または加えて、監視される変位は、異なる流体動的挙動を有する粘性媒体および/または異なるタイプの粘性媒体に合わせて、噴射パラメータ、すなわち、噴射のために必要とされるハードウェアの動作を制御するパラメータを較正または調整するために使用することができる。例示的な較正プロセスで、変位は、(1つまたはいくつかの吐出装置での)ある特定のタイプの粘性媒体の1つまたはいくつかのサンプルの噴射の間に監視することができる。それから、監視される変位を使用して、その特定のタイプの粘性媒体のその後の噴射のために使用され得る噴射パラメータのセットを決定することができる。
【0032】
したがって、本発明は、噴射プロセスの事実上連続的またはリアルタイムな監視のためだけでなく、異なるタイプの粘性媒体または吐出装置に合わせて噴射プロセスを較正するためにも使用され得る。噴射のリアルタイム監視は、吐出装置が生産で使用されるとき行うことができるのに対して、較正は、例えば、品質検査のために所定の間隔で、またはオペレータによる始動の際に、各タイプの粘性媒体または吐出装置に対して一度行うことができる。
【0033】
粘性媒体は、噴射プロセスの間にかなり変化するせん断速度を受けることになるので、噴射プロセスの異なる段階の間に異なるレオロジーレジームが適用され得る。1つの見地から、粘性媒体が、例えば100秒-1を下まわるような、比較的低いせん断速度においてせん断減粘性である場合、チャンバに粘性媒体をポンプで汲み出して送り込むことを容易にすることが有利である。別の見地から、粘性媒体が、例えば10,000秒-1を上まわるような、比較的高いせん断速度においてせん断増粘性である場合、明瞭な形状および/または体積の噴射液滴の形成を促進し、ノズル出口を出るときおよび/または基板に対する衝撃の際の変形または飛沫化を防止することが有利である。
【0034】
粘性媒体のせん断増粘性は、したがって、衝撃付与デバイスの移動(ひいては変化するせん断速度)によって決定することができ、または少なくとも影響を与えることができる。粘性媒体のレオロジー挙動は、例えば、衝撃付与デバイスの衝撃の強度、加速度およびストロークの長さに特に依存し得る。移動のこれらのパラメータの1つまたはいくつかを変えることによって、(例えばせん断増粘性などの)レオロジー挙動をそれに応じて変えることができる。移動のスピードおよび/または加速度を上げることは、例えば、はんだペーストの粘度の増加(またはせん断増粘性)をもたらし得るのに対して、スピードおよび/または加速度の低減は、粘度の低減につながり得る。したがって、本発明は、粘性媒体の粘度のより良好な制御を可能にする。ノズルを通して噴射する間の粘性媒体の粘度は、噴射液滴のスピードおよび形状に影響を与え得るので、基板に向かう途中で液滴が例えば飛沫化し、変形し、または広がる傾向を制御することができる。
【0035】
衝撃付与デバイスの変位または加速度は、上限および/または下限に関連してさらに監視することができ、境界を越えた変位は、吐出装置の故障モードを示し得る。比較的大きい変位または加速度は、例えば、チャンバ内の粘性媒体の欠如、または不十分な量を示し得る。これは、例えば、媒体のノズルチャンバへの供給の中断、または不完全な吐出装置によって、粘性媒体内に封入されるエアボイドによって引き起こされる場合がある。他方、比較的小さい変位、または低い加速度は、詰まった、または塞がれたノズルを示し得る。両方の故障モードは、移動特性が所定の範囲外であることによって検出され、基板上での噴射粘性媒体のミスショットおよび/または不十分な量につながる場合がある。従来技術では、不完全な印刷結果(すなわち、欠落した堆積、または誤ったもしくは不適当な体積の堆積)は、粘性媒体の堆積の後、例えば下流の検査ステップで、または製品の最終試験の間に検出することができる。それゆえ、不完全な印刷結果を有するいくつかの基板は、エラーが検出される前に処理され、したがって再加工または廃棄されなければならないというリスクがある。本発明は、したがって、噴射プロセスの中断または妨害が噴射プロセスの間にリアルタイムでまたは少なくとも早く検出され得るように、噴射プロセスまたは噴射プログラムの間に液滴の噴射を監視する可能性を提供するという点で有利である。それによって、基板を処理工程の下流に送る前に印刷結果の潜在的欠陥を検出することができ、それにより、製造歩留りを向上させ、不良率を低減し、基板の再加工を低減することができる。
