(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】エンジンの制御装置
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20220509BHJP
F02D 13/02 20060101ALI20220509BHJP
F02D 23/02 20060101ALI20220509BHJP
F02D 23/00 20060101ALI20220509BHJP
F02D 43/00 20060101ALI20220509BHJP
F02D 41/02 20060101ALI20220509BHJP
F02D 41/04 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
F02D45/00
F02D13/02 J
F02D23/02 H
F02D23/00 K
F02D23/00 N
F02D23/00 P
F02D43/00 301J
F02D43/00 301Z
F02D41/02
F02D41/04
(21)【出願番号】P 2017183475
(22)【出願日】2017-09-25
【審査請求日】2020-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】板野 良輔
(72)【発明者】
【氏名】宮田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】戸田 仁司
【審査官】戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-157057(JP,A)
【文献】特開2002-266686(JP,A)
【文献】特開2013-113104(JP,A)
【文献】特開2002-339789(JP,A)
【文献】特開2017-115777(JP,A)
【文献】特開2002-013428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 45/00
F02D 13/02
F02D 23/02
F02D 23/00
F02D 43/00
F02D 41/02
F02D 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁と、少なくとも吸気弁の開閉タイミングを変化させる可変動弁機構と
、過給手段とを具備したエンジンの制御装置であって、
前記エンジンの吸気通路を流通する吸入空気量を検出する第一検出手段と、
前記吸入空気量に応じて前記吸気弁の開弁タイミングを設定する第一制御手段と、
前記吸入空気量に応じて前記燃料噴射弁の噴射開始時刻を設定する第二制御手段と、を備え、
前記第一制御手段は、前記吸入空気量が
前記過給手段による過給が開始される空気量である所定値
を超える第一範囲にある場合には、前記吸入空気量が前記所定値であるときよりも前記開弁タイミングを進角させ、
前記吸入空気量が前記所定値未満の第二範囲にある場合には、前記吸入空気量が前記所定値であるときよりも前記開弁タイミングを進角させ、
前記第二制御手段は、前記吸入空気量が前記第一範囲にある場合には、前記吸入空気量が前
記第二範囲にあるときよりも前記噴射開始時刻を遅角させる
ことを特徴とする、エンジンの制御装置。
【請求項2】
前記第一制御手段は、前記第一範囲において前記吸入空気量が増加するほど前記開弁タイミングを進角させ、
前記第二制御手段は、前記第一範囲において前記吸入空気量が増加するほど前記噴射開始時刻を遅角させる
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの制御装置
。
【請求項3】
前記エンジンは、大気圧を検出する第二検出手段を具備し、
前記制御装置は、
前記吸入空気量から充填効率を算出する第一算出手段と、
前記吸入空気量および前記大気圧から体積効率を算出する第二算出手段と、を備え、
前記第二制御手段は、前記充填効率および前記体積効率のそれぞれに基づいて前記噴射開始時刻を算出するとともに、算出した二つの前記噴射開始時刻が異なる場合には、より遅角側の一方を前記噴射開始時刻として設定する
ことを特徴とする、請求項1
又は2に記載のエンジンの制御装置。
【請求項4】
前記第一制御手段は、前記第二範囲において前記吸入空気量が増加するほど前記開弁タイミングを遅角させる
