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特許7066774光合成生物の培養および/または増殖の方法および材料
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】光合成生物の培養および/または増殖の方法および材料
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220506BHJP
   C12M 1/02 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
C12M1/00 E
C12M1/02 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020068736
(22)【出願日】2020-04-07
(62)【分割の表示】P 2018150087の分割
【原出願日】2013-03-15
(65)【公開番号】P2020120668
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2020-04-28
(31)【優先権主張番号】61/612,001
(32)【優先日】2012-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514232694
【氏名又は名称】フォアライト,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】アダム フリン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ カンタレク
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-510768(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0038313(KR,A)
【文献】特開平06-327375(JP,A)
【文献】特開2002-184207(JP,A)
【文献】国際公開第2008/104309(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12N
C12P
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器内部容積を画定する壁を有する略球状容器と、
容器内部容積の内部および中心に配置される単一液体ランプアッセンブリとを含む、光合成生物の培養および/または増殖のためのフォトバイオリアクターであって、該ランプアッセンブリが、
対応する複数のLEDに電気的に接続された複数の回路基板を含む略球状光源であって、該回路基板の各々が該容器内部容積に面する表面を含み、該回路基板の各々の表面が該光源から熱を放散するように構成された金属の層を含む、前記略球状光源と、
該略球状光源を囲む略球状光源バリアであって、電気コネクターを含むように構成され、かつ該光源バリアの内部容積を該略球状容器の外部と接続するチャネルを含む、前記略球状光源バリアと
を含む、前記フォトバイオリアクター。
【請求項2】
前記LEDが、光合成生物の増殖に適した発光スペクトルを有する、請求項1記載のフォトバイオリアクター。
【請求項3】
前記複数のLEDが、赤色、白色および青色LEDであり、該複数のLEDが、反対色のLEDに隣接させて配置される、請求項1記載のフォトバイオリアクター。
【請求項4】
前記略球状容器が、気体出口の穴を含む、請求項1に記載のフォトバイオリアクター。
【請求項5】
前記略球状容器が、気体入口の穴を含む、請求項1に記載のフォトバイオリアクター。
【請求項6】
前記光源バリアの内部容積を前記略球状容器の外部と接続する前記チャネルの内側に、前記電気コネクターをさらに含む、請求項1に記載のフォトバイオリアクター。
【請求項7】
前記電気コネクターが、前記チャネルを通って延在し、前記略球状容器の内部容積内に吊るされる、請求項記載のフォトバイオリアクター。
【請求項8】
前記チャネルが、前記電気コネクターに水が接触するのを防止する、請求項記載のフォトバイオリアクター。
【請求項9】
前記複数のLEDが、パルス幅変調式である、請求項1記載のフォトバイオリアクター。
【請求項10】
前記略球状容器の温度を制御する冷却デバイスをさらに含む、請求項1記載のフォトバイオリアクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フォトバイオリアクターの藻類培養用途が記述されており、一般的には、1個または複
数の外輪で撹拌される浅い潟を利用する。そのようなバイオリアクターは、季節や日々の
天候変動および汚染のせいで藻類の生産性が低下するなどの問題を抱えている。そのよう
なバイオリアクターが一般的には太陽の日中光を受けるように建設されていることを考慮
すれば、生産性はとりわけ日照時間と季節に左右される太陽の強度により制限される。
【発明の概要】
【0002】
たとえば光合成生物の増殖を含む、培養の方法と材料が提供される。
【0003】
本明細書に開示の方法は、可視光スペクトルの電磁波源の使用を含むフォトバイオリア
クターの使用を含み得る。一実施形態では、電磁波源は複数の回路基板を含む。別の実施
形態では、各回路基板は、少なくとも3つのエッジを含み、略球形に構成されてランプア
ッセンブリ内部容積を画定する。別の実施形態では、略球形に構成される複数の回路基板
は、ランプアッセンブリ内部容積に接する第1平面と、たとえば発光ダイオード(LED
)を含む強力なランプを含む反対側の第2平面を含む。別の実施形態では、フォトバイオ
リアクターは、複数の回路基板を囲むバリアを含み、前記バリアは略球体、卵形(ovoid
)、卵形(egg)、筒形、直角プリズム形または他の類似の形状を有する。そのような方
法は、たとえば脂肪酸、フィコビリンタンパク質たとえばC-フィコシアニン、アロフィ
コシアニン、フィコエリトリン、バイオ燃料たとえばフィトールおよび他の様々な石油燃
料代替物を含む化合物(たとえば生体分子)の生産に用いられ得る。
【0004】
本開示は、光合成生物を培養および/または増殖するフォトバイオリアクターも提供す
る。一実施形態では、フォトバイオリアクターは、可視光スペクトルの電磁波源を含む。
別の実施形態では、フォトバイオリアクターは、容器内部容積を画定する壁を有する容器
を含む。一実施形態では、容器は、略筒状、球体、直角プリズムまたは卵形の形状である
。別の実施形態では、フォトバイオリアクターは、容器内部容積内に配置されるランプア
ッセンブリを含み、該ランプアッセンブリは所望により複数の回路基板を含み、それぞれ
所望により少なくとも3つのエッジを含み、略球体または卵形に構成されてランプアッセ
ンブリ内部容積を画定している。一実施形態では、複数の回路基板はそれぞれ、ランプア
ッセンブリ内部容積に接する第1平面と、発光ダイオード(LED)を含む反対側の第2
平面を含む。一実施形態では、フォトバイオリアクターは、複数の回路基板を囲むバリア
を含む。一実施形態では、バリアは、略筒状、球体、直角プリズムまたは卵形の形状であ
る。
【0005】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
バリアは筒状であり、筒状壁、上部壁および下部壁を含み、それぞれが槽内部容積を画定
する。
【0006】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
容器は略球体または卵形である。
【0007】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
容器は気体入口の開口部を含む。
【0008】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
容器は気体出口の開口部を含む。
【0009】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
容器は光源の配線用の開口部を含む。
【0010】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
ランプアッセンブリは容器のほぼ中心に配置される。
【0011】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
2つ以上のランプアッセンブリが容器内に配置される。
【0012】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
2つ以上のランプアッセンブリは容器内で異なる高さに配置される。
【0013】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
3つ以上のランプアッセンブリが容器内に配置される。
【0014】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
3つ以上のランプアッセンブリは容器内で異なる高さに配置される。
【0015】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
3つ以上のランプアッセンブリは容器内でらせん配列で配置される。
【0016】
本開示は、光合成生物の培養および/または増殖に使用される光源も提供する。一実施
形態では、光源は、それぞれ少なくとも3つのエッジを含む複数の回路基板を含む。一実
施形態では、回路基板は略球形に構成されてランプアッセンブリ内部容積を画定し、ラン
プアッセンブリ内部容積と接触する第1平面と、発光ダイオード(LED)を含む反対側
の第2平面を含む複数の回路基板と、略球形を形成する複数の回路基板を囲むバリアを含
む。
【0017】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
平面回路基板の略球形の構成は、少なくとも1枚の回路基板がない面を有して電気的接続
を許容する。あるいは、平面回路基板の略球形の構成は、電気的接続を許容する開口部を
有する。
【0018】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
回路基板は、回路基板の噛合を許容する1つまたは複数の切欠き部を形成する2つ以上の
タブをその周囲に含む。
【0019】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
回路基板は五角形の形状である。
【0020】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
11枚の五角形が互いに接合されて1面のない十二面体が形成される。別の実施形態では
、1枚または複数が開口部を有する12枚の五角形が互いに接合されて、十二面体が形成
される。
【0021】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
回路基板は三角形の形状である。
【0022】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
20枚の三角形が互いに接合されて1面のない二十面体が形成される。別の実施形態では
、1枚または複数が開口部を有する21枚の三角形が互いに接合されて、二十面体が形成
される。
【0023】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
回路基板は赤色LED、白色LEDおよび青色LEDを含む。
【0024】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
赤色LED、白色LEDおよび青色LEDは、反対色のLEDに隣接して配置される。上
記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、LE
