(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】シール印刷専用の回転印刷一体型インクカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B41M 3/06 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
B41M3/06 Z
(21)【出願番号】P 2021510154
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(86)【国際出願番号】 CN2020108313
(87)【国際公開番号】W WO2021052059
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】201910887604.5
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521072364
【氏名又は名称】海明▲聯▼合能源集▲団▼矩▲網▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIMING UNITED ENERGY GROUP MATRIXNETS TECHNOLOGY CO, LTD.
【住所又は居所原語表記】No.2310, 23th Floor, Block A, Wanda Plaza, Tangshan, Hebei 063000,China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】桑 海明
(72)【発明者】
【氏名】甘 戈
(72)【発明者】
【氏名】李 松
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-261906(JP,A)
【文献】特開昭62-222863(JP,A)
【文献】特開2016-168844(JP,A)
【文献】米国特許第09073366(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第110481161(CN,A)
【文献】中国実用新案第210940968(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール印刷専用の回転印刷一体型インクカートリッジであって、
当該インクカートリッジは円筒形または楕円
筒形の外側輪郭を
有し、その内部に空気圧バランスアセンブリが設置され、
当該インクカートリッ
ジの一端面にインク出口が開き、
当該インクカートリッ
ジの外周側壁に通気孔が開き、前記空気圧バランスアセンブリは、
当該インクカートリッ
ジの軸方向の位置において、前記インク出口と通気孔との間にあり、
当該インクカートリッ
ジの外側には、回路基板付きのノズルが設置され、前記ノズルはインク出口に対応し、前記回路基板において、ノズルの制御線に接続された接点が統合されていることを特徴とす
るインクカートリッジ。
【請求項2】
前記インクカートリッ
ジは、両端に開口部を有
するとともに中空構造を有し、前記外周側壁を構成するインクカートリッジ
本体
部と、
該インクカートリッジ本体
部の両端に取り外し可能に接続されたインクカートリッジ上部カバーおよびインクカートリッジ下部カバーと、を含み、前記インク出口は、前記インクカートリッジ下部カバーに開いていることを特徴とする請求項1に記載
のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記インクカートリッジ本体
部の両端には、複数のスロットが設置され、前記インクカートリッジ上部カバーには、前記スロットとマッチする複数の上部カバープラグが設置され、前記インクカートリッジ下部カバーには前記スロットとマッチする複数の下部カバープラグが設置されることを特徴とする請求項2に記載
のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記インクカートリッ
ジの内部には、前記インク出口を覆うフィルター部品が設置され、前記フィルター部品にフィルター穴が均一に分布していることを特徴とする請求項1に記載
のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記フィルター部品は、前記インク出口の周辺側に貼り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のシール印刷専用の回転印刷一体型インクカートリッジ。
【請求項6】