ことを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載のエンジンの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気弁の開閉タイミングを変化させる可変動弁機構とポート噴射弁とを具備したエンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンには、燃焼ガスの掃気効率や吸気の充填効率を改善させるといった観点から、吸気弁の開弁状態と排気弁の開弁状態とが重複するバルブオーバラップ期間が設けられたものが存在する。例えば過給機を備えたエンジンでは、バルブオーバラップ期間を大きくすることで充填効率が向上し、エンジン出力が増大する。そこで、エンジンの吸気弁や排気弁の開閉タイミングを可変にし、エンジン負荷等に応じてバルブオーバラップ期間を制御する技術も開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポート噴射弁を備えたエンジンでは、バルブオーバラップ期間を大きく設定するほど、吸気通路から筒内に流入した混合気が直接的に排気通路側へと通り抜ける、いわゆる吹き抜けが発生しやすくなる。吹き抜けが発生すると、ポート噴射により供給された燃料は筒内を通過して排気通路側へと流出してしまうため、エンジン出力や排気性能の低下を招きうる。この吹き抜けは、エンジンの目標トルクが大きい場合に(すなわち高負荷ほど)起こりやすく、例えば過給圧が排気圧力よりも高いほど発生しやすい。また、大気圧が標準大気圧よりも低い高地を走行している場合には、空気の密度が低下することから、標準大気圧のときと同じバルブオーバラップ期間を設けたのでは、所望の充填効率が確保されずに出力が低下しうる。
【0005】
本件は、このような課題に鑑み案出されたもので、所望のエンジン出力を実現するとともに吹き抜けを抑制できるようにした、エンジンの制御装置を提供することを目的の一つとする。なお、これらの目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)ここで開示するエンジンの制御装置は、吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁と、少なくとも吸気弁の開閉タイミングを変化させる可変動弁機構と、過給手段とを具備したエンジンの制御装置であって、前記エンジンの吸気通路を流通する吸入空気量を検出する第一検出手段と、前記吸入空気量に応じて前記吸気弁の開弁タイミングを設定する第一制御手段と、前記吸入空気量に応じて前記燃料噴射弁の噴射開始時刻を設定する第二制御手段と、を備える。前記第一制御手段は、前記吸入空気量が前記過給手段による過給が開始される空気量である所定値を超える第一範囲にある場合には、前記吸入空気量が前記所定値であるときよりも前記開弁タイミングを進角させ、前記吸入空気量が前記所定値未満の第二範囲にある場合には、前記吸入空気量が前記所定値であるときよりも前記開弁タイミングを進角させる。また、前記第二制御手段は、前記吸入空気量が前記第一範囲にある場合には、前記吸入空気量が前記第二範囲にあるときよりも前記噴射開始時刻を遅角させる。
【0007】
(2)前記第一制御手段は、前記第一範囲において前記吸入空気量が増加するほど前記開弁タイミングを進角させ、前記第二制御手段は、前記第一範囲において前記吸入空気量が増加するほど前記噴射開始時刻を遅角させることが好ましい。
【0008】
つまり、前記第一範囲を規定する前記吸入空気量と過給圧とは比例関係にあることから、前記第一範囲(前記吸入空気量が前記所定値を超える範囲)には、「過給圧≧大気圧」の範囲が含まれる。また、前記吸入空気量を負荷やトルクに置き換えた場合、前記第一範囲は、スロットル弁を全開にして前記過給手段による過給が実施されることで過給圧が大気圧以上となる中高負荷範囲であることが好ましい。一方、前記第二範囲は、前記スロットル弁によって吸入空気量が制御される低負荷範囲であることが好ましい。
【0009】
(3)前記エンジンは、大気圧を検出する第二検出手段を具備することが好ましい。この場合、前記制御装置は、前記吸入空気量から充填効率を算出する第一算出手段と、前記吸入空気量および前記大気圧から体積効率を算出する第二算出手段と、を備え、前記第二制御手段は、前記充填効率および前記体積効率のそれぞれに基づいて前記噴射開始時刻を算出するとともに、算出した二つの前記噴射開始時刻が異なる場合には、より遅角側の一方を前記噴射開始時刻として設定することが好ましい。
