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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】安定化部材を有するクリップアプライヤ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/128 20060101AFI20220506BHJP
   A61B 17/122 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
A61B17/128
A61B17/122 100
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021071066
(22)【出願日】2021-04-20
(62)【分割の表示】P 2019552016の分割
【原出願日】2018-03-21
(65)【公開番号】P2021112602
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】62/474,523
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515257519
【氏名又は名称】テレフレックス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】シェレンバーガー カーソン ジェイ
【審査官】小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0083803(US,A1)
【文献】特表2014-531250(JP,A)
【文献】特許第4263594(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/128
A61B 17/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織に外科用クリップを適用するように構成されたクリップアプライヤであって、
前記外科用クリップを係合するように構成され、各々が内面に長手方向スロットを有する第1の顎部材及び第2の顎部材と、
前記外科用クリップを係合するように構成された安定化部材であって、少なくとも部分的に前記第1の顎部材と前記第2の顎部材との間の第1の位置から、少なくとも部分的に前記第1の顎部材と前記第2の顎部材との間の第2の位置まで前記クリップアプライヤに対して長手方向に移動するように構成され、遠位部から延びるシャフト部を有する安定化部材と、
を備え、
前記シャフト部は、前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材の前記長手方向スロットに受け入れられるように構成され、前記遠位部の幅は、前記シャフト部の幅より大きい、クリップアプライヤ。
【請求項2】
前記遠位部は、前記外科用クリップを安定させるように構成された第1の側壁及び第2の側壁を有する、請求項1に記載のクリップアプライヤ。
【請求項3】
前記シャフト部は、略矩形の断面を有する、請求項1に記載のクリップアプライヤ。
【請求項4】
前記安定化部材の長手方向の移動は、前記第1の位置と前記第2の位置との間の長手方向の移動に制限される、請求項1に記載のクリップアプライヤ。
【請求項5】
前記安定化部材は、ヒンジピンを受けるように構成された長手方向チャネルを有し、前記ヒンジピンは、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記安定化部材の長手方向の移動を制限するように構成されている、請求項1に記載のクリップアプライヤ。
【請求項6】
更に、前記安定化部材は、近位部上管状部を備えている、請求項に記載のクリップアプライヤ。
【請求項7】
更に、前記安定化部材の近位部上に位置付けられたバネを備え、このバネは、前記安定化部材を前記第2の位置の遠位にある前記第1の位置に付勢するように構成されている、請求項1に記載のクリップアプライヤ。
【請求項8】
更に、前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材の近位端部に固定されたシャフトを備え、このシャフトはその長さに沿って少なくとも1つの細長スロットを備え、前記バネは前記少なくとも1つの細長スロットを介して視認できる、請求項に記載のクリップアプライヤ。
【請求項9】
更に、前記バネの近位端部に当接する管状部材を備え、前記バネの遠位部は、前記安定化部材の近位部上の管状部に当接する、請求項に記載のクリップアプライヤ。
【請求項10】
前記安定化部材は、遠位部上に複数の突起部を含み、この複数の突起部は、前記外科用クリップを垂直方向で安定化するように構成されている、請求項1に記載のクリップアプライヤ。
【請求項11】
