(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】複数のエアロゾル形成基体および液体移動要素を備えるエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/30 20200101AFI20220506BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20220506BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20220506BHJP
【FI】
A24F40/30
A24F40/42
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2019529237
(86)(22)【出願日】2017-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2017081409
(87)【国際公開番号】W WO2018114312
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-02
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】リーヴェル トニー
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/159013(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/079152(WO,A1)
【文献】特表2013-545473(JP,A)
【文献】国際公開第2015/197627(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
カートリッジハウジング、前記カートリッジハウジングの中に位置付けられた固体エアロゾル形成基体、および前記カートリッジハウジングの中に位置付けられた液体エアロゾル形成基体を備えるカートリッジと、
エアロゾル発生装置であって、
前記カートリッジの少なくとも一部分を受容するためのくぼみであって、前記カートリッジを第一の方向に沿って前記くぼみの中へと挿入するために構成されている、くぼみと、
前記くぼみの端部壁から延びる液体移動要素であって、前記液体移動要素が前記第一の方向と実質的に平行に延びる長軸方向軸を有し、前記カートリッジが前記くぼみの中に受容されている時に前記液体移動要素の一部分が前記液体エアロゾル形成基体と接触するように前記エアロゾル発生システムが構成されている、液体移動要素と、
前記液体移動要素の一部分の周りに巻かれた抵抗加熱コイルを備える電気ヒーターであって、前記抵抗加熱コイルが前記液体移動要素の前記長軸方向軸の周りに巻かれる、電気ヒーターと、
電源と、前記電源から前記電気ヒーターへの電力の供給を制御するためのコントローラーとを備えるエアロゾル発生装置と、を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記カートリッジが多孔性担体材料をさらに備え、前記液体エアロゾル形成基体が前記多孔性担体材料上に提供されている、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記エアロゾル発生システムが、使用時に前記液体移動要素が前記多孔性担体材料に接触するように構成されている、請求項2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記カートリッジが、カートリッジハウジングの第一の端で前記多孔性担体材料の上にある取り外し可能な密封を備える、請求項2または3に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記カートリッジが壊れやすい密封を備え、前記液体移動要素が、前記エアロゾル発生装置が前記カートリッジを受容する時に前記壊れやすい密封を貫通するように構成されている、請求項2または3に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記液体移動要素が、前記くぼみの前記端部壁に接続された第一の端と、前記第一の端と反対側の第二の端とを備え、前記液体移動要素の前記第二の端が、前記エアロゾル発生装置が前記カートリッジを受容する時に前記壊れやすい密封を貫通するように構成された貫通部分を画定する、請求項5に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記貫通部分の直径が、前記長軸方向軸に沿った方向で、かつ前記第二の端に向かって減少する、請求項6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記多孔性担体材料が、前記多孔性担体材料の中に通路を画定する環状の形状を有し、前記エアロゾル発生