(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】消し具
(51)【国際特許分類】
B43L 19/00 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
B43L19/00 B
(21)【出願番号】P 2019512554
(86)(22)【出願日】2018-04-11
(86)【国際出願番号】 JP2018015252
(87)【国際公開番号】W WO2018190377
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】P 2017079766
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】松島 良介
(72)【発明者】
【氏名】坂西 聡
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-277322(JP,A)
【文献】特開2017-052275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 19/00
B43K 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記描線の色材等を消し具により吸着し、消し具内に拡散、蓄積していく字消しとなる消し具であって、該消し具は、ケイ酸カルシウムを含む花弁状粒子を1次粒子とした粒子径1~100μmの2次凝集体を含むことを特徴とする消し具。
【請求項2】
前記
ケイ酸カルシウムを含む花弁状粒子
が、炭酸カルシウム又はリン酸カルシウム
の花弁状粒子を更に含み、これらの複合体から選ばれる薄片を含むことを特徴とする請求項1に記載の消し具。
【請求項3】
更に基材成分、可塑剤、充填剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の消し具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛筆やシャープペンシル、色鉛筆等の筆記描線の消去性に優れ、消しカスがでない光透過性を有する消し具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉛筆やシャープペンシル等の筆記描線を消去するための消しゴムなどの消し具には、材料面から天然ゴム、合成ゴムなどのゴム系のものと、塩化ビニル等のプラスチック樹脂を主成分とするプラスチック系のものなどが知られ、また、形状面から通常の直方体状、角消しなどに好適な多角形状のものなどが知られ、更に、筆記描線の消去性を向上させるものとして基材中に各種研磨材や無機物などを配合したものが知られている。
【0003】
従来の消し具においては、消しカスが発生するため、消しカスを集めて処分する必要があり、また、集めきれなかった消しカスが床などを汚すといった問題があった。
そこで、本出願人は、筆記描線の消去性に優れ、消しカスが出ない消し具として、配合組成物としての吸液性多孔体である管状の塩基性炭酸マグネシウムなどを含有することを特徴とする消し具を開示している(例えば、特許文献1参照)。
さらには、この管状塩基性炭酸マグネシウムと、アクリル系熱可塑性樹脂粉末などを含有する消し具の組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
この特許文献1に記載の消し具は、筆記描線の消去性に優れ、消しカスが出ない点で今までにないものであり、また、用いる塩基性炭酸マグネシウムは構造が管状であるので消し具自体は不透明となり、黒などの濃い色で筆記した描線は、消し具を見れば、黒鉛等の吸着度合いが目視で見てとれるものである。また、特許文献2に記載の消し具は、アクリル系熱可塑性粉末の働きにより、紙面を汚さず、かつ、消し具表面のバリが殆ど発生しないものである。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の消し具は、混練時に粉砕が顕著となり、混練時の粘度上昇、あるいは、塩基性炭酸マグネシウムの吸液性および消し具の消去性の減退が起こるなどの若干の課題がある。また、近年、消しゴムで消去可能な色鉛筆(芯)が数多く市販されており、消しカスがなく、かつ、不透明な消し具では、消去の度毎に消去した色の吸着が起こり蓄積されていくこととなり、黒などの濃い色であれば吸着度合いで分かるが、薄い色などの場合、吸着が分かりにくいという若干の課題があり、薄い色等の吸着でも分かるような光透過性の高い消し具に対する要求が高まっているのが現状である。さらに、上記特許文献2の消し具も同様に、薄い色等の吸着でも分かるような光透過性の高いものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-111320号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【文献】特開2017-52275号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、消しカスがなく、色鉛筆芯等の薄い色等であっても吸着度合いが一目で分かると共に、確実に消去することができる光透過性の高い消し具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、配合組成物として特定の構造特性を有するものを含有することにより、上記目的の消し具が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明の消し具は、花弁状粒子を1次粒子とした粒子径1~100μmの2次凝集体を含むことを特徴とする。
