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特許7066711マトリックスコンバータ制御方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】マトリックスコンバータ制御方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/297 20060101AFI20220506BHJP
   H02M 5/293 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H02M5/297
H02M5/293
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019530169
(86)(22)【出願日】2017-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 IB2017056588
(87)【国際公開番号】W WO2018104808
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】1620647.6
(32)【優先日】2016-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】505194077
【氏名又は名称】アイティーティー マニュファクチャーリング エンタープライジズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ビジャヤゴパル、マンジュシャ
(72)【発明者】
【氏名】シルバジメネズ、セザール・アルマンド
(72)【発明者】
【氏名】エンプリンガム、リー
(72)【発明者】
【氏名】デリッロ、リリアナ・ビットリア
【審査官】土井 悠生
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-186924(JP,A)
【文献】特開2015-126632(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0201056(US,A1)
【文献】M. Rivera, L. Tarisciotti, P. Wheeler, and P. Zanchetta,"Predictive control of an indirect matrix converter operating at fixed switching frequency and without weighting factors",IEEE 24th International Symposium on Industrial Electeonics,2015年,p.1027-1033
【文献】Eunsil Lee, Kyo-Beum Lee, Jae-Sik Lim, Youngil Lee, and Joong-Ho Song,"Predictive current control for a sparse matrix converter",IEEE 7th Power Electronics and Motion Control Conference (IPEMC),2012年,p.36-40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 5/00-5/48
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチング状態で動作可能である多相出力マトリックスコンバータの制御ストラテジーを生成する方法であって、
前記マトリックスコンバータの所望の多相出力電流の数学的変換結果を表すターゲット出力変換結果を得ることと、
前記マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態を識別することと、
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態について予測出力電流の数学的変換結果を表す予測出力変換結果を得ることと、
前記複数のスイッチング状態から少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を使用してマッピングされるとき、前記ターゲット出力変換結果の位置が前記少なくとも三つのスイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果の位置によって画定される領域によって含まれ、前記少なくとも三つのスイッチング状態を前記識別することが、
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果と前記ターゲット出力変換結果との間の予測誤差を表す予測出力変換結果誤差を得ることと、
少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を用いてマッピングされるとき、原点の位置は、前記少なくとも三つのスイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果誤差の位置によって画定される領域によって含まれるように、識別することと、
を含むように、識別することと、
前記少なくとも三つのスイッチング状態に基づいて、前記マトリックスコンバータの制御ストラテジーを生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、予測出力変換結果を前記得ることが、
各スイッチング状態について、前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルまたは数学モデルおよび前記マトリックスコンバータの負荷から予測出力変換結果を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、予測出力変換結果を前記得ることは、
前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルまたは数学モデルおよび前記マトリックスコンバータの負荷を使用して、前記識別された複数のスイッチング状態の各スイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの出力電流を予測することと、
数学的変換を各スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力電流に実行し、それによって前記識別された複数のスイッチング状態における各スイッチング状態について予測出力変換結果を得ることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のスイッチング状態を前記識別することが、
前記マトリックスコンバータの所望の入力電流の数学的変換結果を表すターゲット入力変換結果を得ることと、
前記マトリックスコンバータの可能性のある各スイッチング状態について、前記可能性のあるスイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの電流入力の数学的変換結果を表す入力変換結果を得ることと、
デカルト座標系を使用してマッピングされるとき、前記ターゲット入力変換結果の位置に近接する複数の入力変換結果を識別することと、
前記識別された複数の入力変換結果に関連づけられる前記複数のスイッチング状態を識別することと、を含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記複数のスイッチング状態を前記識別することが、
前記マトリックスコンバータの可能性のある各スイッチング状態について、前記可能性のあるスイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの電圧出力の数学的変換結果を表す第二の出力変換結果を得ることと、
前記第二の出力変換結果の大きさに基づいて、前記少なくとも三つのスイッチング状態を識別することと、を含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第二の出力変換結果の大きさに基づいて、前記複数のスイッチング状態を前記識別することが、最大の大きさの前記第二の出力変換結果に関連づけられる前記複数のスイッチング状態を識別することを含む、請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも三つのスイッチング状態を前記識別することが
一のスイッチング状態に従って動作する前記マトリックスコンバータのすべての出力端子間の電圧差が実質的にゼロである前記第一のスイッチング状態を識別することと
二のスイッチング状態に従って動作する前記マトリックスコンバータの少なくとも二つの出力端子間の電圧差がゼロではない前記第二のスイッチング状態を識別することと
三のスイッチング状態に従って動作する前記マトリックスコンバータの少なくとも二つの出力端子間の電圧差がゼロではない前記第三のスイッチング状態を識別することと、を含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記制御ストラテジーを生成することが、
前記ターゲット出力変換結果に基づいて、前記少なくとも三つのスイッチング状態の負荷サイクルを計算することと、
前記計算された負荷サイクルに基づいて、前記マトリックスコンバータのための前記制御ストラテジーを生成することと、を含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記数学的変換は、前記ターゲット出力変換結果が前記マトリックスコンバータの所望の多相出力電流のアルファ-ベータ変換結果を表し、各予測出力変換結果が、それぞれのスイッチング状態に対する予測出力電流のアルファ-ベータ変換結果を表わすように、アルファ-ベータ変換である、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
処理配列上で実行されるとき、請求項1~のいずれかに記載の方法を実施するように適合される、コンピュータプログラム。
【請求項11】
複数のスイッチング状態で動作可能であって、各スイッチング状態が、それぞれのスイッチング状態に関連づけられる多相出力マトリックスコンバータの制御ストラテジーゼネレータであって、
前記マトリックスコンバータの所望の多相出力電流の数学的変換結果を表すターゲット出力変換結果を得、
前記マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態を識別し、
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態について予測出力電流の数学的変換結果を表す予測出力変換結果を得て、
前記複数のスイッチング状態から少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を使用してマッピングされるとき、前記ターゲット出力変換結果の位置が前記少なくとも三つのスイッチング状態と関連づけられる前記予測出力変換結果の位置によって定義される領域によって含まれ、プロセッサが、
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果と前記ターゲット出力変換結果との間の予測誤差を表す予測出力変換結果誤差を得ることと、