前記第1の顎部材は、前記外科用クリップの第1の脚部材の遠位部を係合するように構成され、前記第2の顎部材は、前記外科用クリップの第2の脚部材の遠位部を係合するように構成され、前記安定化部材が、前記外科用クリップの近位部を係合するように構成されている、請求項1に記載のクリップアプライヤ。
【請求項12】
前記第1の顎部材は、前記第1の脚部材の遠位部上に第1の実質的に平坦な面を係合するように構成され、前記第2の顎部材は、前記第2の脚部材の遠位部上に第2の実質的に平坦な面を係合するように構成される、請求項11に記載のクリップアプライヤ。
【請求項13】
請求項1に記載のクリップアプライヤに前記外科用クリップを装填する方法であって、
前記クリップアプライヤの前記第1の顎部材と前記第2の顎部材との間に前記外科用クリップの近位を受けるステップと、
前記外科用クリップの近位を少なくとも部分的に前記第1の顎部材と前記第2の顎部材との間の前記第1の位置にて前記安定化部材と係合するステップと、
少なくとも部分的に前記第1の顎部材と前記第2の顎部材との間の前記第2の位置に前記安定化部材を長手方向で後退させるステップと、
前記安定化部材と前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材との間で前記外科用クリップを安定化するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記安定化部材の長手方向の移動は、前記第1の位置と前記第2の位置との間の長手方向の移動に制限されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記外科用クリップを安定化するステップは、前記安定化部材の遠位部上の第1の壁及び第2の壁を用いて前記外科用クリップを横方向で安定化するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記外科用クリップを安定化するステップは、前記安定化部材の遠位部上で複数の突起部を用いて前記外科用クリップを垂直方向で安定化するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
更に、前記外科用クリップをカートリッジからピッキングするステップを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許仮出願は、2017年3月21日出願の「安定化部材を有するクリップアプライヤ」と題された米国特許仮出願第62/474523号に対する優先権を主張するものであり、その開示全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、クリップアプライヤデバイスに関し、より詳細には、外科用クリップと係合するように付勢された安定化部材を有するクリップアプライヤに関する。
【背景技術】
【0003】
組織(例えば、血管、リンパ節、神経、卵管、及び心臓組織)の結紮は、多くの外科手術に対する一般的な方法である。これは、外科用クリップで血管を閉鎖することによって、又は外科用糸で血管を縫合することによって実行することができる。外科用糸の使用には、血管を固定するために必要な結び目を形成するために針及び外科用糸の複雑な操作が必要とされる。このような複雑な操作は、特に限られたスペース及び/又は視認性によって特徴付けられる内視鏡外科手術において、時間が掛かり実行するのが難しい。対照的に、外科用クリップは、適用するのが比較的迅速且つ容易である。それゆえ、内視鏡及び切開外科手術における外科用クリップの使用は劇的に増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、クリップアプライヤにおける外科用クリップの安定性など、外科用クリップの1又は2以上の特徴を改善する必要があることを認識している。外科用クリップは、多くの場合、対向する顎部のペアを有するクリップアプライヤによって適用される。現在利用可能なクリップアプライヤは、2つの接触点でクリップを固定することが多く、例えば、対向する顎部が、外科用クリップの遠位端上でボスを係z合することができる。しかしながら、2つの接触点は、外科用クリップに対して十分な安定性を提供せず、これにより、外科用クリップが、外科手術中にクリップアプライヤに対して位置ずれを生じるか、又は脱落する可能性さえある。本開示の方法及びシステムは、従来技術の上述の問題及び/又は他の問題の1又は2以上を軽減又は克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、組織に外科用クリップを適用するように構成されたクリップアプライヤに関する。クリップアプライヤは、第1の顎部材、第2の顎部材、及び安定化部材を含むことができ、各々は、外科用クリップを係合するように構成される。安定化部材は、少なくとも部分的に第1及び第2の顎部材の間の第1の位置から、少なくとも部分的に第1及び第2の顎部材の間の第2の位置までクリップアプライヤに対して長手方向に移動するよう構成することができる。安定化部材の長手方向の移動は、第1及び第2の位置の間の長手方向の移動に制限することができる。
