(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】ロック装置
(51)【国際特許分類】
E05C 21/00 20060101AFI20220506BHJP
E05B 83/30 20140101ALI20220506BHJP
E05B 83/32 20140101ALI20220506BHJP
E05C 9/04 20060101ALN20220506BHJP
B60R 7/04 20060101ALN20220506BHJP
B60R 7/06 20060101ALN20220506BHJP
【FI】
E05C21/00 A
E05B83/30 C
E05B83/32
E05C9/04
B60R7/04 C
B60R7/06 G
(21)【出願番号】P 2021014697
(22)【出願日】2021-02-02
(62)【分割の表示】P 2016242089の分割
【原出願日】2016-12-14
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文俊
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-205790(JP,A)
【文献】特開2016-176228(JP,A)
【文献】実開昭61-28873(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 1/00-21/02
B60R 7/00- 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常位置と操作位置との間で変位可能に設けられ、ロック解除操作により通常位置から操作位置へ変位する第1連係部材と、
ロック位置とロック解除位置との間で変位可能に設けられ、係止部をロック位置でロック対象へ係止する一方、係止部をロック解除位置でロック対象から退避する第2連係部材と、
前記第1連係部材または第2連係部材の一方に設けられた係合部と、
前記第1連係部材または前記第2連係部材の他方に設けられ、該第1連係部材の通常位置から操作位置への変位に伴って該第2連係部材がロック位置からロック解除位置へ変位するように前記係合部を案内するガイド部とを備え、
前記ガイド部は、前記第1連係部材が通常位置から操作位置へ向けて所定距離変位した途中位置で前記係合部に当たることで該第1連係部材の操作位置へ向けた変位に抵抗を加えるように隆起した抵抗部を有している
ことを特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記抵抗部の隆起寸法は、円柱形状の前記係合部の半径よりも短い請求項1記載のロック装置。
【請求項3】
前記第2連係部材を前記ロック位置へ向けて付勢する付勢手段を備えている請求項1または2記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両に搭載される装置に用いることができるロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車や四輪車などの車両には、車両搭載装置として、蓋体により出し入れ口を開閉する収納ボックスが設けられることがある。このような収納ボックスは、収納本体の出し入れ口を開閉する蓋体を閉じた状態で保持するロック装置を備え、蓋体に設けたロック装置により蓋体が不用意に開放しないようになっている(例えば特許文献1参照)。ロック装置は、使用者が操作する操作部材と、収納本体に係合するロック部材とを備えている。ロック装置は、操作部材に設けられたガイド部によってロック部材に設けられた軸部を案内して、操作部材のロック解除操作に連係してロック部材がロック解除位置に移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したロック装置は、操作部材を通常位置から操作位置へ向けて操作して、ロック部材によるロックを解除する際に、操作部材のロック解除操作に要する荷重が一定であるので、ロックが解除されたか否かが感覚的に判り難い。
【0005】
