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特許7066840ポリヌクレオチド合成のための加熱されたナノウェル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】ポリヌクレオチド合成のための加熱されたナノウェル
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220506BHJP
   C12N 15/10 20060101ALI20220506BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20220506BHJP
   C40B 40/06 20060101ALI20220506BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
C12M1/00 A ZNA
C12N15/10 110Z
C12Q1/68 100Z
C40B40/06
B01J19/00 321
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020522289
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 US2018056783
(87)【国際公開番号】W WO2019079769
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】62/575,287
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516040017
【氏名又は名称】ツイスト バイオサイエンス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】マーシュ,ユージーン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】インダーミューレ,ピエール エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ペック,ビル ジェームズ
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-522119(JP,A)
【文献】特表2004-521628(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0095785(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0214779(US,A1)
【文献】国際公開第2011/056872(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
C12N 15/10
C12Q 1/68
C40B 40/06
B01J 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヌクレオチド合成のための方法であって、前記方法は、
a.表面を有する基板と、
前記表面上に位置するポリヌクレオチド伸長のための複数の構造であって、ここで、各構造は約10nm~約1000nmの幅を有し、ここで、各構造は加熱ユニットに接しており、ここで、前記加熱ユニットはアドレス可能な電極を有する、複数の構造と、
前記表面にわたって分布された溶媒と、
各構造におけるポリヌクレオチドのライブラリのためのあらかじめ定められた配列と、
を提供する工程と、
b.各構造において前記ポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程と、
c.前記アドレス可能な電極を介して電流を加えることによって、各構造において前記溶媒を加熱し、これにより、前記溶媒を気相にし、前記表面の少なくとも1つの領域から伸びる少なくとも1つのポリヌクレオチドの脱ブロックを、液相中の非ブロッキング薬剤によって防ぐ、工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記表面から伸びる前記ポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程は、前記表面を第1のヌクレオシドホスホラミダイトと接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面から伸びる前記ポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程は、前記表面を第2のヌクレオシドホスホラミダイトと接触させることをさらに含み、ここで、第1のヌクレオチドホスホラミダイトとの接触および第2のヌクレオチドホスホラミダイトとの接触の間で前記溶媒が除去されない、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表面から伸びる前記ポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程は、前記表面の前記少なくとも1つの領域に存在する前記溶媒を凝縮し、前記少なくとも1つの領域において前記表面から伸びる少なくとも1つの伸長ポリヌクレオチドを脱ブロックすること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒は約65°C以下の沸騰温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒は30°C~82°Cの沸騰温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒は55°C~82°Cの沸騰温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記表面は、ポリヌクレオチド合成のための少なくとも30,000の座を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記表面は、ポリヌクレオチド合成のための少なくとも100,000の座を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記表面は、ポリヌクレオチド合成のための少なくとも1,000,000の座を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒は約82°C以下の沸騰温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒は極性溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒はアセトニトリル、トリメチルアセトニトリル(TMACN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、p-キシレン、シクロヘキシルシアニド、2,5-ジメチル-2,4-ヘキサジエン、シクロオクタン、o-トルニトリル、アセトフェノン、シクロノナン、p-メチルベンジルシアニド、プロピオフェノン、m-ニトロトルエン、o-ジメトキシベンゼン、m-クロロベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、シクロデカン、ジメチルスクシネート、ブチロフェノン、4-エトキシベンズアルデヒド、m-トリルアセタート、フェニル プロピオネート、あるいはそれらの混合物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
液相であるときの前記溶媒は、前記表面の前記少なくとも1つの領域から伸びる少なくとも1つのポリヌクレオチドを脱ブロックすることを可能にする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記表面の前記少なくとも1つの領域から伸びる少なくとも1つのポリヌクレオチドを脱ブロックした後に、前記溶媒を凝縮する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<相互参照>
本出願は、2017年10月20日に出願された米国仮特許出願第62/575,287の利益を主張するものであり、これは参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
<配列表>
本出願は配列表を包含しており、これは、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2018年10月16日に作成された上記ASCIIのコピーは、44854-744_601_SL.txtのファイル名であり、685バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
デノボ遺伝子合成は、基礎的な生物学的研究およびバイオテクノロジーでの適用のための強力なツールである。小規模での比較的短いフラグメントの設計および合成のための様々な方法が知られているが、これらの技術には、しばしば、予測性、スケーラビリティ、自動化、速度、精度、およびコストの点で問題がある。
【発明の概要】
【0004】
ポリヌクレオチド合成のための装置が本明細書で提供され、上記装置は:表面を含む固体支持体と;表面上に位置するポリヌクレオチド伸長のための複数の構造であって、ここで、各構造は約10nm~約1000nmの幅を有し、各構造は加熱ユニットに接しており、および、上記加熱ユニットは少なくとも1つの電極を有する、複数の構造と;ならびに、表面にわたって分布された溶媒であって、ここで、上記溶媒は極性溶媒である、溶媒と、を含む。上記表面が核酸合成のための少なくとも30,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも50,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも100,000の座を含む装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも200,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも1,000,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記1つ以上の電極が1つ以上の個別の座を加熱するアドレス可能な電極である、装置が本明細書でさらに提供される。上記固体支持体が冷却ユニットを含む装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約10nm~約1000nmである装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約100nm~約500nmである装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約20nm~約300nmである装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約100nmである装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約200nmである装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約500nmである装置が本明細書でさらに提供される。各構造が3次元の構造を含む装置が本明細書でさらに提供され、ここで、上記3次元の構造は、ナノウェル、ナノワイヤー、ナノポスト(nanopost)、あるいはナノロッドである。上記溶媒が約0.5~約1.5g/mLの密度を有する装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒がニトリル基を含む装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒がトリメチルアセトニトリルである装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が5°C~18°Cの融解温度を有する装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が10°C~18°Cの融解温度を有する装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が15°C~18°Cの融解温度を有する装置が本明細書でさらに提供される。複数の伸長工程を含むポリヌクレオチド合成に使用される装置が本明細書でさらに提供される。溶媒が伸長工程中に除去されない装置が本明細書でさらに提供される。本明細書に記載される装置を使用したポリヌクレオチド合成のための方法が本明細書でさらに提供される。
【0005】
ポリヌクレオチド合成のための装置が本明細書で提供され、上記装置は:表面を含む固体支持体と;表面上に位置するポリヌクレオチド伸長のための複数の構造であって、ここで、各構造は約10nm~約1000nmの幅を有し、各構造は加熱ユニットに接しており、および、上記加熱ユニットは少なくとも1つの電極を有する、複数の構造と;表面にわたって分布された溶媒であって、上記溶媒は約18°C以下の融解温度を有する、溶媒と、を含む。上記表面が核酸合成のための少なくとも30,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも50,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも100,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも200,000の座を含む装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも1,000,000の座を含む装置が本明細書でさらに提供される。上記1つ以上の電極が1つ以上の個別の座を加熱するアドレス可能な電極である、装置が本明細書でさらに提供される。上記固体支持体が冷却ユニットを含む、装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約10nm~約1000nmである、装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約100nm~約500nmである装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約20nm~約300nmである装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約100nmである装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約200nmである装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約500nmである、装置が本明細書でさらに提供される。各構造が3次元の構造を含む装置が本明細書でさらに提供され、ここで、上記3次元の構造は、ナノウェル、ナノワイヤー、ナノポスト、あるいはナノロッドである。上記溶媒が約0.5~約1.5g/mLの密度を有する装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が極性溶媒である装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒がニトリル基を含む装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒がトリメチルアセトニトリルである装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が5°C~18°Cの融解温度を有する装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が10°C~18°Cの融解温度を有する装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が15°C~18°Cの融解温度を有する装置が本明細書でさらに提供される。複数の伸長工程を含むポリヌクレオチド合成に使用される装置が本明細書でさらに提供される。溶媒が伸長工程中に除去されない装置が本明細書でさらに提供される。本明細書に記載される装置を使用したポリヌクレオチド合成のための方法が本明細書でさらに提供される。
【0006】
ポリヌクレオチド合成のための装置が本明細書で提供され、上記装置は:表面を含む固体支持体と;表面上に位置するポリヌクレオチド伸長のための複数の構造であって、ここで、各構造は約10nm~約1000nmの幅を有し、各構造は加熱ユニットに接しており、および、上記加熱ユニットは少なくとも1つの電極を有する、複数の構造と;表面にわたって分布された溶媒であって、上記溶媒は約82°C以下の沸騰温度を有する、溶媒と、を含む。上記表面が核酸合成のための少なくとも30,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも50,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも100,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも200,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも1,000,000の座を含む、装置が本明細書でさらに提供される。上記1つ以上の電極が、1つ以上の個別の座を加熱するアドレス可能な電極である、装置が本明細書でさらに提供される。上記固体支持体が冷却ユニットを含む、装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約10nm~約1000nmである、装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約100nm~約500nmである、装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約20nm~約300nmである、装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約100nmである、装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約200nmである、装置が本明細書でさらに提供される。任意の2つの構造の中心間の距離が約500nmである、装置が本明細書でさらに提供される。各構造が3次元の構造を含む装置が本明細書でさらに提供され、ここで、上記3次元の構造は、ナノウェル、ナノワイヤー、ナノポスト、あるいはナノロッドである。上記溶媒が約0.5~約1.5g/mLの密度を有する装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が0°C~82°Cの沸騰温度を有する装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が30°C~82°Cの沸騰温度を有する装置が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が55°C~82°Cの沸騰温度を有する装置が本明細書でさらに提供される。複数の伸長工程を含むポリヌクレオチド合成に使用される装置が、本明細書でさらに提供される。溶媒が伸長工程中に除去されない装置が本明細書でさらに提供される。本明細書に記載される装置を使用したポリヌクレオチド合成のための方法が本明細書でさらに提供される。
