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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】筐体、及び、電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20220506BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220506BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 610B
H05K5/02 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020003530
(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公開番号】P2021112064
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】横山 椋一
(72)【発明者】
【氏名】金子 卓磨
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-051015(JP,A)
【文献】特開2006-074988(JP,A)
【文献】特開平11-308733(JP,A)
【文献】特開2002-369335(JP,A)
【文献】特開2014-027723(JP,A)
【文献】特開2019-210027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02G 3/08-3/20
H05K 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する枠状に形成され、内部に電子部品を収容する収容空間を有する筐体本体と、
前記筐体本体に対して上下方向における上方へ積層し、前記開口部を閉塞する蓋体と、
を備え、
前記筐体本体は、筐体外周壁と、前記筐体外周壁の内側に位置する筐体内周壁とを有し、
前記蓋体は、板状の天板部と、前記上下方向において天板部の周縁部から前記筐体本体側へ突出する蓋体外周壁と、前記蓋体外周壁の内側に位置し、かつ、当該蓋体外周壁との間に前記筐体外周壁が挿入される蓋体内周壁と、前記蓋体外周壁と前記蓋体内周壁とを連結するリブとを有し、
前記収容空間は、前記筐体内周壁に隣接して位置する複数の区画を有し、
前記蓋体外周壁、前記蓋体内周壁、及び、前記筐体外周壁の上端部によって、前記収容空間を囲む空間部が形成され、
前記蓋体外周壁と前記筐体外周壁との間、及び、前記蓋体内周壁と前記筐体外周壁との間の少なくとも一方には、隙間が形成され、
前記リブは、前記上下方向に対して直交する第1直交方向に間隔をあけて配置し、前記空間部を閉塞する閉塞リブを含み、
複数の前記区画は、前記第1直交方向のうち前記空間部に水が浸入した際に水が流れる水の流れ方向において、前記閉塞リブの下流側に位置して通電可能な前記電子部品が配置された第1区画と、前記閉塞リブの上流側に位置して通電可能な前記電子部品が配置されていない第2区画とを含み、
前記閉塞リブは、前記上下方向、及び、前記第1直交方向にそれぞれ直交する第2直交方向において、前記第2区画の前記収容空間の外側に位置する、
ことを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記筐体外周壁及び前記筐体内周壁が前記第1直交方向へ延在する部分と、前記筐体外周壁及び前記筐体内周壁が前記第2直交方向へ延在する部分との間に位置するコーナ部を有し、
前記コーナ部は、前記水の流れ方向における前記第1区画の下流側に位置する、
請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記筐体外周壁の前記上端部は、前記第1直交方向において、一方側から他方側に向けて前記上下方向における下方から上方へ向けて傾斜する傾斜部と、前記上下方向において平坦な平坦部とを有し、
前記閉塞リブは、前記傾斜部と前記平坦部との間に配置され、
前記第1区画は、前記コーナ部に隣接して配置され、
前記コーナ部は、前記平坦部に配置される、
請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記リブは、前記空間部の面積を減少させる面積減少リブを含み、
前記面積減少リブは、前記水の流れ方向における前記閉塞リブの上流側に位置する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項5】
前記筐体本体は、前記筐体外周壁と前記筐体内周壁とを連結する筐体連結部をさらに有し、
前記筐体連結部は、前記第1直交方向に間隔を開けて配置し、当該筐体連結部と前記筐体外周壁と前記筐体内周壁とによって、前記隙間を介在して前記空間部に連通し下方へ延在する排出空間が形成される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項6】
少なくとも1以上の電子部品と、
前記電子部品を収容空間に収容する筐体と、
を備え、
前記筐体は、
開口部を有する枠状に形成され、内部に電子部品を収容する収容空間を有する筐体本体と、
