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特許7066717エアワイピング装置及びエアワイピング装置用ノズル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】エアワイピング装置及びエアワイピング装置用ノズル
(51)【国際特許分類】
   C23C 2/20 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
C23C2/20
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019534374
(86)(22)【出願日】2017-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017080729
(87)【国際公開番号】W WO2018114248
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】16206332.5
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500252006
【氏名又は名称】タタ、スティール、アイモイデン、ベスローテン、フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】TATA STEEL IJMUIDEN BV
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル、ヤープ、ファン、エーネンナーム
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-125058(JP,U)
【文献】特表2009-540121(JP,A)
【文献】特開2010-202967(JP,A)
【文献】特開2016-017184(JP,A)
【文献】特開2006-328487(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0040473(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0028138(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00-2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス入口(3)及び複数のガス出口(4)を有するガス供給チャンバ(2)と、細長いガス吐出スロット(25)を有するガス吐出ノズル(8)とを備える、溶融コーティングによって金属ストリップ上に形成される金属コーティングの厚さを制御するためのガスワイピング装置(1)であって、
ガス供給チャンバ(2)のガス出口(4)が、ガス吐出ノズル(8)と流体接続されており、
ガス吐出ノズル(8)が、
鋭角を囲む第1及び第2プレート(20,21)を備えており、
外端においてエンドプレート(22,23)によって接続されており、
ガス吐出ノズル(8)の少なくとも一部を複数のガス吐出チャネル(30)に分割するセパレーターベーン(24)によって間隔を空けて接続されており、
ガス吐出チャネル(30)が、細長いガス吐出スロット(25)と流体接続されており、
複数のガス供給チャネル(5)が、ガス供給チャンバ(2)の複数のガス出口(4)と、ガス吐出ノズル(8)の複数のガス吐出チャネル(30)との間の流体接続のために設けられており
ガス供給チャネル(5)の外端とガス吐出ノズル(8)との間に、フローチャンバ(7)が設けられている、ガスワイピング装置。
【請求項2】
1つ以上のガス供給チャネル(5)が、1つ以上のガス供給チャネル(5)の長さの少なくとも一部にわたって2つ以上のサブチャネル(16)に分離されている、請求項1に記載のガスワイピング装置。
【請求項3】
断面視において、サブチャネル(16)が、細長い形状を有する、請求項2に記載のガスワイピング装置。
【請求項4】
サブチャネル(16)の細長い形状が、ガス吐出ノズル(8)の細長いガス吐出スロット(25)と平行に延びている、請求項3に記載のガスワイピング装置。
【請求項5】
1つ以上のガス供給チャネル(5)が、ガスの供給方向から見て、その外端に発散部(12)を備えている、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項6】
1つ以上のガス供給チャネル(5)の発散部(12)が、少なくとも1つの方向において、10~20°の角度を囲む、請求項5に記載のガスワイピング装置。
【請求項7】
