(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】倉庫内商品販売システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220506BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20220506BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2021516839
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(86)【国際出願番号】 JP2020026416
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】株式会社日立物流
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 高志
(72)【発明者】
【氏名】前田 久米男
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-108694(JP,A)
【文献】特開2015-114809(JP,A)
【文献】特開2006-106878(JP,A)
【文献】特開2019-36156(JP,A)
【文献】特開2018-206226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0296682(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項7】
荷主から預かって倉庫に保管している商品を、消費者に販売する倉庫内商品販売システムを、
前記荷主から預かって倉庫に保管している商品の保管期間を管理する管理部、
前記保管期間が、所定の条件を満たすかどうかを判断する判断部、
前記所定の条件を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を、前記消費者が購入可能なECマーケットに出品する出品部、
前記消費者が、前記荷主に関連する店舗に来店したことを認識する認識部、
前記認識した場合に、当該店舗に関連する前記荷主が出品した商品だけを、前記消費者に販売する販売部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷主から預かって倉庫に保管している商品を、消費者に販売する倉庫内商品販売システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者が商品を購入する際、EC(electronic commerce)販売が主流になっているところ、倉庫に保管した商品の取引に関する技術が注目されている。
例えば、特許文献1には、オンラインで注文を受けた商品を倉庫から指定の店舗に送り当該店舗で購入者に受け渡す販売形態を管理する技術が提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、特許文献2には、物理倉庫内に、流通チャネル毎の論理倉庫を作成し、チャネル別の在庫管理を行う技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-61036号公報
【文献】特開2019-109605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、消費者が商品を購入する際、EC(electronic commerce)販売が主流になることで、スーパーや百貨店、家電販売店等の実際の店舗で購入する消費者が減っている。そのため、小売業にとっては来店者を増やすことが望まれる。
ここで、この店舗がEC販売を行うと、EC販売により実際の店舗の売上げが下がる場合があるため、双方の売上を最大にするためには、来店させる動機づくりと、EC販売の売上を上げることが望ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2の技術では、店舗に来店する動機づくりと、EC販売の売上アップとを両立させることができない。
【0007】
また、このような店舗に商品を配送、保管する物流会社にとっては、倉庫保管手数料よりも、出荷手数料の方が高いため、出荷回転数を上げることが望ましいという事情もある。
【0008】
本発明は、これらの課題に鑑み、店舗にとっては、顧客が来店する動機づくりとなり、EC販売の売上を伸ばすことが可能であり、かつ、物流会社にとっては、倉庫内商品の出荷を増加させることが可能な倉庫内商品販売システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
