(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】無線アクセスネットワーク更新手順に参加するユーザ機器および基地局
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20220506BHJP
H04W 74/08 20090101ALI20220506BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20220506BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W74/08
H04W48/18
(21)【出願番号】P 2019552547
(86)(22)【出願日】2018-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018054349
(87)【国際公開番号】W WO2018172013
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-01-19
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャー リキン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】Intel Corporation,Details on the NR_RRC_INACTIVE state,3GPP TSG RAN WG2 #96 R2-168523,フランス,3GPP,2016年11月05日
【文献】Ericsson,Small data: comparison between solutions A and B,3GPP TSG RAN WG2 #97 R2-1700888,フランス,3GPP,2017年02月04日
【文献】Intel Corporation,2-Step random access procedure in NR,3GPP TSG RAN WG2 #96 R2-168520,フランス,3GPP,2016年11月05日
【文献】Intel Corporation,Data transmission from INACTIVE,3GPP TSG RAN WG2 adhoc_2017_01_NR R2-1700333,フランス,3GPP,2017年01月07日
【文献】Intel Corporation,Discussion on RAN specific notification area,3GPP TSG RAN WG2 adhoc_2017_01_NR R2-1700331,フランス,3GPP,2017年01月07日
【文献】Intel Corporation,Signalling reduction during NG Core connected Inter-RAT mobility in Inactive state,3GPP TSG RAN WG2 adhoc_2017_01_NR R2-1700319,フランス,3GPP,2017年01月07日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システムにおけるユーザ機器であって、
動作時に、第1の無線アクセスネットワーク通知エリアである第1RNA内に位置する前記ユーザ機器が、前記ユーザ機器がとり得るアイドル状態、接続状態、および非アクティブ状態のうちの前記非アクティブ状態にあって、前記第1RNAとは異なる第2の無線アクセスネットワーク通知エリアである第2RNAへ移動中であるかどうかを判断する処理回路と、
前記ユーザ機器が前記第2RNAへ移動中であると判断されたとき、動作時に、前記第1RNAの識別情報を、前記第2RNAの第2の無線基地局へ送信する送信機と、
動作時に、前記ユーザ機器が前記第2の無線基地局とアップリンクおよびダウンリンクデータを交換するのに使用可能な、ユーザ機器関連コンテキスト情報を、前記第2の無線基地局から受信する受信機と、
を備
え、
前記送信機は、前記第1RNAの前記識別情報を前記第2の無線基地局へ送信するとき、前記第1RNAの前記識別情報を、ランダムアクセスチャネル手順の第1のメッセージにて送信し、前記第1のメッセージは、ランダムアクセスプリアンブルを含む、
ユーザ機器。
【請求項2】
前記受信機は、前記ユーザ機器関連コンテキスト情報を前記第2の無線基地局から受信するとき、前記ユーザ機器関連コンテキスト情報を、ランダムアクセスチャネル手順の第2のメッセージ
にて受信
し、前記第2のメッセージは、アップリンク無線リソースの前記ユーザ機器への割当を含む、
請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項3】
前記受信機は、動作時に、前記第2の無線基地局から前記第2RNAの識別情報を受信
し、前記第2RNAの前記識別情報は、前記第2の無線基地局により、その無線セル全体に、システム情報にてブロードキャストされ、
前記処理回路は、前記ユーザ機器が前記第2RNAへ移動するかどうかを判断するとき、前記第1RNAの前記識別情報が前記第2RNAの前記識別情報とは異なる場合に、前記ユーザ機器が前記第2RNAへ移動すると判断する、
請求項1または2に記載のユーザ機器。
【請求項4】
前記処理回路は、前記ユーザ機器が前記第2RNAへ移動中であると判断するとき、前記ユーザ機器を前記非アクティブ状態から前記接続状態へ遷移させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項5】
前記ユーザ機器関連コンテキスト情報は、
・ 前記第2の無線基地局と前記ユーザ機器との間で利用可能な、送信前にデータを暗号化するための暗号鍵、および受信後にデータを復号するための復号鍵などのセキュリティ情報と、
・ 少なくとも前記第2の無線基地局と前記ユーザ機器との間のデータ接続の情報と、
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項6】
前記送信機は、前記第1RNAの前記識別情報を前記第2の無線基地局へ送信するとき、前記ユーザ機器により利用される、ユーザ機器関連コンテキスト情報の識別情報をも前記第2の無線基地局へ送信して、前記第1RNAの無線基地局とデータを交換し、前記識別情報は、前記第1RNAのための前記ユーザ機器関連コンテキスト情報を取得するために、前記第2の無線基地局により利用可能であり、かつ/または、
前記送信機は、前記第1RNAの前記識別情報を前記第2の無線基地局へ送信すると
き、コアネットワーク内のエンティティと接触して、前記ユーザ機器に関連する前記コアネットワーク
内のエンティティにおけるコンテキスト情報を更新するために、前記第2の無線基地局により利用可能な前記ユーザ機器の識別子をも、前記第2の無線基地局へ送信する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項7】
前記受信機は、動作時に、前記第2の無線基地局から、前記第2RNAについて有効な新規のユーザ識別を受信する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項8】
前記ユーザ機器および前記第2の無線基地局は、第3世代パートナーシッププロジェクトである3GPPにおける新規の無線であるNRの第5世代の技術である5Gに対応している、
請求項1~7のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項9】
前記送信機は、動作時に、受信した前記ユーザ機器関連コンテキスト情報を用いて、前記第2の無線基地局へユーザデータを送信し、かつ/または、
前記受信機は、動作時に、受信した前記ユーザ機器関連コンテキスト情報に基づき、前記第2の無線基地局からユーザデータを受信する、
請求項1~8のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項10】
移動通信システムにてユーザ機器を動作させる方法であって、前記ユーザ機器により実行される、
第1の無線アクセスネットワーク通知エリアである第1RNA内に位置する前記ユーザ機器が、前記ユーザ機器がとり得るアイドル状態、接続状態、および非アクティブ状態のうちの前記非アクティブ状態にあって、前記第1RNAとは異なる第2の無線アクセスネットワーク通知エリアである第2RNAへ移動中であるかどうかを判断するステップと、
前記ユーザ機器が前記第2RNAへ移動中であると判断されたとき、前記第1RNAの識別情報を、前記第2RNAの第2の無線基地局へ送信するステップと、
前記ユーザ機器が前記第2の無線基地局とアップリンクおよびダウンリンクデータを交換するのに使用可能な、ユーザ機器関連コンテキスト情報を、前記第2の無線基地局から受信するステップと、
を含
み、
前記第1RNAの前記識別情報を前記第2の無線基地局へ送信するとき、前記第1RNAの前記識別情報を、ランダムアクセスチャネル手順の第1のメッセージにて送信し、前記第1のメッセージは、ランダムアクセスプリアンブルを含む、
方法。
【請求項11】
移動通信システムにおける第2の無線アクセスネットワーク通知エリアである第2RNAの無線基地局であって、
動作時に、ユーザ機器がとり得るアイドル状態、接続状態、および非アクティブ状態のうちの前記非アクティブ状態にある前記ユーザ機器が、前記第2RNAへ移動する前に位置する第1の無線アクセスネットワーク通知エリアである第1RNAの識別情報を、前記ユーザ機器から受信する受信機と、
動作時に、アップリンクおよびダウンリンクデータを前記
ユーザ機器と交換するために、前記ユーザ機器により利用可能なユーザ機器関連コンテキスト情報を生成するプロセッサと、
動作時に、前記生成されたユーザ機器関連コンテキスト情報を、前記ユーザ機器へ送信する送信機と、
を備
え、
前記受信機は、前記第1RNAの前記識別情報を前記ユーザ機器から受信するとき、前記第1RNAの前記識別情報を、ランダムアクセスチャネル手順の第1のメッセージにて受信し、前記第1のメッセージは、ランダムアクセスプリアンブルを含む、
無線基地局。
【請求項12】
前記受信機は、動作時に、前記ユーザ機器により、前記第1RNAの無線基地局とデータを交換するために利用される、ユーザ機器関連コンテキスト情報における識別情報を受信し、
前記プロセッサは、動作時に、前記受信した前記識別情報に基づき、前記第1RNAについての前記ユーザ機器関連コンテキスト情報を取得する、
請求項11に記載の無線基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3GPP通信システムなどの通信システムにおける方法、デバイスおよび物品に向けられている。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:3rd Generation Partnership Project)は、第5世代(5G)とも称する、次世代携帯電話技術のための技術仕様の次期リリース(リリース15)に取り組んでいる。3GPP技術仕様グループ(TSG:Technical Specification Group)無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access network)会合#71(ヨーテボリ、2016年3月)では、RAN1、RAN2、RAN3およびRAN4を含む最初の5G検討項目である「新しい無線アクセス技術の検討」が承認され、最初の5G規格を定義するリリース15の作業項目になることが期待されている。検討項目の目的は、「新規無線(NR:New Radio)」アクセス技術(RAT)を開発することにあり、これは、100 GHzまでの周波数域で動作し、RAN要件検討の際に規定された幅広い使用事例に対応している(例えば、非特許文献1を参照。その全てがここに参照により組み込まれる)。