ガス供給チャンバ(2)が、細長いパイプを備えており、該細長いパイプが、該細長いパイプの外端にガス入口(3)を有するとともに、該細長いパイプの長さ方向に沿って複数のガス出口(4)を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項8】
前記細長いパイプが、すべてのガス供給チャネル(5)を合わせた断面積以上の断面積を有する、請求項に記載のガスワイピング装置。
【請求項9】
前記細長いパイプが、ガス入口(2)の反対端に、ガス入口(3)の方向に突出するくさび形状の突出部(10)が設けられた端部閉鎖プレート(9)を備えている、請求項又はに記載のガスワイピング装置。
【請求項10】
ガス吐出ノズル(8)が、ガス吐出ノズル(8)のガスワイピング装置(1)への取り付けと、ガス吐出ノズル(8)のガスワイピング装置(1)からの取り外しを可能にする別個の部品として構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項11】
ガス吐出ノズル(8)が、別個の部品のアセンブリであるか、単一の積層造形部品又は鋳造部品である、請求項10に記載のガスワイピング装置。
【請求項12】
セパレータベーン(24)の一端又は両端が、ガス吐出方向から見て、10~20°の角度で面取りされている、請求項1~11のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融コーティング(hot dip coating)によって金属ストリップ上に形成される金属コーティングの厚さを制御するためのガスワイピング装置(gas wiping device)に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスワイピング装置は、鋼ストリップ等の移動する金属ストリップ(moving metal strip)に形成される金属コーティングの厚さを制御するために使用される。金属コーティングは、溶融コーティングによって形成され、溶融コーティングでは、連続又は半連続プロセスにおいて、金属ストリップが、プロセスの一部として、例えばZn、Zn+Fe合金、Zn+Al又はZn+Mg+Alの溶融金属の浴を通過する。金属ストリップは、浴からほぼ垂直方向に出た後、過剰に塗布された金属コーティングが「エアナイフ(air knife)」としても知られる高圧空気/ガス装置で吹き飛ばされる。移動するストリップからの過剰な金属コーティングの除去は、実際には、塗布された金属コーティングの厚さの制御である。
【0003】
金属コーティングは、例えば自動車産業の外側部品(outer parts)のコーティングされた鋼ストリップから最終製造の前に形成されるため、形成されたコーティングは、コーティングが完了した鋼ストリップにわたって正確な所定の厚さ及び均一な厚さ等の要件を満たす必要がある。これは、コーティングされた鋼ストリップを成形工程に供することを可能にするために重要であるだけでなく、コーティングされた鋼ストリップから形成された最終鋼製品の最終外観にとっても重要である。
【0004】
これらの要件は、ガスワイピング装置が、ガスワイピング装置のガスノズルの全幅にわたって均一なガスジェットを吐出する必要があることを意味し、均一なガスジェットは、ガスジェットの速度及び圧力が均一である必要があることを意味する。このことは、ガスワイピング装置及びそのガス吐出ノズルの構造に関する高い基準を意味する。
【0005】
ガス入口からガスワイピング装置の構造を通るガスの流れ(ガスフロー)は、ガスの流れの乱流/渦(turbulences/vortices)及びその他の規則的な変動(variations)、例えば共振(resonances)が防止されるようなものでなければならない。別の前提条件は、ガスが、ストリップの幅に対応するガス吐出ノズルの長さにわたって均等に分配されることである。米国特許出願公開第2008/0245903号に開示されている既知の解決策は、ガス入口及び複数のガス出口を備えるガス供給チャンバを提供することであり、各ガス出口には制御可能な出口弁が設けられている。
【0006】
ガス吐出ノズルのガス吐出スロットは、ガス吐出スロットの全長にわたって厳しい精度で設定する必要がある。この吐出スロットは、実際には、長さ/幅の比が大きい、狭いスロットであるため、ガス吐出スロットの全長にわたって所定の幅を提供又は調整することは困難である。既知のシステムでは、例えば、米国特許出願公開第2010/0224120号を参照すると、開口部が、互いに対して調整することができる下部及び上部リップによって形成される。このような調整可能なシステムでは、ガス吐出スロットの全長にわたって幅を所定の幅に調整することが難しく、ストリップ全体のコーティング厚が不均一になったり、コーティングされたストリップの表面に欠陥が生じたりする。
【0007】
