(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】凝縮水蒸発装置及び凝縮水蒸発装置を備える冷凍機器
(51)【国際特許分類】
F25D 21/14 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
F25D21/14 S
F25D21/14 T
(21)【出願番号】P 2020190783
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2020-11-17
(31)【優先権主張番号】201911278384.2
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520450880
【氏名又は名称】松下冷鏈(大連)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Appliances Cold Chain (Dalian) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 6 Songlan Street, Economic & Technology Development Zone, Dalian, 116600 China
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】楊 寶江
(72)【発明者】
【氏名】王 鐵
(72)【発明者】
【氏名】李 徽
(72)【発明者】
【氏名】張 國棟
(72)【発明者】
【氏名】王 亮
(72)【発明者】
【氏名】於 ▲トン▼娟
(72)【発明者】
【氏名】李 胤
(72)【発明者】
【氏名】孫 紹官
(72)【発明者】
【氏名】王 健
(72)【発明者】
【氏名】賀 長明
(72)【発明者】
【氏名】肖 鵬
(72)【発明者】
【氏名】戚 驥
(72)【発明者】
【氏名】王 洪宇
(72)【発明者】
【氏名】劉 小軍
(72)【発明者】
【氏名】馬 凌波
(72)【発明者】
【氏名】韓 鶴
(72)【発明者】
【氏名】孫 健
(72)【発明者】
【氏名】姚 子赫
(72)【発明者】
【氏名】張 婉▲シュー▼
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-343182(JP,A)
【文献】特開2009-275979(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0098091(US,A1)
【文献】特開平11-257832(JP,A)
【文献】特開2006-275474(JP,A)
【文献】実開平01-175287(JP,U)
【文献】特表2015-530556(JP,A)
【文献】特開2001-201241(JP,A)
【文献】特開2008-002798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/14
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と複数の側壁とを有し、前記底部と前記複数の側壁によって凝縮水を受けて収容するための収容空間が形成される水箱と、
前記水箱に固定され、前記水箱の前記収容空間に向けて空気を吹き付けるためのファンユニットと、
前記水箱の底部に位置し、前記水箱の内部に収容される凝縮水を加熱するための加熱装置と、
前記ファンユニット及び前記加熱装置を制御するための制御装置
と、
内部に前記ファンユニット及び前記制御装置が収容され、前記水箱の前記複数の側壁のうち、1つの側壁の外側に固定される操作チャンバ
と、
を備える、
凝縮水蒸発装置。
【請求項2】
前記操作チャンバの前記水箱に向く側には少なくとも1つの開口を有し、
前記ファンユニットは前記少なくとも1つの開口を介して前記収容空間に空気を吹き付ける、
請求項
1に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項3】
前記制御装置に制御され、前記水箱中の凝縮水の液面高さを検出するための液面センサをさらに備える、
請求項1
又は2に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項4】
前記水箱の前記複数の側壁のうち、向き合う2つの側壁はそれぞれ、冷凍機器の底面における第二接続具と嵌合可能な第一接続具を有する、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項5】