【0003】
非特許文献1に定義されたあらゆる使用シナリオ、要件、配備シナリオに対応し、拡張モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced mobile broadband)、超高信頼低レイテンシ通信(URLLC:ultra-reliable low-latency communications)、超大量端末通信(mMTC:massive machine type communication)を少なくとも含む、単一の技術フレームワークを提供することが、目的の1つである。例えば、eMBB配備シナリオは、屋内ホットスポット、密集都市部、ルーラル(rural)、都市部(urban macro)および高速を含んでもよく、URLLC配備シナリオは、産業制御システム、巡回医療(遠隔監視、診断および治療)、車両実時間管理、スマートグリッドの広域監視および制御システムを含んでもよく、mMTCは、高機能装着機器(smart wearables)およびセンサネットワークなど、転送が緊急ではない多数のデバイスを有するシナリオを含んでもよい。第2の目的は、前方互換性を達成することにある。ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution、LTE-A)セルラーシステムへの後方互換性が必要とされないので、完全に新規のシステム設計および/または新奇の特徴の導入が促進される。
【0004】
基礎物理レイヤ信号波形は、非直交波形および多元アクセスに潜在的に対応することになるOFDMに基づくことになる。例えば、DFT-S-OFDMおよび/もしくはDFT-S-OFDMの変形例、ならびに/またはフィルタリング/ウィンドウイングなど、OFDM上の追加機能が、さらに検討されている。LTEでは、CPベースのOFDMおよびDFT-S-OFDMが、ダウンリンクおよびアップリンク送信の波形として、それぞれ用いられている。ダウンリンク、アップリンクおよびサイドリンク用に、波形をできるだけ共通にすることが、NRでの設計目標の1つである。
【0005】
波形の他にも、いくつかの基本フレーム構造およびチャネル符号化方式が、上記目的を達成するように開発されることになる。また、この研究は、上記目的を達成するために、無線プロトコル構造およびアーキテクチャに関し、必要とされることについての共通理解を、得ようとするものである。さらに、同一の隣接スペクトルブロック上の様々なサービスおよび使用事例についてのトラフィックの効率的多重化を含む、新規のRATが上記目的を達成可能とするのに必要な技術的特徴について、検討されることになる。
【0006】
3GPPの第5世代システムにおけるNRの標準化は緒についたばかりであるため、不明瞭のまま残された問題がいくつかある。例えば、低遅延でデータ転送を開始可能としたまま、無線アクセスネットワークおよびコアネットワークにおけるシグナリング、電力消費およびリソース費用を最小化するように、ユーザ機器の新規のRRC状態について、議論が継続中である。ユーザ機器のRRC状態につき、これらの目標を達成すべく、さらなる改良が可能となり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】3GPP TR 38.913 "Study on Scenarios and Requirements for Next Generation Access Technologies," current version 14.1.0 available at www.3gpp.org
【文献】3GPP TR 38.804 v1.0.0
【文献】3GPP TR 38.801 v2.0.0
【文献】3GPP TR 38.301
【文献】3GPP TS 36.321 v14.1.0
【文献】3GPP TS 36.331 v14.1.0
【文献】3GPP TS 36.323 v14.2.0
【文献】3GPP TS 36.413 v14.1.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非限定的かつ例示的な一実施形態により、ユーザ機器のモビリティに対応する改良手順の提供が促進される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般的な第1の側面では、ここに開示する技術は、移動通信システムにおけるユーザ機器を特徴づけている。UEは、第1の無線アクセスネットワーク通知エリアである第1RNA(Radio access network Notification Area)に位置するユーザ機器が、第1RNAとは異なる第2の無線アクセスネットワーク通知エリアである第2RNAへ移動中であるかどうかを判定する処理回路を備える。ユーザ機器は、ユーザ機器がとり得るアイドル状態、接続状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。UEは、ユーザ機器が第2RNAへ移動中であると判定されたとき、第1RNAの識別情報を、第2RNAの第2の無線基地局へ送信する送信機を、さらに備える。UEは、ユーザ機器が第2の無線基地局とアップリンクおよびダウンリンクデータを交換するのに使用可能な、ユーザ機器関連コンテキスト情報を、第2の無線基地局から受信する受信機を、さらに備える。
【0010】
一般的な第1の側面では、ここに開示する技術は、移動通信システムにおけるユーザ機器を動作させる方法を、特徴づけている。この方法は、第1の無線アクセスネットワーク通知エリアである第1RNAに位置するユーザ機器が、第1RNAとは異なる第2の無線アクセスネットワーク通知エリアである第2RNAへ移動中であるかどうかを判定することを含む。ユーザ機器は、ユーザ機器がとり得るアイドル状態、接続状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。この方法は、ユーザ機器が第2RNAへ移動中であると判定されたとき、第1RNAの識別情報を、第2RNAの第2の無線基地局へ送信することを、さらに含む。この方法は、ユーザ機器が第2の無線基地局とアップリンクおよびダウンリンクデータを交換するのに使用可能な、ユーザ機器関連コンテキスト情報を、第2の無線基地局から受信することを、さらに含む。
【0011】
一般的な第1の側面では、ここに開示する技術は、移動通信システムにおける無線基地局を特徴づけている。無線基地局は、ユーザ機器が、第2RNAへ移動する前に位置する第1の無線アクセスネットワーク通知エリアである第1RNAの識別情報を、ユーザ機器から受信する受信機を備える。ユーザ機器は、ユーザ機器がとり得るアイドル状態、接続状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。無線基地局は、アップリンクおよびダウンリンクデータを第2の無線基地局と交換するために、ユーザ機器により利用可能なユーザ機器関連コンテキスト情報を生成するプロセッサを、さらに備える。無線基地局は、生成されたユーザ機器関連コンテキスト情報を、ユーザ機器へ送信する送信機を備える。
【0012】
なお、一般的または具体的実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらから任意に選択された組み合わせとして、実装されてもよい。
【0013】
開示された実施形態のさらなる利点および長所は、明細書および図面から明らかとなる。利点および/または長所は、様々な実施形態、ならびに明細書および図面の特徴から、個々に得られてもよいが、これらは、このような利点および/または長所の1つまたは複数を取得するために、全て提供される必要があるわけではない。
【0014】
以下の例示的実施形態について、添付の図面を参照し、さらに詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】UEがgNBおよびLTE eNBの双方に接続した、3GPP NRシステムの例示的アーキテクチャの図である。
【
図2】LTE eNB、gNBおよびUEの例示的なユーザープレーンアーキテクチャの図である。
【
図3】5G NRのユーザープレーンプロトコルスタックの図である。
【
図4】5G NRの制御プレーンプロトコルスタックの図である。
【
図5】新規のRRC非アクティブ状態を含む、5G NRについて検討されているRRC状態遷移モデルの図である。
【
図6】それぞれいくつかのgNBからなる3つのRANベース通知エリア、およびエリア1のgNB1に接続したUEの図である。
【
図7】競合ベースRACH手順実行時にeNBとUEとの間で交換されるメッセージの図である。
【
図8】非競合RACH手順実行時にeNBとUEとの間で交換されるメッセージの図である。
【
図9】UEおよびeNBの例示的かつ簡易的な構造の図である。
【
図10】本開示の一般的ソリューションによるUEの動作の簡易的かつ例示的なフローチャートである。
【
図11】本開示の様々な実施例によるUEと対象gNBとの間のメッセージ交換の図である。
【
図12】本開示の様々な実施例によるUEと対象gNBとの間のメッセージ交換の図である。
【
図13】本開示の様々な実施例によるUEと対象gNBとの間のメッセージ交換の図である。
【
図14】本開示の様々な実施例によるUEと対象gNBとの間のメッセージ交換の図である。
【
図15】それぞれ7ビット、15ビットのRNA識別に対応したMAC制御エレメントの新規フォーマットの図である。
【
図16】それぞれ7ビット、15ビットのRNA識別に対応したMAC制御エレメントの新規フォーマットの図である。
【
図17】それぞれ7ビット、15ビットのRNA識別に対応したPDCP制御PDUの新規フォーマットの図である。
【
図18】それぞれ7ビット、15ビットのRNA識別に対応したPDCP制御PDUの新規フォーマットの図である。
【
図19】
図11に基づくものの本開示のさらに具体的な実施例によるUEと対象gNBとの間のメッセージ交換の図である。
【
図20】
図12に基づくものの本開示のさらに具体的な実施例によるUEと対象gNBとの間のメッセージ交換の図である。
【
図21】
図13に基づくものの本開示のさらに具体的な実施例によるUEと対象gNBとの間のメッセージ交換の図である。
【
図22】
図14に基づくものの本開示のさらに具体的な実施例によるUEと対象gNBとの間のメッセージ交換の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本開示の基礎>
5G NRシステムアーキテクチャおよびプロトコルスタック
背景技術の節で示したように、3GPPは、100GHzまでに亘る周波数にて動作する新規の無線アクセス技術(NR)の開発を含む、単に5Gと称する、第5世代携帯電話技術の次期リリースに取り組んでいる。3GPPは、差し迫った市場の需要、およびより長期的な要件の双方を適時に満たすNRシステムの標準化を成功させるために必要な技術要素を、特定するとともに開発しなければならない。これを達成するために、無線インターフェースの進化型は、無線ネットワークアーキテクチャとともに、検討項目「新規無線アクセス技術」にて検討されている。結果および合意事項は、技術レポート非特許文献2にまとめられており、このレポートの全てがここに参照により組み込まれる。
【0017】