さらに、現在の設計のガス吐出ノズル又はノズルのリップの剛性はしばしば不十分であり、ガス吐出ノズル及びガス吐出スロットの振動につながり、その結果、ストリップの幅及び/又は長さ方向にコーティングの厚さの不均一等、塗布されたコーティングに不規則性、及び/又は、コーティング表面の欠陥が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ガス吐出スロットの全長に沿って均一なガス吐出を提供するガスワイピング装置を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、ガスが吐出される前にガス流の乱れ/渦(disturbances/vortices)が抑制されるガスワイピング装置を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、ガス供給チャンバ内の共振(resonances)を抑制するように設計されたガス供給チャンバを備えるガスワイピング装置を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、ガス吐出スロットの厳しい精度(tight tolerances)を可能にするガス吐出ノズルを備えるガスワイピング装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、ガス吐出ノズルの振動(vibrations)を防止するのに十分な剛性のガス吐出ノズルを備えるガスワイピング装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、ガスワイピング装置用の取り外し可能(demountable)なガス吐出ノズルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、請求項1~10に規定されているガスワイピング装置及び請求項11~14に規定されているガス吐出ノズルに関する。
【0015】
1つ以上の目的は、ガス入口及び複数のガス出口を有するガス供給チャンバと、細長いガス吐出スロットを有するガス吐出ノズルとを備える、溶融コーティングによって金属ストリップ上に形成される金属コーティングの厚さを制御するためのガスワイピング装置であって、ガス供給チャンバのガス出口が、ガス吐出ノズルと流体接続(fluid connection)されており、ガス吐出ノズルが、複数のガス吐出チャネルに分割されており、ガス吐出チャネルが、細長いガス吐出スロットと流体接続されており、ガス供給チャンバの複数のガス出口のそれぞれが、ガス吐出ノズルのガス吐出チャネルと液体接続されている、ガスワイピング装置を提供することによって実現される。
【0016】
本明細書で用いられる「ガス」という用語は、金属ストリップ上に形成される金属コーティングのガスワイピングに使用するのに適する任意のガス又はガス組成を含む。最も一般的には、窒素、周囲空気、又は、窒素と周囲空気との混合物が、この目的に用いられる。
【0017】
ガス吐出ノズル内に複数のガス吐出チャネルを設けることにより、ガス吐出ノズル内及びガス吐出スロット内のガスの横方向の流れ(lateral flow)が防止されるように、ガスの吐出が制御される。その結果、ストリップの不均一なコーティングが大幅に防止又は抑制され、不均一なガス吐出によって引き起こされる表面欠陥も防止又は抑制される。
【0018】
第1の実施形態によれば、ガス供給チャンバの複数のガス出口が、ガス吐出チャネルと直接流体接続されている。これにより、比較的少ないコストで簡単に実現可能な比較的少ない部品での構造が提供される。
【0019】
第2の実施形態によれば、複数のガスチャネルが、ガス供給チャンバのガス出口と、ガス吐出ノズルの複数のガス吐出チャネルとの間の流体接続のために設けられている。
【0020】
この実施形態の利点は、ガス供給チャンバからガス吐出チャネルへのガスの流れが、ガス吐出ノズルの長さにわたって、それにより、ガス吐出チャネル及びガス吐出スロットの長さにわたって、よりよく分割されることである。これにより、形成されるコーティングの品質がさらに向上する。
【0021】
供給されたガスは、圧力下で供給チャンバに入り、ガス吐出ノズルへの経路の少なくとも一部にわたって乱流(turbulent flow)を生じる。過剰な長さのガス供給チャネルにより、乱流を簡単に抑制し、層流(laminar flow)に変えることができる。供給されたガスが供給チャンバに入る際の圧力は、通常、最大1barの超過圧力(overpressure)であるが、それよりも高い場合もある。
【0022】