前記筐体本体に対して上下方向における上方へ積層し、前記開口部を閉塞する蓋体と、
を備え、
前記筐体本体は、筐体外周壁と、前記筐体外周壁の内側に位置する筐体内周壁とを有し、
前記蓋体は、板状の天板部と、前記上下方向において天板部の周縁部から前記筐体本体側へ突出する蓋体外周壁と、前記蓋体外周壁の内側に位置し、かつ、当該蓋体外周壁との間に前記筐体外周壁が挿入される蓋体内周壁と、前記蓋体外周壁と前記蓋体内周壁とを連結するリブとを有し、
前記収容空間は、前記筐体内周壁に隣接して位置する複数の区画を有し、
前記蓋体外周壁、前記蓋体内周壁、及び、前記筐体外周壁の上端部によって、前記収容空間を囲む空間部が形成され、
前記蓋体外周壁と前記筐体外周壁との間、及び、前記蓋体内周壁と前記筐体外周壁との間の少なくとも一方には、隙間が形成され、
前記リブは、前記上下方向に対して直交する第1直交方向に間隔をあけて配置し、前記空間部を閉塞する閉塞リブを含み、
複数の前記区画は、前記第1直交方向のうち前記空間部に水が浸入した際に水が流れる水の流れ方向において、前記閉塞リブの下流側に位置して通電可能な前記電子部品が配置された第1区画と、前記閉塞リブの上流側に位置して通電可能な前記電子部品が配置されていない第2区画とを含み、
前記閉塞リブは、上下方向、及び、前記第1直交方向にそれぞれ直交する第2直交方向において、前記第2区画の前記収容空間の外側に位置する、
ことを特徴とする電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体、及び、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載する電気接続箱は、コネクタ、ヒューズ、リレー、コンデンサ等の電子部品を集約して内部の収容空間に収容するものである。このような電気接続箱は、開口部を有する枠状に形成され、内部に電子部品を収容する収容空間を有する筐体本体と、筐体本体に対して上下方向における上方へ積層し、開口部を閉塞する蓋体とを備える筐体を有する。
【0003】
この種の筐体本体の中には、周方向に延在する筐体外周壁と、筐体外周壁の内側に位置する筐体内周壁とを有し、二重の周壁部を構成するものがある(例えば、特許文献1参照)。そして、筐体は、筐体本体における二重の周壁部において、筐体外周壁と、筐体内周壁との間に、蓋体の周壁部を位置させることによって、筐体本体の内部に位置する収容空間に水が侵入することを防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-198145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような筐体は、例えば、車両の洗浄に高圧洗浄機を用いる場合、又は、豪雨の中を車両が走行する場合等、勢いのある水が筐体外周壁にかかる場合がある。そして、筐体は、筐体外周壁に水がかかる状態が長時間継続すると、筐体外周壁の表面において、水が上方へ移動し、筐体外周壁の上端部にまで水が到達するおそれがある。このような水は、蓋体外周壁、蓋体内周壁、及び、筐体外周壁の上端部によって形成され、電子部品が収容された収容空間を囲む空間部に浸入し、当該空間部の内部を流れるおそれがある。そして、上下方向に直交する第1直交方向における一方側に位置する筐体外周壁に水がかかる状態が長時間継続すると、第1直交方向における一方側から他方側に上記空間部の内部を水が流れ、筐体本体の内部に位置する収容空間に水が浸入するおそれがある。この際、従来の電気接続箱は、空間部の内部を水が流れているため、収容空間の内部のどこに水が浸入するか場所を特定することが困難である。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、収容空間の内部において、水が浸入するおそれがある場所をコントロールすることによって、通電可能な電子部品に影響を与えることを低減することができる筐体、及び、電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る筐体は、開口部を有する枠状に形成され、内部に電子部品を収容する収容空間を有する筐体本体と、前記筐体本体に対して上下方向における上方へ積層し、前記開口部を閉塞する蓋体と、を備え、前記筐体本体は、筐体外周壁と、前記筐体外周壁の内側に位置する筐体内周壁とを有し、前記蓋体は、板状の天板部と、前記上下方向において天板部の周縁部から前記筐体本体側へ突出する蓋体外周壁と、前記蓋体外周壁の内側に位置し、かつ、当該蓋体外周壁との間に前記筐体外周壁が挿入される蓋体内周壁と、前記蓋体外周壁と前記蓋体内周壁とを連結するリブとを有し、前記収容空間は、前記筐体内周壁に隣接して位置する複数の区画を有し、前記蓋体外周壁、前記蓋体内周壁、及び、前記筐体外周壁の上端部によって、前記収容空間を囲む空間部が形成され、前記蓋体外周壁と前記筐体外周壁との間、及び、前記蓋体内周壁と前記筐体外周壁との間の少なくとも一方には、隙間が形成され、前記リブは、前記上下方向に対して直交する第1直交方向に間隔をあけて配置し、前記空間部を閉塞する閉塞リブを含み、複数の前記区画は、前記第1直交方向のうち前記空間部に水が浸入した際に水が流れる水の流れ方向において、前記閉塞リブの下流側に位置して通電可能な前記電子部品が配置された第1区画と、前記閉塞リブの上流側に位置して通電可能な前記電子部品が配置されていない第2区画とを含み、前記閉塞リブは、前記上下方向、及び、前記第1直交方向にそれぞれ直交する第2直交方向において、前記第2区画の前記収容空間の外側に位置する、ことを特徴とする。