前記空気圧バランスアセンブリは、スポンジ本体と、前記スポンジ本体の前側および後側に設置されたクランプ部材と、ならびに前側および後側に包まれている第1の弾性部材および第2の弾性部材と、を含み、前記第1の弾性部材および第2の弾性部材の両端は、互いに接続されてスピンドル形状を形成し、前記インクカートリッ
ジの内側にクランプされていることを特徴とする請求項1に記載
のインクカートリッジ。
【請求項7】
前記第1の弾性部材の両端にはクランプ穴が開き、前記第2の弾性部材の両端には、前記クランプ穴とマッチするクランプエッジが設置されていることを特徴とする請求項6に記載
のインクカートリッジ。
【請求項8】
前記回路基板は、ネジ、クランプ、または貼り付けによって前記インクカートリッ
ジに固定されていることを特徴とする請求項1に記載
のインクカートリッジ。
【請求項9】
前記インク出口とノズルは、前記インクカートリッ
ジの一端の端から
少なくとも中心まで伸び、インク出口とノズルの
作動長さは
、前記インクカートリッジの外側輪郭が円筒形の場合、前記インクカートリッジ下部カバーの半径又は直径の長さであり、前記インクカートリッジの外側輪郭が楕円筒形の場合、前記インクカートリッジ下部カバーの対応する位置の直径の長さに等しいことを特徴とする請求項
2に記載
のインクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクカートリッジの分野、特に、シール印刷専用の回転印刷一体型インクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一体型インクカートリッジは、ノズルをインクカートリッジに統合し、インクが使い果たされると、新しいインクカートリッジが交換され、つまり、新しい印刷ノズルが同時に交換されるものである。このようなインクカートリッジを使用することで、比較的高い印刷精度と印刷品質を確保でき、しかも、印刷ノズルは、インクカートリッジとともに交換しているため、印刷ノズルの摩耗による印刷品質の低下はない。
【0003】
ただし、従来のインクカートリッジ構造は従来の印刷に使用され、平行印刷にのみ使用される。平行印刷方法は、通常、完了するために複数の前後のストロークを必要とし、これは、時間とエネルギーを消費し、効率が低い。さらに、従来のインクカートリッジの不規則な構造は、プリンター全体のサイズに影響を与え、プリンター構造全体がかさばり、不器用になる。さらに、従来のプリンターの構造設計により、従来の平行プリンターには、円の外縁が十分に丸くないという問題があり、さらに、従来のプリンターの印刷ノズルは紙の表面上を横方向に移動し、そのストロークと次のストロークの間の接合部に、目に見えるエラー、つまり階段状の円形グラフが発生する。
【0004】
ユーザーが円形、楕円形、正方形、長方形のシールなどのパターンを印刷する必要がある場合、上記のデバイスのいずれかを使用することは非常に不便である。そのため、従来のプリンターがかさばり、不器用であり、シールパターンの印刷がうまくできないという問題を解決するために、シール印刷やシール押印の分野で専用可能な小型のポータブル印刷インクカートリッジが緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のインクカートリッジが回転式印刷に適さず、低い印刷効率を引き起こすという問題を解決するために、シール印刷専用の回転印刷一体型インクカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は以下の技術的解決手段を採用する。
【0007】
本発明のシール印刷専用の回転印刷一体型インクカートリッジは、外側の輪郭が円筒形または楕円形であるインクカートリッジ本体を含み、前記インクカートリッジ本体は中空構造であり、その内部に空気圧バランスアセンブリが設置され、前記インクカートリッジ本体の一端面にインク出口が開き、インクカートリッジ本体の外周側壁に通気孔が開き、前記空気圧バランスアセンブリは、インクカートリッジ本体の軸方向の位置において、前記インク出口と通気孔との間にあり、前記インクカートリッジ本体の外側には、回路基板付きのノズルが設置され、前記ノズルはインク出口に対応し、前記回路基板において、ノズルの制御線に接続された接点が統合されている。
【0008】
さらに、前記インクカートリッジ本体は、両端に開口部を有するインクカートリッジ本体と、前記インクカートリッジ本体の両端に取り外し可能に接続されたインクカートリッジ上部カバーおよびインクカートリッジ下部カバーとを含み、前記インク出口は、前記インクカートリッジの下部カバーに開いている。
【0009】
さらに、前記インクカートリッジ本体の両端には、複数のスロットが設置され、前記インクカートリッジの上部カバーには、前記スロットとマッチする複数の上部カバープラグが設置され、前記インクカートリッジの下部カバーに、前記スロットとマッチする複数の下部カバープラグが設置されている。