すなわち本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、使用者がロック解除操作を行った際に、適度な手応えがあるロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願発明に係るロック装置は、
通常位置と操作位置との間で変位可能に設けられ、ロック解除操作により通常位置から操作位置へ変位する第1連係部材と、
ロック位置とロック解除位置との間で変位可能に設けられ、係止部をロック位置でロック対象へ係止する一方、係止部をロック解除位置でロック対象から退避する第2連係部材と、
前記第1連係部材または第2連係部材の一方に設けられた係合部と、
前記第1連係部材または前記第2連係部材の他方に設けられ、該第1連係部材の通常位置から操作位置への変位に伴って該第2連係部材がロック位置からロック解除位置へ変位するように前記係合部を案内するガイド部とを備え、
前記ガイド部は、前記第1連係部材が通常位置から操作位置へ向けて所定距離変位した途中位置で前記係合部に当たることで該第1連係部材の操作位置へ向けた変位に抵抗を加えるように隆起した抵抗部を有していることを要旨とする。
本願発明によれば、使用者の操作によって第1連係部材が通常位置から操作位置へ向けて変位すると、ガイド部の抵抗部に係合部が当たって第1連係部材の変位に抵抗を加えることができる。この加わった抵抗を超えて使用者がロック装置をロック解除操作することで、適度な手応えを与えることができる。
【0007】
本開示には、通常位置と操作位置との間で変位可能に設けられ、ロック解除操作により通常位置から操作位置へ変位する第1連係部材と、
ロック位置とロック解除位置との間で変位可能に設けられ、係止部をロック位置でロック対象へ係止する一方、係止部をロック解除位置でロック対象から退避する第2連係部材と、
前記第1連係部材または第2連係部材の一方に設けられた係合部と、
前記第1連係部材または前記第2連係部材の他方に設けられ、該第1連係部材の通常位置から操作位置への変位に伴って該第2連係部材がロック位置からロック解除位置へ変位するように前記係合部を案内するガイド部とを備え、
前記ガイド部は、
前記第1連係部材の変位方向および前記第2連係部材の変位方向と交差する方向へ直線的に延在し、該第1連係部材の通常位置から操作位置への変位に応じて、該第1連係部材の通常位置側で前記係合部をロック位置からロック解除位置へ向けて案内する初期案内部と、
前記第1連係部材が通常位置にあるときの前記係合部から離れるように操作位置側に偏倚する位置に、前記初期案内部に連ねて設けられ、前記第1連係部材の通常位置から操作位置へ向けた変位途中で前記係合部に当たる抵抗部と、
前記抵抗部に連なると共に前記初期案内部と平行に延在し、前記第1連係部材の操作位置側で前記係合部を案内する後期案内部とを備え、
前記初期案内部と前記後期案内部とが、前記抵抗部を介して階段状に配置され、
前記抵抗部は、前記第1連係部材が通常位置から操作位置へ向けて変位する途中で前記係合部に当たることで該第1連係部材の操作位置へ向けた変位に抵抗を加えることが記載されている。
上記記載内容によれば、使用者の操作によって第1連係部材が通常位置から操作位置へ向けて変位すると、ガイド部の抵抗部に係合部が当たって第1連係部材の変位に抵抗を加えることができる。この加わった抵抗を超えて使用者がロック装置をロック解除操作することで、適度な手応えを与えることができる。
抵抗部に連ねて直線的に延在する後期案内部を設けることで、抵抗部を乗り越えた際に連係部材が傾くなどの不具合の発生を防止することができる。また、第1連係部材が操作位置から通常位置に変位する際に、係合部に対して抵抗が発生せず、第1連係部材および第2連係部材を円滑に変位させることができる。
本開示には、前記抵抗部は、前記ガイド部において前記第1連係部材の通常位置側で前記係合部を案内する初期案内部よりも、該第1連係部材の変位方向に対して直交に近い角度で延在するように設けられていることが記載されている。
上記記載内容によれば、ガイド部において第1連係部材の通常位置側で係合部を案内する初期案内部と角度が変わるだけの簡単な構成の抵抗部によって、使用者がロック装置をロック解除操作した際に、適度な手応えを与えることができる。
【0008】
本開示には、前記抵抗部の隆起寸法は、円柱形状の前記係合部の半径よりも短いことが記載されている。