【0008】
上記筐体は、前記筐体外周壁及び前記筐体内周壁が前記第1直交方向へ延在する部分と、前記筐体外周壁及び前記筐体内周壁が前記第2直交方向へ延在する部分との間に位置するコーナ部を有し、前記コーナ部は、前記水の流れ方向における前記第1区画の下流側に位置する、ことが好ましい。
【0009】
上記筐体は、前記筐体外周壁の前記上端部は、前記第1直交方向において、一方側から他方側に向けて前記上下方向における下方から上方へ向けて傾斜する傾斜部と、前記上下方向において平坦な平坦部とを有し、前記閉塞リブは、前記傾斜部と前記平坦部との間に配置され、前記第1区画は、前記コーナ部に隣接して配置され、前記コーナ部は、前記平坦部に配置される、ことが好ましい。
【0010】
上記筐体は、前記リブは、前記空間部の面積を減少させる面積減少リブを含み、前記面積減少リブは、前記水の流れ方向における前記閉塞リブの上流側に位置する、ことが好ましい。
【0011】
上記筐体は、前記筐体本体が、前記筐体外周壁と前記筐体内周壁とを連結する筐体連結部をさらに有し、前記筐体連結部は、前記第1直交方向に間隔を開けて配置し、当該筐体連結部と前記筐体外周壁と前記筐体内周壁とによって、前記隙間を介在して前記空間部に連通し下方へ延在する排出空間が形成される、ことが好ましい。
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係る電気接続箱は、少なくとも1以上の電子部品と、前記電子部品を収容空間に収容する筐体と、を備え、前記筐体は、開口部を有する枠状に形成され、内部に電子部品を収容する収容空間を有する筐体本体と、前記筐体本体に対して上下方向における上方へ積層し、前記開口部を閉塞する蓋体と、を備え、前記筐体本体は、筐体外周壁と、前記筐体外周壁の内側に位置する筐体内周壁とを有し、前記蓋体は、板状の天板部と、前記上下方向において天板部の周縁部から前記筐体本体側へ突出する蓋体外周壁と、前記蓋体外周壁の内側に位置し、かつ、当該蓋体外周壁との間に前記筐体外周壁が挿入される蓋体内周壁と、前記蓋体外周壁と前記蓋体内周壁とを連結するリブとを有し、前記収容空間は、前記筐体内周壁に隣接して位置する複数の区画を有し、前記蓋体外周壁、前記蓋体内周壁、及び、前記筐体外周壁の上端部によって、前記収容空間を囲む空間部が形成され、前記蓋体外周壁と前記筐体外周壁との間、及び、前記蓋体内周壁と前記筐体外周壁との間の少なくとも一方には、隙間が形成され、前記リブは、前記上下方向に対して直交する第1直交方向に間隔をあけて配置し、前記空間部を閉塞する閉塞リブを含み、複数の前記区画は、前記第1直交方向Xのうち前記空間部に水が浸入した際に水が流れる水の流れ方向において、前記閉塞リブの下流側に位置して通電可能な前記電子部品が配置された第1区画と、前記閉塞リブの上流側に位置して通電可能な前記電子部品が配置されていない第2区画とを含み、前記閉塞リブは、前記上下方向、及び、前記第1直交方向にそれぞれ直交する第2直交方向において、前記第2区画の前記収容空間の外側に位置する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る筐体、及び、電気接続箱は、以下の構成を有する。収容空間は、筐体内周壁に隣接して位置する複数の区画を有する。複数の区画は、第1直交方向のうち空間部に水が浸入した際に水が流れる水の流れ方向において、閉塞リブの下流側に位置して通電可能な電子部品が配置された第1区画と、閉塞リブの上流側に位置して通電可能な電子部品が配置されていない第2区画とを含む。閉塞リブは、前記上下方向、及び、前記第1直交方向にそれぞれ直交する第2直交方向において、前記第2区画の収容空間の外側に位置する。その結果、本発明に係る筐体、及び、電気接続箱は、収容空間の内部において、水が浸入するおそれがある場所をコントロールすることができ、通電可能な電子部品に影響を与えることを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る筐体、及び、電気接続箱を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る筐体、及び、電気接続箱を示す平面図である。
図3図3は、本実施形態に係る筐体、及び、電気接続箱において、蓋体を筐体本体から取り外した状態において、筐体本体を示す平面図である。
図4図4は、図2におけるA-A線断面図である。
図5図5は、図4におけるB-B線断面図である。
図6図6は、図4におけるC-C線断面図である。
図7図7は、図4におけるD-D線断面図である。
図8図8は、図2におけるE-E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