(4)前記第一制御手段は、前記第二範囲において前記吸入空気量が増加するほど前記開弁タイミングを遅角させることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
開示のエンジンの制御装置によれば、所望のエンジン出力を実現しつつ、吹き抜けの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る制御装置のブロック図およびこの制御装置が適用されたエンジンの構成を例示する図である。
【
図2】
図1の制御装置に設定された第一マップおよび第二マップを示すマップ例(常圧かつエンジン回転数Ne
Aの場合のマップ例)である。
【
図3】
図1の制御装置に設定された第一マップおよび第二マップを示すマップ例(常圧かつエンジン回転数Ne
Bの場合のマップ例)である。
【
図4】
図1の制御装置に設定された他のマップ例である。
【
図5】
図4とは異なる回転数における他のマップ例である。
【
図6】
図1の制御装置で実施される制御手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、実施形態としてのエンジンの制御装置について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0013】
[1.エンジン]
本実施形態の制御装置1は、
図1に示す車載ガソリンエンジン10(以下、単にエンジン10と呼ぶ)に適用される。このエンジン10は、ポート噴射を用いた燃料噴射システムと、排気圧を利用した過給システムとを備えた4ストロークサイクルエンジンである。
図1では、多気筒のエンジン10に設けられた複数の気筒のうちの一つを示す。
【0014】
各気筒には、吸気ポート内で燃料を噴射するポート噴射弁11(燃料噴射弁)が設けられる。ポート噴射弁11から噴射された燃料は吸気ポート内で霧化し、吸入空気(新気)とよく混ざった状態で筒内に導入される。ポート噴射弁11から噴射される燃料量およびその噴射時期は、制御装置1で制御される。例えば、制御装置1からポート噴射弁11に制御パルス信号が伝達され、その制御パルス信号の大きさに対応する期間だけ、ポート噴射弁11の噴射口が開放される。これにより、燃料噴射量は制御パルス信号の大きさ(駆動パルス幅)に応じた量となり、噴射開始時刻は制御パルス信号が伝達された時刻に対応したものとなる。
【0015】
吸気ポートおよび排気ポートの各開口には、吸気弁12および排気弁13が設けられる。吸気弁12および排気弁13の各上端部は、可変動弁機構20内のロッカアームに接続され、ロッカアームの揺動に応じて個別に上下方向に往復駆動される。また、各ロッカアームの他端には、カムシャフトに軸支されたカムが設けられる。カムの形状(カムプロファイル)に応じて、ロッカアームの揺動パターンが定められる。吸気弁12および排気弁13のそれぞれの開閉タイミングは、可変動弁機構20を介して制御装置1で制御される。
【0016】
本実施形態の可変動弁機構20には、各ロッカアームの揺動のタイミングを変化させるための機構としてバルブタイミング調整機構21が設けられる。バルブタイミング調整機構21は、吸気弁12および排気弁13の開閉タイミングを変更する機構であり、ロッカアームに揺動を生じさせるカム又はカムシャフトの回転位相を変更する機能を持つ。
【0017】
開閉タイミングに対応する制御用のパラメータは、位相角と呼ばれる。この位相角は、基準となるカムシャフトの位相に対する各カムの位相がどの程度進角又は遅角しているかを示す量であり、吸気弁12および排気弁13のそれぞれの開閉タイミング(開弁タイミングおよび閉弁タイミング)に対応する。また、位相角は、制御装置1で算出,設定され、バルブタイミング調整機構21に伝達される。バルブタイミング調整機構21は、各カムのそれぞれの位相角(吸気位相角,排気位相角)を調整することで開閉タイミングを任意に制御する。
【0018】