前記第一接続具は前記第二接続具と摺動可能に嵌合し、前記凝縮水蒸発装置を前記冷凍機器に摺動可能に接続させる、
請求項
4に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項6】
前記第一接続具と前記第二接続具は、前記凝縮水蒸発装置が前記第一接続具と前記第二接続具との嵌合によって前記冷凍機器に接続されると、前記水箱、前記第一接続具、前記第二接続具及び前記冷凍機器の底面によって通路が囲まれてなり、前記ファンユニットから吹き付けられる空気が前記通路の一端から前記通路に入り、前記通路の他端を介して前記通路から離れるように設けられる、
請求項
4に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項7】
前記第一接続具は、前記向き合う2つの側壁に延びるシート状構造である、
請求項
4に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項8】
前記水箱と冷凍機器の底面によって通路が囲まれてなり、
前記ファンユニットから吹き付けられる空気は前記通路の一端から前記通路に入り、前記通路の他端を介して前記通路から離れる、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項9】
前記ファンユニットは斜めに配置され、前記ファンユニットの吹き出し口が空気を吹き付ける方向と前記水箱中の凝縮水の液面とのなす角が30~90°であるようにする、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項10】
前記水箱は、互いに嵌合した内箱と外箱をさらに有し、
前記加熱装置は前記内箱の底面と前記外箱の底面との間に位置している、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項11】
前記水箱の前記複数の側壁のうち、少なくとも1つの側壁には凝縮水直接排出口を有する、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項12】
前記水箱の前記収容空間の上方に位置し、前記ファンユニットから吹き付けられる気流を撹乱するための気流撹乱装置をさらに備える、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項13】
前記気流撹乱装置は、
ブロック本体と、
前記ブロック本体を貫通する複数のスルーホールと、を備える、
請求項1
2に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項14】
前記ファンユニットは、前記水箱内に収容される凝縮水の蒸発による水蒸気を前記水箱から吹き出すためのものである、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の凝縮水蒸発装置。
【請求項15】
冷凍機器であって、
請求項1~1
4のいずれか一項に記載の凝縮水蒸発装置を備え、前記凝縮水蒸発装置が前記冷凍機器の底面に取り付けられる、冷凍機器。
【請求項16】
前記水箱の前記複数の側壁のうち、向き合う2つの側壁はそれぞれ第一接続具を有し、
前記冷凍機器の底面には第二接続具を有し、
前記第一接続具は前記冷凍機器の底面における前記第二接続具と嵌合可能である、
請求項1
5に記載の冷凍機器。
【請求項17】
前記第一接続具は前記第二接続具と摺動可能に嵌合し、前記凝縮水蒸発装置を前記冷凍機器に摺動可能に接続させる、
請求項
16に記載の冷凍機器。
【請求項18】
前記第二接続具は屈曲したシート状構造である、
請求項
16に記載の冷凍機器。
【請求項19】
前記冷凍機器の底面に取り付けられる気流撹乱装置をさらに備える、
請求項
15に記載の冷凍機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2019年12月12日に中国専利局に特許出願された出願番号が201911278384.2である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その内容を全て参照としてここに援用する。
【0002】
本開示は、全体として冷凍機器に関し、特に、凝縮水蒸発装置及び凝縮水蒸発装置を備える冷凍機器に関する。
【背景技術】