Dはパルス幅変調式である。
【0025】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
バリアはプラスチックである。
【0026】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
バリアは略球体または卵形である。
【0027】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
プラスチックが光を透過させる。
【0028】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
バリアは開口部を有して電気的接続を許容する。
【0029】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
バリアと回路基板の間の空隙が、熱を拡散させる流体を含む。
【0030】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
流体は鉱物油である。
【0031】
本開示は、ドコサヘキサエン酸(DHA)を生産する方法も提供し、該方法は、DHA
を生成する酵素を含む1種類または複数の光合成生物を準備すること、液体増殖培地を含
むたとえば本明細書に記載されるバイオリアクターの容器に光合成生物を添加すること、
1種類または複数の光合成生物をランプアッセンブリが発する光と接触させることを含む
。一実施形態では、ランプアッセンブリは複数の回路基板を含む。別の実施形態では、各
回路基板は略球形を構成してランプアッセンブリ内部容積を画定し、複数の回路基板は、
ランプアッセンブリ内部容積と接触する第1平面と、発光ダイオード(LED)を含む反
対側の第2平面を含む。一実施形態では、ランプアッセンブリは、略球形または卵形を形
成する複数の回路基板を囲むバリアを含む。他の実施形態では、複数の回路基板は、4面
、6面もしくは8面の三角形の平面幾何学的形状、たとえば四面体、二段の四面体、八面
体、または20面の平面幾何学的形状、たとえば二十面体の、任意の形状に構成される。
【0032】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
1種類または複数の光合成生物は、藻類および/または増殖性の藻類培養物を含む。
【0033】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
塩度は類似しているが温度が異なる自然環境を有する2種類以上の藻類が準備される。
【0034】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
藻類は、イソクリシス aff. ガルバナ(Isochrysis aff. Gal
bana)、パブロバ・ルテリ(pavlova lutheri)、アルスロスピラ・
プラテンシス(arthrospira platensis)、クロレラ・ピレノイド
サ(chlorella pyrenoidosa)、シネココッカス・エロンガタス(
synechococcus elongates)からなる群(それらの天然のまたは
遺伝子改変/組換株を含む)より選択される。
【0035】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
方法は、増殖培地からDHAを単離することをさらに含む。
【0036】
本開示は、光エネルギーを保存する方法も提供し、該方法は、光エネルギーから1種類
または複数の化合物を生成する酵素を含む1種類または複数の光合成生物を準備すること
、1種類または複数の光合成生物を液体増殖培地を含むバイオリアクターの槽に添加する
こと、1種類または複数の光合成生物をたとえば本明細書に記載のランプアッセンブリが
発する光と接触させること、および1種類または複数の化合物を光エネルギーから生産す
ること、を含む。一実施形態では、ランプアッセンブリは、それぞれ少なくとも3つのエ
ッジを含み、略球形に構成されてランプアッセンブリ内部容積を画定する複数の回路基板
であって、ランプアッセンブリ内部容積と接触する第1平面と、発光ダイオード(LED
)を含む反対側の第2平面を含む複数の回路基板と、略球形を形成する複数の回路基板を
囲むバリアを含む。
【0037】
上記または下記のいずれの実施形態とでも組み合わせ可能ないくつかの実施形態では、
その後1種類または複数の化合物からエネルギーが放出される。
【0038】
上述した概要ならびに以下の本開示の詳細な説明は、添付の図面と合わせて読むとより
よく理解できる。本開示は、ここに示す構成(配列)、例および手段に厳密に制限されな
いことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本明細書に記載される例示的な球形フォトバイオリアクターの概略図を示す。
【0040】
図2】五角形の回路基板で構成される例示的な十二面体形の光源の概略図(A)、三角形の回路基板で構成される例示的な二十面体形の光源の概略図(B)を示す。
【0041】
図3】五角形の回路基板で構成される光源を含む例示的なランプアッセンブリの概略図(A)、三角形の回路基板で構成される光源を含む例示的なランプアッセンブリの概略図(B)を示す。
【0042】
図4】本明細書に記載される例示的な垂直方向樽形のフォトバイオリアクターの内部の概略図を示す。
【0043】
図5】本明細書に記載される例示的な垂直方向樽形のフォトバイオリアクターの概略図を示す。
【0044】
図6】本明細書に記載される水平方向樽形のフォトバイオリアクター内のランプアッセンブリの様々な位置を示す。
【0045】
図7】本明細書に記載される水平方向樽形のフォトバイオリアクターの例示的なラック構成を示す。
【0046】
図8】本明細書に記載される水平方向樽形のフォトバイオリアクターAおよびBの例示的なラック接続構成を示す。
【0047】
図9】本発明の一例の実施形態による培養物の増殖を管理する一例の制御システムのブロック図を示す。
【0048】
図10】本発明の一例の実施形態による培養物の増殖を管理する一例の手順を例示するフロー図を示す。
【0049】
図11】例示的な容器蓋(A)および例示的なぺブル構成(B)を示す。
【0050】
図12】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図13】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図14】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図15】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図16】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図17】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図18】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図19】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図20】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図21】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図22】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図23】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図24】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図25】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図26】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図27】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
図28】本明細書に記載されるランプアッセンブリの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示は、フォトバイオリアクターを用いての藻類などの光合成生物の培養および/ま
たは増殖の方法および材料を提供する。本明細書で提供されるフォトバイオリアクターは
、液体培地と光合成生物を含むフォトバイオリアクターの容器内に配置される略球体の光
源を含むランプアッセンブリを含む。そのようなフォトバイオリアクターの使用は、光合
成生物の予想外に高い増殖率と密度を許容し、光合成生物からの生物変換効率および産物
収量を最大限にする。本明細書で提供される方法は、限定ではないが、光合成生物由来の
脂肪酸たとえばドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、エイコ
サペンタエン酸(EPA)もしくは他の脂肪酸または他の化合物たとえばフィコビリンタ
ンパク質(たとえばC-フィコシアニン、アロフィコシアニン、フィコエリトリンなど)
ならびにバイオ燃料たとえばフィトールおよび他の様々な石油燃料代替物を含む1または
複数の化合物(たとえば生体分子)の生産に使用され得る。加えてまたは代わりに、本明
細書で開示されるそのような方法は光エネルギーの保存の提供に使用され得る。
【0052】
次に図1を参照すると、本発明の一実施形態によるフォトバイオリアクターが示されて
いる。フォトバイオリアクター101は、光合成生物の培養および/または増殖のための
液体培地103を収容する容器102(たとえば槽)を含む。
【0053】
本発明のフォトバイオリアクター101は、受光量を有する植物細胞および単細胞また
は多細胞微生物などあらゆる種類の光合成微生物の培養に適している。本明細書では、「
光合成微生物」という用語は、当業者には周知の技法により遺伝子組換えされた生物も含
む。
【0054】
液体培地は、本明細書では「藻類」培養物と呼ばれることもあるが、フォトバイオリア
クターはあらゆる種類の光合成微生物の培養に使用され得ることが理解される。
【0055】
容器102は蓋104で覆われ得る。一実施形態では、蓋104は、たとえば塩化ポリ
ビニル、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのプラスチ
ックを含む不活性材料で作製される。容器102の上縁は、蓋104が容器102上部に
固着される(たとえばボルト止めまたは締め付け)ように、リップ部として形成され得る
。さらに、容器上縁にガスケット材料を取り付けて蓋104と気液密封させてもよい。一
実施形態では、蓋104は反射性材料で裏張りされ得る。一実施形態では、容器を強固に
するため剛性フレーム(たとえば金属フレーム)が加えられ得る。
【0056】
容器102は、気体入口105の穴を含み得る。一実施形態では、容器内部の気体入口
の一部分にエアストーンまたは金属発泡体107が被せられる。さらに、容器102は、
容器から気体が出るのを許容する気体通気口106を含み得る。
【0057】
容器102は、たとえば略球体または筒状など、あらゆる便利な形状であり得る。容器
102は、吸い付かない耐腐食性のたとえば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンお
よびポリプロピレンなどのプラスチックを含む食品等級材料または高不活性材料で作製さ
れ得る。あるいは、容器102は、ステンレス鋼、ガラスなどで作製され得る。容器は耐
熱材料および/または耐光圧材料で作製されるのが好ましい。