エンジン10の吸排気系には、排気圧を利用して筒内に吸気を過給する過給機16(過給手段)が設けられる。過給機16のタービン16Aは排気通路14上に介装され、コンプレッサ16Bは吸気通路15上に介装される。過給機16による過給操作は、制御装置1で制御される。なお、コンプレッサ16Bよりも吸気流れの上流側にはエアフィルタ17が設けられ、外部から取り込まれる空気が濾過される。また、コンプレッサ16Bよりも吸気流れの下流側にはインタクーラ18が設けられ、圧縮された空気が冷却される。インタクーラ18の下流側には電子制御式のスロットル弁19が設けられる。吸気ポートへと流れる空気量は、スロットル弁19の開度(スロットル開度)に応じて調節される。スロットル開度は、制御装置1で制御される。なお、タービン16Aよりも下流側には、図示しない触媒装置が介装される。
【0019】
排気通路14には、タービン16Aの上流側および下流側を接続するように排気バイパス通路22が設けられる。また、排気バイパス通路22上には電子制御式のウェイストゲートバルブ23が介装される。ウェイストゲートバルブ23は、タービン16A側に流入する排気流量を制御して過給圧を変化させる過給圧調節弁である。このウェイストゲートバルブ23にはアクチュエータが併設され、弁体の位置(すなわち開度)が電気的に制御される。アクチュエータの動作は、制御装置1で制御される。
【0020】
エンジン10には、エンジン10の回転数Neを検出する回転数センサ2と、吸気通路15を流通する吸入空気量を検出するエアフローセンサ3(第一検出手段)と、スロットル弁19の上流圧を検出するスロットル上流圧センサ4と、インマニ圧を検出するインマニ圧センサ5と、吸気温を検出する吸気温センサ6とが設けられる。また、車両には、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ7(APS)が設けられる。アクセル開度は、運転者の加速要求や発進意思に対応するパラメータであり、言い換えるとエンジン10の負荷(エンジン10に対する出力要求)に相関するパラメータである。さらに、車両には大気圧を検出する大気圧センサ8(第二検出手段)が設けられる。大気圧センサ8は、エンジン10が有していてもよいし、制御装置1に内蔵されていてもよい。センサ2~8で検出された各種情報は、制御装置1に伝達される。
【0021】
制御装置1は、エンジン10に関する点火系,燃料系,吸排気系および動弁系といった広汎なシステムを総合的に制御する電子制御装置(コンピュータ,ECU)である。制御装置1は、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両に設けられた車載ネットワークの通信ラインに接続される。制御装置1は、エンジン10の各気筒に対して供給される空気量や燃料噴射量,各気筒の点火時期,過給圧等を制御するものである。制御装置1の入力ポートには、上記のセンサ2~8が接続される。入力情報は、エンジン回転数,吸入空気量,インマニ圧,吸気温度,アクセル開度,大気圧等である。
【0022】
制御装置1の具体的な制御対象としては、ポート噴射弁11から噴射される燃料噴射量とその噴射時期,点火プラグによる点火時期,吸気弁12および排気弁13の開閉タイミング,過給機16の作動状態,スロットル弁19の開度,ウェイストゲートバルブ23の開度等が挙げられる。本実施形態では、吸気弁12の開弁タイミング(吸気位相角)およびポート噴射弁11からの燃料の噴射開始時刻(SOI;Start of Injection,噴射開始角度)を制御する制御装置1について説明する。本実施形態の制御装置1は、予め記憶された二種類のマップを使ってこれらの制御を行う。
【0023】
[2.制御概要]
制御装置1は、エアフローセンサ3で検出された吸入空気量(すなわち実吸入空気量Q)に応じて、吸気弁12の開弁タイミング(吸気位相角)およびポート噴射弁11からの燃料の噴射開始時刻(SOI)をそれぞれ設定する。そして、設定した開弁タイミングをバルブタイミング調整機構21に伝達することで吸気弁12の開弁タイミングを制御する。さらに、設定した噴射開始時刻に対応する制御パルス信号をポート噴射弁11に伝達することで噴射時期を制御する。なお、実吸入空気量Qは、エンジン10の目標トルクTから算出される目標吸入空気量に基づいてスロットル弁19が制御されることで変化する。また、本実施形態では、排気弁13の開閉タイミングは一定とする。そのため、本実施形態では、吸気弁12の開弁タイミングが変更されることで、バルブオーバラップ期間が変更される。
【0024】
