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特許7066922五倍子抽出物およびフラキシンを有効成分として含む認知機能の改善、認知症および注意欠陥多動性障害の予防または治療用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】五倍子抽出物およびフラキシンを有効成分として含む認知機能の改善、認知症および注意欠陥多動性障害の予防または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/22 20060101AFI20220506BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20220506BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220506BHJP
   A23L 33/105 20160101ALN20220506BHJP
【FI】
A61K36/22
A61K31/7034
A61P25/28
A23L33/105
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021535156
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2018016129
(87)【国際公開番号】W WO2020130172
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521264589
【氏名又は名称】キム,サン ヒ
(73)【特許権者】
【識別番号】521264590
【氏名又は名称】キム,ヒョン キ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ソン ア
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2014-0029510(KR,A)
【文献】特表2003-532634(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2011-0110638(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/22
A61K 31/7034
A61P 25/28
A23L 33/105
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
五倍子抽出物およびフラキシンを有効成分として含む認知症の予防または治療用組成物であって、前記フラキシンの濃度は、0.5mMであることを特徴とする組成物。
【請求項2】
五倍子抽出物およびフラキシンを有効成分として含む注意欠陥多動性障害の予防または治療用組成物であって、前記フラキシンの濃度は、0.5mMであることを特徴とする組成物。
【請求項3】
五倍子抽出物およびフラキシンを有効成分として含む認知機能の改善用組成物であって、前記フラキシンの濃度は、0.5mMであることを特徴とする組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、五倍子抽出物およびフラキシンを有効成分として含む認知機能の改善、認知症および注意欠陥多動性障害の予防または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
認知症による認知機能、すなわち記憶力の低下は、主に内科的、神経科的原因によって脳神経の一時的あるいは持続的な損傷が発生することによって、社会生活と日常生活の維持に顕著な困難が発生する「症候群」と言える。
【0003】
アルツハイマー型認知症は、認知症患者の過半数を占めている。アルツハイマー型認知症の発病機序は、未だ明確に明らかにされていないが、脳病変に沈着する神経毒性タンパク質(β-amyloid protein)の毒性が最も重要な原因として提示されている。
【0004】
アルツハイマー型認知症および脳卒中の後あるいは脳動脈硬化による広範囲な脳病弁が発生することによって誘発される脳血管性認知症が認知症疾患の約90%を占める。
【0005】
認知症患者は、主に大脳皮質および大脳辺縁系で多様な神経伝達物質系の顕著な機能低下および大脳エネルギー物質代謝の機能低下を示し、特にアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s Disease;AD)においては、患者のアセチルコリン(acetylcholine;ACh)系、グルタミン酸系、神経ペプチド(neuropeptides)系およびモノアミン系での神経伝達の機能低下が現れて、これら神経伝達系の機能障害がADの主な原因であると推定されている。
【0006】
また、β-アミロイドペプチドによって誘発された神経細胞の毒性作用の観点から、β-アミロイドペプチドの細胞外への老人斑の集積を通した海馬の神経細胞の脱落による発症機序も、ADの主な原因の1つと推定されている。
【0007】