その他に、システムアーキテクチャ全体について、暫定合意がなされている。NG-RAN(次世代-無線アクセスネットワーク)は、gNBからなり、NG-無線アクセスユーザープレーン(新規AS サブレイヤ/PDCP/RLC/MAC/PHY)、およびUEへ向けた制御プレーン(RRC)終了プロトコルを提供している。これらgNBは、Xnインターフェースにより相互接続している。また、gNBは、NGC(次世代コア)への次世代(NG)インターフェースにより接続され、より具体的には、N2インターフェースによりAMF(アクセスおよびモビリティ管理機能)に接続し、N3インターフェースによりUPF(ユーザープレーン機能)に接続している。NG-RANアーキテクチャを、
図1に示す。
【0018】
様々に異なる配備シナリオが、対応を巡って現在検討中であり、例えば非特許文献3に反映されており、これは全てがここに参照により組み込まれる。例えば、非集中配備シナリオ(非特許文献3の5.2節)が、そこに示されており、5G NRに対応した基地局が配備可能である。
図2は、例示的な非集中配備シナリオを示し、非特許文献4の
図5.2.-1に基づくものであり、LTE eNBとともに、gNBおよびLTE eNB(LTEおよびLTE-Aなど、以前の3GPP規格のリリースによるeNBとして理解される)の双方に接続したユーザ機器(UE:User Equipment)を、追加的に示している。NR 5Gのための新規eNBを、例示的にgNBと称する。
【0019】
非特許文献3に例示的に規定されているように、eLTE eNBは、EPC(進化パケットコア)およびNGC(次世代コア)への接続性に対応したeNBの進化型である。
【0020】
非特許文献2、5.2.1節に現在規定されているように、NRのためのユーザープレーンプロトコルスタックが、
図3に示されている。PDCP、RLCおよびMACサブレイヤは、ネットワーク側のgNBにおいて終端している。さらに、非特許文献2の5.4.5項(sub-clause)に記述されているように、新規アクセス層(AS)サブレイヤが、PDCP上に導入されている。非特許文献2の5.2.2節に規定されているように、NRのための制御プレーンプロトコルスタックが、
図4に示されている。レイヤ2機能の概観は、非特許文献2の5.4.1項に示されている。PDCP、RLCおよびMACサブレイヤの機能は、非特許文献2の5.4.2、5.4.3および5.4.4項に列挙されている。RRCレイヤの機能は、非特許文献2の5.5.1項に列挙されている。非特許文献2の上記の各項は、ここに参照により組み込まれる。
【0021】
5Gシステムのために現在例示的に想定されている新規NR層は、LTE(-A)通信システムに現在用いられているユーザープレーンレイヤ構造に基づいてもよい。ただし、現在のところNRレイヤのあらゆる詳細に至る最終合意はなされていないことに留意されたい。
【0022】
<RRC状態およびRANベース通知エリア>
LTEでは、RRC状態機器は、2つの状態のみからなる。すなわち、高度の電力節減、UE自立的モビリティ、およびコアネットワークへのUE接続性の不確立により主に特徴づけられるRRCアイドル状態と、モビリティが無損失サービス継続性に対応するようにネットワーク制御されつつ、UEがユーザープレーンデータを送信可能なRRC接続状態とである。
【0023】
ここに参照により組み込まれる非特許文献2の5.5.2節に現在規定されているように、NR 5GのRRCは、以下の3つの状態に対応する。すなわち、RRCアイドル、RRC非アクティブ、およびRRC接続であり、
図5に示すような以下の状態遷移が可能で、その多くの側面は、以下のようにさらに検討されている。
・ RRC_IDLEからRRC_CONNECTEDへ、以下は「接続設定」手順(例えば、要求、設定、完了)、
・ RRC_CONNECTEDからRRC_IDLEへ、以下は(少なくとも)「接続解放」手順、
・ RRC_CONNECTEDからRRC_INACTIVEへ、以下は「接続非アクティブ化」手順、
・ RRC_INACTIVEからRRC_CONNECTEDへ、以下は「接続アクティブ化」手順、
・ RRC_INACTIVEからRRC_IDLE(一方向)。
【0024】
明らかなように、シグナリング、電力節減、レイテンシなどの点で、非常に様々な要件のある、eMBB(enhanced Mobile Broadband)、mMTC(massive Machine Type Communications)およびURLLC(Ultra-Reliable and Low-Latency Communications)など、より広い範囲のサービスに対応する場合に、利益を提供するように、5G 3GPPの新規無線技術について新規のRRC状態である非アクティブが定義されている。このように、新規のRRC非アクティブ状態は、無線アクセスネットワークおよびコアネットワークにおけるシグナリング、電力消費およびリソース費用を最小化可能となるとともに、例えば、低遅延でデータ転送を開始可能ともなるように、設計されるべきである。RRC非アクティブ状態におけるユーザ機器は、ここに参照により組み込まれる非特許文献2のAnnex Gで検討されているように、RRC接続状態への完全な状態遷移を必ずしも実行することなく、小規模のアップリンクデータ転送に対応してもよい。
【0025】
様々な状態は、以下のように、非特許文献2の5.5.2項に特徴づけられている。
・ RRC_IDLE:
- セル再選択モビリティ、
- [FFS: UE ASコンテキストは、どのgNBやUEにも格納されていない、]
- ページングは、CNにより開始される、
- ページングエリアは、CNにより管理される、
- UE ASコンテキストは、どのgNBやUEにも格納されていない。
・ RRC_INACTIVE:
- セル再選択モビリティ、
- CN-NR RAN接続(C/U-プレーン双方)は、UEのために確立している、
- UE ASコンテキストは、少なくとも1つのgNBおよびUEに格納されている、
- ページング/通知は、NR RANにより開始される、
- RANベース通知エリアは、NR RANにより管理される、
- NR RANは、UEが属するRANベース通知エリアを認識している。
・ RRC_CONNECTED:
- UEは、NR RRC接続を有する、
- UEは、NRにおけるASコンテキストを有する、
- NR RANは、UEが属するセルを認識している、
- UEとの間のユニキャストデータの転送、
- ネットワーク管理モビリティ、すなわち、NR内、およびE-UTRANとの間のハンドオーバ。
【0026】
新規のRRC非アクティブ状態の上記特徴から明らかなように、RRC非アクティブのUEについて、接続(ユーザープレーンおよび制御プレーンの双方に対し)は、RANおよびコアネットワークに維持されている。さらに、そのセル内のユーザ機器のためのページング機構(通知機構と称することもある)は、いわゆる無線アクセスネットワーク、RANベースの通知エリア(短RNA内で)に基づいている。無線アクセスネットワークは、ユーザ機器が位置する現在のRNAを認識することになり、ユーザ機器は、gNBが、様々なRNA間でのUEの移動を追跡することを補助してもよい。RNAは、UEに特有であり得る。
【0027】
RNAは、単一または複数のセルに対応し得る。それは、RRCアイドル状態にあるUEを追跡するのに用いるコアネットワークエリアよりも小さいことがある。RRC非アクティブ状態にあるUEが、現在のRNAの境界内にあるときには、その位置をRAN(例えば、gNB)に対して更新する必要はない。しかしながら、それに応じて、その現在のRNAから離れるとき(例えば、および他のRNAへと移動するとき)、UEは、その場所をRANに対して更新してもよい。RNAがどのように構成および定義されているかについての最終合意は、まだなされていない。ここに参照により組み込まれる非特許文献2の5.5.2.1項は、現在検討中の可能な選択肢について言及している。
【0028】
図6は、それぞれいくつかのgNBからなるいくつかのRNAがある例示的シナリオを示す。UEは、RNA1に属するgNB1に接続しており、RNA2のgNB2へ移動するものとする。
【0029】
一選択肢によると、RANベース通知エリアを構成するセルのリストが規定されている。UEには、現在のどのRNAにおいて現在のセルに基づくか判定できるように、セルの明示的リストが提供される(例えば、個別のシグナリング、すなわち、直接的にUE宛のシグナリング、例えば、RRC接続再構成メッセージにより)。他の選択肢によると、各RANエリアは、RNA IDにより特定される。各セル、具体的にはgNBは、セルがどのエリアに属すのかUEに分かるように、(少なくとも1つの)RNA ID(例えば、そのシステム情報内で。あるいはまたはさらに、この情報は個別シグナリングを用いるUEへ送信可能)をブロードキャストする。現時点では、いずれかまたは双方の選択肢に対応するかどうかについて、決定はなされておらず、あるいは、将来的には、異なるソリューションについて合意がなされるかもしれない。また、ビットサイズなど、RNA IDについて、詳細は分かっていない。
【0030】
なお、RRCアイドル状態にあるUEは、CN開始ページング(LTEと同一または同様)が可能となるように、コアネットワークがその場所をトラッキングすることを支援する(CNベースのトラッキング)。LTEは、コアネットワークが、このUEのための実際のトラッキングエリアとみなすTAI(トラッキングエリア識別)のリストを提供することにより、UEについての個別のトラッキングエリアサイズを提供する機構を導入した。UEが、TAのリストの統合エリアから離れるとき、UEは、NASトラッキングエリア更新(TAU)手順を開始する。5G NRにおけるRRCアイドル状態にあるUEのモビリティを支援する、同一または同様の手法が予測される。コアネットワークエリアは、RANベース通知エリアとは異なるように規定されてもよく、RANベース通知エリアは、コアネットワークエリアより大きいかあるいは小さいものと推定される。
【0031】
<RACH手順>
RRC非アクティブ状態にあるUEは、RRC接続状態に完全に移行しないままで小規模のデータ転送に対応していてもよく、RACH(ランダムアクセスチャネル)手順を再利用して、無線リソースの割当を得て小規模データを転送してもよい。5G NRにおけるRACH手順に関して、最終的な合意はなされていない。ここに参照により組み込まれる非特許文献2の9.2節に記述されているように、NR RACH手順は、LTEについて規定されているのと同じかあるいは同様に、競合ベースおよび非競合ランダムアクセスの双方に対応していてもよい。また、NR RACH手順の設計は、LTEにおけるのと同様、柔軟なメッセージ3のサイズに対応することになる。
【0032】
LTE RACH手順については、
図7および
図8を参照して、より詳細に後述する。LTEにおける移動端末は、そのアップリンク送信は時刻同期している場合、アップリンク送信のみを予定している。したがって、ランダムアクセスチャネル(RACH)手順は、非同期移動端末(UE)とアップリンク無線アクセスの直交送信とのインターフェースとして、重要な役割を演ずる。基本的に、LTEでのランダムアクセスは、アップリンク同期を得ていないかあるいは失ったユーザ機器のため、アップリンク時刻同期を実現するために用いられる。一旦、ユーザ機器がアップリンク同期を達成すると、eNodeBは、そのためにアップリンク送信リソースをスケジューリングすることができる。したがって、以下のシナリオは、ランダムアクセスに関する。
・ RRC_CONNECTED状態にあるもののアップリンク同期していないユーザ機器は、新規のアップリンクデータまたは制御情報を送信しようとしている
