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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/24 20060101AFI20220506BHJP
   B01D 39/14 20060101ALI20220506BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20220506BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20220506BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20220506BHJP
【FI】
B01D46/24 B
B01D39/14 C
A61L9/16 F
B01D39/20 B
F24F8/108 110
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020110960
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2021090949
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】201911259432.3
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512266028
【氏名又は名称】エコバクス ロボティクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECOVACS ROBOTICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.108,Shihu West Road,Wuzhong District,Suzhou City,Jiangsu 215168 China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】高 亭
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-208779(JP,A)
【文献】特表2006-525105(JP,A)
【文献】特開2015-150556(JP,A)
【文献】特開2013-217580(JP,A)
【文献】特開2001-187131(JP,A)
【文献】特表2019-512078(JP,A)
【文献】特表2017-537294(JP,A)
【文献】特開2012-196648(JP,A)
【文献】実開昭64-56823(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0268583(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/24
A61L 9/16
F24F 8/108
B01D 39/14
B01D 39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気浄化装置であって、
吹き出し口を有するベースと、
記ベースに装着され、内側ろ過層と外側保護層を備え、前記ベースとともに空気が流れるチャンバーを構成し、空気が直接入る吸い込み口が形成されるろ過筒と、を備え、
前記ベースは、間隔を空けて対向して設置される上部ケースと下部ケースを備え、
前記空気浄化装置は、前記上部ケースと前記下部ケースとの間に接続される支持カラムと、を更に備え、
前記ろ過筒は、前記上部ケースと前記下部ケースとの間に接続される、
ことを特徴とする空気浄化装置。
【請求項2】
前記ろ過筒には、前記ろ過筒を前記ベースに着脱するように駆動するためのハンドルが設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記外側保護層は、前記内側ろ過層の外周を覆う、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項4】
前記外側保護層は、生地層である、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項5】