現在、認知症の治療は、症状を早期に発見して治療することによって進行を遅らせることに目標を置いていて、現段階で認知症の進行を抑制したり予防し得る薬物はない。米国FDAの許可を受けて市場に発売された製品は、Cogne(Parke-Davis),Aricept(Eisai & Pfizer)、Exellon(Novartis)およびEbixa(Lundbeck)があるが、Ebixaを除いた薬物は、単にアルツハイマーにより現れる症状の一部を緩和(神経伝達物質であるAcetylcholineの濃度を高めるために、これの分解酵素であるAcetylcholine exteraseを抑制)させ、患者および保護者を安心させるのに寄与しているだけである。
【0008】
このようなAChE抑制薬物は、コリン性神経が機能的に損傷しなかったとき、最も効果的であり、これら薬物の効能は、コリン性神経機能の減退に伴って減少するので、軽症や重症度の老人性認知症の初期段階にのみ効果があり、大部分が末梢神経のコリン性副作用を示し、半減期が非常に短く、肝毒性などの深刻な副作用があり、特にコグネックス(Cognex)の有効成分である9-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロアクリジン(THA)は、経口投与時に、知覚能力の向上の所見を示すが、ふるえ、めまい、肝毒性などの深刻な副作用を伴っていて、広く活用されていないのが現状である。
【0009】
一方、このようなAChE抑制薬物の短所を発現しない生薬として高麗人参を主成分として数種の生薬を混合抽出した製品が韓国特許公開第99-85202号と米国特許第6,010,702号に開示されているが、このような生薬混合抽出物の場合、老人性認知症にある程度の薬効を示しているが、副作用など未だ確実かつ安定した効果を保障しない。
【0010】
一方、注意欠陥多動性障害(ADHD)は、学童期の子供のうち3~5%で発生することが推測された。今までこの病気の治療のために提案された精神薬理剤は、刺激的な化合物(アンフェタミンとメチルフェニデート)、三環系抗うつ薬(イミプラミン、アミトリプチリン)および抗精神病薬(フェノチアジン、ハロペリドール)である。メチルフェニデートは、多動性障害と注意欠陥において良好な効果が立証されて、様々な医学研究の目的になった。しかし、反作用として高血圧が報告され、時々衝動性が増加することを示した。メチルフェニデートで治療する中に、目周りの黒い円、瞳孔拡大、頭痛、食欲減退のような頻繁な副作用が報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決し、上記の必要性によって案出されたものであって、本発明の目的は、新規の認知症(AD)の予防または治療用組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、注意欠陥多動性障害(ADHD)の予防または治療用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明は、五倍子抽出物およびフラキシンを有効成分として含む認知症の予防または治療用組成物を提供する。
【0014】
また、本発明は、五倍子抽出物およびフラキシンを有効成分として含む注意欠陥多動性障害の予防または治療用組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、五倍子抽出物およびフラキシンを有効成分として含む認知機能の改善用組成物を提供する。
【0016】
本発明の一具現例において、前記フラキシンの濃度は、0.1~0.5mMであることが好ましいが、これに限定されない。
【0017】
本発明の組成物は、薬剤学的組成物として提供され得る。本発明による薬剤学的組成物は、薬剤学的組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含むことができる。本発明の組成物の薬剤学的投与形態は、これらの薬剤学的許容可能な塩の形態で使用され得、また、単独でまたは他の薬剤学的活性化合物と結合だけでなく、適当な集合で使用され得る。前記塩としては、薬剤学的に許容されるものであれば、特に限定されず、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ギ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、スクシン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などを使用することができる。
【0018】
本発明による薬剤学的組成物は、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾル等の経口型剤形、軟膏、クリーム等の外用剤、坐剤および滅菌注射溶液等をはじめとして薬剤学的製剤に適したいかなる形態で剤形化して使用され得る。
【0019】
本発明による薬剤学的組成物において、本発明の抽出物または化合物の好ましい投与量は、対象者の年齢、性別、体重、症状、病気の程度、薬物形態、投与経路および期間によって異なるが、当業者により適宜選択され得る。しかし、好ましい効果のために、本発明の組成物は、1日に0.001~500mg/kg体重で投与した方が良い。投与は、一日に1回投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。また、その投与量は、年齢、性別、体重、病気の程度、投与経路などによって増減することができる。したがって、前記投与量は、いかなる面においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0020】