少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を用いてマッピングされるとき、原点の位置は、前記少なくとも三つのスイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果誤差の位置によって画定される領域によって含まれるように、識別することと、
を行うことによって前記少なくとも三つのスイッチング状態を前記識別するように適合されるように、識別し、
前記少なくとも三つのスイッチング状態に基づいて、前記マトリックスコンバータの制御ストラテジーを生成するように適合される前記プロセッサを含む、制御ストラテジーゼネレータ。
【請求項12】
前記プロセッサが、各スイッチング状態について、前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルまたは数学モデルおよび前記マトリックスコンバータの負荷から予測出力変換結果を得るように適合される、請求項11に記載の制御ストラテジーゼネレータ。
【請求項13】
前記プロセッサが、
前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルまたは数学モデルおよび前記マトリックスコンバータの負荷を使用して、前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの出力電流を予測し、
数学的変換を各スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力電流に実行し、それによって前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について予測出力変換結果を得るよう適合される、請求項11または12に記載の制御ストラテジーゼネレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックスコンバータの分野に関連し、より具体的には、マトリックスコンバータの制御方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
マトリックスコンバータは、一般に、スイッチのアレイを使用して、第一のAC信号(任意の数のフェーズの)を、任意の大きさおよび周波数を有する第二のAC信号(任意の数のフェーズの)に変換する単一のステージAC-ACコンバータである。マトリックスコンバータの一つの利点は、大きなエネルギー貯蔵要素を必要としないことである。
【0003】
一般的なマトリックスコンバータは、スイッチのアレイにそれぞれのスイッチを必要とし、両方向に電圧および電流を遮断できる双方向スイッチである。2ダイオードの2トランジスタ双方向スイッチは、マトリックスコンバータ内での電流の方向を独立して制御する公知の方法である。
【0004】
マトリックスコンバータについて公知の一つの変調技術は、空間ベクトル変調(SVM)を使用して、第一のAC信号の変調を実施する。いくつかのSVM技術は、3-0、2-0および1-0手法など、当業者に公知である。
【0005】
マトリックスコンバータおよびSVM技術の一例は、EP1311057A1を参照して理解され得る。
【発明の概要】
【0006】
本発明は請求項によって定義される。
【0007】
一実施形態によれば、複数のスイッチング状態で動作可能である多相出力マトリックスコンバータの制御ストラテジーを生成する方法であって、前記マトリックスコンバータの所望の多相出力電流の数学的変換結果を表すターゲット出力変換結果を得ることと、前記マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態を識別することと、前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態について予測出力電流の数学的変換結果を表す予測出力変換結果を得ることと、前記複数のスイッチング状態から少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を使用してマッピングされるとき、前記ターゲット出力変換結果の位置が前記少なくとも三つのスイッチング状態と関連づけられる前記予測出力変換結果の位置によって画定される領域によって含まれるように、識別することと、前記少なくとも三つのスイッチング状態に基づいて、前記マトリックスコンバータの制御ストラテジーを生成することとを含む、方法が提供される。
【0008】
それによって、マトリックスコンバータの予測出力電流に基づいて、マトリックスコンバータの制御ストラテジーを生成する方法が提供される。マトリックスコンバータの可能性のあるスイッチング状態はそれぞれのスイッチング状態と関連づけられ、各スイッチング状態はそれぞれの予測される多相出力電流と関連づけられ得る。望ましい多相出力電流およびこれらの予測出力電流の両方の数学的変換(例えば、アルファ-ベータ変換)を使用して、予測出力電流を識別し、それによってスイッチング状態を制御ストラテジーで使用する。
【0009】
特に、スイッチング状態の少なくとも三つが識別され、三つのスイッチング状態の数学的変換が所望の出力電流の数学的変換を含む領域を定義する。
【0010】
したがって、一実施形態による方法は、少なくとも各スイッチング状態に関連する予測出力電流の数学的変換、およびマトリックスコンバータの所望の出力電流の数学的変換に基づいて、どのスイッチング状態を制御ストラテジーにおいて使用すべきかを選択する。
【0011】
実施形態は、高度な忠実度および信頼性を持つマトリックスコンバータの出力電流に対する制御の向上を可能にする。制御ストラテジーで使用されるスイッチング状態を決定するための予測出力電流の使用により、制御ストラテジーの迅速かつ正確な決定が維持されるようになる。
【0012】
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、予測出力変換結果を得ることは、各スイッチング状態について、前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルまたは数学モデルおよび前記マトリックスコンバータの負荷から予測出力変換結果を得ることを含んでもよい。
【0013】
したがって、実施形態は、一つまたは複数のスイッチング状態に関連づけられる予測出力電流を、マトリックスコンバータ(および関連する負荷)のシミュレーションモデルまたは数学モデルから、調べるかまたはその他の方法で決定することを含むことができる。実施形態では、シミュレーションモデルまたは数学モデルは、様々な異なる可能性のある負荷および/または入力電流に対する各スイッチング状態に対する、予測出力電流を含む表またはデータセット(より好ましくは、予測出力電流の数学的変換)であり得る。回路シミュレーションソフトウェアパッケージなど、その他のシミュレーションモデルまたは数学モデルが当業者にとって明らかであろう。
【0014】
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、予測出力変換結果を得ることは、前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルまたは数学モデルおよび前記マトリックスコンバータの負荷を使用して、前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの出力電流を予測することと、数学的変換を各スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力電流に実行し、それによって前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について予測出力変換結果を得ることと、を含む。
【0015】
前記少なくとも三つのスイッチング状態を識別することは、前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果と前記ターゲット出力変換結果との間の予測誤差を表す予測出力変換結果誤差を得ることと、少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を用いてマッピングされるとき、原点の位置は、前記少なくとも三つのスイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果誤差の位置によって画定される領域によって含まれるように、識別することと、を含んでもよい。
【0016】
したがって、マトリックスコンバータによる予測出力電流と所望の/ターゲット出力電流との間の予測誤差に基づいて、制御ストラテジーを生成する方法が提案されている。特に、マトリックスコンバータのスイッチング状態/状態ごとに、そのスイッチング状態で動作するマトリックスコンバータによる予測出力電流と所望の/ターゲット出力電流の間の予測誤差が計算され得る。
【0017】
予測出力電流と所望の出力電流との間の予測誤差に基づいて、少なくとも三つのスイッチング状態を決定することによって、改善された信頼性を得ることができる。
【0018】
少なくとも一つの実施形態では、制御ストラテジーを生成するためにどのスイッチング状態を使用するかを選択することは、少なくとも各スイッチング状態に関連づけられる入力電流および/または各スイッチング状態関連づけられる出力電圧に基づいてさらに減少され得る。
【0019】
複数のスイッチング状態を識別することが、前記マトリックスコンバータの所望の入力電流の数学的変換結果を表すターゲット入力変換結果を得ることと、前記マトリックスコンバータの可能性のある各スイッチング状態について、前記可能性のあるスイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの電流入力の数学的変換結果を表す入力変換結果を得ることと、デカルト座標系を使用してマッピングされるとき、前記ターゲット入力変換結果の位置に近接する複数の入力変換結果を識別することと、前記識別された複数の入力変換結果に関連づけられる前記複数のスイッチング状態を識別することと、を含んでもよい。
【0020】
それによって実施形態は、予測出力電流が計算される必要があるスイッチング状態の数を少なくとも所望の入力電流に基づいて減少させることができることを認識する。
【0021】
各スイッチング状態は、それぞれの電流入力と関連づけられてもよい。各スイッチング状態の電流入力の数学的変換は、例えば、所望の電流入力の数学的変換に基づいて、さらにあるスイッチング状態を識別するために使用され得る。
【0022】
したがって、実施形態は、マトリックスコンバータの所望の入力電流に基づいて、制御ストラテジーをさらに生成することを可能にする。
【0023】
複数のスイッチング状態を識別することが、前記マトリックスコンバータの可能性のある各スイッチング状態について前記可能性のあるスイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの電圧出力の数学的変換結果を表す第二の出力変換結果を得ることと、前記第二の出力変換結果の大きさに基づいて前記複数のスイッチング状態を識別することとを含んでもよい。
【0024】
実施形態は、少なくともマトリックスコンバータの出力電圧の大きさに基づいて、予測出力電流を計算する必要があるスイッチング状態の数を減少させることができる。特に、各スイッチング状態は、それぞれの出力電圧と関連づけられ得ることが認識される。
【0025】
各スイッチング状態に対するそれぞれの出力電圧の数学的変換は、制御ストラテジーを生成するためにどのスイッチング状態を使用するかをさらに識別または狭めるために使用され得る。
【0026】