装置が前記カートリッジを受容する時に前記液体移動要素が前記通路の中に少なくとも部分的に受容されるように前記エアロゾル発生システムが構成されている、請求項2~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記カートリッジが、前記多孔性担体材料と前記カートリッジハウジングとの間に位置付けられた気流チャネルを備え、前記気流チャネルの下流端が前記固体エアロゾル形成基体と流体連通している、請求項2~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記固体エアロゾル形成基体がたばこを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記液体エアロゾル形成基体がニコチンを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記液体エアロゾル形成基体が実質的にニコチンを有しない、請求項1~
10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムに関し、このエアロゾル発生システムは、固体エアロゾル形成基体および液体エアロゾル形成基体の両方を有するカートリッジと、液体移動要素を有するエアロゾル発生装置とを備える。本発明は、電気的に作動する喫煙システムとして特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの一つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。周知の手持ち式の電気的に作動する喫煙システムは典型的に、電池と、制御電子回路と、エアロゾル形成基体を加熱するための電気ヒーターとを備えるエアロゾル発生装置を備える。エアロゾル形成基体はエアロゾル発生装置の一部の中に収容されてもよい。例えば、エアロゾル発生装置は、ニコチン溶液などの液体エアロゾル形成基体が貯蔵される液体貯蔵部分を備えてもよい。しばしば「eシガレット」と呼ばれるこうした装置は典型的に、複数の従来の紙巻たばこを消費するのに相当する吸煙回数を提供するために十分な液体エアロゾル形成基体を含有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の紙巻たばこを消費する体験をより忠実にシミュレートする体験をeシガレットユーザーに提供する試みにおいて、一部の装置はeシガレット構成をたばこ由来の基体と組み合わせて、ユーザーによって吸入されるエアロゾルにたばこの味覚を付与することを試みている。ところが、こうした装置は非実用的に大きく、ユーザーがたばこ構成要素および液体構成要素を異なる時点で変更する必要がある場合がある。
【0004】
周知の装置でのこれらの問題の少なくとも一部を低減または除去するエアロゾル発生システムを提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様によると、カートリッジとエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。カートリッジは、カートリッジハウジング、カートリッジハウジングの中に位置付けられた固体エアロゾル形成基体、およびカートリッジハウジングの中に位置付けられた液体エアロゾル形成基体を備える。エアロゾル発生装置は、カートリッジの少なくとも一部分を受容するためのくぼみを備え、くぼみはカートリッジを第一の方向に沿ってくぼみの中へと挿入するために構成されている。エアロゾル発生装置は、くぼみの端部壁から延びる液体移動要素をさらに備え、液体移動要素は、第一の方向に実質的に平行に延びる長軸方向軸を有し、エアロゾル発生システムは、カートリッジがくぼみの中に受容されている時に液体移動要素の一部分が液体エアロゾル形成基体と接触するように構成されている。エアロゾル発生装置はまた、液体移動要素の一部分の周りに巻かれた抵抗加熱コイルを備える電気ヒーターを備え、抵抗加熱コイルは液体移動要素の長軸方向軸の周りに巻かれている。エアロゾル発生装置は、電源と、電源から電気ヒーターへの電力の供給を制御するためのコントローラーとをさらに備える。
【0006】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を説明するために使用されている。本発明によるエアロゾル発生システムのエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、可視であってもよく、または不可視であってもよく、またベイパー(例えば、室温にて通常、液体または固体である物質の、気体状態の微粒子)、ならびに気体および凝縮されたベイパーの液体の液滴を含んでもよい。
【0007】