【0006】
一部の実施形態において、安定化部材は、遠位部上に第1及び第2の側壁を含むことができ、この第1及び第2の側壁が外科用クリップを横方向で安定化するように構成されている。一部の実施形態において、クリップアプライヤは、第1及び第2の顎部材を回転可能に固定するように構成されたヒンジピンを含むことができ、安定化部材は、ヒンジピンを受けるように構成された長手方向チャネルを有することができ、ヒンジピンは、第1及び第2の位置の間で安定化部材の長手方向の移動を制限するよう構成することができる。一部の実施形態において、安定化部材は、細長スロットの近位にある管状部分と、この管状部分の遠位にあるシャフト部とを含むことができる。安定化部材の遠位部の幅は、シャフト部の幅よりも大きいとすることができる。一部の実施形態において、クリップアプライヤは、安定化部材の近位部上に位置付けられたバネを含むことができ、バネは、定化部材を第1の位置に付勢するように構成され、この第1の位置が第2の位置の遠位にある。一部の実施形態において、クリップアプライヤは、第1及び第2の顎部材の近位端部に固定されたシャフトを含むことができ、このシャフトは、その長さに沿って少なくとも1つの細長スロットを有し、バネは、シャフトの少なくとも1つの細長スロットを介して視認できる。一部の実施形態において、バネの近位端部に当接する管状部材を含むことができ、バネの遠位部は、安定化部材の近位部上の管状部分に当接する。一部の実施形態において、安定化部材は、遠位部上に複数の突起部を含むことができ、この複数の突起部は、外科用クリップを垂直方向で安定化するように構成されている。一部の実施形態において、第1の顎部材は、外科用クリップの第1の脚部材の遠位部を係合するよう構成することができ、第2の顎部材は、外科用クリップの第2の脚部材の遠位部を係合するよう構成することができ、安定化部材は、外科用クリップの近位部を係合するよう構成することができる。一部の実施形態において、第1の顎部材は、第1の脚部材の遠位部上に第1の実質的に平坦な面を係合するよう構成することができ、第2の顎部材は、第2の脚部材の遠位部上に第2の実質的に平坦な面を係合するよう構成することができる。
【0007】
本発明の第2の態様は、クリップアプライヤに外科用クリップを装填する方法に関する。本方法は、クリップアプライヤの第1及び第2の顎部材の間に外科用クリップの近位部を受けるステップと、外科用クリップの近位部を少なくとも部分的に第1及び第2の顎部材の間の第1の位置にて安定化部材と係合するステップと、を含むことができる。本方法は、安定化部材を少なくとも部分的に第1及び第2の顎部材の間の第2の位置に後退させるステップを含むことができる。更に、本方法は、外科用クリップを安定化部材と第1及び第2の顎部材との間で安定化させるステップを含むことができる。
【0008】
一部の実施形態において、安定化部材の長手方向の移動は、第1の位置と第2の位置との間の長手方向の移動に制限することができる。一部の実施形態において、外科用クリップを安定化するステップは、安定化部材の遠位部から延びる第1及び第2の壁を用いて横方向で外科用クリップを安定化するステップを含むことができる。一部の実施形態において、外科用クリップを安定化するステップは、安定化部材の遠位表面上で複数の突起部を用いて垂直方向で外科用クリップを安定化するステップを含むことができる。一部の実施形態において、本方法は、外科用クリップをカートリッジからピッキングするステップを含むことができる。
【0009】
本発明の第3の態様は、クリップアプライヤのための安定化部材に関する。安定化部材は、近位部及び遠位部を有する細長本体を含むことができる。安定化部材は、細長本体の前記遠位部上にあり、外科用クリップの近位部を横方向で安定化するよう構成することができる第1及び第2の側壁を含むことができる。更に、安定化部材は、遠位部から延びる細長本体のシャフト部を含むことができ、第1及び第2の側壁を含む遠位部の幅が、シャフト部の幅よりも大きい。
【0010】
一部の実施形態において、安定化部材は更に、細長本体を介して延びる長手方向チャネルを含むことができる。一部の実施形態において、シャフト部は、質的に矩形断面を有することができる。一部の実施形態において、近位部を形成する細長本体の管状部分を含むことができる。一部の実施形態において、安定化部材は、遠位部上に、外科用クリップの近位部を垂直方向で安定化するよう構成することができる複数の突起部を含むことができる。
【0011】
本開示を容易に理解できるようにするために、本開示の態様を添付図面において例として示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の例示的なクリップアプライヤの側面図を示す。
図2】例示的な外科用クリップが装填された図1の例示的なクリップアプライヤの例示的な遠位部の側面図を示す。
図3図1及び2の例示的なクリップアプライヤの例示的な遠位部の斜視図を示す。