・ RRC_CONNECTED状態にあるもののアップリンク同期していないユーザ機器は、ダウンリンクデータを受信することが必要であるため、対応するHARQフィードバック、すなわちACK/NACKをアップリンクで送信する必要がある。また、このシナリオは、ダウンリンクデータ送達(Downlink data arrival)とも称する
・ RRC_CONNECTED状態にあるユーザ機器は、対象セル内でアップリンク時刻同期を実現するために、現在サービス提供しているセルから、新しい対象セルへハンドオーバし、ランダムアクセス手順が実行される
・ 例えば、初期アクセスまたはトラッキングエリア更新のためのRRC_IDLE状態からRRC_CONNECTEDへの遷移
・ 無線リンク障害からの回復、すなわちRRC接続再確立
【0033】
ユーザ機器が、ユーザ機器が時刻同期していないのにランダムアクセス手順を行う、1つまたは複数の追加的事例がある。このシナリオにおいて、スケジューリング要求を送信するために割り当てられた何らかの他のアップリンクリソースがない、すなわち、個別スケジューリング要求(D-SR)チャネルが設定されていない場合、ユーザ機器は、スケジューリング要求、すなわち、アップリンクバッファ状態報告を、そのeNodeBへ送信するために、ランダムアクセス手順を用いる。
【0034】
LTEは、2種類のランダムアクセス手順を提供している。すなわち、衝突のリスクが内在することを意味する競合ベース、あるいは、非競合(非競合ベース)のいずれかであるアクセスを可能とする。なお、競合ベースのランダムアクセスは、上記の6つのシナリオの全てに適用可能であるが、非競合ベースのランダムアクセス手順は、ダウンリンクデータ送達およびハンドオーバシナリオにのみ適用可能である。ランダムアクセス手順についての詳細な説明は、ここに参照により組み込まれる非特許文献5、5.1.節にもある。
【0035】
以下、LTE競合ベースランダムアクセス手順について、
図7についてより詳細に説明する。この手順は、4つの「ステップ」からなる。まず、ユーザ機器は、ランダムアクセスプリアンブルを、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)で、eNodeB(すなわち、RACH手順のメッセージ1)へ送信する。プリアンブルは、eNodeBが競合ベースアクセス用に予約した、利用可能なランダムアクセスプリアンブルの組から、ユーザ機器により選択される。LTEでは、非競合および競合ベースのランダムアクセスに使用可能なプリアンブルが、セル毎に64個ある。プリアンブルの選択が、第1のスケジューリング送信に必要な送信リソース量に関する情報を示す1ビットの情報に対応するように、競合ベースのプリアンブルの組は、さらに2つのグループに分類され得る。このスケジューリング送信を、非特許文献5におけるメッセージ3(msg3)と称する。セル内でブロードキャストされたシステム情報は、2つのサブグループの各々におけるシグネチャ(preambles)の情報を、各サブグループの意味とともに含む。ユーザ機器は、メッセージ3送信に必要な送信リソースのサイズに対応したサブグループから、1つのプリアンブルをランダムに選択する。
【0036】
eNodeBは、RACHプリアンブルを検出した後、ランダムアクセスレスポンス(RAR:Random Access Response)メッセージ(RACH手順のメッセージ2)を、PDCCH上にアドレッシングされたPDSCH(物理ダウンリンク共有チャネル)上で、プリアンブルが検出された時間周波数スロットを特定する(ランダムアクセス)RA-RNTIにて送信する。複数のユーザ機器は、同じRACHプリアンブルを同じPRACHリソースで送信した場合、これは衝突とも称するものであり、同じランダムアクセス応答メッセージを受信することになる。
【0037】
RARメッセージは、検出されたRACHプリアンブル、後続のアップリンク送信を同期するためのタイミング調整コマンド(TA command)、第1のスケジューリング送信を行うとともに一時セル無線ネットワーク一時識別子(Temporary Cell Radio Network Temporary Identifier:T-CRNTI)を割り当てるための初期アップリンクリソース割当(グラント)を、搬送してもよい。このT-CRNTIは、現時点での移動体の「実際の(real)」身元がeNodeBにより認識されていないため、RACH手順完了までにRACHプリアンブルが検出された移動体をeNodeBがアドレッシングするのに用いられる。
【0038】
ユーザ機器は、eNodeBが設定した所与の時間ウィンドウ内で、ランダムアクセス応答メッセージを受信するために、PDCCHを監視する。ユーザ機器は、設定された時間ウィンドウ内でランダムアクセス応答を受信できない場合、潜在的なバックオフ期間も考慮した次のPRACH機会にて、プリアンブルを再送する。
【0039】
eNodeBから受信したRARメッセージに応じて、ユーザ機器は、ランダムアクセス応答内のグラントにより割り当てられた無線リソースで、第1のスケジューリングアップリンク送信を行う。このスケジューリングアップリンク送信は、例えば、RRC接続要求またはバッファ状態レポートのような、実際のランダムアクセス手順メッセージを搬送する。さらに、RRC_CONNECTEDモードにあるユーザ機器のためのC-RNTI、または、ユーザ機器がRRC_IDLEモードにある場合には一意の48ビットユーザ機器識別のいずれかが含まれる。
【0040】
最初のRACH手順にてプリアンブル衝突が発生すると、すなわち、複数のユーザ機器が同じプリアンブルを同じPRACHリソースで送信すると、衝突しているユーザ機器は、ランダムアクセス応答内で、同じT-CRNTIを受信することになり、RACH手順の第3のステップでスケジューリング送信するときに、同じアップリンクリソースにて衝突することにもなる。これにより、衝突しているユーザ機器からの送信がeNodeBにて復号不能となる干渉がもたらされ、ユーザ機器は、スケジューリング送信について最大再送回数に達した後、ランダムアクセス手順を再開することになる。あるユーザ機器からのスケジューリング送信のeNodeBによる復号が成功した場合に、他のユーザ機器については、競合は解決されないままである。
【0041】
この種の競合を解決するために、eNodeBは、C-RNTIまたは一時C-RNTIにアドレッシングされた競合解決メッセージ(第4のメッセージ)を送り、後者の場合、ステップ3のスケジューリング送信に含まれる48ビットユーザ機器識別をエコーする。それはHARQに対応している。第3のメッセージの復号に成功した後の衝突の場合、HARQフィードバック(ACK/NACK)は、自身の識別、C-RNTIあるいは一意のユーザ機器IDのいずれかを検出するユーザ機器によって送信されるだけである。他のUEは、RACH手順のステップ1で衝突があることを認識し、現在のRACH手順を迅速に終えて、他の手順を開始することができる。
【0042】
図8は、競合ベースのランダムアクセス手順と比較して簡略化された、3GPP LTEの非競合ランダムアクセス手順を示す。eNodeBは、衝突、すなわち複数のユーザ機器が同じプリアンブルを送信するリスクがないように、第1のステップにて、ランダムアクセスで用いるプリアンブルをユーザ機器に提供する。このため、ユーザ機器は、次に、PRACHリソース上のアップリンクにてeNodeBによりシグナリングされたプリアンブルを送る。非競合ランダムアクセスにつき、複数のUEが同じプリアンブルを送るケースが避けられるので、競合の解決が不要となり、そして、これは、
図7に示す競合ベースの手順の第4のステップが省略されることを意味する。基本的に、非競合ランダムアクセス手順は、UEがランダムアクセス応答の受信に成功した後に終了する。
【0043】
キャリアの集合が設定されると、競合ベースのランダムアクセス手順の最初の3ステップが、PCell上で発生するとともに、PCellにより競合の解決がクロススケジューリングされる。
【0044】
このように、
図7および
図8に関連して説明した、同様または同一のRACH手順が、5Gの新しい無線技術のために将来採用され得る。
【0045】
ただし、3GPPは、5G NRについての2段階RACH手順についても検討中であり、ここでは、4段階RACH手順におけるメッセージ4に対応するメッセージ1は、最初に送信される。そして、gNBは、LTE RACH手順のメッセージ2および4に対応するメッセージ2に対して応答することになる。メッセージ交換が減るため、2段階手順のレイテンシは、4段階手順に比べて減少する場合がある。メッセージのための無線リソースは、ネットワークにより構成されてもよい。
【0046】
<UEコンテキスト情報>
LTEと同様、NR 5Gは、UEコンテキストも利用して、UEと、gNBおよびMME(モビリティ管理エンティティ)などのような他のエンティティとの間の通信に関連した重要情報を格納することが、期待されている。UEがeNBとのRRC接続を確立すると、通例、UEコンテキストのいくつかが生成されて格納される。さらに、UEのためのコンテキストは、UEがネットワークに属したときに、コアネットワーク内のMMEにて確立されてもよい。
【0047】
このようなUEコンテキストは、加入情報、UE性能、無線ベアラのリスト、論理チャネルの情報、セキュリティコンテキスト(暗号および復号鍵、RRCおよびユーザープレーン暗号鍵、RRCインテグリティ鍵を含む)などの様々な異なる種類の情報を保持してもよい。実際に必要な情報は、具体的実装次第であり、実質的に様々である。
【0048】
RRCアイドルモードにあるUEについて、MMEがUEコンテキストを保持し続けていても、全てのUE関連情報が、アクセスネットワーク内で開放される。このように、UEがアクティブになる度に、すなわち、RRCアイドルからRCC接続への遷移の度、MMEは、UEコンテキスト情報をeNBに提供してもよい。これにより、eNBは、UEコンテキストを作成して、UEを管理することが可能となる。
【0049】
UEコンテキスト、具体的にはその中の情報は、UEがRRC接続モードにあるときのハンドオーバなど、モビリティ手順においても交換される。UEが移動すると、ネットワークは、UEに関する全ての情報、すなわちUEコンテキスト(何らかのバッファリングされたデータの場合もある)を、旧eNB(転送元)から新eNB(転送先)へ転送することができる。
【0050】
LTEにおける一例示的実施例では、ASコンフィグ(AS-Config)と称するノード間RRC情報要素を用いて、UE関連コンテキスト情報のいくつかが交換される。ASコンフィグは、転送元eNB内のRRC構成情報についての情報を含み、これは、転送先eNBが、ハンドオーバ準備段階の際に、RRC構成を変更する必要性を判定するのに利用可能である(ここに参照により組み込まれる非特許文献6、10.3節参照)。
【0051】
<AS構成情報要素>
-- ASN1START
AS-Config ::= SEQUENCE {
sourceMeasConfig MeasConfig,
sourceRadioResourceConfig RadioResourceConfigDedicated,
sourceSecurityAlgorithmConfig SecurityAlgorithmConfig,
sourceUE-Identity C-RNTI,
sourceMasterInformationBlock MasterInformationBlock,
sourceSystemInformationBlockType1 SystemInformationBlockType1(WITH COMPONENTS