別の利点は、ガス供給チャンバ及びガス吐出ノズルを互いに距離を置いて配置できることである。これは、ガス吐出ノズルと移動するストリップとの間の距離が短いために有利であり、ガス吐出ノズルの位置決めに関して、特に移動するストリップに対するガス吐出スロットの位置決めに関して、より大きな自由度を与える。移動するストリップに対するガス吐出ノズルの位置決めは、移動するストリップに対する距離だけでなく、移動するストリップに対する角度にも関係する。
【0023】
さらなる態様によれば、ガス供給チャネルの1つ以上が、1つ以上のガス供給チャネルの長さの少なくとも一部にわたって2つ以上のサブチャネルに分離されることが提供される。ガス供給チャネルをサブチャネルに分離することにより、より具体的には、ガス供給チャネルの曲がりの位置で、ガスの流れをよりよく制御することができる。まっすぐなガス供給チャネルは、ガスワイピング装置のためにより多くのスペースを必要とするため、多くの溶融ディップ装置では利用できず、ガス供給チャネルに1つ以上の曲がり部があることはほとんど避けられない。曲がり部にサブチャネルを備えたガス供給チャネルのほぼU字型の構造は、乱流の制御に関して良好な結果をもたらすことが分かった。さらに、これらのU字型のガス供給チャネルにより、ガスワイピング装置の比較的コンパクトな構造を実現することができる。
【0024】
サブチャネルは、円形、正方形、多角形等のさまざまな形状をとることができる。好ましくは、サブチャネルは、断面視において細長い形状を有する。ガス吐出ノズルとの最適な流体接続を得るために、サブチャネルの細長い形状が、ガス吐出ノズルの細長いガス吐出スロットに平行又はほぼ平行に延びることがさらに提供される。
【0025】
さらなる態様によれば、1つ以上のガス供給チャネルが、ガスの供給方向から見て、その外端に発散部(diverging section)を備えている。この機能により、ガスは膨張し、ガス内の渦がさらに減少し、層流に変わる。
【0026】
別の特徴は、ガス吐出ノズルとの流体接続において、ガス供給チャンバの複数のガス出口の間、又は、ガス供給チャネルの外端とガス吐出ノズルとの間に、フローチャンバ(flow chamber)が設けられることである。フローチャンバは、複数のガス出口又はガス供給チャンネルが接続される分割されていないチャンバであり、入ってくるガス流(ガスフロー)の間に存在する可能性のある圧力差を平準化する。同時に、フローチャンバは、ガスの膨張又はさらなる膨張を可能にする。
【0027】
ガス流の制御、特に乱流の防止及び抑制に関しては、ガス流のできるだけ上流で、好ましくは、ガスワイピング装置のガス供給チャンバのガス入口で、又はその直後から開始することが重要である。ガスは、ガス吐出ノズルの幅にわたって均等に分割する必要があるため、ガス供給チャンバが、細長いパイプであって、該細長いパイプの外端にガス入口を有し、該細長いパイプの長さに沿って複数のガス出口を有する該細長いパイプを含むことが提供される。パイプは、より具体的には、断面視において、円形又は楕円形を含む、任意の円筒形状を有することができる。
【0028】
ガス供給チャンバの長さに沿ったガス出口上の、したがって、ガス吐出ノズル上のガスの均一な分布のために、細長いパイプが、すべてのガス供給チャネル、好ましくはすべてのガス出口を合わせた断面積以上の断面積を有することが提供される。この点に関し、ガス供給チャネルの断面積は、ガス供給チャネルの最小断面積を意味する。
【0029】
さらなる特徴は、細長いパイプが、ガス入口の反対側の端部に設けられており、端部閉鎖プレート(end closure plate)が、ガス入口の方向に突出するくさび形状の突起を備えていることである。ガスが高圧でガス供給チャンバに入り、ガス供給チャンバを形成する細長いパイプの長さが与えられると、ガス供給チャンバで共振が容易に発生し、乱流が増加する可能性がある。くさび形状の突起は、ガス供給チャンバの長さがパイプの断面積にわたって異なり、それにより、ガス供給チャンバでの共振の発生を大幅に防止する。
【0030】
さらなる実施形態において、ガス吐出ノズルが、ガス吐出ノズルのガスワイピング装置への取り付けと、ガス吐出ノズルのガスワイピング装置からの取り外しとを可能にする別個の部品として構成されることが提供される。ガス吐出ノズルは、固定部品(fixed part)として構成されており、調整する必要はない。
【0031】
これは、既知のガスワイピング装置の一体部分(integral part)を形成する一般的に使用されるガス吐出ノズルに勝る大きな利点である。この既知のガス吐出ノズルは、ガス吐出ノズルの長さにわたって調節可能なリップを有し、したがって、ガス吐出スロットの所定の寸法を有するために全長にわたって調節する必要もある。これらの調整可能なリップは、動作中の振動により初期設定から逸脱する可能性があるため、定期的にチェック及び調整する必要がある。そのためには、完全なガスワイパー装置をホットディップ装置(hot dip installation)から取り出し、確認し、必要に応じて調整し、再び装置に組み込む必要がある。