図4図1~3の例示的なクリップアプライヤの例示的な遠位部の分解図を示す。
図5図1~4の例示的なクリップアプライヤの例示的な安定化部材の斜視図を示す。
図6図1~5の例示的なクリップアプライヤを適用することができる外科用クリップの第1の例示的な実施形態の斜視図を示す。
図7図1~5の例示的なクリップアプライヤを適用することができる外科用クリップの第2の例示的な実施形態の斜視図を示す。
図8A図1~5の例示的なクリップアプライヤに例示的なクリップを装填する例示的な方法を示す図である。
図8B図1~5の例示的なクリップアプライヤに例示的なクリップを装填する例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面及び以下の詳細な説明では、同じ部分又は類似の部分を言及するために同じ又は類似の参照番号を使用する。
【0014】
ここで、全体を通して同様の参照番号が同様の部分を指す図面を参照しながら本発明を説明する。従来の慣例に従って、本明細書で用いる場合、本明細書で特に明記しない限り、用語「近位部」は、使用することが意図されたときにデバイスを扱う又は操作する医療関係者により近いデバイス又はその構成要素の特定の部分を指し、用語「遠位部」は、近位部とは反対側のデバイス又はその構成要素の特定の部分を指すとする。
【0015】
本発明は、一般に、医療処置中の外科用クリップの安定性を高めるように構成されたクリップアプライヤに関する。クリップアプライヤは、第1及び第2の顎部材の間に配置された安定化部材を含むことができる。安定化部材及び第1及び第2の顎部材は、外科用クリップと少なくとも3つの接触点を提供し、医療処置中の外科用クリップの相対移動を防ぐことができる。安定化部材は、遠位部から延びる垂直壁を有することができる。垂直壁は、外科用クリップの近位部の両側に位置付けられて、外科用クリップの横方向移動を低減することができる。垂直壁を有する安定化部材の遠位部は、遠位部から延びるシャフトよりも大きな幅を有することができる。この遠位部の増大した幅は、顎部材間の外科用クリップの安定性を高め、クリップアプライヤのシャフトを通る遠位部の後退を阻止することができる。更に、安定化部材は、垂直壁間に延びて、垂直方向の移動を低減するように構成された横方向突起部を有することができる。
【0016】
安定化部材は、少なくとも部分的に第1及び第2の顎部材間の遠位にある第1の位置に付勢されて、クリップアプライヤの前方装填を容易にすることができる。安定化部材は、第1及び第2の顎部材間に装填されたときに外科用クリップを係合することができる。安定化部材はまた、外科用クリップが第1及び第2の顎部材間に送り込まれたときに近位にある第2の位置に後退することができる。近位にある第2の位置は、少なくとも部分的に第1及び第2の顎部材の間に位置付けることができる。安定化部材は、例えば、ピン、チャネル構成、及び/又は遠位部のより大きな幅によって、第1及び第2の位置の間で長手方向で制限することができる。ピンは、第1及び第2の顎部材の回転ピンとすることができ、チャネルは、安定化部材のシャフトを介して長手方向に延びることができる。安定化部材は、第1の位置から第2の位置に、及び第2の位置から第1の位置に移動することができるが、第1の位置の遠位方向又は第2の位置の近位方向には移動することはできない。従って、安定化部材は、カートリッジからの外科用クリップの前方装填中にこの外科用クリップがクリップアプライヤの第1及び第2の顎部材の間に受けられたときに、十分な遠位安定力を提供するよう構成することができる。クリップアプライヤはまた、ボスなしで外科用クリップを保持するよう構成することができる。クリップアプライヤは、組織に適用(例えば、血管を結紮するため)されている間に外科用クリップを安定化して、外科用クリップが尻振りするのを防ぐことができる。
【0017】
図1~4は、本開示による、外科用クリップ200を適用するように構成されたクリップアプライヤ100を示す。クリップアプライヤ100は、近位部100A及び遠位部100Bを含むことができる。更に、クリップアプライヤ100は、ハンドル機構102、シャフト104、及び顎構造部106を含むことができる。顎構造部106は、シャフト104に回転可能に接続されて、ハンドル機構102により作動させることができる。
【0018】
顎構造部106は、回転ピン114を有するヒンジ機構112にて回転可能に連結された第1の顎部材108及び第2の顎部材110を含むことができる。顎構造部106は、第1及び第2の顎部材108,110の間に外科用クリップ200を受けることができ、第1及び第2の顎部材108,110は、第1及び第2の脚部材202,204の遠位部上の接触点にて外科用クリップ200を安定化することができる。顎部材108,110は、遠位部にて係合面111を有することができる。係合面111は、実質的に平坦な及び/又はフック形状にすることができ、ボスなしで外科用クリップ200の脚部材202,204の遠位部を解除可能に係合するよう構成することができる。