{..., nonCriticalExtension ABSENT}),
sourceSystemInformationBlockType2 SystemInformationBlockType2,
antennaInfoCommon AntennaInfoCommon,
sourceDl-CarrierFreq ARFCN-ValueEUTRA,
...,
[[ sourceSystemInformationBlockType1Ext OCTET STRING (CONTAINING
SystemInformationBlockType1-v890-IEs) OPTIONAL,
sourceOtherConfig-r9 OtherConfig-r9
-- sourceOtherConfig-r9 should have been optional. A target eNB compliant with this transfer
-- syntax should support receiving an AS-Config not including this extension addition group
-- e.g. from a legacy source eNB
]],
[[ sourceSCellConfigList-r10 SCellToAddModList-r10
OPTIONAL
]],
[[ sourceConfigSCG-r12 SCG-Config-r12
OPTIONAL
]]
}
AS-Config-v9e0 ::= SEQUENCE {
sourceDl-CarrierFreq-v9e0 ARFCN-ValueEUTRA-v9e0
}
AS-Config-v10j0 ::= SEQUENCE {
antennaInfoDedicatedPCell-v10i0 AntennaInfoDedicated-v10i0
OPTIONAL
}
AS-Config-v1250 ::= SEQUENCE {
sourceWlan-OffloadConfig-r12 WLAN-OffloadConfig-r12
OPTIONAL,
sourceSL-CommConfig-r12 SL-CommConfig-r12
OPTIONAL,
sourceSL-DiscConfig-r12 SL-DiscConfig-r12
OPTIONAL
}
AS-Config-v1320 ::= SEQUENCE {
sourceSCellConfigList-r13 SCellToAddModListExt-r1
OPTIONAL,
sourceRCLWI-Configuration-r13 RCLWI-Configuration-r13
OPTIONAL
}
AS-Config-v14x0 ::= SEQUENCE {
sourceSL-V2X-CommConfig-r14 SL-V2X-ConfigDedicated-r14
OPTIONAL
}
-- ASN1STOP
【0052】
注:AS構成は、無線インターフェースシグナリング要件に対応するように主として作成された情報要素を、再利用する。したがって、情報要素は、例えば、MasterInformationBlockに含まれるSFNなど、転送先eNBとは無関係のパラメータをいくつか含んでもよい。
【表1】
【0053】
表1から明らかなように、AS構成情報要素は、セキュリティアルゴリズム構成を含み、これは、暗号および復号鍵、旧UE識別、転送元のセルで用いられたC-RNTI、および他の多くの情報項目を含む。
【0054】
「コンテキストエリア」は、格納されたUEアクセス層(AS)コンテキストに直接アクセスする単一のセルまたはセルグループとして定義され得る。RNAの全セルが、単一のgNBにより制御されるなら、UEコンテキストは、RNAのレベルで管理されることになる。UEがそのRNA内でセル再選択を行ったとしても、データ転送が発生し得るセルに関わらず、UEコンテキスト(セキュリティ鍵のある)は維持されることになる。RRC非アクティブ内のUEコンテキストは、例えば、無線ベアラ、論理チャネル、およびセキュリティの構成を含む。
【0055】
なお、5Gの新規無線技術のために、3GPP標準化が進行中であり、上記のように想定されたレイヤおよびエンティティの術語は、本発明の実施形態の機能に影響することなく、規範段階(normative phase)にて変更可能である。
【0056】
上記段落で説明したように、5Gセルラーシステムは、新規のRRC非アクティブ状態を導入中であり、この状態において、UEは、gNBによりRANレベルにて構成されたRANベース通知エリアに基づくモビリティおよびページングに対応してもよい。RRC非アクティブモードにあるUEのモビリティは、実装時に起こり得る何らかの欠点を避けるように、3GPPに適切に定義される必要がある。UEがRRC非アクティブモードにあって同じRANベース通知エリアにはない別のセルへ移動するシナリオが、検討されることになる。NR 5GにおけるRRC非アクティブ状態について定義される手順およびメカニズムにより、gNBおよび/またはUEにてUEコンテキストが失われる事例を避けやすくなり、例えば、正確な暗号鍵(復号鍵)を用いてアップリンクおよびダウンリンクデータができるだけ早く交換可能となる。例えば、UEが新gNBへ移動した後に(旧gNBからの)旧暗号鍵を用いる場合、新gNBは、UEが旧暗号鍵を用いているため、アップリンクデータを復号することができない。このように、メカニズムおよび手順は、暗号鍵をできるだけ早く同期可能とすることになる。RNA内およびRNA間を移動するとき、RRC非アクティブ状態にあるUEは、gNBから送信された通知(ページング)メッセージまたは任意の他のダウンリンクメッセージを受信可能になる。
【0057】
このように、本開示は、短所のうちの1つもしくは複数を克服しやすくするソリューションを提示し、かつ/または、上述の要件のうちの1つもしくは複数を満たすことになる。
【0058】
<本開示の詳細な説明>
以下に、UE、基地局、および手順を、5G移動通信システムに想定される新規の無線アクセス技術について説明する。様々な実施例および変形例についても説明する。以下の詳細な開示は、上記の「本開示の基礎」の節で述べた検討および結論により分かりやすくなり、少なくともその一部に基づく。
【0059】
しかしながら、一般に、5Gセルラー通信システムに関しては、実際に合意されているのはわずかの事項に過ぎず、本開示を明瞭に基礎として原理を説明することができるように、以下に多くの想定をする必要がある。ただし、これらの想定は、本開示の範囲を限定しない例示に過ぎないものと、理解されるべきである。当業者は、以下の開示の原理、および特許請求の範囲に示すものは、様々なシナリオに、そして、ここでは明示的に記載されていない態様で適用可能であることが、分かるであろう。
【0060】
さらに、次期3GPP 5G通信システムのための新規の無線アクセス技術のコンテキストに用いられる具体的術語は、完全に決まっていないものの、以下で用いる用語は、LTE/LTE-Aシステムと、あるいは3GPP 5Gのための現行の検討項目で用いる術語と、密接に関連している。したがって、当業者には、本発明およびその保護範囲は、新規または最終合意した術語がないためにここに例示的に用いられている特定の用語に限定されるべきではなく、本開示の機能および原理の基礎となる機能および概念に関して、より広く理解されるべきであることが分かる。
【0061】
例えば、移動局または移動ノードまたはユーザ端末またはユーザ機器(UE)は、通信ネットワークにおける物理的エンティティである。あるノードは、いくつかの機能エンティティを有していてもよい。機能エンティティは、機能の所定の組を、あるノードもしくはネットワークの他の機能エンティティに実装かつ/もしくは提供するソフトウェアまたはハードウェアモジュールのことである。ノードは、ノードが通信可能な通信設備または媒体にノードを付す1つまたは複数のインターフェースを有する。同様に、ネットワークエンティティは、他の機能エンティティもしくは対応するノードと通信し得る通信設備または媒体に、機能エンティティを付す論理インターフェースを有していてもよい。
【0062】
「基地局」または「無線基地局」なる用語は、ここでは、通信ネットワーク内の物理エンティティのことである。物理エンティティは、通信装置について、いくつかの制御タスクを実行し、スケジューリングおよび構成のうちの1つまたは複数が含まれている。なお、基地局機能および通信装置機能は、単一の装置内に統合されもよい。例えば、移動端末は、他の端末のための基地局の機能をも、実装してもよい。LTEにおいて用いる術語は、eNB(またはeNodeB)であるが、5G NRについて現在用いている術語は、gNBである。
【0063】
図9は、ユーザ機器(通信装置とも称する)およびスケジューリング装置(ここでは、例えばLTE eNBまたは5G NRにおけるgNBである基地局内に、位置するものと想定される)の一般的で簡略な例示的ブロック図を示す。UEおよびeNB/gNBは、トランシーバを用いて、(無線)物理チャネルで相互に通信する。
【0064】
通信装置は、トランシーバおよび処理回路を備えてもよい。そして、トランシーバは、受信機および送信機を備えてもよい。処理回路は、1つまたは複数のプロセッサまたはいくつかのLSIなど、1つまたは複数のハードウェアであってもよい。トランシーバと処理回路との間には、処理回路が動作時にトランシーバを制御可能、すなわち、受信機および/または送信機を制御し、送受信されたデータを交換することが可能な、入出力点(またはノード)がある。トランシーバは、1つまたは複数のアンテナ、増幅器、RF変復調器などを含むRFフロントを、含んでもよい。処理回路は、制御タスクを実装して、トランシーバを制御し、処理回路により提供されるユーザデータおよび制御データを送信し、かつ/または、ユーザデータおよび処理回路によりさらに処理される制御データを受信してもよい。
【0065】
簡潔で例示的なシナリオが以下のように想定されている。
図6に示すように、UEは、現在、RANベース通知エリア1(RNA1)のgNB1に属し、他のRNA2へと移動中である。UEが、RRC接続モードにあるgNB1とデータ交換することが、さらに例示的に想定されている。それに応じて、通常どおり、相互に通信する処理における他のものの中で、UEおよびgNB1にて双方のエンティティにより用いられる必要な情報が、例えばUEコンテキストの形式で、少なくとも確立された(例えば、ユーザデータを交換)。例示的には、このような情報は、以下のうちの1つまたは複数を含んでもよい。すなわち、セキュリティ情報(暗号復号鍵またはインテグリティ保護用の情報など)、UEとgNB1との間で確立したデータ接続の情報、UE性能情報(例えば、無線アクセス技術、E-UTRA、UTRA、…、UEカテゴリなど)、無線リソース構成など。「データ接続」なる用語は、データが交換可能な任意の接続、例えば、無線ベアラ(シグナリング無線ベアラおよび/またはデータ無線ベアラ)を一般的に示すために用いられ得る。
【0066】
MME(モビリティ管理エンティティ)またはコアネットワーク内のサービス提供中のゲートウェイなど、他のエンティティにおいても、UEに関するコンテキストが確立されてもよい。
【0067】
3GPPにより現在開発中の5Gセルラー通信システムの新規の無線(NR:new radio)技術に、UEが対応していることが、さらに例示的に想定されている。これは、
図5の5G NR状態遷移モデルと関連して上述したように、新規のRRC状態、RRC非アクティブへの対応を含む。