前記粒子は、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム又はリン酸カルシウム、これらの複合体から選ばれる薄片を含むことが好ましい。
更に基材成分、可塑剤、充填材を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、消しカスがなく、色鉛筆芯等の薄い色等であっても吸着度合いが一目で分かると共に、確実に消去することができる光透過性の高い消し具が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の消し具は、花弁状粒子を1次粒子とした粒子径が1~100μmの2次凝集体を含むことを特徴とするものである。本発明において、花弁状粒子は、薄片状粒子がバラの花びらに似た花弁状構造をしているものである。
【0011】
本発明の消し具では、花弁状粒子を1次粒子とした粒子径が1~100μmの2次凝集体を配合組成物として用いるものである。なお、本発明(後述する実施例等を含む)における粒子径は、レーザー回折・散乱法における測定結果から体積でかさみづけされた平均粒子径をいい、例えば、マイクロトラック(日機装社製、3100II)を用いて乾式測定することができる。
用いる花弁状粒子を1次粒子とし、これらが凝集した粒子径1~100μmの2次凝集体は、通常の多孔性物質とは異なり、極めて大きな細孔半径と細孔容積を備えたものであり、光透過性を有し、また、吸液率が極めて高い吸液性多孔体でもあり、好ましくは吸液率30~500ml/100g、より好ましくは、吸液率300~500ml/100gの粒子からなるものが挙げられる。なお、上記吸液率は粉体100gの山に亜麻仁油を滴下して行って、砂団子状態からトロー(流動状態)となる最低の亜麻仁油量をいう。
上記粒子径が100μm超過となる2次凝集体では、消去時の感触が悪くなるため、本発明の効果を発揮しないものとなる。
【0012】
用いることができる上記粒子径となる花弁状粒子を1次粒子とした2次凝集体としては、前記粒子が、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム又はリン酸カルシウム、これらの複合体から選ばれる薄片を含むものが好ましく、例えば、ケイ酸カルシウム花弁状多孔質構造体、炭酸カルシウム花弁状多孔質構造体、リン酸カルシウム花弁状多孔質構造体、炭酸カルシウムとリン酸カルシウムの花弁状多孔質構造複合体などを挙げることができ、上記粒子径、吸液率の各範囲内を充足し、光透過性を有するものを用いることが望ましい。
【0013】
具体的に用いることができるケイ酸カルシウム花弁状多孔質構造体は、大きな細孔径と細孔容積を有する花弁状結晶構造を持つ所謂ジャイロライト型ケイ酸カルシウムであり、この構造のケイ酸カルシウムは、2CaO・3SiO2・mSiO2・nH2O(但し、m、nは正の数)の結晶構造を有し、かつSiO2/CaOモル比が1.0~4.5であり、光透過性を有し、粒子径が100μm以下のものは含有量が少なくても、本発明の効果をもたらすだけでなく、成形圧力も低圧で成形できるため特に好ましい。市販品では、富田製薬株式会社製の商品名「フローライトR」、「フローライトRT」などを用いることができる。
また、炭酸カルシウムとリン酸カルシウムの花弁状多孔質構造複合体は、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムをリン酸で処理することによりカルシウムとリンの交換を行うと同時に多孔質化したものであり、花弁状結晶構造を持ち、光透過性を有するものである。
これらの中で、本発明の更なる効果の発揮などからケイ酸カルシウム花弁状多孔質構造体の使用が好ましい。
【0014】
これらの花弁状粒子を1次粒子とした粒子径1~100μmの2次凝集体の含有量は、消し具組成物全量に対して、0.7~30質量%(以下、「質量%」を単に「%」という)、好ましくは、6~12.5%含有されていることが望ましい。
この含有量が0.7%未満であると、字消しがやわらかくなりすぎとなり、一方、30%を超えると、消しカスが生じやすくなったり、混錬攪拌時のハンドリングの低下につながり成形しづらくなるため、好ましくない。
【0015】
本発明に用いる上記粒子径が花弁状粒子を1次粒子とした粒子径1~100μmの2次凝集体以外には、基材成分、可塑剤、充填材を含有することが好ましく、更に必要に応じて、消しゴム等に用いられている各種配合剤を所望量配合して成形することにより、鉛筆やシャープペンシル、色鉛筆等の筆記描線の消去時に、紙面を汚すことがなく、確実に消去することができると共に、0.25mm程度の厚みの欠片であれば、光透過性が30~40%と高く、この欠片を通して少々ではあるが向こうを視認することが出来、これを10mm程度の厚みとしても僅かに向こう側を視認することが可能であり、色鉛筆芯等の薄い色等であっても消し具内への吸着度合いが一目で分かると共に、消しカスがでない消し具を作製することができるものとなる。
【0016】
用いることができる基材成分は、特に限定されず、例えば、各種の熱可塑性樹脂、合成ゴム、熱可塑性エラストマーなどの少なくとも1種を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィンなどが挙げられる。合成ゴムとしては、例えば、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどが挙げられる。特に好ましい基材成分としては、塩化ビニル系樹脂が挙げられる。
【0017】