図1は、実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1を示す斜視図である。図2は、実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1を示す平面図である。図3は、実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1において、蓋体5を筐体本体3から取り外した状態において、筐体本体3を示す平面図である。図4は、図2におけるA-A線断面図である。図5は、図4におけるB-B線断面図である。図6は、図4におけるC-C線断面図である。
図7は、図4におけるD-D線断面図である。図8は、図2におけるE-E線断面図である。また、以下の説明では、上下方向Zと、第1直交方向Xと、第2直交方向Yとは、相互に直交する。さらに、電気接続箱1が車両に搭載され当該車両が水平面に位置する状態で、第1直交方向X、及び、第2直交方向Yは、水平方向に沿う。そして、上下方向Zは、電気接続箱1が車両に搭載され当該車両が水平面に位置する状態で、車両振動が発生する方向であり、かつ、後述する筐体本体3、底体4、及び、蓋体5の積層方向に相当する。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられ、電気接続箱1が車両に搭載された状態での方向として説明する。
【0017】
[実施形態]
図1図2図3に示す本実施形態に係る電気接続箱1は、自動車等の車両に搭載され、ワイヤハーネスWH1に組み込まれるものである。ワイヤハーネスWH1は、例えば、車両に搭載される各電子機器(不図示)間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを各電子部品Dに接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWH1は、導電性を有する配索材Wと、配索材Wに電気的に接続される電気接続箱1とを備える。配索材Wは、例えば、金属棒、電線、電線束等によって構成される。金属棒は、導電性を有する棒状部材の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線は、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線束は、上述した電線を束ねたものである。図1図2において、配索材Wの一部を実線で示し、配索材Wの残りの一部を仮想線で示してあり、他の図において、配索材Wを省略してある。ワイヤハーネスWH1は、複数の配索材Wを束ねて集約すると共に、束ねられた配索材Wの端末に設けられたコネクタ等を介して電気接続箱1が電気的に接続される。ワイヤハーネスWH1は、この他、さらに、グロメット、プロテクタ、外装材、固定具等を含んで構成されてもよい。
【0018】
電気接続箱1は、コネクタ、ヒューズ、リレー、コンデンサ、及び、電子制御ユニット等の電子部品Dを集約して内部に収容するものである。電気接続箱1は、例えば、車両のエンジンルームや車両室内に設置される。より具体的に説明すると、本実施形態の電気接続箱1は、高圧洗浄機を用いた車両の洗浄の際、又は、豪雨の中を車両が走行する際に、勢いのある水が後述する筐体外周壁31に長時間にわたってかかる領域R(図3中、斜線のハッチングで示す領域)を設定してある。本実施形態の電気接続箱1における領域Rは、例えば、第1直交方向Xにおける半分よりも一方側であり、かつ、第2直交方向Yにおける半分よりも他方側である。本実施形態の電気接続箱1は、領域Rから外れた他の領域は、勢いのある水が筐体外周壁31に長時間にわたってかかることを想定していない。また、本実施形態の電気接続箱1には、勢いのある水がかかる領域Rを設定してあるため、後述する空間部S2の内部に水が溜まり、空間部S2の内部を水が流れる場合には、第1直交方向Xにおいて、一方側から他方側へ流れる。すなわち、図3において、水の流れ方向X1は、第1直交方向Xにおいて、一方側である右側から他方側である左側へ流れる。また、第1直交方向Xは、水の流れ方向X1と反対方向X2を含む。
【0019】
また、電気接続箱1は、配索材W等を介して、第1電源P1、及び、第2電源P2(図1参照)と、車両内に搭載される各電子機器とが電気的に接続されている。第1電源P1は、バッテリ、及び、オルタネータのいずれか一方であり、第2電源P2は、バッテリ、及び、オルタネータの残りの一方である。電気接続箱1は、電源P1、P2から供給された電力を車両の内部における各電子機器に分配する。電気接続箱1は、ジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックスなどとも呼ばれる場合があるが、本実施形態ではこれらを総称して電気接続箱1と呼ぶ。以下、各図を参照して電気接続箱1の構成について詳細に説明する。具体的には、電気接続箱1は、電子部品Dと、筐体Bと、ブロック2とを備える。
【0020】
電子部品Dは、図3に示すように、ブロック2に組み付けられた状態で筐体Bの内部に設けられ、種々の機能を発揮する部品である。電子部品Dは、収容空間S1の内部に複数設けられ、配索材Wが電気的にそれぞれ接続される。電子部品Dは、例えば、コンデンサ、リレー、抵抗、トランジスタ、ヒューズ、コネクタ、IPS(Intelligent Power Switch)、マイコンを含む。本実施形態の電気接続箱1は、少なくとも1以上の電子部品Dを備える。
【0021】