【0032】
ガス吐出ノズルは、別個の部品のアセンブリであるか、単一(single)の積層造形部品(additive manufactured part)又は鋳造部品であることがさらに提供される。ガス吐出ノズルが、個別の部品から組み立てられる場合、これらの部品は、製造され、必要に応じて非常に厳密な精度で加工される。必要に応じて、組み立てられたガス吐出ノズルをもう一度機械加工する。これは、主にガス吐出スロットの正確な寸法に関係する。単一部品として製造されるガス吐出ノズルでは、滑らかな表面を得るために機械加工が必要であり、この実施形態では、所定の仕様内でガス吐出スロットを得るためにも必要である。
【0033】
部品のアセンブリに関して、ガス吐出ノズルは、鋭角を囲む第1及び第2プレート(a first and a second plate enclosing a sharp angle)を備えている。これらのプレートは、エンドプレートによって外端で接続されており、ガス吐出ノズルの少なくとも一部を複数のガス吐出チャネルに分割するセパレータベーン(separator vanes)によって間隔を空けて接続されている。
【0034】
ガス吐出ノズルでのガス吐出の乱れを防ぐために、ガス吐出方向から見て、セパレータベーンの一端又は両端は、10~20°、好ましくは12~18°の角度で面取りされている。
【0035】
本発明は、図面に示される例に基づいてさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、ガスワイピング装置の分解図である。
図2図2は、サブチャネルを備えるガス供給チャネルを示す図である。
図3A図3Aは、ガス供給チャンネルの端部に設けられた接続フランジを示す図である。
図3B図3Bは、接続フランジの詳細を示す図である。
図4A図4Aは、ガス吐出ノズルを示す図である。
図4B図4Bは、ガス吐出スロットの断面を示す図である。
図4C図4Cは、ガス吐出ノズルのセパレータベーンの詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1には、ガス入口3及び複数のガス出口4を備えるガス供給チャンバ2を含むガスワイピング装置1の分解図が示されている。図1には、複数のガス出口4のうちの1つのみが示されている。複数のガス出口4は、複数のガス供給チャネル5に接続されており、それらの外側端部(外端)は、接続フランジ6に接続されている。接続フランジ6は、フローチャンバ7に接続されており、フローチャンバ7の反対側には、ガス吐出ノズル8が取り付けられている。
【0038】
ガス供給チャンバ2のガス入口3は、窒素、空気又はそれらの混合物等のガスの高圧源に接続されている。ガスは、高速でガス供給チャンバ2に入るため、ガス供給チャンバ2内で共振が発生する可能性がある。共振の発生を抑制するために、エンドプレート9がガス供給チャンバ2の反対端に取り付けられており、エンドプレート9には、くさび部(wedge)10が設けられている。くさび部10は、ガス供給チャンバ2の長さ方向から見て、ガス供給チャンバ2の長さが断面積にわたって異なっており、それにより、共振が効果的に抑制されることを実現する。
【0039】
ガス供給チャンバ2の断面積はより大きく、好ましくはすべての複数のガス出口4の合計面積よりも大きく、その結果、ガスは、すべてのガス出口4に、それによりすべてのガス供給を通して、チャンネル5均等に分配される。
【0040】
図2には、単一のガス供給チャネル5が示されており、ガス供給チャネル5がガス供給チャンバに接続される上流側に収束部(converging section)11を備えており、接続フランジ6に接続されるガス供給チャネル5の他端に発散部(diverging section)12を備えている。ガス供給チャネル5は、2つの屈曲部13,14を有しており、屈曲部13,14の間に直線部分15を有している。
【0041】
水平方向のスペースを節約するために行われるフローチャンバ7の上部のガス供給チャンバ2の構造に関し、別のオプションは、ガス出口4を直接又は短い垂直チャネルを介してフローチャンバ7に接続することである。しかしながら、そのような構造は、フローチャンバ7内の流入ガスの約90°の曲がりを意味し、その結果、ガス吐出ノズル8のすぐ上流で大きな乱流が生じる。
【0042】
屈曲部13,14及び直線部15を備えるガス供給チャネル5により、ガスは、ガス吐出ノズル8と一直線になる方向に流れチャンバ7に案内され、この領域で乱流が生じることを回避する。ガス供給チャネル5には、屈曲部13,14にサブチャネル16が設けられている。これらのサブチャネル16により、ガスの流れは、これらのサブチャネル16のない同じガス供給チャネル15を通るガス流と比較して、ガス流の乱流を大幅に減少させるより狭い空間を通って導かれる。