【0036】
本発明は、例えば、手作業の検査または自動光学検査(AOI:Automatical Optical Inspection)などの追加の下流の検査ステップを省く可能性を提供するという点で同様に有利である。生産ラインのツールの数、および/またはオペレータの数を低減することにより、生産コストを有利に低減することができる。
【0037】
さらに、本発明は、別個の検査を行うことなく、基板上への粘性媒体の液滴の補充噴射によって印刷エラーを修正する可能性を提供する。
本出願の文脈において、用語「粘性媒体」は、例えば、はんだペースト、はんだフラックス、接着剤、導電性接着剤、または部品を基板上に固定するために使用される任意の他の種類の媒体もしくは流体、導電性インク、抵抗ペーストなどを含む媒体と解釈されるべきである。少なくともいくつかのはんだペースト塗布に関して、はんだペーストは、約40体積%~約60体積%のはんだボールを含み得る。残りの体積は、はんだフラックスとすることができる。はんだボールは通常、直径で約20マイクロメートル、または直径で、境界も含めて約10~約30マイクロメートルである。
【0038】
用語「噴射液滴」または「ショット」は、衝撃付与デバイスの衝撃に応答して、噴射ノズルを強制的に通され基板に向かって移動している、粘性媒体の体積と解釈されるべきである。しかしながら、衝撃付与デバイスの単一のストロークに応答して、ノズルから複数の液滴が排出され得る。
【0039】
本明細書に論じるとき、用語「堆積サイズ」は、堆積物が覆うことになる、基板などのワークピース上の面積を意味する。液滴体積の増加は、一般に、堆積サイズと同様、堆積高さの増加をもたらす。
【0040】
「ワークピース」は、ボード(例えば、プリント回路基板(PCB))、フレキシブルPCBまたはプリント配線板(PWB)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)用基板、フレキシブル基板(例えば、紙)、チップ・スケール・パッケージ(CSP)、クワッド・フラット・パッケージ(QFP)、ウェーハ、フリップチップなどとすることができる。
【0041】
本出願の文脈において、用語「噴射」は、「流体湿潤」などの接触分注プロセスと比較して、粘性媒体の液滴を形成して噴射ノズルから基板上に発射するために流体噴射を利用する、非接触堆積プロセスと理解すべきである。接触分注のために、重力および表面に対する付着力と組み合わせた針を使用して粘性媒体を表面に分注する、ディスペンサおよび分注プロセスと対照的に、粘性媒体を噴射または発射するための吐出装置または噴射ヘッドアセンブリは、約1マイクロ秒よりも長いが約50マイクロ秒よりも短い期間にわたる衝撃付与デバイスの急速な移動(例えば、急速な制御された機械的移動)(例えば、プランジャの急速な移動)によって流体チャンバ内の圧力を急速に増大させ、それによって、粘性媒体の液滴を強制的に噴射ノズルに通す、チャンバ内の流体の変形を提供するために、例えば、圧電アクチュエータおよびプランジャを含む衝撃付与デバイスなどの、衝撃付与デバイスを含む装置と理解するべきである。1つの実装で、吐出制御ユニットは、圧電アクチュエータに間欠的に駆動電圧を印加し、それによって、その間欠拡張、および吐出装置または噴射アセンブリヘッドのアセンブリハウジングに対するプランジャの往復移動を引き起こす。
【0042】
粘性媒体の「噴射」は、少なくとも1つの噴射ノズルが粘性媒体を堆積するべきワークピースまたは基板上の各場所に停止せずに動いている間に、表面への粘性媒体の液滴の噴射を行うことができる、粘性媒体の液滴を吐出または発射するためのプロセスを意味し得る。
【0043】