筐体Bは、内部に形成される収容空間S1に、電子部品Dが組み付けられたブロック2を収容する。筐体Bは、図1に示すように、フレームである筐体本体3、ロアカバーである底体4、及び、アッパカバーである蓋体5等を含んで構成される。筐体Bは、筐体本体3、底体4、及び、蓋体5が分割された3層分割構造となっている。筐体本体3、底体4、及び、蓋体5は、絶縁性を有する合成樹脂によって形成される。筐体Bは、所定の積層方向(ここでは一例として上下方向Z)に沿って筐体本体3、底体4、及び、蓋体5が積層され相互に組み付けられる。この構成により、筐体Bは、複数の部材として、筐体本体3、底体4、及び、蓋体5が組み合わさって全体として中空箱状に形成される。筐体Bは、筐体本体3、底体4、及び、蓋体5によって内部に空間が形成される。
【0022】
筐体Bの内部に形成される空間のうち、収容空間S1は、電子部品Dを収容する空間である。収容空間S1は、例えば、筐体本体3によって形成される。本実施形態の筐体Bは、筐体内周壁32に隣接して位置する複数の区画S11を有する。複数の区画S11は、通電可能な電子部品Dが配置された第1区画S11eと、通電可能な電子部品Dが配置されていない第2区画S11nとを含む。第2区画S11nには、例えば、通電されていないスペアの電子部品Dが配置される。また、本実施形態における筐体B、及び、電気接続箱1は、収容空間S1の内部に複数の区画S11が配置される。
【0023】
電気接続箱1は、例えば、筐体本体3に形成された挿通口36(図1参照)等を介して配索材Wが収容空間S1の内部に配索される。そして、電気接続箱1は、例えば、この収容空間S1の内部に後述するブロック2が設けられると共に、当該ブロック2に配索材Wが接続される。
【0024】
ブロック2は、電子部品Dを搭載可能に構成され、筐体Bに対して着脱可能に組み付けられるものである。ブロック2は、絶縁性を有する合成樹脂によって形成される。ブロック2は、例えば、筐体Bに複数設けられる。
【0025】
ブロック2は、配索材W、及び、電子部品Dが組み込まれ、当該電子部品Dに配索材Wが電気的に接続される。例えば、ブロック2は、各キャビティに対して、当該配索材Wの端末に設けられた端子等が上下方向Zの一方側(典型的には底体4が位置する側)から差し込まれ嵌合される。一方、ブロック2は、各キャビティに対して、上下方向Zの他方側(典型的には蓋体5が位置する側)から電子部品Dが差し込まれ嵌合される。この構成により、各電子部品Dと各配索材Wとは、ブロック2に組み付けられ搭載された状態で相互に電気的に接続され、要求される電気回路を構成する。
【0026】
筐体本体3は、筐体Bを形成する主たる部材である。筐体本体3は、図4に示すように、上下方向Zにおいて対向する2面に開口部30a、30bを有する枠状に形成される。
つまり、筐体本体3は、開口部30a、30bを有する枠状に形成される。このような筐体本体3は、内部に電子部品Dを収容する収容空間S1を有する。底体4は、筐体本体3の上下方向Zにおける下方の開口部30aを塞ぐ皿状(トレイ状)の部材である。つまり、底体4は、筐体本体3に対して、上下方向Zにおける下方へ積層し、開口部30aを閉塞する。蓋体5は、筐体本体3の上下方向Zにおける上方の開口部30bを塞ぐ蓋状(カバー状)の部材である。つまり、蓋体5は、筐体本体3に対して、上下方向Zにおける上方へ積層し、開口部30bを閉塞する。筐体Bは、筐体本体3の一方の開口部30aと底体4とが対向し、筐体本体3の他方の開口部30bと蓋体5とが対向するように位置する。筐体Bは、この位置関係で、底体4が筐体本体3の上下方向Zの下方側に組み付けられ、蓋体5が筐体本体3の上下方向Zの上方側に組み付けられる。筐体Bは、図1図2に示すように、種々の形式の係止機構35を備え、筐体本体3に対して、当該係止機構35を介して、底体4、蓋体5が係止される。この構成により、筐体Bは、全体として箱形状に形成される。また、筐体本体3に組み付けられるブロック2は、図3に示すように、収容空間S1の内部を仕切る隔壁7を有する。隔壁7は、収容空間S1に複数設けられる。また、隔壁7は、後述する第1区画S11eと、第2区画S11nとを仕切る第1隔壁71、及び、第2隔壁72を有する。
【0027】
筐体本体3は、図5に示すように、筐体外周壁31と、筐体外周壁31の内側に位置する筐体内周壁32とを有する。本実施形態に係る筐体Bは、筐体外周壁31と筐体内周壁32とを連結する筐体連結部33(図8参照)をさらに有する。筐体外周壁31は、上下方向Zにおける上方の端部に、上端部31Uを有する。筐体外周壁31、及び、筐体内周壁32は、それぞれ板状に形成してあり、二重の筐体壁部を形成する。
【0028】
筐体Bは、図3に示すように、筐体外周壁31及び筐体内周壁32が第1直交方向Xへ直線状に延在する部分38と、筐体外周壁31及び筐体内周壁32が第2直交方向Yへ直線状に延在する部分39a、39bとの間に位置するコーナ部C1、C2を有する。つまり、本実施形態の筐体Bは、筐体外周壁31及び筐体内周壁32が第1直交方向Xへ延在する部分38と、筐体外周壁31及び筐体内周壁32が第2直交方向Yへ延在する部分39a、39bとの間に位置する2つのコーナ部Cを有する。本実施形態の筐体Bは、2つのコーナ部Cのうち、一方のコーナ部C1は、領域Rの内部に配置してあり、他方のコーナ部C2は、領域Rの外部に配置してある。