本発明によるエアロゾル発生システムは、両方の基体を単一のカートリッジ内に提供することによって、固体エアロゾル形成基体および液体エアロゾル形成基体の同時交換を容易にする。これは有利なことに、たばこ由来の基体およびニコチン溶液を別個に交換または補充しなければならない周知の装置と比較して、ユーザーのためのエアロゾル発生システムの使用を簡略化する場合がある。
【0008】
固体エアロゾル形成基体および液体エアロゾル形成基体を単一のカートリッジ内に提供することは、装置自体の一部を形成する貯蔵部を再充填することがユーザーに求められる場合のある周知の装置と比較して、液体エアロゾル形成基体の補充を簡略化する場合がある。液体エアロゾル形成基体の補充を簡略化することは有利なことに、周知の装置に提供される液体エアロゾル形成基体の量と比較して、カートリッジ内に提供される液体エアロゾル形成基体の量の低減を促進する場合がある。これは有利なことに、本発明によるエアロゾル発生システムを周知の装置より小さくすることを可能にしうる。
【0009】
本発明によるエアロゾル発生システムは、カートリッジから分離されているヒーターセクションを提供する。これは有利なことに、ヒーターおよび液体エアロゾル形成基体がエアロゾル発生装置の単一の部品へと組み合わせられる周知の装置と比較して、コストを低減し、カートリッジの製造を簡略化する場合がある。有利なことに、カートリッジから分離されているヒーターセクションを提供することは、電気ヒーターのクリーニングを容易にする場合があり、これはヒーターセクションを複数のカートリッジとともに使用することを容易にする場合がある。
【0010】
有利なことに、液体移動要素は、エアロゾル発生システムの使用中に液体エアロゾル形成基体と電気ヒーターとの間の接触を容易にする場合がある。すなわち、液体移動要素は、例えば毛細管作用によって、カートリッジから電気ヒーターへの液体エアロゾル形成基体の移動を容易にする。
【0011】
液体移動要素は、液体エアロゾル形成基体をその長さに沿って搬送することができる任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。液体移動要素は多孔性材料から形成されてもよいが、そうである必要はない。液体移動要素は繊維状または海綿体状の構造を有する材料から形成されてもよい。液体移動要素は毛細管の束を含むことが好ましい。例えば、液体移動要素は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。液体移動要素は、海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。液体移動要素の構造は複数の小さい穴または管を形成することが好ましく、これを通して液体エアロゾル形成基体を毛細管作用によって移動することができる。特定の好ましい材料(複数可)は、液体エアロゾル形成基体の物理的特性に依存することになる。適切な毛細管材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、繊維質材料(例えば、紡糸または押出成形で作製された繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、セラミック、ガラス繊維、シリカガラス繊維、炭素繊維、オーステナイト系316ステンレス鋼ならびにマルテンサイト系440および420ステンレス鋼などの医療グレードのステンレス鋼合金の金属繊維など))が挙げられる。液体移動要素は異なる液体物理特性で使用されるように、任意の適切な毛細管を有してもよい。液体エアロゾル形成基体は、粘度、表面張力、密度、熱伝導率、沸点、および蒸気圧が挙げられるが、これらに限定されない物理特性を有し、これらは液体エアロゾル形成基体が液体移動要素を通して移動されるのを可能にする。液体移動要素は、耐熱性材料から形成されてもよい。液体移動要素は、複数の繊維撚糸を含んでもよい。複数の繊維撚糸は概して、液体移動要素の長さに沿って整列されてもよい。
【0012】
エアロゾル発生システムは、少なくとも一つの気流入口および少なくとも一つの気流出口を備えることが好ましい。使用中、空気は、気流入口から気流出口への流路に沿ってエアロゾル発生システムを通して流れる。空気は、気流入口にある流路の上流端から気流出口にある流路の下流端への流路に沿って流れる。エアロゾル発生システムは、使用時に固体エアロゾル発生基体が液体エアロゾル発生基体の下流に位置付けられるように構成されていることが好ましい。
【0013】
カートリッジは多孔性担体材料を備えてもよく、液体エアロゾル形成基体は多孔性担体材料上に提供されている。有利なことに、多孔性担体材料上に液体エアロゾル形成基体を提供することは、液体エアロゾル形成基体がカートリッジから漏れるリスクを低減しうる。
【0014】
多孔性担体材料および液体移動要素は、同一の材料を含んでもよい。多孔性担体材料および液体移動要素は、異なる材料を含むことが好ましい。
【0015】