【0019】
顎構造部106はまた、第1及び第2の脚部材202,204に対向する力を加えることにより、外科用クリップ200を圧縮するように構成することができる。顎構造部106は、図4に例示するように、ハンドル機構102により前進及び後退するアクチュエータ140によって作動させることができる。アクチュエータ140は、第1及び第2の顎部材108,110の各々の近位部上の直線状角度付きスロット144内に受けるように構成された遠位部上の突出部142を有することができる。アクチュエータ140は、突出部142がスロット144内で近位位置にあるときに顎構造部106を開放することができ、突出部142がスロット144内で遠位部にあるときに顎構造部106を閉鎖することができる。アクチュエータ140は、近位位置に付勢されて、顎部材108,110を開放することができる。
【0020】
更に、クリップアプライヤ100は、第1及び第2の顎部材108,110の間に受けられて、外科用クリップ200に追加の安定性を提供するように構成された安定化部材116を含むことができる。安定化部材116は、バネ付勢されて、外科用クリップ200の近位部に遠位力を加え、外科用クリップ200を第1及び第2の顎部材108,110に押し付けることができる。安定化部材116は、少なくとも部分的に第1及び第2の顎部材108,110の間の遠位にある第1の位置と、少なくとも部分的に第1及び第2の顎部材108,110の間の近位にある第2の位置との間で長手方向に移動するよう構成することができる。安定化部材116は、第1及び第2の位置の間の長手方向の移動に制限を加えられ、安定化部材116によって好適な圧力が外科用クリップ200に確実に加わるようにすることができる。安定化部材116は、第1及び第2の顎部材108,110の間に対照的に位置付けることができる。安定化部材116の位置付けにより、ユーザは、2つの相対する向きの何れでもクリップアプライヤ100を用いてカートリッジ400から外科用クリップ200をピックアップできるようにすることができる。例えば、第1の顎部材108は、外科用クリップ200の第1の脚部材202又は第2の脚部材204の一方と係合することができ、他方、第2の顎部材110は、第1の脚部材202又は第2の脚部材204の他方と係合する。クリップアプライヤ100はまた、ボスなしで外科用クリップ200をピックアップできるようにすることができ、むしろ、外科用クリップ200は、安定化部材116と係合面111との間に係合することができる。
【0021】
安定化部材116は、この安定化部材116と管状部材120との間に配置されたバネ部材118によって遠位に付勢することができる。バネ部材118は、外科用クリップ200が第1及び第2の顎部材108,110内に受けられたときに安定化部材116が後退すると圧縮することができる。バネ部材118は、安定化部材116に遠位力を提供して、外科用クリップ200を係合することができる。バネ部材118はまた、外科用クリップ200が圧縮されると更に圧縮され、閉鎖構成でラッチされたときに第1及び第2の脚部材202,204を延長することができる。図2及び4に示されるように、内部構成要素(例えば、バネ部材118)は、シャフト104を貫通して延びる細長スロット122を介して露出及び/又は視認することができる。細長スロット122は、クリップアプライヤ100を分解することなく内部構成要素の検査、清掃及び/又は洗浄を可能にすることができる。アクチュエータ140は、シャフト104、管状部材120及びバネ部材118を介して延びて、第1及び第2の顎部材108,110の各々のスロット144を係合することができる。
【0022】
更に、図4~5に示すように、安定化部材116は、管状部分124を有して近位部を形成する細長本体と、管状部分124の遠位にあるシャフト部126とを含むことができる。管状部分124は、シャフト104に受けられて、バネ部材118と当接する近位端部を有することができる。管状部分124は、アクチュエータ140を受けるように構成されたルーメン(中空部)を有することができる。シャフト部126は、第1及び第2の顎部材108,110の内面上で長手方向スロット128を介して受けるように構成された実質的に平坦な側面を有する実質的に矩形の断面を有することができる。従って、シャフト部126は、第1及び第2の顎部材108,110の間の開口に延びることができる。シャフト部126の遠位にある遠位面132は、外科用クリップ200の近位部(例えば、ヒンジ部206)を係合することができる。遠位面132は、安定化部材116の遠位部上にあり、長手方向スロット128の幅よりも大きい幅を有して、遠位面132が第2の位置を過ぎて第1及び第2の顎部材108,110を通過して後退するのを阻止することができる。
【0023】