【0009】
本開示には、前記第1連係部材と共に変位する当接部と、
前記第1連係部材の操作位置で前記当接部と当たり、該第1連係部材の操作位置を越えた変位を規制する当接受部とを備えていることが記載されている。
上記記載内容によれば、当接部と当接受部とが当たることで発生する打音や衝撃等により、使用者がロック装置をロック解除操作した際に、適当な操作感を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るロック装置によれば、使用者がロック解除操作を行った際に、適度な手応えがあるので、ロック解除したことが判り易い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の好適な実施例に係るロック装置を示す平面図であり、操作部材が通常位置にあると共にロック部材がロック位置にある。
【
図2】実施例のロック装置を示す平面図であり、(a)は操作部材を通常位置から操作位置に向けて変位させる途中であり、(b)は操作部材が操作位置にあると共にロック部材がロック解除位置にある。
【
図3】実施例のロック装置を示す概略斜視図である。
【
図4】実施例のロック装置を分解して示す概略斜視図である。
【
図5】実施例のロック装置を分解して示す概略斜視図である。
【
図6】実施例のロック装置の要部を拡大して示す平面図であり、(a)は操作部材が通常位置にあると共にロック部材がロック位置にあり、(b)は操作部材を通常位置から操作位置に向けて変位させる途中であり、(c)は操作部材が操作位置にあると共にロック部材がロック解除位置にある。
【
図7】変更例のロック装置を概略的に示す側面図であり、(a)は操作部材が通常位置にあると共にロック部材がロック位置にあり、(b)は操作部材を通常位置から操作位置に向けて変位させる途中であり、(c)は操作部材が操作位置にあると共にロック部材がロック解除位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係るロック装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0013】
図3に示すように、実施例に係るロック装置20は、自動車や二輪車などの車両に設置される収納ボックス10における箱状本体12の上部開口12aを開閉する蓋部材14に設けられている。収納ボックス10は、箱状本体12の上部開口12aを蓋部材で塞いだ閉じ姿勢で、ロック装置20により蓋部材14を箱状本体12に対して固定することで、蓋部材14が不用意に開かないようにしてある。また、収納ボックス10は、ロック装置20によるロックを解除することで蓋部材14が開放可能となり、箱状本体12に対して一縁がヒンジ接続された蓋部材14を上方へ持ち上げて、上部開口12aから箱状本体12に物品が出し入れされる。
【0014】
図1~
図5に示すように、ロック装置20は、通常位置(
図1)および操作位置(
図2(b))の間で変位可能な操作部材(第1連係部材)22と、ロック位置(
図1)およびロック解除位置(
図2(b))の間で変位可能な一対のロック部材(第2連係部材)24,24とを備えている。ロック装置20は、操作部材22の変位方向とロック部材24の変位方向とが異なっており、変位方向が異なる操作部材22とロック部材24とを、連動手段40,42によって一方の動きに他方が連動するように構成してある。具体的には、ロック装置20は、操作部材22が通常位置から操作位置へ変位することに伴って、連動手段40,42によって、両方のロック部材24,24がロック位置からロック解除位置へ変位する。また、ロック装置20は、ロック部材24がロック解除位置からロック位置へ変位することに伴って、連動手段40,42によって、操作部材22が操作位置から通常位置へ変位する。また、ロック装置20は、操作部材22およびロック部材24の少なくとも一方を所定方向(操作部材22であれば通常位置、ロック部材24であればロック位置)へ向けて付勢する付勢手段26を備えている。
【0015】
図1および