したがって、実施形態は、制御ストラテジーがマトリックスコンバータの電圧出力に基づいて、特にマトリックスコンバータによる電圧出力の大きさに対して、さらに生成されることを可能にする。
【0027】
前記第二の出力変換結果の大きさに基づいて複数のスイッチング状態を識別することが、最大の大きさの前記第二の出力変換結果に関連づけられる前記複数のスイッチング状態を識別することを含む。
【0028】
前記少なくとも三つのスイッチング状態を識別することが、第一のスイッチング状態に従って動作する前記マトリックスコンバータのすべての出力端子間の電圧差が実質的にゼロである前記第一のスイッチング状態を識別することと、第二のスイッチング状態に従って動作する前記マトリックスコンバータの少なくとも二つの出力端子間の電圧差がゼロではない前記第二のスイッチング状態を識別することと、第三のスイッチング状態に従って動作する前記マトリックスコンバータの少なくとも二つの出力端子間の電圧差がゼロではない前記第三のスイッチング状態を識別することと、を含んでもよい。
【0029】
したがって、実施形態は、少なくとも一つのゼロスイッチング状態および一つの非ゼロまたはアクティブスイッチング状態を識別することを含み得る。
【0030】
制御ストラテジーを生成することは、前記ターゲット出力変換結果に基づいて前記少なくとも三つのスイッチング状態の負荷サイクルを計算することと、前記計算された負荷サイクルに基づいて前記マトリックスコンバータのための前記制御ストラテジーを生成することとを含んでもよい。
【0031】
好ましくは、前記数学的変換は、前記ターゲット出力変換結果が前記マトリックスコンバータの所望の多相出力電流のアルファ-ベータ変換結果を表し、各予測出力変換結果が、それぞれのスイッチング状態に対する予測出力電流のアルファ-ベータ変換結果を表わすように、アルファ-ベータ変換である。
【0032】
コンピュータ上で実行されたときに、前述の方法を実行するコンピュータプログラムが提案されている。
【0033】
本発明の別の実施形態によると、複数のスイッチング状態で動作可能であって、各スイッチング状態が、それぞれのスイッチング状態に関連づけられる三相-三相マトリックスコンバータの変調ストラテジーゼネレータであって、前記マトリックスコンバータの所望の出力電流の数学的変換結果を表すターゲット出力変換結果を得、前記マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態を識別し、前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態について予測出力電流の数学的変換結果を表す予測出力変換結果を得、前記複数のスイッチング状態から少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を使用してマッピングされるとき、前記ターゲット出力変換結果の位置が前記三つのスイッチング状態と関連づけられる前記予測出力変換結果の位置によって画定される領域によって含まれるように、識別し、前記少なくとも三つのスイッチング状態に基づいて、前記マトリックスコンバータの変調ストラテジーを生成するように適合されるプロセッサを含む、変調ストラテジーゼネレータが提供される。
【0034】
変調ストラテジーゼネレータは、各スイッチング状態について、前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルから予測出力変換結果を得るように適合されてもよい。
【0035】
変調ストラテジーゼネレータは、前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルを使用して、前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの出力電流を予測し、数学的変換を各スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力電流に実行し、それによって前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について予測出力変換結果を得るよう適合されてもよい。
【0036】
変調ストラテジーゼネレータは、前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果と前記ターゲット出力変換結果との間の予測誤差を表す予測出力変換結果誤差を得、前記少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を用いてマッピングされるとき、原点の位置は、前記少なくとも三つのスイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果誤差の位置によって画定される領域によって含まれるように、識別するよう適合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
ここで本発明の例を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1A図1A、1Bおよび1Cはそれぞれ、マトリックスコンバータを図示する。
図1B】同上。
図1C】同上。
図2図2は、実施形態による方法を示すフローチャートである。
図3A図3Aおよび3Bは、マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態のための予測出力電流の数学的変換を図示する。
図3B】同上。
図4図4は、マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態のための予測出力電流ベクトルを図示する。
図5図5は、実施形態による制御ストラテジーを図示する。
図6A図6Aは、マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態に対する電流入力の数学的変換を図示する。
図6B図6B~6Cはそれぞれ、マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態のための電圧出力の数学的変換を図示する。
図6C】同上。
図7図7は、マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態に対する予測出力電流誤差の数学的変換を図示する。
図8図8は、実施形態による制御ストラテジーゼネレータを図示する。
図9A図9Aおよび9Bは、マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態について、それぞれ予測出力電流および電流入力の数学的変換を図示する。
図9B】同上。
図10図10は、実施形態によるシステムを図示する。
図11A図11Aおよび11Bは、実施形態によるシステムの実験結果を示す。
図11B】同上。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態によれば、マトリックスコンバータの少なくとも三つのスイッチング状態に基づいて制御ストラテジーを生成する方法が提供されている。少なくとも三つのスイッチング状態は、少なくとも、各スイッチング状態と関連づけられる予測出力電流、および所望の出力電流に基づいて選択される。特に、所望の出力電流ならびに複数のスイッチング状態のそれぞれに関連づけられる出力電流の数学的変換は、適切なスイッチング状態を識別するために使用される。
【0039】
実施形態は、マトリックスコンバータの信頼できる応答的制御を可能にする制御ストラテジーが、予測出力電流および所望の出力電流に基づいて生成され得ることを実現することに少なくとも部分的に基づいている。実施形態は、制御ストラテジーの生成に使用されるマトリックスコンバータの適切なスイッチング状態を識別する信頼できる方法を提供する。
【0040】
例示的実施形態は、例えば、マトリックスコンバータを使用する電気的ドライブまたは統合ドライブで用いられ得る。こうしたマトリックスコンバータの他の実施ストラテジーは、当業者にとって容易に明らかであろう。
【0041】
図1A、1Bおよび1Cはそれぞれ、異なる実施形態による三相入力信号を三相出力信号に変換するように適合されたマトリックスコンバータ10を図示する。
【0042】
マトリックスコンバータ5は、三相AC電源12からそれぞれの相の入力信号を受信するために接続された三つの入力ノード11を備える。マトリックスコンバータは、それぞれが負荷14にそれぞれの相の出力信号を提供するために接続された三つの出力ノード13をさらに備える。
【0043】
電圧供給源12は、例えば、典型的な三相メイン電源またはその他の三相AC電源であってもよい。電圧供給源12は、例えば、それぞれが異なる相と関連づけられる三つの電圧源または三つの電流源としてモデル化されてもよい。各電圧源または電流源にはインダクタおよび平行に接続された減衰抵抗器が設けられてもよく、インダクタおよび減衰抵抗器の各対は、それぞれの電圧源または電流源をそれぞれの入力ノード11に接続する。
【0044】
負荷14は、例えば、マトリックスコンバータが図1Aに図示されるように、容量ポート15または図1Bにされるように、誘導ポート16またはその両方を含み得るように、容量負荷または誘導負荷であり得る。
【0045】
当然ながら、図1Cによって図示されるような一部の実施形態では、マトリックスコンバータ1は、特定の出力ポートを含む必要はないことは理解されよう。こうした実施形態は、例えば、負荷14が誘導機を含む場合に使用され得る。
【0046】
各出力ノード13は、各入力ノード11にそれぞれの双方向スイッチによって接続可能である。マトリックスコンバータ10はそれにより、九個の(3×3)双方向スイッチのアレイを含む。
【0047】
図1Bに図示した通り、コンデンサ配列18は、各相の誘導電流の経路を提供するように設けられ得る。こうしたコンデンサ配列は、例えば、マトリックスコンバータが図1Aによって図示されたものなどように容量ポート15を含む場合、必要とされない場合がある。
【0048】
(電圧源の)ライン間の短絡を防止するために、単一の出力ノードに関連づけられる二つの双方向スイッチは任意の瞬間でオンに切り替える必要がある。同様に、それぞれの相の入力信号の誘導電流の経路がコンデンサ配列18または容量ポート15を介存在していることを確実にするために、出力ノード13は各入力ノード12から切断されてはいけない。これにより、大きな過電圧が発生することが防止される。言い換えれば、各出力ノード13は、電圧源12の一相を受けるように接続されていなければならない。これらの二つの制限により、装置の安全性、信頼性、および長寿命が改善される。
【0049】
当業者には明らかであるように、マトリックスコンバータ10は、有限数のスイッチング状態で動作可能であり、各スイッチング状態は、双方向スイッチの異なる開閉構成を表す。図1のマトリックスコンバータ10については、上述の識別された制限に従う27のスイッチング状態のみがある。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ゼロスイッチング状態」は、各出力ノードと基準電圧との間の電圧が実質的に同一であるスイッチング状態と定義される。例えば、各出力ノード13は、同じ入力ノード11に接続されてもよい。したがって、(各出力ノードが同じ電圧にあるので)出力ノード13のいずれの間に電圧差が無いまたはほとんどない。
【0051】