前記生地層の材料は、不織布材料、PVCコーティングガラス繊維布材料、Leathaire材料のうちの 少なくとも1種を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の空気浄化装置。
【請求項6】
前記外側保護層及び前記内側ろ過層は、取り外し可能に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項7】
前記吹き出し口は、前記上部ケースに設けられ、且つ前記吹き出し口により規制される吹き出し方向は上向きである、
ことを特徴とする請求項に記載の空気浄化装置。
【請求項8】
前記吹き出し口の断面形状は、環状、字形のうちの少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項に記載の空気浄化装置。
【請求項9】
前記上部ケースと前記ろ過筒との間には、傾斜面が設けられる、
ことを特徴とする請求項に記載の空気浄化装置。
【請求項10】
前記上部ケース、前記下部ケース及び前記支持カラムは、前記ろ過筒を収容するための収容空間を構成する、
ことを特徴とする請求項に記載の空気浄化装置。
【請求項11】
前記支持カラムは、対向して設けられる2つである、
ことを特徴とする請求項10に記載の空気浄化装置。
【請求項12】
前記支持カラムは、前記上部ケース及び/又は下部ケースに取り外し可能に接続される、
ことを特徴とする請求項11に記載の空気浄化装置。
【請求項13】
前記支持カラムの頂部及び/又は底部には、挿着部材が設置され、前記上部ケース及び/又は前記下部ケース には、前記挿着部材が挿入される挿着溝が設けられる、
ことを特徴とする請求項12に記載の空気浄化装置。
【請求項14】
前記支持カラムの頂部には、第1挿着部材が設置され、前記上部ケースの底部には、前記第1挿着部材を挿入するための第1挿着溝が設けられ、前記支持カラムの底部には、第2挿着部材が設置され、前記下部ケースの頂部には、前記第2挿着部材を挿入するための第2挿着溝が設けられ、
前記第1挿着部材の挿入方向及び前記第2挿着部材の挿入方向は垂直である、
ことを特徴とする請求項13に記載の空気浄化装置。
【請求項15】
前記ろ過筒は、前記上部ケース及び前記下部ケースに取り外し可能に接続され、
前記下部ケースには、シュートが形成され、前記ろ過筒は、前記シュートにより案内されて横方向に沿ってスライドして前記収容空間に入れる又は前記収容空間から出すことができる、
ことを特徴とする請求項10に記載の空気浄化装置。
【請求項16】
前記ろ過筒は、上接続部材と下接続部材を備え、前記上接続部材が前記上部ケースの底部に結合するように、前記上接続部材の形状が、前記上部ケースの底部の形状に適合し、
前記下接続部材が前記下部ケースの頂部に結合するように、前記下接続部材の形状が、前記下部ケースの頂部の形状に適合する、
ことを特徴とする請求項15に記載の空気浄化装置。
【請求項17】
前記ろ過筒に対向する前記下部ケースの表面には、前記ろ過筒に転動可能に接触する転動体が設けられ、かつ/又は、
下部ケースに対向する前記ろ過筒の表面には、下部ケースに転動可能に接触する転動体が設けられる、
ことを特徴とする請求項15に記載の空気浄化装置。
【請求項18】
前記転動体は、複数あり分散して配置される、
ことを特徴とする請求項17に記載の空気浄化装置。
【請求項19】
複数の前記転動体の上面は同一面に位置する
ことを特徴とする請求項18に記載の空気浄化装置。
【請求項20】
前記ろ過筒と前記上部ケース及び/又は前記下部ケースとの間には、前記ろ過筒と前記ベースを相対的にロックするためのロック装置が設けられる、
ことを特徴とする請求項15に記載の空気浄化装置。
【請求項21】
前記下部ケースの底部には、ローラが設けられる、
ことを特徴とする請求項に記載の空気浄化装置。
【請求項22】
空気浄化装置であって、
上部ケースと下部ケースを有し、上部ケースに吹き出し口が設けられるベースと、
内側ろ過層と外側保護層を有し、前記外側保護層が内側ろ過層の外周を覆うろ過筒と、
前記上部ケースと前記下部ケースとの間に接続される支持カラムと、を備え、
前記ろ過筒は、前記上部ケースと下部ケースとの間に着され、空気が直接前記ろ過筒に入る、