【0043】
発散部12において、ガスはフローチャンバ7に入る前に膨張する。
【0044】
複数のガス供給チャネル5の接続フランジ6には、各ガス供給チャネル5の開口部17が設けられている。開口部17の側面19は、面取りが発散セクション12の側面と一直線になるように、面取りされている。
【0045】
1つ以上のガス供給チャネル5の発散部12は、ガス流を安定させるために、少なくとも1つの方向で10~20°、好ましくは12~18°の角度を囲む。角度が16°又はそれより少し小さい、つまり1~2°のオーダーで小さい場合、良好な結果が実現される。図面に示された例では、発散部12は、互いにほぼ直角である2つの方向に所定の角度範囲内で拡大する。断面視において長方形のチャネルと長方形の発散部の代わりに、円形のチャネルと円錐形の発散部を使用することもできる。重要なことは、そのような他の形状の発散部は、上記の発散角を持っていることである。
【0046】
接続フランジ6は、フローチャンバ7に取り外し可能に取り付けられており、このチャンバには、気密接続を可能にする手段が設けられており、本例では、ボルト、ネジ等の穴部18である。
【0047】
フローチャンバ7は、分割されていないチャンバであり、各ガス供給チャネル5を介してチャンバに入るガス流の間に存在する可能性がある圧力差の平準化を可能にする。
【0048】
図4Aは、ガス吐出ノズル8の斜視図を示す。ガス吐出ノズル8は、上部20及び下部20、エンドプレート22,23、並びに、上部20と下部20との間のセパレータベーン24を備えている。セパレータベーン24は、ガス吐出ノズル8の非常に堅固な構造を実現し、ガス吐出ノズル8及び細長いガス吐出スロット25内の横方向のガス流を大幅に低減する(図4B参照)。
【0049】
セパレータベーン24は、上流側26及び下流側27で面取りされており、ガス流を細長いガス吐出スロット25にスムーズに導くことができる(図4C参照)。面取りされた側面によって囲まれた角度は、発散部12の角度に対応しており、10~20°、好ましくは12~18°である。角度が16°又はそれより少し小さい、つまり1~2°のオーダーで小さい場合、良好な結果が実現される。
【0050】
セパレータベーン24は、ガス吐出ノズル8の重要な特徴である。なぜなら、これらのセパレータベーン24は、ガス吐出ノズル8の剛性構造を提供し、ガス吐出ノズル8及び細長いガス吐出スロット25を通るガス流を制御するからである。これにより、細長いガス吐出スロット25の長さにわたって均一なガス流がもたらされ、表面欠陥が全くないか、又はそれと同程度に良好な金属ストリップ上の均一なコーティングがもたらされる。さらに、ガス吐出ノズル8の剛性のために、細長いガス吐出スロット25のスロット幅にドリフト(drift)はなく、したがって調整は不要である。
【0051】
ガス吐出ノズル8は、フローチャンバ7に取り外し可能に取り付けられており、ガス吐出ノズル8は、ガス吐出ノズル8をフローチャンバ7にガス密にねじ込み、ボルト止めできるようになっている。これらの取り付け手段により、ガス吐出ノズル8は、新しいガス吐出ノズル8又は必要に応じて異なるスロット幅を有するガス吐出ノズル8に容易に交換することができる。
【0052】
図4Cは、細長いガス吐出スロット25がスロット幅に関してかなりのスロット深さを有することを示している。ガス吐出ノズル8の上部20及び下部21の傾斜端28,29は、所定のスロット幅を得るために機械加工される。機械加工は、ガス吐出ノズルの組み立て又は製造の前又は後に行うことができる。
【0053】
スロットの深さとスロットの幅の比は、スロットの深さがスロットの幅の10~15倍を超えるように調整され、細長いガス吐出スロット25の入口においてガスに依然として存在する可能性のある乱流を均一にする。例えば、スロット幅が1.00~1.50mmの場合、スロットの深さは15~25mmの間に調整されるため、厳密に制御されたワイピングガスジェットが保証される。上部20及び下部21の厚さ並びに上部20と下部21との間の角度は、スロット幅及びスロット深さを規定する際に考慮されるべきである。
【0054】
ガス吐出ノズル8は、ネジ、ボルト、接着剤又は任意の適切な溶接方法を用いて部品を互いに固定することにより、別個の部品20,21,22,23,24から組み立てることができる。別の方法は、ガス吐出ノズル8を単一の部品として鋳造するか、積層造形(additive manufacturing)によってガス吐出ノズル8を製造することである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C