本発明は、荷主から預かって倉庫に保管している商品を、消費者に販売する倉庫内商品販売システムであって、
前記荷主から預かって倉庫に保管している商品の保管期間を管理する管理部と、
前記保管期間が、所定の条件を満たすかどうかを判断する判断部と、
前記所定の条件を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を、前記消費者が購入可能なECマーケットに出品する出品部と、
前記消費者が、前記荷主に関連する店舗に来店したことを認識する認識部と、
前記認識した場合に、当該店舗に関連する前記荷主が出品した商品だけを、前記消費者に販売する販売部と、
を備える倉庫内商品販売システムを提供する。
【0010】
また、本発明は、管理部は、商品について、少なくとも前記出品及び前記販売に関する取引の内容を、分散型台帳に記録して管理してもよい。
【0011】
また、本発明は、前記管理部は、倉庫に保管している商品に設定されている商品期限を管理し、
前記判断部は、前記商品期限が、前記所定の条件を満たすかどうかを判断してもよい。
【0012】
また、本発明は、前記判断部は、前記所定の条件を、複数段階のレベルで判定し、
前記出品部は、前記レベルに応じて、出品条件を変更可能でもよい。
【0013】
また、本発明は、前記出品部は、前記荷主の商品だけを出品するか、前記荷主が所属するグループの他の荷主の商品ならば出品するかを、変更可能であり、
前記販売部は、前記変更に応じて、前記荷主の商品だけを販売するか、荷主が所属するグループの他の荷主の商品ならば販売するかを、変更可能でもよい。
【0014】
また、本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、顧客が来店する動機づくりとなり、EC販売の売上を伸ばすことが可能であり、かつ、物流会社にとっては、倉庫内商品の出荷を増加させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る倉庫内商品販売システムの概要を説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る倉庫内商品販売システムの機能構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る商品管理データベースを模式的に示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る出品判断データベースを模式的に示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る倉庫内商品販売システムが実行する倉庫内商品販売処理フローを示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る倉庫内商品販売システムの端末における表示例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る倉庫内商品販売システムの端末における表示例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る倉庫内商品販売システムの端末における表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0018】
(基本概念/基本構成)
図1は、本発明の実施形態に係る倉庫内商品販売システムの概要を説明する図である。
倉庫内商品販売システム1は、荷主から預かって倉庫に保管している商品を、消費者に販売する倉庫内商品販売装置10と、倉庫内商品販売装置10にネットワークを介して接続され、倉庫に保管されている商品を管理する倉庫管理装置20と、店舗に来店した消費者に操作される端末30と、を含む。
【0019】
倉庫内商品販売システム1において、倉庫内商品販売装置10は、本実施形態では、クラウドサーバであり、例えば、倉庫の管理者(物流会社等)に管理される。
倉庫管理装置20は、例えば、複数の荷主(
図1に示す例では、荷主A、荷主B、荷主C:小売会社、小売グループ等)から、それぞれ、預かり保管され出荷される商品を管理している。
【0020】
倉庫内商品販売システム1は、荷主から預かって倉庫に保管している商品の保管期間を管理する。また、倉庫内商品販売システム1は、保管期間が、所定の条件(例えば、保管期間が予め設定された期間以上になっているか等)を満たすかどうかを判断する。
【0021】
そして、倉庫内商品販売システム1は、所定の条件(例えば、保管期間が予め設定された期間以上になっている等)を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を、消費者が購入可能なECマーケットに出品する。
【0022】