「非ゼロスイッチング状態」または「アクティブスイッチング状態」は、少なくとも二つの出力ノードのそれぞれと基準電圧との間の電圧差異が異なるスイッチング状態と定義される。例えば、二つ以上の出力ノードは、異なる入力ノードに接続されてもよい。そのため、少なくとも二つの出力ノード間の電圧差がある。
【0052】
制御ストラテジーは、どの出力ノードが任意の時点でどの入力ノードに接続されるかを定義するために使用され得る(すなわち、マトリックスコンバータはどのスイッチング状態で動作するか)。こうした制御ストラテジーは、負荷への電圧供給の変調を可能にし得る。特に、パルス幅変調制御ストラテジーは、特定のスイッチング状態でマトリックスベクトルが動作する時間を定義するために使用され得る。
【0053】
フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのコントローラ(図示せず)は、制御ストラテジーを使用して、双方向スイッチのスイッチングを制御し得る。単に一例として、コントローラは、トランジスタの導電性を制御するために、各双方向スイッチの一つまたは複数のトランジスタへの可変電圧接続を提供し、それによって双方向スイッチの制御を可能にし得る。
【0054】
図2図4をさらに参照し、実施形態による多相出力マトリックスコンバータ10の制御ストラテジーを生成する方法2について説明する。
【0055】
本明細書に記載の実施形態では、変換結果は一般に、多相信号のアルファ-ベータ変換の結果を指す。もちろん、多相信号の数学的変換の他の結果を、dq0、dqo、0dq、またはodq変換として知られる、直接直交ゼロ変換などの様々な利点に使用されてもよい。一般的に、数学的変換は、特定の多相信号の基準フレームを変化させ、好ましくは複雑な値にアナログ的方法で、二次元または2パートの結果を提供する。このような結果は、一対の数(例えば、座標)、または対応するベクトルとして表され得ることを当業者は理解するであろう。
【0056】
図2は、実施形態による制御ストラテジーを生成するための方法2のフローチャートを図示する。
【0057】
図3および4はそれぞれ、マトリックスコンバータの所望の出力電流および予測出力電流と関連づけられる変換結果を示し、数学的(例えば、アルファ-ベータ)平面のデカルト座標系を使用してプロットされる。
【0058】
方法は、マトリックスコンバータ10の所望の多相出力電流の数学的(例えば、アルファ-ベータ)変換結果を表す、ターゲット出力変換結果30を取得すること20を含む。ターゲット出力変換結果30は、原点からのベクトルとみなされるとき、ターゲット出力電流ベクトルとみなされ得る。
【0059】
方法はさらに、マトリックスコンバータ10に関連づけられる複数のスイッチング状態を識別すること22を含む。これは、例えば、さらなる処理のためにマトリックスコンバータ10の利用可能なすべてのスイッチング状態のサブセットまたは選択のみを識別することを含み得る。他の例では、マトリックスコンバータに関連づけられるすべてのスイッチング状態が、さらなる処理のために識別される。
【0060】
識別された複数のスイッチング状態は、少なくとも一つのゼロスイッチング状態および二つ以上の非ゼロスイッチング状態を含むことが好ましい。識別された複数のスイッチング状態は、少なくとも一つのゼロスイッチング状態、および六つ以上の非ゼロスイッチング状態を含むことがさらに好ましい。
【0061】
方法は、識別された各スイッチング状態について、それぞれのスイッチング状態に従って動作するマトリックスコンバータ10に対する予測される多相出力電流の数学的(例えばアルファ-ベータ)変換結果を表す予測出力変換結果31、32、33、34、35、36、37を得ること24をさらに含む。それぞれの予測出力変換結果は、原点からのベクトルとみなされるとき、それぞれのスイッチング状態に関連づけられる予測出力電流ベクトルとみなされ得る。
【0062】
したがって、図3および図4は、識別された複数のスイッチング状態の予測出力電流に関連づけられる予測出力電流ベクトル31、32、33、34、35、36、37、およびターゲット/所望の出力電流に関連づけられるターゲット出力電流ベクトル30を示すことができる。
【0063】
予測出力電流(すなわち、予測出力電流ベクトル)のアルファ-ベータ変換結果は、例えば、マトリックスコンバータおよび予測される負荷またはデフォルト負荷であり得る関連負荷のモデルまたはシミュレーションから得られ得る。例えば、モデルはデータセットまたは表を含んでもよく、または一部の実施形態では、回路シミュレーションソフトウェアを含んでもよい。出力電流は、負荷(すなわち、負荷電流)に提供される電流とみなされ得る。
【0064】
式(1)および(2)は、単純なRL負荷(抵抗RおよびインダクタンスL)の予測負荷モデルを示す。式はスイッチング期間Tを使用する(スイッチング周波数の逆数である)。
【0065】
【数1】
ここでI(k+1)およびI(k)は、j={0,1,2…}に対し、(k+1)およびk時点におけるそれぞれの負荷電流であり、ここでjは識別されたスイッチング状態である。
【0066】
異なるスイッチング状態が、異なる予測出力電流と関連づけられていることが認識されており、これは、予測出力電流ベクトルを定義する異なる出力変換結果によってそれぞれ表される。
【0067】
図3Aおよび3Bによって図示されるように、予測出力電流の変換結果31、32、33、34、35、36、37は、一つまたは複数の斜めになった多角形、ここではオフセット中心を有するの単一の斜めになった六角形を形成し得る。
【0068】
方法2は、関連づけられる予測出力変換結果31、32、37は、ターゲット出力変換結果30が位置する領域40または区域を画定する、少なくとも三つのスイッチング状態を識別すること26をさらに含む。したがって、ターゲット出力変換結果30を含む領域40を画定する少なくとも三つの予測出力電流ベクトル31、32、37に関連づけられるスイッチング状態が識別され得る。
【0069】
したがって、方法は、制御ストラテジーを生成するために使用される、少なくとも三つのスイッチング状態を識別すること26を含み得る。
【0070】
少なくとも三つのスイッチング状態を識別することは、好ましくは、少なくとも一つのゼロスイッチング状態(すなわち、ゼロスイッチング状態変換結果37に関連する)と、少なくとも二つの非ゼロスイッチング状態(すなわち、第一の非ゼロスイッチング状態変換結果31および第二の非ゼロスイッチング状態変換結果32に関連づけられる)とを識別することを含む。
【0071】
ゼロスイッチング状態はマトリックスコンバータの出力ノード間に同じ電圧を供給するが、ゼロスイッチング状態に従って動作するマトリックスコンバータによって提供される出力電流は、ゼロでなくてもよい(例えば、インダクタンス、抵抗、インピーダンス、逆電磁界効果などのような負荷の特性により)。これは、非ゼロとして、ゼロスイッチング状態に関連づけられる予測出力電流の数学的変換37を識別する図3Aによって最良に図示されている。
【0072】
特に、図3Bに図示するように、ターゲット出力変換結果を含む領域は、以下の方法で画定され得る。特定のゼロスイッチング状態(すなわち、ゼロスイッチング状態変換結果37)と関連づけられる予測出力変換結果37は、無限直径の円の中心を画定し得る。方法は、第一の非ゼロベクトル(第一の非ゼロスイッチング状態変換結果31に関連づけられている)と第二の非ゼロベクトル(第二の非ゼロスイッチング状態変換結果32に関連づけられている)とを識別することを含み得るが、これに対し、この円のセクタが、ゼロスイッチング状態変換結果37で始まり、第一の非ゼロスイッチング状態変換結果31と交差する線によって、一辺に結合し、およびゼロスイッチング状態変換結果37で始まり、第二の非ゼロスイッチング状態変換結果32と交差する線によって、反対の辺に結合するとき、ターゲット出力変換結果30が中に位置する領域を画定する。
【0073】
別の例として、識別される少なくとも三つのスイッチング状態の予測出力変換結果31、32、37が、ターゲット出力変換結果30を含む三角形などの領域の頂点を画定し得る。
【0074】
さらに別の例として、少なくとも三つのスイッチング状態を識別することは、ターゲット出力変換結果30に最も近い三つの予測出力変換結果31、32、37を識別し、関連するスイッチング状態を識別することを含んでも良い。
【0075】
このようにして、方法2は、少なくとも異なるスイッチング状態に対するマトリックスコンバータの予測出力電流の数学的変換およびマトリックスコンバータの所望の出力電流の数学的変換に基づいて、制御ストラテジーの生成にどのスイッチング状態を使用すべきかを選択する。
【0076】
方法2は、識別された複数のスイッチング状態の制御ストラテジーを生成すること28をさらに含む。生成すること28は、識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について適切な負荷サイクルを決定し、識別された負荷サイクルに基づいて制御スキームを生成することを含み得る。
【0077】
ここで図4をさらに参照し、また前述のように、それぞれの変換結果31、32、37は、それぞれのスイッチング状態に関連づけられる予測出力電流ベクトルまたはスイッチング状態であると考えられ得る。
【0078】
一例として、第一の非ゼロスイッチング状態変換結果31は、第一の予測電流ベクトル51、
【数2】
、に関連づけられてもよい。第二の非ゼロスイッチング状態変換結果32は、第二の予測電流ベクトル52、
【数3】
、に関連づけられてもよい。ゼロスイッチング状態変換結果37は、第0の予測電流ベクトル57、
【数4】
に関連づけられてもよい。同様に、ターゲット出力変換結果30は、ターゲット電流ベクトル50、
【数5】
、と関連づけられてもよい。
【0079】
制御ストラテジーを生成することは、第一の予測電流ベクトル51および第二の予測電流ベクトル52とターゲット電流ベクトル50の結果となる第0の予測電流ベクトルの線形の組み合わせを識別することを含み得る。それぞれの予測電流ベクトルに対する計算された負荷サイクルは、その関連するスイッチング状態の負荷サイクルとして割り当てられる。
【0080】
特に、適切な線形の組み合わせは、以下の式を考慮することによって計算され得る。
【0081】
【数6】
ここで、
【数7】
は第一の予測電流ベクトルを表わし、
【数8】
は第二の予測電流ベクトルを表わし、
【数9】
は第0の予測電流ベクトルを表わし、
【数10】
はターゲット電流ベクトルを表わし、dは第一の予測電流ベクトルの負荷サイクルを表わし、dは第二の予測電流ベクトルの負荷サイクルを表わし、dは第0の予測電流ベクトルの負荷サイクルを表わす。
【0082】
結果として得られるベクトル
【数11】
および
【数12】
は明確にするために図4に図示されている。明らかなように、これらの三つの結果的なベクトルの組み合わせは、ターゲット電流ベクトル50をもたらす。
【0083】
このようにして、適切なターゲットベクトルを算出することができる各予測電流ベクトルに対する負荷サイクル(すなわち、相対的動作時間)が計算されてもよい。識別された複数のスイッチング状態の制御ストラテジーは、決定された負荷サイクルに基づいて計算され得る。
【0084】
例えば、図5を参照し、制御ストラテジーを生成することは、予測電流ベクトルのための計算された負荷サイクルに基づいて、マトリックスコントローラのための両面スイッチングパターンを生成することを含み得る。
【0085】
第0の予測電流ベクトル
【数13】
と関連づけられているゼロスイッチング状態vは、二つが同等のサイズで、一つがその他のサイズの2倍となる三つの部分に分割される計算された負荷サイクルdを持ち得る。第一の予測電流誤差