図2に示すように、ロック装置20は、蓋部材14に設置されるベース部材28に、操作部材22、一対のロック部材24,24および付勢手段26等の構成部材を取り付けて、1つのユニットとされている。実施例のロック装置20は、一対のロック部材24,24が左右対称に配置されている。ロック装置20は、各ロック部材24と操作部材22との間の連動手段40,42の構成や、付勢手段26の構成や、ロック部材24および操作部材22を保持するベース部材28の構成も、左右対称な構成となっている。なお、実施例のロック装置20は、ベース部材28、操作部材22およびロック部材24として、合成樹脂の成形品が用いられている。
【0016】
図1~
図5に示すように、ベース部材28は、全体が長方形であって、長手方向中央部に突出する円柱状の規制部30と、この規制部30の両脇に立ち上がる支持部32とを備えている。また、ベース部材28は、長手方向の各縁部に立ち上がる側壁34のそれぞれに、長手方向へ貫通するように形成された通孔34a(
図3)を備えている。ベース部材28には、規制部30を挟んで自身の長手方向に対向配置された一対の支持部32,32が、自身の短手方向に離して2組設けられている。ベース部材28には、自身の長手方向に離して配置された支持部32,32の間に、操作部材22がベース部材28に対して短手方向に変位可能に設置されている。また、ベース部材28には、自身の短手方向に離して配置された支持部32,32の間に、ロック部材24がベース部材28に対して長手方向へ変位可能に設置され、2つのロック部材24,24がベース部材28の長手方向に直線的に並べて配置されている。更に、ベース部材28において、操作部材22の下側に、ロック部材24における内側の端部(内端部)が重なるように配置され、両者の重なり部位に連動手段40,42が設けられている。
【0017】
図1~
図5に示すように、操作部材22は、本体部分が板状に形成され、蓋部材14の外側に臨む端部に、本体部分よりも上下左右へ幅広に形成された押圧部36を備えている。操作部材22には、本体部分の中央部に、該操作部材22の変位方向に長手が延在する長孔状の規制孔22aが上下に貫通するように形成されている。また、操作部材22には、互いに異なる向きに突出する対をなす支持軸38,38が、本体部分における左右の両縁部に該操作部材22の変位方向に離して2組設けられている(
図4および
図5参照)。操作部材22は、規制孔22aにベース部材28の規制部30を挿入すると共に、各支持部32の凹溝32a(
図4参照)に対応の支持軸38をそれぞれ挿入して、ベース部材28に対して取り付けられている。そして、操作部材22は、規制孔22aおよび規制部30の係合と左右の支持部32,32の挟持により左右方向の移動が規制されると共に、支持部32の凹溝32aと支持軸38との係合により上下の移動が規制される。操作部材22は、支持軸38が支持部32の凹溝32aに案内されたもとでベース部材28の短手方向に移動して、通常位置(
図1)と操作位置(
図2(b))との間で変位する。操作部材22は、通常位置でベース部材28から離れていた押圧部36が、操作位置へ向かうにつれてベース部材28に近づき、操作位置から通常位置に向かうにつれて、押圧部36がベース部材28から遠ざかる。
【0018】
図1~
図5に示すように、ロック部材24は、棒状に形成されており、内端部が操作部材22とベース部材28との間に配置される。また、ロック部材24は、外側の端部(外端部)に設けられた係止部24aが、ベース部材28における側壁34の通孔34aを介してベース部材28の外側に突出するように配置されている。ロック部材24は、ベース部材28の支持部32および通孔34aによって、自身の短手方向への移動が規制される一方で、自身の長手方向へ変位可能になっている。ロック部材24は、ロック位置からロック解除位置に変位すると、係止部24aの通孔34aからの突出量が小さくなり(
図2(b))、ロック解除位置からロック位置に変位すると、係止部24aの通孔34aからの突出量が大きくなる。ロック部材24の内端部には、連動手段を構成する係合部40が一体的に設けられている。係合部40は、ロック部材24の内端部から、上側に重なる操作部材22側(上方)へ向けて突出する略円柱状に形成されている。
【0019】
実施例では、付勢手段26として、圧縮コイルばねが用いられ(