また、倉庫内商品販売システム1は、消費者が、荷主に関連する店舗(
図1に示す例では、荷主Aに関連する荷主A関連店舗)に来店したことを認識する。具体的には、店舗に来店した消費者に操作される端末30により、当該店舗に配置されている二次元バーコード等が読み取られ、この二次元バーコード等が示す情報に基づき、消費者が当該店舗に来店したことを示す来店情報を、倉庫内商品販売装置10に送信する。また、店舗に来店した消費者に操作される端末30により、当該店舗に配置されているWi-fiのSSID(Service Set Identifier)に接続した場合や、当該店舗の出入り口等に配置されたAP(Access Point)と通信した場合に、来店情報を、倉庫内商品販売装置10に送信してもよい。
【0023】
倉庫内商品販売装置10は、端末30から、来店情報を受信した場合、ECマーケットにおいて、当該店舗に関連する荷主が出品した商品だけを、消費者に販売する。
図1に示す例では、消費者が荷主A関連店舗に来店し、荷主A関連店舗に来店したことを示す来店情報が、端末30から倉庫内商品販売装置10に送信されている。このため、ECマーケットでは、荷主Aが出品した商品だけ販売される。
【0024】
例えば、倉庫内商品販売システム1において、消費者は、端末30において、ECマーケットで商品を購入することで、購入した商品は、倉庫から、消費者が指定した場所(例えば、自宅等)に配達される。
【0025】
このような倉庫内商品販売システム1によれば、消費者は、実際の店舗に来店した場合にのみ、倉庫に保管され、所定の条件を満たす商品を、購入することができる。
したがって、店舗にとっては、顧客が来店する動機づくりとなり、EC販売の売上を伸ばすことが可能であり、かつ、物流会社にとっては、倉庫内商品の出荷を増加させることが可能となる。
【0026】
(機能構成)
図2は、本発明の実施形態に係る倉庫内商品販売システムの機能構成を示す図である。
倉庫内商品販売システム1は、倉庫内商品販売装置10と、倉庫内商品販売装置10にネットワークを介して接続された、倉庫管理装置20と、端末30と、分散管理台帳を構成する複数の格納部100と、を備える。なお、本実施形態では、倉庫管理装置20を倉庫内商品販売装置10とは別の装置として説明するが、倉庫管理装置20を省略し、後述する倉庫管理装置20の機能を、倉庫内商品販売装置10が備えてもよい。
【0027】
(倉庫内商品販売装置の機能構成)
倉庫内商品販売装置10は、管理部11と、判断部12と、出品部13と、認識部14と、販売部15と、を備える。
【0028】
管理部11は、荷主から預かって倉庫に保管している商品の保管期間を管理する。また、管理部11は、倉庫に保管している商品に設定されている商品期限を管理する。
【0029】
詳細には、管理部11は、倉庫管理装置20から、倉庫に搬入された商品毎に当該商品に関する商品情報を受け付け、商品情報に基づき、商品管理データベース(DB)を生成・更新し、複数の格納部100に分散して記録して管理する。
【0030】
図3は、本発明の実施形態に係る商品管理データベースを模式的に示す図である。
商品情報には、商品を識別する商品識別情報、当該商品の荷主及び荷主の所属(荷主が所属するグループ等)、当該商品の搬入日、商品期限(例えば、消費期限、品質保証期限等)、販売定価等を示す情報が含まれている。
【0031】
管理部11は、商品情報に基づき、商品識別情報に、当該商品の荷主及び荷主の所属、当該商品の搬入日、商品期限、販売定価等を対応付け、商品管理DBを生成する。そして、管理部11は、所定間隔(例えば、1日毎等)で、商品管理DBを更新する。具体的には、管理部11は、搬入日と更新した日とに基づき、倉庫に搬入されてから更新した日までの日数である保管期間を算出し、商品管理DBにおいて、算出した保管期間を商品識別情報に対応付ける。また、管理部11は、更新した日と商品期限とに基づき、更新した日から商品期限までの日数である商品期限残り日数を算出し、商品管理DBにおいて、算出した商品期限残り日数を商品識別情報に対応付ける。
【0032】
図3を用いて、具体的に説明すると、更新日2020/5/31において、例えば、
図3中最上段の商品(商品識別情報:A・・・01)であれば、管理部11は、更新する処理で、搬入日(2020/2/29)から更新した日(2020/5/31)までの日数である保管期間として、92日を算出し、商品識別情報に対応付けている。
【0033】
また、更新日2020/5/31において、例えば、
図3中最上段の商品(商品識別情報:A・・・01)であれば、管理部11は、更新する処理で、更新した日(2020/5/31)から商品期限(2020/6/8)までの日数である商品期限残り日数として、8日を算出し、商品識別情報に対応付けている。
【0034】