シャフト部126は、回転ピン114を受ける長手方向チャネル130を有することができる。回転ピン114と長手方向チャネル130との間の相互作用により、安定化部材116の長手方向の移動を第1及び第2の位置の間の長手方向の移動に制限することができる。例えば、回転ピン114は、安定化部材116が遠位にある第1の位置にあるときに、長手方向チャネル130の近位面に接触することができ、近位にある第2の位置にあるときに、長手方向チャネル130の遠位表面に接触することができる。回転ピン114はまた、安定化部材116の回転を阻止することができる。長手方向チャネル130は、管状部分124のルーメンと連通することができる。シャフト部126は、シャフト部126の近位部及び遠位部の高さよりも低い高さを有するネック領域を有することができる。
【0024】
更に、図5に示されるように、遠位面132は、外科用クリップ200の近位部と係合するように構成された横方向の突起部138を有する遠位表面134を有することができる。遠位表面134は、第1及び第2の顎部材108,110の間に位置付けられたときに、垂直方向で外科用クリップ200を把持及び/又は安定化することができる。遠位面132は、安定化部材116の両側で延びる垂直壁136を含むことができる。垂直壁136は、外科用クリップ200の近位部を受けるように構成されて、外科用クリップ200の横方向移動を低減するキャビティをこれらの間に定めることができる。垂直壁136を含む遠位面132は、シャフト部126及び第1及び第2の顎部材108,110の長手方向スロット128よりも大きな幅を有し、第1及び第2の顎部材108,110を通る遠位面132の後退を阻止することができる。垂直壁136は、実質的に平行とすることができ、これらの間に突起部138が延びることができる。垂直壁136は各々、実質的に平坦な遠位表面と、シャフト部126を接合するテーパー付き近位表面とを有することができる。垂直壁136は、遠位表面134の高さ全体に延びなくてもよい。
【0025】
図6は、本開示の第1の実施形態による外科用クリップ200を示している。外科用クリップ200は、ヒンジ部分206にて接合された第1の脚部材202及び第2の脚部材204を含むことができる。第1の脚部材202及び第2の脚部材204の各々は、内面208,210と外面212,214とを含むことができる。内面208,210の各々は、凸状部216,218と凹状部220,222とを含むことができ、凹状部220,222は、閉鎖及び/又はラッチ構成で凸状部216,218を受けるように構成される。凸状部216,218は、外科用クリップ200の完全な閉鎖の前にヒンジ部206に近接する組織を挟み、組織の操作及び/又は後退を可能にするよう構成することができる。内面208,210の各々は更に、第1及び第2の脚部材202,204の間で組織を更に固定するように構成された複数の歯状部224,226を含むことができる。
【0026】
第1及び第2の脚部材202,204の各々はまた、クリップアプライヤ100の第1及び第2の顎部材108,110を係合するように構成された係合面228,230を含むことができる。図6に示すように、係合面228,230は、第1及び第2の脚部材202,204の外面212,214上に形成された実質的に平坦な遠位方向に面する表面を含むことができる。係合面228,230は、クリップアプライヤ100に固定されたときに第1及び第2の顎部材108,110の係合面111を係合するように構成することができる。従って、外科用クリップ200は、円形ボス、丸みのあるボス、及び/又は横方向に突出するボスなしで、クリップアプライヤ100によって固定することができる。クリップアプライヤ100は、安定化部材116が加える遠位力によって引き起こされる外科用クリップ200のポジティブロックに起因して、外科用クリップ200の遠位端にてボスを必要としない。外科用クリップ200でボスが排除されることにより、外科用クリップ200の垂直方向及び/又は横方向の輪郭が低減され、外必要とされるスペース及び/又は科用クリップ200によって引き起こされる外傷を低減する。
【0027】
第1の脚部材202は、先端部材232を含むことができ、第2の脚部材204は、フック部材234を含むことができる。外科用クリップ200が閉鎖されると、フック部材234は先端部材232の周りで撓み、外科用クリップ200をラッチ構成で固定することができる。第1及び第2の脚部材202,204は、ラッチ工程の間は真っ直ぐ及び/又は伸長することができる。第1の脚部材202の係合面228は、先端部材232の直近に位置付けることができ、第2の脚部材204の係合面230は、フック部材234の直近に位置付けることができる。
【0028】
図7は、本開示の第2の実施形態による外科用クリップ300を示す。外科用クリップ300は、ヒンジ部306にて接合された第1の脚部材302及び第2の脚部材304を含むことができる。第1の脚部材302は、凸状湾曲を備えた内面308を有することができ、第2の脚部材304は、凹状湾曲を備えた内面210を有することができる。第2の脚部材304の凹状湾曲は、ラッチ及び/又は閉鎖構成で第1の脚部材302の凸状湾曲を受けるように構成することができる。内面308,310の各々は更に、第1及び第2の脚部材202,204の間で組織を更に固定するように構成された複数の歯状部324,326を含むことができる。