ことを特徴とする空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化技術に関し、特に空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の生活水準の向上に伴い、生活の質に対する要求がますます高まっている。現代社会が高速で発展するにつれ、環境汚染が深刻化していき、人々が生きている室内環境も悪化している。たとえばPM2.5、粉塵、花粉、異臭、ホルムアルデヒド、細菌、アレルゲンなど、各種の空気汚染物は、深刻な空気汚染をもたらし、人々の健康に影響を与えている。空気浄化装置は、各種の空気汚染物を吸着、分解又は転化するための装置であり、空気の品質を大幅に向上できるため、その応用が広がっている。
【0003】
しかしながら、従来技術による空気浄化装置には、通常、ろ過材を内蔵する形態が適用されている。即ち、空気浄化装置は、一般的には、一層のプラスチック製吸気グリッドで内部のろ過材をカバーし、吸気グリッドの孔を介して吸気機能を果たす。
【0004】
空気力学原理によれば、従来技術による上記空気浄化装置では、風の移動方向に吸気グリッドが配置されているため、吸気グリッドは、風に対して一定の抵抗を生じ、通気量が減少する。また、吸気グリッドは、一定の構造強度を保持するために、プラスチックリブの幅を3mmより大きくし、且つリブを高密度にする必要があるため、吸気面積がさらに減少する。そのため、通気量が減少し、空気浄化器の性能が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するための空気浄化装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例は、以下の空気浄化装置を提供する。
即ち、本発明の空気浄化装置は、吹き出し口を有するベースと、
【0007】
前記ベースに露出して装着され、内側ろ過層と外側保護層を備え、前記ベースとともに空気が流れるチャンバーを構成し、空気が直接入るための吸い込み口が形成されているろ過筒と、を備えることを特徴とする。
さらに、前記ろ過筒には、操作者が握持して前記ろ過筒を前記ベースに着脱するように駆動するハンドルが設けられてもよい。
また、前記外側保護層は、前記内側ろ過層の外周に覆われる構成としてもよい。
、前記外側保護層は、生地層としてもよい。
さらに、前記生地層の材料は、不織布材料、PVCコーティングガラス繊維布材料、Leathaire材料のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、前記外側保護層及び前記内側ろ過層は、取り外し可能に接続されることが好ましい。
また、前記ベースは、間隔を空けて対向して設けられる上部ケースと下部ケースを備え、前記ろ過筒は、前記上部ケースと前記下部ケースとの間に接続されてもよい。
さらに、前記吹き出し口は、前記上部ケースに設けられ、且つ前記吹き出し口により規制される吹き出し方向は上向きであることが好ましい。
前記吹き出し口の形状は、環状、螺旋状、S字形のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、前記上部ケースと前記下部ケースとの間に接続される支持カラムをさらに備えてもよい。
さらに、前記上部ケースと前記ろ過筒との間には、傾斜面が設けられてもよい。
さらに、前記上部ケース、前記下部ケース及び前記支持カラムは、前記ろ過筒を収容するための収容空間を構成することが好ましい。
前記支持カラムは、対向して設けられる2つであることが好ましい。
また、前記支持カラムは、前記上部ケース及び/又は下部ケースに取り外し可能に接続されることが好ましい。
【0008】
前記支持カラムの頂部及び/又は底部には、挿着部材を有し、前記上部ケース及び/又は前記下部ケースには、前記挿着部材が挿入される挿着溝が設けられることが好ましい。
【0009】
また、前記支持カラムの頂部には、第1挿着部材を有し、前記上部ケースの底部には、前記第1挿着部材を挿入するための第1挿着溝を有し、前記支持カラムの底部には、第2挿着部材を有し、前記下部ケースの頂部には、前記第2挿着部材を挿入する第2挿着溝を有し、
前記第1挿着部材の挿入方向及び前記第2挿着部材の挿入方向は垂直であることが好ましい。
さらに、前記ろ過筒は、前記上部ケース及び前記下部ケースに取り外し可能に接続され、
【0010】
前記下部ケースには、シュートが形成されており、前記ろ過筒は、前記シュートにより案内されて横方向に沿って前記収容空間に滑り込む又は滑り出ることができることが好ましい。
【0011】
さらに、前記ろ過筒は、上接続部材と下接続部材を備え、前記上接続部材が前記上部ケースの底部に結合できるように前記上接続部材の形状が、前記上部ケースの底部の形状に適合し、