【0003】
人々の生活水準の向上、物流技術の進歩に伴い、スマートキャビネットが現れるようになっている。このようなスマートキャビネットは、例えば住宅地に設置されることが可能であり、発送される物品を預ける場所をクライアントに提供するとともに、受け取られる物品を預ける場所を配達員に提供することができる。このようなスマートキャビネットは、配達員とクライアントとの間で良好な中間媒介作用を奏しているとともに、高い便利性を有するため、未来の新たな潮流になっている。
【0004】
電子商取引の更なる発展に伴い、ネットショッピングに適する物品の範囲が拡大し、海鮮、新鮮な乳製品、野菜などの低温保存が求められる製品に対する人々の需要量がますます拡大している。このような状況に対して、コールドチェーンに対する要求が高まっているため、冷凍機能を有するスマートキャビネットが現れるようになっている。
【0005】
このような冷凍機能を有するスマートキャビネットには、通常の冷凍機器(例えば冷蔵庫、フリーザーなど)と同様に、凝縮水の排出という課題が存在する。通常の冷凍機器において、凝縮水を受けて収容する水箱は、一般的には冷凍アセンブリ(例えば圧縮機)の上方に配置される。冷凍アセンブリが動作するときに放出された熱を利用して強制的に加熱することにより、水箱が受けた凝縮水を蒸発させ、凝縮水を気体状態で排出するようにすることができる。
【0006】
しかしながら、通常、ユーザが物品を容易に出し入れできるように、スマートキャビネットの下部空間が冷凍室の空間として使用されるため、冷凍アセンブリはスマートキャビネットの頂部に位置決めされて冷凍室の上方に位置することが望ましい。したがって、上記のような冷凍アセンブリの余熱を利用して凝縮水を排出する排出方法は、冷凍機能を有するスマートキャビネットに適していない。
【0007】
従来の冷凍機能を有するスマートキャビネットは通常直接排出方式で凝縮水を排出する。即ち、キャビネットの底部に排出口を設置し、凝縮水は凝縮水ダクトに沿って排出口に集められ、排出口を通じて冷凍機能を有するスマートキャビネットの底部の下方の地面に直接排出される。このような凝縮水の直接排出方式はスマートキャビネット周囲の環境の美観性に大きな影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の少なくとも1つの目的は、冷凍機器に用いられる凝縮水蒸発装置を提供することにある。当該冷凍機器はスマート冷凍キャビネットとして使用可能である。当該冷凍機器の動作過程において、凝縮水蒸発装置は、凝縮水が冷凍機器の底部の下方の地面に排出されないように確保できる。
【0009】
本開示の少なくとも1つの目的は、冷凍機器に簡単に取り付けられる凝縮水蒸発装置を提供することにある。
【0010】
本開示の少なくとも1つの目的は、上記凝縮水蒸発装置を備える冷凍機器を提供することにある。当該冷凍機器はスマート冷凍キャビネットとして使用可能である。
【0011】
本開示は凝縮水蒸発装置を提供している。前記凝縮水蒸発装置は、
底部と複数の側壁とを有し、前記底部と前記複数の側壁によって凝縮水を受けて収容するための収容空間が形成される水箱と、
前記水箱に固定され、前記水箱の前記収容空間に向けて空気を吹き付けるためのファンユニットと、
前記水箱の底部に位置し、前記水箱の内部に収容される凝縮水を加熱するための加熱装置と、
前記ファンユニット及び前記加熱装置を制御するための制御装置と、を備える。
【0012】
少なくとも一実施例において、前記凝縮水蒸発装置は、内部に前記ファンユニット及び前記制御装置が収容され、前記水箱の前記複数の側壁のうち、1つの側壁の外側に固定される操作チャンバをさらに備える。
【0013】
少なくとも一実施例において、前記操作チャンバの前記水箱に向く側には少なくとも1つの開口を有し、前記ファンユニットは前記少なくとも1つの開口を介して前記収容空間に空気を吹き付ける。
【0014】
少なくとも一実施例において、前記凝縮水蒸発装置は、前記制御装置に制御され、前記水箱中の凝縮水の液面高さを検出するための液面センサをさらに備える。
【0015】
少なくとも一実施例において、前記水箱の前記複数の側壁のうち、向き合う2つの側壁はそれぞれ、冷凍機器の底面における第二接続具と嵌合可能な第一接続具を有する。
【0016】
少なくとも一実施例において、前記第一接続具は前記第二接続具と摺動可能に嵌合し、前記凝縮水蒸発装置を前記冷凍機器に摺動可能に接続させる。
【0017】