多孔性担体材料は、液体エアロゾル形成基体に対して透過性であり、かつ液体エアロゾル形成基体が多孔性担体材料を通って移動することを可能にする任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。材料または材料の組み合わせは、液体エアロゾル形成基体に対して不活性であることが好ましい。多孔性担体材料は毛細管材料であってもよく、または毛細管材料でなくてもよい。多孔性担体材料は、液体エアロゾル形成基体の分散および拡散を改善する親水性の材料を含んでもよい。これは、一貫したエアロゾル形成を支援する場合がある。特定の好ましい材料(複数可)は、液体エアロゾル形成基体の物理的特性に依存することになる。適切な材料の例は毛細管材料であり、例えば海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡糸または押出成形された繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンもしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)で作製された繊維性材料である。多孔性担体材料は、異なる液体物理的特性を有して使用されるように、任意の適切な空隙率を有してもよい。
【0016】
エアロゾル発生システムは、使用時に液体移動要素が多孔性担体材料と接触するように構成されていることが好ましい。
【0017】
カートリッジは、カートリッジハウジングの第一の端で多孔性担体材料の上にある取り外し可能な密封を備えてもよい。第一の端はカートリッジハウジングの上流端であることが好ましい。取り外し可能な密封は、取り外し可能な密封の周辺部の周りでカートリッジハウジングに固定されてもよい。取り外し可能な密封は、接着剤および超音波溶接などの溶接のうちの少なくとも一つによってカートリッジハウジングに固定されてもよい。取り外し可能な密封は、シート材料から形成されることが好ましい。シート材料は、高分子フィルムおよび金属箔のうちの少なくとも一つを含んでもよい。取り外し可能な密封は、カートリッジをエアロゾル発生装置と組み合わせる前に、ユーザーによってカートリッジから取り外すために構成されてもよい。取り外し可能な密封は、密封の取り外しを容易にするためのプルタブを備えてもよい。
【0018】
カートリッジは壊れやすい密封を備えてもよい。有利なことに、壊れやすい密封は、固体エアロゾル形成基体および液体エアロゾル形成基体のうちの一方または両方からの揮発性化合物の損失を防止する場合がある。壊れやすい密封は、カートリッジハウジングによって画定された開口部を横切って延びてもよい。壊れやすい密封は、カートリッジハウジングの端を横切って延びてもよい。壊れやすい密封は、カートリッジハウジングの上流端を横切って延びることが好ましい。壊れやすい密封は、壊れやすい密封の周辺部の周りでカートリッジハウジングに固定されてもよい。壊れやすい密封は、接着剤および超音波溶接などの溶接のうちの少なくとも一つによってカートリッジハウジングに固定されてもよい。壊れやすい密封は、シート材料から形成されることが好ましい。シート材料は、高分子フィルムおよび金属箔のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0019】
液体移動要素は、エアロゾル発生装置がカートリッジを受容する時に、壊れやすい密封を貫通するように構成されていることが好ましい。有利なことに、液体移動要素は、エアロゾル発生装置およびヒーターセクションがカートリッジと組み合わせられた時に、壊れやすい密封を自動的に貫通してもよい。
【0020】
液体移動要素は、くぼみの端部壁に接続された第一の端と、第一の端の反対側の第二の端とを備えてもよい。液体移動要素の第二の端は、エアロゾル発生装置がカートリッジを受容する時に壊れやすい密封を貫通するように構成された貫通部分を画定することが好ましい。貫通部分の直径は、長軸方向軸に沿った方向で、かつ第二の端に向かって減少することが好ましい。すなわち、液体移動要素の第二の端は、テーパー付部分を備えてもよい。これは有利なことに、液体移動要素が壊れやすい密封を貫通するために必要な力を低減する場合がある。液体移動要素の第二の端は点へとテーパー付きであることが好ましい。
【0021】
多孔性担体材料は、多孔性担体材料を通る通路を画定する環状の形状を有してもよい。通路は、多孔性担体材料を完全に通して延びる通り抜け通路であってもよい。通路は、開放端および閉鎖端を有する閉止通路であってもよい。開放端は、多孔性担体材料の上流端に位置付けられていることが好ましい。
【0022】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置がカートリッジを受容する時に液体移動要素が通路の中に少なくとも部分的に受容されるように構成されていることが好ましい。これは有利なことに、液体移動要素と多孔性担体材料との間の接触面積を最大化する場合がある。
【0023】