前記下接続部材が前記下部ケースの頂部に結合できるように、前記下接続部材の形状が、前記下部ケースの頂部の形状に適合することが好ましい。
さらに、前記ろ過筒に対向する前記下部ケースの表面には、前記ろ過筒に転動可能に接触する転動体が設けられ、かつ/又は、
下部ケースに対向する前記ろ過筒の表面には、下部ケースに転動可能に接触する転動体が設けられることが好ましい。
前記転動体は、複数あり、分散して配置されることが好ましい。
【0012】
さらに、複数の前記転動体の上面が同一面に位置している。さらに、前記ろ過筒と前記上部ケース及び/又は前記下部ケースとの間には、前記ろ過筒と前記ベースを相対的にロックするためのロック装置が設けられることが好ましい。
また、前記下部ケースの底部には、ローラが設けられることが好ましい。
本発明では、さらに以下の空気浄化装置を提供する。
即ち、上部ケースと下部ケースを有し、且つ上部ケースに吹き出し口が設けられたベースと、
内側ろ過層と外側保護層を有し、前記外側保護層が内側ろ過層の外周を覆うろ過筒と、を備え、
前記ろ過筒は、前記上部ケースと下部ケースとの間に露出して装着され、空気が直接前記ろ過筒に入ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施例による空気浄化装置は、ベースとろ過筒を備え、ベースには、吹き出し口が設けられ、ろ過筒は、ベースに接続され、内側ろ過層と外側保護層を備え、ベースとともに空気が流れるチャンバーを構成する。ろ過筒には、吸い込み口が形成されており、ろ過筒は、上部ケースと下部ケースとの間に露出して装着される。この構成では、空気が直接前記ろ過筒に入り、ろ過筒は、直接空気に接触する。外側に遮断物がなく、ろ過筒と空気との接触面積が大きく、空気がろ過筒で濾過されて浄化され、浄化された空気が入ろ過筒とベースにより囲まれたチャンバーに入り、ベースの吹き出し口から吹き出される。本発明では、ろ過筒の外側に遮断物がなく、ろ過筒が直接空気に接触するため、空気を最大限に浄化することができ、空気の浄化効果を顕著に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施例又は従来技術を明瞭に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。以下の説明における図面は、本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これら図面に基づいて他の実施例に想到し得ることは明らかである。
図1】本発明の空気浄化装置の一例を示す構造模式図である。
図2】本発明の空気浄化装置の一例を示す分解模式図である。
図3図2におけるA部の拡大図である。
図4】本発明の実施例によるろ過筒の一例を示す分解模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施形態について明瞭に詳細を説明する。以下の実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、全てではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が、創造的な努力を要せずに想到し得るすべての実施例は、いずれも本発明の技術範囲に属する。
【0016】
明細書及び特許請求の範囲に記載の「備える」は、オープン式用語であり、このため、「...を備えるが、これらに制限されない」として理解すべきである。「約」は、許容可能な誤差範囲であり、当業者であれば、一定の誤差範囲内で前記技術的課題を解決し、基本的に前記技術的効果を得ることができる。
【0017】
また、ここで、「接続」という用語は、任意の直接及び間接的接続手段を含む。即ち、第1装置が第2装置に接続されると記載されている場合、前記第1装置は、前記第2装置に直接接続されるか、又はほかの装置を介して前記第2装置に間接的に接続される。明細書の後続の説明は、本発明を実施するための好適な実施形態であり、前記説明は、本発明の一般的な原則を説明することを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は、添付した特許請求の範囲の記載を基準とする。
【0018】
なお、本明細書に使用されている用語「及び/又は」は、関連対象の関係を説明するに過ぎず、3種類の関係が存在することを表す。たとえば、A及び/又はBは、Aが単独で存在する場合、A及びBが同時に存在する場合、及びBが単独で存在する場合を示す。また、本明細書における符号「/」は、一般的には、前後に記載の関係対象が「又は」の関係にあることを示す。