図5参照)、付勢手段26は、ロック部材24の内端面とベース部材28から立ち上がる保持壁35との間に設置されている。付勢手段26は、ロック部材24をロック位置へ向けて常に付勢している。ロック装置20は、付勢手段26の付勢によってロック部材24がロック解除位置からロック位置に戻ることに伴って、連動手段40,42を介して操作部材22が操作位置から通常位置へ戻るように連動する。また、ロック装置20は、付勢手段26の付勢によりロック部材24がロック位置で保持されることで、連動手段40,42を介して操作部材22が通常位置で保持される。
【0020】
図1~
図5に示すように、ロック装置20は、ロック部材24に設けられた係合部40と、操作部材22に設けられたガイド部42とからなる連動手段を備えている。ガイド部42は、操作部材22の本体部分に上下(操作部材22とロック部材24との重なり方向)へ貫通するガイド開口44の開口縁として形成されている。ガイド部42は、操作部材22の通常位置から操作位置への変位に伴って、ロック部材24がロック位置からロック解除位置へ変位するように係合部40を案内する。また、ガイド部42は、ロック部材24のロック解除位置からロック位置への変位に伴う係合部40の変位につれて、操作部材22を操作位置から通常位置へ変位するように案内する。
【0021】
図1および
図2に示すように、ガイド開口44は、2基のロック部材24の係合部40に対応して、操作部材22において規制孔22aを左右に挟んだ対称な形状で2箇所設けられている。
図6に示すように、実施例のガイド開口44は、略台形状に形成されており、操作部材22の変位方向へ延在する開口縁(第1開口縁)46と、第1開口縁46の操作位置側に連なり、ロック部材24の変位方向に延在する開口縁(第2開口縁)48とを有している。また、ガイド開口44は、第1開口縁46の通常位置側に連なると共に第2開口縁48よりも短く形成され、ロック部材24の変位方向に延在する開口縁(第3開口縁)50を有している。更に、ガイド開口44は、第2開口縁48のロック位置側と第3開口縁50のロック位置側とに連なり、操作部材22の変位方向およびロック部材24の変位方向の両方と交差するように延在する開口縁であるガイド部42を有している。ガイド開口44は、ロック部材24から立ち上がる係合部40を受け入れ可能に形成され、ガイド開口44に下側から挿入された係合部40が、付勢手段26の付勢によってガイド部42に当たるように構成されている。
【0022】
図6に示すように、ガイド部42は、操作部材22の通常位置側から操作位置側に向かうにつれて、ロック部材24のロック位置側へ傾くように、基本的に延在している。また、ガイド部42は、操作部材22が通常位置から操作位置へ向けて変位する途中で係合部40に当たることで操作部材22の通常位置から操作位置へ向けた変位に抵抗を加えるように隆起した抵抗部42aを有している。より具体的には、ガイド部42は、操作部材22の変位方向およびロック部材24の変位方向と交差する方向へ直線的に延在し、操作部材22が通常位置側にあるときに係合部40を案内する初期案内部42bを有している。また、ガイド部42は、初期案内部42bに連ねて設けられ、操作部材22の通常位置から操作位置へ向けた変位途中で係合部40を案内する抵抗部42aを有している。更に、ガイド部42は、抵抗部42aに連なると共に初期案内部42bと平行するように直線的に延在し、操作部材22が操作位置側にあるときに係合部40を案内する後期案内部42cを有している。
【0023】
図6に示すように、抵抗部42aは、ガイド部42において操作部材22の通常位置側で係合部40を案内する初期案内部42bよりも、操作部材22の変位方向に対して直交に近い角度で延在するように設けられている。例えば、
図6に示すように、実施例のガイド部42は、初期案内部42bの角度βおよび後期案内部42cの角度γが操作部材22の変位方向に対して45°で交差するように設定されている。また、実施例の抵抗部42aは、係合部40の円周面が抵抗部42aの隆起頂部(実施例では抵抗部42aと後期案内部42cとがなす角部)に当たったときにおける当該円周面の接線の角度αが60°(初期案内部42bに対して20°)になるように設定されている。なお、係合部40の径が小さくて抵抗部42aの傾斜面に係合部40の円周面が当たる場合は、初期案内部42bに対する抵抗部42aの傾斜面の角度αを、例えば20°とすればよい。このように、ガイド部42は、初期案内部42bと後期案内部42cとの間に、抵抗部42aによってロック部材24の変位方向に段差ができるように形成されている。換言すると、ガイド部42は、初期案内部42bと後期案内部42cとが、抵抗部42aを介して階段状に配置されている。抵抗部42aは、操作部材22へ付与する抵抗のバランスを考慮すると、段差寸法(隆起寸法)を係合部40の直径よりも短く設定することが好ましく、係合部40の半径よりも短く設定することがより好ましい。