制御装置1は、上記の設定において、実吸入空気量Qが所定値Qoを超える第一範囲にある場合と、実吸入空気量Qが上記の所定値Qo未満である第二範囲にある場合とで、開弁タイミングおよび噴射開始時刻の設定の仕方をそれぞれ変更する。以下、第一範囲を「出力重視領域」と呼び、第二範囲を「燃費重視領域」と呼ぶ。なお、燃費重視領域のさらに低負荷側、すなわち、実吸入空気量Qが所定値Qoよりも小さい第二所定値未満である第三範囲に、アイドル運転に適した領域が設定されていてもよい。
【0025】
出力重視領域は実吸入空気量Qが比較的多い中負荷および高負荷の領域であって、エンジン10に要求される出力(ドライバ要求トルク)を実現することを重視した運転領域である。出力重視領域では、スロットル開度が全開にされたうえで過給が実施される。言い換えると、出力重視領域には、過給機16による過給が実施されており、過給圧が大気圧以上である実吸入空気量Qの範囲が含まれる。
【0026】
一方、燃費重視領域は実吸入空気量Qが比較的少ない低負荷の領域であって、燃費向上を重視した運転領域である。燃費重視領域では過給は実施されず、スロットル開度によって吸入空気量が制御される。また、これらの領域の境界となる実吸入空気量Qの値(すなわち所定値Qo)では、ノッキングの発生を抑制するために開弁タイミングが最も遅角側に設定される。言い換えると、開弁タイミングが最遅角に設定される実吸入空気量Qの値Qoが、出力重視領域と燃費重視領域との境目となる。
【0027】
つまり、制御装置1は、実吸入空気量Qが出力重視領域にある場合には、実吸入空気量Qが所定値Qoであるときよりも開弁タイミングを進角させる。本実施形態の制御装置1は、出力重視領域において実吸入空気量Qが増大するほど開弁タイミングを進角させる(所定値Qoからの進角量を増大させる)。これにより、出力重視領域では、高負荷であるほどバルブオーバラップ期間が増大され、筒内に導入される吸入空気量が増大する。
【0028】
本実施形態の制御装置1は、実吸入空気量Qが燃費重視領域にある場合には、実吸入空気量Qが所定値Qoであるときよりも開弁タイミングを進角させる。本実施形態の制御装置1は、燃費重視領域において実吸入空気量Qが増大するほど(所定値Qoに近づくほど)開弁タイミングを遅角させる(所定値Qoからの進角量を減少させる)。これにより、燃費重視領域では、内部EGR量が増大してポンプ損失が低下する。
【0029】
また、制御装置1は、実吸入空気量Qが出力重視領域にある場合には、実吸入空気量Qが燃費重視領域にあるときよりも噴射開始時刻を遅角させる。本実施形態の制御装置1は、出力重視領域において実吸入空気量Qが増大するほど噴射開始時刻を遅角させる(所定値Qoからの遅角量を増大させる)。出力重視領域では、実吸入空気量Qの増大に伴い開弁タイミングが進角されてバルブオーバラップ期間が増大されることから、これに併せて噴射開始時刻が遅角されることで、混合気の吹き抜けが抑制される。
【0030】
さらに本実施形態の制御装置1は、大気圧の影響をも考慮して開弁タイミングおよび噴射開始時刻を設定する。具体的には、実吸入空気量Qから充填効率Ecを算出するとともに、充填効率Ecおよび大気圧から体積効率Evを算出する。そして、充填効率Ecおよび体積効率Evのそれぞれに基づいて開弁タイミングを算出するとともに、充填効率Ecおよび体積効率Evのそれぞれに基づいて噴射開始時刻を算出する。さらに、算出した二つの開弁タイミングを比較し、両者が異なる場合には、より進角側の一方を開弁タイミングとして設定する。また、算出した二つの噴射開始時刻を比較し、両者が異なる場合には、より遅角側の一方を噴射開始時刻として設定する。なお、両者が一致する場合には、その値がそのまま開弁タイミングや噴射開始時刻として設定される。
【0031】
例えば、標準大気圧よりも大気圧が低い高地では、空気密度が標準大気圧状態(例えば平地)よりも低下するため、充填効率Ecベースの開弁タイミングと体積効率Evベースの開弁タイミングとが一致せず、充填効率Ecベースの噴射開始時刻と体積効率Evベースの噴射開始時刻とが一致しない。そのため、二つの値が一致しない場合には、両者のうち、より進角側,より遅角側の値をそれぞれ採用して、その値を最終的な開弁タイミングおよび噴射開始時刻として設定することで、空気密度の低下分を考慮した制御が可能となる。
【0032】