本発明による薬剤学的組成物は、ラット、マウス、家畜、ヒト等の哺乳動物に非経口、経口等の多様な経路で投与され得、投与のすべての方式は予想され得るが、例えば、経口、直腸または静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜または脳血管内(intracerebroventricular)注射により投与され得る。
【0021】
また、本発明の組成物は、食品添加剤または機能性食品組成物として提供され得る。本発明による食品組成物は、例えば、チューインガム、キャラメル製品、キャンディ類、氷菓子類、菓子類等の各種食品類、清涼飲料、ミネラルウォーター等の飲料製品、ビタミンやミネラル等を含む健康機能性食品類でありうる。
【0022】
この際、前記食品中の前記抽出物または化合物の量は、全体食品重量の0.001~99.9重量%で加えることができ、飲料中には、100mlを基準として0.001~0.1gの割合で加えることができる。
【0023】
本発明の飲料は、指示された割合で必須成分として前記抽出物および化合物を含有すること以外には、他の成分には特別な制限がなく、通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物等を追加成分として含有することができる。
【0024】
上記の以外に本発明の健康機能性食品組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、ミネラル(電解質)、合成風味剤および天然風味剤等の風味剤、着色剤および増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤等を含有することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、五倍子抽出物およびフラキシン組成物は、Aβ(1-42)の投与によって誘導されたアルツハイマー認知症モデルおよびAPPswe/PS1dE9二重発現アルツハイマー認知症モデルにおいて有意に認知記憶能力を向上させ、amyloid plaqueの生成を抑制することを糾明し、そのような結果は、アルツハイマー病に対する五倍子抽出物およびフラキシンの組合せの治療物質としての有用性を提示し、また、五倍子抽出物およびフラキシンの組合せは、ADHD治療物質として用いられることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】Phytochemical処理による細胞内ROSの量の変化を示すグラフである。
図2】β-amyloid(1-42)による認知記憶能力の低下に対する五倍子抽出物(Galla rhois)および/またはフラキシンの併用投与効果を示す図である。認知記憶能力は、 Y字迷路テスト(Y-maze test)の 交替反応行動(alteration behavior)で測定した。各群当たり16匹のマウスで実験し、各数値は、平均±標準誤差である。*P<0.01vs.Saline+β-amyloid(42-1)、#P<0.05vs.Saline+β-amyloid(1-42)(one-way ANOVAおよび事後検定としてFisher’s PLSD testを使用)。
図3】β-amyloid(1-42)による認知記憶能力の低下に対する五倍子抽出物(Galla rhois)および/またはフラキシンの併用投与効果を示す図である。認知記憶能力は、新規物体認識行動テスト(novel object recognition test)を利用して測定した。各群当たり16匹のマウスで実験し、各数値は、平均±標準誤差である。*P<0.01vs.Saline+β-amyloid(42-1)、#P<0.05vs.Saline+β-amyloid(1-42)(one-way ANOVAおよび事後検定としてFisher’s PLSD testを使用)。
図4】β-amyloid(1-42)による認知記憶能力の低下に対する五倍子抽出物(Galla rhois)および/またはフラキシンの併用投与効果を示す図である。認知記憶能力は、水探索テスト(water finding test)の探索潜時(finding latency)を観察して測定した。各群当たり16匹のマウスで実験し、各数値は、平均±標準誤差である。*P<0.01vs.Saline+β-amyloid(42-1)、#P<0.05、##P<0.01vs.Saline+β-amyloid(1-42)(one-way ANOVAおよび事後検定としてFisher’s PLSD testを使用)。
図5】β-amyloid(1-42)による認知記憶能力の低下に対する五倍子抽出物(Galla rhois)および/またはフラキシンの併用投与効果を示す図である。認知記憶能力は、受動的回避テスト(passive avoidance test)のステップスルー潜伏期(step-through latency)を観察して測定した。各群当たり16匹のマウスで実験し、各数値は、平均±標準誤差である。*P<0.01vs.Saline+β-amyloid(42-1)、#P<0.05vs.Saline+β-amyloid(1-42)(one-way ANOVAおよび事後検定としてFisher’s PLSD testを使用)。