【0068】
UEは、結局のところ、RRC非アクティブモードへと遷移するものとする。UE状態遷移は、例えば、サービス提供中の基地局、すなわちここではgNB1の制御下にあってもよい。RRC非アクティブモードへ遷移する理由の1つは、gNB1とUEとの間で、データが、交換されないかあるいは少量のみ交換されることであり、gNB1が、例えばUE内で節電すべく、RRC非アクティブモードを利用することを決定してもよい。このように、gNB1は、例えば、RRC接続中断メッセージ(この他に、RRC接続停止メッセージなどと称してもよい)など、適切なRRCメッセージを送信することにより、UEに対し、RRC非アクティブモードへ遷移するように指示する。
【0069】
UEは、RRC非アクティブモードにあるとき、モビリティ手順に対応および支援するように構成されていてもよい。RRC非アクティブ状態にあるUEには、例えば、gNBsおよび/またはコアネットワークエンティティ(例えば、MME)により、ページングまたは通知メカニズムを用いて、連絡可能となる。UEは、その位置を、無線アクセスネットワークおよび/またはコアネットワークにて更新することにより、この手順を支援してもよい。上述のように、RANベース通知エリア(RNA)は、RANレベルにてUEの位置を追跡するように定義されている。以下の説明において、RNAは、RNA IDに基づいて特定され、これは例えば、システム情報内の無線セルにおける各gNBによるブロードキャスト(例えば、通例、LTEで知られているシステム情報ブロック(SIB:system information block)の形式)によることが、例示的に想定されている。RNA IDが、以下の説明において例示的に想定されているものの、RANベース通知エリアは、例えば、上述のように各RNAを含むセルIDのリストを用いて、別様に定義されてもよいことに留意されたい。
【0070】
UEは、必要なときにはいつでも例えば、UEが新しいRNAにいると、かつ/または定期的である(例えば、対応するタイマが終了した後)と判定するとき、RNA更新手順を行ってもよい。例えば、UEは、新しいRNA内に位置したときを判定して、RNA更新手順を実行する。RNA更新手順は、UEが新しいgNBにその古いRNAを通知することを含む。
図6の例示的シナリオでは、UEは、新しい別のRNA2に到達すると、gNB2にその旧RNA1を通知する。これは、例えば、RNA1の識別情報(RNA IDなど)をgNB2に送信することによりなされてもよい。
【0071】
そして、gNB2は、例えば、旧gNB1と通信するときに、UEによりRNA1内で用いられる旧UEコンテキストを、取得することができる。このように、gNB2は、UEと適切に通信可能とする任意のUE関連情報を更新すべきかどうかが、分かるようになる。このように、gNB2は、UEが新gNB2と通信するのに使うことになる、対応する更新UEコンテキスト情報を、UEに提供することになる。例えば、UEコンテキストの一部であるセキュリティ情報は、更新されてもよく(例えば、暗号および復号鍵)、あるいは無線ベアラの構成情報、またはMACもしくはDRX構成の一部も、更新されてもよい。
【0072】
図10は、上述の実施形態の基本的実施例による、UE側の処理のシーケンス図を示す。そこから明らかなように、UEは、3つの主要処理を実行する。すなわち、UEが新RNAへ移動中であるかどうかを判定し、UEがRNA更新手順を新基地局(ここではgNB2)で実行している場合、これに応じて、UEが、UEと新基地局との通信がしやすくなるように、新基地局から更新されたUE関連コンテキスト情報を受信する。
【0073】
このように、UEは、かなり初期の段階で、必要な情報の提供を受け、新gNB2との間でメッセージを送受信する。これにより、UEは、ページング/通知メッセージによって連絡可能となり、ダウンリンクメッセージもUEに提供され得る。gNB2とUEとの間でUEコンテキストが同期しているので(基本的に、UEおよびgNB2にて同じ必要情報が入手可能)であるため、エンティティ間の通信は、ただちに可能となる。換言すると、UEは、新gNBへデータを送信するために、更新されたUEコンテキスト情報を用いることができ、逆に、新gNBからデータを受信するために、更新されたUEコンテキスト情報を用いることができる。
【0074】
図10を参照して上述した基本的実施形態のいくつかの他の変形例および実施例が、可能である。
【0075】
上述のように、UEは、新RNA内に位置すると判定する。RNAがRNA IDに基づいて特定されるものとして、この判定処理は、旧gNBから受信したRNA IDと新gNBから受信したRNA IDとの比較を含んでもよい。それにより、旧RNA IDが新RNA IDとは異なるとき、UEは、新しいRAN通知エリアへ移動したと判断することになり、さらに、RNA更新手順を実行するように判断することができる。
【0076】
RNA更新手順は、以下に説明するように、別様に実装可能である。実施例のいくつかは、UEと新gNB2との間で実行可能なRACH手順のメッセージを再利用することになる。上述のように(例えば、
図7および
図8を参照)、LTE-(A)について既に標準化されたものと同様または同一のRACH手順は、5G NR(非特許文献2参照)について、4ステップ手順または2ステップ手順のいずれかとして、現在検討中である。上述のように、RACH手順は、gNBからリソースグラントを得るためにUEにより使用可能であり、本例では、割り当てられた無線リソースを用いてRNA更新手順を実行する。
【0077】
RNA更新手順の一実施例について、
図11を参照して説明する。本例示的実施例では、UEは、新RNA内に位置すると判断すると、RACH手順を開始して、RACHプリアンブルを、RACH手順の第1のメッセージとして、新gNBへ送信することになる。通常どおり、新gNBは、RAR(ランダムアクセス応答)メッセージで応答することになる。このメッセージは、UEにより使用可能な無線リソースの割当を少なくとも含み、タイミングアドバンス値(Timing Advance value)および一時C-RTNIなどの他の情報を、必要に応じて含むことがある。
【0078】
UEは、割り当てられた無線リソースを用いて、旧(転送元)RNAの識別情報(例えば、RNA ID)を、第3のRACHメッセージにて送信する。より詳細には、第3のRACHメッセージは、LTE-(A)のために標準化されたRACH手順から既に知られているRRC接続要求メッセージなどのRRCメッセージであってもよい。LTE-(A)RACHおよびRRC手順を再利用する具体的実施例を考慮し、RRC接続要求メッセージの新しい原因が定義され得る。この新しい原因は、UEがRNA更新手順を実行するものと特定する。
【0079】
RNA更新手順の他の実施例は、UEが、その旧RNAの識別情報を新gNBへ送信するために、RACH手順の第1のメッセージを用いる。
図12に示すように、開始されたRACH手順の第1の段階としてUEにより実行されるRACHプリアンブルメッセージ送信は、新gNBへの旧RNA IDにも対応し得る。一例示的実施例では、2段階RACH手順が提供され得る。ここでは、UEから新gNBへ送信される第1のメッセージは、RNA IDとともにプリアンブルを含み、新gNBからUEへ送信される第2のメッセージは、通例の4段階RACH手順の第2および第4のメッセージの組み合わせである。
【0080】
UEがこの2段階RACH手順の第1のメッセージを送信するための無線リソースは、事前に予約され得る。例えば、新gNBにより、その無線セル内でシステム情報(例えば、システム情報ブロックメッセージ)を用いて、ブロードキャストされる。そして、このように予約された無線リソースは、UEが第1のRACH手順送信を実行するために用いられ得る。この送信は、旧RNA IDの送信をも含む。旧RNA IDは、プリアンブルシーケンスの送信に続くPUSCHにて送信可能である。一例示的実施例では、OFDMシンボルの最初の3つは、プリアンブルを送信するために利用可能であり、OFDMシンボルの次の3つは、PUSCHを送信するために利用可能であり、RNA IDを含む。最後のOFDMシンボルは、タイミング調整のために利用可能である。
【0081】
さらに別の変形例では、プリアンブル部とDMRS(復調参照信号)のいずれかは、新gNBが、旧RNA IDを含むPUSCH部受信用のチャネル評価をするために利用可能である。
【0082】
旧RNA IDを新gNBへどのように送信するかに関する、さらに別の選択肢が、
図13および
図14に示されている。
図13から明らかなように、UEは、MACレイヤの制御エレメント(CE:Control Element)を用いて、旧RNA(ここでは、RNA ID)の識別情報を新gNBへ転送してもよい。一例示的実施例では、新MAC CEが定義されてもよく、そのフォーマットは、RNA IDの実際のサイズによって決まる。RNA IDに対応した新MAC CEの2つの異なる例示的フォーマットについて、
図15および
図16に示す。
図15に示すMAC CEフォーマットは、RNA IDについて7ビットのサイズを想定する一方、
図16に示すMAC CEフォーマットは、RNA IDについて15ビットのサイズを想定している。第2オクテットのFビットフィールドがF2フィールドと組み合わされることで、UEは、F-ビットフィールドに続くRNA IDフィールドが、7ビット長であるか15ビット長であるかに分化させることができる。これは、LTE標準に既に実装されており、ここに参照により組み込まれる非特許文献5の6.2.1節を参照されたい。Rフィールドは、現時点では特定の機能がないものの将来的に用いられ得る予約ビットを示す。
【0083】
5ビットLCIDフィールドにより、様々な種類のMAC制御エレメントに分化させることができる。多くのLCID値は、例えば、パワーヘッドルーム報告(power headroom report)、バッファ状態報告、タイミング進行コマンド、DRXコマンドなどを特定するように、既に定義されている。上述のRNA更新手順に用いられるMAC制御エレメントを特定するために、未使用LCID値(ここに参照により組み込まれる非特許文献5のTable 6.2.1-1、82頁により明らかなように、LTE-(A)では01011-1011)のいずれかは、上記との関連で用いられ得る。例えば、01011の値である。
【0084】
図14による実施例は、PDCPレイヤの制御PDUを用いて、旧RNA IDに対応している。一例示的実施例では、新PDCPの制御PDUフォーマットは、
図17および
図18に例示されるように、RNA IDに対応する目的で作成され得る。
図17のPDCPの制御PDUフォーマットは、RNA IDが7ビットのみであることを想定している一方で、
図18のPDCPの制御PDUフォーマットは、RNA IDが15ビットであることを想定している。D/Cフィールドは、PDCPレイヤの制御およびデータPDUを区別し、C=1が制御PDUを例示的に示してもよい。3ビットPDUタイプフィールドは、PDCP状態報告、または散在ROHCフィードバックパケット(interspersed ROHC feedback packet)などに対応した、PDUの種類を示す。PDUタイプフィールドの新規ビットの値は、RNA更新を特定するために予約され得る。非特許文献7の6.3.8節に定義されるように、現在、011-111ビットの値は、用いられておらず(予約)、そのうちの1つ、例えば111などは、RNA更新手順のために、PDCPの制御PDUを特定する目的で用いられ得る。Rフィールドは、現時点では特定の機能がないものの将来的に用いられ得る予約ビットを示す。第2オクテットのEビットフィールドにより、UEは、Eビットフィールドに続くRNA IDフィールドが7ビット長であるか15ビット長であるか識別可能である。例えば、E=0が7ビット長を意味し、E=1が15ビット長を意味する。