また、管理部11は、商品について、少なくとも出品及び販売に関する取引の内容を、分散型台帳に記録して管理する。
具体的には、例えば、管理部11は、所定間隔で更新した商品管理DBを累積したデータ(例えば、2020/5/1~2020/5/31までの商品管理DBを全て含むデータ)のハッシュ値を生成し、この生成したハッシュ値を、分散型台帳の一例である複数の格納部100に、それぞれ記憶する。
【0035】
また、この場合、管理部11は、任意のタイミング(例えば、商品管理DBを更新するタイミング等)で、商品管理DBが累積されたデータのハッシュ値が、複数の格納部100からそれぞれ抽出し、抽出したハッシュ値を互いに対比してもよい。正常であれば、複数の格納部100からそれぞれ抽出したハッシュ値は、全て同じである。しかしながら、例えば、いずれかの格納部100に記憶されたハッシュ値が改ざんされていた場合や正常に記憶されていなかった場合、全て同じにならない。この場合、管理部11は、複数の格納部100からそれぞれ抽出した複数のハッシュ値のうち、半数以上同一のハッシュ値を、正規のハッシュ値と判定する。また、管理部11は、この場合、互いに異なるハッシュ値を対比し、差分から、差分が発生したタイミングを特定してもよい。このように構成することで、商品管理DBの正確性とセキュリティを向上することが可能となる。
【0036】
判断部12は、保管期間が、所定の条件を満たすかどうかを判断する。また、判断部12は、商品期限が、所定の条件を満たすかどうかを判断する。詳細には、判断部12は、商品管理DBの更新に応じて、商品管理DB及び出品判断データベース(DB)を参照し、商品管理DBに記憶されている各商品が、保管期間や商品期限が所定の条件を満たすか否かを判断し、所定の条件を満たす商品を抽出する。
【0037】
図4は、本発明の実施形態に係る出品判断データベースを模式的に示す図である。
出品判断DBは、複数段階の判断レベルに、各レベルの保管期間の下限値、各レベルの商品期限残り日数の上限値及び割引き率を示す情報が対応付けられている。
【0038】
図4に示す例では、判断部12は、出品判断DBを参照することで、商品管理DBにおいて、例えば、ある商品の保管期間が30日以上60日未満であるか、または、商品期限残り日数が21日以上30日以下である場合、レベル1と判断する。
【0039】
また、判断部12は、ある商品の保管期間に基づき判断したレベルと、商品期限残り日数に基づき判断したレベルと、が異なる場合、より高いレベルの方を、当該商品のレベルと判断する。具体的には、判断部12は、例えば、ある商品の保管期間が30日であり(レベル1)、商品期限残り日数が20日である(レベル2)場合、当該商品のレベルをレベル2と判断する。
【0040】
なお、判断部12は、保管期間が30日未満、かつ、商品期限残り日数が31日以上の場合、所定の条件を満たさないと判断する。
また、判断部12は、保管期間にのみ基づき判断してもよいし、保管期間及び商品期限残り日数以外の条件を、所定の条件に加え、レベルを判定してもよい。
【0041】
図2に戻って、出品部13は、所定の条件を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を、消費者が購入可能なECマーケットに出品する。詳細には、出品部13は、判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品を販売するECマーケットを開催するためのECマーケットデータを生成する。このECマーケットデータは、荷主毎または荷主の所属毎に生成され、消費者が端末30でアクセスすることで、当該端末30において、ECマーケット画面を表示可能とするデータである。
【0042】
また、出品部13は、出品判断DB(
図3参照)を参照して、商品毎に、判断部12が判断したレベルに応じた価格を決定し、決定した価格を示す情報を含むECマーケットデータを生成する。具体的には、
図3に示す例によれば、出品部13は、判断部12が、例えば、レベル1と判断した商品の価格を定価の90%に決定し、レベル2と判断した商品の価格を定価の80%に決定する。すなわち、出品部13は、レベルに応じて、出品条件を変更可能である。このように、ECマーケットに出品される商品の価格を割り引くことで、EC販売の売上を伸ばすことが可能となる。
【0043】
また、出品部13は、荷主の商品だけを出品するか、荷主が所属するグループの他の荷主の商品ならば出品するかを、変更可能である。出品部13は、荷主の要望に応じた設定等の任意の設定により、荷主の商品だけ出品するか、荷主が所属するグループの他の荷主の商品も出品するかを決定してよい。
【0044】