本実施形態の制御装置1には、充填効率Ecおよび体積効率Evのそれぞれに対する開弁タイミングが設定された第一マップと、充填効率Ecおよび体積効率Evのそれぞれに対する噴射開始時刻が設定された第二マップとをセットにした制御マップが、エンジン回転数Neごとに予め記憶されている。すなわち、第一マップの横軸は充填効率Ec又は体積効率Evであり、縦軸は開弁タイミングである。また、第二マップの横軸も充填効率Ec又は体積効率Evであり、縦軸は噴射開始時刻である。
【0033】
本実施形態の制御装置1は、回転数センサ2で検出されたエンジン回転数Neに対応する制御マップを選択する。そして、その制御マップに充填効率Ecおよび体積効率Evを適用することで開弁タイミングおよび噴射開始時刻を取得するとともに最適な一方を選択し、バルブタイミング調整機構21やポート噴射弁11等を制御する。
【0034】
ここで、制御装置1に記憶されている、横軸を充填効率Ecとした制御マップの一例を
図2および
図3に示す。なお、横軸を体積効率Evとした制御マップは、図示は省略しているが、
図2および
図3の制御マップと同様の傾向を持っている。
図2は標準大気圧用の制御マップであって、エンジン回転数Neが第一回転数Ne
Aの場合(常圧かつNe=Ne
Aの運転状態で使用されるマップ)である。
図3は標準大気圧用の制御マップであって、エンジン回転数Neが第一回転数Ne
Aよりも高い第二回転数Ne
Bの場合(常圧かつNe=Ne
Bの運転状態で使用されるマップ)である。なお、
図3には、
図2中のグラフを二点鎖線で重ねて示している。
【0035】
図2および
図3に示すように、制御マップの第一マップには、充填効率Ecに基づいて、出力重視領域(第一範囲)および燃費重視領域(第二範囲)の二つの領域が設定されている。これらの領域の境界となる負荷値(充填効率Ecの値Eco)は、上記の実吸入空気量Qの所定値Qoに対応する値である。所定値Qoに対応する境界値Ecoでは、吸気弁12の開弁タイミングが最も遅角側に設定されている。
【0036】
出力重視領域では、開弁タイミングが境界値Ecoの値よりも進角側に設定されており、噴射開始時刻が燃費重視領域の値よりも遅角側に設定されている。一方、燃費重視領域では、開弁タイミングが境界値Ecoの値よりも進角側に設定されており、噴射開始時刻が最進角側(排気行程の開始時点付近)に設定されている。ここでは、燃費重視領域での開弁タイミングが、充填効率Ecが高くなるほど遅角側に設定されている。なお、燃費重視領域での開弁タイミングは燃費が最適になるように設定されていればよく、
図2および
図3に示すものに限られない。
【0037】
本実施形態の第二マップには、噴射開始時刻の遅角側の限界値SOI
LIMが設定されており、噴射開始時刻はこの限界値SOI
LIMを超えて遅角化されることはない。この限界値SOI
LIMは、噴射開始時刻が最遅角に制御された場合にも燃料と新気との最低限の混合時間を確保するためのものである。限界値SOI
LIMは、
図3中の第二マップに白抜き矢印で示すように、エンジン回転数Neが高いほど(Ne
AよりもNe
Bのほうが)進角側に設定される。これは、エンジン回転数Neが高いほど混合気が吹き抜けにくくなることから、噴射開始時刻の遅角量を抑えて混合時間を確保するためである。なお、吹き抜けにくくなる理由は、エンジン回転数Neが高いほど、エンジン10のクランクシャフトが一回転するのにかかる時間が短くなるためバルブオーバラップ期間が短くなるのに対し、ポート噴射された燃料が吸気弁12に到達するまでの時間は回転数によらずほぼ一定であるからである。
【0038】
なお、
図2および
図3の制御マップは横軸が充填効率Ecであるが、横軸を実吸入空気量Qにした制御マップの一例を
図4および
図5に示す。
図4はエンジン回転数Neが第一回転数Ne
Aのときのマップであり、
図5はエンジン回転数Neが第二回転数Ne
Bのときのマップである。
図4および
図5に示すように、横軸を実吸入空気量Qとした場合には、大気圧の影響によって開弁タイミングおよび噴射開始時刻のグラフが変化する。
【0039】
具体的には、大気圧が低下するほど(空気密度が低下するほど)、同一の実吸入空気量Qに対して、開弁タイミングが進角するとともに噴射開始時刻が遅角する。また、