図6】β-amyloid(1-42)による認知記憶能力の低下に対する五倍子抽出物(Galla rhois)および/またはフラキシンの併用投与効果を示す図である。認知記憶能力は、Morris水迷路の参照記憶テスト(water mazeのreference memory test)を利用して測定した。各群当たり8匹のマウスを毎日4回ずつ測定し、各数値は、平均±標準誤差である。*P<0.01vs.Saline+β-amyloid(42-1)、#P<0.05vs.Saline+β-amyloid(1-42)(反復測定に対するone-way ANOVAおよび事後検定としてFisher’s PLSD testを使用)。
図7】β-amyloid(1-42)による認知記憶能力の低下に対する五倍子抽出物(Galla rhois)および/またはフラキシンの併用投与効果を示す図である。認知記憶能力は、水迷路-プローブテスト(Morris water mazeのprobe test)を利用して測定した。各群当たり8匹のマウスを2回測定し、各数値は、平均±標準誤差である。*P<0.01vs.Saline+β-amyloid(42-1)、#P<0.05vs.Saline+β-amyloid(1-42)(one-way ANOVAおよび事後検定としてFisher’s PLSD testを使用)。
図8】β-amyloid(1-42)による認知記憶能力の低下に対する五倍子抽出物(Galla rhois)および/またはフラキシンの併用投与効果を示す図である。各群当たり8匹のマウスを1日4回ずつ3日間測定し、各数値は、平均±標準誤差である。*P<0.01vs.Saline+β-amyloid(42-1)、#P<0.05、##P<0.01vs.Saline+β-amyloid(1-42)(one-way ANOVAおよび事後検定としてFisher’s PLSD testを使用)。
図9】APPswe/PS1dE9二重発現マウスの認知記憶能力(Y字迷路テストで評価)に対する五倍子抽出物(Galla rhois)および/またはフラキシンの併用投与の薬理効果を示す図である。各数値は、10匹の平均±標準誤差を意味する。#P<0.05vs.Saline(One-way ANOVA、事後検定としてFisher’s評価)。
図10】APPswe/PS1dE9二重発現マウスの認知記憶能力(新規物体認識行動テストで評価)に対する五倍子抽出物(Galla rhois)および/またはフラキシンの併用投与の薬理効果を示す図である。各数値は、10匹の平均±標準誤差を意味する。#P<0.05vs.Saline(One-way ANOVA、事後検定としてFisher’s評価)。
図11】APPswe/PS1dE9二重発現マウスの認知記憶能力(水探索テストの探索潜時(finding latency)で評価)に対する五倍子抽出物(Galla rhois)および/またはフラキシンの併用投与の薬理効果を示す図である。各数値は、10匹の平均±標準誤差を意味する。#P<0.05、##P<0.01vs.Saline(One-way ANOVA、事後検定としてFisher’s評価)。
図12】マウスでAroclor 1254-誘導されたhyperlocomotor活性に対する五倍子および/またはフラキシンの効果を確認したグラフである。各値は、12匹のマウスの平均±S.E.M.であり、*P<0.05、**P<0.01vs.Sal+Sal、#P<0.05、##P<0.01vs.Sal+Aroclor 1254。
図13】マウスでAroclor 1254-誘導された立ち上がり行動(rearing)回数(number)の増加に対する五倍子および/またはフラキシンの効果を確認したグラフである。各値は、12匹のマウスの平均±S.E.M.であり、*P<0.05vs.Sal+Sal、#P<0.05vs.Sal+Aroclor 1254(ワンウェイANOVAに引き続いてFisher’s PLSDテストが行われる)
図14】マウスで中央ゾーンに出入り能力でAroclor 1254-誘導された変化に対する五倍子および/またはフラキシンの効果を確認したグラフである。各値は、12匹のマウスの平均±S.E.M.であり、*P<0.01vs.Sal+Sal、#P<0.05vs.Sal+Aroclor 1254(ワンウェイANOVAに引き続いてFisher’s PLSDテストが行われる)
図15】マウスで中央ゾーンで移動した距離でAroclor 1254-誘導された増加に対する五倍子およびまたはフラキシンの効果を確認したグラフである。各値は、12匹のマウスの平均±S.E.M.であり、*P<0.01vs.Sal+Sal、#P<0.05、##P<0.05vs.Sal+Aroclor 1254。
図16】マウスで中央ゾーンに進入した回数でAroclor 1254-誘導された増加に対する五倍子および/またはフラキシンの効果を確認したグラフである。各値は、12匹のマウスの平均±S.E.M.であり、*P<0.01vs.Sal+Sal、#P<0.05vs.Sal+Aroclor 1254。
図17】マウスで中央ゾーンで留まった時間でAroclor 1254-誘導された変化に対する五倍子および/またはフラキシンの効果を確認したグラフである。各値は、12匹のマウスの平均±S.E.M.であり、*P<0.05vs.Sal+Sal、#P<0.05vs.Sal+Aroclor 1254。