【数14】
と関連づけられる第一の非ゼロスイッチング状態vは、二つの部分に均等に分けられる計算された負荷サイクルdを持ち得る。同様に、第二の予測電流誤差
【数15】
と関連づけられる第二の非ゼロスイッチング状態vは、二つの部分に均等に分けられる計算された負荷サイクルdを持ち得る。
【0086】
負荷サイクルの分割された部分は、図5に図示したパターンで配置されてもよい。
【0087】
提案された実施形態は、マトリックスコンバータによる出力信号または波形の品質に妥協することなく、迅速な動的応答を可能にする。
【0088】
提案された方法は、入力フィルタの動力学がSVMなどの他の制御ストラテジーによって生成される出力電圧が不正確であることを意味するため、正確性を向上させた出力電圧を予測するために使用され得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、予測電流ベクトルは、マトリックスコンバータへの入力電流の制御を可能にするように、予測入力電流ベクトルであってもよい。
【0090】
制御ストラテジーを生成するより詳細な実施形態を、図6A~7を参照しながら説明する。
【0091】

実施形態において、マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態を識別することは、利用可能なすべてのスイッチング状態の一部のみを識別するためのスイッチング状態の選択を反復制限または狭小化することを含み得る。この選択を絞り込むまたは制限するために、いくつかの可能な方法を使用することができる。
【0092】

前述したように、図1のマトリックスコンバータ10について、特定の制限に従うスイッチング状態は27個のみである。これらのうち、六つは、入力ノードと出力ノードとの間の大きさおよび方向の変化のみを提供する回転または同期スイッチング状態とみなされる。簡略化のために、少なくとも一つの実施形態では、これらのスイッチング状態を考慮する必要はない。残りのベクトル/スイッチング状態は以下の通りである。0(すなわち、ゼロスイッチング状態)、±1、±2、±3、±4、±5、±6、±7、±8、および±9。三つのゼロスイッチング状態があることに留意されたい。
【0093】
本発明は、スイッチング状態の数が入力/出力信号の特定の基準を満たすスイッチング状態に制限することによってさらにまたはその他の方法で狭められ得ることを認識している。
【0094】
一例として、スイッチング状態の数は、マトリックスコンバータの多相入力電流、および/またはマトリックスコンバータの多相出力電圧に基づいて狭まってもよい。
特定のスイッチング状態に従って動作するマトリックスコンバータ10は、それぞれの入力電流ベクトルと関連づけられてもよく、このベクトルは特定のスイッチング状態で動作するマトリックスコンバータの入力電流を代表する。
【0095】
同様に、特定のスイッチング状態に従って動作するマトリックスコンバータ10は、それぞれの出力電圧ベクトルと関連づけられてもよく、このベクトルは特定のスイッチング状態で動作するマトリックスコンバータの出力電圧を代表する。
【0096】
すなわち、それぞれのスイッチング状態は、図6Aおよび6Bに示すように、それぞれの入力電流ベクトルおよび出力電圧ベクトルと関連づけられる。
図6Aは、マトリックスコンバータ10の入力電流ベクトルを図示し、それぞれが、それぞれのスイッチング状態に関連づけられるマトリックスコンバータ10の入力電流の数学的(例えば、アルファ-ベータ)変換結果である。
【0097】
図6Bは、マトリックスコンバータ10の出力電圧ベクトルを図示したものであり、それぞれがそれぞれのスイッチング状態に対するマトリックスコンバータ10による電圧出力の数学的(例えば、アルファ-ベータ)変換結果である。
【0098】
スイッチング状態の選択は、関連する入力電流ベクトルが所望の入力電流ベクトルに近接しているスイッチング状態のみに限定され得る。したがって、所望の入力電流ベクトルに関連づけられる所望の入力電流は、どのスイッチング状態が選択されるかを定義し得る。
【0099】
スイッチング状態の選択は、関連する出力電圧ベクトルの大きさに基づいてもよい。
【0100】
例えば、一部の実施形態では、最大大きさの出力電圧ベクトル(例えば、図6Bの最も外側の出力電圧ベクトル)を有するスイッチング状態のみを選択し得る。これにより、マトリックスコンバータの最大電力出力が確保できる。
【0101】
他の例では、最小大きさの出力電圧ベクトルを有するスイッチング状態のみが選択され得る。これにより、入力電流角度に対する制御が増大し得る。
【0102】
どのスイッチング状態が識別されるかを制限する二つ以上の方法を特定の利点に使用し得る。
【0103】

一つのシナリオでは、図6Aを参照し、所望の入力電流変換結果は、第一のセクタ61内にある。そのセクタで入力電流を生成できるスイッチング状態は±3、±6、±9、±1、±4、±7である。複数のスイッチング状態は、これらの識別されたスイッチング状態(すなわち、12のスイッチング状態の初期セット)に最初に制限されている。
【0104】

図6Cは、それぞれが所望の入力電流を供給できる入力電流と関連する、スイッチング状態±3、±6、±9、±1、±4および±7のみを選択するようにスイッチング状態の選択が最初に絞り込まれた上記シナリオの出力電圧ベクトルを示す。これらのスイッチング状態それぞれに対する出力電圧ベクトルの分布を図6Cに示す。
【0105】
一実施形態では、最大大きさを有する出力電圧ベクトルと関連づけられるスイッチング状態のみが選択される(すなわち、図6Cの外側六角形に乗る電圧ベクトル)。
【0106】
したがって、例として、スイッチング状態±4、±7および±1は、さらなる処理のために識別された複数のスイッチベクトルとして選択され得る。
【0107】

実施形態は、マトリックスコンバータのスイッチング状態が、マトリックスコンバータの異なるパラメータを表す複数のベクトルと関連づけられ得ることを認識する。前述のように、スイッチング状態は、予測出力電流ベクトル(スイッチング状態に従って動作するマトリックスコンバータの予測される多相出力電流を表す)、入力電流ベクトル(スイッチング状態に従って動作するマトリックスコンバータへの多相電流入力を表す)、および電圧出力スイッチングベクトル(スイッチング状態に従って動作するマトリックスコンバータによる多相電圧出力を表す)と関係づけられてもよい。
【0108】
また、実施形態は、制御ストラテジーが生成されるスイッチング状態の識別が。各スイッチング状態に関連づけられる複数のベクトル(の特性)に基づいてもよいことを認識する。
【0109】
好ましい実施形態によれば、識別された各スイッチング状態について、予測出力変換結果(すなわち、予測電流ベクトル)を取得することは、識別された各スイッチング状態について、予測電流誤差ベクトルを取得することを含む。
【0110】

予測電流誤差ベクトルは、関連するスイッチング状態のマトリックスコンバータの出力電流および所望の出力電流の間の予測誤差の数学的(例えば、アルファ-ベータ)変換結果によって表現され得る。したがって、予測出力電流と所望の出力電流との間の誤差は、各関連スイッチング状態について計算され得る。この誤差の数学的変換は、そのスイッチング状態の予測電流誤差ベクトルを表してもよい。
【0111】
他の実施形態では、スイッチング状態の予測電流誤差ベクトルは、スイッチング状態と関連づけられる予測出力電流の変換結果と所望の出力電流の変換結果との間の差異としてモデル化され得る。
【0112】
したがって、スイッチング状態と関連づけられる予測出力変換結果とターゲット出力変換結果との間の予測誤差を表す、予測出力変換結果誤差とみなされてもよい。
【0113】
図7は識別された複数のスイッチング状態に対する、予測電流誤差ベクトルe、e、e、e、e、e、を図示する。したがって、図7は、異なるスイッチング状態に対するマトリックスコンバータの予測される多相出力電流誤差と関連づけられる変換結果を示し、数学的(例えば、アルファ-ベータ)平面におけるデカルト座標系を使用してプロットされる。
【0114】
実施形態によると、ゼロ出力電流誤差を最小化または取得する目的がある。したがって、ターゲットは平面(0,0)の原点である。それによって、図2~5に関連して説明した通り、「ターゲット出力変換結果」は、現在は平面の原点として具現化されることを理解されたい。すなわち、ターゲット出力変換結果は、(0,0)に位置付けられた点であってもよい。
【0115】
図7に示す予測電流誤差ベクトルは、少なくとも一つのゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルe(ゼロスイッチング状態に関連する予測電流誤差ベクトルである)とそれぞれがそれぞれの非ゼロスイッチング状態に関連づけられている複数の非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルとを含む。その他の予測電流誤差ベクトルは、少なくとも、第一の予測電流誤差ベクトルeと、第二の予測電流誤差ベクトルeと、第三のe、第四のe、第五のe、および第六の予測電流誤差ベクトルeを含む。
【0116】
制御問題は、ゼロ電流誤差(すなわち、原点のターゲット化)をもたらす、少なくとも三つの予測電流誤差ベクトルの線形の組み合わせを見つけることである。これは、ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルおよび非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルの線形の組み合わせによって得られ得る。
【0117】
具体的には、解は、ターゲット(原点)がゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルおよび少なくとも二つの非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルで形成される領域内にあるならば存在する。ターゲット(原点)がこの領域の外側にある場合、それはオーバ変調状態とみなされ、後で説明するように異なる対策がそれに対処するためとられる必要がある。
【0118】
特定の実施形態では、ターゲットがゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルおよび二つの隣接する非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルによって画定される領域内にある場合、解が存在すると判断され得る。もし第二の非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルeが、第一の非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルeに最も近い二つの非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルeのうちの一つである場合、第一の非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルは、第二の非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルeに隣接しているとみなすことができる。
【0119】
隣接する非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルのそれぞれの対において、以下の条件が満たされる場合には、解が存在する:
【数16】