【0029】
筐体外周壁31の上端部31Uは、図4に示すように、第1直交方向Xにおいて、一方側から他方側に向けて上下方向Zにおける下方から上方へ向けて傾斜する傾斜部31Iと、上下方向Zにおいて平坦な平坦部31F1、31F2とを有する。本実施形態における筐体外周壁31の傾斜部31Iは、水平面に対する傾斜角度が一定である。また、本実施形態における筐体外周壁31の上端部31Uは、一方のコーナ部C1は、上下方向Zにおいて下方に位置する平坦部31F1に配置してあり、他方のコーナ部C2は、上下方向Zにおいて上方に位置する平坦部31F2に配置してある。
【0030】
蓋体5は、図1に示すように、蓋状の天板部50と、上下方向Zにおいて天板部50の周縁部から筐体本体3側へ突出する蓋体外周壁51と、蓋体外周壁51の内側に位置し、かつ、蓋体外周壁51との間に、筐体外周壁31が挿入される蓋体内周壁52(図5参照)と、蓋体外周壁51と蓋体内周壁52とを連結するリブ6とを有する(図4図6図7参照)。蓋体外周壁51、及び、蓋体内周壁52は、それぞれ板状に形成してあり、二重の蓋体壁部を形成する。蓋体内周壁52は、上下方向Zにおける下方の端部に、下端部52Dを有する。
【0031】
筐体Bは、図4図5図6図7に示すように、蓋体外周壁51、蓋体内周壁52、及び、筐体外周壁31の上端部31Uによって、収容空間S1を囲む空間部S2が形成される。
【0032】
本実施形態の筐体Bは、図5図6図7に示すように、蓋体内周壁52と筐体外周壁31との間には、隙間S3が形成される。
【0033】
筐体連結部33は、図8に示すように、少なくとも、第1直交方向Xに間隔を開けて配置し、筐体連結部33と筐体外周壁31と筐体内周壁32とによって、隙間S3を介在して空間部S2に連通し下方へ延在する排出空間S4が形成さる。
【0034】
底体4は、皿状の底板部40と、上下方向Zにおいて底板部40の周縁部から筐体本体3側へ突出する底体外周壁41とを備える。図示省略するが、蓋体5と同様に、底体4は、さらに、底体外周壁41の内側に位置し、かつ、底体外周壁41との間に、筐体外周壁31が挿入される底体内周壁と、底体外周壁41と底体内周壁とを連結する底体リブとを有する。底体外周壁41、及び、底体内周壁は、それぞれ板状に形成してあり、二重の蓋体壁部を形成する。
【0035】
リブ6は、蓋体外周壁51と蓋体内周壁52との相互の位置が、第1直交方向Xへ移動することを規制するものであり、かつ、第2直交方向Yへ移動することを規制するものである。このようなリブ6は、図4図6図7に示すように、空間部S2の周方向において、間隔をあけて配置する。つまり、本実施形態の筐体B、及び、電気接続箱1は、少なくとも第1直交方向Xにおいて、間隔をあけてリブ6を配置する。このようなリブ6は、閉塞リブ61と、閉塞リブ61よりも面積を減少させた面積減少リブ62とを含む。
【0036】
閉塞リブ61は、上述した空間部S2を閉塞する。閉塞リブ61は、できるだけ空間部S2を閉塞することが好ましい。ただし、図6に示すように、本実施形態の閉塞リブ61は、筐体外周壁31の上端部31Uとの間に、わずかな空間が形成される。ただし、この空間は、誤差の範囲内のものであり、水の流れ方向X1の途中において、上述した空間が存在したとしても、水の流れ方向X1において、下流側から上流側へ閉塞リブ61を通過する水はわずかであり、収容空間S1の内部に浸入するような量にはならない。本実施形態の筐体B、及び、電気接続箱1は、収容空間S1の周縁を形成する辺S12のうち、第1直交方向Xに延在する第1辺S12a(図3参照)に、1つの閉塞リブ61を有する。閉塞リブ61は、第2直交方向Yにおいて、第2区画S11nの収容空間S1の外側に位置する。より具体的に説明すると、閉塞リブ61は、水の流れ方向X1において、第1区画S11eと第2区画S11nとの境界に配置してある。本実施形態において、「閉塞リブ61が、第2直交方向Yにおいて、第2区画S11nの収容空間S1の外側に位置する」とは、第2直交方向Yにおいて、第2区画S11nと閉塞リブ61とが対向する状態と、第1直交方向Xにおいて、第1区画S11eと第2区画S11nとが隣接し、かつ第1区画S11eと第2区画S11nとの境界に閉塞リブ61が位置する状態とを含む。上記のように閉塞リブ61、第1区画S11e、及び、第2区画S11nが構成されるため、複数の区画S11は、水の流れ方向X1において、水の流れ方向X1において、閉塞リブ61の下流側に位置する第1区画S11eと、閉塞リブ61の上流側に位置する第2区画S11nとを含む。また、コーナ部C2は、水の流れ方向X1における第1区画S11eの下流側に位置し、平坦部31F2に配置される。さらにまた、第1区画S11eは、コーナ部C2に隣接して配置される。その上、閉塞リブ61は、傾斜部31Iと平坦部31F2との間に配置される。
【0037】
面積減少リブ62は、空間部S2の面積を減少させる。面積減少リブ62は、少なくとも水の流れ方向X1における閉塞リブ61の上流側に位置する。本実施形態の筐体B、及び、電気接続箱1は、閉塞リブ61の上流側に複数の面積減少リブ62を設けてある。このような面積減少リブ62は、水の流れ方向X1において、閉塞リブ61の下流側には、存在しない。
【0038】