【0007】
ポリヌクレオチド合成のための方法が本明細書で提供され、上記方法は:ポリヌクレオチドのライブラリのためのあらかじめ定められた配列を提供する工程と;表面を有する基質を提供する工程と;表面から伸びるポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程であって、ここで、脱ブロック工程が行われる前に、様々なヌクレオチドが順次加えられる、工程と、を含む。合成する工程が溶媒を含み、上記溶媒が少なくとも1つの相変化を受ける方法が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が極性溶媒である方法が本明細書でさらに提供される。上記溶媒がトリメチルアセトニトリルである方法が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が15°C~18°Cの融解温度を有する方法が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が0.5~1.5g/mLの密度を有する方法が本明細書でさらに提供される。ポリヌクレオチド合成が複数の伸長工程をさらに含む方法が本明細書でさらに提供される。溶媒が伸長工程中に除去されない方法が本明細書でさらに提供される。脱ブロック工程が起こる前に、少なくとも2つの異なるヌクレオチドが順次加えられる方法が本明細書でさらに提供される。脱ブロック工程が起こる前に、少なくとも3つの異なるヌクレオチドが順次加えられる方法が本明細書でさらに提供される。脱ブロック工程が起こる前に、少なくとも4つの異なるヌクレオチドが順次加えられる方法が本明細書でさらに提供される。伸長工程中に、表面のすべてが同一のヌクレオチドと接触する方法が本明細書でさらに提供される。少なくとも1つの相変化が融解あるいは凍結している方法が本明細書で提供される。少なくとも1つの相変化が沸騰あるいは凝縮している方法が本明細書で提供される。
【0008】
本明細書に記載される装置を使用したポリヌクレオチド合成のための方法が本明細書で提供される。
【0009】
ポリヌクレオチド合成のための方法が本明細書で提供され、上記方法は:ポリヌクレオチドのライブラリのためのあらかじめ定められた配列を提供する工程と;表面を有する基質を提供する工程と;表面から伸びるポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程であって、ここで、固相の溶媒は、表面の少なくとも1つの領域から伸びる少なくとも1つのポリヌクレオチドの脱ブロックを防ぎ、上記溶媒は約18°C以下の融解温度を有する、工程と、を含む。表面から伸びるポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程は、表面を第1のヌクレオチドホスホラミダイトと接触させることを含む、方法が本明細書にさらに提供される。表面から伸びるポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程は、表面を第2のヌクレオチドホスホラミダイトと接触させることをさらに含む方法が本明細書でさらに提供され、ここで、上記第1のヌクレオチドホスホラミダイトとの接触および上記第2のヌクレオチドホスホラミダイトとの接触の間で溶媒が除去されない。表面から伸びるポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程が、表面の少なくとも1つの領域に存在する溶媒を溶解し、少なくとも1つの領域の表面から伸びる少なくとも1つの伸長ポリヌクレオチドを脱ブロックすることをさらに含む方法が本明細書でさらに提供される。上記溶剤が約15°C以下の融解温度を有する方法が本明細書でさらに提供される。上記溶剤が約10°C以下の融解温度を有する方法が本明細書でさらに提供される。上記溶剤が5°C~18°Cの融解温度を有する方法が本明細書でさらに提供される。上記溶剤が10°C~18°Cの融解温度を有する方法が本明細書でさらに提供される。上記溶剤が15°C~18°Cの融解温度を有する方法が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも30,000の座を含む方法が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも50,000の座を含む方法が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも100,000の座を含む方法が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも200,000の座を含む方法が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも1,000,000の座を含む方法が本明細書でさらに提供される。
【0010】
ポリヌクレオチド合成のための方法が本明細書で提供され、上記方法は:ポリヌクレオチドのライブラリのためのあらかじめ定められた配列を提供する工程と;表面を有する基質を提供する工程と;表面から伸びるポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程であって、ここで、気相の溶媒は、表面の少なくとも1つの領域から伸びる少なくとも1つのポリヌクレオチドの脱ブロックを防ぎ、上記溶媒は約82°C以下の沸騰温度を有する、工程と、を含む。表面から伸びるポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程は、表面を第1のヌクレオチドホスホラミダイトと接触させることを含む、方法が本明細書にさらに提供される。表面から伸びるポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程は、表面を第2のヌクレオチドホスホラミダイトと接触させることをさらに含む、方法が本明細書でさらに提供され、ここで、上記第1のヌクレオチドホスホラミダイトとの接触および上記第2のヌクレオチドホスホラミダイトとの接触の間で溶媒が除去されない。表面から伸びるポリヌクレオチドのライブラリを合成する工程が、表面の少なくとも1つの領域に存在する溶媒を凝縮し、少なくとも1つの領域の表面から伸びる少なくとも1つの伸長ポリヌクレオチドを脱ブロックすることをさらに含む、方法が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が約75°C以下の沸騰温度を有する方法が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が約65°C以下の沸騰温度を有する方法が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が0°C~82°Cの沸騰温度を有する方法が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が30°C~82°Cの沸騰温度を有する方法が本明細書でさらに提供される。上記溶媒が55°C~82°Cの沸騰温度を有する方法が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも30,000の座を含む方法が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも50,000の座を含む方法が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも100,000の座を含む方法が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも200,000の座を含む、方法が本明細書でさらに提供される。上記表面が核酸合成のための少なくとも1,000,000の座を含む方法が本明細書でさらに提供される。
【0011】
<引用による組み込み>
あたかも個々の刊行物、特許、又は特許出願がそれぞれ参照により組み込まれることが明確且つ個別に意図されているかのように、本明細書で言及した刊行物、特許、及び特許出願は全て、同じ程度にまで参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲内に特に明記されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が用いられる例示的実施形態を説明する以下の詳細な説明と、以下の添付図面とを引用することによって得られるであろう。
【0013】
図1】平面特徴(座)、チャネル、あるいはウェルをそれぞれ有する剛構造を示す。
図2】クラスタ増幅からのポリヌクレオチドライブラリの生成の模式図を示す。
図3A】アドレス可能なウェルを有する、加熱されたナノウェル構造の正面の断面を示す。
図3B】アドレス可能なウェルを有する、加熱されたナノウェル構造の右断面を示す。
図4A】アドレス可能なウェルを有する、加熱されたナノウェル構造の正面の断面を示す。
図4B】アドレス可能なナノポストを有する、加熱されたナノポスト構造の正面の断面を示す。
図5】アドレス可能なナノロッドを有する、加熱されたナノロッド構造の正面の断面を示す。
図6】アドレス可能な下部接点に取り付けられたナノワイヤー構造の正面の断面を示す。
図7】ポリヌクレオチド合成の材料堆積装置を示す。
図8】ポリヌクレオチド合成のワークフローを示す。
図9】コンピュータシステムを示す。
図10】コンピュータシステムのアーキテクチャを例証するブロック図を示す。
図11】複数のコンピュータシステム、複数の携帯電話および個人用携帯情報端末、ならびにネットワーク接続ストレージ(NAS)を組み込むように構成されたネットワークを示す。
図12】共有仮想アドレスメモリ空間を用いる、マルチプロセッサーコンピュータシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
【0015】
別段の定めのない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的な用語は、これらの発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0016】
本開示全体にわたって、数値的特徴は範囲形式で示される。範囲形式での記載は単に利便性と簡潔さのためのものに過ぎず、任意の実施形態の範囲に対する確固たる限定として解釈されてはならないということを理解されたい。これに応じて、範囲の記載は、文脈で別段の定めのない限り、すべての可能性のある下位範囲と、下限の単位の小数第2位までのその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えられなければならない。例えば、1乃至6などの範囲の記載は、1乃至3、1乃至4、1乃至5、2乃至4、2乃至6、3乃至6などの下位範囲と、例えば、1.1、2、2.3、5、および5.9のその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えられなければならない。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。これらの介在する範囲の上限および下限は、より小さな範囲内に独立して含まれてもよく、また、定められた範囲内のあらゆる具体的に除外された限界に従って、本発明内に包含される。定められた範囲が上限および下限の1つまたはその両方を含む場合、これらの含まれた上限および下限のいずれかまたは両方を除く範囲も、文脈が明らかに他に指示しない限り、本発明内に包含される。
【0017】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、任意の実施形態を限定することを意図してはいない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明白に示していない限り、同様に複数形を含むように意図される。用語「含む(comprises)」および/または「含むこと(comprising)」は、本明細書での使用時に、明示された特徴、整数、工程、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことが、さらに理解される。本明細書で使用されるように、用語「および/または」は、関連する列挙された項目の1つ以上のあらゆる組み合わせを含む。
【0018】
別段の定めのない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用されるように、数あるいは数の範囲に関連して用語「約」とは、明示された数とその数+/-10%、あるいはある範囲の列挙された値について列挙された下限の10%以下と列挙された10%以上を意味するものと理解されたい。
【0019】
本明細書で使用されているように、用語「あらかじめ選択された配列(preselected sequence)」、「あらかじめ決められた配列(predefined sequence)」、または「あらかじめ定められた配列(predetermined sequence)」は、交換可能に使用される。上記用語は、ポリマー配列が知られており、ポリマーの合成または組立の前に選択されることを意味する。特に、本発明の様々な態様は、主に核酸分子の調製に関して本明細書に記載されており、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの配列は知られており、核酸分子の合成または組立の前に選択される。
【0020】
合成(すなわち、デノボ合成されるか、化学合成する)のポリヌクレオチドの産生のための方法と組成物が本明細書で提供される。オリゴヌクレオチド、オリゴ、およびポリヌクレオチドという用語は、全体で同義であると定義される。本明細書に記載される合成されたポリヌクレオチドのライブラリは、1つ以上の遺伝子または遺伝子断片をコードする複数のポリヌクレオチドをまとめて含むこともある。いくつかの例では、ポリヌクレオチドライブラリはコード配列または非コード配列を含む。いくつかの例では、ポリヌクレオチドライブラリは複数のcDNA配列をコードする。cDNA配列が基づく参照遺伝子配列はイントロンを含むこともあるが、cDNA配列はイントロンを除外する。本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、生物の遺伝子または遺伝子断片をコードすることがある。例示的な生物は、限定されないが、前核生物(例えば細菌)および真核生物(例えばマウス、ウサギ、ヒト、および非ヒト霊長類)を含む。いくつかの例では、ポリヌクレオチドライブラリは、1つ以上のポリヌクレオチドを含み、1つ以上のポリヌクレオチドの各々は複数のエクソンの配列をコードする。本明細書に記載されるライブラリ内の各ポリヌクレオチドは、異なる配列(すなわち同一でない配列)をコードすることもある。いくつかの例では、本明細書に記載されるライブラリ内のそれぞれのポリヌクレオチドは、ライブラリ内の別のポリヌクレオチドの配列に相補的な少なくとも1つの部分を含む。本明細書に記載されるポリヌクレオチド配列は、別段の定めのない限り、DNAまたはRNAを含む。合成(すなわち、デノボ合成された)遺伝子の産生のための方法と組成物が本明細書で提供される。合成遺伝子を含むライブラリは、PCA、非PCA遺伝子アセンブリ法、または階層的遺伝子アセンブリなどの、本明細書の他の場所で詳細に記載されるさまざまな方法によって構築され、2つ以上の2本鎖ポリヌクレオチドを組み合わせ(「ステッチング」(stitching))、より大きなDNA単位(すなわち、シャーシ)を生成する。大きな構築物のライブラリは、少なくとも1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、250、300、400、500キロバイトの長さ、またはそれ以上であるポリヌクレオチドを含むことがある。大きな構築物は、約5000、10000、20000、または50000の塩基対の独立して選択される上限によって結合可能である。ヌクレオチド配列をコードするポリペプチド-セグメントの任意の数の合成は、非リボソームペプチド(NRP)をコードする配列、非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)モジュールおよび合成変異体をコードする配列、抗体など他のモジュールタンパク質のポリペプチドセグメント、他のタンパク質ファミリーからのポリペプチドセグメント、調節配列などの非コードのDNAまたはRNA(例えば、プロモータ、転写因子、エンハンサー、siRNA、shRNA、RNAi、miRNA、マイクロRNAに由来する核小体低分子RNA、あるいは対象の任意の機能的または構造的なDNAまたはRNAユニット)を含む。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片のコードあるいは非コード領域、遺伝子間DNA、連鎖解析から定義された座(複数の座)、エクソン、イントロン、メッセンジャー核酸(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、核小体低分子RNA、リボザイム、メッセンジャーRNA(mRNA)の逆転写あるいは増幅によって通常得られるmRNAのDNA表現である、相補的DNA(cDNA);合成的にあるいは増幅により生成されるDNA分子、ゲノムDNA、組み換えポリヌクレオチド、分枝鎖ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。本明細書で言及される遺伝子または遺伝子断片をコードするcDNAは、対応するゲノム配列で見られる介在イントロン配列のないエクソン配列をコードする少なくとも1つの領域を含むこともある。代替的に、cDNAに対応するゲノム配列は、そもそもイントロン配列を欠いていることがある。
【0021】
ポリヌクレオチド合成のための装置
【0022】