【0029】
第1及び第2の脚部材302,304の各々はまた、クリップアプライヤ100の第1及び第2の顎部材108,110を係合するように構成された係合面328,330を含むことができる。図6に示すように、係合面328,330は、第1及び第2の脚部材302,304の外面312,314上に形成された実質的に平坦な遠位方向に面する表面を含むことができる。係合面328,330は、クリップアプライヤ100に固定されたときに第1及び第2の顎部材108,110の係合面111を係合するように構成することができる。従って、外科用クリップ200は、上記で更に議論したようなボスなしで、クリップアプライヤ100によって固定することができる。
【0030】
第1の脚部材302は、先端部材332を含むことができ、第2の脚部材304は、フック部材334を含むことができる。外科用クリップ300が閉鎖されると、フック部材334は先端部材332の周りで撓み、外科用クリップ300をラッチ構成で固定することができる。第1及び第2の脚部材302,304は、ラッチ工程の間は真っ直ぐ及び/又は伸長することができる。第1の脚部材302の係合面328は、先端部材332の直近に位置付けることができ、第2の脚部材304の係合面330は、フック部材334の直近に位置付けることができる。
【0031】
図8A~8Bは、カートリッジ400から外科用クリップ200が装填されているクリップアプライヤ100を示している。図8Aは、カートリッジ400に位置付けられた外科用クリップ200を係合したときのクリップアプライヤ100の切り欠き図を示し、図8Bは、カートリッジ400から外科用クリップ200を取り外した直後のクリップアプライヤ100の等角図を示す。図示のように、クリップアプライヤ100と外科用クリップ200の間の3点係合は、外科用クリップ200の安全性を向上させる。2つの接触点が、第1及び第2の脚部材202,204の遠位表面にて外科用クリップ200上に生じ、3つの接触点が、外科用クリップ200の近位部(例えば、ヒンジ部206)にて生じる。バネ部材118の圧縮は、外科用クリップ200がピックアップされたときに安定化部材116によって遠位力を提供することができ、外科用クリップ200は、外部力にもかかわらず、安定化部材116と第1及び第2の顎部材108,110の係合面111との間で確実に係合されたままであるようになる。クリップアプライヤ100が完全に閉鎖し、及び/又は外科用クリップ200をラッチしたときだけ、外科用クリップ200は、第1及び第2の顎部材108,110の係合面111から解放される。次いで、第1及び第2の顎部材108,110は開放してとりだされ、外科用クリップ200を所定位置に残すことができる。図2、3、及び図8A~Bは、外科用クリップ200が装填されたクリップアプライヤ100を示しているが、クリップアプライヤ100は、外科用クリップ300と共に用いてもよいことは、容易に理解されるはずである。
【0032】
本発明の外科用クリップ200、300の様々な実施形態は、何れかの適切なサイズで製造することができ、血管、リンパ節、神経、卵管、又は心臓組織など、何れの数の組織にも適用することができる。外科用クリップ200、300の様々な実施形態は、金属及びポリマなど、何れかの適切な生体適合性材料から構成することができる。しかしながら、本発明は、ポリマクリップでの実行に特に適している。従って、外科用クリップ200、300の様々な実施形態は、外科用インプラントに一般に使用されるタイプなど、適切な強度の生体適合性エンジニアリングプラスチックから形成された一体型のポリマ本体から成ることが好ましい。例示的な材料には、ホモポリマ又はコポリマポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン、或いは、射出成形、押出し成形、又は別な方法で加工して同様の物品にできる同様の特性を有する他の熱可塑性材料が含まれる。
【0033】
本発明の多くの特徴及び利点は、詳細な明細書から明らかであり、従って、添付の請求項により、本発明の真の精神及び範囲内にある本発明のこのような特徴及び利点を全て包含するものとする。更に、数多くの変更形態及び変形形態が当業者には容易に見出されることになるので、本発明を図示し説明した正確な構造及び動作に限定することは望ましくなく、従って、全ての適切な変更形態及び等価物に対処可能であり、それらは本発明の範囲に入る。
【符号の説明】
【0034】
100 クリップアプライヤ
100A 近位部
100B 遠位部
102 ハンドル機構
104 シャフト
106 顎構造部
116 安定化部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B