ここで、eは、非ゼロベクトル予測電流誤差ベクトルのうちの一つであり、eは、隣接する非ゼロベクトル予測電流誤差ベクトルである。
【0120】
図7によって図示された実施形態の解は、e=eおよびe=eである。
【0121】
これらの要件を満たす非ゼロベクトル予測電流誤差ベクトルの隣接対は、制御ストラテジーを生成するために、ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルeと共に選択される(すなわち、eおよびeとして使用される)。
【0122】
ターゲット(すなわち、原点)を得るためのこれらのベクトルの線形の組み合わせは、以下の一次方程式のセットを解くすることによって得ることができる。
【0123】
【数17】
ここでdおよびdは、式(5)~(7)の条件を満たす非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルの隣接する対のためのそれぞれの負荷サイクルであり、dは、ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルの負荷サイクルである。
【0124】
しかし、d+d>1ならば、これは、ターゲット点(原点)が、非ゼロスイッチング状態予測電流誤差ベクトルe、e、e、e、e、e(すなわち、他の予測電流誤差ベクトル)によって境界付けられた領域によって形成された六角形の外側にあることを示す。この場合、ターゲット点(原点)に達する試みは、非ゼロベクトル予測電流誤差ベクトルの隣接する対e、eの間に変調することによって達成される。つまり、方法は、原点に最も近い結果として生じるベクトルをもたらす式(5)~(7)のこれらの要件を満たす非ゼロベクトル予測電流誤差ベクトルの隣接する対の負荷サイクルを識別することを含む。
【0125】
この基本に基づいてストラテジーを生成することで、誤差予測に応じて正確な負荷サイクルを生成し、固定スイッチング周波数動作をもたらす。制御ストラテジーが予測出力電流で生成されるという少なくとも事実によって、制御ストラテジーは急速な過渡事象を持つことになる。
【0126】
提案された制御方法は、例えば、制御波形または出力信号の品質の妥協をほとんどすることなく、マトリックスコンバータの所望またはターゲット出力電流の変化に対し、迅速な動的応答を提供する。
【0127】
さらに、定常状態性能は、方法に含まれる変調アプローチによって改善され得る。したがって、本明細書に記載の予測制御および適切な変調の組み合わせは、迅速な動的応答で良好な定常状態性能をもたらす。
【0128】
この実施形態は、直接予測電流誤差ベクトル制御(DPCVC)の方法であると考えられる。コンバータスイッチング状態の負荷サイクルまたはアプリケーション時間を計算するために、変形した平面(αβ平面など)でのベクトル形態の電流誤差をコスト関数として考慮する概念が提案されている。目的は、負荷電流誤差を最小化し、可能な場合はゼロに等しくすることである。したがって、負荷電流誤差がプロットされたときに達成するターゲット点は、平面の原点である。
【0129】
図8は、実施形態による制御ストラテジーゼネレータ8を図示する。制御ストラテジーゼネレータ8は、マトリックスコンバータ89を制御するように適合されたマトリックスコンバータコントローラ88の制御ストラテジー87aを生成するように適合される。
【0130】
制御ストラテジーゼネレータ8は、マトリックスコンバータ89と関連づけられるスイッチング状態についての情報を提供するように適合されたスイッチング状態プロビジョニングユニット81を備える。例えば、スイッチング状態プロビジョニングユニット81は、マトリックスコンバータの利用可能なすべてのスイッチング状態を示すことができ、またはマトリックスコンバータの非回転スイッチング状態のみを示し得る。
【0131】
制御ストラテジーゼネレータ8はさらに、マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態を識別するよう適合されたスイッチング状態識別ユニット82を備える。一例として、図6A図6Cを参照して前述した通り、マトリックスコンバータの所望の入力電流に基づいてまたはスイッチング状態に関連する出力電圧ベクトルの大きさに基づいて、スイッチング状態識別ユニットは、複数のスイッチング状態を識別してもよい。
【0132】
制御ストラテジーゼネレータ8はさらに、マトリックスコンバータ89の動作をシミュレートするよう適合された回路シミュレータ83を備える。特に、回路シミュレータ83はAC電源83a(マトリックスコンバータ89のAC電源をモデル化する)、入力フィルタ83b、マトリックスコンバータ83c(マトリックスコンバータ89をモデル化する)、および負荷83d(マトリックスコンバータ89の負荷をモデル化する)のモデルを含む。予測される多相負荷電流(すなわち出力電流)i回路シミュレータによって出力される。
【0133】
スイッチング状態識別ユニットによって識別される複数のスイッチング状態のそれぞれは、回路シミュレータによってシミュレーションされる。したがって、マトリックスコンバータ83cのモデルは、識別された複数のスイッチング状態のそれぞれに従って制御される。
【0134】
シミュレートされた多相出力電流iは、制御ストラテジーゼネレータの数学的変換ユニット84に提供される。数学的変換ユニット84は、シミュレートされた多相電流iを(例えば、アルファ-ベータ変換を使用して)数学的に変換し、識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、スイッチング状態に対する予測出力電流の数学的変換結果を表す予測出力変換結果を取得する。
【0135】
さらに、数学的変換ユニット84は、マトリックスコンバータの所望の多相出力電流の数学的変換結果を表すターゲット出力変換結果も得ることができる。これは、例えば、アルファ-ベータ変換などの数学的変換を所望の入力電流i上で行うことによって、なされ得る。
【0136】
スイッチング状態選択ユニット85は、複数のスイッチング状態から少なくとも三つのスイッチング状態を識別するが、ここで、デカルト座標系を用いてマッピングされると、ターゲット出力変換結果の位置は、少なくとも三つのスイッチング状態に関連する予測出力変換結果の位置によって画定される領域によって含まれる。したがって、スイッチング状態選択ユニットは、予測出力変換結果およびターゲット出力変換結果に基づいて、少なくとも三つのスイッチング状態を識別する。
【0137】
負荷サイクルゼネレータ86は、例えば、以前に説明した方法を採用して、少なくとも三つのスイッチング状態の負荷サイクルを決定する。
【0138】
制御ストラテジーゼネレータ87は、例えば、前述の方法を採用して、少なくとも三つのスイッチング状態に対する少なくとも決定された負荷サイクルに基づいて、マトリックスコンバータ89の制御ストラテジーを生成する。実施形態において、制御ストラテジーゼネレータ87は、それらの決定された負荷サイクルに基づいて、少なくとも三つのスイッチング状態を制御パターンに配置する。
【0139】
いくつかの実施形態では数学的変換ユニット84は、回路シミュレータおよび所望の出力電流84aによって、予測出力電流iに基づいて、予測出力電流誤差の数学的変換を取得する。
【0140】
当然のことながら、いくつかの実施形態では、回路シミュレータ83は、数学的変換ユニット84が予測出力電流誤差の数学的変換を実行するように、例えば所望の出力電流84aに基づいて、各スイッチング状態に関連する予測出力電流誤差を生成する。
【0141】
実施形態では、シミュレーションモデルまたは数学モデル(例えば回路シミュレータ83)は、様々な異なる可能性のある負荷および/または入力電流に対する各スイッチング状態について、予測出力電流(より好ましくは、予測出力電流誤差)を識別する表またはデータセットであってもよい。回路シミュレーションソフトウェアパッケージなど、その他のシミュレーションモデルまたは数学モデルが当業者にとって明らかであろう。
【0142】
マトリックスコンバータによる予測出力電流が、例えば、マトリックスコンバータの負荷または電流動作に対する変化に応じて動的に変化し得るように、少なくとも一つの実施形態による方法は反復的に繰り返され得る。負荷は、識別されたスイッチング状態のための出力電流の予測に影響を与え得る、異なるスイッチング状態で動作するマトリックスコンバータに対して異なって反応または応答してもよい。
【0143】
特に有利な実施形態は、識別されたスイッチング状態に関連づけられる予測出力電流誤差を反復的に決定することによって、出力電流の誤差を減少させることを継続的に試みることと、前述のように、予測出力電流誤差に基づいて制御ストラテジーを決定することとを含み得る。
【0144】
予測出力電流は、マトリックスコンバータの現在のスイッチング状態および現在の出力電流に関する情報に基づいて決定され得る。したがって、マトリックスコンバータの現在のまたは継続的な動作に関する情報は、異なる可能性のあるスイッチング状態のためのマトリックスコンバータのありそうな出力電流を予測するために使用され得る。一例として、現在の出力電流に関する情報は、負荷のシミュレーションを改善するために使用され得る、マトリックスコンバータの負荷の特性に関する情報を提供し得る。
【0145】
したがって、制御ストラテジーは自動的に調整され、一定期間にわたり変更され得る。
【0146】
少なくとも一つの他の実施形態によれば、マトリックスコンバータの入力電流および出力電流を制御することを可能にする制御ストラテジーを生成する方法が提案されている。
【0147】
特に、実施形態による方法は、制御ストラテジーを生成するために使用される少なくとも五つのスイッチング状態を識別することを含み得る。
【0148】
前述の方法と同様に、少なくとも五つのスイッチング状態を識別することは、予測出力電流、所望の入力電流、および/またはスイッチング状態に関連する出力電圧ベクトルの大きさに基づいて、すべての可能なスイッチング状態から特定のスイッチング状態を繰り返し選択することを含み得る。
【0149】
少なくとも五つのスイッチング状態を識別することは、少なくとも図2図7を参照しながら説明した方法による、少なくとも三つのスイッチング状態を識別することを含むことが好ましい。特に、少なくとも三つのスイッチング状態を識別することは、ゼロスイッチング状態および少なくとも二つの非ゼロスイッチング状態を含み得る。
【0150】
本明細書に記述された実施形態の目的のために、三つの識別されたスイッチング状態は、ゼロスイッチング状態、第一の非ゼロスイッチング状態、および第二の非ゼロスイッチング状態を含み得る。
【0151】
前述のように、各スイッチング状態は、予測出力電流誤差ベクトルに対応する、予測出力電流誤差の変換結果と関連づけられ得る。したがって、図9Aに示すように、ゼロスイッチング状態は、第0の予測出力電流誤差ベクトルe90に関連づけられ、第一の非ゼロスイッチング状態は、第一の予測出力電流誤差ベクトルe91に関連づけられ、第二の非ゼロスイッチング状態は、第二の予測出力電流誤差ベクトルe92に関連づけられる。
【0152】
本方法は、第三の非ゼロスイッチング状態および第四の非ゼロスイッチング状態である、少なくとも二つのさらなるスイッチング状態を識別することをさらに含む。第三の非ゼロスイッチング状態に関連づけられている第三の予測出力電流誤差ベクトルe93が、第0の予測出力電流誤差ベクトルe90および第一の予測出力電流誤差ベクトルe91と交差する線上に実質的に存在する。第四の非ゼロスイッチング状態に関連づけられている第四の予測出力電流誤差ベクトルe94が、第0の予測出力電流誤差ベクトルe90および第二の予測出力電流誤差ベクトルe92と交差する線上に実質的に存在する。