図18】マウスで新規物体認識テストでAroclor 1254-誘導された学習および記憶損傷に対する五倍子および/またはフラキシンの効果を確認したグラフである。各値は、12匹のマウスの平均±S.E.M.であり、*P<0.01vs.Sal+Sal、#P<0.05、##P<0.05vs.Sal+Aroclor 1254(ワンウェイANOVAに引き続いてFisher’s PLSDテストが行われる)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、非限定的な実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。
【0028】
〔実施例:五倍子抽出物の製造およびフラキシン選択過程〕
五倍子(KP)5kgを精選して薬典通則の切度および粉末度によって粗切にした後、生薬を秤量して抽出器に入れ、8~10倍の95%エタノールを入れて撹拌抽出器で5~6時間2回抽出して、抽出液を1μm大きさのマイクロフィルターを利用して濾過し、濾液を50℃以下で減圧濃縮した後、乾燥して、乾燥エキス2.39kgを得た(収得率47.8%)。
【0029】
本発明者らは、様々な抗酸化活性が知られた成分を提供されて、抗酸化活性スクリーニングを通じてgallic acidとFraxinが最も活性が大きいことが判明された。
【0030】
本発明の抗酸化活性スクリーニングに用いられた化合物は、下記のA1~A7の通りである。
【0031】
A1.Quercetin-3-O-β-D-glucuronopyranosideのflavonoid化合物、A2.1-O-caffeoyl-Quercetin-3-O-β-D-glucopyranosideのphenylpropanoid化合物、A3.Fraxinのcoumarin化合物、A4.Methyl gallate(gallicin)のtannin化合物、A5.2’’-O-rhamnosylvitexinのflavonoid化合物、A6.Acteosideのdepside形態のphenylpropanoid化合物およびA7.1,3-bis[4-(β-D-glucopyranosyl)benzyl]citrateのbenzyl acohol関連化合物。
【0032】
ヒト臍帯静脈内皮細胞(human umbilical vein endothelial cell:HUVEC)に抗酸化剤である7種のA1-A7をそれぞれ処置後、酸化剤である過酸化水素を投与して、細胞損傷程度をMTT法(assay)で分析し、それぞれのsuperoxide dismutaseとcatalase活性を測定した。
【0033】
実験結果、A6、A7は、活性酸素除去効果や細胞再生効果も示さなかった。A4は、活性酸素除去効果と細胞再生効果が共に良い反面、A3は、活性酸素除去効果は良くない反面、細胞再生効果は良くて、A3の抗酸化効果は、活性酸素除去とは異なる機序によるものと考えられる。
【0034】
-Superoxide dismutase(SOD)、catalase assay:細胞内で生成されたり、外部から流入した活性酸素を除去する効果を有する2つの酵素は、しかしながら、Hの処置によりその活性が大きく変わらなかったが、Hの処置前にA3を処置した場合、SODの活性が増加したことを観測することができた。
【0035】
-Lipid peroxidation(LPO)assay:LPOは、細胞が年を取るにつれて少しずつ増加した傾向を示す。特に細胞がHに露出したとき、LPOの結果物がMDAの量が増加することが分かり、このような増加量がA3とA4の処置によって大きく減少することを確認でき、残りのA1~A2およびA5~A7では、このような活性が観察できなかった。
【0036】
-活性酸素種の生成(Production of reactive oxygen species(ROS)):細胞内に発生する活性酸素を測定するために、DCF fluorescenceを使用して測定した。Hを処理したHUVEC細胞内の活性酸素の量は、Hを処置しない場合に比べて55%増加することを観測することができ、このような増加量は、A3、A4を添加した場合、39%と24%で、その量が減少することが分かった(図1)。
【0037】
本発明者らは、これによって、A1~A7化合物のうちA3とA4を五倍子抽出物と組み合わせる候補物質として採択し、五倍子抽出物にA4化合物であるMethyl gallateが多量含んでいるので、五倍子抽出物にA4を追加で添加しないで、A3人フラキシンを追加で含んで、効果を評価することにした。
【0038】
本発明では、フラキシンの濃度を0.5mMに定めて行ったが、このような濃度は、フラキシンの自由ラジカル消去活性実験をDPPHアッセイを使用して行った結果、DPPH溶液に様々な濃度のフラキシン(0.02、0.1および0.5mM)を処理し、10分間吸光度の変化を517nmでモニタリングした結果、0.02、0.1および0.5mMのフラキシン濃度で自由ラジカル消去活性がそれぞれ約10%、約18%および約50%で出て、0.5mMを後続実験で採択して使用した。
【0039】
〔実験例1:アルツハイマー病モデルで五倍子抽出物および/またはフラキシンの薬理効能評価〕