矛盾しない限り、当業者であれば、本明細書に説明される各実施例、及び各実施例又は例の特徴を結合したり組み合わせたりすることができる。
【0019】
図1は、本発明の空気浄化装置の構造の一例を示す模式図であり、図2は、本発明の空気浄化装置の一例を示す分解模式図であり、図4は、本発明の実施例によるろ過筒の一例を示す分解模式図である。図1図2及び図4に示されるように、本実施例による空気浄化装置は、ベース10とろ過筒20を備える。ベース10は、吹き出し口11を有する。ろ過筒20は、ベース10に接続され、ろ過層aと外側保護層bを備え、ベース10とともに囲んで空気が流れるチャンバーを構成し、吸い込み口21が形成される。ろ過筒20は、ベース10に露出して装着され、空気が直接ろ過筒20に入る。
【0020】
具体的には、ベース10は、床、デスクトップなどの支持面に支持でき、空気浄化装置全体の軽量化の観点から、ベース10はプラスチック材料で製造され得る。ベース10には、電源コードを介して電源に接続する電源インターフェースが設けられる。
【0021】
ベース10には、ろ過筒20とベース10内の空気の流動速度を高める送風機ユニットが設けられてもよい。たとえば、モータは、ファン又は風車を回転駆動して、加速の流動速度を高め、所定の空気流動経路を形成することもできる。空気浄化装置が起動すると、送風機ユニットのモータは、ファン又は風車を回転駆動して、圧力を発生させる。これにより、送風機ユニットの底部から送風機ユニットに入るように空気を押し出す。空気流動経路において、ろ過筒20は、送風機ユニットの吸い込み口の前に位置し、送風機ユニットが起動すると、外部に含まれる微細粒子、ホルムアルデヒド、VOC(揮発性有機化合物)などがろ過筒20により遮断される。ろ過筒20を経て浄化された空気は、ベース10の吹き出し口11から吹き出され、空気浄化の目的が実現される。
【0022】
なお、ベース10の吹き出し口11は、ベース10の底部、ベース10の頂部、ベース10の側部など任意の位置に設置されてもよく、本発明では、限定されない。
【0023】
ろ過筒20は、全体として円筒状である。具体的には、ろ過筒20は、360°の方向を取り囲むものでれば、円筒状、角筒状などであってもよく、360°に亘って空気中の空気汚染物を遮断し、空気をできる限り浄化することができる。
【0024】
ろ過筒20の内側ろ過層aは、0.1μm及び0.3μmの粒子に対する有効率が99.7%であるHEPA(High Efficiency Particulate Air)高効率空気ろ過網を備えてもよい。HEPA高効率空気ろ過網は、空気を通過させるが、微粒子を通過させないことを特徴とする。外側保護層は、生地層であってもよく、生地層の材料は、具体的には、不織布材料、ポリ塩化ビニル(PVC)コーティングガラス繊維布材料やLeathaire材料であってもよい。その中でも、不織布は、生地の製造上の特徴により、粗大顆粒の汚染物を捕捉できる。PVCコーティングガラス繊維布材料は、具体的には、PVCコーティングガラス繊維布であり、所定の通気効果とともに、防水、防油、防汚の効果も有する。Leathaire材料は、通気性に優れ、且つ容易に浄化でき、さらに防塵、粗大顆粒汚染物に対する浄化作用を有する。なお、保護層には、良好な通気性又は低空気抵抗が求められる。所定の圧力降下、たとえば圧力が125Pa降下する場合、3000mm/sよりも大きい通気率が必要である。又は、所定の風速、たとえば1m/sの風速では、圧力降下は50Pa未満である必要がある。当業者は外側保護層を設計するときに、実際のニーズに応じて上記いずれか1種又は複数の材料を用いて外側保護層を製造できる。
【0025】
外側保護層は、内側ろ過層に取り外し可能に接続されてもよい。接続方法としては、たとえば係合、マジックテープ(登録商標)による結合などがあげられる。これらの構成では、ろ過筒20を洗浄するときに、まず、外側保護層を単独で取り外して洗浄し、次に内側ろ過層を洗浄することができる。
【0026】