認識部14は、消費者が、荷主に関連する店舗に来店したことを認識する。詳細には、認識部14は、消費者に操作される端末30から、消費者が来店した店舗を示す情報(どの荷主に関連する店舗かを示す情報)や、端末30を操作する消費者を識別する消費者識別情報を含む来店情報を受信した場合に、消費者が、来店情報に示されている荷主に関連する店舗に来店したことを認識する。
【0045】
販売部15は、認識部14において、消費者が荷主に関連する店舗に来店したことを認識した場合に、当該店舗に関連する荷主が出品した商品だけ、または、出品部13において、荷主が所属するグループの他の荷主の商品も出品すると決定していた場合には、荷主の商品に加え、荷主が所属するグループの他の荷主の商品も、消費者に販売する。
【0046】
詳細には、販売部15は、来店情報を送信した端末30に、出品部13が生成したECマーケットデータのうち、来店情報に示されている店舗の荷主または当該荷主の所属のECマーケット画面を表示可能とするECマーケットデータを送信する。これにより、端末30に、ECマーケット画面が表示され、消費者は、このECマーケット画面において、出品されている商品を購入することが可能となる。
【0047】
また、販売部15は、端末30から、ある商品を購入することを示す購入情報を受信する。販売部15は、購入情報を受信した場合、金銭的価値や、荷主が指定する価値(例えば、荷主や荷主の所属の店舗やECマーケットで使用可能なポイント)による決済処理を行う。また、販売部15は、決済処理が完了したら、決済処理を行った商品の商品識別情報と、当該商品を購入した消費者の名前や名称を示す購入者情報と、購入した商品の配達指定場所を示す納品場所情報と、を少なくとも含む商品発送依頼情報を、倉庫管理装置20に送信する。また、管理部11は、販売部15により決済処理が完了した商品に関する情報を、商品管理DB(
図3参照)から削除する。
【0048】
なお、倉庫内商品販売装置10は、ECマーケットを利用可能な消費者に関する消費者情報を、予め記憶部に記憶していてもよい。消費者情報には、例えば、消費者識別情報、消費者の名前や住所等の消費者情報、荷主が指定する価値(ポイント)の大きさを示す情報が含まれる。また、荷主が指定する価値(ポイント)は、例えば、認識部14が来店情報を受信した場合、当該来店情報に含まれる消費者識別情報に対応付けられた値に、所定量(例えば、5ポイント等)を追加してもよい。
【0049】
(倉庫管理装置の機能構成)
倉庫管理装置20は、倉庫に搬入された商品毎に、倉庫に搬入された商品毎に当該商品に関する商品情報(商品識別情報、当該商品の荷主及び荷主の所属、当該商品の搬入日、商品期限、販売定価等を示す情報を含む。)を生成し、倉庫内商品販売装置10に送信する。
【0050】
倉庫管理装置20は、倉庫の管理者等の操作に基づき、商品情報を生成してもよいし、例えば、倉庫の搬入口に設置された撮像部(例えば、カメラ等)で撮像された画像を解析し(例えば、商品の包装容器に記載された商品期限を撮像した画像を文字認識する等)、商品情報を生成してもよいし、例えば、荷主が操作する装置等の外部装置から送信された、搬入された商品に関する情報に基づき、商品情報を生成してもよい。
【0051】
また、倉庫管理装置20は、倉庫内商品販売装置10から、商品発送依頼情報を受信した場合、当該商品発送依頼情報に基づき、商品を消費者(購入者)に指定された配達指定場所に発送するための発送処理を行う。
【0052】
(端末の機能構成)
端末30は、それぞれの消費者に操作される、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等で構成され、それぞれ倉庫内商品販売装置10とネットワークを介して情報を送受信可能に接続され、端末制御部31と、入出力部32と、送受信部33と、を備える。なお、端末30は、店舗に設置されているタブレット端末等の装置であってもよい。
【0053】
端末制御部31は、店舗に来店した消費者による入出力部32の操作に応じて、例えば、端末30が備えるカメラで、当該店舗に配置されている二次元バーコード等を読み取り、この二次元バーコード等が示す情報に基づき、消費者が当該店舗に来店したことを示す来店情報を、送受信部33を介して、倉庫内商品販売装置10に送信する。また、端末制御部31は、消費者による入出力部32の操作に応じて、消費者情報を生成し、倉庫内商品販売装置10に送信する。
【0054】
また、端末制御部31は、消費者による入出力部32の操作に応じて、倉庫内商品販売装置10から送信されたECマーケットデータを、送受信部33を介して受信し、入出力部32にECマーケット画面を表示する。
【0055】
また、端末制御部31は、ECマーケット画面において、消費者が所望する商品を購入するための操作を受け付け、送受信部33を介して、当該商品を購入することを示す購入情報を、倉庫内商品販売装置10に送信する。なお、端末制御部31は、消費者が所望する商品の配達場所や配達日時を示す情報を含む購入情報を、倉庫内商品販売装置10に送信してもよい。