カートリッジは、多孔性担体材料とカートリッジハウジングとの間に位置付けられた気流チャネルを備えることが好ましい。エアロゾル発生システムの気流入口は、気流チャネルの上流端と流体連通していることが好ましい。電気ヒーターは、気流入口および気流チャネルの上流端の両方と流体連通していることが好ましい。気流チャネルの下流端は、固体エアロゾル形成基体と流体連通していることが好ましい。気流チャネルの下流端は、固体エアロゾル形成基体の上流端と流体連通していることが好ましい。固体エアロゾル形成基体の下流端は、エアロゾル発生システムの気流出口と流体連通していることが好ましい。
【0024】
抵抗加熱コイルは、液体移動要素の第一の端の周りに巻かれていることが好ましい。カートリッジが多孔性担体材料を備える実施形態において、カートリッジがくぼみの中に受容されている時に、抵抗加熱コイルが多孔性担体材料と接触しないようにエアロゾル発生システムが構成されていることが好ましい。多孔性担体材料が環状の形状を有し、かつ多孔性担体材料を通って延びる通路を備える実施形態において、抵抗加熱コイルは液体移動要素の第一の端の周りに巻かれていることが好ましく、カートリッジがくぼみの中に受容されている時に液体移動要素の第二の端のみが通路の中に受容されていることが好ましい。
【0025】
抵抗加熱コイルのピッチは、約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルであることが好ましく、約1.5ミリメートルであることが最も好ましい。抵抗加熱コイルのピッチは、コイルの隣接する巻きの間の間隔を意味する。コイルは6回未満の巻き数を備えてもよく、5回未満の巻き数を有することが好ましい。コイルは、約0.10ミリメートル~約0.15ミリメートル、好ましくは約0.125ミリメートルの直径を有する電気抵抗性のあるワイヤーで形成されてもよい。電気抵抗性のあるワイヤーは、904または301ステンレス鋼で形成されることが好ましい。他の適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。他の適切な合金の例には、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。抵抗加熱コイルはまた、リボンの形態で提供される金属箔(アルミ箔など)を含んでもよい。
【0026】
カートリッジハウジングは管状であり、かつ第一の上流端および第二の下流端を備えることが好ましい。固体エアロゾル形成基体は、下流端の中に位置付けられていることが好ましい。多孔性担体材料は、上流端の中に位置付けられていることが好ましい。
【0027】
多孔性担体材料は、カートリッジハウジングの中に直接位置付けられてもよい。多孔性担体材料は、締まり嵌めによってカートリッジハウジングの中に保持されることが好ましい。
【0028】
多孔性担体材料は、液体貯蔵ハウジングの中に位置付けられてもよく、液体貯蔵ハウジングはカートリッジハウジングの中に位置付けられている。液体貯蔵ハウジングは、締まり嵌めによってカートリッジハウジングの中に保持されることが好ましい。
【0029】
カートリッジが多孔性担体材料とカートリッジハウジングとの間に位置付けられた気流チャネルを備える実施形態において、液体貯蔵ハウジングの外表面は、液体貯蔵ハウジングがカートリッジハウジングの中に受容されている時に、カートリッジハウジングと液体貯蔵ハウジングとの間に気流チャネルを画定するように形作られてもよい。液体貯蔵ハウジングの外表面は、液体貯蔵ハウジングがカートリッジハウジングの中に受容されている時に、気流チャネルを画定する溝を備えてもよい。
【0030】
液体貯蔵ハウジングは管状であってもよい。カートリッジが取り外し可能な密封または壊れやすい密封を含む実施形態において、密封は液体貯蔵ハウジングの上流端を横切って延びてもよい。密封は、カートリッジハウジングの代わりに液体貯蔵ハウジングに固定されていることが好ましい。
【0031】
管状の液体貯蔵ハウジングは、開いた上流端および閉じた下流端を有してもよい。カートリッジが取り外し可能な密封または壊れやすい密封を備える実施形態において、多孔性担体材料が密封と閉鎖端との間に位置付けられるように、密封は液体貯蔵ハウジングの上流端を横切って延びてもよい。
【0032】
固体エアロゾル形成基体は、締まり嵌めによってカートリッジハウジング内に保持されてもよい。
【0033】
カートリッジは、固体エアロゾル形成基体の下流に位置付けられたフィルターを備えてもよい。フィルターは、カートリッジハウジングの下流端の中に位置付けられたフィルター材料のプラグを備えてもよい。フィルター材料のプラグは、締まり嵌めによってカートリッジハウジングの中に保持されてもよい。フィルターは、カートリッジハウジングの下流開口部を横切って延びるシート材料を備えてもよい。シート材料はメッシュを備えてもよい。シート材料は、接着剤および超音波溶接などの溶接のうちの少なくとも一つによってカートリッジハウジングに固定されてもよい。フィルターは、固体エアロゾル形成基体をカートリッジハウジング内に保持してもよい。