相変化プロセスに基づいて、アドレス可能位置でのポリヌクレオチドの選択的な合成のためのプロセスおよび装置が本明細書で提供される。活性ポリヌクレオチド合成表面上の合成を遮断することにより、反応ウェル中の液体溶媒などの反応溶媒相を、周囲の溶媒中の試薬への暴露を制限する固体またはガスなどの非反応相へと変換することにより、選択性が達成される。反応ウェルにおける加熱あるいは冷却は、ポリヌクレオチド合成表面に曝される溶媒の物理的状態の変化を提供する。反復合成プロトコル中に、局所的なアドレス可能な加熱器(例えば、1つ以上の電極あるいは加熱要素を含む加熱ユニット)を含むナノ構造などの構造は、溶媒を溶解あるいは沸騰するために使用され、ヌクレオシドカップリングおよび伸長反応などの下流相互作用のために合成表面上の定められた位置でアクセシビリティー(accessibility)を提供する。
【0023】
ポリヌクレオチド合成または伸長のための複数の特徴(座)を備えた表面を有する構造が、本明細書で提供される。いくつかの例では、構造上のそれぞれの特徴は、1つ以上のより小さな構造、例えば、特徴の領域の周囲の溶媒の相を制御するためのナノ構造を含む。構造(101)の一部の各特徴は、実質的に平面の特徴(103)、ウェル(105)、あるいはチャネルを含み得る。図1を参照する。一例では、構造の各特徴は、約10nm~約10μmの幅、および約10nm~約10μmの各特徴の中心間の距離を有する。特徴の断面形状は、限定されないが、円、長方形、三角形、あるいは多角形を含み得る。特徴の形状は、テーパー状、円、ウェル、チャネル、ワイヤー、杆体、棒、錐状体、あるいはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0024】
いくつかの例では、ポリヌクレオチドはポリヌクレオチド伸長のために座のクラスタ上で合成され、放出され、その後、増幅反応(例えば、PCR)に供される。クラスタからのポリヌクレオチドの合成の例示的ワークフローが図2に示される。シリコンプレート(201)は複数のクラスタ(203)を含む。各クラスタ内には、複数の座(221)がある。ポリヌクレオチドは、クラスタ(203)からのプレート(201)上で新規に合成される(207)。ポリヌクレオチドは、切断され(211)、および、プレート(213)から除去されて、放出されたポリヌクレオチド(215)の集団を形成する。その後、放出されたポリヌクレオチド(215)の集団は増幅され(217)、増幅されたポリヌクレオチド(219)のライブラリを形成する。
【0025】
第1の構造では、固液相制御のための加熱されたナノウェルが、ポリヌクレオチド合成を提供する。図3Aおよび図3Bの装置(300)を参照する。構造(301)の一部の各特徴は、実質的に平面の特徴(303)(例えば、平坦)、ウェル(305)、あるいはチャネルであり得る。いくつかの例では、実質的に平面な特徴(303)は、第1の材料(307)、第2の材料(309)、第3の材料(311)、および第4の材料(313)を含み、ここで、第3の材料(311)は、第1の材料(307)および第2の材料(309)の第1の部分を覆い、ならびに、第4の材料(313)は、第1の材料(307)および第2の材料(309)の第1の部分を覆う。第1の材料(307)、第2の材料(309)、第3の材料(311)、および第4の材料(313)は、伝導体、半導体、あるいは絶縁体を含む。いくつかの例では、第1の材料(307)は、シリコンなどの半導体材料を含む。いくつかの例では、第2の材料(309)は、底部のアドレス可能な電極の2つ以上の行を形成する。いくつかの例では、第2の材料(309)は、金属などの伝導体を含む。いくつかの例では、第2の材料(309)はタングステンを含む。いくつかの例では、第3の材料(311)は、二酸化ケイ素などの絶縁体を含む。いくつかの例では、第4の材料(313)は、上部のアドレス可能な電極の2つ以上の列を形成する。いくつかの例では、第4の材料(313)は、金属などの伝導体を含む。いくつかの例では、第3の材料(311)は窒化チタンを含む。明細書と一致する範囲で、他の金属、半伝導体、および絶縁体が使用される。
【0026】
いくつかの例では、同時に、底部のアドレス可能な電極(309)の1つ以上の行、および上部のアドレス可能な電極(313)の列の1つ以上に電流を加えることにより、1つ以上の底部電極(309)の対応するカラムと、1つ以上の上部電極(313)の対応する列との交点に関連する1つ以上のウェル(305)を加熱する。いくつかの態様では、第1の材料(307)および底部電極(309)は、合成表面(302)から冷却要素(あるいは、冷却ユニット、または低温チャック)に熱を伝える働きをする。いくつかの例では、並べられたウェル(305)は、加熱器として機能し、ヌクレオチド結合化学物質の堆積に対して選択的である。いくつかの例では、SiOなどの絶縁体は、ウェル(305)および装置(300)の上面を熱的に単離するために使用される。いくつかの例では、ポリヌクレオチドの選択的な合成のための装置は、1つ以上のアドレス可能な電極で構成された1つ以上の加熱要素を含む。
【0027】
第2の構造では、液気相制御のための加熱されたナノウェルが、ポリヌクレオチド合成を提供する。図4のAを参照する。装置(400)の一部の各特徴は、ウェル(401)、あるいはチャネルであり得る。いくつかの例では、ウェルはシリンダー形状である。いくつかの例では、装置(400)は、上部接触部(403)、第1の加熱要素(404)、第1の材料(405)、第2の加熱要素(406)、底部接触部(408)、および第2の材料(409)を含み、ここで、上部接触部(403)は第1の材料(405)の第1の部分および第1の加熱要素(404)の第1の部分を覆い、ここで、第1の加熱要素(404)は、第2の加熱要素(406)の第1の部分、および第1の材料(405)の第2の部分を覆い、ここで、第1の材料(405)は、第2の材料(409)の第1の部分を覆い、ならびにここで、底部接触部(408)は、第2の加熱要素(406)および第2の材料(409)の両方に接触する。いくつかの例では、上部接触部(403)および底部接触部は、上部(403)および底部(408)のアドレス可能な接触部をそれぞれ形成する。いくつかの例では、上部接触部(403)および底部接触部(408)は、金属などの伝導体を含む。いくつかの例では、第1の材料(405)および第2の材料(409)は、二酸化ケイ素などの絶縁材料を含む。いくつかの例では、第1の加熱要素(404)および第2の加熱要素(406)は、シリコンなどの半導体材料を含む。いくつかの例では、半導体材料は、例えば、限定されないが、リン、アンチモン、ヒ素、ホウ素、アルミニウム、あるいはインジウムなどの1つ以上のドーパントを含む。代替的にあるいは組み合わせて、第1の加熱要素(404)および第2の加熱要素(406)は、伝導体である。
【0028】
いくつかの例では、電気経路を形成するために、底部のアドレス可能な接触部(408)の1つ以上、および上部のアドレス可能な接触部(403)の1つ以上に電流を同時に加えることにより、例えば、第1の加熱要素(404)および第2の加熱要素(406)のそれぞれにおいて、対応する1つ以上の底部接触部(408)と、対応する1つ以上の上部の接触部(403)との交点に関連する1つ以上ウェル(401)を加熱する。いくつかの例では、装置を用いて電流を加えることにより溶媒(402)を加熱することは、溶媒の蒸発を引き起こし、合成表面(407)との溶媒接触を防ぐ蒸気ナノバブル(417)を形成し、上記蒸気ナノバブルは、電流の流れまたは加熱が中止されると崩壊する。いくつかの例では、電気経路は、pn接合などの少なくとも1つの半導体接合を含む。いくつかの例では、この接合は電流の強度を決定し、加熱要素の安定性を改善する。いくつかの例では、第4の材料(406)は加熱要素を形成し、ドープされた半導体抵抗器を含む。
【0029】
第3の構造では、液気相制御のための加熱されたナノポストは、ポリヌクレオチド合成を提供する。図4Bの装置(410)を参照する。装置(410)の一部の各特徴はナノポストであり得る。いくつかの例では、特徴(410)は、コア接触部(412)、第1の材料(413)、表面接触部(414)、加熱要素(415)、および第2の材料(416)を含み、ここで、表面接触部(414)は、第1の材料(413)の第1の部分を覆い、ここで、加熱要素(415)は、第1の材料(413)の第1の部分および表面接触部(414)の第1の部分を覆い、ここで、第2の材料(416)は、コア接触部(412)の第1の部分および表面接触部(414)の第2の部分を覆う。いくつかの例では、装置を用いて電流を加えることにより溶媒(402)を加熱することで、溶媒の蒸発を引き起こして気泡(417)を形成し、上記気泡は、合成表面(407)との溶媒接触を防ぎ、電流の流れまたは加熱が中止されると崩壊する。いくつかの例では、コア接触部(412)、表面接触部(414)、および加熱要素(415)は、金属などの伝導体を含む。いくつかの例では、第1の材料(413)および第2の材料(416)は絶縁材料を含む。いくつかの例では、加熱要素(415)は半導体材料を含む。
【0030】
いくつかの例では、1つ以上の上面接触部(414)および1つ以上の導電性のコア接触部(412)に電流を同時に加えることは、1つ以上の電気抵抗器の側壁(加熱要素)(415)を加熱する。いくつかの例では、装置を用いて電流を加えることにより溶媒(402)を加熱することで、溶媒の蒸発を引き起こして蒸気ナノバブル(417)を形成し、上記蒸気ナノバブルは、合成表面(407)との溶媒接触を防ぎ、電流の流れまたは加熱が中止されると崩壊する。
【0031】
第4の構造では、液気相制御のための加熱されたナノポストは、ポリヌクレオチド合成を提供する。図5の装置(500)を参照する。機器(500)の一部の各特徴は、限定されないが、ナノワイヤーあるいはカーボンナノチューブを含む1つ以上のナノロッド(502)を含む。図5におけるポリヌクレオチド合成または伸長(507)の位置は、例証のみのために示され;合成または伸長は、ナノロッド(502)上のどこでも起こり得る。いくつかの例では、装置(500)は、加熱要素(501)、ナノロッド(502)、上部接触部(503)、第1の材料(504)、および底部接触部(505)からなり、ここで、上部接触部(503)は、第1の材料(504)の第1の部分を覆い、ここで、加熱要素(501)は第1の材料(504)の第2の部分および底部接触部(505)の第1の部分を覆い、ここで、ナノロッド(502)は第1の材料(504)の第3の部分を覆う。
【0032】
いくつかの例では、上部接触部(503)および底部接触部(505)は、上部(503)および底部(505)のアドレス可能な接触部をそれぞれ形成する。いくつかの例では、上部接触部(503)および底部接触部(505)は、金属などの伝導体を含む。いくつかの例では、第1の材料(504)は絶縁材料を含む。いくつかの例では、加熱要素(501)は、シリコンなどの半導体材料を含む。いくつかの例では、半導体材料は、例えば、限定されないが、リン、アンチモン、ヒ素、ホウ素、アルミニウム、あるいはインジウムなどの1つ以上のドーパントを含む。いくつかの例では、発熱体(501)は、金属などの伝導体を含む。
【0033】
いくつかの例では、底部接触部(505)の1つ以上および上部接触部(503)の1つ以上に電流を同時に加えて、加熱要素(501)および溶媒(506)を通る電気経路を形成することにより、1つ以上のナノロッド(502)あるいはナノロッドクラスタの周囲の領域を加熱する。いくつかの例では、装置を用いて電流を加えることにより溶媒(506)を加熱することで、溶媒の蒸発を引き起こし、電流の流れまたは加熱が中止されると崩壊する蒸気ナノバブル(517)を形成する。気泡(517)は、合成表面(507)を溶媒(506)から分離する。いくつかの例では、電気経路は、加熱要素(501)におけるpn接合などの少なくとも1つの半導体接合を含む。いくつかの例では、この接合は電流の強度を決定し、加熱要素の安定性を改善する。いくつかの例では、発熱要素(501)はドープされた半導体抵抗器を含む。いくつかの例では、ナノロッド(502)は、ヌクレオチドカップリングのための増加した表面積を提供し、より高いポリヌクレオチドの収率をもたらす。いくつかの例では、ナノロッド(502)および電極の数と規模は、減らされてもよい。
【0034】
第5の構造では、接触部上のナノロッドはポリヌクレオチド合成を提供する。図6の装置(600)を参照する。装置(600)の一部の各特徴は、限定されないが、ナノワイヤーあるいはカーボンナノチューブを含む1つ以上のナノロッド(603)であり得る。いくつかの例では、ナノロッド(603)は溶媒(604)と接している。図6におけるポリヌクレオチド合成または伸長の(607)の位置は、例証のみのために示され;合成または伸長は、ナノロッド(603)上のどこでも起こり得る。いくつかの例では、実質的に平面の特徴(600)は、底部接触部(601)、1つ以上のナノロッド(603)、および第1の材料(602)を含み、ここで、第1の材料(602)は底部接触部(601)の第1の部分を覆う。いくつかの例では、底部接触部(601)は底部アドレス可能な接触部を形成する。いくつかの例では、底部接触部(601)は金属などの伝導体を含む。いくつかの例では、ナノロッド(603)は伝導体あるいは半導体を含む。いくつかの例では、第1の材料(602)は絶縁材料を含む。
【0035】
いくつかの例では、ナノロッド(603)は導電性材料を含む。いくつかの例では、ナノロッド特徴(607)は、ヌクレオチドカップリングのための増加した表面積を提供し、より高いポリヌクレオチドの収率をもたらす。いくつかの例では、ナノロッドおよび接触部の数と規模は、例えば、1つの接触部を有する1つのナノロッドにまで減らされてもよい。いくつかの例では、底部接触部(601)は熱的接触部である。いくつかの例では、底部接触部(601)を冷却することにより、1つ以上のナノロッド(607)を冷却し、合成表面(607)との溶媒接触を防ぐ、冷凍溶媒層を有する1つ以上のナノロッド(603)をコーティングする。
【0036】
ポリヌクレオチド合成のための構造
【0037】
いくつかの例では、本明細書に記載されるウェルは、20対0.01の幅対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記幅は、ウェルの最も狭いセグメントの幅の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるウェルは、20対0.05の幅対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記幅は、ウェルの最も狭いセグメントの幅の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるウェルは、1対0.01の幅対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記幅は、ウェルの最も狭いセグメントの幅の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるウェルは、0.5対0.01の幅対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記幅は、ウェルの最も狭いセグメントの幅の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるウェルは、約0.01、0.05、0.1、0.15、0.16、0.2、0.5、1、2、5、10、あるいは20の深さ(あるいは高さ)に対する幅の比を有する。
【0038】
いくつかの例では、本明細書に記載されるウェルは、20対0.01の直径対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記直径は、ウェルの最も狭いセグメントの直径の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるウェルは、20対0.05の直径対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記直径は、ウェルの最も狭いセグメントの直径の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるウェルは、1対0.01の直径対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記直径は、ウェルの最も狭いセグメントの直径の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるウェルは、0.5対0.01の直径対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記直径は、ウェルの最も狭いセグメントの直径の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるウェルは、約0.01、0.05、0.1、0.15、0.16、0.2、0.5、1、2、5、10、あるいは20の深さ(あるいは高さ)に対する直径の比を有する。
【0039】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は複数のウェルを含み、ウェルの高さまたは深さは、約10nm~約10μm、約10nm~約1μm、約10nm~約500nm、約10nm~約100nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、あるいは約50nm~約100nmである。いくつかの例では、ウェルの高さは、10μm、5μm、2μm、1μm、500nm、200nm、100nm、50nm、20nm、あるいは10nm以下である。いくつかの例では、ウェル高さは、約10nm、20nm 30nm 40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μmであるか、あるいは10μmを超える。
【0040】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は複数のウェルを含み、ウェルの幅は、約10nm~約10μm、約10nm~約1μm、約10nm~約500nm、約10nm~約100nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、あるいは約50nm~約100nmである。いくつかの例では、ウェルの幅は、10μm、5μm、2μm、1μm、500nm、200nm、100nm、50nm、20nm、あるいは10nm以下である。いくつかの例では、ウェルの幅は、約10nm、20nm 30nm 40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μmであるか、あるいは10μmを超える。
【0041】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は複数のウェルを含み、ウェルの直径は、約10nm~約10μm、約10nm~約1μm、約10nm~約500nm、約10nm~約100nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、あるいは約50nm~約100nmである。いくつかの例では、ウェルの直径は、10μm、5μm、2μm、1μm、500nm、200nm、100nm、50nm、20nm、あるいは10nm以下である。いくつかの例では、ウェルの直径は、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μmであるか、あるいは10μmを超える。