【0056】
入出力部32は、例えば、タッチパネルで構成され、消費者の操作を受け付けるとともに、端末制御部31の制御により、例えば、倉庫内商品販売装置10にアクセスすることで表示されるECマーケット画面を表示する。
【0057】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0058】
(処理フロー)
図5は、本発明の実施形態に係る倉庫内商品販売システムが実行する倉庫内商品販売処理フローを示す図である。倉庫内商品販売処理は、本実施形態では、倉庫内商品販売装置10が実行する。
【0059】
ステップS1において、判断部12は、管理部11が生成し更新する、荷主から預かって倉庫に保管している商品の保管期間を管理する商品管理DB(
図3参照)及び出品判断DB(
図4参照)を参照し、商品管理DBに記憶されている各商品が、保管期間や商品期限が所定の条件を満たすか否か(レベル)を判断し、所定の条件を満たす商品を抽出する。
【0060】
ステップS2において、出品部13は、判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品を販売するECマーケットを開催するためのECマーケットデータを生成する。また、出品部13は、出品判断DB(
図3参照)を参照して、商品毎に、ステップS1で判断部12が判断したレベルに応じた価格を決定し、決定した価格を示す情報を含むECマーケットデータを生成する。
【0061】
ステップS3において、認識部14は、消費者に操作される端末30から、消費者が来店した店舗を示す情報(どの荷主に関連する店舗かを示す情報)を含む来店情報を受信する。
【0062】
ステップS4において、販売部15は、ステップS3で認識部14が受信した来店情報に含まれる店舗を示す情報が示す店舗に関連する荷主が出品した商品だけ、または、当該荷主の商品に加え、荷主が所属するグループの他の荷主の商品も、消費者に販売する。
【0063】
ステップS5において、販売部15は、端末30から、ある商品を購入することを示す購入情報を受信する。販売部15は、購入情報を受信した場合、当該商品について決済処理を行う。
【0064】
ステップS6において、販売部15は、ステップS5で決済処理が完了したら、商品発送依頼情報を、倉庫管理装置20に送信する。倉庫管理装置20は、倉庫内商品販売装置10から、商品発送依頼情報を受信した場合、当該商品発送依頼情報に基づき、商品を消費者(購入者)に指定された配達指定場所に発送するための発送処理を行う。
【0065】
図6、
図7及び
図8は、本発明の実施形態に係る倉庫内商品販売システムの端末における表示例を示す図である。
消費者は、店舗に来店したら、
図6に示すように、端末30で、当該店舗に配置されている二次元バーコード等を読み取り、「来店」ボタンを操作する。これにより、端末30は、消費者情報を倉庫内商品販売装置10に送信し、倉庫内商品販売装置10は、ステップS3の処理を実行する。
【0066】
倉庫内商品販売装置10がステップS4の処理を実行することで、端末30は、ECマーケットデータを受信し、
図7に示すように、ECマーケット画面を表示する。
【0067】
ECマーケット画面には、来店した店舗の荷主のECマーケットである旨の表示(A ストアフリマ)や、倉庫内商品販売装置10の判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品の情報が表示される。
商品の情報には、商品の写真(図示省略)、商品識別情報、判断部12が判断したレベルに応じた販売価格、判断部12が判断したレベルに応じた定価に対する割引き率等が含まれる。
【0068】
具体的には、
図7は、
図3に示す商品管理DBに基づき生成されたECマーケット画面である。
図3に示す例では、保管期間や商品期限残り日数が所定の条件(
図4に示す例では、保管期間がレベル1の30日以上、または、商品期限残り日数がレベル1の30以下)を満たす、荷主A及び荷主Aの所属の商品は、「商品識別情報:A・・・01」、「商品識別情報:A・・・02」、「商品識別情報:B・・・01」である。このため、
図7に示すECマーケット画面の表示例では、この3つの商品が表示されている。このように、ECマーケット画面は、倉庫内商品販売装置10において、消費者が来店したことを検知して、その荷主が何を出品しているかを通知する機能を有する。
【0069】
また、各商品の表示枠中には、ECマーケットにおける販売価格と、定価に対する割引き率と、が表示されている。例えば、
図7中最上段の商品(商品識別情報:A・・・01)は、
図4に示す出品判断DBの例で判断すると、レベル3である。このため、