好適に用いられる塩化ビニル系樹脂としては、具体的には、ポリ塩化ビニルとしてカネビニールシリーズ(カネカ社製)、ビニカシリーズ(三菱化成ビニル社製)、リューロンペーストシリーズ(ホモポリマーおよびコポリマー:東ソー社製)等が挙げられ、これらは、単独でも2種以上併用してもよい。
これらの基材成分の含有量は、消し具組成物全量に対して、好ましくは、20~60%含有されていることが望ましい。
【0018】
用いることができる可塑剤としては、含有されている熱可塑性樹脂を可塑化又はゲル化することができる可塑剤であれば、特に限定されず、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP、ジオクチルフタレート)、フタル酸ジブチル(DBP、ジブチルフタレート)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、セバシン酸ブチル(DBS)、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジヘキシルなどが挙げられ、これらは、消し具組成物全量に対して、好ましくは、5~40%含有されていることが望ましい。
【0019】
用いることができる充填材としては、塩化ビニルや可塑剤に溶解したり反応したりする物質でなければ、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、タルク、クレー、珪藻土、石英粉、アルミナ、アルミナシリケート、マイカ、セリサナイト、モンモリロナイトなどが挙げられ、これらは、消し具組成物全量に対して、好ましくは、5~50%含有されていることが望ましい。
特に、これらの充填材は、消去性、強度、潤滑性の点から、粒子径が10~200nmであることが好ましい。
【0020】
本発明の消し具では、光透過性に重きを置かない場合であれば、更なる消去力の向上、消し心地の向上、変形抑制の点から、炭素材料を含有させてもよく、また、消去力、変形抑制の点から、ファイバー粒子を含有せしめてもよい。
この場合、用いることができる炭素材料としては、例えば、上記花弁状粒子に吸着されない程度に大きな粒子径のカーボンブラック、カーボンファイバー、黒鉛、カーボンナノファイバー等の少なくとも1種が挙げられ、これらは、消し具組成物全量に対して、好ましくは、1~20%含有されていることが望ましい。これらの炭素材料の大きさ(粒子径または直径)は、最大(粒子径)で100μm以下となるものを用いることが好ましく、カーボンファイバーについては長さ200μm以下となるものを用いることが好ましい。
また、意匠性を向上させる見地から、上記花弁状粒子に吸着されない程度に大きな粒子径の有彩色の顔料、上記花弁状粒子に吸着されない程度に大きな粒子径かつ上記可塑剤に溶解しない染料を含有させてもよい。この場合、これら色材を混入しない場合の消し具の光透過性が30~40%と比較的高いこと、即ち、白濁して僅かに向こう側が透けて見える程度の状態であることが、彩色の効果を高めてくれるものである。
【0021】
また、用いることができるファイバー粒子としては、例えば、ポリエチレン繊維、セルロース繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維、酸化亜鉛単結晶等のファイバー粒子の少なくとも1種が挙げられ、これらは、消し具組成物全量に対して、好ましくは、1~20%含有されていることが望ましい。これらのファイバー粒子の直径は、最大で20μm以下となるものを用いることが好ましい。
【0022】
また、必要に応じて、各種配合剤、例えば、基材成分(特に塩化ビニル系樹脂)の高温における劣化を防止するために、例えば、ステアリン酸Ca-Zn、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどの熱安定剤を用いることができる。また、粘度調整剤、滑剤、溶剤、着色剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、芳香剤などを適宜量配合することができる。
更に、基材成分としてゴムや、エラストマーを用いた場合には、例えば、テルペン樹脂、鉱物油、無硫黄性サブなどの軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、充填剤、老化防止剤、各種添加剤入りのマイクロカプセルなどを適宜量配合することができる。
【0023】
本発明の消し具は、配合組成物として上記粒子径が花弁状粒子を1次粒子とした粒子径1~100μmの2次凝集体、基材成分、可塑剤、充填材、炭素材料、ファイバー粒子、更に必要に応じて、上記各種配合剤のそれぞれ所定量を常法により混練することにより調製した後、好ましい形状に成形して作製することができる。
消し具の形状としては、例えば、棒状、直方体状、円柱状、角柱状、三角錐状、四角錐状、扇形状などを挙げることができ、更に、ペン型ホルダーで使用したり、テープ形状としたりすることができる。
【0024】
本発明の消し具が、何故、消しカスがでる従来の消しゴムよりも、鉛筆やシャープペンシル等の筆記描線に対して、消去時に、紙面を汚すことがなく、確実に消去することができ、光透過性が高く、色鉛筆芯等の薄い色等であっても吸着度合いが一目で分かると共に、消しカスがでないものとなるかは以下のような作用機構によるものである。