通常、吐出装置はソフトウェア制御される。ソフトウェアは、特定の基板に、または所与の(または代わりに、所望のもしくは所定の)噴射スケジュールもしくは噴射プロセスに従って粘性媒体を塗布する方法のための命令を必要とする。これらの命令は、「噴射プログラム」と呼ばれる。したがって、噴射プログラムは、粘性媒体の液滴を基板上に噴射するプロセスを支持し、そのプロセスは、同様に、「噴射プロセス」または「印刷プロセス」と呼ぶことができる。噴射プログラムは、噴射プロセスに先立って、オフラインで行われる前処理ステップによって生成することができる。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、衝撃付与デバイスの変位を監視するステップは、
- 衝撃付与デバイスのストロークの長さを決定することと、
- 衝撃付与デバイスの加速度を決定することと、
- 衝撃付与デバイスの速度を決定することと、
- 異なる時刻における衝撃付与デバイスの位置を決定することと
のうちの1つまたはいくつかを含む。
【0045】
決定されたパラメータは、例えばルックアップテーブルで提供され得る、所定のまたは記憶された基準値と比較することができる。比較の結果は、衝撃付与デバイスのストロークの長さ、加速度もしくは速度、またはストローク中の異なる時刻における衝撃付与デバイスの位置を調整するように衝撃付与デバイスの動作を決定する少なくとも1つの動作パラメータを調整するために使用することができる。動作パラメータの実施例は、例えば、衝撃付与デバイスに作用する、例えば圧電アクチュエータなどのアクチュエータに印加される電圧、またはチャンバに供給される粘性媒体の供給速度を含む。チャンバ内の圧力が基準値を下回っていることを衝撃付与デバイスの監視される変位が示す場合、アクチュエータによって加えられる力を例えば増加させ、および/またはチャンバに供給される粘性媒体の量を増加させることができ、逆もまた同様である。衝撃付与デバイスの後続動作の調整は、例えば、衝撃付与デバイスの動作パラメータを調整するための補正係数の計算によって実現することができる。
【0046】
一実施形態によれば、センサは、光学センサ、容量センサ、磁気センサ、線形可変差動変圧器(LVDT)センサ、ボイスコイルまたは圧電センサとすることができる。これらのセンサは、非接触センサとも呼ぶことができ、衝撃付与デバイスの移動の変位の直接測定のために構成することができる。光学センサの実施例は、例えば、比較的小さく、正確で、衝撃付与デバイスを動作させることができる例えば100~500Hzの比較的高い周波数で大きいデータ量を捕捉するために比較的高いバンド幅を有する、光ファイバ・フォトニック・センサを含む。さらに、光ファイバセンサは、他のセンサよりも少ないスペースを必要とし得るので、吐出装置に設置することが比較的容易であり得る。
【0047】
一実施形態によれば、センサは、変位の接触測定のために構成することができる。そのようなセンサは、例えば、衝撃付与デバイスまたは衝撃付与デバイスとともに移動する別の構造に取り付けられ得る、歪みセンサとすることができる。
【0048】
衝撃付与デバイスの変位の監視は、衝撃付与デバイスのアクチュエータからの応答を解析することによって、追加の、または代替の実施形態で行うことができる。アクチュエータは、例えば、衝撃付与デバイスの移動および/または衝撃付与デバイスに及ぼされる機械的負荷を示す電気的応答を生成するように適合され得る、圧電アクチュエータとすることができる。したがって、アクチュエータからの電気的応答を監視することによって、例えば、噴射チャンバ内の圧力、およびノズルを通して粘性媒体を排出する衝撃付与デバイスの移動に関して、噴射プロセスを評価することができる。この情報は、それから、何も追加のセンサなしで噴射プロセスを制御、較正または調整するための入力として使用することができる。
【0049】
開示される技術は、そのコンピュータが吐出装置またはシステムに対して上で概説した方法を行わせるように、プログラム可能なコンピュータを制御するためのコンピュータ可読命令として実施することができる。そのような命令は、命令を記憶する不揮発性コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品の形で配布することができる。