【0024】
図1および
図2に示すように、ロック装置20は、操作部材22と共に変位する当接部52と、操作部材22の操作位置で当接部52と当たり、操作部材22の操作位置を越えた変位を規制する当接受部54とを備えている。実施例の当接部52は、操作部材22において押圧部36のベース部材28に臨む面である。また、実施例の当接受部54は、左右の支持部32,32における操作部材22の押圧部36に臨む面であり、操作部材22の操作位置で押圧部36の左右に設けられた当接部52を受け止めるように構成されている。
【0025】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係るロック装置20の作用について説明する。ロック装置20は、使用者によって操作されていない状態において、ガイド部42の初期案内部42bおよび第2開口縁48がなす角部に係合部40が引っ掛かって(
図6(a))、操作部材22が通常位置で保持されると共に、両ロック部材24,24がロック位置に保持される(
図1)。このとき、蓋部材14が閉じ姿勢にあると、ロック部材24の係止部24aが箱状本体12に設けられた係止受部(ロック対象)16に挿入され、ロック装置20によって蓋部材14の開放が規制される。
【0026】
使用者が操作部材22の押圧部36を押して操作部材22を通常位置から操作位置へ向けて変位すると、係合部40がガイド部42の初期案内部42bによって内方へ案内される。これに伴って、それぞれ係合部40が設けられた両ロック部材24,24が、付勢手段26の付勢に抗して、同期してロック位置からロック解除位置へ向けて変位する。使用者が操作部材22を通常位置から操作位置へ向けて更に変位すると、係合部40がガイド部42の抵抗部42aに当たる(
図6(b))。この際、抵抗部42aが初期案内部42bより隆起して急な角度で延在しているので、係合部40が初期案内部42bで案内されていたときよりも、操作部材22の通常位置から操作位置へ向けた変位に対して抵抗が大きくかかる。なお、実施例では、ロック部材24の係止部24aが箱状本体12の係止受部16から抜け出るタイミングで、抵抗部42aによる抵抗が操作部材22にかかるように設定されている(
図2(a))。
【0027】
使用者が操作部材22を通常位置から操作位置へ向けて更に変位すると、係合部40がガイド部42の抵抗部42aを乗り越えてガイド部42の後期案内部42cによって案内される(
図6(c))。これに伴って、両ロック部材24,24が、付勢手段26の付勢に抗して、ロック解除位置へ向けて変位してロック解除位置へ至る(
図2(b))。この際、後期案内部42cが抵抗部42aよりも緩い角度で延在しているので、係合部40が抵抗部42aで案内されていたときよりも、操作部材22の通常位置から操作位置へ向けた変位に対して抵抗が小さくなる。そして、操作部材22の当接部52がベース部材28の当接受部54に勢いよく当たり、操作部材22の操作位置を越えた変位が規制される。操作部材22を操作位置にすると、ロック解除位置にあるロック部材24の係止部24aが係止受部16から抜け出るので、ロック装置20によるロックが解除されて蓋部材14の開放が可能となる。
【0028】
操作位置まで操作した操作部材22を離すと、付勢手段26によって両ロック部材24,24がロック解除位置からロック位置へ向けて付勢される。これに伴って、外方へ変位する係合部40に後期案内部42c、抵抗部42aおよび初期案内部42bと順に押されて、操作部材22が操作位置から通常位置へ向けて変位して、通常位置へ戻る。
【0029】