すなわち、本発明の消し具では、配合組成物として花弁状粒子を1次粒子とした粒子径1~100μmの2次凝集体、例えば、ケイ酸カルシウム花弁状多孔質構造体等を含有することにより、筆記描線に擦り付けると消し具内の上記花弁状粒子を1次粒子とした粒子径1~100μmの2次凝集体に色鉛筆芯の色材等を吸着し、紙面から色材等が消去され、吸着された色材等は上記花弁状粒子を1次粒子とした粒子径1~100μmの2次凝集体の吸着能力により拡散で継続され、消しカスを生じることなく、しかも、一旦吸着した色材等を再度紙面に塗布等することがないので紙面を汚すことがなく、確実に消去することができ、また、光透過性を備えるので色鉛筆芯等の薄い色等であっても吸着度合いが一目で分かるものとなる。従来の塩基性炭酸マグネシウムなどの吸液性多孔体を用いた消し具では、管状に凝集した粒子であるので、不透明な消し具となり、消去の度毎に消去した色の吸着が起こり蓄積されていくこととなり、消去性の色鉛筆(芯)などの薄い色などの場合、吸着が分かりにくいという課題があるものであった。
従って、本発明の消し具は、光を透過するので意匠性に優れる消し具の製造が可能となり、色材の含有により、いろいろな色の消し具を作成することができ、また、光を透過し、使用によって減らず、更に減らないので、原形を維持するので最後まで使いやすく、使用することができ、しかも、消しカスを生じることなく、筆記描線の消去性に優れたものとなる。なお、本発明の消し具は、消去の度に吸着した色材等を消し具内に拡散、蓄積していくものであり、例えば、消し具の色を光透過性を有するものとし、色鉛筆芯等の薄い色とした場合には、消去の度ごとに消し具の色は薄い色度が増加していくものとなる。
【実施例】
【0025】
以下に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0026】
〔実施例1~15、比較例1~5〕
(実施例1)
フローライトR(ケイ酸カルシウムの花弁状粒子が球状に凝集した粒子、粒子径30μm、吸液率440ml/100g:富田製薬株式会社製) 10質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 25質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 39質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 25質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した。これを厚さ10mmの金型に流し込み成形し、200kg/cm2で加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具(20×54×10mm、以下同様)を得た。
【0027】
(実施例2)
フローライトRT(ケイ酸カルシウムの花弁状粒子が球状に凝集した粒子、粒子径30μm、吸液率400ml/100g:富田製薬株式会社製) 10質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 25質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 20質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 44質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0028】
(実施例3)
実施例1のフローライトR 10質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 20質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
アクリル系重合体(LP-3202:三菱レイヨン株式会社製) 5質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 39質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 25質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0029】
(実施例4)
実施例1のフローライトR 10質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 20質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
セルロースファイバー(日本製紙株式会社製、φ3nm、長さ100μm) 5質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 39質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 25質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した。これを金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0030】
(実施例5)
実施例1のフローライトR 10質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 25質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 20質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 44質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0031】
(実施例6)
実施例1のフローライトR 10質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 20質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