少なくとも一実施例において、前記第一接続具と前記第二接続具は、前記凝縮水蒸発装置が前記第一接続具と前記第二接続具との嵌合によって前記冷凍機器に接続されると、前記水箱、前記第一接続具、前記第二接続具及び前記冷凍機器の底面によって通路が囲まれてなり、前記ファンユニットから吹き付けられる空気が前記通路の一端から前記通路に入り、前記通路の他端を介して前記通路から離れるように設けられる。
【0018】
少なくとも一実施例において、前記第一接続具は、前記向き合う2つの側壁に延びるシート状構造である。
【0019】
少なくとも一実施例において、前記水箱と前記冷凍機器の底面によって通路が囲まれてなり、前記ファンユニットから吹き付けられる空気は前記通路の一端から前記通路に入り、前記通路の他端を介して前記通路から離れる。
【0020】
少なくとも一実施例において、前記ファンユニットは斜めに配置され、前記ファンユニットの吹き出し口が空気を吹き付ける方向と前記水箱中の凝縮水の液面とのなす角が30~90°であるようにする。
【0021】
少なくとも一実施例において、前記水箱は、互いに嵌合した内箱と外箱をさらに有し、前記加熱装置は前記内箱の底面と前記外箱の底面との間に位置している。
【0022】
少なくとも一実施例において、前記水箱の前記複数の側壁のうち、少なくとも1つの側壁には凝縮水直接排出口を有する。
【0023】
少なくとも一実施例において、前記凝縮水蒸発装置は、前記水箱の前記収容空間の上方に位置し、前記ファンユニットから吹き付けられる気流を撹乱するための気流撹乱装置をさらに備える。
【0024】
少なくとも一実施例において、前記気流撹乱装置は、
ブロック本体と、
前記ブロック本体を貫通する複数のスルーホールと、を備える。
【0025】
少なくとも一実施例において、前記ファンユニットは、前記水箱内に収容される凝縮水の蒸発による水蒸気を前記水箱から吹き出すためのものである。
【0026】
本開示は、上記実施例に記載の凝縮水蒸発装置が底面に取り付けられる冷凍機器をさらに提供している。
【0027】
少なくとも一実施例において、前記水箱の前記複数の側壁のうち、向き合う2つの側壁はそれぞれ第一接続具を有し、前記冷凍機器の底面には第二接続具を有し、前記第一接続具は冷凍機器の底面における前記第二接続具と嵌合可能である。
【0028】
少なくとも一実施例において、前記第一接続具は前記第二接続具と摺動可能に嵌合し、前記凝縮水蒸発装置を前記冷凍機器に摺動可能に接続させる。
【0029】
少なくとも一実施例において、前記第二接続具は屈曲したシート状構造である。
【0030】
少なくとも一実施例において、前記冷凍機器の底面に取り付けられる気流撹乱装置をさらに備える。
【0031】
本開示の実施例による凝縮水蒸発装置では、凝縮水が冷凍機器の底部の下方の地面に排出されないように確保するとともに、構成が簡素で取り付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下に、図面を参照しながら好ましい実施例を分かりやすく説明することで、本開示の上記特性、技術特徴、利点及び実現方式をさらに説明する。下記の図面は本開示を模式的に説明する旨であり、本開示の範囲を制限するためのものではない。
【0033】
【
図1】
図1は本開示の一実施例にかかる凝縮水蒸発装置を備える冷凍機器を示す斜視図であり、凝縮水蒸発装置が冷凍機器の底部に取り付けられている図である。
【
図2】
図2は本開示の一実施例にかかる凝縮水蒸発装置を備える冷凍機器を示す斜視図であり、凝縮水蒸発装置が冷凍機器の底部に取り付けられていない図である。
【
図3】
図3は
図1に示す冷凍機器の底部部分の模式的な拡大図である。
【
図4】
図4は
図2に示す冷凍機器の底部部分の模式的な拡大図である。
【
図5】(a)は本開示の一実施例にかかる凝縮水蒸発装置を示す上面図であり、(b)はその正面図であり、(c)は(a)におけるBB線断面図であり、(d)は(a)におけるAA線断面図である。
【
図6】
図6は本開示の一実施例にかかる凝縮水蒸発装置を示す断面図であり、当該凝縮水蒸発装置が冷凍機器の底部の下方に取り付けられている図である。
【
図7】
図7は
図6に示す凝縮水蒸発装置の動作時における空気の流動経路を示す図である。
【
図8】
図8は本開示の一実施例にかかる冷凍機器の底部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の技術特徴、目的及び効果をより明確に理解するために、図面を参照しながら本開示における発明を実施するための形態を具体的に説明する。