次に、上述した筐体外周壁31に、勢いのある水がかかった場合を説明する。長期間にわたって勢いのある水は、図3に示す領域Rにかかることを想定してあり、領域Rを除いた他の領域において、勢いのある水が長期間にわたってかかることは想定していない。
【0039】
勢いのある水が筐体外周壁31にかかり、その状態が長時間継続すると、筐体外周壁31の外表面において水が上方へ移動し、筐体外周壁31の上端部31Uにまで到達する。そして、このような水は、空間部S2の内部に溜まる。空間部S2の内部に溜まった水は、隙間S3、及び、排出空間S4を通じて、筐体Bの外部に排出される。しかし、その水の排出量よりも、空間部S2に入り込む水の流入量が多いと、平坦部31F1の空間部S2の内部に水が溜まる。そして、その状態が維持されると、水の流れ方向X1において、上り勾配の傾斜部31Iを水が上がる。しかしながら、空間部S2の水が面積減少リブ62に当たると、水は、筐体Bの外部に排出される。そして、空間部S2の水が閉塞リブ61に当たると、水は、収容空間S1の内部において、通電可能な電子部品Dが配置されていない第2区画S11nに排出される。なお、本実施形態に係る筐体Bは、閉塞リブ61を備えるが、閉塞リブ61を備えない筐体は、空間部S2の内部に水がさらに溜まりコーナ部C2にまで水が到達するおそれがある。
【0040】
本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、以下の構成を有する。筐体Bは、筐体外周壁31と、筐体外周壁31の内側に位置する筐体内周壁32とを有し、蓋体外周壁51と蓋体内周壁52との間に筐体外周壁31が位置する。そのため、空間部S2を流れる水が筐体内周壁32の上端部31Uを超えることを防止し、筐体内周壁32によって、収容空間S1の内部に水が侵入することを防止することができる。
【0041】
本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、以下の構成を有する。複数の区画S11は、第1直交方向Xのうち空間部S2に水が浸入した際に水が流れる水の流れ方向X1において、閉塞リブ61の下流側に位置して通電可能な電子部品Dが配置された第1区画S11eと、閉塞リブ61の上流側に位置して通電可能な前記電子部品Dが配置されていない第2区画S11nとを含む。閉塞リブ61は、第2直交方向Yにおいて、第2区画S11nの収容空間S1の外側に位置する。そのため、本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、閉塞リブ61によって、閉塞リブ61の下流側に水が流れることを防止することができる。このため、閉塞リブ61の下流側では、収容空間S1の内部に水が浸入することを防止することができる。仮に、筐体外周壁31に水がかかる状態が長時間にわたって継続して空間部S2の内部を水が流れた場合であっても、閉塞リブ61によって、空間部S2の内部の水の流れを止め、通電可能な電子部品Dが配置されていない第2区画S11nの外側において、収容空間S1の外部に水を排出する。そして、仮に、収容空間S1の内部に水が侵入したとしても、収容空間S1の内部において、通電可能な電子部品Dが配置されていない第2区画S11nに水を排出する。これらにより、本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、通電可能な電子部品Dに水がかかることを防止することができる。その結果、本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、収容空間S1の内部において、水が浸入するおそれがある場所をコントロールすることができ、通電可能な電子部品Dに影響を与えることを低減することができる。
【0042】
本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、以下の構成を有する。筐体Bは、筐体外周壁31及び筐体内周壁32が第1直交方向Xへ延在する部分38と、筐体外周壁31及び筐体内周壁32が第2直交方向Yへ延在する部分39bとの間に位置するコーナ部C2を有する。コーナ部C2は、水の流れ方向X1における第1区画S11eの下流側に位置する。そのため、本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、水の流れ方向X1において、コーナ部C2の上流側に閉塞リブ61が位置する。その結果、本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、仮に、空間部S2の内部を流れた水は、閉塞リブ61によって水の流れが止められ、コーナ部C2にまで水が来ることを防止することができ、通電可能な電子部品Dに影響を与えることを一層低減することができる。
【0043】
本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、以下の構成を有する。筐体外周壁31の上端部31Uは、第1直交方向Xにおいて、一方側から他方側に向けて上下方向Zにおける下方から上方へ向けて傾斜する傾斜部31Iを有する。閉塞リブ61は、傾斜部31Iの途中、又は、傾斜部31Iの水の流れ方向X1における下流側に位置する。そのため、本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、傾斜部31I、及び、重力の作用によって、閉塞リブ61に到達する水の量を減少させることができる。この結果、本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、通電可能な電子部品Dに影響を与えることを一層低減することができる。