ガラスファイバー(日本電気硝子株式会社製、長さ150μm) 5質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 20質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 44質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0032】
(実施例7)
実施例1のフローライトR 10質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 20質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
酸化亜鉛単結晶(パナテトラ:パナソニック株式会社) 5質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 20質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 44質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0033】
(実施例8)
実施例1のフローライトR 10質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 20質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
無硫黄性サブ 5質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 20質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 44質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0034】
(実施例9)
実施例1のフローライトR 10質量%
炭酸カルシウム・リン酸カルシウム複合粒子(花弁状粒子が球状に凝集した粒子、粒子径3μm、吸液率150ml/100g:三菱鉛筆株式会社で製造) 5質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 20質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 20質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 44質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0035】
(実施例10)
実施例1のフローライトR 15質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 15質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 30質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 39質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0036】
(実施例11)
実施例1のフローライトR 20質量%
スチレン系エラストマー(アロン化成株式会社製、AR-731N) 65質量%
テルペン樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、YSポリスターPX1250) 10質量%
鉱物油(エクソンモービル有限会社製、スペクトラシン4) 5質量%
上記配合材料をニーダーにより加熱混錬しペーストを調製した。これを厚さ10mmの金型に流し込み成形し冷却させて消し具を得た。
【0037】
(実施例12)
実施例1のフローライトR 20質量%
オレフィン系エラストマー(三菱化学株式会社製、ラバロンTE9500C) 65質量%
鉱物油(エクソンモービル有限会社製、スペクトラシン4) 15質量%
上記配合材料をニーダーにより加熱混練しペーストを調製した。これを厚さ10mmの金型に流し込み成形し冷却させて消し具を得た。
【0038】
(実施例13)
実施例1のフローライトR 20質量%
ポリウレタン系エラストマー(BASFジャパン株式会社社製、エラストラン) 65質量%
鉱物油(エクソンモービル有限会社製、スペクトラシン4) 15質量%
上記配合材料をニーダーにより加熱混練しペーストを調製した。これを厚さ10mmの金型に流し込み成形し冷却させて消し具を得た。
【0039】
(実施例14)
実施例1のフローライトR 25質量%
スチレン系エラストマー(アロン化成株式会社製、AR-731N) 55質量%
鉱物油(エクソンモービル有限会社製、スペクトラシン4) 20質量%
上記配合材料をニーダーにより加熱混練しペーストを調製した。これを厚さ10mmの金型に流し込み成形し冷却させて消し具を得た。
【0040】
(実施例15)
炭酸カルシウム・リン酸カルシウム複合粒子(花弁状粒子が球状に凝集した粒子、粒子径3μm、吸液率150ml/100g 20質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 25質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 30質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 24質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0041】
(比較例1)