本発明の実施例による空気浄化装置は、ベースとろ過筒を備える。ベースは、吹き出し口を有し、ろ過筒は、ベースに接続して、内側ろ過層と外側保護層を備え、ベースとともに空気が流れるチャンバーを構成し、吸い込み口が形成される。ろ過筒は、上部ケースと下部ケースの間に露出して装着され、空気が直接前記ろ過筒に入る。ろ過筒は、直接空気に接触し、外側に遮断物がないため、ろ過筒と空気の接触面積が大きく、空気がろ過筒で濾過されて清浄な空気となり、清浄な空気がろ過筒とベースに囲まれたチャンバーに入り、ベースの吹き出し口から吹き出される。本発明では、ろ過筒の外側に遮断物がなく、ろ過筒が直接空気に接触するため、空気を最大限に浄化することができ、空気の浄化効果を効果的に向上させることができる。
【0027】
上記実施例では、さらに、ベース10は、間隔を空けて対向して設けられる上部ケース101と下部ケース102を備え、ろ過筒20は、上部ケース101と下部ケース102の間に接続される。機械又は電力装置を装着又は収容するために、上部ケース101及び下部ケース102の内部は、中空としてもよい。ろ過筒20が上部ケース101と下部ケース102に適切に接合されて、空気が流れるチャンバーを構成するため、上部ケース101と下部ケース102の距離とろ過筒20の高さを等しくしてもよい。
【0028】
上部ケース101とろ過筒20の間には、傾斜面が設けられる。具体的には、前記傾斜面は、直接上部ケースの下部に設けられる、又は、ろ過筒20の上端に設けられるか、又は、一部が上部ケースに位置し、残りの一部がろ過筒に位置する。この傾斜面が設置されることによって、空気がろ過筒に案内されるため、吸気効率の向上に有利である。さらに傾斜面の設置により、ろ過筒がさらに保護されて、障害物との衝突が回避される。
【0029】
上記吹き出し口11は、上部ケース101に設けられ、且つ吹き出し口11により規制される吹き出し方向は上向き(図1に示される上向きの矢印の方向)にしてもよい。本実施例では、空気の流動速度を高める送風機ユニットは、上部ケース101の内部に設けられることが好ましい。吹き出し口11の形状は、環状、螺旋状、S字形のうちの少なくとも1種であってもよい。また、図2に示されるように、本実施例における吹き出し口11は、同軸に設けられる環状孔111を有してもよく、ろ過筒20で濾過されたきれいな空気が環状孔111から上向きに吹き出される。
【0030】
上記実施例では、図1及び図2に示されるように、支持カラム30をさらに備えてもよい。支持カラム30は、上部ケース101と下部ケース102に接続され、上部ケース101と下部ケース102を固定して接続する。具体的には、支持カラム30は、長尺状であり、支持カラム30の両端は、上部ケース101及び/又は下部ケース102に取り外し可能に接続させてもよい。具体的には、取り外し可能に接続する方式は、ネジ接続、バックル接続、挿接、リベット止めなどのうちの1種又は複数種であってもよい。
【0031】
また、本実施例では、支持カラム30は、構造強度を確保するために剛性金属部材であることが好ましい。これにより、上部ケース101を安定的に支持するとともに、上部ケース101と下部ケース102の間の間隔を一定に維持できる。
【0032】
支持カラム30は、上部ケース101と下部ケース102の中央部に設けられてもよいし、上部ケース101と下部ケース102の側部に設けられてもよく、上部ケース101と下部ケース102を接続するとともに、上部ケース101を支持できればよい。本実施例では、図1及び図2に示されるように、支持カラム30は、上部ケース101及び下部ケース102の側部に位置し、2つ設置され、2つの支持カラム30は、対向するように上部ケース101及び下部ケース102の側部に設けられ、且つ2つの支持カラム30は同じ構造及び形状とすることが好ましい。
【0033】
支持カラム30は、一定の厚さを有し、上部ケース101及び下部ケース102には、少なくとも厚さ方向に支持カラム30を収容する逃し部を備えてもよい。逃し部により、支持カラム30は、装着された状態では、その外面が上部ケース101及び下部ケース102の側壁と同一面となる。この結果、空気浄化装置全体の外観が良好となる。具体的には、たとえば、上部ケース101には、第1逃し部1011を設ける。第1逃し部1011は、上部ケース101の外側壁が部分的に窪んでなる凹溝であってもよい。下部ケース102には、第2逃し部1021を設ける。具体的には、本実施例では、支持カラム30の底部は、下部ケース102の頂部の第1延在壁102a及び第2延在壁102bに取り外し可能に接続される。第1延在壁102aの外側壁、第2延在壁102bの外側壁と下部ケース101の外側壁との間には、所定の横方向間隔が設けられ、この所定の横方向間隔は、第2逃し部1021となる。
【0034】