【0153】
このように、および図9Bに図示した通り、第一ii_1および第二ii_2の非ゼロベクトルに関連づけられる入力電流ベクトルの相角度は同一であり、第三ii_3および第四ii_4の非ゼロベクトルに関連づけられる入力電流ベクトルの相角度は同一である。しかし、第一および第三の非ゼロ入力電流ベクトルの大きさは、第二および第四の非ゼロ入力電流ベクトルの大きさが異なっていてもいいように、異なっていてもよい。
【0154】
五つのスイッチング状態が識別されたら、四つの非ゼロスイッチング状態とゼロスイッチング状態と、マトリックスコンバータの制御ストラテジーを含むことが生成され得る。入力電流角度の制御を達成すると同時に、ゼロ出力電流誤差を維持する目的がある。所望の入力電流は、マトリックスコンバータに供給される電圧(すなわち、電圧供給源から)を有する相内にあると仮定される。
【0155】
特に図9Bを参照し、選択された四つの非ゼロスイッチング状態は、それぞれの入力電流ベクトルと関連づけられ、これは変換結果を表す。したがって、第一の非ゼロスイッチング状態は、第一の入力電流ベクトルii_1と関連づけられ、第二の非ゼロスイッチング状態は、第二の入力電流ベクトルii_2に関連づけられ、第三の非ゼロスイッチング状態は、第三の入力電流ベクトルii_3と関連づけられ、第四の非ゼロスイッチング状態は、第四の入力電流ベクトルii_4に関連づけられる。
【0156】
基準入力電流ベクトルii_refは、基準入力電流ベクトル角度bを有する電圧供給源から取得されてもよい。例えば、(電圧供給源の電圧出力は、マトリックスコンバータへの入力電流と同期されるとみなされるとき)基準入力電流ベクトルは、電圧によって多相電圧出力から取得されてもよい。
【0157】
識別された五つのスイッチング状態の線形の組み合わせが以下の一次方程式のセットを解くことにより、出力電流ベクトル要件と入力電流ベクトル要件の両方を満たすように識別されてもよい。
【0158】
【数18】
およびd,d,d,dはそれぞれ非ゼロスイッチング状態の負荷サイクルであり、およびdはゼロスイッチング状態の負荷サイクルである。
【0159】
少なくとも一つの実施形態は、所望の出力電流の単一分析に基づいて、複数のスイッチング状態を使用する制御ストラテジーを生成する方法を提供する。このような制御ストラテジーは、高度な精度および低総合高調波ひずみを有する要求出力電流の変化に対する迅速な応答を提供する。制御ストラテジーは、適切な電流が出力されることを繰り返し確かにするために繰り返し生成され得る。
【0160】
本明細書に記載の制御ストラテジーは、マトリックスコンバータの固定または予測可能なスイッチング周波数を提供することを可能にし、これは入力フィルタの設計の容易さを増加させる。
【0161】
上述の実施形態は三相-三相マトリックスコンバータに関するものであるが、本発明の他の実施形態によるマトリックスコンバータは、二相電源または四相電源のような任意の数の相の入力電源に接続することができることが理解されよう。実施形態によっては、実施形態は、二相、四相または五相出力などの任意の数の相の変換された供給を出力するよう適合されたマトリックスコンバータに適用されてもよいことが考えられる。
【0162】
提案された実施形態は、入力および/または出力電流の制御を優先するための、方法(例えば、飽和状態またはオーバ変調状態)の修正を可能にする。特に、方法は、要件に応じて、入力電流(すなわち、出力電流よりもむしろ)の制御を優先するように変更されてもよい。これは、予測される入力電流およびその適切な変換結果を得ることによって実施され得る。
【0163】
いくつかの実施形態では図1図7、9Aまたは9Bを参照しながら前述した任意の方法を実行するように適合された処理配列を含むシステムが提供され得る。
【0164】
一例として、図10に図示するように、実施形態はコンピュータシステム100を含んでもよい。コンピュータシステム/サーバ101の構成要素は、一つまたは複数の処理構成を含むことができるが、それらに限定されない。例えば、プロセッサまたは処理ユニット101、システムメモリ104、およびシステムメモリ104を含む様々なシステム構成要素を処理ユニット101に結合するバス108を備える。
【0165】
バス108は、複数のバス構造を使用して、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、加速グラフィックポート、およびプロセッサまたはローカルバスを含む、いくつかのタイプのバスアーキテクチャのいずれかの一つまたは複数を表す。限定ではなく例として、そのようなアーキテクチャは、業界標準アーキテクチャ(ISA)バスと、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バスと、拡張ISA(EISA)バスと、ビデオエレクトロニクス標準化協会(VESA)ローカルバスと、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスとを含む。
【0166】
コンピュータシステム/サーバ100は通常、様々なコンピュータシステム可読媒体を含む。こうした媒体は、コンピュータシステム/サーバ100によってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってもよく、揮発性および不揮発性媒体、取り外し可能および取り外し不可能な媒体の両方を含む。
【0167】
システムメモリ104は、ランダムアクセスメモリ(RAM)105aおよび/またはキャッシュメモリ105bなどの揮発性メモリの形態のコンピュータシステム可読媒体を含み得る。コンピュータシステム/サーバ100は、その他の取り外し可能な/取り外し不可能な、揮発性/不揮発性のコンピュータシステム記憶媒体をさらに含んでもよい。単なる例として、ストレージシステム104は、取り外し不可能な不揮発性磁気媒体(図示せず、一般に「ハードドライブ」と呼ばれる)を読み取りおよび書き込むために提供され得る。表示されていないが、取り外し可能な不揮発性磁気ディスク(例えば「フロッピー(登録商標)ディスク」)への読み書き用の磁気ディスクドライブ、およびCD-ROM、DVD-ROMまたは他の光媒体のような取り外し可能な不揮発性の光ディスクへの読み書き用の光ディスクドライブを提供することができる。こうした例では、それぞれは、一つまたは複数のデータ媒体インターフェースによって、バス90に接続することができる。さらに図示され、以下に記述されるように、メモリ104は、本発明の実施形態の機能を実行するように構成されたプログラムモジュールの(例えば、少なくとも一つ)セットを有する少なくとも一つのプログラム製品を含み得る。
【0168】
プログラムモジュール107bのセット(少なくとも一つ)を有するプログラム/ユーティリティー107aは、例えば、限定されないが、オペレーティングシステム、一つまたは複数のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、およびプログラムデータによってメモリ104内に記憶されてもよい。オペレーティングシステム、一つまたは複数のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、およびプログラムデータまたはいくつかの組み合わせのそれぞれは、ネットワーク環境の実装を含んでもよい。プログラムモジュール108bは、本明細書に記載される本発明の実施形態の機能および/または手法を一般的に実行する。
【0169】
コンピュータシステム/サーバ100はまた、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ109bなどの一つまたは複数の外部デバイス109a、ユーザがコンピュータシステム/サーバ100と対話することを可能にする一つまたは複数の装置、および/またはコンピュータシステム/サーバ100が一つまたは複数の他のコンピューティングデバイスと通信することが可能になる任意のデバイス(例:ネットワークカード、モデムなど)と通信することができる。このような通信は、入力/出力(I/O)インターフェース102を介して起こり得る。なおもまたコンピュータシステム/サーバ100は、ネットワークアダプタ103を介して、ローカルエリアネットワーク(LAN)、一般広域ネットワーク(WAN)、および/または公共ネットワーク(例えば、インターネット)などの一つまたは複数のネットワークと通信できる。図示したように、ネットワークアダプタ103は、バス108を介してコンピュータシステム/サーバ100の他の構成要素と通信する。図示されていないが、他のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素は、コンピュータシステム/サーバ100と併せて使用され得ることが理解されるべきである。例として、マイクロコード、デバイスドライバ、冗長化処理ユニット、外部ディスクドライブアレイ、RAIDシステム、テープドライブ、およびデータアーカイブストレージシステムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
図11Aおよび11Bは、三相出力マトリックスコンバータを持つシステムの実験結果を示し、マトリックスコンバータは、少なくとも図1~6Cおよび8を参照して前述したような方法によって生成される制御ストラテジーによって制御される。
【0171】
【表1】
表1は、実験を実施するシステムの例示的なパラメータを示す。フィルタのインダクタンスおよび静電容量は、以前に説明した(入力フィルタ83bなど)マトリックスコンバータ(供給電圧を有する)に供給されるAC電源をフィルタするフィルタのためのものである。入力フィルタは、インダクタと平行な(減衰抵抗の)減衰抵抗器を有するLCフィルタから構成される。入力フィルタは、スイッチング周波数高調波の減衰に必要な場合がある。システムは、負荷インダクタンスおよび負荷抵抗の負荷を持つ。スイッチング周波数は、マトリックスコンバータのスイッチング周波数を示す。
【0172】
図11Aの第一の図111によって示される三相出力電流をもたらす、30Hzで5Aの負荷電流がシステムから要求されるシナリオを考慮する。特に、第一の相111A、第二の相111Bおよび第三の相111Cに関連づけられる電圧出力が図示されている。図11Aはまた、マトリックスコンバータ出力ライン電圧112を示す第二の図112および高調波ペクトル113(三相のうちの一つ)を示す第三の図を図示する。
【0173】
高調波スペクトルは、スイッチング周波数(12.5Khz)およびその倍数で高調波を示す。これは、固定スイッチング周波数が提案された制御ストラテジーによって有利に生成されることを暗示する。制御波形の総合高調波ひずみ(THD)は、約3.97%である。
【0174】
制御ストラテジーの過渡事象の動作を試験するために、マトリックスコンバータの出力電流の大きさ(例えば、2~5A)および周波数(例えば、20~40Hz)のステップ要求が要求され得る。すなわち、マトリックスコンバータの所望の出力電流は、大きさ2A、周波数20Hzの電流から、大きさ5A、周波数40Hzの電流に変更され得る。
【0175】
結果として得られる負荷電流波形を図11Bに示し、この方法によって達成される急速な過渡事象応答を示す。
【0176】
特に、図11Bは、所望の出力電流の変化に対する迅速な応答を図示する要求ステップのための三相負荷電流114を示す。すなわち、マトリックス装置の出力電流は、望ましい電流の変化に直ちに反応する。