【0050】
本発明の第1の態様による方法に関して上述した実施形態における特徴のいずれも、本発明の他の態様による吐出装置およびシステムと組み合わせることができる。
本発明のさらなる目的、特徴および利点は、以下の詳細な開示、図面および添付の特許請求の範囲を検討するとき、明らかになろう。当業者は、以下に説明されるもの以外の作り出された実施形態に本発明の異なる特徴を組み合わせてもよいことを認識するであろう。
【0051】
本発明の上述の目的、特徴および利点、ならびに追加の目的、特徴および利点は、本発明の実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明を通してよりよく理解される。添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】衝撃付与デバイス、ノズルおよびチャンバを備える、本発明の一実施形態による吐出装置の概略断面である。
【
図2】本発明の実施形態による吐出装置の断面である。
【
図3】本発明の実施形態による吐出装置の断面である。
【
図4】本発明の実施形態による吐出装置の断面である。
【
図5】吐出装置および制御ユニットを備える、一実施形態によるシステムの概略を示す図である。
【
図6】一実施形態による、粘性媒体を噴射するための方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
すべての図面は、概略的なものであり、必ずしも原寸に比例しておらず、一般に、本発明を明瞭にするために必要な部分を示すのみであり、他の部分は、省略されるか、または単に示唆される場合がある。
【0054】
図1を参照すると、説明される技術の実装による吐出装置の概略図が示されている。
吐出装置1は、アセンブリハウジング10と、この実装では圧電アクチュエータ7および圧電アクチュエータ7に作動的に接続されるプランジャまたはピストン6を含み得る、衝撃付与デバイスとを備える。プランジャ6は、ブッシング8内の穿孔を通って摺動可能に延在すると同時に軸方向に移動可能とすることができる。カップスプリング9は、プランジャ6をアセンブリハウジング10に対して弾性的に均衡させるために、および圧電アクチュエータ7に対して予圧を提供するために、設けることができる。制御ユニット(図示されない)は、圧電アクチュエータ7に間欠的に駆動電圧を印加することができ、それによって、その間欠拡張を引き起こし、ひいては、はんだパターン印刷データに従った、アセンブリハウジング10に対するプランジャ6の往復移動を引き起こすことができる。
【0055】
さらに、吐出装置1は、噴射ノズル2を備えることができ、噴射ノズル2は、粘性媒体の液滴22が噴射されることになっている基板23に対して作動的に向けることができる。ノズル2は、本実施形態によれば、ノズル空間3およびノズル出口4を備えることができ、ノズル出口4を通して液滴22が基板23に向かって噴射される。ノズル出口4は、ノズル2の、下部などの一端に位置することができる。
【0056】
プランジャ6の端面11とノズル2との間にチャンバ5を画定することができる。ノズル2に向かってのプランジャ6の軸方向の移動は、チャンバ5の容積の急速な減少を引き起こすことができる。プランジャ6によるこのような衝撃は、したがって、急速な加圧およびノズル出口4を通した粘性媒体の噴射を引き起こすことができる。
【0057】
異なるタイプの吐出装置を使用する、開示される技術の他の実装で、ピストンを含むプランジャは、ピストンのように経時的に電圧および電流によって依然として制御される、別のタイプの自由移動衝撃付与デバイスによって置き換えることができ、衝撃付与デバイスは、ピストンの場合と同じように、経時的に変化するその往復移動のための折返し位置を同様に有する。
【0058】