前記ロック装置20は、使用者の操作によって操作部材22を通常位置から操作位置へ向けて変位すると、その変位途中でガイド部42の抵抗部42aに係合部40が当たって操作部材22に抵抗が加わる。この加わった抵抗を超えて使用者がロック装置20をロック解除操作することで、クリック感や節度感など、適度な手応えのある操作感を使用者に与えることができる。従って、ロック装置20は、操作部材22の適度な手応えによって、使用者にロックを解除している感じが直感的に判り易くすることができ、使い勝手をより向上することができる。
【0030】
前記ロック装置20は、ガイド部42において操作部材22の通常位置側で係合部40を案内する初期案内部42bと角度が変わるだけの簡単な構成の抵抗部42aによって、使用者がロック解除操作した際に、適度な手応えを与えることができる。すなわち、ロック装置20は、部品点数を増やすことなく、ガイド部42の形状の変化だけで、操作部材22に適度な操作感を与えることができ、コストを抑えることができる。
【0031】
前記ロック装置20は、直線状の初期案内部42bと直線状の後期案内部42cとを、両者と角度が異なる抵抗部42aで繋いでガイド部42を階段状に構成しているので、係合部40が抵抗部42aを乗り越えた後に係合部40を後期案内部42cに円滑に移行させることができる。これにより、係合部40が抵抗部42aから後期案内部42cに移行する際に、係合部40の姿勢が乱れることを抑えて、操作部材22またはロック部材24が傾くなどの不具合の発生を防止することができる。従って、ロック装置20は、ガイド部42に抵抗部42aを設けて、その抵抗部42aを係合部40が乗り越えることで操作部材22やロック部材24が変位途中で止まってしまうことはなく、操作部材22およびロック部材24を円滑に変位させることができる。また、実施例のロック装置20は、操作部材22が操作位置から通常位置に戻る場合には、ガイド部42の抵抗部42aは係合部40の変位に対する抵抗として機能しないので、操作部材22およびロック部材24を円滑に戻すことができる。
【0032】
前記ロック装置20は、操作部材22を操作位置へ向けて押圧操作しているときに、係合部40が抵抗部42aから後期案内部42cに移行すると、急激に抵抗がなくなる。すなわち、使用者は、ロック解除操作に際して、抵抗部42aでかかる抵抗に合わせて操作部材22に力を加えているので、後期案内部42cで抵抗が小さくなったとしても、同様の力を操作部材22に加えてしまう。このため、操作部材22は、抵抗部42aを乗り越えてから操作位置に至るときに勢いが付き、当接部52がベース部材28の当接受部54に強く当たることになる。従って、当接部52と当接受部54とが勢いよく当たることで発生する打音や衝撃等によっても、使用者がロック装置20をロック解除操作した際に、クリック感等を感じて適当な操作感を得ることができる。
【0033】
(変更例)
前述した構成に限定されず、例えば以下のようにも変更することができる。
【0034】
(1)ロック装置は、実施例の構成に限らず、例えば
図7に示す変更例のように構成してもよい。変更例のロック装置60は、実施例と同様の作用効果を有している。なお、変更例において説明しない構成は、実施例の構成またはその他を適用することができる。
【0035】
図7に示すように、変更例のロック装置60は、通常位置と操作位置との間で変位可能な操作部材(第1連係部材)62と、ロック位置とロック解除位置との間で変位可能なロック部材(第2連係部材)64とを備えている。また、ロック装置60は、門型に形成されたベース部材66を備え、ロック部材64に設けられた取付軸64aをベース部材66に設けられた取付溝66aに挿入して、ベース部材66の対向する壁部の間に、略「L」字状に形成されたロック部材64を配置している。なお、ロック部材64は、ロック部材64とベース部材66との間に設置された付勢手段68によってロック位置へ向けて付勢されている。ロック装置60は、ロック部材64に貫通形成された連係開口(図示せず)に、操作部材62における板状の押圧部62aの一面から突出する連係部62bを挿入して、操作部材62をロック部材64に取り付けている。
【0036】