【0035】
本開示は凝縮水蒸発装置を提供している。当該凝縮水蒸発装置は水箱と、ファンユニットと、加熱装置とを備える。水箱は凝縮水を受けて収容するためのものである。加熱装置は水箱を加熱して水箱内に収容された凝縮水を蒸発させるためのものである。ファンユニットは水箱の内部に空気を吹き付け、凝縮水の液面上方の空気の流動を速めることで凝縮水の蒸発速度を一層向上させるためのものである。本開示による凝縮水蒸発装置では、凝縮水蒸発装置を備える冷凍機器による凝縮水を素早く蒸発させ、凝縮水が冷凍機器の底部の下方の地面に排出されないように確保できる。
【0036】
本開示の一実施例にかかる凝縮水蒸発装置を備える冷凍機器の構成を
図1と
図2に示す。当該冷凍機器1は、収容される物品に低温環境を提供する少なくとも1つの冷凍室19が区画されている筐体11と、内部に冷凍室19を冷凍するための冷凍アセンブリ(図示せず)を有する冷凍ユニット20と、を備える。冷凍ユニット20は冷凍機器の頂部に位置し、冷凍室19の上方に位置決めされている。このように、冷凍機器1のうち、ユーザが物品を容易に出し入れできる下部空間は冷凍室19のための空間になり、使用が不便である上部空間は冷凍ユニット20のための空間になる。
【0037】
本開示の一実施例にかかる冷凍機器1は凝縮水蒸発装置3をさらに備える。
図1に示すように、当該凝縮水蒸発装置3は全体として箱状であり、冷凍機器1の底部の下面に摺動可能に固定される。当該凝縮水蒸発装置3は引き出しのように「押し込み」又は「引き出し」可能である。
図1は凝縮水蒸発装置3が「押し込み」状態にあるときの冷凍機器1を示す模式図である。
図2は凝縮水蒸発装置3が「引き出し」状態にあるときの冷凍機器1を示す模式図である。
【0038】
図3と
図4はそれぞれ
図1と
図2に示す冷凍機器1の底部部分を示す模式的な拡大図である。以下、
図5~8を参照しながら凝縮水蒸発装置の具体的な構成を詳しく説明する。
【0039】
図5(a)と
図5(b)はそれぞれ本開示の一実施例にかかる凝縮水蒸発装置3の上面図と正面図である。
図5(c)と
図5(d)はそれぞれ
図5(a)に示す凝縮水蒸発装置3のBB線断面図、AA線断面図である。
【0040】
図5(a)に示すように、当該凝縮水蒸発装置3は水箱31を備える。当該水箱31は底部314と複数の側壁313(
図5(a)に示す実施例では、4つの側壁)とを有する。当該底部314と複数の側壁313とは収容空間を形成する。凝縮水蒸発装置3が冷凍機器1の底面に取り付けられると、水箱31は冷凍機器1の底面における凝縮水排出口の下方に配置されるので、当該凝縮水排出口から排出される凝縮水は当該水箱31の収容空間に入る。
【0041】
当該凝縮水蒸発装置3は操作チャンバ32をさらに備える。当該操作チャンバ32は腔体を囲むケーシング321を有する。当該ケーシング321の内部内には、ファンユニット33(ケーシング321によって覆われるため、ファンユニット33の位置は
図5(a)における点線で示す)が配置される。当該操作チャンバ32は水箱31の複数の側壁313のうち、1つの側壁313の外側に固定される。これにより、操作チャンバ32内に収容されるファンユニット33は水箱31に対して固定される。操作チャンバ32の水箱31に向く側には少なくとも1つの開口34(
図5(a)では図示せず、開口34の位置は
図5(a)における矢印が通過する位置に対応する)を有する。開口34の位置は
図5(d)に示す。ファンユニット33は開口34を介して水箱31の収容空間に空気を吹き付ける。気流経路は
図5(a)における矢印に示す。
【0042】
当該凝縮水蒸発装置3は加熱装置35をさらに備える。本開示の一実施例において、当該加熱装置35は例えば加熱抵抗ワイヤであってもよい。
図5(c)と
図5(d)に示すように、加熱装置35は水箱31の底部に位置してもよい。
図5(c)と
図5(d)に示す実施例において、当該水箱31は内箱311と外箱312からなる。当該内箱311に外箱312が被嵌され、二重の水箱31を構成する。加熱装置35は内箱311の底面と外箱312の底面との間に位置してもよい。外箱312は断熱材で構成され、加熱装置35による熱が外箱312を介して環境へ拡散することを防ぐことが好ましい。
【0043】
当該凝縮水蒸発装置3は制御装置36をさらに備える。当該制御装置36はファンユニット33と加熱装置35を制御するためのものである。