【0042】
いくつかの例では、本明細書に記載されるスポットまたは実質的に平面特徴は、約50nm~約1000、約50nm~約900nm、約50nm~約800nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、あるいは約50nm~約100nmの直径を含む。
【0043】
いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、20対0.01の幅対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記チャネルは、チャネルの最も狭いセグメントの幅の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、20対0.05の幅対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記幅は、チャネルの最も狭いセグメントの幅の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、1対0.01の幅対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記幅は、チャネルの最も狭いセグメントの幅の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、0.5対0.01の幅対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記幅は、ウェルの最も狭いセグメントの幅の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、約0.01、0.05、0.1、0.15、0.16、0.2、0.5、1、2、5、10、あるいは20の深さ(あるいは高さ)に対する幅の比を有する。
【0044】
いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、20対0.01の直径対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記直径は、チャネルの最も狭いセグメントの直径の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、20対0.05の直径対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記直径は、チャネルの最も狭いセグメントの直径の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、1対0.01の直径対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記直径は、チャネルの最も狭いセグメントの直径の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、0.5対0.01の直径対深さ(あるいは高さ)の比を有し、上記直径は、チャネルの最も狭いセグメントの直径の測定である。いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、約0.01、0.05、0.1、0.15、0.16、0.2、0.5、1、2、5、10、あるいは20の深さ(あるいは高さ)に対する直径の比を有する。
【0045】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は複数のチャネルを含み、ここで、上記チャネルの高さまたは深さは、約10nm~約10μm、約10nm~約1μm、約10nm~約500nm、約10nm~約100nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、あるいは約50nm~約100nmである。いくつかの例では、チャネルの高さは、10μm、5μm、2μm、1μm、500nm、200nm、100nm、50nm、20nm、あるいは10nm以下である。いくつかの例では、チャネルの高さは、約10nm、20nm 30nm 40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μmであるか、あるいは10μmを超える。
【0046】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は複数のチャネルを含み、チャネルの幅は、約10nm~約10μm、約10nm~約1μm、約10nm~約500nm、約10nm~約100nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、あるいは約50nm~約100nmである。いくつかの例では、チャネルの幅は、10μm、5μm、2μm、1μm、500nm、200nm、100nm、50nm、20nm、あるいは10nm以下である。いくつかの例では、チャネルの幅は、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μmであるか、あるいは10μmを超える。
【0047】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は複数のチャネルを含み、チャネルの直径は、約10nm~約10μm、約10nm~約1μm、約10nm~約500nm、約10nm~約100nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、あるいは約50nm~約100nmである。いくつかの例では、チャネルの直径は、10μm、5μm、2μm、1μm、500nm、200nm、100nm、50nm、20nm、あるいは10nm以下である。いくつかの例では、ウェルの直径は、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μmであるか、あるいは10μmを超える。
【0048】
いくつかの例では、特徴(例えば、実質的に平面の特徴、ウェル、チャネル、あるいはポリヌクレオチド合成を支援する他の特徴)の幅は、約10nm~約10μm、約100nm~約10μm、約200nm~約1μm、約50nm~約500nm、約50nm~約200μm、約10nm~約100nm、例えば、約10μm、5μm、2μm、1μm、500nm、200nm、100nm、50nm、20nm、あるいは10nmである。いくつかの例では、特徴の幅は、約10μm、5μm、2μm、1μm、500nm、200nm、100nm、50nm、あるいは10nm以下である。いくつかの例では、2つの隣接する特徴の中心間の距離は、約10nm~約10μm、20nm~約5μm、約50nm~約2nm、約100nm~約1μm、約200nm~約500nm、約200nm~約1μm、約200nm~約750nm、あるいは約300nm~約600nm、例えば、約500nmである。いくつかの例では、特徴の幅の合計は、約10nm、20nm、50nm、100nm、200nm、500nm、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、あるいは100μmである。いくつかの例では、特徴の幅の合計は、約10nm~1μm、20nm~500nm、あるいは50nm~100nmである。
【0049】
いくつかの例では、構造(例えば、実質的に平面構造、ウェル、チャネル、ナノウェル、ナノロッド、ナノポスト、あるいはポリヌクレオチド合成を支援する他のナノ構造体)の幅は、約10nm~約10μm、約100nm~約10μm、約200nm~約1μm、約50nm~約500nm、約50nm~約200μm、あるいは約10nm~約100nm、例えば、約10μm、5μm、2μm、1μm、500nm、200nm、100nm、50nm、20nm、あるいは10nmである。いくつかの例では、構造の幅は、約10μm、5μm、2μm、1μm、500nm、200nm、100nm、50nm、あるいは10nm以下である。いくつかの例では、2つの隣接する構造の中心間の距離は、約10nm~約10μm、20nm~約5μm、約50nm~約2nm、約100nm~約1μm、約200nm~約500nm、約200nm~約1μm、約200nm~約750nm、あるいは約300nm~約600nm、例えば、約500nmである。いくつかの例では、構造の幅の合計は、約10nm、20nm、50nm、100nm、200nm、500nm、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、あるいは100μmである。いくつかの例では、構造の幅の合計は、約10nm~1μm、20nm~500nm、あるいは50nm~100nmである。
【0050】
ポリヌクレオチド合成のための表面
【0051】
いくつかの例では、各特徴は、別の特徴上で成長したポリヌクレオチドの集団とは異なる配列を有する、ポリヌクレオチドの集団の合成を支援する。本明細書で提供されるのは、少なくとも10、100、256、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、20,000の、30,000、40,000、あるいは50,000以上クラスタを含む表面である。本明細書で提供されるのは、2,000;5,000;10,000;20,000;30,000;50,000;100,000;200,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;5,000,000;または10,000,000、あるいはそれ以上の別々の特徴を含む表面である。いくつかの例では、各クラスタは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、130、150、200、500またはそれ以上の特徴を含む。いくつかの例では、各クラスタは、50~500、50~200、50~150、あるいは100~150の特徴を含む。いくつかの例では、各クラスタは100~150の特徴を含む。例示的な構成では、各クラスタは、109、121、130、または137の特徴を含む。いくつかの例では、特徴内の各構造(ナノ構造体など)は、同じ特徴内の別の構造上で成長したポリヌクレオチドの集団とは異なる配列を有するポリヌクレオチドの集団の合成を支援する。いくつかの例では、本明細書で提供されるのは、各々が少なくとも1;2;5;10;20;50;100;200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、あるいは200,000を超える別個のナノ構造を含む特徴である。いくつかの例では、各特徴は、約10~約500、約50~約250、約10~約1000、あるいは約1~約50のナノ構造を含む。
【0052】
最長のセグメントにおいて10nm~1μmの幅を有する特徴が本明細書で提供される。いくつかの例では、特徴は、最長のセグメントにおいて、約10、20、30、35、40、45、50、55、あるいは60nmの幅を有する。いくつかの例では、特徴は、複数のセグメントを有するチャネルであり、各セグメントは5~50nm離れた中心間距離を有する。いくつかの例では、各セグメントの中心間距離は、約5、10、15、20、あるいは25nm離れている。
【0053】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造の表面上で合成された別個のポリヌクレオチドの数は、基質において利用可能な別個の特徴の数に依存する。いくつかの例では、基質のクラスタ内の特徴の密度は、少なくともあるいは約1mm当たり約1つの特徴、1mm当たり10の特徴、1mm当たり25の特徴、1mm当たり50の特徴、1mm当たり65の特徴、1mm当たり75の特徴、1mm当たり100の特徴、1mm当たり130の特徴、1mm当たり150の特徴、1mm当たり175の特徴、1mm当たり200の特徴、1mm当たり300の特徴、1mm当たり400の特徴、1mm当たり500の特徴、1mm当たり1,000の特徴、1mm当たり2,000の特徴、1mm当たり5,000の特徴、1mm当たり10,000の特徴、1mm当たり100,000の特徴、1mm当たり1,000,000の特徴であるか、あるいは1mm当たり1,000,000の特徴よりも多い。いくつかの例では、基質は、1mm当たり約10の特徴~1mm当たり約500特徴、1mm当たり約25の特徴~1mm2から約400特徴、1mm当たり約50の特徴~1mm2から約500特徴、1mm当たり約100の特徴~1mm2から約500特徴、1mm当たり約150の特徴~1mm当たり約500特徴、1mm当たり約10の特徴~1mm当たり250特徴、1mm当たり約50の特徴~1mm当たり約250特徴、1mm当たり約10の特徴~1mm当たり約200特徴、1mm当たり約50の特徴~1mm当たり約200特徴を含む。いくつかの例では、基質のクラスタ内の特徴の密度は、少なくともあるいは約1μm当たり約1つの特徴、1μm当たり10の特徴、1μm当たり25の特徴、1μm当たり50の特徴、1μm当たり65の特徴、1μm当たり75の特徴、1μm当たり100特徴、1μm当たり130特徴、1μm当たり150特徴、1μm当たり175特徴、1μm当たり200の特徴、1μm当たり300の特徴、1μm当たり400の特徴、1μm当たり500の特徴、1μm当たり1,000の特徴、1μm当たり2,000の特徴、1μm当たり5,000の特徴、1μm当たり10,000の特徴、1μm当たり100,000の特徴、1μm当たり1,000,000の特徴であるか、あるいは1μm当たり1,000,000の特徴よりも多い。いくつかの例では、基質は、1μm当たり約10の特徴~1μm当たり約500特徴、1μm当たり約25の特徴~1μm当たり約400の特徴、1μm当たり約50の特徴~1μm当たり約500の特徴、1μm当たり約100の特徴~1μm当たり約500の特徴、1μm当たり約150の特徴~1μm当たり約500の特徴、1μm当たり約10の特徴~1μm当たり約250の特徴、1μm当たり約50の特徴~1μm当たり約250の特徴、1μm当たり約10の特徴~約1μm当たり200の特徴、あるいは1μm当たり約50の特徴~1μm当たり約200の特徴を含む。いくつかの例では、クラスタ内の2つの隣接する特徴の中心間の距離は、約10μm~約500μm、約10μm~約200μm、あるいは約10μm~約100μmである。いくつかの例では、隣接する特徴の2つの中心間の距離は、約10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、あるいは100μmより大きい。いくつかの例では、2つの隣接する特徴の中心間の距離は、約200μm、150μm、100μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、または10μm未満である。いくつかの例では、クラスタ内の2つの隣接する特徴の中心間の距離は、約10nm~約1000nm、約10nm~約500nm、10nm~約200nm、あるいは約10nm~約100nmである。いくつかの例では、隣接する特徴の2つの中心間の距離は、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、または100μmより大きい。いくつかの例では、2つの隣接する特徴の中心間の距離は、約500nm、200nm、150nm、100nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、あるいは10nm未満である。いくつかの例では、本明細書に記載される構造の平方メートルはそれぞれ、少なくとも約10、10、10、1010、1011、あるいは少なくとも約1012の特徴を可能にし、各特徴は、1つのポリヌクレオチドを支持する。いくつかの例では、本明細書に記載される構造の平方メートルはそれぞれ、少なくとも約10、10、10、1010、1011、あるいは少なくとも約1012の特徴を可能にし、各特徴は複数の様々なポリヌクレオチドを支援する。いくつかの例では、10のポリヌクレオチドは、本明細書に記載される約6、5、4、3、2、あるいは1m未満の構造で支持される。
【0054】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、2,000;5,000;10,000;20,000;30,000;50,000;100,000;200,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,200,000;1,400,000;1,600,000;1,800,000;2,000,000;2,500,000;3,000,000;3,500,000;4,000,000;4,500,000;5,000,000;10,000,000;100,000,000を超えるか、あるいはそれ以上ポリヌクレオチドの合成のための支持を提供する。いくつかの例では、構造は、2,000;5,000;10,000;20,000;50,000;100,000;200,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,200,000;1,400,000;1,600,000;1,800,000;2,000,000;2,500,000;3,000,000;3,500,000;4,000,000;4,500,000;5,000,000;10,000,000;100,000,000を超えるか、あるいはそれ以上の別個の配列をコードするポリヌクレオチドの合成のための支持を提供する。いくつかの例では、ポリヌクレオチドの少なくとも一部は、同一の配列を有しているか、または同一の配列で合成されるように構成される。いくつかの例では、構造は、少なくとも約50、60、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、1,000、2,000の塩基、あるいは2,000よりも多い塩基を有するポリヌクレオチドの成長のための表面の環境を提供する。いくつかの例では、構造は、50~2,000の塩基、50~1,000、50~500、50~250、あるいは100~1,000、あるいは100~500、あるいは100~300の塩基を有するポリヌクレオチドの成長のための表面の環境を提供する。
【0055】