【0085】
図13および
図14に示すように、UEが新RNA内にあると判定したときにも、MAC CEまたはPDCPの制御PDUは、UEにより開始され得るRACH手順と並行して送信される。このRACH手順を用いて、UEには、MAC CEまたはPDCPの制御PDUを送信するのに必要な無線リソースが、割り当てられることになる。それに応じて、ランダムアクセスリソース応答メッセージ(RACH手順の第2のメッセージ)で、UEは、無線リソースのグラントを受信し、それは(少なくとも一部は)、
図13および
図14に示すように、MAC CEおよびPDCPの制御PDUを送信するのにそれぞれ用いられ得る。これには、RNA更新手順を実行するように、個別の無線リソースが、基地局により事前に予約される必要はないという長所がある。
【0086】
図13および
図14は、UEが、RACHメッセージ3を新gNBへ送信することにより、RACH手順を追加的に進めることをも、例示的に示す。RACHメッセージ3は、例えば、UE識別を含むRRCConnectionRequestメッセージに対応するように、これらの実施例に通常どおり用いられ得る。
【0087】
図11~
図18を参照して提示するように、旧転送元RNAの識別情報を、新gNBへどのように提供するかについて、様々なソリューションがある。いずれの場合にも、gNBは、その無線セルに入ったUEから、旧RNAの対応する情報を受信することになる。以下に説明するように、旧RNAの情報は、旧UEコンテキストを取得して、UEコンテキストの更新を実行するために、新gNBにより用いられ得る。UEコンテキストは、UEと新gNBとの間の通信を促進するように、少なくともUE内で必要である。
【0088】
図10を参照して上述したように、gNBは、UE関連コンテキスト情報が、UEにて更新される必要があるがどうかを判定し、肯定的な事例では、そのように進行することになる。
図11から
図14に示す様々な実施例は、新gNBに対して、必要な更新UE関連コンテキスト情報に対応したRACH手順のメッセージを用いる可能性を提供する。より詳細には、
図11、
図13および
図14における実施例は、UEに対してコンテキスト更新に関する情報に対応するために第4のRACHメッセージを用いる(新gNB2とUEとの間に適用される新セキュリティ鍵、またはDRX構成など)。通例、LTE-(A)システムでは、RACH手順の第4のメッセージが、競合の解決のために用いられ(例えば、いくつかのUEが同じプリアンブルを送信することにより衝突する場合)、RRC接続確立メッセージに対応する。しかしながら、RNA更新手順のコンテキストにおいて、第4のメッセージは、UEにて更新が必要なUE関連コンテキスト情報(セキュリティパラメータなど)に対応するためにも用いられる。例示的なLTE-(A)の一実施例において、ここに参照により組み込まれる非特許文献6に規定されたRRC接続確立メッセージは、他の必要なUE関連コンテキスト情報(セキュリティパラメータなど)にも対応するように拡張され得る。また、新規RRCメッセージが、特にUEでのUE関連コンテキストを更新する目的で、定義され得る。
【0089】
また、
図12に示すソリューションは、コンテキスト情報の更新に対応するためにRACH手順のランダムアクセス応答メッセージ(メッセージ2)を用いることを、予測している。通例、LTE-(A)にて現在規定されているランダムアクセス応答メッセージは、例えば、アップリンク無線リソースグラント、タイミングアドバンス、および一時C-RNTIに対応している。しかしながら、RARメッセージは、UEにて更新される他の必要なUE関連コンテキスト情報(セキュリティパラメータなど)にも対応するように、拡張され得る。
【0090】
上述したように、新gNBは、UEから旧RNAのID情報を受信すると、UEにてUE関連コンテキスト情報が更新可能となるように、旧UEのコンテキスト情報を取得することになる。新gNBが旧UEコンテキスト情報をどのように取得するかについて、様々なソリューションがある。一例示的ソリューションによると、各RAN通知エリア内に中央gNBがあり、これが、関連UEコンテキスト情報の全てを保持し、新gNBがその情報を取得するために中央gNBと連絡することが、想定されていてもよい。それに関連して、各RNAの中央gNBは、他のgNBに認識されていることが、想定されていてもよい。したがって、新gNBは、UEから受信したID情報(例えば、RNA ID)に基づいて、転送元RNA1の中央gNBを判定して、転送元RNA1の中央gNBに接触するために進み、旧UEコンテキスト情報を取得することになる。さらに詳細であるものの例示的な実施例によると、旧UEコンテキストは、旧RNA内のgNBにより以前に規定されたコンテキストIDを用いることにより、位置特定され、取得され得る。このコンテキストIDは、UEにも認識されており、UEにより、RNA更新手順の際にも、例えば、旧RNA IDとともに、新gNB2へと送信可能である。そして、新gNB2は、このコンテキストIDに基づき、旧RNAから、旧UEコンテキストを取得することができる。
【0091】
新RNA2にて、コンテキスト識別は、RNA2内で用いられるUEコンテキストについて生成されることが、さらに想定されており、他の例示的実施例は、例えば、更新されたUEコンテキスト情報を送信するとき、新gNB2が、この新コンテキストID(RNA2内で有効)を、UEへ送信することを予測している。この新コンテキストIDは、新RNAについて有効である。
【0092】
上述の実施例のさらに別の変形例は、追加のステップを提供している。このステップにより、対象gNBは、転送元RNA1(およびそのgNB)内の旧UEコンテキストを削除するように処理を進める。例えば、gNBは、転送元RNA1の中央gNBから旧UEコンテキストを取得すると、中央gNBに対し、旧RNA内ではもはや不要となった取得済UEコンテキストを削除するように、追加的に指示する。
【0093】
上述の実施例の他の変形例は、コアネットワークのMMEなどの他のエンティティ内の別のUE関連コンテキストを更新する、追加のステップを提供している。例えば、UEがダウンリンクにて何らかのデータを受信する場合、MME内でUE関連コンテキストの更新が必要となる。一例示的実施例では、UEは、IMSI(International Mobile Subscriber Identity:国際移動体加入者識別子)またはGUTI(Globally Unique Temporary Identifier:グローバル一意一時識別子:)またはTMSI(Temporary Mobile Subscriber Identity:一時移動体加入者識別子)など、UEのグローバル識別子を、例えば、旧RNA IDとともに新gNBへ送信する。グローバル識別子を用いることにより、新gNBは、UEを担当するMMEを、そこにおいて関連するUE関連コンテキストを更新するために、特定して、特定したMMEに接触してもよい。例えば、担当するゲートウェイは、経路を新gNBへと切り換えるために、変更が必要になる。担当するゲートウェイを変更することは、例えば、新gNBからUEを担当するMMEへ送信された、S1アプリケーションプロトコルの経路切換要求(ここに参照により組み込まれる非特許文献8参照)を用いてなされる。そして、MMEは、担当するゲートウェイに、そこにある必要なUE関連コンテキスト情報をそれぞれ更新するために、接触することができる。
【0094】
他の例示的実施例では、UEは、メッセージを、それを担当するMMEへ直接送って、担当ゲートウェイ情報などの関連UEコンテキストを更新することができる。UEは、このようなメッセージをそのMMEへ送信することができるために、RRC接続状態へと、最初に遷移してもよい。より詳細な例示的実施例では、UEは、最初に、gNBとのRRC接続を起動してもよく、そして経路切換要求メッセージを、NASシグナリングによりMMEへ送る(非アクセス層)(経路切換要求は、上述のS1アプリケーションプロトコルの1つであり得る)。NASメッセージは、経路切換要求とともに、UEのグローバル識別子および/または新および/または旧セルのIDを含んでもよい。これに応答して、MMEは、UEのコンテキストを更新してもよく、担当するゲートウェイに接触して、経路を旧gNBから新gNBへと変更してもよい。
【0095】
さらに別の例示的実施例では、新gNBは、UEを担当するMME内のUE関連コンテキストを更新するための要求を伴って、旧RNA1のgNB(例えば、上述の中央gNB)に接触する。この実施例についても、UEは、UEのグローバル識別子(上記のGUTI、IMSIまたはTMSIを参照)を、新gNBに提供することができ、そして新gNBは、このUEのグローバル識別子を、旧gNBへ転送する。これにより、旧gNBは、MMEに接触すると、このグローバルIDに基づき、コンテストが更新されるべきUEを特定することができるようになる。これは、上述のように新gNBにより実行される、例としてのパッチ切換要求と同様に、実行可能である。
【0096】
どの場合においても、MMEは、UE関連コンテキスト情報を更新するために、このように接触されることになる。そして、MMEは、旧担当ゲートウェイなど、コアネットワークにおける期限切れエンティティである、UEコンテキスト情報の削除をも担当してもよい。
【0097】
上記実施例のさらに別の変形例では、UEは、新RNAの新gNBに属すると、新RAN通知エリア内の通信に有効なC-RNTIなどの新UE識別とともに、構成され得る。例えば、新UE識別は、RNA更新手順のために新gNBによりUEへ送信されたUEコンテキスト情報内のUEに対して、提供されてもよい。また、新UE識別は、UEコンテキスト情報とは別に、UEに対して提供されてもよい。
【0098】
上記実施例の別の変形例によると、UEは、RNA更新手順を実行すると、RRC接続状態へ遷移することができる。gNBは、環境に応じて、gNBを、RRC接続状態へ遷移させることを決定することができる。例えば、UEが、UE関連コンテキストをMMEにて更新しようとする場合(上述のように)、UEは、RRC接続状態へ移行することができる。
【0099】
上記実施形態のさらに別の変形例では、gNBは、RNA更新手順の際に、旧RNA IDの受信に成功した旨、応答してもよい。例えば、gNBは、ACKを、コンテキストの更新とともに、UEへ送信してもよい。さらに、gNBは、UEコンテキストの更新を送るとき、UEが更新されたUEコンテキスト(例えば、新セキュリティ鍵、暗号鍵など)を用いてアップリンクデータを送信することができるように、さらに無線リソースを割り当ててもよい。
【0100】
図19から
図22は、それぞれ
図11から
図14に基づき、各変形例を参照して上述したようにRNA更新手順を実行するときに、UEが、グローバルUE識別子(ここではGUTIであるが、例えば、IMSIまたはTMSIといった他のエンティティであってもよい)およびコンテキストIDをgNBへ送信可能であることを、さらに示す。
図21および
図22による例示的実施例では、GUTIおよびコンテキストIDは、RACHメッセージ3内で送信され(
図19を参照して説明したソリューションについて行ったのと同様)、旧RNA IDは、MAC CEでそれぞれPDCPの制御PDUを用いて送信される。また、
図21および