開示される技術の吐出装置は、どんなときでも接続を閉じることになる弁または座部がないという点で、供給装置の流路へのオープン接続、または入口をさらに有さなければならない。流路は、最小の制限であっても常に開いたままであり、噴射原理は、媒体をせん断してこれに衝撃を与え、媒体を前後両方に変位させることに基づいている。容積型の方式で衝撃付与デバイスおよび座部を用いて流路を閉じる、他のいわゆる噴射弁と対照的に、前方流だけがノズルを通して噴射される。
【0059】
すべてのこれらの衝撃付与デバイスは、衝撃付与デバイスの往復移動または振動性の移動によって圧力インパルスを急速に生成することによって、粘性媒体の液滴を形成して噴射ノズルから基板上に発射する非接触噴射プロセスを提供するように構成されるという共通点がある。
【0060】
衝撃付与デバイスは、例えば1~5ナノリットル、5~15ナノリットルまたは10~20ナノリットルなどの、約0.1ナノリットル~30ナノリットルの堆積体積を有する個別の液滴を発射するために、約1~50マイクロ秒の期間に開始位置から端位置に向かって移動することができる。圧力インパルスでノズルに衝撃を与えるための衝撃付与デバイスのスピードは、約5m/s~約50m/sとすることができる。
【0061】
粘性媒体は、供給装置12の供給流路を介して、供給容器(
図1に示されない)からノズル空間3に供給することができる。供給装置12は、流路を介してチャンバ5と連絡する出口ポートまで吐出装置ハウジング10を貫いて延在する管状の穴に部分的に提供されるモータ軸13を有する電動モータ(図示されない)を備え得る。回転可能なモータ軸、または送りねじ13の少なくとも一部は、管状の穴にそれとともに同軸上に配置された、エラストマなどで作られた管14によって囲むことができ、回転可能な送りねじ13のねじ山は、管の最内面と摺接することができる。送りねじ13のねじ山と内面との間に捕捉される粘性媒体は、それから、送りねじ13の回転運動に従ってチャンバ5に強制的に向かわせることができる。
【0062】
図2は、
図1を参照して説明した吐出装置と同様に構成され得る、本発明の一実施形態による吐出装置を例示する。本実施形態で、センサ15は、噴射プロセスの間に衝撃付与デバイスの変位を反映するセンサパラメータを搬送する信号を出力するように配置される。この例示的な実施形態の衝撃付与デバイスは、アクチュエータ部7を形成するために互いに積み重ねられたいくつかの薄い圧電素子を含む圧電アクチュエータを構成する。アクチュエータ部7の上部の1つの端は、アセンブリハウジングに堅く接続されているのに対して、下部は、プランジャ6の上に載っている。
【0063】
プランジャ6の上部、すなわち、アクチュエータ7が作用するプランジャ6の部分は、センサ15によって調査され得る突起部またはフランジを有し得る。センサ15は、例えば、突起部上の反射率測定に基づいてプランジャ6の変位を測定するように構成された非接触光ファイバ変位センサとすることができる。
【0064】
しかしながら、変位の測定および/または吐出装置の他の部分の測定のために他の原理を利用する、他の構成が考えられる。次に、いくつかの実施例について論じる。
図3は、
図1および
図2を参照して説明した吐出装置と同様に構成され得る吐出装置を示す。
図3に示されるように、センサ15は、プランジャ6内の窪みまたはスリットを通して衝撃付与デバイスの変位を測定するように適合され得る。センサは、例えば、通路を通してハウジング10に導入してプランジャ6の外側に到達させ、変位を測定することを可能にするようにプランジャ6の窪みまたはスリットにさらに挿入することができる。測定は、スリット内で、好ましくはプランジャ6の移動の軸と整列した法線を有する表面上で、非接触反射率測定によって行うことができる。
【0065】
図4は、衝撃付与デバイスの変位を決定するために接触センサ15が使用され得る、前に開示された実施形態に類似し得る吐出装置を示す。センサ15は、例えば、ストロークの間にアクチュエータ7の歪みまたは変形を測定するように適合される歪みセンサとすることができる。アクチュエータ7は、例えば、印加電圧に応答して軸方向に膨張し、それによってプランジャ6の変位を引き起こす、圧電アクチュエータとすることができる。アクチュエータ7の膨張(または変形)を測定することによって、プランジャ6の変位を計算することができる。