【0034】
エアロゾル発生システムはマウスピースを備えてもよい。エアロゾル発生システムが少なくとも一つの気流出口を備える実施形態において、マウスピースは少なくとも一つの気流出口を備えることが好ましい。マウスピースは、カートリッジの一部を形成してもよい。マウスピースは、エアロゾル発生装置の一部を形成してもよい。マウスピースは、カートリッジおよびエアロゾル発生装置とは別個に形成されてもよく、カートリッジおよびエアロゾル発生装置のうちの少なくとも一つは、マウスピースを受容するように構成されている。
【0035】
固体エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。
【0036】
固体エアロゾル形成基体は、脱プロトン化ニコチンを含有するたばこを含んでもよい。たばこの中のニコチンを脱プロトン化することは有利なことに、ニコチンの揮発性を増加させる場合がある。ニコチンは、たばこをアルカリ化処理に供することによって脱プロトン化されてもよい。
【0037】
固体エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料および非たばこ含有材料を含んでもよい。
【0038】
固体エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にする任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を説明するために使用されている。適切なエアロゾル形成体としては、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、もしくはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、および最も好ましくはグリセリン)またはその混合物である。
【0040】
固体エアロゾル形成基体は単一のエアロゾル形成体を含んでもよい。別の方法として、固体エアロゾル形成基体は、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。
【0041】
固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準で5パーセントを超えてもよい。
【0042】
固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準でおよそ5パーセント~およそ30パーセントであってもよい。
【0043】
固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準でおよそ20パーセントであってもよい。
【0044】
液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物エキス、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体としては、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなどの多価アルコールまたはその混合物が挙げられる。
【0045】
液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。
【0046】
液体エアロゾル形成基体はニコチンを含まなくてもよい。こうした実施形態において、気化された液体エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体から一つ以上の揮発性化合物を揮散するために、使用中に固体エアロゾル形成基体を通して引き出されてもよい。気化された液体エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体からニコチンを揮散してもよい。脱プロトン化ニコチンを含有するたばこを含む固体エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体がニコチンを含まない実施形態に特に適している場合がある。
【0047】
電源は電池を備えてもよい。例えば、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、またエアロゾル発生装置を二つ以上のカートリッジとともに使用するのに十分なエネルギーを蓄積できる容量を有してもよい。
【0048】
添付図面を参照しながら、例証としてのみ、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、カートリッジがエアロゾル発生装置から分離されている、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムの斜視図を示す。
【
図2】
図2は、カートリッジがエアロゾル発生装置の中に挿入されている、
図1のエアロゾル発生システムの斜視図を示す。
【
図3】