図3に示す商品管理DBの例に示す「商品識別情報:A・・・01」の定価「1,000円」に、レベル3の割引き率である70%を乗じた価格である「700円」と、定価に対する割引き率である「3割引き」と、表示されている。
【0070】
なお、本実施形態で説明した例では、出品部13は、荷主毎または荷主の所属毎に、ECマーケットデータを生成し、来店情報に示されている店舗の荷主または当該荷主の所属のECマーケット画面を表示可能とするECマーケットデータを、端末30に送信している。しかしながら、これに限らず、出品部13は、倉庫に商品を預けている全ての荷主の商品を表示可能な全体ECマーケットデータを生成し、全体ECマーケットデータを、来店情報に示されている店舗の荷主または当該荷主の所属の商品でフィルタした個別ECマーケット画面を表示可能とする個別ECマーケット画面を、端末30に送信してもよい。
【0071】
例えば、
図7に示すECマーケット画面において、
図7中最上段の商品(商品識別情報:A・・・01)を、消費者が選択する操作することで、
図8に示す商品購入画面に遷移する。
商品購入画面には、消費者に選択された商品の情報と、「購入」ボタンが表示されている。この「購入」ボタンを消費者が操作することで、端末30は、購入情報を倉庫内商品販売装置10に送信し、倉庫内商品販売装置10は、ステップS5,6の処理を順次実行する。
【0072】
このような倉庫内商品販売システム1によれば、消費者は、実際の店舗に来店した場合にのみ、倉庫に保管され、所定の条件を満たす商品を、購入することができる。
したがって、店舗にとっては、顧客が来店する動機づくりとなり、EC販売の売上を伸ばすことが可能であり、かつ、物流会社にとっては、倉庫内商品の出荷を増加させることが可能となる。
【0073】
また、倉庫内商品販売システム1によれば、管理部11が、商品について、少なくとも出品及び販売に関する取引の内容が記憶された商品管理DBを、分散型台帳としての複数の格納部100に記録して管理する。これにより、商品管理DBの改ざんや、一部の格納部の破損によるデータ喪失を防止できるので、商品管理DBの正確性やセキュリティを向上することが可能となる。
【0074】
また、倉庫内商品販売システム1によれば、判断部12は、商品の保管期間のみでなく、商品期限が、所定の条件を満たすかどうかを判断し、この判断に応じてECマーケットに商品を出品する。これにより、倉庫で預かっている商品が、商品期限切れになってしまい、商品価値が喪失するのを防止することが可能となる。
【0075】
また、倉庫内商品販売システム1によれば、出品部13は、判断部12が判断したレベルに応じて、商品の出品条件を変更可能である。これにより、例えば、レベルに応じた販売価格を設定することも可能となり、例えば、より長い期間、売れ残っている商品の販売価格を下げる等の売主の商品販売に対する意向を反映させることが可能となる。
【0076】
また、倉庫内商品販売システム1によれば、販売部15は、ECマーケットにおいて、消費者が来店した店舗の荷主の商品だけを販売するか、当該荷主が所属するグループの他の荷主の商品ならば販売するかを、変更可能である。これにより、ECマーケットにおける商品の品揃えを、より充実させることが可能となる。
【0077】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、倉庫内商品販売システムについて説明したが、本発明において倉庫内商品販売システムが実行する方法や、倉庫内商品販売システムを各種手段として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。
【符号の説明】
【0078】
1 倉庫内商品販売システム
10 倉庫内商品販売装置
11 管理部
12 判断部
13 出品部
14 認識部
15 販売部
20 倉庫管理装置
30 端末
31 端末制御部
32 入出力部
33 送受信部
【要約】
店舗にとって、顧客が来店する動機づくりとなり、かつEC販売の売上を伸ばすことが可能であり、物流会社にとって、倉庫内商品の出荷を増加させることを可能とする、倉庫内商品販売システムを提供する。本発明の倉庫内商品販売システム(1)は、荷主から預かって倉庫に保管している商品を、消費者に販売し、荷主から預かって倉庫に保管している商品の保管期間を管理する管理部(11)と、保管期間が、所定の条件を満たすかどうかを判断する判断部(12)と、所定の条件を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を、消費者が購入可能なECマーケットに出品する出品部(13)と、消費者が、荷主に関連する店舗に来店したことを認識する認識部(14)と、認識した場合に、当該店舗に関連する荷主が出品した商品だけを、消費者に販売する販売部(15)と、を備える。