【0044】
本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、以下の構成を有する。リブ6は、空間部S2の面積を減少させる面積減少リブ62を含む。面積減少リブ62は、水の流れ方向X1における閉塞リブ61の上流側に位置する。本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1において、第1直交方向Xの一方側から他方側へ向けて流れる水は、閉塞リブ61に到達する前に、面積減少リブ62に接触し、面積減少リブ62によって、閉塞リブ61に到達する水の量を減少させることができる。この結果、本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、通電可能な電子部品Dに影響を与えることを一層低減することができる。
【0045】
本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、以下の構成を有する。筐体本体3は、筐体外周壁31と筐体内周壁32とを連結する筐体連結部33をさらに有する。筐体連結部33は、第1直交方向Xに間隔を開けて配置し、当該筐体連結部33と筐体外周壁31と筐体内周壁32とによって、隙間S3を介在して空間部S2に連通し下方へ延在する排出空間S4が形成される。そのため、本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、仮に、空間部S2の内部を水が流れたとしても、隙間S3、及び、排出空間S4を通じて、空間部S2の水を収容空間S1の外部に排出することができる。その結果、本実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、収容空間S1の内部に水が浸入することを抑制することができ、通電可能な電子部品Dに影響を与えることを一層低減することができる。
【0046】
なお、上述した実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態の筐体B、及び、電気接続箱1は、1つの閉塞リブ61を有するものを説明した。しかし、本実施形態の筐体B、及び、電気接続箱1は、それに限られず、複数の閉塞リブ61を有してもよい。
【0047】
また、上述した実施形態に係る筐体B、及び、電気接続箱1において、閉塞リブ61は、水の流れ方向X1において、第1区画S11eと第2区画S11nとの境界に配置してあるものを説明した。しかし、この発明は、それに限られず、閉塞リブ61は、第2直交方向Yにおいて、第2区画S11nが位置する収容空間S1の外側に位置する空間部S2を閉塞すればよい。
【0048】
さらに、上述した実施形態には、筐体B、及び、電気接続箱1は、面積減少リブ62を蓋体5に設けるものを説明した。しかし、この発明は、それに限られず、蓋体5に、面積減少リブ62を設けなくてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態には、筐体Bは、筐体本体3と、底体4と、蓋体5とを備えるものを説明した。しかし、この実施形態はそれに限られず、筐体Bは、上記した筐体本体3及び底体4を一体に形成し、この一体に形成したものと、蓋体5とによって構成してもよい。
【0050】
さらに、上述した実施形態には、筐体外周壁31の傾斜部31Iは、水平面に対する傾斜角度が一定である筐体Bを説明した。しかし、この実施形態は、それに限られず、水平面に対する傾斜角度が徐々に大きくなってもよいし、徐々に小さくなってもよいし、これらと異なるように設定してもよい。
【0051】
また、上述した実施形態の筐体B、及び、電気接続箱1は、蓋体内周壁52と筐体外周壁31との間に隙間S3が形成されるものを説明した。しかし、この実施形態はそれに限られず、筐体B、及び、電気接続箱1は、蓋体外周壁51と筐体外周壁31との間に隙間S3が形成されてもよい。つまり、本実施形態の筐体Bは、蓋体外周壁51と筐体外周壁31との間、及び、蓋体内周壁52と筐体外周壁31との間の少なくとも一方に、隙間S3が形成されればよい。
【符号の説明】
【0052】
1 電気接続箱
3 筐体本体
30b 開口部
31 筐体外周壁
31F2 平坦部
31I 傾斜部
32 筐体内周壁
33 筐体連結部
38 第1直交方向Xへ延在する部分
39b 第2直交方向Yへ延在する部分
5 蓋体
50 天板部
51 蓋体外周壁
52 蓋体内周壁
6 リブ
61 閉塞リブ
62 面積減少リブ
B 筐体
C(C2) コーナ部
D 電子部品
S1 収容空間
S11 区画
S11e 第1区画
S11n 第2区画
S2 空間部
S3 隙間
S4 排出空間
WH1 ワイヤハーネス
X 第1直交方向
X1 水の流れ方向
Y 第2直交方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8