【0058】
光源109、バリア110および電気コネクター111を含むランプアッセンブリ10
8(たとえばぺブル)が容器内部容積112内に吊るされる。一実施形態では、容器内部
にある電気コネクター111の一部分は防水性である。一実施形態では、光源は、それぞ
れ少なくとも3つのエッジ、少なくとも4つのエッジまたは少なくとも5つのエッジを含
み、略球形に構成されて光源内部容積114を画定する複数の回路基板113であって、
光源内部容積に接触する第1平面115と、光合成生物の増殖に適した発光スペクトルを
有する発光ダイオード(LED)117などの強力なランプを含む反対側の第2平面11
6とを含む複数の回路基板113と、略球形を形成する複数の回路基板を囲むバリア11
0とを含む。あるいは、単一の回路基板(たとえばフレキシブル基板)を略球形に成形し
て照明アッセンブリで使用してもよい。
【0059】
回路基板116は、赤色LED、白色LEDおよび青色LEDを含み得る。そのような
LEDは、別色の2つ以上のLEDに隣接して配置した同色の2つ以上のLEDを含む群
として配置され得る。あるいは、たとえば赤色LED、白色LEDまたは青色LEDを含
む1つのLEDを、反対色のLEDに隣接させて配置してもよい。いくつかの実施形態で
は、LEDは、単一のLEDが4つか6つのLEDに隣接するように列で配置され得る。
各LEDの発光強度は均一であっても異なってもよい。
【0060】
平面回路基板の略球形の構成は、電気的接続を許容する開口部かまたは少なくとも1枚
回路基板がない面を有し得る。
【0061】
回路基板は、どの多角形の形状であってもよい。一実施形態では、多角形の形状は、何
枚かの回路基板が接合されて内部容積を有する略球形になるのを許容する。いくつかの実
施形態では、回路基板は五角形の形状であり得る。さらなる実施形態では、11枚の五角
形が接合されて面が1つない十二面体を形成している(図2A)。あるいは、いくつかの
実施形態では、回路基板の形状は三角形であり得る。さらなる実施形態では、20枚の三
角形が接合されて面が1つない二十面体を形成している(図2B)。別の実施形態では、
6枚の三角形が接合されて三角形の基部を有するダブルピラミッドを形成している(図2
C)。別の実施形態では、8枚の三角形が接合されて四角形の基部を有するダブルピラミ
ッドを形成している(図2D)。
【0062】
回路基板は、ランプ(たとえばLED)からの熱や信号を放散させるため、内部容積に
面する銅または他の金属の層も含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、回路基板は、回路基板同士の噛合を可能にする1つまたは複
数の切欠き部を形成する2つ以上のタブをその周囲に含む。(たとえば図3A(三角形)
および図3B(五角形)参照)。
【0064】
略球形を形成する複数の回路基板を囲むバリア110は、たとえば透明プラスチックお
よび/または厳しい温度に耐えられるプラスチックを含む様々なプラスチック材料などの
多様な不活性材料で作製され得る。バリアは、複数の回路基板の周りを水密封止し、容器
内部容積112内の培地が複数の回路基板116と接触するのを防止する機能がある。い
くつかの実施形態では、複数の回路基板を囲むバリア110は、回路基板の周りに略筒形
図3A)または略球形(図3B)であり得るコンテナー(たとえばジャー)を形成する
。いくつかの実施形態では、バリアが形成するコンテナーは、光源の浮力を減ずる1種類
または複数の物質(たとえばガラスビーズ119などの不活性ビーズ)を収容する。
【0065】
回路基板は、光合成生物の特定株を最適化したり異常増殖に特異的な特徴を発現させる
1つまたは複数の波長の光を発するLEDを実装され得る。いくつかの実施形態では、回
路基板は、たとえばUV光および/またはIR光を含む可視スペクトルの外側の電磁放射
線を発するランプを実装され得る。そのようなランプは、容器内の液体培地の殺菌(たと
えばUV光を発するランプ)および/または容器内の液体培地の加熱(たとえばIR光を
発するランプ)に使用され得る。いくつかの実施形態では、LEDはパルス幅変調され得
る。一実施形態では、パルス幅変調は、フォトバイオリアクター内の特定の微生物の増殖
を最大限にするように最適化される。別の実施形態では、デューティー周期は少なくとも
50%、少なくとも55%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、
少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくと
も85%、少なくとも90%または少なくとも95%である。
【0066】
回路基板は、容器内部からのデータを回収するセンサーを含み得る。たとえば、センサ
ーは、たとえば光学密度、pHおよび/または導電率を含む培地のデータを回収するよう
に構成され得る。
【0067】
内部容積を有する略球形を形成する複数の回路基板は、個々のLEDもしくはLEDバ
ンク(たとえば2つ以上のLED)の制御用および/またはフィードバックモニタリング
用を含む、1つまたは複数のマイクロプロセッサーを内部容積中に含み得る。
【0068】
容器102は、ランプアッセンブリ108に電気的接続を提供する1つまたは複数の穴
またはアクセスポートを含み得る。
【0069】
1つまたは複数のランプアッセンブリ108が容器内部容積112全体に配分され得る
。単一の光源を容器内部容積の中心に吊るしてもよい。あるいは、フォトバイオリアクタ
ーで2つ以上のランプアッセンブリを使用するときは、ランプアッセンブリは容器内部容
積において同じかまたは異なる高さに吊るされ得る(図1図4参照)。あるいは、3つ
以上のランプアッセンブリを使用するときは、ランプアッセンブリは、らせんまたは二重
らせん配置などの任意の幾何学的構成で吊るされ得る。
【0070】
容器の温度を制御するため冷却デバイスが設けられ得る。そのような冷却デバイスは、
容器102の壁の一部分を囲む冷却ジャケットとしてもよい。そのような冷却ジャケット
は、容器102の壁全体に循環冷却水または他の流体を提供して熱を吸収し、容器に収容
された培地103の温度制御を補助する。冷却水は、入口管からジャケットに入って出口
管から出得る。冷却ジャケットの寸法は、容器102に収容された液体培地にランプアッ
センブリ108が伝える熱の量、培地の所望の温度、冷却水の温度や流量などの多く要因
に依存することになる。あるいは、容器の温度は、たとえばLEDまたはランプアッセン
ブリが浸かっているオイルの循環および/または温度制御などの、ランプアッセンブリま
たはLEDの温度制御により制御され得る。
【0071】
容器102は、一般的には、液体培地表面と蓋の間の頭隙を収容するように設計される
。頭隙は、生体培地でしばしば生じる泡沫形成を許容する。
【0072】
容器102は、圧縮気体(たとえば二酸化炭素や二酸化炭素強化空気)を供給されて藻
類培養物の光合成要件を補助する気体入口管105を取り付けられ得る。管105は、容
器102の壁を貫通する。容器102に収容された液体藻類培地を通って気泡が上昇し、
消費された気体は、好ましくは培地表面よりも上位で容器の壁または蓋に配置され得る気
体通気口106から抜ける。
【0073】
より強力な混合が望ましい場合は、エアポンプ118または他のたとえばモータを動力
源とする撹拌機構を用いて培地が撹拌され得る。
【0074】
フォトバイオリアクター101は、ランプアッセンブリの外表面を洗浄するため、容器
内部容積中に、またはランプアッセンブリ108の外表面に取り付けられる洗浄ユニット
と、洗浄ユニットを作動する洗浄ユニットアクチュエータとをさらに含み得る。そのよう
な洗浄ユニットは、ランプアッセンブリ外側に付着して光源を遮り得る培養および/また
は増殖された光合成生物を除去する働きをし得る。いくつかの実施形態では、容器は、超
疎水性、疎水性および/または油分をはじく材料で構成されるかまたは被覆されている。
【0075】
次に図5を参照すると、この図は、本開示が提供する別の実施形態のフォトバイオリア
クターを示している。そのようなフォトバイオリアクターは、2つ以上の容器を垂直また
は水平位置に積み重ねたりラック収容するのを許容する筒形容器501(たとえば樽形容
器)を含み得る。一般的な入手しやすさ、コストおよび保管しやすさ(たとえば積み重ね
可能)から、本明細書に開示の方法では55ガロンのプラスチックドラムが使用され得る
。一実施形態では、容器501は、反射性材料で裏張りされ得る。一実施形態では、容器
は、排気用継手503、CO注入管504および電気入口継手505を有する蓋502
を含む。一実施形態では、蓋は、クランプ506などの取付機構により容器に取り付けら
れ得る。電気入口継手505は、電源508から電源を供給される防水性の電線507を
受け得る。いくつかの実施形態では、容器は、送気管隔壁継手509および送水管隔壁継
手510を含み得る。
【0076】
図5に示す実施形態は垂直構成で表されているが、本開示に沿うフォトバイオリアクタ
ーは、水平構成に配置されてもよい。そのようなフォトバイオリアクターは、2つ以上の
容器を水平位置に積み重ねたりラック収容するのを可能にする筒形容器(たとえば樽形容
器)を含み得る。一実施形態では、容器は、培地を導入したり培養物を回収するための蓋
と、培地を導入したり培養物を回収するためのドレーンを含む。別の実施形態では、フォ
トバイオリアクターは、フォトバイオリアクターの底部に位置する気体入口を含む。一実
施形態では、この気体入口はCOの入口である。別の実施形態では、フォトバイオリア
クターは、1つから複数(たとえば1から約50、2から約30、3から約20または約
6、8、10または12)の底部気体用継手と、1つから複数(たとえば1から約50、
2から約30、3から約20または約6、8、10または12)の上部気体用継手を含む
。一実施形態では、底部にドレーンを有する容器の基端から見ると、底部気体用継手は、
約3時と約6時の位置のほぼ間に、たとえば約3時、約3時30分、約4時、約4時30
分、約5時、約5時30分または約6時の位置に配置される。一実施形態では、底部にド
レーンを有する容器の基端から見ると、上部気体用継手は、約9時と12時の位置のほぼ
間に、たとえば約9時、約9時30分、約10時、約10時30分、約11時、約11時
30分または約12時の位置に配置される。一実施形態では、空気は底部気体用継手と上
部気体用継手を通って容器を出入りし循環される。一実施形態では、気体は、底部気体用
継手から容器に入り、気体用継手から容器を出る。一実施形態では、容器は、容量マーカ
ー、たとえばガロンマーカーを含む。
【0077】
フォトバイオリアクターは、液体培地、栄養分および/または抗菌剤を容器内部容積中
に輸送する輸送機構をさらに含み得る。栄養分は、合成および/または有機栄養分を含み
得る。いくつかの実施形態では、抗菌剤(たとえば洗剤)が液体培地に添加され、容器内
のコンタジェン(contagens)(たとえば意図的に容器に加えられる光合成微生物以外の
あらゆる生物)の増殖を鈍化または防止し得る。栄養分および/または抗菌剤は、たとえ
ば自動滴下システム経由など、当業界で既知の任意の方法で容器に添加され得る。一実施
形態では、自動滴下システムは、容器内の栄養分レベルを監視するモニタリングシステム
に接続(たとえば有線または無線接続)され得る。そのようなモニタリングシステムは、
常時または定期的に容器内の栄養分レベルを監視し、栄養分レベルが所定の限界値より下
がると自動滴下システムに栄養分を容器内に投入させ得る。逆に、モニタリングシステム
は、栄養分レベルが所定の限界値を上回ると自動滴下システムに容器内への栄養分投入を
中止させ得る。いくつかの実施形態では、他の微量化学物質(たとえばクエン酸)を容器
に添加して光合成微生物の増殖の環境条件を最適化し得る。
【0078】