図3は、カートリッジがエアロゾル発生装置から分離されている、
図1のエアロゾル発生システムの断面図を示す。
【
図4】
図4は、カートリッジがエアロゾル発生装置の中へと挿入されている、
図1のエアロゾル発生システムの断面図を示す。
【
図5】
図5は、
図1のエアロゾル発生システムのカートリッジの分解組立図を示す。
【
図6】
図6は、多孔性担体材料および液体エアロゾル形成基体を示すための、
図5のカートリッジの一部分の分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1および
図2は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システム10を示す。エアロゾル発生システム10は、エアロゾル発生装置12とカートリッジ14とを備える。エアロゾル発生装置10は、カートリッジ14の上流端を受容するためのくぼみ18を画定する装置ハウジング16を備える。
図1は、エアロゾル発生装置12から分離されたカートリッジ14を示し、
図2はエアロゾル発生装置12のくぼみ18の中に受容されたカートリッジ14を示す。くぼみ18は、第一の方向19に沿ったくぼみ18の中へのカートリッジ14の挿入のために構成されている。
【0051】
図3は、エアロゾル発生システム10の断面図を示す。エアロゾル発生装置12は、装置ハウジング16の上流端に位置付けられた気流入口20を備える。電源22およびコントローラー24は、装置ハウジング16の上流端の中に位置付けられている。
【0052】
エアロゾル発生システム10は、抵抗加熱コイルを備える電気ヒーター28と、くぼみ18の端部壁31から延びる液体移動要素30とをさらに備える。抵抗加熱コイルは、液体移動要素30の第一の上流端の周りに巻かれている。液体移動要素30は、第一の方向19と実質的に平行に延びる長軸方向軸33を有し、抵抗加熱コイルは長軸方向軸33の周りに巻かれている。使用中、コントローラー24は電源22から電気ヒーター28への電力の供給を制御する。
【0053】
カートリッジ14はカートリッジハウジング36を備え、固体エアロゾル形成基体38および液体エアロゾル形成基体40の両方がカートリッジハウジング36の中に位置付けられている。
図5は、カートリッジ14の分解組立図を示す。
【0054】
固体エアロゾル形成基体38は、カートリッジハウジング36の下流端の中に位置付けられたたばこプラグを備える。メッシュフィルター42は、たばこプラグをカートリッジハウジング36の中に保持するためにカートリッジハウジング36の下流端に取り付けられている。
【0055】
液体エアロゾル形成基体40は、カートリッジハウジング36の上流端の中に位置付けられた液体貯蔵組立品44の中に収容されている。液体貯蔵組立品44は、
図6のさらなる分解組立図でより詳細に示されている。
【0056】
液体貯蔵組立品44は、締まり嵌めによってカートリッジハウジング36の上流端の中に保持されている管状の液体貯蔵ハウジング46を備える。壊れやすい密封48は、管状の液体貯蔵ハウジング46の上流端を横切って延び、かつこれに固定されている。管状の液体貯蔵ハウジング46は閉じた下流端50を有し、また多孔性担体材料52は、管状の液体貯蔵ハウジング46の中で、壊れやすい密封48と管状の液体貯蔵ハウジング46の閉じた下流端50との間に位置付けられている。液体エアロゾル形成基体40は、多孔性担体材料52の中へと収着されている。多孔性担体材料52は環状の形状を有し、かつ多孔性担体材料52を通る通路54を画定し、通路54は壊れやすい密封48と管状の液体貯蔵ハウジング46の閉じた下流端50との間に延びる。液体貯蔵組立品44がカートリッジハウジング36の中に受容されている時、管状のカートリッジハウジング46の平面状の側壁51は、カートリッジハウジング36から間隙を介していて、液体貯蔵組立品44とカートリッジハウジング36との間の気流通路45を作り出す。
【0057】
カートリッジハウジング36の下流端は、マウスピース56を形成し、マウスピース56はエアロゾル発生システム10の気流出口58を画定する。
【0058】
図4は、カートリッジ14がエアロゾル発生装置12のくぼみ18の中へと挿入された後のエアロゾル発生システム10の断面図を示す。カートリッジ14がくぼみ18の中へと挿入される時、液体移動要素の第二の下流端は液体貯蔵組立品44の壊れやすい密封48を貫通する。液体エアロゾル形成基体40は、液体移動要素30に沿って電気ヒーター28へと吸い出され、ここでユーザーによる吸入のために気化される。ユーザーがマウスピース56で吸引する時、空気が気流入口20を通してエアロゾル発生システム10の中へと引き出され、エアロゾル発生装置12を通り、電気ヒーター28を横切り、ここで液体エアロゾル形成基体のベイパーが気流中に同伴され、気流通路45を通り、固体エアロゾル形成基体38を通って、ここでさらなる揮発性化合物が気流に同伴され、気流出口58を通って出る。