いくつかの例では、ポリヌクレオチドは、構造の別個の特徴で合成され、ここで、各特徴は、ポリヌクレオチドの集団の合成を支持する。いくつかの例では、各特徴は、別の座上で成長したポリヌクレオチドの集団とは異なる配列を有するポリヌクレオチドの集団の合成を支持する。いくつかの例では、構造の特徴は複数のクラスタ内に位置する。いくつかの例において、構造は、少なくとも10、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11.000、12,000、13,000、14,000、15,000、20,000、30,000、40,000、50,000、又はそれ以上のクラスタを含む。いくつかの例では、構造は、2,000;5,000;10,000;100,000;200,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,100,000;1,200,000;1,300,000;1,400,000;1,500,000;1,600,000;1,700,000;1,800,000;1,900,000;2,000,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,200,000;1,400,000;1,600,000;1,800,000;2,000,000;2,500,000;3,000,000;3,500,000;4,000,000;4,500,000;5,000,000;または10,000,000を超えるか、あるいはそれ以上の別個の特徴を含む。いくつかの例では、各クラスタは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、130、150以上の特徴(座)を含む。いくつかの例では、各クラスタは、50~500、100~150、あるいは100~200の特徴を含む。いくつかの例では、各クラスタは、109、121、130、または137の特徴を含む。いくつかの例では、各クラスタは、5、6、7、8、9、10、11、あるいは12の特徴を含む。いくつかの例では、1つのクラスタ内の別個の特徴からのポリヌクレオチドは、組み立てられた時に、あらかじめ定められた配列の隣接する、より長いポリヌクレオチドをコードする配列を有する。
【0056】
構造の大きさ
【0057】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、ほぼ標準の96ウェルプレートのサイズであり、例えば、約100~200mm×約50~150mmである。いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、約1000mm、500mm、450mm、400mm、300mm、250nm、200mm、150mm、100mm、あるいは50mm以下の直径を有する。いくつかの例では、基質の直径は、約25mm~1000mm、約25mm~約800mm、約25mm~約600mm、約25mm~約500mm、約25mm~約400mm、約25mm~約300mm、または約25mm~約200である。基質の大きさの非限定的な例は、約300mm、200mm、150mm、130mm、100mm、76mm、51mm、および25mmである。いくつかの例では、基質は、少なくとも約100mm;200mm;500mm;1,000mm;2,000mm;5,000mm;10,000mm;12,000mm;15,000mm;20,000mm;30,000mm;40,000mm;50,000mm以上の平面の表面積を有している。いくつかの例では、基質は、約50mm~約2000mm、約50mm~約1000mm、約100mm~約1000mm、約200mm~約1000mm、または約250mm~約1000mmの厚さを有する。厚さの非限定的な例は、275mm、375mm、525mm、625mm、675mm、725mm、775mmm、および925mmを含む。いくつかの例では、基質の厚さは、直径によって変わり、基質の組成に依拠する。例えば、シリコン以外の物質を含む構造は、同じ直径のシリコン構造とは異なる厚さを有していてもよい。構造の厚さは、使用される物質の機械強度によって判定され、取り扱いの間に割れることなく、それ自体の重量を支えるのに十分な厚でなければならない。いくつかの例では、構造は、任意の1つの寸法において、約1、2、3、4、5、10、15、30、40、50フィートを超える。
【0058】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、例えば、約10~200nm×約10~150nmのナノ構造を含む。いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、約1000nm、500nm、450nm、400nm、300nm、250nm、200nm、150nm、100nm、あるいは50nm以下の直径を含む。いくつかの例では、構造の直径は、約10nm~1000nm、約10nm~約800nm、約10nm~約600nm、約10nm~約500nm、約10nm~約400nm、約10nm~約300nm、あるいは約10mm~約200nmである。構造の大きさの非限定的な例は、約300nm、200nm、150nm、130nm、100nm、76nm、51nm、25nm、および10nmを含む。いくつかの例では、構造は、少なくとも約100nm;200nm;500nm;1,000nm;2,000nm;5,000nm;10,000nm;12,000nm;15,000nm;20,000nm;30,000nm;40,000nm;50,000nm以上の平面の表面積を有している。いくつかの例では、構造は、約10nm~約2000nm、約50nm~約1000mm、約100nm~約1000nm、約200nm~約1000nm、あるいは約250nm~約1000nmの厚さを有する。厚さの非限定的な例は、50nm、100nm、275nm、375nm、525nm、625nm、675nm、725nm、775nm、および925nmを含む。
【0059】
材料
【0060】
表面を含む装置が本明細書で提供され、ここで、上記表面は、あらかじめ決められた位置で、および結果として生じる低いエラー率、低いドロップアウト率、高い収率、および高いオリゴ表現を伴うポリヌクレオチド合成を支持するために改質される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるポリヌクレオチド合成のための装置の表面は、ポリヌクレオチドのデノボ合成反応を支持するために、修飾可能な様々な物質から作られる。場合によっては、上記装置は十分に導電性であり、例えば、装置の全てまたは一部にわたって均一な電場を形成することができる。本明細書に記載される装置は可撓性材料を含むこともある。典型的な可撓性材料としては、限定されないが、修飾ナイロン、非修飾ナイロン、ニトロセルロース、およびポリプロピレンが挙げられる。本明細書に記載される装置は剛性材料を含むこともある。典型的な剛性材料としては、限定されないが、ガラス、石英ガラス(fuse silica)、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、金属窒化物、金属シリサイド、金属炭化物、金属酸化物、プラスチック(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびそれらの混合物など)、ならびに金属(例えば、金、白金など)が挙げられる。いくつかの例では、金属酸化物は、TiO、Ta、Nb、Al、BaO、Y、HfO、SrO、あるいは当該技術分野において既知の他の金属酸化物を含む。いくつかの例では、金属炭化物は、TiC、WC、ThC、ThC、VC、WC、ZrC、HfC、NbC、TaC、TaC、あるいは当該技術分野において既知の他の金属炭化物を含む。いくつかの例では、金属窒化物は、GaN、InN、BN、Be、CrN、MoN、Si、TaN、Th、VN、ZrN、TiN、HfN、NbC、WN、TaN、あるいは当該技術分野において既知の他の金属窒化物を含む。いくつかの例では、本明細書で開示される装置は、シリコン、ポリスチレン、アガロース、デキストラン、セルロース系ポリマー、ポリアクリルアミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ガラス、またはそれらの任意の組み合わせを含む材料から作られる。いくつかの例では、本明細書で開示される装置は、本明細書に列挙された材料または当該技術分野において既知の他の適切な材料を組み合わせて製造される。
【0061】
本明細書に記載される典型的な材料の引っ張り強度のリストは以下の通りである:ナイロン(70MPa)、ニトロセルロース(1.5MPa)、ポリプロピレン(40MPa)、シリコン(268MPa)、ポリスチレン(40MPa)、アガロース(1-10MPa)、ポリアクリルアミド(1-10MPa)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)(3.9-10.8MPa)。本明細書に記載される固体支持体は、1~300、1~40、1~10、1~5、または3~11MPaの引っ張り強度を有することができる。本明細書に記載される固体支持体は、約1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、20、25、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、270、あるいはそれ以上のMPaの引っ張り強度を有することができる。いくつかの例では、本明細書に記載される装置は、テープまたはフレキシブルシートなどの連続的なループまたはリールに保存できる、可撓性材料の形態であるポリヌクレオチド合成のための固体支持体を含む。
【0062】
ヤング率は、荷重下での弾性(復元可能)変形に対する材料の耐性を測定する。本明細書に記載される典型的な材料の剛性のヤング率のリストは以下の通りである:ナイロン(3GPa)、ニトロセルロース(1.5GPa)、ポリプロピレン(2GPa)、シリコン(150GPa)、ポリスチレン(3GPa)、アガロース(1-10GPa)、ポリアクリルアミド(1-10GPa)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)(1-10GPa)。本明細書に記載される固体支持体は、1~500、1~40、1~10、1~5、または3~11GPaのヤング率を有することができる。本明細書に記載される固体支持体は、約1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、20、25、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、400、500GPa、あるいはそれ以上のヤング率を有することができる。軟性と剛性の関係は互いに逆であることから、可撓性材料は低ヤング率を有し、荷重下でその形状を大きく変化させる。
【0063】
場合によっては、本明細書で開示される装置は、二酸化ケイ素の基部および酸化ケイ素の表層を含む。代替的に、装置は酸化ケイ素の基部を有することもある。本明細書で提供される装置の表面は、テクスチャード加工されることもあり、ポリヌクレオチド合成のための全体的な表面積の増加をもたらす。本明細書で開示される装置は、少なくとも5%、10%、25%、50%、80%、90%、95%、または99%のシリコンを含むこともある。本明細書で開示される装置は、シリコン・オン・インシュレーター(SOI)ウェーハから作られてもよい。
【0064】
様々な材料の任意の1つ以上から作られた構造を含む、ポリヌクレオチド合成のための装置が本明細書で提供される。ある例では、基質/固体支持体を構成する材料は、低レベルのポリヌクレオチド結合を示すように作られる。いくつかの状況において、可視光および/またはUV光を通す材料が使用され得る。十分に伝導性の材料(伝導体)、例えば、本明細書に記載されている基質/固体支持体のすべてまたは一部分にわたって均一の電場を形成し得るものが利用され得る。いくつかの例において、こうした材料は電気接地(electric ground)に接続され得る。いくつかの例において、基質または固体支持体は、熱伝導性または熱絶縁性であってもよい。材料は、一連のポリヌクレオチド合成反応などの化学的または生化学的な反応を支援するために、化学耐性よび熱耐性であり得る。
【0065】
いくつかの例では、導電性または半導電性の材料(半導体)としては、限定されないが、チタン窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タングステン、窒化タンタル、タンタル 窒化シリコン(tantulum silicon nitride)、チタン、白金シリサイド、あるいは他の導電性材料の1つ以上を含む。例では、材料としては、限定されないが、炭化アルミニウム、炭化物、窒化物、オキシド、シリサイド、窒化ケイ素、リン化物、あるいは他の非金属、または導電性材料の構成要素として使用される半金属の1つ以上が挙げられる。いくつかの例では、例示的な材料は、タングステン、コバルト、イリジウム、モリブデン、ニッケル、プラチナ、レニウム、ルテニウム、タンタル、チタン、あるいは導電性材料の構成要素として使用される他の金属の1つ以上を含む(非限定的)。いくつかの例では、材料は、金属、非金属、あるいは半金属の混合物を含む。いくつかの例では、ドーパントは半導体性材料に加えられる。ドーパントとしては、限定されないが、リン、アンチモン、ヒ素、ホウ素、アルミニウム、インジウム、あるいは本明細書と一致する他の要素が挙げられる。ナノロッド、ナノワイヤー、あるいはナノチューブなどのナノ構造の場合、対象となる材料は、伝導体、半導体、あるいは絶縁体を含む。これには、限定されないが、金属元素(例えば、ニッケル、銅、銀、金、プラチナ)、半導体材料(例えば、ケイ素、酸化亜鉛、ゲルマニウム、リン化ガリウム、窒化インジウム)、あるいは絶縁材料(例えば、二酸化ケイ素、または二酸化チタン)が含まれる。伝導体、半導体、あるいは絶縁体は、本明細書に列挙される材料の組み合わせ、あるいは当該技術分野において既知の他の適切な材料で製造される。
【0066】
剛性材の場合、対象となる特定の材料は以下ものを含む:ガラス;石英ガラス;シリコン、プラスチック(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびその混合など);金属(例えば、金、白金など)。構造は、シリコン、ポリスチレン、アガロース、デキストラン、セルロース酸ポリマー、ポリアクリルアミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)およびガラスからなる群から選択される材料から製造され得る。基質/固体支持体、ミクロ構造、リアクター、またはその中の他のポリヌクレオチド合成構造は、本明細書に列挙される材料の組み合わせ、または当該技術分野で既知の他の適切な材料で製造され得る。
【0067】
本明細書に記載される構造のための例示的な可撓性材料としては、限定されないが、ナイロン(未修飾のナイロン、修飾されたナイロン、透明ナイロン)、ニトロセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、アセタール、アクリル、アクリロニトリル、ブタジエンスチレン(ABS)、ポリエステルフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリレート、あるいは他のアクリル、ポリ塩化ビニルあるいは他のビニル樹脂、透明なPVC箔、プリンターのための透明箔、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、メタクリレートコポリマー、スチレンポリマー、高屈折率ポリマー、フッ素含有しているポリマー、ポリエーテルスルホン、脂環式構造を含有しているポリイミド、ゴム、ファブリック、金属箔、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。選択された柔軟性特性を達成するために、様々な可塑剤および改質剤がポリマー基材と共に使用されてもよい。
【0068】
本明細書に記載される可撓性の構造は、プラスチック材料を含み得る。いくつかの実例では、上記構造は、熱可塑性プラスチック材料を含み得る。熱可塑性プラスチック材料の非限定的な例としては、アクリル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ナイロン、ポリ乳酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。いくつかの例では、基質は、ポリアリールエーテルケトン(PEAK)ファミリーの熱可塑性プラスチック材料を含む。PEAK熱可塑性プラスチックの非限定的な例は、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリ(エーテル・エーテル・ケトン・ケトン)(PEEKK)、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)およびポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)を含む。いくつかの例では、上記構造は、トルエンと適合性のある熱可塑性プラスチック材料を含む。いくつかの例では、プラスチック材料の可撓性は、可塑剤の添加によって増大される。可塑剤の一例は、フタル酸エステルなどのエステルベースの可塑剤である。フタル酸エステル系可塑剤は、ビス(2-エチルヘキシル)フタル酸エステル(DEHP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、ジ-n-ブチル フタル酸エステル(DnBP、DBP)、フタル酸ブチルベンジル(BBzP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジオクチル(DOP、DnOP)、フタル酸ジイソオクチル(DIOP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)、およびジ-n-ヘキシル フタル酸エステルを含む。いくつかの例では、共重合を介するか、重合前の単量体への非反応性の側鎖の添加を介する熱可塑性ポリマーの修飾は、可撓性をさらに増加させる。
【0069】
フッ素ゴムをさらに含み得る可撓性の構造が本明細書で提供される。約80%のフッ素ゴムを有する材料は、FKMと名づけられる。フッ素ゴムは、ペルフルオロ-エラストマー(FFKM)およびテトラフルオロエチレン/プロピレン・ゴム(FEPM)を含む。フッ素ゴムには5つの既知のタイプがある。タイプ1のFKMは、弗化ビニリデン(VDF)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)で構成され、それらのフッ素含有量は典型的に約66の重量%である。タイプ2のFKMは、VDF、HFP、およびテトラフルオロエチレン(TFE)で構成され、典型的に約68%~69%のフッ素を有する。タイプ3のFKMは、VDF、TFE、およびパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)で構成され、典型的に約62%~68%のフッ素を有する。タイプ4のFKMは、プロピレン、TFE、およびVDFで構成され、典型的に約67%のフッ素を有する。タイプ5のFKMは、VDF、HFP、TFE、PMVE、およびエチレンで構成される。