図6Aから図6Fは、容器102内に含まれるランプアッセンブリ108の実施形態を
示す。これら各実施形態では、ランプアッセンブリ108は、1本または複数の接続管6
02に沿って直列に相互接続されるように構成されている。この接続スキームにより、容
器内の2つ以上のランプアッセンブリ108への電源供給が可能になる。容器102内の
照明アッセンブリ108の構成は、当該株と目的の産物による。たとえば、容器内に接続
管602が1本だけ配置されているほうが増殖率がよい株もあれば、容器内に2本以上の
接続管602が配置されているほうが増殖率がよい株もある。
【0079】
図6Aから図6Fは直列接続を示すが、ランプアッセンブリ108は、1つのランプア
ッセンブリの故障が相互接続された他のランプアッセンブリの動作に影響しないように、
並列電気接続を含み得る。さらに、接続管602は容器102を通じて略直線状に示され
ているが、他の実施形態では、接続管602は1つまたは複数の角度で形成され得る(た
とえばランプアッセンブリ108は90度の角度で接続され得る)。
【0080】
この例の接続管602は、少なくとも電源かイマージョンオイルのうち一方を各ランプ
アッセンブリ108に供給するように構成されている。たとえば図6Aでは容器102a
は、ポート604aとポート604bを含む接続管602aを含む。イマージョンオイル
はポート604aから接続管602aに供給され、ポート604bから接続管602aを
出る。オペレーターはこのようにして接続管602aに接続されたランプアッセンブリ1
08にイマージョンオイルを循環させて温度を制御できる。加えて、ポート604aを通
じて電気コネクター111が各ランプアッセンブリ108に設けられる。ランプアッセン
ブリ108への電源とオイルの制御については図9図10との関連で詳述する。
【0081】
図6Cは、接続管602が相互接続され得ることを示す。この相互接続により容器10
2を通ってイマージョンオイルが流れやすくなる。加えてまたは代わりに、相互接続は、
交差点に配置されたランプアッセンブリ108が交差する電気コネクター111の制御信
号のいずれかにより制御されるのを可能にし得る。たとえば、ランプアッセンブリ108
cは、ポート604c、ポート604dおよびポート604eそれぞれの中に配置された
電気コネクター111に接続され得る。結果として、ランプアッセンブリ108cはどの
電気コネクター111に供給された制御信号によっても制御され得る。
【0082】
図6Dは、LEDを有する20枚の回路基板を含むランプアッセンブリ108を有する
接続管602を示す。この実施形態では、ランプアッセンブリ108を通ってイマージョ
ンオイルを循環させて温度を制御する。さらに、20枚の回路基板の構成により光を容器
102内のほぼすべての場所に向けることができる。このことは、図6A図6B図6
C、図6Eおよび図6Fの比較的少ない回路基板を含む照明アッセンブリ108との比較
である。したがってこれらの図では、より少数のLEDを有する各照明アッセンブリを補
うためより多くの照明アッセンブリを用いる。
【0083】
本開示では大規模のフォトバイオリアクターも企図される。そのようなバイオリアクタ
ーは、1つまたは複数の容器と、2つ以上のランプアッセンブリを含み得る。容器の容積
と寸法は均一でも異なっていてもよい。たとえば、55ガロン以上を収容する容器または
3000ガロン以上を収容する容器が本明細書で開示される大規模フォトバイオリアクタ
ーで使用され得る。一実施形態では、容器間に空間を設けて容器を互いに接続可能にし得
る。別の実施形態では、容器は照明配分および/または電気的接続用に中心のカラムを有
し得る。
【0084】
なお、本発明のフォトバイオリアクターは、多様なサイズで製造され得ることが理解さ
れる。いくつかのフォトバイオリアクターをまとめてグループにして、たとえば図7と図
8に示すような大規模フォトバイオリアクターを作ってもよい。図1では簡略化して1つ
の照明アッセンブリを用いる単一のフォトバイオリアクターを示すが、典型的な工業規模
のフォトバイオリアクターでは、1つ以上のランプアッセンブリをそれぞれ含む2、3、
4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、1
00またはそれ以上のフォトバイオリアクターが使用され得る。
【0085】
2つ以上の容器を有するフォトバイオリアクターは、ある容器を1つまたは複数の隣接
する容器と接続する空気および水の管を含み得る。空気および水の管は、空気および/ま
たは水の流れを所定どおりに方向付ける弁を含み得る。所望により、弁は、保守および/
または点検時に容器の手早い取外しを許容し得る。図7および図8は、複数の相互接続さ
れた容器を含むフォトバイオリアクターの実施形態の図である。より具体的には、図7
、複数段(column)の容器を有するフォトバイオリアクターの実施形態を示し、各段の容
器が別の段の容器と相互接続されている。図8は、単一の段の複数の容器が相互接続され
ているフォトバイオリアクターの実施形態を示す。
【0086】
図7および図8に示す実施形態では、バレルの7時30分と4時30分の位置の12個
の気体入口から空気が入るが、そこで流れは2ミクロンの泡の柱となり、培地と混ざり、
循環と必要な気体を追加する。少量の気体を要する株では、気体入口を分割してその何分
の一かを気体用に用い、残りの入口は使用しないかまたは水再循環ポンプに接続すること
ができる。この実施形態では、気体が11時30分と12時30分の位置の気体出口に到
達するまで、気泡が下方のバレルの頂部に溜まる。この時点で、気泡の圧力は、気体が段
の頂部に到達するまで、その上のバレル内で同じプロセスを生じさせる。なお、各段の一
番下のバレルは、より多くの外部気体(つまりCO、気体アンモニアなど)を全体的補
充に利用できるように0.5ミクロンのディフューザーに接続された2~4つの追加の気
体入口を含むことにも注意されたい。
いくつかの実施形態では、大規模フォトバイオリアクターは、空気および/または栄養
分用の単一の注入点を含み得るので、空気(たとえばCO)および/または栄養分を他
の容器と機能的に接続された第1容器に導入すると、空気および/または栄養分が第1容
器から他の容器に移動できる。
【0087】
大規模フォトバイオリアクターの容器は、制御ユニット(たとえばコントローラーまた
はサーバー)および/またはセンサーモニタリングユニットに機能可能に接続され得る。
いくつかの実施形態では、制御ユニットは、オペレーターが各容器のランプアッセンブリ
を制御(たとえばランプアッセンブリのオンとオフ、またはランプの強度を調節)できる
ように構成され得る。いくつかの実施形態では、センサーユニットは、容器が汚染されて
いることを検知すると、その容器をフォトバイオリアクターの他の容器から接続解除する
ように構成され得る。
【0088】
一例の制御システム900の高次ブロック図を図9に示す。この例の制御システム90
0は、ワークステーション902、コントローラー904(たとえば制御ユニット)、容
器102、ポンプ906およびイマージョンオイルコンテナー908を含む。図9は容器
102のみを制御するコントローラー904を示すが、他の実施形態ではコントローラー
904は2つ以上の容器と通信可能に連結され得る。さらに、ワークステーション902
は、2つ以上のコントローラーと通信可能に連結され得る。
【0089】
この例のワークステーション902は、コントローラー904に指令を与え、プロセス
を制御し、システムプロセスデータを表示するオペレーターインターフェースを提供する
ように構成される。この例のコントローラー904は、ランプアッセンブリ108の制御
とイマージョンオイルの流れを司る。他の例では、コントローラー904は、容器102
内の液体培地103の制御を司るように構成され得る。たとえば、コントローラー904
は、気体入口弁、気体通気口、流体入口弁および/または追加弁を制御するように構成さ
れ得る。
【0090】
この例のワークステーション902は、コントローラー904と共働してオペレーター
に制御およびシステムフィードバックを提供する。ワークステーション902は、たとえ
ばパーソナルコンピューター、ラップトップコンピューター、サーバー、スマートフォン
、タブレットコンピューターなどを含むあらゆるタイプのプロセッサーを含む。コントロ
ーラー904は、センサーからの入力を用い開ループ系もしくは閉ループ系の制御を提供
するように構成されたあらゆる種類の制御システム(たとえばArduino(商標)マ
イクロコントローラーまたは特定用途向け集積回路「ASIC」)を含み、照明およびオ
イルの流れを制御する。
【0091】
この例では、コントローラー904は、各電気コネクター111aと111bによりラ
ンプアッセンブリ108a~108dに別々に電気的に接続されている。電気コネクター
111は、各接続管602aと602b内に配置される。コントローラー904は、別々
の接続管602を用いて、各接続管602内のランプアッセンブリ108を別々に制御す
る。たとえばコントローラー904は、ランプアッセンブリ108aと108bに電源を
供給しながら、ランプアッセンブリ108cと108dをオフ状態にし得る。
【0092】
この例のコントローラー904は、ポンプ906に通信可能に連結されている。コント
ローラー906は、デジタル指令またはアナログPWM電圧を供給してポンプ906を運
転し得る。この例では、システム900は各接続管602に別々のポンプ906を含むの
で、コントローラー904は各ランプアッセンブリ108へのイマージョンオイルの流れ
を互いに独立して制御できる。他の実施形態では、単一のポンプ906を使用してオイル
を1本または複数の接続管602に供給する。
【0093】
この例のポンプ906は、イマージョンオイルを接続管602に供給するためのあらゆ
る種類の構成要素を含む。たとえばポンプ906は容積型ポンプ、ギアポンプ、スクリュ
ーポンプ、ルーツ型ポンプ、蠕動ポンプ、押上げポンプ、油圧ポンプ、ベロシティポンプ
などを含み得る。コントローラー904から制御信号(たとえば電圧)を受けるとそれに
応答してポンプ906はイマージョンオイルをコンテナー908から各接続管602に移
動させる。ポンプ906は、可変速度でオイルを押し出すように構成され得る。あるいは
、ポンプ906は、バイナリ状態(たとえばオン/オフ)で動作するように構成され得る
。ポンプ906は接続管602の入口のところに配置して示されるが、他の実施形態では
、ポンプ906は接続管602の出口のところに配置され得る。これらの他の実施形態で
は、ポンプ906は、接続管602を通じてイマージョンオイルを引くように構成される
【0094】
この例のイマージョンオイルコンテナー908は、イマージョンオイルを保存するどの
ようなタイプの槽であってもよい。いくつかの例では、コンテナー908は、容器102
の一部分に沿って配置されたジャケットを含み得る。さらに、オイルコンテナー908は
、能動的な冷却または加熱を提供する構成要素を含み得る。
【0095】
図9に示す例では、コントローラー904は、ランプアッセンブリ108に供給される
電源の電圧、周波数およびPWM(たとえばデューティー周期)を制御するように構成さ
れる。たとえば、コントローラー904は、8.8~12ボルトの電圧を各ランプアッセ
ンブリ108に供給するように構成される。他の例では、コントローラー904は、0~
24ボルトの電圧をランプアッセンブリ108に供給するように構成され得る。印加され
た電圧は、ランプアッセンブリ108から発せられる光の強度を制御するのに使用される
。印加される電圧に比例してLED(または他の光源)が発光する例では、コントローラ
ー904は、LEDが現在の培養物の増殖に最適な光強度で発光するような電圧を提供す
るように構成される。
【0096】
LEDが発する光の周波数は、390~700nmの範囲であり得る。光の周波数は、