【0066】
図5は、本発明の一実施形態によるシステムの概略を示す図である。システムは、上述の実施形態のいずれかによる吐出装置1と、制御ユニット32とを含み得る。吐出装置1は、衝撃付与デバイスの直接的または間接的に測定された変位を示すセンサ信号Sを出力するように構成されるセンサ(図示されない)を備える。センサ信号Sは、制御ユニット32に伝送することができ、それを処理して、測定された変位を基準値と比較し、またはチャンバ内の推定圧力に変換することができる。基準値は、例えば、ルックアップテーブルのリストエントリまたはポストの形で提供することができる。測定された変位と基準値との比較に基づいて、吐出装置1を動作させるための動作パラメータの新しいセットを生成するために、補正係数を計算し使用することができる。動作パラメータは、制御信号Oの形で制御ユニット32から出力し、吐出装置1に伝送することができる。したがって、衝撃付与デバイスの監視された移動は、吐出装置の動作を調整するために閉ループ方式で使用することができる。
【0067】
図6は、本発明の一実施形態による、粘性媒体を噴射するための方法を例示するフローチャートである。方法は、前に説明した吐出装置およびシステムのいずれかと同様に構成され得る吐出装置またはシステムで行うことができる。本実施形態によれば、方法は、吐出装置の噴射チャンバに粘性媒体を提供するステップ110を含み得る。これは、例えば、電動モータ、回転可能な送りねじおよび送りねじと摺接するエラストマの管を含む、供給装置を用いて達成することができる。粘性媒体の送り速度は、例えば、ステップモータの動作スピードを変えることによって制御することができる。
【0068】
さらに、方法は、衝撃付与デバイスが噴射チャンバ内の粘性媒体に衝撃を与え、ノズルを通して粘性媒体の少なくとも一部を排出するように、衝撃付与デバイスを動作させるステップ120を含み得る。衝撃付与デバイスは、例えば、制御ユニットから供給されて例えば衝撃の強度およびスピードを制御する動作パラメータのセットに従って動作することができる。
【0069】
方法は、粘性媒体が噴射されるとき衝撃付与デバイスの変位を反映する、センサからの信号またはセンサパラメータを監視するステップ130を同様に含み得る。それから、監視された信号またはセンサパラメータを評価して140、粘性媒体をチャンバに提供するステップ110および/または衝撃付与デバイスを動作させるステップ120にフィードバックされ得る補正係数を生成することができる。これらのフィードバックループは、図に矢印で示されている。感知された変位と基準値との決定された差に基づき得る、補正係数は、例えば、送り速度ならびに後続ステップにおける衝撃付与デバイスの、速度および加速度などの、移動を調整するために使用することができる。したがって、噴射プロセスは、品質および信頼性が向上するように制御され得る。
【0070】
上に概説したように、方法は、そのような命令を記憶するコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品の形で配布され使用されるコンピュータ実行可能命令として実施することができる。例として、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含み得る。当業者には周知であるように、コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報の記憶のための任意の方法または技術で実装される、揮発性および不揮発性、取り外し可能および取り外し不可能な媒体をともに含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイスを含むがこれに限定されない。さらに、通信媒体が、通常、搬送波または他の搬送機構などの変調データ信号でコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータを実施し、任意の情報配信媒体を含むことは、当業者に知られている。