【0070】
いくつかの例では、本明細書に開示される基質はコンピュータ可読材料を含む。コンピュータ可読材料としては、限定されないが、磁気メディア、オープンリール式テープ、カートリッジテープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、紙媒体、フィルム、マイクロフィッシュ、連続的テープ(例えば、ベルト)、および電子命令を保存するのに適切な任意の媒体が挙げられる。いくつかの例では、基質は磁気オープンリール式テープまたは磁気ベルトを含む。いくつかの例では、基質はフレキシブルプリント基板を含む。
【0071】
本明細書に記載される構造は、可視光線および/または紫外線を通し得る。いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、構造のすべてまたは一部にわたって均一な電場を形成するのに十分な電導性がある。いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、熱伝導性または熱絶縁性である。いくつかの例では、構造は、ポリヌクレオチド合成反応などの化学反応を支援するために耐薬品性および熱耐性がある。いくつかの例では、基質は磁性である。いくつかの例では、構造は金属または金属合金を含む。
【0072】
ポリヌクレオチド合成のための構造は、任意の寸法において、1、2、5、10、30、50フィート、またはそれを超える長さであってもよい。可撓性の構造の場合には、可撓性の構造が、例えば、リール内に、巻かれた状態で随意に保存される。大きな構造(例えば、1フィートを超える長さ)の場合には、構造は垂直または水平に保存され得る。
【0073】
材料堆積システム
【0074】
本明細書に記載される構造上での生体分子の堆積および保存のためのシステムならびに装置が本明細書で提供される。いくつかの例では、生体分子は、それらの配列においてコード化された情報を保存するポリヌクレオチドである。いくつかの例では、システムは、生体分子の付着を支援するための構造の表面および/または基質の表面に生体分子を適用するための装置を含む。一例では、生体分子の適用のための装置は、ポリヌクレオチドシンセサイザーである。いくつかの例では、システムは、流体(例えば、フローセル)で基質を処理するための装置を含む。いくつかの例では、システムは、適用デバイスと処理デバイスとの間で基質を移動させるためのデバイスを含む。例えば、基質がオープンリール式テープである場合、システムは、異なる時間で、適用デバイスおよびオプションの処理デバイスへの基質の様々な部分へのアクセスを可能にする2つ以上のリールを含み得る。
【0075】
ポリヌクレオチド合成のためのポリヌクレオチド材料堆積システムの第1の実施例が図7に示される。上記システムは、X-Y方向に移動して基質の位置に合わせる材料堆積装置を含む。材料堆積装置は、Z方向にも移動して、基質で密封し、分解された反応装置を形成することができる。分解された反応装置は、ポリヌクレオチドおよび/または試薬を含む流体が、基質からキャッピング要素におよび/またはその逆に移動するのを可能にするように構成される。図7に示されるように、流体は、基質およびキャッピング要素の一方または両方を通過することができ、限定されないが、カップリング試薬、キャッピング試薬、酸化剤、非ブロッキング薬剤、アセトニトリル、および窒素ガスを含む。高分解能の液滴堆積が可能なデバイスの例は、インクジェット・プリンターおよびレーザープリンターのプリントヘッドを含む。本明細書に記載されるシステムおよび方法に有用な装置は、1インチ当たり約100のドット~1インチ当たり約50,000のドット;1インチ当たり約100のドット~1インチ当たり約20,000のドット;1インチ当たり約100のドット~1インチ当たり約10,000のドット;1インチ当たり約100のドット~1インチ当たり約5,000のドット;1インチ当たり約1,000のドット~1インチ当たり約20,000のドット;または、1インチ当たり約1,000のドット~1インチ当たり約10,000のドットの分解能を達成する。いくつかの例では、装置は、少なくとも1インチ当たり約1,000;2,000;3,000;4,000;5,000;10,000;12,000、または20,000のドットの分解能を有する。装置によって行われる高分解能の堆積は、基質の特徴に対応する各ノズルの数および密度に関連する。
【0076】
ポリヌクレオチドシンセサイザーを使用した基質上のポリヌクレオチドのデノボ合成のための例示的なプロセスワークフローが図8に示される。ポリヌクレオチド合成試薬を含む液滴は、材料堆積装置から基質へと段階的に放出され、ここで、材料堆積装置は、電気信号を、液滴を放出するための機械信号へと変換するためのピエゾセラミック材料および電極を有する。液滴は、1度に1核酸塩基ずつ、基質の表面上の特定位置で放出されて、データをコードする予め決められた配列を有する複数の合成したポリヌクレオチドを生成する。いくつかの例では、合成されたポリヌクレオチドが基質上で保存される。核酸試薬は、非連側的なまたはドロップオンデマンド方法で基質表面上に堆積されてもよい。そのような方法の例は、電気機械伝達法、電気熱伝達法、および静電気引力法を含む。電気機械伝達法では、電気パルスによって変形した圧電素子が液滴を放出させる。電気熱伝達方法では、装置のチャンバーにおいて気泡が生成され、気泡の膨張力が液滴を放出させる。静電気引力法では、引力の静電力が、基質上に液滴を放出するために使用される。いくつかの例では、液滴の頻度は、約5kHz~約500kHz;約5KHz~約100KHz;約10KHz~約500KHz;約10KHz~約100KHz;または、約50kHz~約500kHzである。いくつかの例では、頻度は、約500kHz、200kHz、100kHz、または50kHz未満である。
【0077】
分配される液滴の大きさは、装置の分解能に相関する。いくつかの例では、装置は、約0.01pl~約20pl、約0.01pl~約10pl、約0.01pl~約1pl、約0.01pl~約0.5pl、約0.01pl~約0.01pl、または約0.05pl~約1plの大きさの試薬の液滴を堆積させる。いくつかの例では、液滴の大きさは、約1pl、0.5pl、0.2pl、0.1pl、または0.05plより小さい。装置によって分配される液滴の大きさは、堆積ノズルの直径に相関し、ここで、各ノズルは、基質特徴上に試薬を堆積させることができる。いくつかの例では、ポリヌクレオチドシンセサイザーの堆積装置は、約100~約10,000のノズル;約100~約5,000のノズル;約100~約3,000のノズル;約500~約10,000のノズル;または、約100~約5,000のノズルを含む。いくつかの例では、堆積装置は、1,000;2,000;3,000;4,000;5,000;または、10,000を超えるノズルを含む。いくつかの例では、各材料堆積装置は複数のノズルを含み、ここで、各ノズルは、基質上の特徴に対応するように随意に構成される。各ノズルは、別のノズルとは異なる試薬成分を堆積させる。いくつかの例では、各ノズルは、基質の1以上の特徴をカバーする液滴を堆積させる。いくつかの例では、1以上のノズルは角度がついている。いくつかの例では、多数の堆積装置は、スループットの倍増を達成するために、並んで積み重ねられる。いくつかの例では、増加は、2倍、4倍、8倍、またはそれ以上である。堆積装置の一例は、Samba Printhead(Fujifilm)である。Samba Printheadは、Samba Web Administration Tool(SWAT)と共に使用されてもよい。
【0078】
堆積部位の数は、同じ堆積装置を使用し、かつ特定の角度またはサーベル角だけ回転させることによって、増加させることができる。堆積装置を回転させることによって、各ノズルは、サーベル角に対応する一定の遅延時間で噴射される。非同期に噴射は、ノズル間にクロストークを作成する。したがって、液滴が0度とは異なる特定のサーベル角度で噴射されている場合、ノズルからの液滴の体積は異なり得る。
【0079】
いくつかの構成では、ポリヌクレオチド合成システムの構成は、オープンリール型プロセスで移動するために基質の可撓性を活用する、連続的なポリヌクレオチド合成プロセスを可能にする。この合成プロセスは、基質の位置を回転させるために1つ以上のリールを使用して、ポリヌクレオチド合成の様々な工程を通過する基質を用いた連続生産ライン様式で作動する。典型的な実施形態では、ポリヌクレオチド合成反応は、溶剤槽を介して、ホスホラミダイト堆積のための堆積装置下、酸化剤槽を介して、アセトニトリル水洗液槽を介して、および脱ブロック槽を介して、基質をローリングさせることを含む。随意に、テープはキャッピング槽も通過する。オープンリール型のプロセスは、合成ポリヌクレオチドを含む基質の最終生成物を巻取りリール上で容易に集めて、さらなる処理または保存のために移動させることを可能にする。
【0080】
いくつかの構成では、ポリヌクレオチド合成は、連続的な可撓性のテープがコンベヤーベルトシステムに沿って運搬されるため、連続生産方式で進行する。オープンリール型のプロセスと同様に、連続的なテープ上のポリヌクレオチド合成は、生産ライン様式で作動し、基質は運搬の間にポリヌクレオチド合成の様々な工程を通過する。しかし、コンベヤーベルトプロセスでは、オープンリール式のプロセスのように、連続的なテープは、テープのローリングおよびアンローリングなしのポリヌクレオチド合成の工程に立ち戻る。いくつかの構成では、ポリヌクレオチド合成の工程は、ゾーンに分割され、連続的なテープは、各ゾーンを通って1サイクルで1回以上運搬される。例えば、ポリヌクレオチド合成反応は、(1)1サイクルで、溶媒槽を介して、ホスホラミダイト堆積のための堆積装置の下、酸化剤槽を介して、アセトニトリル水洗液槽を介して、およびブロック槽を介して基質を運搬すること;および、その後、(2)予め決められた長さの合成ポリヌクレオチドを達成するためにサイクルを繰り返すことを含む。ポリヌクレオチド合成後、可撓性の基質はコンベヤーベルトシステムから取り除かれ、保存のために随意にローリングされる。ローリングは、保存のためにリールの周りで行われてもよい。
【0081】
典型的な構成では、熱可塑性プラスチック材料を含む可撓性の基質は、ヌクレオシドカップリング試薬でコーティングされる。コーティングは、各特徴が約10μmの直径、約21μmの2つの隣接した特徴の間の中心間距離を有するように、特徴にパターン化される。この例では、上記特徴の大きさは、ポリヌクレオチド合成の堆積工程の間に、0.2plの固着の液滴体積を収容するのに十分である。いくつかの例では、特徴の密度は、1m当たり約22億の特徴である(1つの特徴/441x10-12)。いくつかの例では、4.5mの基質は約100億の特徴を含み、各々は10μmの直径を有する。
【0082】
他の構成では、ナノ構造を含む基質は、ヌクレオシドカップリング試薬でコーティングされる。コーティングは、各特徴が約10nm~約200nmの直径、約10nm~約200nmの2つの隣接した特徴間の中心間距離を有するように、特徴にパターン化される。この例では、複数の特徴は、ポリヌクレオチド合成の堆積工程の間に、0.2plの固着の液滴体積を収容する。いくつかの例では、約50nmの特徴の直径、および約100nmの2つの隣接した特徴間の中心間距離は、1m当たり約100億の特徴の特徴密度(1つの特徴/100x10-12)を結果としてもたらす。
【0083】
本明細書に記載される堆積装置は、約2,048のノズルを含むことができ、各々が1液滴当たり1核酸塩基で、毎秒100,000の液滴を堆積させる。各堆積装置について、1日当たり少なくとも約1.75×1013の核酸塩基が基質上に堆積される。いくつかの例では、100~500の核酸塩基ポリヌクレオチドが合成される。いくつかの例では、200の核酸塩基ポリヌクレオチドが合成される。随意に、3日にわたって、1日当たり1.75×1013の塩基の割合で、少なくとも約262.5×10のポリヌクレオチドが合成される。
【0084】
いくつかの構成では、合成反応中に1以上の試薬を基質に適用するための装置は、ヌクレオシドホスホラミダイトベースの合成のための試薬および/またはヌクレオチド単量体を堆積させるように構成される。ポリヌクレオチド合成のための試薬は、ポリヌクレオチド伸長のための試薬、また洗浄バッファーを含む。非限定的な例として、装置は、洗浄試薬、カップリング試薬、キャッピング試薬、酸化剤、脱ブロック剤、アセトニトリル、相変化溶媒、窒素ガスなどのガス、およびそれらの任意の組み合わせを堆積させる。加えて、上記装置は、基質の完全性を準備および/または維持するために試薬を随意に堆積させる。いくつかの例では、ポリヌクレオチドシンセサイザーは、約1000、500、100、50、または20plより小さい体積で、約200μm、100μm、または50μmより小さい直径を有する液滴を体積させる。いくつかの例では、ポリヌクレオチドシンセサイザーは、毎秒約1~10000、1~5000、100~5000、または1000~5000の液滴を堆積させる。
【0085】
いくつかの構成では、ポリヌクレオチド合成中に、基質はフローセル内に配置され、および/またはフローセル内に密封される。フローセルは、液体、例えば、基質内での反応に必要な試薬(例えば、酸化剤および/または溶媒)を含むものなどの連続的または非連続的な流れを提供する。フローセルは、典型的に揮発性の基質の増強した蒸発によって基質を乾燥させるために、窒素などのガスの連続的または非連続的な流れを提供することができる。様々な補助デバイスが、乾燥を改善し、基質の表面上の残留湿気を減少させるのに有用である。そのような補助乾燥デバイスの例としては、限定されないが、真空源、減圧ポンプ、および真空タンクが挙げられる。いくつかの例では、ポリヌクレオチド合成システムは、1以上のフローセル、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または20の1以上のフローセル、および1以上の基質、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または20の基質を含む。いくつかの例では、フローセルは、合成反応の1以上の工程中に、試薬を保持し、基質に提供するように構成される。いくつかの例では、フローセルは、基質の上部にわたってスライドする蓋を含み、および所定の位置に留められて、基質のエッジ周りに耐圧密封を形成することができる。適切な密封は、限定されないが、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10気圧を可能にする密閉を含む。いくつかの例では、フローセルの蓋を開けて、ポリヌクレオチドシンセサイザーなどの適用デバイスへのアクセスを可能にする。いくつかの例では、ポリヌクレオチド合成方法の1以上の工程は、基質の輸送なしにフローセル内の基質上で行なわれる。
【0086】
いくつかの構成では、流体で基質を処理するためのデバイスは、スプレーバーを含む。ヌクレオチド単量体は基質表面上に適用され、その後、スプレーバーは、スプレーバーのスプレーノズルを使用して、1以上の処理試薬で基質表面に噴霧する。いくつかの構成では、スプレーノズルは、ポリヌクレオチド合成中に、異なる処理工程と相関するように連続して命じられる。様々なプロセス工程で使用される化学物質は、合成方法におけるまたは合成方法の工程間における変化に容易に適応するために、スプレーバーで変更され得る。いくつかの例では、スプレーバーは、基質がスプレーバーを通り過ぎる時に、所与の化学物質を連続的に基質の表面上に噴霧する。いくつかの例では、スプレーバーは、芝生のスプリンクラーに使用されるスプレーバーのように、基質の広い範囲にわたって堆積させる。いくつかの例では、スプレーバーのノズルは、基質の所与の領域に処理材料の均一なコーティングを提供するように配置される。
【0087】
いくつかの例では、ポリヌクレオチド合成システムは、合成ポリヌクレオチドの下流処理に有用な1つ以上の要素を含む。一例として、上記システムは、熱サイクルデバイスなどの温度制御要素を含む。いくつかの例では、温度制御要素は、PCAなどの核酸アセンブリおよび/またはPCRなどの核酸増幅を実施するために、複数の分解された反応装置と共に使用される。
【0088】
<温度制御可能な装置を用いたポリヌクレオチドのデノボ合成>
温度特異的な様式で、ポリヌクレオチド合成中に試薬のアクセスを調節するための相変化用途のための方法が本明細書で提供される(表1を参照)。本明細書に記載される溶媒の典型的な融解温度は、約10°C~約30°C、約10°C~約18°C、約-30°C~約40°C、あるいは約5°C~約40°Cを含む。ある態様では、相変化溶媒は約15~16°Cの融解温度を有する。ある態様では、相変化溶媒は約10~25°Cの融解温度を有する。ある態様では、相変化溶媒は約15~25°Cの融解温度を有する。ある態様では、相変化溶媒は約15~18°Cの融解温度を有する。いくつかの例では、相変化溶媒は、少なくとも-20°C、あるいは少なくとも-15、-10、-5、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、または40°Cを超える融解温度を有する。いくつかの例では、相変化溶媒は、-20°C以下、あるいは-15、-10、-5、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、あるいは40以下の融解温度を含む。いくつかの例では、相変化溶媒は、約5~約10の炭素原子を含む溶媒を含んでいる。いくつかの例では、相変化溶媒は極性溶媒である。いくつかの例では、相変化溶媒はイオン液体である。いくつかの例では、相変化溶媒は超臨界流体である。いくつかの例では、相変化溶媒は、1つ以上の添加物、例えば、溶解性に影響を及ぼす塩類、他の固体、液体、あるいは溶存ガスを含む。本明細書に記載される相変化溶媒の典型的な密度は、約0.5g/mL~約1.5g/mL、約0.6g/mL~約1.4g/mL、あるいは約0.7g/mL~約1.3g/mLを含んでいる。いくつかの例では、相変化溶媒は、82°C以下の沸点を有する溶媒である。いくつかの例では、相変化溶媒は、アセトニトリルあるいはアセトニトリル混合物である。
【0089】
いくつかの例では、相変化溶媒はトリメチルアセトニトリル(TMACN)である。他の例示的な相変化溶媒としては、限定されないが、トリメチルアセトニトリル(TMACN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、p-キシレン、シクロヘキシルシアニド、2,5-ジメチル-2,4-ヘキサジエン、シクロオクタン、o-トルニトリル、アセトフェノン、シクロノナン、p-メチルベンジルシアニド、プロピオフェノン、m-ニトロトルエン、o-ジメトキシベンゼン、m-クロロベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、シクロデカン、ジメチルスクシネート、ブチロフェノン、4-エトキシベンズアルデヒド、m-トリルアセタート、フェニル プロピオネート、あるいはそれらの混合物が挙げられる。