酸化マグネシウム(スターマグPSF:神島化学株式会社) 25質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 20質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 30質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 24質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0042】
(比較例2)
炭酸カルシウム(NEOLIGHT SS:竹原化学工業株式会社製) 40質量%
ポリ塩化ビニル(PSM-154:株式会社カネカ製) 40質量%
ステアリン酸Ca-Zn(安定剤) 1質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 19質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0043】
(比較例3)
FRTP用グラスファイバー(カット長3mm) 40質量%
ポリ塩化ビニル(PSM-154:株式会社カネカ製) 40質量%
ステアリン酸Ca-Zn(安定剤) 1質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 19質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した。これを金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0044】
(比較例4)
炭酸カルシウム(NEOLIGHT SS:竹原化学工業株式会社製) 39質量%
スチレン系エラストマー(アロン化成株式会社製、AR-731N) 50質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
鉱物油 10質量%
上記配合材料をニーダーにより加熱混錬しペーストを調製した。これを厚さ10mmの金型に流し込み成形し、冷却させて消し具を得た。
【0045】
(比較例5)
マグチューブ(吸液性多孔体、塩基性炭酸マグネシウムの薄片状微細結晶が管状に凝集した粒子、外径3.5μm、長さ20μm、内径1μm、比表面積150m2/g、吸液率300ml/100g:日鉄鉱業社製) 10質量%
ポリ塩化ビニル(PSH-31:株式会社カネカ製) 25質量%
エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(安定剤) 1質量%
ジオクチルフタレート(可塑剤) 39質量%
ジブチルフタレート(可塑剤) 25質量%
上記配合材料を真空ミキサーにて混合し配合組成物(ペースト)を調製した後、上記実施例1と同様にして、金型に流し込み成形し、加圧しながら130℃で2時間加熱して消し具を得た。
【0046】
上記実施例1~15及び比較例1~5で得られた消し具について、下記評価方法により消字率、重量変化、消しカスの有無、光透過性及び色芯描線の吸着度合いを評価した。これらの結果を下記表1に示す。
【0047】
(消去率の評価方法)
JIS S 6050-2008に開示されているプラスチック字消しの消し能力(消字率)試験に準拠し、E(消字率:=消去率)=(1-M/C)×100〔M:摩消部の濃度、C:着色部の濃度〕により、消去率(4往復)を測定した。消去率の数値が高いほど消去性に優れることを示す。なお、JIS S 6050-2008では、使用鉛筆はJIS S 6006に規定する鉛筆のHBを用いるものであるが、本評価では、ユニ アーテレーズカラーの「レモン イエロー」(三菱鉛筆株式会社製)の色鉛筆を用いた。
【0048】
(重量変化の評価方法、消しカスの有無の評価方法)
上記消字率の測定試験前後の消し具の重量変化量を測定した。重量の変化(mg)の数値がプラス値である場合、吸着量を示すものとなり、重量がマイナス値である場合は、消しかカスの量となる。
また、消しカスの有無の確認は、上記消去率の評価の際に消しカスの有無を目視により確認した。
【0049】
(光透過率の評価方法)
紫外可視赤外分光光度計(株式会社日立製作所製、U-3300)により厚さ0.25mmの消し具片を測定した。光源にはヨウ素タングステンランプ(750nm)を用いた。光透過率(%)が0(ゼロ)の場合は、不透明となり、数値が高いほど透明となるものである。
【0050】
(色芯描線の吸着度合い評価)
上記消去率の評価で用いた消し具を一日置いて観察し「レモン イエロー」の色味が消し具内に広がっているかを下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
A:「レモン イエロー」の色味が消し具内に均一に広がっているのが観察できた。
B:「レモン イエロー」の色味が消し具の消去面から内部へ徐々に広がっているのが観察できた。
C:「レモン イエロー」の色味が消し具表面に付着しているのが観察できたが内部へ拡散している様子は観察できなかった。
D:「レモン イエロー」の色味が消し具表面にも内部にもほとんど観察できなかった。
【0051】
【0052】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1~15の消し具は、本発明の範囲外となる比較例1~5の消し具に較べて、消しカスがなく、色鉛筆芯等の薄い色等であっても吸着度合いが一目で分かると共に、確実に消去することができる光透過性の高い消し具であることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0053】
色鉛筆や鉛筆、シャープペンシル等の筆記描線の消去などに好適に利用することができる。