図3は、図2におけるA部の拡大図である。図2及び図3に示されるように、支持カラム30の頂部及び/又は底部には、挿着部材を設け、上部ケース10及び/又は下部ケース20には、挿着溝を設けることもできる。挿着部材は、挿着溝に挿入され、支持カラム30を上部ケース10及び/又は下部ケース20に取り外し可能に接続する。具体的には、支持カラム30の頂部には、第1挿着部材31を設け、上部ケース10の底部には、第1挿着部材31が挿入する第1挿着溝(未図示)を設ける。図2に示されるように、この第1挿着部材31は、コラムであってもよい。勿論、好適形態では、第1挿着部材31は、バーであってもよい。支持カラム30の底部には、第2挿着部材(図示せず)を設け、下部ケース20の頂部には、第2挿着部材が挿入する第2挿着溝22を設ける(図3参照)。第1挿着部材31の挿入方向及び前記第2挿着部材の挿入方向は、垂直である。図2に示されるように、第1挿着部材31の挿入方向は縦方向であり、第2挿着部材の挿入方向は横方向である。この構成では、上記のように挿着部材と挿着溝が嵌合することによって、支持カラム30の着脱が容易になり、さらに接続安定性が向上するとともに、確実に位置決めできる。
【0035】
また、支持カラム30の内面は、ろ過筒20の外面に密着してもよいし、わずかな間隔を保持することもでき、支持カラム30の内面の形状は、ろ過筒20の外面の形状に適合してもよい。
【0036】
本実施例では、ろ過筒20の形状は、角筒状であることが好ましい。この場合、上部ケース102及び下部ケース102の横断面は角形となる。上部ケース101、下部ケース102及び支持カラム30に囲まれた、ろ過筒20を収容するための収容空間が構成される。この構成により、ろ過筒20は、少なくとも上、下、左、右方向で位置決めされる。
【0037】
ろ過筒20は、上部ケース101及び下部ケース102に取り外し可能に接続されてもよい。具体的には、ろ過筒20の頂部は、上部ケース101に取り外し可能に接続され、ろ過筒20の底部は、下部ケース102に取り外し可能に接続される。ろ過筒20は、全体としてベース10から取り外すことができ、ろ過筒20の清浄及びメンテナンスは容易である。
【0038】
下部ケース102には、シュートが形成されていてもよく、ろ過筒20は、シュートにより案内されて横方向に沿って上記収容空間に滑り込む又は滑り出ることができる。ここで、「横方向」とは、空気浄化装置の高さ方向に垂直であることを意味する。
【0039】
図2に示されるように、下部ケース102の上面の縁部には、上方向に延在する第1延在壁102a、第2延在壁102b及び第3延在壁102cを設けてもよい。第1延在壁102a及び第2延在壁102bは、対向して設けられ、2つの支持カラム30の位置に対応する。一方、第3延在壁102cは、第1延在壁102aと第2延在壁102bの間に位置し、下部ケース102の上面では、第3延在壁102cに対向する一側が開放端102dである。第1延在壁102a、第2延在壁102b及び第3延在壁102cは、ろ過筒20がスライドするシュートを構成する。同様に、上部ケース101の底面にも、下部ケース102の上面のものと類似したシュートが形成されてもよい。具体的には、下部ケース102の配置方式を参照するか、又は、実際の状況に応じて設計することができ、本発明ではその構成は限定されない。
【0040】
ろ過筒20を上部ケース101及び下部ケース102に容易に接続するために、図4に示されるように、ろ過筒20の上部に、上接続部材20aを設け、ろ過筒20の下部には、下接続部材20bを設けてもよい。上接続部材20aには、上部ケース101の底部の縁部の形状に適合した接合部を設け、下接続部材20bには、下部ケース102の頂部の縁部の形状に適合した接合部を設ける。この場合、ろ過筒20の下接続部材20bは、下部ケース102の頂部に適切に結合し、ろ過筒20の上接続部材20aは、上部ケース101の底部に適切に結合する。
【0041】
上記構成により、ろ過筒20は、上記シュートに案内されて開放端102dから伸び出し又は上部ケース101内に伸び、下部ケース102及び支持カラム30により囲まれた収容空間により、ろ過筒20が容易に着脱できる。
【0042】
さらに、ろ過筒20に対向する下部ケース102の表面には、転動体1022が設けられ、転動体1022は、ろ過筒20に転動可能に接触する。さらに、又は、下部ケース102に対向するろ過筒20の表面に、転動体が設けられ、転動体は、下部ケース102に転動可能に接触するようにしてもよい。具体的には、転動体1022は、ローラ、ボール、円柱体のうちの1つ以上を含む。