【0090】
【表1】
【0091】
いくつかの例では、本明細書で使用されるポリヌクレオチド合成方法は、1、2、3、またはそれ以上の連続するカップリング工程を含む。カップリングに先立って、多くの場合、基質に結合したヌクレオシドは、重合を防ぐように機能する保護基の除去によって脱保護される。一般的な保護基は、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)である。いくつかの例では、カップリング工程は、保護基を除去することなく2回以上繰り返される。
【0092】
カップリング後、ホスホラミダイトポリヌクレオチド合成方法は、キャッピング工程を随意に含む。キャッピング工程では、成長しているポリヌクレオチドがキャッピング剤で処置される。キャッピング工程は通常、カップリング後の未反応の基質に結合した5’-OH基がさらに鎖伸長するのを妨げるように機能し、内部塩基欠失を伴うポリヌクレオチドの形成を防ぐ。さらに、1Hテトラゾールで活性化されたホスホラミダイトは、わずかな程度で、グアノシンのO6位置としばしば反応する。理論に縛られることなく、I/水で酸化すると、この副産物は、おそらくO6-N7の移動を介して、脱プリンを受ける。脱プリン部位は、結局、ポリヌクレオチドの最終的な脱保護の過程で切断され、したがって、完全長の産物の収率を低下させることがある。O6修飾は、I/水での酸化前に、キャッピング試薬での処置によって除去され得る。いくつかの例では、ポリヌクレオチド合成中にキャッピング工程を含めることにより、キャッピングなしの合成と比較して、エラー率が低下する。一例として、キャッピング工程は、無水酢酸と1-メチルイミダゾールとの混合物で、基質に結合したポリヌクレオチドを処置することを含む。キャッピング工程に続いて、基質は随意に洗浄される。
【0093】
ヌクレオシドホスホラミダイの添加に続いて、および随意にキャッピング工程と1以上の洗浄の工程の後、基質結合成長核酸は酸化され得る。酸化工程は、ホスファイトトリエステルを、平面四配位型リン酸塩トリエステル、自然発生のリン酸塩ジエステルヌクレオシド間結合の保護された前駆体に酸化させることを含む。いくつかの例では、成長しているポリヌクレオチドの酸化は、随意に、ピリジン、ルチジン、またはコリジンなどの弱塩基の存在下において、ヨウ素および水での処理によって達成される。酸化は時々、tert-ブチルヒドロペルオキシドまたは(1S)-(+)-(10-カンファースルホニル)-オキサジリジン(CSO)を使用して、無水条件下で実行される。いくつかの方法では、キャッピング工程は、酸化に続いて実行される。持続可能な酸化からの残留水が、その後のカップリングを阻害する可能性があるため、第2のキャッピング工程は基質乾燥を可能にする。酸化後に、基質と成長しているポリヌクレオチドは、随意に洗浄される。いくつかの例では、酸化の工程は、ポリヌクレオチドホスホロチオエートを得るための硫化工程に置き換えられ、任意のキャッピング工程は硫化後に実行され得る。多くの試薬が効率的に硫黄を輸送することができ、限定されないが、3-(ジメチルアミノメチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-3-チオン、DDTT、3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン1、1-ジオキシド(Beaucage試薬としても知られる)、およびN、N、N’N’-二硫化テトラエチルチウラム(TETD)を含む。
【0094】
ヌクレオシド取り込みの後のサイクルがカップリングを介して生じるには、基質に結合した成長しているポリヌクレオチドの保護された5’末端は、一次ヒドロキシル基が次のヌクレオシドホスホラミダイトと反応することができるように除去されなければならない。いくつかの例では、保護基はDMTであり、ジクロロメタン中でのトリクロロ酢酸で脱ブロック化が生じる。長時間にわたり、または推奨された酸の溶液よりも強力な脱トリチル化を行うことは、固体支持体に結合したポリヌクレオチドの脱プリン化の増大につながり、ゆえに、所望の完全長の産物の収率を低下させることがある。本明細書に記載される方法および組成物は、望ましくない脱プリン反応を制限する、制御された脱ブロック条件を提供する。いくつかの例では、基質に結合したポリヌクレオチドは、脱ブロック化後に洗浄される。いくつかの例では、脱ブロック化後の効率的な洗浄は、低いエラー率を有する合成されたポリヌクレオチドに寄与する。
【0095】
本明細書に記載される基質上でポリヌクレオチドを合成するための方法は、典型的に下記の工程の一連の繰り返しを含む:保護される単量体を、表面、リンカー、または予め脱保護した単量体のいずれかで結合するために、基質の特徴の表面に適用すること;上記適用された単量体を脱保護することであって、その後適用された保護される単量体と反応することができるようにすること;および結合のために別の保護された単量体を適用すること。1つ以上の中間工程は、酸化および/または硫化を含む。いくつかの例では、1つ以上の洗浄工程は、工程の1つまたはすべてに先行するかまたはそれらに続く。いくつかの例では、最後の洗浄工程は、適切な相変化溶媒の添加を含む。いくつかの例では、カップリング工程が相変化溶媒の除去なしで生じる。いくつかの例では、反応溶媒は相変化溶媒である。
【0096】
本明細書に記載される方法のいくつかの態様では、反応溶媒の相は、装置の表面上の特定部位をブロックあるいは非ブロックするために使用される。一実施例では、部位での反応溶媒の相は、1つ以上のアドレス可能な加熱要素によって制御され、および、ポリヌクレオチドの合成のための方法は、下記工程の1つ以上の一連の繰り返しを含む:その後、適用された、保護された単量体と反応することができるように、表面上の適用された単量体または反応基を脱保護すること;装置表面を随意に冷却すること;表面上のすべての加熱要素を活性化すること;相変化溶剤を添加し、ブロックされる装置部位でのすべての加熱要素の非活性化し、および、保護した単量体を、表面、リンカー、あるいは予め脱保護された単量体のいずれかで結合するために、基質特徴の表面に適用すること。1つ以上の中間工程は、すべての加熱要素の活性化、その後の酸化および/または硫化を含む。いくつかの例では、1つ以上の洗浄工程は、工程の1つまたはすべてに先行するか、あるいはそれらに続く。いくつかの例では、すべての加熱要素の活性化は、1つ以上の洗浄工程に先行するか、あるいはそれらに続く。いくつかの例では、加熱要素はブロックされる部位で活性化される。
【0097】
本明細書にさらに記載されるのは、ポリヌクレオチド合成のための1つ以上の表面領域での1つ以上の加熱要素の非活性化により、これらの領域における溶媒を凍らせて固体を形成する方法である。いくつかの例では、固体溶媒は、合成表面領域が、脱トリチル化試薬などのさらなる試薬と接触するのを防ぎ、脱保護を防ぐ。いくつかの例では、加熱要素の活性化あるいは冷却要素の非活性化は、固体を溶解させ、試薬が合成表面と接触することを可能にする。
【0098】
本明細書にさらに記載されるのは、ポリヌクレオチド合成のための1つ以上の表面領域での1つ以上の加熱要素の活動化により、これらの領域における溶媒を沸騰させてガス状気泡を形成する方法である。いくつかの例では、ガス状の気泡溶媒は、合成表面領域が、脱トリチル化試薬などのさらなる試薬と接触するのを防ぎ、脱保護を防ぐ。いくつかの例では、冷却要素の活性化あるいは加熱要素の非活性化は、上記気泡を崩壊させ、試薬が合成表面と接触することを可能にする。
【0099】
いくつかの例では、ポリヌクレオチドは感光性保護基で合成され、ここで、表面上で生成されるヒドロキシル基は感光性保護基によってブロックされる。表面がフォトリソグラフィーマスクなどを介して紫外線に暴露される場合、表面上で遊離ヒドロキシル基のパターンが生成され得る。これらのヒドロキシル基は、ホスホラミダイト化学物質に従って、光保護されたヌクレオシドホスホラミダイトと反応することができる。第2のフォトリソグラフィーマスクを適用することができ、および、表面を紫外線に暴露して、ヒドロキシル基の第2のパターンを生成し、その後、5’-光保護ヌクレオシドホスホラミダイトでカップリングすることができる。同様に、パターンが生成され得、オリゴマー鎖は伸長され得る。理論に縛られることなく、光開裂性基の不安定性は、使用される溶媒の波長および極性に依拠し、ならびに、光開裂性の割合は、暴露時間および光度によって影響を受け得る。この方法は、マスクのアライメントの精度、光保護基の除去の効率、およびホスホラミダイトカップリング工程の収率など、多くの要因を活用することができる。さらに、近隣の部位への意図しない光漏れを最小限にすることができる。1スポット当たりの合成オリゴマーの密度は、合成の表面上のリーダーヌクレオシドの負荷を調節することによってモニタリングされ得る。
【0100】
ポリヌクレオチド合成のための支持を提供する基質の表面は、合成ポリヌクレオチド鎖が表面から切断されるのを可能にするために、化学的に修飾されてもよい。いくつかの例では、ポリヌクレオチドが脱保護されるのと同時に、オリゴヌクレオチド鎖が切断される。いくつかの例では、ポリヌクレオチドが脱保護された後、オリゴヌクレオチド鎖が切断される。例示的なスキームにおいて、(CHCHO)Si-(CH-NHなどのトリアルコキシシリルアミンは、基質の表面SiOH基と反応させられ、その後、アミンを有する無水コハク酸と反応させられて、アミド結合と核酸鎖増殖が支持される遊離OHとを生成する。切断は、アンモニアまたはメチルアミンでのガス切断を含む。いくつかの例では、一旦表面から放出されると、ポリヌクレオチドは、より大きな核酸へと構築され、これが、配列決定およびデコードされて、保存された情報が抽出される。
【0101】
短い時間で、基質上に高密度のポリヌクレオチドを合成するためのシステムおよび方法が本明細書で提供される。いくつかの例では、基質は可撓性の基質である。いくつかの例では、少なくとも約1010、1011、1012、1013、1014、または1015の塩基が1日で合成される。いくつかの例では、少なくとも約10×10、10×10、10×1010、10×1011、または10×1012のポリヌクレオチドが1日で合成される。いくつかの例では、合成された各ポリヌクレオチドは、少なくとも約20、50、100、200、300、400、または500の核酸塩基を含む。いくつかの例では、これらの塩基は、100塩基に1つ;200塩基に1つ;300塩基に1つ;400塩基に1つ;500塩基に1つ;1,000塩基に1つ;2,000塩基に1つ;5,000塩基に1つ;10,000塩基に1つ;15,000塩基に1つ;20000塩基に1つ未満の合計平均エラー率で合成される。いくつかの例では、これらのエラー率は、合成されたポリヌクレオチドの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上である。いくつかの例では、これらの合成されたポリヌクレオチドの少なくとも90%、95%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上は、それらがコードする予め決められた配列と異ならない。いくつかの例では、本明細書に記載される方法およびシステムを使用した基質上の合成ポリヌクレオチドのエラー率は、約200分の1未満である。いくつかの例では、本明細書に記載される方法およびシステムを使用した基質上の合成ポリヌクレオチドのエラー率は、約1,000分の1未満である。いくつかの例では、本明細書に記載される方法およびシステムを使用した基質上の合成ポリヌクレオチドのエラー率は、約2,000分の1未満である。いくつかの例では、本明細書に記載される方法およびシステムを使用した基質上の合成ポリヌクレオチドのエラー率は、約3,000分の1未満である。いくつかの例では、本明細書に記載される方法およびシステムを使用した基質上の合成ポリヌクレオチドのエラー率は、約5000分の1未満である。エラー率の個々の種類は、基質上で合成されたポリヌクレオチドのミスマッチ、欠失、挿入、および/または置換を含む。用語「エラー率」とは、合成オリゴヌクレオチドの総量と、予め決められたポリヌクレオチド配列の集合体との比較を指す。いくつかの例では、本明細書に開示される合成ポリヌクレオチドは、12~25の塩基のテザーを含む。いくつかの例では、テザーは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、43、44、45、46、47、48、49、50、またはそれ以上の塩基を含む。
【0102】
本開示の基質上のポリヌクレオチド合成のための適切な方法は、ホスホラミダイトビルディングブロックと基質に結合されるヌクレオシドとの間のホスファイトトリエステル結合を形成するカップリング工程における、成長しているポリヌクレオチド鎖へのホスホラミダイトビルディングブロック(つまり、ヌクレオシドホスホラミダイト)の制御された添加を含む、ホスホラミダイト方法である。いくつかの例では、ヌクレオシドホスホラミダイトは活性化された基質に提供される。いくつかの例では、ヌクレオシドホスホラミダイトはアクチベーターを有する基質に提供される。いくつかの例では、ヌクレオシドホスホラミダイトは、基質結合ヌクレオシドよりも、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100倍の過剰量、またはそれより多い過剰量で基質に提供される。いくつかの例では、ヌクレオシドホスホラミダイトの添加は、無水環境において、例えば、無水アセトニトリルにおいて実行される。カップリング工程でヌクレオシドホスホラミダイトの添加および結合に続いて、基質は随意に洗浄される。いくつかの例では、カップリング工程は、随意に、基質へのヌクレオシドホスホラミダイトの追加の間の洗浄工程を伴って、さらに1回以上繰り返される。
【0103】
核酸アセンブリ
【0104】
ポリヌクレオチドは、情報をコードする予め決められた配列の大きな領域に集合的に及ぶように設計され得る。いくつかの例では、より大きいポリヌクレオチドが連結反応によって生成されて、合成ポリヌクレオチドを連結する。連結反応の一実施例は、ポリメラーゼ鎖アセンブリ(PCA)である。いくつかの例では、ポリヌクレオチドの少なくとも一部は、ユニバーサルプライマー結合のための基質である追加領域を含むように設計される。PCA反応について、あらかじめ合成されたポリヌクレオチドは、互いの重複を含む(例えば、重複配列を有する4、20、40、またはそれ以上の塩基)。ポリメラーサイクル中に、ポリヌクレオチドは相補的な断片アニーリングし、次に、ポリメラーゼによって充填される。したがって、各サイクルは、どのポリヌクレオチドが互いを見つけるかに無作為に依存して、様々な断片の長さを増加させる。断片間の相補性により、二本鎖DNAの完全な大スパンを形成することができる。いくつかの例では、PCA反応が完了した後、ミスマッチ修復検出酵素を使用して誤り訂正工程が行なわれ、配列中のミスマッチを取り除く。一旦標的配列のより大きい断片が生成されると、それらは増幅され得る。例えば、いくつかの例では、5’および3’末端アダプター配列を含む標的配列は、アダプター配列をハイブリダイズする修飾されたプライマーを含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において増幅される。いくつかの例では、修飾されたプライマーは1以上のウラシル塩基を含む。修飾されたプライマーの使用は、修飾塩基および/または断片からの修飾塩基対を切断する酵素によって残されたギャップを標的とすることに集中する酵素反応を介して、プライマーの除去を可能にする。残っているものは、アダプター配列の残りを欠く二本鎖の増幅産物である。このように、多数の増幅産物は、二本鎖DNAの異なる断片を生成するために、同じセットのプライマーと平行して生成され得る。
【0105】
誤り訂正は、合成されたポリヌクレオチドおよび/または構築された産物上で行われる場合がある。誤り訂正のための例示的戦略は、重複伸長PCRによる部位特異的変異導入して誤差を修正することを含み、それは、2以上のラウンドのクローニングおよび配列決定と随意に組み合わせられる。ある例では、ミスマッチ、バルジおよび小さなループ、化学的に変更された塩基、および/または他のヘテロ二本鎖を有する二本鎖核酸は、正確に合成された核酸の集団から選択的に除去される。いくつかの例では、誤り訂正は、一本鎖あるいは二本鎖の切断を作成するか、または鎖転移転位事象を始めるために、二本鎖核酸内のミスマッチの塩基または不対塩基を認識し、かつそれらに結合するか、あるいはそれらの隣に結合する、タンパク質/酵素を使用して行なわれる。誤り訂正のためのタンパク質/酵素の非限定的な例は、エンドヌクレアーゼ(T7エンドヌクレアーゼ I、大腸菌エンドヌクレアーゼV、T4エンドヌクレアーゼVII、マングビーンヌクレアーゼ、細胞、大腸菌エンドヌクレアーゼIV、UVDE)、制限酵素、グリコシラーゼ、リボヌクレアーゼ、ミスマッチ修復酵素、リゾルバーゼ、ヘリカーゼ、リガーゼ、ミスマッチに特異的な抗体、およびそれらの変異体を含む。特定の誤り訂正酵素の例は、T4エンドヌクレアーゼ7、T7エンドヌクレアーゼ1、S1、マングビーンエンドヌクレアーゼ、MutY、MutS、MutH、MutL、クリベース、CELI、およびHINF1を含む。いくつかの例では、DNAミスマッチ結合タンパク質MutS(テルムス・アクウァーティクス)は、合成した生成物の集団から失敗生成物(failure products)を除去するために使用される。いくつかの例では、誤り訂正は、酵素Correctaseを使用して行なわれる。いくつかの例では、誤り訂正は、SURVEYORエンドヌクレアーゼ(Transgenomic)、既知の突然変異および知られていない突然変異を走査するミスマッチ特異的DNAエンドヌクレアーゼ、およびヘテロニ本鎖DNAの多型を使用して行なわれる。
【0106】
コンピュータシステム
【0107】
様々な態様において、本明細書に記載されるシステムのいずれも、コンピュータに動作可能に連結され、ローカルまたはリモートのいずれかのコンピュータを介して随意に自動化される。様々な例では、本発明の方法およびシステムは、コンピュータシステム上のソフトウェアプログラム、ならびにその使用をさらに含む。従って、材料堆積装置の動作、分配行為、及び減圧の作動を編成及び同期するなど、分配/減圧/再充填の機能を同期するためのコンピュータ制御は、本発明の範囲内にある。いくつかの例では、コンピュータシステムは、ユーザーに指定された塩基配列と材料堆積装置の位置との間で相互作用するようにプログラムされ、基質の指定された領域に正確な試薬を送達する。
【0108】