【0010】
さらに、前記インクカートリッジ本体の内部には、前記インク出口を覆うフィルター部品が設置され、前記フィルター部品にフィルター穴が均一に分布している。
【0011】
さらに、前記フィルター部品は、前記インク出口の周辺側に貼り付けられている。
【0012】
さらに、前記空気圧バランスアセンブリは、スポンジ本体と、前記スポンジ本体の前側および後側に設置されたクランプ部材と、ならびに前側および後側に包まれている第1の弾性部材および第2の弾性部材と、を含み、前記第1の弾性部材および第2の弾性部材の両端は、互いに接続されてスピンドル形状を形成し、前記インクカートリッジ本体の内側にクランプされている。
【0013】
さらに、前記第1弾性部材の両端にはクランプ穴が開き、前記第2の弾性部材の両端には、前記クランプ穴とマッチするクランプエッジが設置されている。
【0014】
さらに、前記回路基板は、ネジ、クランプ、または貼り付けによって前記インクカートリッジ本体に固定されている。
【0015】
さらに、前記インク出口とノズルは、前記インクカートリッジ本体の一端の端から中心まで伸び、インク出口とノズルの有効長さは、インクカートリッジ本体の断面の端から中心までの垂直距離または垂直距離の2倍に等しくなる。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比較して、本発明の有益な技術的効果は以下の通りである。
本発明では、インクカートリッジ本体を規則的な形状に設定し、印刷装置全体をインクカートリッジ設計に適合させて規則的な形状にすることができ、この形態のインクカートリッジ設計により、印刷装置全体がよりコンパクトで携帯可能になる。インクカートリッジ本体の両端が平行で、一方の端面にインク出口があり、インク出口にノズルが付いているので、平行印刷や回転印刷に使用できる。インク出口とノズルとの有効長さは、インクカートリッジ本体の断面の端から中心までの垂直距離または垂直距離の2倍に等しくなり、インクカートリッジを180°または360°回転させるだけでグラフィック印刷が完了し、印刷速度と効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明を、図面の簡単な説明を参照しながら、以下でさらに説明する。
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施例の1つの視点から(第1の弾性部分および第2の弾性部分を除く)の分解図である。
【
図2】本発明の第1の実施例の1つの視点からの構造図である。
【
図3】本発明の第1の実施例のもう1つの視点から(第1の弾性部分および第2の弾性部分を除く)の分解図である。
【
図4】本発明の第1の実施例のもう1つの視点からの構造図である
【
図5】本発明の空気圧バランスアセンブリ構造図である。
【
図6】本発明の空気圧バランスアセンブリの組み立て構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1~6に示すように、シール印刷専用の回転印刷一体型インクカートリッジの第1の実施例であって、
インクカートリッジ1は円筒形の外側輪郭を
有する。具体的には、インクカートリッ
ジ1は、両端に開口部を有する円筒形のインクカートリッジ本体
部101、円形のインクカートリッジ上部カバー102、およびインクカートリッジ下部カバー103からなる。前記インクカートリッジ本体
部101の両端には、複数のスロット1011が設置され、スロットはインクカートリッ
ジの端面に沿って一サークル均等に配置され、前記インクカートリッ
ジ上部カバー102には、インクカートリッジ本体
部101の片側のスロット1011とマッチする複数の上部カバープラグ1021が設置され、前記インクカートリッ
ジ下部カバー103には、インクカートリッジ本体
部101の他側のスロット1011とマッチする複数の下部カバープラグ1031が設置される。使用する場合は、インクカートリッジ上部カバーの上部カバープラグをインクカートリッジ本体
部片側のスロットに挿入し、インクカートリッジ下部カバーの下部カバープラグをインクカートリッジ本体
部他側のスロットに挿入して中空インクカートリッジ本体を形成する。インクカートリッ
ジ1の内側に空気圧バランスアセンブリ2が設置され、空気圧バランスアセンブリ2は、インクカートリッジ本体
部101の内壁にスナップすることができる。具体的には、前記空気圧バランスアセンブリ2は、スポンジ本体201と、前記スポンジ本体201の前側および後側にクランプされたクランプ部材202と、ならびに前側および後側に包まれている第1の弾性部材203および第2の弾性部材204と、を含み、前記第1弾性部材203の両端にはクランプ穴2031が開き、前記第2の弾性部材204の両端には、クランプエッジ2041が成形され、クランプエッジは、クランプ穴にクランプできるため、第1の弾性部材と第2の弾性部材の端を接続させ、前記第1の弾性部材203および第2の弾性部材204の両端は、互いに接続されてスピンドル形状を形成し、前記インクカートリッ