【0043】
転動体1022は、複数で分散して配置されることが好ましい。複数の転動体1022が分散して配置されると、ろ過筒20と下部ケース102の間の大きな転動接触面により、ろ過筒20と下部ケース102との接触時の安定性が高まる。
【0044】
さらに、複数の転動体1022の上面は同一面となる。この構成では、複数の転動体1022は、安定的な転動平面を構成し、ろ過筒20の転動体1022による揺れが防止され、ユーザの操作負担を低減させることもできる。
【0045】
下部ケース102に、ろ過筒20に転動可能に接触する転動体1022、及び/又は、ろ過筒20に、下部ケース102に転動可能に接触する転動体が設置されることにより、ろ過筒20(具体的には、下接続部材20b)と下部ケース102との間の摩擦力を効果的に低下させる。この結果、ろ過筒20を容易にベース10に着脱できるようになり、ろ過筒20の着脱効率を高め、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
【0046】
また、ろ過筒20と上部ケース101及び/又は下部ケース102との間には、ろ過筒20とベース10を相対的にロックするロック装置40が設けられる。ロック装置40は、ボタン式バックルとしてもよい。操作者がろ過筒20をベース10から取り出そうとするとき、ボタン式バックルを押した後、ろ過筒20を所定のスライド方向に沿って取り出せる。ロック装置40は、他の任意の形態のバックルとしてもよく、ろ過筒20と上部ケース101及び/又は下部ケース102とを相対的にロックできるものであればよく、当業者であれば、必要に応じて具体的に設計できる。
【0047】
また、操作のし易さから、ろ過筒20には、操作者が握持してろ過筒20をベース10に着脱するように駆動するハンドル22が設けられる。具体的には、ろ過筒20は、収容空間においてスライドすることができ、ハンドル22の突出方向は、ろ過筒20のスライド方向と一致してもよい。下部ケース102の底部には、ローラ1023がさらに設けられる。ローラ1023の数は、少なくとも2つであり、ローラ1023が設置されることによって、空気浄化装置全体を容易に運ぶことができる。そのため、ユーザが空気浄化装置を所望の位置に移動させることができ、ユーザーエクスペリエンスが向上する。
【0048】
本実施例に係る空気浄化装置では、吸気グリッドを省略し、ろ過材(ろ過筒20)により、360°に亘って吸気するように設計する。この構成では、吸気面積が効果的に増大し、空気浄化性能が約10%向上する。また、ろ過材を取り外す際に、ロック装置をロック解除状態として、ろ過筒20を横方向に沿って抜き出せばよく、吸気グリッドを取り外すステップを省略し、操作を簡素化できる。
以下、特定の応用シナリオを参照して、本発明の実施例による空気浄化装置を説明する。
応用シナリオ:
【0049】
ユーザは、この空気浄化装置を室内に置いて起動させる。空気浄化装置内の送風機ユニットが作動して、汚染物を多く含む外部の空気をろ過筒へ吸い込み、上部の吹き出し口から吹き出す。長期間使用した後、ユーザは、ロック装置をロック解除状態に切り替える。たとえば、ロックボタンを押して、ろ過筒とベースのロックを解除し、次に、ハンドルを引いて、ろ過筒をベースから横方向に沿って引き出すことができる。その後、ろ過筒を単独で洗浄し、洗浄完了後、ユーザがハンドルを引いて、ろ過筒を横方向に沿ってベースの収容空間に押し込み、ロック装置によりろ過筒とベースをロックすることができる。
【0050】
空気浄化装置をほかの場所に運んで空気を浄化する必要がある場合、空気浄化装置を押すことができる。空気浄化装置の底部にローラがあるため、ユーザがこの空気浄化装置を押すときに、わずかな力で手軽に移動でき、ユーザーエクスペリエンスを効果的に向上できる。
【0051】
なお、以上の実施例は、本発明の技術を説明するためのものに過ぎず、本発明の技術的範囲を制限するものではない。前述の実施例を参照しながら本発明を詳細に説明した。当業者であれば、前述の各実施例に記載の技術を修正したり、その一部の技術的特徴に対して同等の置換を行ったりすることができる。これら修正又は置換は、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、本発明の技術的範囲に包含される。
図1
図2
図3
図4