図22による両ソリューションでは、GUTIおよび/またはコンテキストIDは、MAC CEでPDCPの制御PDUを用いて、旧RNA IDとともに、それぞれ送られ得る。
【0101】
図19から
図22からさらに明らかなように、gNBは、以前受信したRNA更新手順のメッセージに対する応答を(旧RNA IDなどとともに)、UEが次にアップリンクデータを新gNB2へ送信可能とすべく、さらに別のアップリンク無線リソースのグラントとともに提供することが、例示的に想定されている。
【0102】
<さらに別の側面>
第1の側面では、移動通信システムにおけるユーザ機器が提供される。UEは、第1の無線アクセスネットワーク通知エリアである第1RNA(radio access network)に位置するユーザ機器が、第1RNAとは異なる第2の無線アクセスネットワーク通知エリアである第2RNAへ移動中であるかどうかを判断する処理回路を備える。ユーザ機器は、ユーザ機器がとり得るアイドル状態、接続状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。UEは、ユーザ機器が第2RNAへ移動中であると判断されたとき、第1RNAの識別情報を、第2RNAの第2の無線基地局へ送信する送信機を、さらに備える。UEは、ユーザ機器が第2の無線基地局とアップリンクおよびダウンリンクデータを交換するのに使用可能な、ユーザ機器関連コンテキスト情報を、第2の無線基地局から受信する受信機を、さらに備える。
【0103】
第1の側面に加えて提供された第2の側面によると、送信機は、第1RNAの識別情報を第2の無線基地局へ送信するとき、ランダムアクセスチャネル手順のメッセージで、第1RNAの識別情報を送信する。第2の側面の選択的実施例では、ランダムアクセスチャネル手順の第3のメッセージは、それに関連して用いられる。
【0104】
第1の側面に加えて提供された第3の側面によると、送信機は、第1RNAの識別情報を第2の無線基地局へ送信するとき、第1RNAの識別情報を、ランダムアクセスチャネル手順の第1のメッセージとともに送信する。任意選択で、ランダムアクセスチャネル手順の第1のメッセージは、ランダムアクセスプリアンブルを含む。
【0105】
第1の側面に加えて提供された第4の側面によると、送信機は、第1RNAの識別情報を第2の無線基地局へ送信するとき、第1RNAの識別情報を、媒体アクセスプロトコルであるMACの制御エレメントにて送信する。任意選択で、ユーザ機器は、MAC制御エレメントを送信するために、第2の無線基地局により、ランダムアクセスチャネル手順の一部としてユーザ機器に対して割り当てられた無線リソースを用いる。
【0106】
第1の側面に加えて提供された第5の側面によると、送信機は、第1RNAの識別情報を第2の無線基地局へ送信するとき、第1RNAの識別情報を、パケットデータコンバージェンスプロトコルであるPDCPの制御パケットデータユニットであるPDUにて送信する。任意選択で、ユーザ機器は、PDCP制御PDUを送信するために、第2の無線基地局により、ランダムアクセスチャネル手順の一部としてユーザ機器に対して割り当てられた無線リソースを用いる。
【0107】
第2、第4および第5の側面のいずれか1つに加えて提供された第6の側面によると、受信機は、第2の無線基地局からユーザ機器関連コンテキスト情報を受信するとき、ユーザ機器関連コンテキスト情報を、ランダムアクセスチャネル手順の第4のメッセージとともに受信する。
【0108】
第3の側面に加えて提供された第7の側面によると、受信機は、ユーザ機器関連コンテキスト情報を第2の無線基地局から受信するとき、ユーザ機器関連コンテキスト情報を、ランダムアクセスチャネル手順の第2のメッセージとともに受信する。任意選択で、ランダムアクセスチャネル手順の第2のメッセージは、アップリンク無線リソースのユーザ機器への割当を含む。
【0109】
第1から第7の側面のいずれか1つに加えて提供された第8の側面によると、受信機は、動作時に、第2の無線基地局から第2RNAの識別情報を受信する。任意選択で、第2RNAの識別情報は、第2の無線基地局により、その無線セル全体に、システム情報にてブロードキャストされる。さらに、処理回路は、ユーザ機器が第2RNAへ移動するかどうかを判断するとき、第1RNAの識別情報が第2RNAの識別情報とは異なる場合に、ユーザ機器が第2RNAへ移動すると判断する。
【0110】
第1から第8の側面のいずれか1つに加えて提供された第9の側面によると、処理回路は、ユーザ機器が第2RNAへ移動中であると判断するとき、ユーザ機器を非アクティブ状態から接続状態へ遷移させる。
【0111】
第1から第9の側面のいずれか1つに加えて提供された第10の側面によると、
ユーザ機器関連コンテキスト情報は、
・ 第2の無線基地局とユーザ機器との間で利用可能な、送信前にデータを暗号化するための暗号鍵、および受信後にデータを復号するための復号鍵などのセキュリティ情報と、
・ 少なくとも第2の無線基地局とユーザ機器との間のデータ接続の情報と
のうちの少なくとも1つを含む。
【0112】
第1から第10の側面のいずれか1つに加えて提供された第11の側面によると、送信機は、第1RNAの識別情報を第2の無線基地局へ送信するとき、ユーザ機器により利用される、ユーザ機器関連コンテキスト情報の識別情報をも第2の無線基地局へ送信して、第1RNAの無線基地局とデータを交換する。識別情報は、第1RNAのためのユーザ機器関連コンテキスト情報を取得するために、第2の無線基地局により利用可能である。追加的に、または代替的に、送信機は、第1RNAの識別情報を第2の無線基地局へ送信するとき、コアネットワーク内のエンティティと接触して、ユーザ機器に関連する前記コアネットワークエンティティにおけるコンテキスト情報を更新するために、第2の無線基地局により利用可能なユーザ機器の識別子をも、第2の無線基地局へ送信する。
【0113】
第1から第11の側面のいずれか1つに加えて提供された第12の側面によると、受信機は、動作時に、第2の無線基地局から、第2RNAについて有効な新規のユーザ識別を受信する。
【0114】
第1から第12の側面のいずれか1つに加えて提供された第13の側面によると、ユーザ機器および第2の無線基地局は、第3世代パートナーシッププロジェクトである3GPPにおける新規の無線であるNRの第5世代の技術である5Gに対応している。
【0115】
第1から第13の側面のいずれか1つに加えて提供された第14の側面によると、送信機は、動作時に、受信したユーザ機器関連コンテキスト情報を用いて、第2の無線基地局へユーザデータを送信する。追加的に、または代替的に、受信機は、動作時に、受信したユーザ機器関連コンテキスト情報に基づき、第2の無線基地局からユーザデータを受信する。
【0116】
第15の側面では、移動通信システムにおけるユーザ機器の動作方法が提供される。この方法は、第1の無線アクセスネットワーク通知エリアである第1RNAに位置するユーザ機器が、第1RNAとは異なる第2の無線アクセスネットワーク通知エリアである第2RNAへ移動中であるかどうかを判断することを含む。ユーザ機器は、ユーザ機器がとり得るアイドル状態、接続状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。この方法は、ユーザ機器が第2RNAへ移動中であると判断されたとき、第1RNAの識別情報を、第2RNAの第2の無線基地局へ送信することを、さらに含む。この方法は、ユーザ機器が第2の無線基地局とアップリンクおよびダウンリンクデータを交換するのに使用可能な、ユーザ機器関連コンテキスト情報を、第2の無線基地局から受信することを、さらに含む。
【0117】
第6の側面では、移動通信システムにおける第2の無線アクセスネットワーク通知エリアである第2RNAの無線基地局が提供される。無線基地局は、ユーザ機器が、第2RNAへ移動する前に位置する第1の無線アクセスネットワーク通知エリアである第1RNAの識別情報を、ユーザ機器から受信する受信機を備える。ユーザ機器は、ユーザ機器がとり得るアイドル状態、接続状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。無線基地局は、アップリンクおよびダウンリンクデータを第2の無線基地局と交換するために、ユーザ機器により利用可能なユーザ機器関連コンテキスト情報を生成するプロセッサを、さらに備える。無線基地局は、生成されたユーザ機器関連コンテキスト情報を、ユーザ機器へ送信する送信機を備える。
【0118】
第16の側面に加えて提供された第17の側面によると、受信機は、動作時に、ユーザ機器により、第1RNAの無線基地局とデータを交換するために利用される、ユーザ機器関連コンテキスト情報における識別情報を受信する。プロセッサは、動作時に、受信した識別情報に基づき、第1RNAについてのユーザ機器関連コンテキスト情報を取得する。
【0119】
<本開示のハードウェアおよびソフトウェア実装>
本開示は、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアと協働するソフトウェアにより実現可能である。上述の各実施形態の説明に用いられる各機能ブロックは、集積回路などのLSIにより部分的または完全に実現可能であり、各実施形態において説明した各処理は、同LSIまたはLSIの組み合わせにより、部分的または完全に制御可能であってもよい。LSIは、チップとして個別に形成されてもよく、単一のチップが、複数の機能ブロックのいくつかまたは全てを含むように形成されてもよい。LSIは、データ入力およびそこに結合した出力を含んでもよい。ここでのLSIは、集積度に応じてIC(集積回路)、システムLSI、スパーLSI、またはウルトラLSIと称してもよい。ただし、集積回路を実装する技術は、LSIに限らず、専用回路、汎用プロセッサまたは専用プロセッサを用いることにより、実現されてもよい。さらに、LSI製造後にプログラム可能なFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、またはLSI内に配置された回路セルの接続および設定が再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサが、用いられてもよい。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実現可能である。将来の集積回路技術が、半導体技術の進歩または他の代替技術の結果として、LSIを置き換えた場合、機能ブロックは、将来の集積回路技術を用いて統合され得る。バイオテクノロジも、適用可能である。
【0120】
さらに、様々な実施形態は、プロセッサにより、または直接ハードウェア内で実行されるソフトウェアモジュールにより、実装されてもよい。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装との組み合わせも可能である。ソフトウェアモジュールは、例えば、RAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD-ROM、DVDなど、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体上に格納されてもよい。さらに、様々な実施形態の個々の特徴は、個別に、または任意の組み合わせで、他の実施形態の主題となり得ることに留意されたい。
【0121】
具体的な実施形態として示された本開示に対して、多くの変形および/または改良がなされてもよいことが、当業者により評価されるであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点において説明のためであり、制限的に考えられるべきではない。