ジ1の内側にクランプされている。インクが少なくなっていると伴い、第1弾性部材と第2弾性部材は変形・収縮せず、サポート役割を果たす。前記インクカートリッ
ジ下部カバー103にインク出口3が開いているため、インクカートリッ
ジ1のインクがインク出口から排出される。インクカートリッ
ジ1の外周側壁に通気孔4が開き、すなわち、インクカートリッジ本体
部101の側壁に、高圧ガスをインクカートリッ
ジ1に充填するために用いられる通気孔が開かれる。前記空気圧バランスアセンブリ2は、インクカートリッ
ジ1の軸方向の位置において、前記インク出口3と通気孔4との間にあり、通気孔に充填された高圧ガスとインク出口との間に、インクカートリッ
ジの空気圧のバランスを保つために使用される空気圧バランスアセンブリ2で遮断させ、これにより、インクカートリッ
ジのインクが一定の負圧を発生し、インクが一気に噴出するのを防ぎ、インクが均一かつゆっくりと流出するようにする。
【0020】
前記インクカートリッジ1の外側には、回路基板5付きのノズル6が設置され、ここで回路基板は、ネジ、クランプ、または貼り付けなどによって前記インクカートリッジ1に固定されている。前記ノズル6はインク出口3に対応し、インク出口から排出されたインクは、ノズルから特定の形で排出される。回路基板にも複数の接点があり、ノズルの制御線を一体化して接点を形成し、駆動基板(図示せず)が接点を接続することにより、ノズルのインク噴射を制御する。
【0021】
インク中の不純物がノズルを詰まらせるのを防ぐために、前記インクカートリッジ1の内部には、前記インク出口3を覆うフィルター部材8が設置され、具体的には、前記フィルター部品8は、前記インク出口3の周辺側に貼り付けられている。前記フィルター部品8にフィルター穴801が均一に分布し、ここでフィルター穴801は、不純物がノズルのノズル穴を詰まらせるのを防ぐために使用される。
【0022】
この実施例では、前記インク出口3およびノズル6の作動長さは、円形インクカートリッジの下部カバーの半径の長さである。インクカートリッジ本体が回転機構の駆動下で回転すると、ノズルがその上のノズル穴からパターンスプレーを行う。この解決手段のノズルは、必要なパターンの印刷を完了するために1つのサイクルを回転させるだけで済み、これにより、従来の平行印刷方法と比較して、印刷ストロークが大幅に短縮され、印刷効率が向上する。さらに、このような回転印刷に適したインクカートリッジは、従来のインクカートリッジよりも形状が規則的であり、印刷装置全体に組み立てることで、印刷装置全体のサイズを縮小でき、装置はよりコンパクトで携帯可能になる。
【0023】
図7に示すように、シール印刷専用の回転印刷一体型インクカートリッジの第3の実施例であって、その他の特徴は上記と同じなので、ここでは更に説明せず、特別なのは、前記インク出口3とノズル6の作動長さが円形インクカートリッジの下部カバーの直径の長さであるか、又は前記インク出口3とノズル6の作動長さが楕円形インクカートリッジの下部カバーの対応する位置の直径の長さに等しいことである。この実施例では、パターンを噴霧するノズルは、所望のパターンの印刷を完了するために、半円または半円以上を回転させるだけでよい。
【0024】
もちろん、断面が円形または楕円形のインクカートリッジ本体は、直径の長さまたは半径の長さのインク出口およびノズルとマッチさせることはすべてよく、ここでさらに説明しない。
【0025】
上記の実施例は、本発明の好ましい実施形態を説明するだけであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の設計精神から逸脱することなく、当業者は、本発明の技術的解決手段に対して行う様々な変形および改善は、本発明の特許請求の範囲によって決定される保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0026】
1 インクカートリッジ
101 インクカートリッジ本体部
1011 スロット
102 インクカートリッジ上部カバー
1021 上部カバープラグ、
103 インクカートリッジ下部カバー、
1031 下部カバープラグ、
2 空気圧バランスアセンブリ
201 スポンジ本体
202 クランプ部材
203 第1の弾性部材
2031 クランプ穴
204 第2の弾性部材
2041 クランプエッジ
3 インク出口
4 通気孔
5 回路基板
6 ノズル
7 接点
8 フィルター部品
801 フィルター穴