1)Aβによる認知記憶能力の低下は、12週齢のマウスで評価された。ICRマウス[(株)オリエントバイオ、京畿道、韓国]を購入して、実験動物室に1週間適応させ、薬物投与および認知記憶能力の評価を実施した。毒性のAβ(1-42)(American Peptide Company,Sunnyvale,CA,USA)と対照物質である無毒性のAβ(42-1)(American Peptide Company,Sunnyvale,CA,USA)は、400pmolを第3脳室に投与した。Aβの投与3日後から認知記憶能力の評価を実行した。五倍子抽出物(500mg/kg、p.o.)および/またはフラキシン(0.5mM)は、Aβ投与2日前から認知記憶能力の評価が終るまで1日に1回ずつ経口投与した。認知記憶能力の評価が行われる期間には、行動に薬物が直接的な影響を及ぼすことを防ぐために、行動および認知機能評価が終わった後、薬物を投与した。
【0040】
2)アルツハイマー病モデルであるamyloid precursor protein/presenilin-1(APPswe/PS1dE9)二重発現マウスに対する薬物投与
本実験には、6ヶ月齢のAPPswe/PS1dE9二重発現マウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,MA,USA)を使用した。APPswe/PS1dE9二重発現マウスに五倍子抽出物(500mg/kg、p.o.)および/またはフラキシン(0.5mM)を1日に1回ずつ3ヶ月間経口投与した後、認知記憶能力の評価を実行した。認知記憶能力の評価が行われる期間には、行動に薬物が直接的な影響を及ぼすことを防ぐために、行動および認知機能の評価が終わった後、薬物を投与した。認知記憶能力の評価が終わって、1日後、動物を犠牲にさせて、Aβの蓄積程度を評価した。
【0041】
認知記憶能力の評価法
(1)Y字迷路テスト(Y-maze test)
Y字迷路の構成は、Y字状のarmからなり、長さ25cm、高さ14cm、広さ5cmの黒色プラスチック箱からなっている。マウスを片方のarmの先端に配置し、8分間自由にarmを往来するようにした。マウスがそれぞれのarmに入る回数をビデオカメラで撮った。 交替反応行動(空間交替行動)の評価指標は、3個のarmを全部入る場合に1点を獲得することにして、対照群と比較した。マウスの交替反応点数(score)は、実際にマウスが獲得した点数を可能な交替反応点数で割って、100%に換算した。
【0042】
(2)新規物体認識行動テスト(Novel object test)
初日には、マウスを40cm×40cm×30cmの箱に入れ、10分間自由に移動するようにして適応させた。2日目には、箱に2つの物体を配置し、それぞれの物体に対する反応時間を記録した。これから24時間後に2つのうち1つの物体を新規物体に変えた後、新規物体に対する反応時間を記録した。
【0043】
(3)水探索テスト(Water finding test)
水探索テストは、潜在学習(latent learning)および注意を必要とする空間記憶(attentional spatial memory)を評価する方法であって、1日にマウスにとって装置内で水差しのノズル位置を認知するようにした後、24時間の断水後に再び装置内に位置させて、水差しのノズルを探すようにしてその時間を測定した(Finding latency)。ただし、2日には、水差しの位置およびノズルの長さを若干変化させて、1日に習得した情報に基づいて、注意力を傾けて新しい位置を探すようにした。
【0044】
(4)受動的回避テスト(Passive avoidance test)
受動的回避テスト装置は、2つの部屋からなっており、2つの部屋の間には、ギロチンドア(guillotine door)で分かれている。部屋の底には、ショック発生器が設置されている。1日には、獲得試行(acquisition trial)としてマウスを2つの部屋のうち1つの部屋に入れ、15秒間適応させた後に、マウスのある部屋の明かりをつけると同時に、ギロチンドアを開く。マウスが明るい部屋から暗い部屋に移動すると同時に、ギロチンドアが閉じ、暗い部屋の底に電気ショック(electric shock)(0.5mA、5s)を加えた。2日には、同じ装置にマウスを入れ、明るい部屋から暗い部屋に移動する時間を測定した(step-through latency)。
【0045】
(5)Morris水迷路テスト
水迷路テスト評価のための水槽は、直径が97cmであり、高さが60cmである円筒形水槽を使用した。テスト期間中に粉ミルクを希釈した23±2℃の水を満たして使用した。水槽の中には、水面から2cm下に透明なプラットフォームを設置し、水槽の外側に4個の標識を設置した。マウスの運動軌跡は、ビデオトラッキングシステム(EthoVision,Noldus,The Netherlands)を用いて分析された。
【0046】
(5-1)参照記憶テスト(Reference memory test)
各trial期間中に、マウスは、5箇所の開始点を無作為で選択した地点でプラットフォームを見ることができない側に向かって水槽中に入れられた。各trialでは、マウスが水槽に入れられた後、プラットフォームを探す時間(escape latency)を記録することになり、マウスがプラットフォームを探せば、10秒間プラットフォームの上で留まるようにした後、ホームケージに移されることになる。マウスが60秒内にプラットフォームを探さない場合、探す時間は、60秒で記録した。各trialは、β-amyloidを投与した3日後から4日間(3日~6日)、1日に4回ずつ実行された。
【0047】
(5-2)プローブテスト(Probe test)
β-amyloid投与7日後にプローブテストを進めた。プラットフォームを取り外した後、60秒間マウスにとって水槽内を水泳するようにしつつ、プラットフォームがあった位置を何回も通り過ぎるかを記録した。