図9に示されるコンピュータシステム(900)は、サーバー(909)に随意に接続され得る媒体(911)及び/又はネットワークポート(905)から命令を読み出すことが可能な、論理的な装置として理解され得る。図9に示されるようなシステムは、CPU(901)、ディスクドライブ(903)、キーボード(915)および/またはマウス(916)などの随意の入力装置、ならびに随意のモニター(907)を含み得る。データ通信は、示された通信媒体を介して局所位置または遠隔位置のサーバーに到達され得る。通信媒体は、データを送信および/または受信する任意の手段を含み得る。例えば、通信媒体は、ネットワーク接続、無線接続、またはインターネット接続であり得る。そのような接続は、ワールド・ワイド・ウェブ上での通信を提供することができる。本開示に関連するデータは、当事者(922)による受信および/またはレビューのために、そのようなネットワークあるいは接続部を介して送信され得ることが想定される。
【0109】
図10は、本発明の例と関連して使用可能なコンピュータシステム(1000)の第1の例のアーキテクチャを例証するブロック図である。図10に表されるように、例示的コンピュータシステムは、命令を処理するためのプロセッサ(1002)を含み得る。プロセッサの非限定的な例は、以下を含む:Intel Xeon(商標)プロセッサ、AMD Opteron(商標)プロセッサ、Samsung 32-bit RISC ARM 1176JZ(F)-S v1.0(商標)プロセッサ、ARM Cortex-A8 Samsung S5PC100(商標)プロセッサ、ARM Cortex-A8 Apple A4(商標)プロセッサ、Marvell PXA 930(商標)プロセッサ、あるいは機能的に同等なプロセッサ。実行の複数のスレッドが並列処理に使用可能である。いくつかの例において、複数のプロセッサ、または複数のコアを持つプロセッサはまた、単一のコンピュータシステム中であろうと、クラスタの中であろうと使用可能であり、あるいは、複数のコンピュータ、携帯電話、および/または個人用携帯情報端末装置を含むネットワーク上のシステムにわたって分布可能である。
【0110】
図10に示されるように、高速キャッシュ(1004)は、プロセッサ(1002)に接続されるか、あるいはその中に組み込まれ、プロセッサ(1002)により近年使用されてきた、または頻繁に使用されている命令あるいはデータのための高速メモリを提供することができる。プロセッサ(1002)は、プロセッサバス(1008)によりノースブリッジ(1006)に接続される。ノースブリッジ(1006)は、メモリバス(1012)によりランダムアクセスメモリ(RAM)(1010)に接続され、プロセッサ(1002)によりRAM(1010)へのアクセスを管理する。ノースブリッジ(1006)はまた、チップセットバス(1016)により、サウスブリッジ(1014)に接続される。サウスブリッジ(1014)は、周辺バス(1018)に接続される。周辺バスは、例えば、PCI、PCI-X、PCI Express、または他の周辺バスであり得る。ノースブリッジ及びサウスブリッジはしばしば、プロセッサチップセットと呼ばれ、周辺バス(1018)上でプロセッサと、RAMと、周辺コンポーネントとの間のデータ転送を管理する。いくつかの代替的なアーキテクチャにおいて、ノースブリッジの機能性は、別個のノースブリッジチップを使用する代わりにプロセッサに組み込まれ得る。
【0111】
いくつかの例においては、システム(1000)は、周辺バス(1018)に取り付けられるアクセラレータカード(1022)を含み得る。アクセラレータは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定の処理を促進するための他のハードウェアを含み得る。例えば、アクセラレータは、適応データの再構成のために、または拡張された設定処理に使用される代数式を評価するために使用され得る。
【0112】
ソフトウェアならびにデータは、外部ストレージ(1024)に記憶され、プロセッサにより使用されるRAM(1010)および/またはキャッシュ(1004)へとロードされ得る。システム(1000)は、システムリソースの管理のためのオペレーティングシステムを含み;オペレーティングシステムの非限定的な例は、Linux(登録商標)、Windows(商標)、MACOS(商標)、BlackBerry OS(商標)、iOS(商標)、及び他の機能的に同等なOS、ならびに、本発明の典型的な例に従ってデータ記憶を管理し、最適化するためのオペレーティングシステム上で実行するアプリケーションソフトウェアを含む。
【0113】
この例において、システム(1000)はまた、ネットワーク接続ストレージ(NAS)などの外部ストレージ、及び分散並列処理に使用され得る他のコンピュータシステムにネットワークインターフェースを提供するために、周辺バスに接続されるネットワークインターフェースカード(NIC)(1020)及び(1021)を含む。
【0114】
図11は、複数のコンピュータシステム(1102a)および(1102b)、複数の携帯電話および個人用携帯情報端末(1102c)、ならびに、ネットワーク接続ストレージ(NAS)(1104a)および(1104b)を含む、ネットワーク(1100)を示す略図である。例において、システム(1102a)、(1102b)、および(1102c)は、データ記憶を管理し、ネットワーク接続ストレージ(NAS)(1104a)および(1104b)に記憶されたデータに対するデータアクセスを最適化することができる。数学モデルをこのデータに使用し、コンピュータシステム(1102a)及び(1102b)、並びに携帯電話及び個人用携帯情報端末システム(1102c)にわたって分散並列処理を使用して評価することができる。コンピュータシステム(1102a)及び(1102b)、ならびに携帯電話及び個人用携帯情報端末システム(1102c)はまた、ネットワーク接続ストレージ(NAS)(1104a)及び(1104b)に記憶されたデータの適応データ再構築のために、並列処理を提供することができる。図11は一例を示しているにすぎず、様々な他のコンピュータのアーキテクチャ及びシステムが、本発明の様々な例と共に使用され得る。例えば、ブレードサーバーは並列処理を提供するために使用され得る。プロセッサブレードは、並列処理を提供するためにバックプレーンを介して接続可能である。ストレージも、バックプレーンに接続され得るか、または別のネットワークインターフェースを介してネットワーク接続ストレージ(NAS)として接続され得る。
【0115】
いくつかの例において、プロセッサは、別個のメモリ空間を維持し、ネットワークインターフェース、バックプレーン、または他のプロセッサによる並列処理のための他のコネクターを介してデータを伝達することができる。他の例において、プロセッサのいくつかまたは全てが、共有仮想アドレスメモリ空間を使用することができる。
【0116】
図12は、例示的な実施形態による共有の仮想アドレスメモリ空間を使用した、マルチプロセッサーコンピュータシステム(1200)のブロック図である。上記システムは、共有メモリサブシステム(1204)にアクセス可能な複数のプロセッサ(502a)-(502f)を含む。上記システムは、メモリサブシステム(1204)に、複数のプログラマブルハードウェアのメモリアルゴリズムプロセッサ(MAP)(506a)-(506f)を組み込む。各MAP(1206a)-(1206f)は、メモリ(1208a)-(1208f)及び1以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)(1210a-f)を含み得る。MAPは設定可能な機能ユニットを提供し、特定のアルゴリズム又はアルゴリズムの一部は、各プロセッサと密接に協働して処理を行うためにFPGA(1210a)-(1210f)に提供され得る。例えば、MAPは、データモデルに関する代数式を評価し、かつ例における適応性のあるデータの再構築を行なうために使用され得る。この例において、各MAPは、このような目的のためのプロセッサの全てによって世界中からアクセス可能である。ある構成において、各MAPは、関連するメモリ(1208a)-(1208f)にアクセスするためのダイレクトメモリアクセス(DMA)を使用することができ、これにより、各マイクロプロセッサ(1202a)-(1202f)から独立して、およびこれらから非同期的にタスクを実行することが可能となる。この構成において、MAPは、アルゴリズムのパイプライン処理(pipelining)および並列実行のために、別のMAPに直接結果を供給することができる。
【0117】
上記のコンピュータのアーキテクチャおよびシステムは例にすぎず、様々な他のコンピュータ、携帯電話、および個人用携帯情報端末のアーキテクチャならびにシステムが、一般的なプロセッサ、コプロセッサ、FPGAおよび他のプログラム可能論理回路、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、および他の処理要素と論理素子の任意の組み合わせを使用するシステムを含む例と関連して使用可能である。いくつかの例において、コンピュータシステムの全てまたは一部は、ソフトウェアまたはハードウェアに実装され得る。ランダムアクセスメモリ、ハードドライブ、フラッシュメモリ、テープドライブ、ディスクアレイ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、および他のローカルまたは分散データ記憶装置およびシステムを含む様々なデータ記憶媒体が、例と関連して使用され得る。
【0118】
以下の例は、当業者に対して本明細書に開示される例の原理および実践をより明白に示すために説明され、任意の請求された例の範囲を制限するものとして解釈されるものではない。他に明示されない限り、全ての部分およびパーセンテージは重量基準である。
【実施例
【0119】
実施例1:相変化溶媒を利用する温度制御可能な表面上での50量体の配列ポリヌクレオチドの合成
ポリヌクレオチド合成装置(101)(図1を参照)は、温度制御可能なフローセル(図3Aおよび図3B)へと組み立てられ、それは、図7で示されるフローセル(Applied Biosystems(ABI394 DNA Synthesizer)に接続される。SiOでコーティングされたウェル(305)(図3Aおよび図3B)の底面は、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシブチルアミド(Gelest, CAS No.156214-80-1)を用いて均一に機能化され、本明細書に記載されるポリヌクレオチド合成方法を用いて、50bp(「50量体のポリヌクレオチド」)の例示的なポリヌクレオチドを合成するために使用される。50量体の配列は、SEQ ID NO:1に記載されている通りであり:5’AGACAATCAACCATTTGGGGTGGACAGCCTTGACCTCTAGACTTCGGCAT##TTTTTTTTTT3’(SEQ ID NO:1)、ここで、#は、チミジン-スクシニルヘキサミドCEDホスホラミダイト(ChemGenesのCLP-2244)を表し、これは、脱保護中に表面からのポリゴヌクレオチドの放出を可能にする切断可能なリンカーである。
【0120】
表2のプロトコル及びABIシンセサイザーに従って、標準DNA合成化学(カップリング、キャッピング、酸化、及び脱ブロック化)を使用して、修飾を伴う合成を行う。各細胞の化学的なカップリング反応は、温度制御可能な表面を介して制御される(図8を参照)。装置の温度は、低温チャックを有する相変化溶媒の凝固温度より約5°C下に低下する。カップリング工程中、相変化溶媒は、カップリング試薬の添加直前に加えられ、相変化溶媒が凍結する。個々のウェル中の溶媒を溶かすアドレス可能な加熱要素を介して加熱することによりカップリングするために、ウェルが活性化される。凍った溶媒を有する、残っているウェルは、液体のカップリング試薬と反応せず、不活性である。カップリング工程は繰り返され、各工程は異なるDNA塩基(例えば、A、T、G、C)を用い、その間、各カップリング反復で活性ウェルを交換する。すべての所望の部位が機能化された後、すべてのウェルは加熱によって活性化され;その後、全体的カップリング、酸化、および脱ブロックが実施される。所望の長さのポリヌクレオチドが合成されるまで、この全過程は反復される。
【0121】
【表2】
【0122】
装置の温度は、低温チャックを有する相変化溶媒の凝固温度より約5°C下に低下する。カップリング工程中、相変化溶媒は、カップリング試薬の添加直前に加えられ、相変化溶媒が凍結する。個々のウェル中の溶媒を溶かすアドレス可能な加熱要素を介して加熱することによりカップリングするために、ウェルが活性化される。凍った溶媒を有する、残っているウェルは、液体のカップリング試薬と反応せず、カップリング試薬に対して不活性である。カップリング工程は、異なるDNA塩基(例えば、A、T、G、C)を用いて繰り返され、その間、各カップリング反復で活性ウェルを交換する。すべての所望の部位が機能化された後、すべてのウェルは加熱によって活性化され;その後、全体的カップリング、酸化、および脱ブロックが実施される。所望の長さのポリヌクレオチドが合成されるまで、この全過程は反復される。
【0123】
実施例2:溶媒蒸気泡(solvent vapor bubble)を利用する温度制御可能な表面上での50量体の配列ポリヌクレオチドの合成
ポリヌクレオチド合成装置(101)(図1を参照)は、温度制御可能なフローセル(図4A)へと組み立てられ、それは、図7で示されるフローセル(Applied Biosystems(ABI394 DNA Synthesizer)に接続される。ウェル(401)(図4A)の底面は、実施例1の一般的な方法を使用して機能化される。
【0124】
表3のプロトコル及びABIシンセサイザーに従って、標準DNA合成化学(カップリング、キャッピング、酸化、及び脱ブロック化)を使用して、修飾を伴う合成を行う。各細胞の化学的なカップリング反応は、温度制御可能な表面を介して制御される(図8を参照)。
【0125】
【表3】
【0126】
個々のウェル中の溶媒を蒸発させるアドレス可能な加熱要素を介して加熱し、気泡(417)をつくることにより、ウェルは、カップリングに対してブロックされる。伸長または合成のためにポリヌクレオチド表面(407)と接触する液体溶媒を有する、残っているウェルは、液体のカップリング試薬と反応し、活性である。カップリング工程は、異なるDNA塩基(例えば、A、T、G、C)を用いて繰り返され、その間、各カップリング反復で活性ウェルを交換する。不活性のウェルは、それらのウェルで加熱要素を遮断することにより活性化され、蒸気泡を崩壊させる。すべての所望の部位が機能化された後、すべてのウェルは加熱要素を遮断することによって活性化され;その後、全体的カップリング、酸化、および脱ブロックが実施される。所望の長さのポリヌクレオチドが合成されるまで、この全過程は反復される。
【0127】
実施例3:ナノポストを利用する温度制御可能な表面上での50量体の配列ポリヌクレオチドの合成
ポリヌクレオチド合成装置(101)(図1を参照)は、温度制御可能なフローセル(図4B)へと組み立てられ、図7で示されるフローセル(Applied Biosystems(ABI394 DNA Synthesizer)に接続される。ナノポスト(407)(図4B)の上面は、実施例1の一般的な方法を使用して機能化される。
【0128】
表3のプロトコル及びABIシンセサイザーに従って、標準DNA合成化学(カップリング、キャッピング、酸化、及び脱ブロック化)を使用して、修飾を伴う合成を行う。各細胞の化学的なカップリング反応は、実施例2の一般的方法を用いて、温度制御可能な表面経由で制御される(図8を参照)。
【0129】
実施例4:ナノワイヤーを利用する温度制御可能な表面上での50量体の配列ポリヌクレオチドの合成
ポリヌクレオチド合成装置(101)(図1を参照)は、温度制御可能なフローセル(図5)へと組み立てられ、図7で示されるフローセル(Applied Biosystems(ABI394 DNA Synthesizer)に接続される。ナノロッド(502)(図5)の表面は、実施例1の一般的な方法を使用して機能化される。
【0130】
表3のプロトコル及びABIシンセサイザーに従って、標準DNA合成化学(カップリング、キャッピング、酸化、及び脱ブロック化)を使用して、修飾を伴う合成を行う。各細胞の化学的なカップリング反応は、実施例2の一般的な方法を用いて、温度制御可能な表面を介して制御される(図8を参照)。
【0131】
実施例5:ナノロッドを含み、かつ相変化溶媒を利用する表面上での50量体の配列ポリヌクレオチドの合成
ポリヌクレオチド合成装置(101)(図1を参照)は、温度制御可能なフローセル(図6)に組み立てられ、それは、図7で示されるフローセル(Applied Biosystems (ABI394 DNA Synthesizer)に接続される。ナノロッド(603)(図6)の表面は、実施例1の一般的な方法を使用して機能化される。
【0132】
表4のプロトコル及びABIシンセサイザーに従って、標準DNA合成化学(カップリング、キャッピング、酸化、及び脱ブロック化)を使用して、修飾を伴う合成を行う。各細胞の化学的なカップリング反応は、温度制御可能な表面を介して制御される(図8を参照)。カップリング工程中、相変化溶媒は、カップリング試薬の添加の直前に加えられる。1つ以上のナノロッドに接続された、アドレス可能な下部接触部(601)を介して冷却することによりカップリングするために、ウェルは非活性化され、このことにより、ナノロッドのまわりの溶媒の層を凍結する。液体溶媒を有する、残っているナノロッドは、液体のカップリング試薬と反応し、活性である。カップリング工程は、異なるDNA塩基(例えば、A、T、G、C)を用いて繰り返され、その間、各カップリング反復で活性ウェルを交換する。すべての所望の部位が機能化された後、すべてのナノロッドは冷却を中断することによって活性化され;その後、全体的カップリング、酸化、および脱ブロックが実施される。所望の長さのポリヌクレオチドが合成されるまで、この全過程は反復される。
【0133】
【表4】
【0134】
本発明の好ましい実施形態が本明細書で示され、かつ記載されてきたが、こうした実施形態がほんの一例として提供されているに過ぎないということは当業者にとって明白である。多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく、当業者の心に思い浮かぶであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用され得ることを理解されたい。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求項とその均等物の範囲内の方法、および構造体がそれによって包含されるものであるということが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
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