変更例のロック装置60は、連動手段として、ロック部材64における連係開口の対向する開口縁から内方へ突出する一対の係合部70,70と、操作部材62の連係部62bに形成されたガイド部72とを備えている。ガイド部72は、通常位置側から操作位置側へ向かうにつれてロック位置側へ傾くように、基本的に形成され、連係部62bの両面に設けられている。なお、操作部材62は、連係部62bが一対の係合部70,70に挟まれて、ロック部材64に保持されている。ガイド部72は、操作部材62が通常位置から操作位置へ向けて変位する途中で係合部70に当たることで操作部材62の通常位置から操作位置へ向けた変位に抵抗を加えるように隆起した抵抗部72aを有している。より具体的には、ガイド部72は、操作部材62の変位方向およびロック部材64の変位方向と交差する方向へ直線的に延在し、操作部材62が通常位置側にあるときに係合部70を案内する初期案内部72bを有している。また、ガイド部72は、初期案内部72bに連ねて設けられ、操作部材62の通常位置から操作位置へ向けた変位途中で係合部70に当たる抵抗部72aを有している。更に、ガイド部72は、抵抗部72aに連なると共に初期案内部72bと平行するように直線的に延在し、操作部材62が操作位置側にあるときに係合部70を案内する後期案内部72cを有している。
【0037】
前記ロック装置60は、操作部材62を通常位置から操作位置へ向けて押すと、ガイド部72の初期案内部72bに案内されて係合部70が変位することで、ロック部材64がロック位置からロック解除位置へ向けて変位する(
図7(a))。係合部70が抵抗部72aで案内されると、係合部70が初期案内部72bで案内されていたときよりも抵抗がかかり、操作部材62に適度な操作感が与えられる(
図7(b))。そして、係合部70が抵抗部72aを越えて後期案内部72cに至ると抵抗が小さくなり、押圧部62aにおけるベース部材66に臨む面に設定された当接部74がベース部材66の当接受部76に勢いよく当たり、操作部材62が操作位置で移動規制される(
図7(c))。
【0038】
(2)実施例では、初期案内部から隆起した抵抗部を介して初期案内部と後期案内部とを階段状に配置したガイド部を説明したが、これに限らず、抵抗部を、半円形状や、山形や、初期案内部に斜辺が連なる略直角三角形状などで隆起するように形成してもよい。
(3)実施例では、第1連係部材としての操作部材にガイド部を設け、第2連係部材としてのロック部材に係合部を設けたが、これに限らず、第1連係部材に係合部を設け、第2連係部材にガイド部を設ける構成であってもよい。
(4)実施例では、第1連係部材としての操作部材を使用者が直接操作する構成を挙げたが、これに限らず、第1連係部材と別の部材とを繋げて、別の部材を介して間接的に第1連係部材を変位させる構成であってもよい。
(5)実施例では、第2連係部材としてのロック部材に、ロック対象である係止受部に係合する係止部を一体的に設けたが、これに限らず、第2連係部材と別体の係止部が第2連係部材と接続されている構成や、第2連係部材と係止部とが別の部材を介して繋がっている構成などを採用できる。
(6)ガイド開口は、実施例に示した略台形状に限るものではなく、「I字形」、「く字形」および「楕円形」等、その他の形状であってもよい。
(7)付勢手段は、実施例の構成に限らず、トーションばねやその他の弾性付与手段を用いることができる。
(8)実施例では、第1連係部材の変位方向と第2連係部材の変位方向とが直交する形態を例示したが、両連係部材の交差角度はこれ以外であってもよい。
(9)実施例では、第1連係部材および第2連係部材がスライド変位する形態のロック装置を例示したが、第1連係部材および第2連係部材は、回動変位する形態や揺動変位する形態であってもよい。
(10)ロック装置は、収納ボックスの蓋部材に取り付けられるものに限定されず、箱状本体に取り付けられるものであってもよい。また、ロック装置は、収納ボックスに限らず、フロアコンソールやインストルメントパネルに設けられるグローブボックス等、各種の構造体に適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
22,62 操作部材(第1連係部材),24,64 ロック部材(第2連係部材),
24a 係止部,40,70 係合部,42,72 ガイド部,42a,72a 抵抗部,
42b,72b 初期案内部,42c,72c 後期案内部,52,74 当接部,
54,76 当接受部