図5(c)に示すように、当該制御装置36は操作チャンバ32内に収容される。当該凝縮水蒸発装置3は液面センサ37をさらに有してもよい。当該液面センサ37は制御装置36に接続されて制御され、水箱31中の凝縮水の液面高さを検出するためのものである。制御装置36は、液面センサ37が検出した液面高さに基づいて加熱装置35の加熱パワー及びファンユニット33のパワーを制御してもよい。例えば、制御装置36は液面センサ37による検出結果に基づいて水箱31内部の凝縮水の液面が所定の閾値よりも高いと判断した場合、パワーを増大させるよう加熱装置35及びファンユニット33を制御する。また、例えば、制御装置36は液面センサ37による検出結果に基づいて水箱31内部の凝縮水の液面の成長速度が所定の閾値よりも速いと判断した場合、パワーを増大させるよう加熱装置35及びファンユニット33を制御する。
【0044】
図5(c)に示すように、凝縮水蒸発装置3の少なくとも1つの側壁には凝縮水直接排出口315を有する。当該凝縮水直接排出口315の、水箱31の底部に対する高さh1はファンユニット33の吹き出し口である開口34の高さh2よりも低い。当該凝縮水直接排出口315を設置することで、凝縮水が異常に素早く増加すると、加熱装置35とファンユニット33の蒸発作用で短時間内に凝縮水を蒸発させ切れない場合、凝縮水直接排出口315を介して凝縮水を水箱31の外部に排出することができる。凝縮水直接排出口315の、水箱31の底部に対する高さがファンユニット33の吹き出し口の高さよりも低いため、凝縮水が異常に素早く増加する場合、凝縮水が開口34を介してファンユニット33に入ることを防止し、ファンユニットの凝縮水による損傷を避けることができる。
【0045】
以下、
図6~8を参照しながら本開示による凝縮水蒸発装置の動作過程を詳しく説明する。
図6は本開示の一実施例にかかる凝縮水蒸発装置3を示す断面図である。当該凝縮水蒸発装置は冷凍機器1の底部の下方に取り付けられ、水箱31は冷凍機器1の底面における凝縮水排出口(
図6では図示せず)の下方に設置される。当該凝縮水排出口から排出される凝縮水は当該水箱31の収容空間に入る。冷凍機器1によって加熱装置35、制御装置36、ファンユニット33に給電することができる。
【0046】
ファンユニットによる流動空気の利用率を一層高めるために、
図6と
図7に示すように、前記冷凍機器1の底面には気流撹乱装置40が設けられる。
図6と
図7は気流撹乱装置40を示す側面図であり、
図8は当該気流撹乱装置40を示す背面図である。当該気流撹乱装置40はブロック本体41と、ブロック本体41を貫通する複数のスルーホール42を備える。
【0047】
図7は
図6に示す凝縮水蒸発装置の動作時における空気流動経路を示す。
図7における矢印に示すように、ファンユニット33から吹き出される空気は、水箱31の側壁における開口34を介して水箱31の収容空間に向けて吹き付けられる。空気はまず開口34を介して冷凍機器1の底面と水箱31との間の空間に吹き付けられ、水箱31の底部に略平行な方向(即ち凝縮水が存在するとき、凝縮水液面に平行な方向)に沿って広がり、水箱31内の凝縮水の液面上方の空気流動性を高め、凝縮水の蒸発速度を向上させる。空気流がさらに気流撹乱装置40付近に流れると、一部の空気流が流れ続けて気流撹乱装置40のスルーホール42を通過する一方、もう一部の空気が気流撹乱装置40に受け止められ、
図7における弧形の矢印に示すように「渦巻き」を形成する。このような気流撹乱装置40は、空気流を凝縮水の液面上方により長時間に滞留させることができ、より効果的に空気流を利用して蒸発効率を向上させることができる。
【0048】
本開示の他の実施例にかかる気流撹乱装置40は他の形式であってもよい。また、気流撹乱装置40も冷凍機器1の底面に取り付けられるものに限られない。凝縮水の液面上方においてファンユニット33から吹き出される空気流を撹乱するものであれば、いかなる形式の、いかなる位置に取り付けられる気流撹乱装置も本開示に適用できる。例えば、気流撹乱装置40は水箱31の側壁に取り付けられてもよい。
【0049】
また、
図5(c)と
図6~7に示すように、空気流の利用効率を向上させるために、ファンユニット33は斜めに配置される。
図7に示すように、ファンユニット33の吹き出し口が空気を吹き付ける方向zと水箱31中の凝縮水の液面とのなす角は30~90°である。斜めに配置されていないファンユニット33(即ち、ファンユニット33の吹き出し口が空気を吹き付ける方向zと水箱31中の凝縮水の液面とのなす角は0°である)に比べ、このような斜めに配置されるファンユニット33は空気の「渦巻き」をより容易に形成させ、空気流の利用効率を向上させることができる。