光源のタイプによる。いくつかの例では、コントローラー904は、所望の光周波数を得
るのにどのLEDを作動するかを選択するように構成される。たとえば、各ランプアッセ
ンブリ108は、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを含み得る。ランプアッセン
ブリ108は、LEDからの発光をまとめるための1つまたは複数のミラーも含み得る。
コントローラー904は、異なる色のLEDのパルスの時間を計り結果として目的の培養
に最適な光周波数が得られるように構成され得る。あるいは、光フィルターをランプアッ
センブリ108に用いて所望の光周波数を得てもよい。
【0097】
電圧の大きさの制御に加えて、コントローラー904は、電圧を特定のPWMの周期に
するようにも構成される。たとえばコントローラー904は、ランプアッセンブリ108
を100ミリ秒(ms)の周期で運転して、LEDがその75%の間(たとえば75ms
)オンになりその25%の間はオフになるようにしてもよい。コントローラー904は、
そのようにデューティー周期と時間をプログラムされる(または指令を与えられる)。例
として75%のデューティー周期と100msの時間を用いたが、コントローラー904
は、あらゆるデューティー周期と時間でランプアッセンブリ108を運転するようにプロ
グラムされ得る。
【0098】
コントローラー904は、ランプアッセンブリ108を通るイマージョンオイルの流れ
を制御して容器102内の温度を調整するようにも構成される。コントローラー904は
、ワークステーション902からの指令を用いて電源とオイルの流れをいかに制御するか
を決定する。なお、異なる種類の培養物には最適な増殖環境があるので、コントローラー
904は容器102内で増殖される培養物に基づいてプログラムされ得ることを理解され
たい。
【0099】
この例のコントローラー904は、容器102内の状態を監視しこれらの状態をワーク
ステーション902に報告するようにも構成される。この実施形態では、容器102は、
コントローラー904と通信可能に連結されている温度センサー912を含む。コントロ
ーラー904は、センサー912から供給された温度データを記録し、定期的にこの温度
データをワークステーション902に送信する。コントローラー904は、たとえば各ラ
ンプアッセンブリに印加される電圧、周波数およびPWM、運転の持続時間および/また
はシステム900内で検出された診断的故障(たとえばランプアッセンブリの破損や接続
管602内の障害)、ワークステーション902との通信障害などを含む現在の運転状態
を報告するようにも構成される。
【0100】
図10は、本発明の一例の実施形態による、図9の容器102内の培養物の増殖を管理
するための、例としての手順1000および手順1050を示すフロー図を示す。この例
の手順1000と手順1050は、たとえば図9に関して記載されたワークステーション
902、コントローラー904、ポンプ906および/またはランプアッセンブリ108
により実施され得る。手順1000と手順1050は図10に示すフロー図を参照して説
明されるが、手順1000と手順1050に関連する動作を実行する他の多くの方法が使
用され得ることが理解される。たとえば多くのブロックの順序が変更され得、あるブロッ
クは他のブロックと組み合わされ得、記載される多くのブロックは随意であり得る。
【0101】
本明細書に記載の開示される手順のすべてが1つまたは複数のコンピュータープログラ
ムまたはコンポーネントを用いて実行され得ることが理解される。これらのコンポーネン
トは、RAM、ROM、フラッシュメモリー、磁気または光学ディスク、光学メモリ、ま
たは他の記憶メディアを含む任意の一般的なコンピューター読出可能媒体上の一連のコン
ピューターの指令として提供され得る。指令は、一連のコンピューター指令を実行する際
に本開示の方法と手順の全部または一部の遂行を実施または促進するプロセッサー(たと
えばワークステーション902および/またはコントローラー904)により実行される
ように構成され得る。
【0102】
この例の手順1000は、オペレーターがワークステーション902を用いて新規の培
養物(たとえば光合成する藻類培養物)を増殖するセッションのルーチンをプログラムし
て開始する(ブロック1002)。オペレーターは、時間50ms、デューティー周期5
5%を指定する。オペレーターは、所望の光強度を生成するために、LEDに印加される
電圧を10.75ボルトとするようにも指定する。オペレーターは、培養物が2日かけて
増殖するように、また、培地103の温度が105℃を超えないように、さらに指定する
。オペレーターはさらに、ランプアッセンブリ108のいずれかで何らかの問題が生じた
場合のアラートと、容器102の経時的な温度をグラフ化したレポートを受信することを
選択する。
【0103】
ルーチンをプログラムした後、オペレーターは、ワークステーション902に、指令1
003(たとえばパラメータ)をコントローラー904に送信させる(ブロック1004
)。指令1003は、プログラムされたルーチンを含み、コントローラー904と互換性
のあるプログラミング言語でフォーマットされ得る。次いでワークステーション902は
コントローラー904からプロセスデータ1005を受信し記憶を開始する(ブロック1
006)。プロセスデータ1005は、容器102のプロセスを示す運転および診断情報
を含む。ワークステーション902は、コントローラー904によりデータが処理され送
信されるにつれ比較的一定のストリームのプロセスデータ1005を受信し得る。あるい
は、ワークステーション902は、コントローラー904からプロセスデータ1005を
定期的に受信し得る。
【0104】
ワークステーション902は、すべてのアラートについてプロセスデータ1005を分
析する(ブロック1008)。加えてまたは代わりに、ワークステーション902は、ア
ラートメッセージ1007がコントローラー904から受信されたかどうかを決定する。
アラートが受信されると、ワークステーション902はオペレーターにアラートを通知す
る(ブロック1010)。通知には、アラートの内容を示す、たとえば文字メッセージ、
電子メール、音声メッセージなどが含まれ得る。示した例では、アラートは、容器102
の温度が閾値の105℃よりも高いことを示すものを含み得る。あるいは、アラートは、
1つまたは複数のランプアッセンブリが運転不能であることを示す情報を含み得る。さら
に、アラートは、ポンプ906のいずれかが所定どおりに作動していないことを示す情報
を含み得る。
【0105】
図10に示す例では、ワークステーション902は、セッションが、アラートをオペレ
ーターに与えた後で完了したかどうかを決定する(ブロック1012)。他の実施形態で
は、ワークステーション902は、コントローラー904に、オペレーターがアラートに
応答するまで、プロセスを休止するように指示し得る。さらに他の実施形態では、ワーク
ステーション902は、コントローラー904に、アラートに応答するよう指令を与え得
る。たとえば、ランプアッセンブリ108bが運転不能であることを検出後、ワークステ
ーション902は、コントローラー904に、他のランプアッセンブリ108a、108
cおよび108dのデューティー周期、時間および電圧を変更して光損失を補てんする指
令を与える。
【0106】
アラートを受信しないことに応答して、ワークステーション902は、セッション(た
とえば運転時間2日でプログラムしたもの)が終了したかどうかを決定する(ブロック1
012)。セッション終了の決定に応答して、ワークステーション902は、2日間にわ
たり監視された容器102の温度を含むレポート1013を受信する(ブロック1014
)。そしてこの例の手順1000が終了する。あるいは、この例の手順1000は次のセ
ッションのためブロック1002に戻る。しかし、ワークステーション902が、セッシ
ョンは未終了であると決定すると(ブロック1012)、ワークステーション902は、
戻ってコントローラーからプロセスデータ1005を受信する(ブロック1006)。そ
してこの例の手順1000はセッションが完了するまで継続する。
【0107】
この例の手順1050は、コントローラー904がワークステーション902から運転
指令1003を受けて開始する(ブロック1052)。次いでこの例のコントローラー9
04は、指令1003に基づきランプアッセンブリ108に電源を供給するオペレーショ
ンを構成する(ブロック1054)。構成は、ランプアッセンブリ108が、時間50m
s、デューティー周期55%で10.75ボルトを受けるような出力ドライブのパラメー
タ設定を含み得る。この例のコントローラー904はポンプ906との接続も構成する。
この構成は、ランプアッセンブリ108内に十分なイマージョンオイルが存在するように
ポンプ906を運転することを含み得る。
【0108】
この例のコントローラー904は、たとえば容器102の許容可能な温度範囲、容器1
02のアラート閾値温度、診断設定などを含む運転条件も構成する(ブロック1056)
。コントローラー904は、どのプロセスデータをワークステーション902に送信すべ
きで、どのデータをレポートに含むべきかも決定する。構成は、温度センサー912およ
び/またはランプアッセンブリ108の較正も含み得る。
【0109】
構成後、コントローラー904は、指定の電圧とデューティー周期でランプアッセンブ
リを運転する(ブロック1058)。この例のコントローラー904は、温度センサー9
12からの出力の受信も開始する。たとえば、温度センサー912aは、液体培地103
の温度を報告し、温度センサー912bはランプアッセンブリ108a内の温度を報告し
、温度センサー912cは接続管602bの温度を報告する。他の例では温度センサー9
12は1つだけ使用され得ることが理解される。他の例ではコントローラー904は他の
種類のセンサー(たとえばpHセンサー、塩度センサー、光センサー、化学センサーなど
)からの出力を受信するように構成され得ることも理解される。
【0110】
この例では、コントローラー904は、温度データをプロセスデータ(たとえば運転デ
ータ)1005として送信する(ブロック1060)。プロセスデータ1005は、容器
102内および/またはコントローラー904内で検出されたあらゆる故障も含み得る。
プロセスデータ1005は、ランプアッセンブリ108に印加された電圧とデューティー
周期、およびポンプ906が運転されているかどうかもさらに含み得る。
【0111】
次に、この例のコントローラー904は、セッションが終了すべきかを決定する(たと
えば2日の期間)(ブロック1062)。セッションが終了すべきとの決定に応答して、
この例のコントローラー904は収集データをコンパイルし、レポートを作成し、レポー
ト1013をワークステーション902に送信する(ブロック1064)。他の実施形態
では、この例のコントローラー904は、セッションを終了し、ワークステーション90
2にセッションの終了を通知するがレポートは提供しない。これらの他の実施形態では、
コントローラー904はレポートを作成する能力がないかもしれない。代わりに、コント
ローラー904は、セッション終了後、収集データのログまたはデータ構造を供給し得る
。セッション終了後、この例の手順1050は終了する。あるいは、この例の手順105
0はブロック1052に戻って別の培養のセッションを開始する。
【0112】
ブロック1062に戻ると、セッションが終了していなければ、コントローラー904
はセンサー912からの温度出力を予め指定された温度と比較する(ブロック1066)
。コントローラー904は、この比較を実行して、容器102内の温度を能動的に変える
対策をとるべきかどうかを決定する。たとえば、温度が指定の許容可能範囲から外れてい
る場合、コントローラー904はポンプ906を運転して冷却(または加熱)オイルを容