【0048】
(5-3)作業記憶テスト(Working memory test)
作業記憶テストは、β-amyloidの投与後に8日~10日に進めた。参照記憶テストと類似しているが、プラットフォームの位置を毎日変えながら、逃避時間(escape latency)を測定した。1日に5回のトライアルを進め、2回目~5回目のtrialの逃避時間を使用した。
【0049】
前記動物効果試験の結果は、下記の通りである。
【0050】
〔β-amyloid(1-42)の投与によって誘導された空間短期記憶力の低下に対する五倍子抽出物とフラキシンの認知記憶能力の改善効果〕
β-amyloid(1-42)の投与は、Y字迷路で交替反応行動を有意に減少させた。五倍子抽出物は、β-amyloid(1-42)による 交替反応行動の減少を有意に抑制させた(図2)。また、五倍子抽出物とフラキシンの併用投与時に、五倍子単独で投与時より約6.66%さらに有意に交替反応行動の増加を示した。
【0051】
〔β-amyloid(1-42)の投与によって誘導された視覚再認知記憶の低下に対する五倍子抽出物とフラキシンの効果〕
β-amyloid(1-42)の投与は、新規物体認識行動テストで新規物体 に対する探索を有意に減少させた。五倍子抽出物は、β-amyloid(1-42)による新規物体に対する 探索の減少を有意に抑制させた(図3)。また、五倍子抽出物とフラキシンの併用投与時に、五倍子単独で投与時より約6.78%さらに有意にβ-amyloid(1-42)による新規物体に対する探索の減少を有意に抑制させた(図3)。
【0052】
〔β-amyloid(1-42)の投与によって誘導された潜在学習の低下に対する五倍子抽出物とフラキシンの認知記憶能力の改善効果〕
β-amyloid(1-42)の投与は、潜在学習を評価する水探索テストで探索潜時(finding latency)を有意に増加させた。五倍子抽出物は、β-amyloid(1-42)による探索潜時 の増加を有意に抑制した(図4)。また、五倍子抽出物とフラキシンの併用投与時に、五倍子単独で投与時より約11.43%さらに有意にβ-amyloid(1-42)による探索潜時の増加を有意に抑制した(図4)。
【0053】
〔β-amyloid(1-42)の投与によって誘導された恐怖学習および記憶の低下に対する五倍子抽出物とフラキシンの認知記憶能力の改善効果〕
β-amyloid(1-42)の投与は、恐怖学習(fear learning)および記憶を評価する受動的回避テスト(passive avoidance test)でステップスルー潜伏期を有意に減少させた。五倍子抽出物は、β-amyloid(1-42)によるステップスルー潜伏期の減少を有意に抑制した(図5)。また、五倍子抽出物とフラキシンの併用投与時に、五倍子単独で投与時より約10.34%さらに有意にβ-amyloid(1-42)によるステップスルー潜伏期の減少を有意に抑制した(図5)。
【0054】
〔β-amyloid(1-42)の投与によって誘導された空間参照記憶力の低下に対する五倍子抽出物とフラキシンの認知記憶能力の改善効果〕
β-amyloid(1-42)の投与は、Morris水迷路の隠されたプラットフォームおよびプローブテスト(water mazeのhidden platform testおよびprobe test)を通じて評価した結果、有意に空間参照記憶の低下を誘導した。すなわち、β-amyloid(1-42)を投与したマウスは、β-amyloid(42-1)を投与したマウスに比べて水槽内の安全なプラットフォームを探す時間が有意に減少しただけでなく、プラットフォームを取り外して測定するプローブテストでも、プラットフォームがあった象限(quadrant)に留まる時間も有意に減少した。五倍子抽出物は、β-amyloid(1-42)による逃避時間(escape latency)の増加およびプラットフォームがあった象限での滞留時間の減少を有意に抑制した(図6と7)。また、五倍子抽出物とフラキシンの併用投与時に、五倍子単独で投与時より約12.00%さらに有意にβ-amyloid(1-42)による逃避時間の増加およびプラットフォームがあった象限での滞留時間の減少を有意に抑制した(図6と7)。
【0055】
〔β-amyloid(1-42)の投与によって誘導された空間作業記憶力の低下に対する五倍子抽出物とフラキシンの認知記憶能力の改善効果〕
β-amyloid(1-42)の投与は、Morris 水迷路-作業記憶テスト(water mazeのworking memory test)で有意に空間作業記憶の低下を誘導した。五倍子抽出物は、β-amyloid(1-42)による逃避時間の増加を有意に抑制した(図8)。また、五倍子抽出物とフラキシンの併用投与時に、五倍子単独で投与時より約9.43%さらに有意にβ-amyloid(1-42)による逃避時間の増加を有意に抑制した(図8)。
【0056】
〔APPswe/PS1dE9二重発現マウスで短期空間記憶力に対する五倍子抽出物とフラキシンの認知記憶能力の改善効果〕
APPswe/PS1dE9二重発現マウスで短期空間記憶力(short-term spatial)を評価するY字迷路テストを行った結果、五倍子抽出物は、交替反応行動を有意に増加させた(図9)。また、五倍子抽出物とフラキシンの併用投与時に、五倍子単独で投与時より約10.53%さらに有意に交替反応行動を有意に増加させた(図9)。