【0050】
本開示による凝縮水蒸発装置の動作過程において、冷凍機器1の底面における凝縮水排出口から排出される凝縮水は当該水箱31の収容空間に入って集められる。凝縮水蒸発装置の水箱31の加熱装置は制御装置36による制御で加熱され、水箱31中の凝縮水を蒸発させる。同時に、ファンユニット33は制御装置36による制御で水箱31の収容空間に向けて空気を吹き付け、凝縮水の液面上方の空気の流動性を速めて凝縮水の蒸発速度を向上させる。これにより、本開示による凝縮水蒸発装置を利用することで、凝縮水は気体状態で排出されるため、冷凍機器の底部の下方の地面に排出されることなく、冷凍機器周囲の環境への影響が避けられる。
【0051】
また、本開示の一実施例による凝縮水蒸発装置は構成が簡素で取り付けが容易であるという利点がある。上記に
図1~4を参照しながら説明したように、当該凝縮水蒸発装置3は引き出しのように冷凍機器1に「押し込み」又は冷凍機器1から「引き出し」可能である。凝縮水蒸発装置3はそのレール接続具を介して冷凍機器1の底面における対応的なレール接続具に接続される。これにより、凝縮水蒸発装置は、取り付けが容易であるという利点以外、例えば気流経路を制限して気流の利用効率を向上させるような別の利点も有している。この点について、以下に
図4を参照しながら詳しく説明する。
【0052】
図4に示すように、水箱31の向き合う2つの側壁のそれぞれには第一接続具91を有し、冷凍機器1の底面には第二接続具92を有する。第一接続具91は第二接続具92と摺動可能に嵌合し、凝縮水蒸発装置3を冷凍機器1に摺動可能に接続させることができる。第一接続具91は側壁に延びるシート状構造である。第二接続具92は屈曲したシート状構造である。凝縮水蒸発装置3が第一接続具91と第二接続具92との嵌合によって冷凍機器1に接続されると、水箱31、第一接続具91、第二接続具92及び冷凍機器1の底面によって通路Pが囲まれてなる。当該通路Pの横方向断面を
図6と
図7に示す(即ち
図7における矢印で示す空気流が流れる空間)。当該通路Pの始端は水箱31のうち、操作チャンバ32に隣接する側壁に位置し、当該通路Pの終端は当該側壁に向き合う他方の側壁に位置する。ファンユニット33から吹き付けられる空気は当該通路Pの始端から当該通路Pに入り、当該通路Pの終端を介して当該通路Pから離れる。
【0053】
水箱31、第一接続具91、第二接続具92及び冷凍機器1の底面によって囲まれてなる通路Pは、通路Pに垂直な横方向において基本的に封止されるため、気流経路を制限して気流が四方八方に拡散することを防ぎ、気流の利用効率を向上させる。
【0054】
本開示による他の実施例において、第一接続具91、第二接続具92は他の形式であってもよい。第一接続具91は第二接続具92と摺動可能に嵌合することが好ましい。第一接続具91と第二接続具92の構造は、水箱31、第一接続具91、第二接続具92及び冷凍機器1の底面によって囲まれた通路Pが通路Pに対する横方向となる方向において基本的に封止されるようにすることがより好ましい。
【0055】
本開示の他の実施例において、第一接続具91と第二接続具92によらず、水箱31と冷凍機器1の底面によって通路が囲まれてなってもよい。例えば、水箱31のうち、操作チャンバ32に垂直な2つの側壁は、操作チャンバ32に向き合う側壁よりも高い高さを有してもよい。かつこれら2つの側壁の高さは、水箱31が冷凍機器1に取り付けられるとき、2つの側壁と冷凍機器1の底面とがほぼ接触するように設けられる。このように、水箱31のこれら2つの側壁と冷凍機器1の底面とによって通路が囲まれてなり、当該通路は当該通路に対する横方向となる方向において基本的に封止される。
【0056】
本明細書は各実施例に従って説明したものであるが、各実施例が1つの独立した技術案のみを含むのではなく、このような説明方式が明確に記載するためのものに過ぎないと理解されるべきである。当業者は明細書を一全体として見なし、各実施例における技術案を適宜組み合わせて当業者が理解できる他の実施形態を形成してもよい。
【0057】
上記内容は本開示における発明を実施するための模式的な形態に過ぎず、本開示の範囲を制限するためのものではない。当業者が本開示の発想及び原則を逸脱しない範囲において行ったいわゆる均等の変更、補正及び組み合わせは何れも本開示の保護範囲に属すべきである。