器102内に循環させる(ブロック1068)。コントローラー904は、温度が許容可
能範囲内になるまでポンプ906の運転を続ける。加えてまたは代わりに、コントローラ
ー904は、ランプアッセンブリ108の強度および/またはデューティー周期も変えて
温度を調節し得る。たとえば、ランプアッセンブリ108に印加する電圧を下げると容器
102に伝達される熱量が減少する。さらに、デューティー周期を「オフ」状態がもっと
長くなるように変更しても、容器102に伝達される熱量が減少する。
【0113】
この例のコントローラー904は、容器102の温度が閾値を超過しているかどうかも
決定する(ブロック1070)。温度の閾値超過の決定に応答して、コントローラー90
4は、アラートメッセージ1007をワークステーション902に送信する(ブロック1
072)。コントローラー904は、ワークステーション102から次の指令が与えられ
るまで、またはセッションが終了するまで、ランプアッセンブリ108の運転を続ける。
【0114】
藻類などの光合成微生物は、本明細書に記載のフォトバイオリアクターを用いて培養お
よび/または増殖され得る。一般に、フォトバイオリアクターの容器の内部容積を培地で
満たす前に、フォトバイオリアクターの内部を殺菌ガス、次亜塩素酸溶液などに曝露して
消毒する。消毒後、加圧された送水管から容器内に水が導入される。所定深さまで容器を
水で満たす。いくつかの実施形態では、容器は、培地の表面が出口ポートの下になるよう
にファイルされる。栄養分と接種材料(たとえば藻類などの1種類または複数の光合成生
物)を、蓋を外して、または容器もしくは蓋のアクセスポートから容器内に導入する。培
地のpHと温度が、温度プローブとpHプローブにより光バイオ反応の間中監視され得る
。光バイオ反応は、ランプアッセンブリに電源を供給し、所望により入口管から適切な気
体混合物の散布を開始して、開始される。光バイオ反応の進行は、目盛付密度検出器によ
り監視され得る。培地のpHや組成の調節は、蓋または容器もしくは蓋のアクセスポート
から材料を導入して行う。
【0115】
いくつかの実施形態では、容器に添加される各光合成微生物のスターター培養物が増殖
され得る。スターター培養物が最適密度に達すると、該培養物の一部分が容器に添加され
得る。いくつかの実施形態では、2種類以上(たとえば種または株)の微生物が容器に添
加される場合、同数の各種類の光合成微生物が容器に添加され得る。あるいは、異なる数
の光合成微生物の各株が容器に添加され得る。
【0116】
光合成微生物が回収できるようになると、光源と随意の散布気体がオフにされ、光合成
微生物を含む培地が回収される。一実施形態では、培地と光合成微生物は容器壁に配置さ
れた随意の弁開口部から回収され得る。さらなる実施形態では、培地と光合成微生物はポ
ンプを用いて容器から押し出され得る。あるいは、容器が(たとえばCO注入用の)気
体入口を含む実施形態では、気体入口を逆にして静圧を高め、培地を代替の管から出して
もよい。あるいは、光合成微生物は房状になって容器から(たとえば過剰な空気流により
)容器外部の離れた表面へと押し出され得る。他の実施形態では、超音波トランスデュー
サ―を用いて容器内の培地を蒸発させることで光合成微生物をトランスデューサ―の周り
に塊状に集合させ、次いでそこから回収し得る。所望により、蒸発させた培地を収集し、
再循環させてフォトバイオリアクターで使用してもよい。次いで微生物が当技術分野で既
知の何らかの方法により回収および/または脱水され得る。
【0117】
フォトバイオリアクターは、回収した光合成微生物を含む培地部分を液体相と固体相(
微生物を含む)に分離するための分離装置をさらに含み得る。分離装置は好ましくはフィ
ルターであるが、微生物の種類により、当業者には既知の他の分離手段も使用され得る。
【0118】
例示的な方法では、本明細書に開示のフォトバイオリアクターは、脂肪酸、フィコビリ
ンタンパク質たとえばC-フィコシアニン、アロフィコシアニン、フィコエリトリン、バ
イオ燃料たとえばフィトールおよび他の様々な石油燃料代替物などの生体分子を生産する
藻類などの1種類または複数の光合成微生物(たとえばポリカルチャー)を増殖するのに
使用され得る。一実施形態では、塩度は類似しているが温度が異なる自然環境を有する2
種類以上の藻類、たとえばイソクリシス aff. ガルバナ(Isochrysis
aff. Galbana)、パブロバ・ルテリ(pavlova lutheri)、
アルスロスピラ・プラテンシス(arthrospira platensis)、クロ
レラ・ピレノイドサ(chlorella pyrenoidosa)、シネココッカス
・エロンガタス(synechococcus elongates)からなる群(それ
らの天然のまたは遺伝子改変/組換株を含む)より選択される藻類が一緒に増殖され得る
【0119】
藻類のそのような組合せは、容器内の液体培地の温度が変化しても、典型的には低温で
増殖する少なくとも1種類の藻類と、それよりも高温で増殖する少なくとも1種類の藻類
がある、という利点を提供する。次に藻類は本明細書で提供されるフォトバイオリアクタ
ーにおいて増殖され、藻類が所望の密度に達すると最終的に増殖培地から分離される。藻
類を増殖培地から分離した後、藻類からDHAが採取され所望により精製される。
【0120】
当業者であれば、これ以上説明しなくても、以上の説明と次の例示的な実施例から本開
示の因子を作製し利用し、請求項に記載される方法を実施できるであろう。以下の実施例
は本開示の実施を促進するために提供されるものであり、本開示の残りの部分をいかよう
にも制限するものではない。
【実施例
【0121】
実施例1:ぺブルの作製
本明細書で提供される方法を実施するためのぺブル(本明細書ではランプアッセンブリ
とも呼ばれる)は、当技術分野で既知の任意の方法と材料により作製され得、光源と光源
を囲むバリアを含む。
【0122】
A.ぺブルアッセンブリ
ぺブルは、LEDアレイ搭載の回路パネル(たとえば五角形のパネル)から作製され得
る。ぺブルセクション(たとえば2枚以上を貼り合わせた五角形の回路基板)は、それぞ
れ内側エッジに沿って液体シアノアクリル酸塩で接着して準備されるが(1つの3パネル
セクション、2つの4パネルセクション)、セクション同士は接続しない。シアノアクリ
ル酸塩は約3時間かけて乾燥させる。乾燥後、3つのセクションを互いにプレス嵌めして
十二面体の形にし、ただし該十二面体の1面は接続(たとえばワイヤアクセス)用に開け
ておいて、乾燥させて一晩かけて形状を落ち着かせる。次に、該3つの主要セクションを
ばらばらにする。2つの4面ぺブルセクションではそれぞれ、無鉛はんだのみを使い28
ゲージワイヤを用いてアース接続を中心パネルにはんだ付けする。これを、アースと同じ
中心パネルに12ボルト接続の接続を、3面部分では3面のいずれかをメイン接続パネル
として、繰り返す。次に、3パネルセクションのメインパネルからのアース接続を、4パ
ネルセクションのうちの1つのメインパネルに28ゲージワイヤと無鉛はんだを用いて接
続する。第2の4パネルセクションのメインパネルを、第1の4パネルセクションのメイ
ンパネルに隣接するこのセクションの遠くのパネル(メインパネルと1辺を共有し他の1
辺のみパネルに接着)に接続する。こうして一方の回路ではすべてのアース、別の回路で
はすべての12V接続を接続するこの最後のパネルに、各回路への22ゲージワイヤをは
んだ付けする(長さは、バレル全体でのぺブルの均一な分布により決定される(約10~
40インチ)。)次に、ワイヤが内部に配置されるように注意しながらパネルを互いにプ
レス嵌めする。次いでぺブルに錘として10~12個のガラスビーズを満たす。
【0123】
B.ぺブルケースアッセンブリ
ぺブルのケースが、ぺブル周囲が収まる寸法のポリエチレン(Nalgene)のジャ
ーを用いて準備され得る。1/4インチの穴をジャーの蓋の中央部に開ける。次に、蓋の
壁からシリコーンガスケットを1/4インチ挿入する。次に、雄1/4インチの真鍮壁貫
通タケノコ継手を蓋の下側からねじ込み、蓋の頂部から1/4インチのシリコーンガスケ
ットに取り付ける。次に、雌1/4インチの真鍮継手を蓋の頂部から雄継手に螺合させる
。次に、1/4インチの内径の可撓性シリコーン管1と1/2インチを、シアノアクリル
酸塩を接着剤として用いて蓋のガスケットに取り付ける。次に、外径(OD)1/4イン
チの剛性LLDPE白色管(長さはバレル内の最適なぺブル分布により決定される)を接
続管にシアノアクリル酸塩を接着剤として用いて取り付ける。次に、ジャーの底部に錘と
光拡散用のある数(たとえば14)の透明ガラスビーズを満たす。次に、組み立てたぺブ
ルをジャー内でガラスビーズ上に載置させ配置する。次に、22ゲージワイヤをガスケッ
トと管を縫うように通す。その後、ジャーを白色鉱油で満杯にし、可能な限り空気を抜い
てから蓋を回し密封する。ジャーの外側に付着した余剰の油を除去した後、ジャーを逆浸
透水で洗浄する。
【0124】
C.ぺブルケースの実施形態
図12から図35は、ランプアッセンブリの実施形態を示す図である。各実施形態にお
いて、ランプアッセンブリ108は、互いに接続されて、ケーシングの寸法に基づき独特
の幾何学的形状にされた回路基板113を含む。各ランプアッセンブリは、イマージョン
オイルを流れやすくする入口と出口を含む。入口と出口は、接続管602に機械的に接続
する寸法になっている。さらに、入口は、電気コネクター111(図示せず)を含む。
【0125】
たとえば図12図13は、互いに接続されてダブルピラミッドを形成する6枚の回路
基板113を含むランプアッセンブリ108を示す。ランプアッセンブリ108は、6枚
の回路基板を収容する寸法のケーシング1202を含む。具体的には、ケーシング120
2は電球形であり、周囲の液体培地に光を効率よく伝える。ランプアッセンブリ108は
、入口1204からイマージョンオイルを受ける。イマージョンオイルは、出力1206
からランプアッセンブリ108を出る。さらに、電気コネクター111が入口から回路基
板113まで配線される(図示せず)。いくつかの例では、電気コネクター111は、第
1回路基板に接触する。他の回路基板を第1回路基板に電気的に接続するのに電気トレー
スが使用される。他の実施例では、各回路基板113が電気コネクター111に接続され
る。
【0126】
図14から図16は、図12図13のランプアッセンブリ108の概略図を示す。具
体的には、図14は、ランプアッセンブリの上面透視図を示し、図16図15に示すケ
ーシング1502のケース接続部1504の拡大図を示す。この実施形態では、ケーシン
グ1502は2つの別個の片割れが接合部1600で接合されて形成される。ケーシング
1502は、2つの別個の片割れとして形成されて、回路基板のケーシング1502内部
の取付を可能にしている。図15図16に示すように、接合部1600は、ケーシング
1502のそれぞれの片割れの寸法決めにより機械的に封止され得る。あるいは、接合部
1600は、(ほぼ透明な)接着剤で化学的に封止され得る。
【0127】
図17から図22は、ランプアッセンブリ108の別の実施形態を示す。この実施形態
では、ケーシング1702はケーシング1502よりも球状である。さらに、図19から
図22は、ケーシング1702が、タブ1902により互いに接続される2つの片割れで
形成されることを示す。具体的には、図21図22は、ケーシング1702の片割れが
、対応する受け部と接触する各タブによりどのように機械的に接続されるかを示す。
【0128】
図23から図28は、ランプアッセンブリ内の回路基板の異なる実施形態を示す。具体
的には、図23図24に示すランプアッセンブリ108の上面透視図を示す。ランプア
ッセンブリ108は、互いに接続されて立方体を形成する三角形の母型の回路基板113
を含む。回路基板113の接続により、光がほぼ全方向に透過し最適な培養物増殖が可能
になる。
【0129】