【0057】
〔APPswe/PS1dE9二重発現マウスでvisual recognition memoryに対する五倍子抽出物とフラキシンの改善効果〕
APPswe/PS1dE9二重発現マウスで視覚再認知記憶(visual recognition memory)を評価する新規物体認識行動テスト を実施した結果、五倍子抽出物は、新規物体に対する探索を有意に増加させた(図10)。また、五倍子抽出物とフラキシンの併用投与時に、五倍子単独で投与時より約9.76%さらに有意に探索を有意に増加させた(図10)。
【0058】
〔APPswe/PS1dE9二重発現マウスで潜在学習に対する五倍子抽出物とフラキシンの改善効果〕
APPswe/PS1dE9二重発現マウスで潜在学習(latent learning)を評価する水探索テストを実施した結果、五倍子抽出物は、探索潜時 を有意に減少させた(図11)。また、五倍子抽出物とフラキシンの併用投与時に、五倍子単独で投与時より約10.48%さらに有意に探索潜時を有意に減少させた(図11)。
【0059】
〔実験例2:ADHDモデルで五倍子抽出物および/またはフラキシンの薬理効能評価〕
1)実験動物および薬物処理
ADHDが主に小児に現れる疾患であるから、未成熟のマウスを実験に利用しなければならないし、ICRマウス[(株)オリエントバイオ、京畿道、韓国)]を購入して実験動物室に適応させた後、交尾させた。妊娠6日目から生後21日目まで母体にAroclor 1254(18mg/kg)を1日1回経口投与した。生後21日目にmale offspringだけを離乳した後、生後21日目から行動実験が終わる日まで離乳した子孫(offspring)にgallic acid(100mg/kg、p.o.)、methyl gallate(100mg/kg、p.o.)あるいは五倍子抽出物(500mg/kg、p.o.)および/またはフラキシン(0.5mM)を1日に1回投与した。
【0060】
生後35日目にオープンフィールドテスト(open field test)で自発運動量および衝動的傾向を、36日と37日には、新規物体認識行動テストを利用して注意力および認知記憶能力を評価した。参照薬物としてmethylphenidateを使用した。実験過程は、図1の通りである。
【0061】
2)行動評価
(1)オープンフィールドテスト
マウスを40×40×30cmの黒色アクリルボックスに入れ、ビデオトラッキングシステム(video tracking system)を利用して30分間行動を測定し、オープンフィールドを9等分して中間領域を中央ゾーンに設定した。ADHDの多動性指標は、自発運動量(distance moved in cm)を利用し、衝動的行為の指標としては、立ち上がり行動(rearing)、中央ゾーンで留まった時間、中央ゾーンに進入した回数、初めて中央ゾーンに進入した時間を指標として測定した。オープンフィールド評価で中央ゾーンで留まった時間が長く、頻繁に進入し、最初に進入した時間が短いほど衝動的傾向があり、反対の場合、不安病症があることが知られている。行動の測定は、午前9時から午後6時間に実施された。
【0062】
(2)新規物体認識行動テスト
オープンフィールドテストを終えた24時間後に、オープンフィールドテストの場合と同じアクリルボックスに2つの物体(object)を固定させた。マウスを入れ、10分間それぞれの物体に接近する時間をビデオトラッキングシステムを利用して測定した。さらに24時間後に、2つの物体のうち1つを新規物体に変えた後、マウスを入れ、10分間それぞれの物体に接近する時間をビデオトラッキングシステムを利用して測定した後、2つの物体に接近した時間のうち新規物体に接近した時間を計算してパーセントで示した。
【0063】
前記実施例3の結果は、次の通りである。
【0064】
〔Aroclor 1254によって誘導された多動性に対する五倍子抽出物およびフラキシンの薬理効果〕
Aroclor 1254の投与は、有意に歩行活動(locomotor activity)を誘導し、立ち上がり行動(rearing)を増加させた。五倍子抽出物およびフラキシンの併用投与時に、Aroclor 1254による過度かどだ歩行活動 (hyperlocomotor activity)と立ち上がり行動の増加が顕著に抑制された(図12および図13)。
【0065】
〔Aroclor 1254によって誘導された衝動行為に対する五倍子抽出物およびフラキシンの薬理効果〕
Aroclor 1254の投与は、有意にオープンフィールドの中央ゾーン で留まった時間と中央ゾーンに進入した回数を増加させ、初めて中央ゾーンに進入した時間は有意に短縮されて、衝動的行為が誘導された。五倍子抽出物およびフラキシンの併用投与時に、Aroclor 1254による衝動的行為が顕著に抑制された(図14図17)。
【0066】
〔Aroclor 1254によって誘導された注意力集中障害/学習記憶能力低下に対する五倍子抽出物およびフラキシンの薬理効果〕
Aroclor 1254の投与は、新規物体認識行動テストで有意に新規物体に関心を示した時間を減少させて、注意力集中障害および学習記憶能力低下を誘導した。五倍子抽出物およびフラキシンの併用投与時に、Aroclor 1254による注意力集中障害/学習記憶能力低下が顕著に抑制された(図18)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図18