【0177】
図11Bはまた、第一のライン115Aおよび第二のライン115Bで表されるマトリックスコンバータによる三相出力電流の数学的(例えば、アルファ-ベータ)変換結果115を示す。ここで、第一のライン115Aは変換結果の瞬間アルファ部分を表し、第二のライン115Bは変換結果の瞬間ベータ部分を表す。
【0178】
総合高調波ひずみに起因して、記述された方法は、低高調波ひずみを有するマトリックスコンバータに対する迅速かつ反応性のある制御ストラテジーを提供することが理解されるであろう。
【0179】
本明細書に記述した実施形態は、複数のスイッチング状態で動作可能な多相出力マトリックスコンバータの制御ストラテジーを生成する方法に関する。そのような方法は、マトリックスコンバータの所望の多相出力電流を得ることと、特定のスイッチング状態で動作するマトリックスコンバータの予測される多相出力電流を得ることと、所望の多相出力電流および予測される多相出力電流に基づいて制御ストラテジーを決定することとを含む。
【0180】
特定の実施形態では、所望の出力電流および予測出力電流の数学的変換は、制御ストラテジーで使用するための少なくとも三つのスイッチング状態を識別するために使用される。
【0181】
本開示の実施形態に対する他の変形は、図面、本開示および添付の特許請求の研究から、クレームされた発明を実行するにあたり、当業者によって理解および達成され得る。本明細書で明示的に開示されているその他の双方向スイッチは、当業者に公知であり、例えば、ダイオードブリッジ双方向スイッチセルである。請求項では、「comprising」という語は、他の要素または手順を除外しないが、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外しない。相互に異なる従属請求項において特定の対策が列挙されるという事実は、これら対策の組み合わせが有利に利用できないことを示唆していない。請求項の参照符号は、範囲を制限すると解釈されるべきではない。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[C1]
複数のスイッチング状態で動作可能である多相出力マトリックスコンバータの制御ストラテジーを生成する方法であって、
前記マトリックスコンバータの所望の多相出力電流の数学的変換結果を表すターゲット出力変換結果を得ることと、
前記マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態を識別することと、
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態について予測出力電流の数学的変換結果を表す予測出力変換結果を得ることと、
前記複数のスイッチング状態から少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を使用してマッピングされるとき、前記ターゲット出力変換結果の位置が前記少なくとも三つのスイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果の位置によって画定される領域によって含まれるように、識別することと、
前記少なくとも三つのスイッチング状態に基づいて、前記マトリックスコンバータの制御ストラテジーを生成することと、を含む、方法。
[C2]
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、予測出力変換結果を得ることが、
各スイッチング状態について、前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルまたは数学モデルおよび前記マトリックスコンバータの負荷から予測出力変換結果を得ることを含む、C1に記載の方法。
[C3]
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、予測出力変換結果を得ることは、
前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルまたは数学モデルおよび前記マトリックスコンバータの負荷を使用して、前記識別された複数のスイッチング状態の各スイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの出力電流を予測することと、
数学的変換を各スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力電流に実行し、それによって前記識別された複数のスイッチング状態における各スイッチング状態について予測出力変換結果を得ることと、を含む、C1に記載の方法。
[C4]
前記少なくとも三つのスイッチング状態を識別することが、
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果と前記ターゲット出力変換結果との間の予測誤差を表す予測出力変換結果誤差を得ることと、
少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を用いてマッピングされるとき、原点の位置は、前記少なくとも三つのスイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果誤差の位置によって画定される領域によって含まれるように、識別することと、を含む、C1~3のいずれかに記載の方法。
[C5]
前記複数のスイッチング状態を識別することが、
前記マトリックスコンバータの所望の入力電流の数学的変換結果を表すターゲット入力変換結果を得ることと、
前記マトリックスコンバータの可能性のある各スイッチング状態について、前記可能性のあるスイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの電流入力の数学的変換結果を表す入力変換結果を得ることと、
デカルト座標系を使用してマッピングされるとき、前記ターゲット入力変換結果の位置に近接する複数の入力変換結果を識別することと、
前記識別された複数の入力変換結果に関連づけられる前記複数のスイッチング状態を識別することと、を含む、C1~4のいずれかに記載の方法。
[C6]
前記複数のスイッチング状態を識別することが、
前記マトリックスコンバータの可能性のある各スイッチング状態について、前記可能性のあるスイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの電圧出力の数学的変換結果を表す第二の出力変換結果を得ることと、
前記第二の出力変換結果の大きさに基づいて、前記少なくとも三つのスイッチング状態を識別することと、を含む、C1~5のいずれかに記載の方法。
[C7]
前記第二の出力変換結果の大きさに基づいて、複数のスイッチング状態を識別することが、最大の大きさの前記第二の出力変換結果に関連づけられる前記複数のスイッチング状態を識別することを含む、C1~6のいずれかに記載の方法。
[C8]
前記少なくとも三つのスイッチング状態を識別することが、
前記第一のスイッチング状態に従って動作する前記マトリックスコンバータのすべての出力端子間の電圧差が実質的にゼロである前記第一のスイッチング状態を識別することと、
前記第二のスイッチング状態に従って動作する前記マトリックスコンバータの少なくとも二つの出力端子間の電圧差がゼロではない前記第二のスイッチング状態を識別することと、
前記第三のスイッチング状態に従って動作する前記マトリックスコンバータの少なくとも二つの出力端子間の電圧差がゼロではない前記第三のスイッチング状態を識別することと、を含む、C1~7のいずれかに記載の方法。
[C9]
前記制御ストラテジーを生成することが、
前記ターゲット出力変換結果に基づいて、前記少なくとも三つのスイッチング状態の負荷サイクルを計算することと、
前記計算された負荷サイクルに基づいて、前記マトリックスコンバータのための前記制御ストラテジーを生成することと、を含む、C1~8のいずれかに記載の方法。
[C10]
前記数学的変換は、前記ターゲット出力変換結果が前記マトリックスコンバータの所望の多相出力電流のアルファ-ベータ変換結果を表し、各予測出力変換結果が、それぞれのスイッチング状態に対する予測出力電流のアルファ-ベータ変換結果を表わすように、アルファ-ベータ変換である、C1~9のいずれかに記載の方法。
[C11]
処理配列上で実行されるとき、C1~10のいずれかに記載の方法を実施するように適合される、コンピュータプログラム。
[C12]
複数のスイッチング状態で動作可能であって、各スイッチング状態が、それぞれのスイッチング状態に関連づけられる多相出力マトリックスコンバータの制御ストラテジーゼネレータであって、
前記マトリックスコンバータの所望の多相出力電流の数学的変換結果を表すターゲット出力変換結果を得、
前記マトリックスコンバータの複数のスイッチング状態を識別し、
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態について予測出力電流の数学的変換結果を表す予測出力変換結果を得て、
前記複数のスイッチング状態から少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を使用してマッピングされるとき、前記ターゲット出力変換結果の位置が前記少なくとも三つのスイッチング状態と関連づけられる前記予測出力変換結果の位置によって定義される領域によって含まれるように、識別し、
前記少なくとも三つのスイッチング状態に基づいて、前記マトリックスコンバータの制御ストラテジーを生成するように適合されるプロセッサを含む、制御ストラテジーゼネレータ。
[C13]
前記プロセッサが、各スイッチング状態について、前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルまたは数学モデルおよび前記マトリックスコンバータの負荷から予測出力変換結果を得るように適合される、C12に記載の制御ストラテジーゼネレータ。
[C14]
前記プロセッサが、
前記マトリックスコンバータのシミュレーションモデルまたは数学モデルおよび前記マトリックスコンバータの負荷を使用して、前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態に関連づけられる前記マトリックスコンバータの出力電流を予測し、
数学的変換を各スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力電流に実行し、それによって前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について予測出力変換結果を得るよう適合される、C12または13に記載の制御ストラテジーゼネレータ。
[C15]
前記プロセッサが、
前記識別された複数のスイッチング状態の中の各スイッチング状態について、前記スイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果と前記ターゲット出力変換結果との間の予測誤差を表す予測出力変換結果誤差を得て、
少なくとも三つのスイッチング状態を識別することであって、デカルト座標系を用いてマッピングされるとき、原点の位置は、前記少なくとも三つのスイッチング状態に関連づけられる前記予測出力変換結果誤差の位置によって画定される領域によって含まれるように、識別するよう適合される、C12~14のいずれかに記載の制御ストラテジーゼネレータ。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B