図25は、三角形の回路基板113から形成される8面立方体の図を示す。図26は、
三角形の回路基板113から形成される3面立方体の図を示す。図27は、三角形の回路
基板113から形成される6面のダブルピラミッドの図を示す。図28は、三角形の回路
基板113から形成される6面立方体の図を示す。なお、他の実施形態は、より多くの面
を含んで略球体の構造物を形成し得ることを理解されたい。
【0130】
実施例2:フォトバイオリアクターの作製
本明細書で提供される方法を実施するためのフォトバイオリアクターは、当技術分野で
既知の任意の方法と材料により作製され得、バレルと蓋とCOストーンのアッセンブリ
(本明細書ではランプアッセンブリとも呼ばれる)により作製される。
【0131】
A.バレルの組み立て
標準的な60ガロンのポリプロピレン製バレル(開口するもの)を用いる例示的な方法
では、バレルは、8個の1/2インチ穴を等距離でバレル底から4と1/2インチのとこ
ろに開けて準備する。2つの隣接する穴の間の等距離のところに9番目の1/2インチ穴
をバレル底から2と1/2インチのところに開ける。次に、エグザクトブレードで余分な
ブラスチックを除去してドリル穴エッジを滑らかにする。
【0132】
バレル内側からレンチを用いて1/4インチのタケノコ雄ナイロン継手を各ドリル穴を
通じてねじ込む。次に、バレル外側から1/2インチのシリコーンワッシャー継手をタケ
ノコ雄継手上に取り付けてから1/4インチのタケノコ雌ナイロン継手に螺合させ締め付
ける。次いで1と3/4インチの長さの剛性(壁厚)1/4インチのタイゴン管をバレル
外側の雄継手に取り付ける。次いで、1/2インチの長さの黒色の1/8インチ黒色シリ
コーン管を、大きいエアストーンのタケノコ継手上に滑り込ませる。次にエアストーンア
ッセンブリをタイゴン管に挿入し、このプロセスを4と1/2インチの高さの1/2イン
チの継手すべてに対し繰り返す。次に3インチの長さの剛性タイゴン管(壁厚)を外部雌
タケノコ継手に取り付ける。次いでこのプロセスを9個の継手すべてに対し繰り返す。次
に、130インチの剛性白色LLPDE管を4と1/2インチの高さの8個の継手すべて
に取り付ける。次に、押込み接続(push-to-connect)アダプター継手と押込み接続ボ
ール弁を9番目(2と1/2インチの高さ)の継手に取り付ける。次に、2インチの透明
な1/4インチタイゴン管(壁薄)を、130インチの白色剛性LLDPE管のそれぞれ
に取り付ける。次に、8と1/2インチの長さの1/8インチ黒色シリコーン管を8連ポ
リプロピレンマニホールドのタケノコ継手に取り付ける。各剛性LLPDE130インチ
管を2インチの長さの透明のタイゴン管コネクター(壁薄)に接続してからマニホールド
に接続する。
【0133】
B.蓋の組み立て
例示的な方法では、黒色のポリプロピレン製の蓋に、1/2インチのプラスチックドリ
ルビットを用いて、図11Aに示すような構成で7個の穴を開ける。
【0134】
次に、エクザクトブレードで穴のエッジから余分なプラスチックを取り除き、滑らかに
する。蓋の底から1/4インチのナイロン雄タケノコ継手を穴に入れ、蓋の上側から1/
4インチのナイロン雌タケノコ継手と螺合させる。シリコーンワッシャーを雌継手と蓋の
上側の間に配置してもよい。他の継手を用いての照明の分布は培養目的の株により決定さ
れる。次に、2インチの長さの剛性タイゴン管(壁厚)を蓋のナイロン1/4インチ雄継
手それぞれに取り付ける。次に、ある長さの剛性LLPDE管を、図11Bに示すように
中心の位置は除き、各接続部に取り付ける(長さはバレル全体のぺブルの均等な分散によ
り決定)。
【0135】
続いて2インチの剛性タイゴンコネクター管を剛性LLPDE管の端部に接続する。ぺ
ブルの配線は剛性LLPDE管内を通り、蓋頂部のタケノコ継手から出る。次に液体シア
ノアクリル酸を接着剤として用いてコネクター管をぺブルの真鍮継手の底部に取り付ける
。このプロセスを所望のぺブル分布に必要なだけ繰り返す。塩汚染から保護するために、
可撓性ラテックス管を蓋継手頂部の雌端部と、塩水スプレーの分散に基づき必要なワイヤ
すべての周りに取り付ける。
【0136】
C.CO ストーンの組み立て
例示的な方法では、30インチの長さの剛性白色LLDPE管をコネクター管で中心の
継手に取り付ける。次に、2部品構成の100mmの透明アクリル球体の雌半球上でドー
ム頂点をマークする。次に、雄半球上で一辺の長さ約2インチの等距離三角形(equidist
ant triangle)の角をマークし、ドーム頂点を中心に合わせる。次に、1/4インチの回
転ツール研削ビットを用いて各マーキングの予備ガイド穴を開ける。次に、1/2インチ
のゴム引き研削ビットを用いて、ガイド穴を中心として最終穴を開ける。穴開けで出た余
分なプラスチックは、クリッパーとエグザクトブレードで穴が滑らかになるまで取り除く
。次に、1/2インチのゴム製壁貫通ガスケットを各穴に取り付ける。次に、1/2イン
チの真鍮壁貫通タケノコ継手をガスケットを用いて雌半球の中心穴に取り付ける。次に雄
半球を450グラムの透明ガラスビーズで満たす。次に、シアノアクリル酸接着剤を下部
の雄半球に塗布し、雄半球と雌半球をプレス嵌めする。約1時間かけてシアノアクリル酸
接着剤を乾燥させる。次に、2インチの長さの剛性タイゴンをシアノアクリル酸接着剤で
真鍮継手タケノコ部に取り付ける。再度シアノアクリル酸接着剤を約1時間かけて乾燥さ
せる。次に、組み立てた球体とコネクター管を、中心の蓋継手に取り付けた剛性白色管に
取り付ける。
【0137】
実施例3:フォトバイオリアクターによる光合成微生物の増殖
本明細書で提供されるフォトバイオリアクターは、1種類または複数の光合成微生物を
増殖させる方法で使用され得る。そのような方法は、以下を含む4ステップのプロセスを
とり得る:(1)最適な環境条件(OEC)の決定、(2)生産環境のステージングと接
種、(3)抽出可能な量(mass)になるまで光合成微生物を増殖、(4)成熟細胞の選択
的抽出。
【0138】
A.最適な環境条件(OEC)の決定
新規または未知の株を立ち上げる場合、塩分濃度、栄養分濃度、EM周波数(frequenc
y)(RWB比)、EM周期および空気流量を含むあらゆる増殖変数の最適値を決定する
必要がある。OECは、開始点として天然の環境条件(NEC)の近似を用いて決定され
得る。まずは試験する各変数につき3つのジェネレーション4リアクターチャンバ(容量
2リットル)で、選択肢を絞るため消去プロセスを用いる。たとえばチャンバ1は、その
NECよりも60%高い濃度の実験変数を含み、チャンバ2は、そのNECの実験変数を
含み、チャンバ3は、そのNECよりも60%低い濃度の実験変数を含む。株の増殖速度
は、拡散光学密度(DOD)の変化速度を観察して決定する。DODのIF/THENは
以下の通りである。
【0139】
C1>C2>C3ならば、ラウンド2のベースライン=C1 自由度は±15%
【0140】
C2>C1&C3ならば、ラウンド2のベースライン=C2 自由度は±15%
【0141】
C3>C2>C1ならば、ラウンド2のベースライン=C3 自由度は±15%
【0142】
このプロセスを4ラウンド続け、各実験変数について繰り返し、新規株のOEC値を決
定する。
【0143】
B.生産環境のステージングと接種
上で決定したOEC値を用いてジェネレーション5リアクター(容量30リットル)を
上記Aで決定したレベルに準備する。塩度レベルを設定し、ポンプを作動させ、所定のレ
ベルどおりにリアクターに栄養分を添加する。栄養分は、光なしで約2時間かけて混合さ
せる。栄養分の混合が終わると、リアクターに少なくとも10%の生体培養物を播種する
。水栄養レベルの連続的な試験に基づき、株の増殖速度により必要に応じてそれから3~
10日間培養物を補給する。DODが個々のLEDが見えなくなるレベルに達すると、ジ
ェネレーション5リアクターの培養物の90%をジェネレーション7リアクターの接種材
料として、ジェネレーション7リアクターを上記と同様の方法で準備する。
【0144】
C.抽出可能な量になるまで増殖
ジェネレーション7リアクター内で増殖が安定すると、pH、アンモニア、硝酸塩、亜
硝酸塩、リン酸塩、溶解CO、溶解O、系の空気流、系の圧力および拡散光学密度の
各条件を連続的に監視しなければならない。これらの条件が微生物の増殖に応答してOE
Cから外れると、OECを維持するための対策をこれらのパラメータにおいてとらなけれ
ばならない。たとえば、ジェネレーター(Gen)7の藍藻培養が48時間で3倍の密度
になり(DODと濁度の増加から観察できる)アンモニアが0ppmまで減少すると、濃
縮肥料を希釈して添加しアンモニアをOECまで戻さなければならない。さらに、たとえ
ば、ジェネレーター(Gen)7の培養が3か月継続運転され、複数回の栄養補給と消化
排泄物の蓄積に応答してpHがOECを超えて8.4まで上昇した場合、有機酸(つまり
クエン酸)を希釈して添加しpHをその培養物のOECのpHに戻さなければならない。
【0145】
光合成微生物の指数的な増殖が続くと、DODは培養密度に正比例して増加し続けるこ
とになる。培養密度がその10%接種の時点から3回倍増したときが、他のリアクターに
種子接種する理想的な時点である。10%レベルの接種で、当該培養物は、同等のサイズ
の他の9つのリアクターの播種に用いることができ、それでも自己再増殖の開始に可能な
十分な量が残っている。所与の時点で、培養密度は、リアクター中の一次流体が培養物を
それ以上浮遊させておけないレベルに達する。この時点は、OECの存在下でリアクター
底部と側部の低流箇所で凝集/集塊のレベルが上昇することで特定される。系がこの状態
になる時点を、ピーク浮遊マス(Peak Suspended Mass)(PSM)と呼ぶ。PSMに達
すると、培養物は選択的抽出、包括的抽出を受けるかまたは増殖率を維持する場合は他の
リアクターへの播種に用いられなければならない。PSMに達するまでの時間とPSM時
の培養密度は株とOEMにより大きく異なる。
【0146】
D.成熟細胞の選択的抽出
PSMが得られる時点以前に、次の2つの抽出構成のうち1つが成立しなければならな
い:(1)Gen7出口弁→ポンプ→フィルター→Gen7戻り、または(2)Gen7
出口弁→フィルター→ポンプ→Gen7戻り。構成は、濾過される株の特徴により決定さ
れる。選択的濾過の効果は、所与の株の成熟細胞と未成熟細胞のサイズ差と、濾過媒体の
孔径の適切な選択による。濾過孔径は、好ましいマージン>25%で、未成熟細胞の直径
よりも大きく、成熟細胞の直径よりも小さくなくてはならない。上記の構成のうちの1つ
が設定され、PSMが得られると、以下のステップをとることができる:(a)Gen7
出口弁を「閉」から「開」にする、(b)ポンプに迎え水が入るとポンプを「オフ」から
「オン」にする、(c)フィルターバッグが満杯になり空気圧がフィルターバッグ全体で
均等になると、フィルターキャップを「閉」から「開」にしてもよい、(d)随意である
が、フィルターの戻りラインに出口弁が取り付けられている場合、ポンプとフィルターを
係合構成にする前に該弁を「閉」から「開」にしておかなければならない。フィルター圧
力はどの時点でも15psiを超えてはならず、小径のバッグ(<5ミクロン)では10
psiを超えてはならない。濾過時間は株により大きく異なるので、新規の株の濾過は厳
重に監視しなければならない。
【0147】
特に断らない限り、本明細書と請求項で用いられる、材料の量、分子量などの特性、反
応条件などを表す数はすべて「約」という用語により、すべての場合において変更される
ことが理解される。したがって、特に否定しない限り、本明細書と添付の請求項で記述さ
れる数値パラメータは、本開示により得たいと所望される特性により変動し得る大まかな
数値である。少なくとも、そして特許請求の範囲の等価物の教示の応用を制限しようとい
うものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数に照らして、
一般的な端数切捨て法を用いて解釈すべきである。
【0148】
本開示の広い範囲を記述する数値の範囲とパラメータは大まかなものではあるが、具体
的な実施例で記述される数値は、できる限り精密に報告されている。しかし、すべての数
値には、それぞれの試験測定結果に見出される標準偏差により何らかの誤差がつきもので
ある。
【0149】
(特に以下の請求項の文脈において)本開示を説明する文脈で使用される「a」「an
」「the」および類似の用語は、本明細書内で特に断らない限り、または文脈から明ら
かに否定されない限り、単数形と複数形の両方を指すものと理解される。本明細書におけ
る値の範囲の言及は、その範囲内の個々の値それぞれを参照することの単なる略記的なも
のとする。本明細書内で特に断らない限り、個々の値はそれらが個別に記載されたのと同
じように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書内で特に
断らない限り、または文脈から明らかに否定されない限り、任意適当な順で実施され得る
。本明細書で提供されるすべての例または例示的な言葉(たとえば「など」)の使用は、
単に本開示をわかりやすくするものであり、請求項で他に記載されない限りは、本開示の
範囲に限定を設けるものではない。本明細書で使用する言葉は、本開示の実施に不可欠な
、請求項に記載されていない要素を表すものと解釈してはならない。
【0150】
本明細書に開示の代替要素または実施形態のグループ分けは、限定と解釈してはならな
い。各群のメンバーは、独立して、またはその群の他のメンバーまたは本明細書に見出さ
れる他の要素との任意の組合せで、参照されかつ請求項に記載され得る。ある群の1また
は複数のメンバーは、便宜上および/または特許性の理由により、ある群に含まれ、また
はある群から削除され得ることが予想される。そのような包含や削除が生じる場合、本明
細書は変更された群を含むとみなされ、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるす
べてのマーカッシュ群の表記を満たすことになる。
【0151】
発明者らが知る本開示を実施するための最高の形態(ベストモード)を含む、本開示の
特定の実施形態を本明細書に記載する。当然ながら、これらの記載された実施形態の変形
は、上記の説明を読めば当業者には自明であろう。発明者は、当業者がそのような変形を
適切に用いることを期待し、発明者らは本開示が本明細書で具体的に説明したものとは違
う実施をされることを意図する。したがって、本開示は、法的に認められる添付の請求項
に記載の主題の変更形態および等価物をすべて含む。さらに、本明細書内で特に断らない
限り、または文脈から明らかに否定されない限り、あらゆる可能な変形の上述の要素のあ
らゆる組合せが本開示により包含される。
【0152】
本明細書に開示の具体的な実施形態は、請求項において、からなる、およびまたは、基
本的に からなる、という言葉によりさらに限定され得る。請求項で使用される場合、出
願時の請求項であれ補正による追加であれ、移行句の「からなる」は、請求項で指定され
ないあらゆる要素、ステップまたは材料を排除する。移行句「基本的に からなる」は、
請求項の範囲を、指定の材料やステップおよび基本的な新規の特徴に実質的に影響しない
ものに限定する。そのように請求項に記載される本開示の実施形態は、本質的または明示
的に本明細書に記載され可能にされている。
【0153】
本明細書に開示の実施形態は、本開示の原理を説明するものであることが理解される。
利用可能な他の変更は、本開示の範囲内である。したがって、例として、ただし限定では
なく、本開示の代替の構成が本明細書の教示にしたがい利用可能である。したがって、本
開示は、ここに示され説明されるものに厳密に限定されない。
【0154】
本明細書では様々な具体的な材料、手順および例を参照して本開示を記載し説明したが
、本開示はそのために選択される特定の材料や手順の組合せに束縛されるものではないこ
とが理解される。当業者には理解されようが、そのような詳細の数々の変形が暗示され得
る。本明細書および例は単に例示的なものであり、本開示の真の範囲と精神は以下の請求
項により示されるものとする。本願で参照されるすべての参照文献、特許文献および特許
出願は、その全容が本明細書に参照として組み込まれる。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
光合成生物の培養および/または増殖のためのフォトバイオリアクターであって、
(a)容器内部容積を画定する壁を有する容器と、
(b)前記容器内部容積内に配置されるランプアッセンブリであって、
それぞれ少なくとも3つのエッジを含み、略球形に構成されてランプアッセンブリ内部
容積を画定する複数の回路基板であって、前記ランプアッセンブリ内部容積と接触する第
1平面と、発光ダイオード(LED)を含む反対側の第2平面とを含む、前記複数の回路
基板と、
前記略球形を形成する前記複数の回路基板を囲むバリアであって、入口及び出口を有す
る、前記バリアと
を含む、前記ランプアッセンブリと、
(c)前記入口及び出口を経由して、前記バリアと前記複数の回路基板との間の空隙に
出入りする熱拡散流体を循環させるポンプと
を含む、前記バイオリアクター。
(構成2)
前記容器が筒状であり、筒状壁、上部壁および下部壁を含み、それぞれが前記槽内部容
積を画定する、構成1に記載のバイオリアクター。
(構成3)
前記容器が略球体である、構成1に記載のバイオリアクター。
(構成4)
前記容器が気体入口の穴を含む、構成1に記載のバイオリアクター。
(構成5)
前記容器が気体出口の穴を含む、構成1に記載のバイオリアクター。
(構成6)
前記容器が前記光源の配線の穴を含む、構成1に記載のバイオリアクター。
(構成7)
前記ランプアッセンブリが前記容器の中心に配置される、構成1に記載のバイオリアク
ター。
(構成8)
2つ以上のランプアッセンブリが前記容器内に配置される、構成1に記載のバイオリア
クター。
(構成9)
前記2つ以上のランプアッセンブリが前記容器内で異なる高さに配置される、構成8に
記載のバイオリアクター。
(構成10)
3つ以上のランプアッセンブリが前記容器内に配置される、構成1に記載のバイオリア
クター。
(構成11)
前記3つ以上のランプアッセンブリが前記容器内で異なる高さに配置される、構成10
に記載のバイオリアクター。
(構成12)
前記3つ以上のランプアッセンブリが前記容器内でらせん配列に配置される、構成11
に記載のバイオリアクター。
(構成13)
光合成生物の培養および/または増殖に使用される潜水可能ランプアッセンブリであっ
て、
それぞれ少なくとも3つのエッジを含み、略球形に構成されてランプアッセンブリ内
部容積を画定する複数の回路基板であって、前記ランプアッセンブリ内部容積と接触する
第1平面と、発光ダイオード(LED)を含む反対側の第2平面とを含む、前記複数の回
路基板と、
前記略球形を形成する前記複数の回路基板を囲むバリアであって、前記複数の回路基
板と前記バリアとの間の空隙に出入りする熱拡散流体を循環するように適合された入口及
び出口を有する、前記バリアと
を含む、前記ランプアッセンブリ。
(構成14)
前記平面回路基板の前記略球形の構成が、少なくとも1枚の回路基板がない面を有して
電気的接続を許容する、構成13に記載のランプアッセンブリ。
(構成15)
前記回路基板が、前記回路基板の噛合を許容する1つまたは複数の切欠き部を形成する
2つ以上のタブをその周囲に含む、構成13に記載のランプアッセンブリ。
(構成16)
前記回路基板が五角形である、構成13に記載のランプアッセンブリ。
(構成17)
11枚の五角形が接合されて面が1つない十二面体を形成している、構成16に記載の
ランプアッセンブリ。
(構成18)
前記回路基板が三角形である、構成13に記載のランプアッセンブリ。
(構成19)
20枚の三角形が接合されて面が1つない二十面体を形成している、構成18に記載の
ランプアッセンブリ。
(構成20)
前記LEDが、光合成生物の成長に適した発光スペクトルを有する、構成13に記載の
ランプアッセンブリ。
(構成21)
前記赤色LED、白色LEDおよび青色LEDが反対色のLEDに隣接させて配置され
る、構成13に記載のランプアッセンブリ。
(構成22)
前記バリアがプラスチックである、構成13に記載のランプアッセンブリ。
(構成23)
前記バリアが略球体である、構成13に記載のランプアッセンブリ。
(構成24)
前記プラスチックが光を透過させる、構成22に記載のランプアッセンブリ。
(構成25)
前記バリアが電気的接続を許容する開放端を有する、構成22に記載のランプアッセン
ブリ。
(構成26)
前記バリアと前記複数の回路基板との間の空隙が、熱拡散流体を含む、構成22に記載
のランプアッセンブリ。
(構成27)
前記熱拡散流体が鉱物油である、構成26に記載のランプアッセンブリ。
(構成28)
ドコサヘキサエン酸(DHA)を生産する方法であって、
(a)DHAを生成する酵素を含む1種類または複数の光合成生物を準備することと

(b)前記光合成生物を、液体増殖培地を含むバイオリアクターの容器に添加するこ
とと、
(c)前記1種類または複数の光合成生物をランプアッセンブリが発する光と接触さ
せることであって、
前記ランプアッセンブリが、
それぞれ少なくとも3つのエッジを含み、略球形に構成されてランプアッセンブリ内部
容積を画定する複数の回路基板であって、前記ランプアッセンブリ内部容積と接触する第
1平面と、発光ダイオード(LED)を含む反対側の第2平面とを含む、前記複数の回路
基板と、
前記略球形を形成する前記複数の回路基板を囲むバリアであって、前記複数の回路基板
と前記バリアとの間の空隙に出入りする熱拡散流体を循環するように適合された入口及び
出口を有する、前記バリアと
を含む、
前記接触させることと、
(d)前記1種類または複数の光合成生物からDHAを生産することと
を含む、前記方法。
(構成29)
前記1種類または複数の光合成生物が藻類である、構成28に記載の方法。
(構成30)
塩度は類似しているが温度が異なる自然環境を有する2種類以上の藻類が提供される、
構成29に記載の方法。
(構成31)
前記藻類が、イソクリシス aff. ガルバナ(Isochrysis aff.
Galbana)とパブロバ・ルテリ(pavlova lutheri)からなる群よ
り選択される、構成30に記載の方法。
(構成32)
前記DHAを前記増殖培地から単離することをさらに含む、構成28に記載の方法。
(構成33)
光エネルギーを保存する方法であって、
(a)光エネルギーから1種類または複数の化合物を生成する酵素を含む1種類また
は複数の光合成生物を準備することと、
(b)前記1種類または複数の光合成生物を、液体増殖培地を含むバイオリアクター
の槽に添加することと、
(c)前記1種類または複数の光合成生物をランプアッセンブリが発する光と接触さ
せることであって、
前記ランプアッセンブリが、
それぞれ少なくとも3つのエッジを含み、略球形に構成されてランプアッセンブリ内部
容積を画定する複数の回路基板であって、前記ランプアッセンブリ内部容積と接触する第
1平面と、発光ダイオード(LED)を含む反対側の第2平面とを含む、前記複数の回路
基板と、
前記略球形を形成する前記複数の回路基板を囲むバリアであって、前記複数の回路基板
と前記バリアとの間の空隙に出入りする熱拡散流体を循環するように適合された入口及び
出口を有する、前記バリアと
を含む、
前記接触させることと、
(d)前記光エネルギーから1種類または複数の化合物を生産することと
を含む、前記方法。
(構成34)
前記1種類または複数の化合物から、その後エネルギーが放出される、構成33に記載
の方法。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28