図4中に白抜き丸印で示すように、低回転域における出力重視領域は、大気圧の低下とともに低負荷側へと広がる(所定値Qoが低負荷側にシフトする)。これは、大気圧が低い高地での低回転状態では、標準大気状態に比べて実吸入空気量Qが少ない状態からスロットル弁19を全開にしないと(好ましくは過給を実施しないと)、所望の出力を確保できないためである。また、低回転域において出力重視領域が拡大すると、それに伴って燃費重視領域は狭くなる。
【0040】
また、
図4および
図5中に白抜き三角印で示すように、大気圧が低いほど噴射開始時刻が遅角され始める実吸入空気量Qの値が小さくなる。言い換えると、噴射開始時刻は、低実吸入空気量Q側から遅角される。これらによって、大気圧が標準大気圧でない場合にも、目標トルクTに相当する所望の出力トルクを実現しつつ、燃料の吹き抜けが抑制される。
【0041】
[3.制御構成]
制御装置1には、上述した開弁タイミングおよび噴射開始時刻の設定、および可変動弁機構20やポート噴射弁11等を制御するためのプログラムが、例えばメモリに記録,保存されている。あるいは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録,保存され、インタフェイス装置に接続された読み取り装置を介して、制御装置1に読み込まれて実行される。
【0042】
プログラムには、目標トルク算出部1A,スロットル制御部1B,充填効率算出部1C,体積効率算出部1D,第一制御部1Eおよび第二制御部1Fが設けられる。これらの要素は、制御装置1で実行されるプログラムの一部の機能を示すものであり、ソフトウェアで実現されるものとする。ただし、各機能の一部又は全部をハードウェア(電子回路)で実現してもよく、あるいは、ソフトウェアとハードウェアとを併用して実現してもよい。
【0043】
目標トルク算出部1Aは、エンジン10が出力すべきトルクの目標値(すなわち目標トルクT)を算出するものである。スロットル制御部1Bは、目標トルクTに基づいて目標吸入空気量を算出するとともに、その目標吸入空気量に基づいてスロットル弁19を制御するものである。スロットル開度が変化することにより、エアフローセンサ3で検出される実吸入空気量Qが変化する。
【0044】
充填効率算出部1C(第一算出手段)は、実吸入空気量Qから充填効率Ecを算出するものである。また、体積効率算出部1D(第二算出手段)は、実吸入空気量Qおよび大気圧から体積効率Ecを算出するものである。なお、これらの算出には、例えば上記のセンサ3~7で検出された値が用いられ、公知の方法が採用される。また、本実施形態では、充填効率算出部1Cおよび体積効率算出部1Dが、回転数センサ2で検出されたエンジン回転数Neに対応する制御マップをそれぞれ選択する。
【0045】
第一制御部1E(第一制御手段)は、実吸入空気量Qに応じて開弁タイミングを設定して可変動弁機構20を制御するものである。第一制御部1Eは、実吸入空気量Qが出力重視領域にある場合には、実吸入空気量Qが所定値Qoであるときよりも開弁タイミングを進角させ、この進角量を実吸入空気量Qが増加するほど大きくする。また、第一制御部1Eは、燃費重視領域において実吸入空気量Qが増加するほど開弁タイミングを遅角させる。
【0046】
第二制御部1F(第二制御手段)は、実吸入空気量Qに応じて噴射開始時刻を設定してポート噴射弁11を制御するものである。第二制御部1Fは、実吸入空気量Qが出力重視領域にある場合には、実吸入空気量Qが燃費重視領域にあるときよりも噴射開始時刻を遅角させ、この遅角量を実吸入空気量Qが増加するほど大きくする。
本実施形態では、第一制御部1Eおよび第二制御部1Fが、制御マップを用いて開弁タイミングおよび噴射開始時刻を設定する。
【0047】
すなわち、本実施形態の第一制御部1Eは、選択された制御マップの第一マップに対し、算出された充填効率Ecおよび体積効率Evをそれぞれ適用して、充填効率Ecベースの開弁タイミングと、体積効率Evベースの開弁タイミングとを取得する。そして、取得した二つの開弁タイミングのうち、より進角側の一方を開弁タイミングとして設定し、その開弁タイミングをバルブタイミング調整機構21に伝達して開弁タイミングを制御する。なお、本実施形態では、排気弁13の位相角は一定(固定値)とされているため、第一制御部1Eは吸気弁12の開弁タイミングを制御することでバルブオーバラップ期間を変更(調整)する。
【0048】
また、本実施形態の第二制御部1Fは、選択された制御マップの第二マップに対し、算出された充填効率Ecおよび体積効率Evをそれぞれ適用して、充填効率Ecベースの噴射開始時刻と、体積効率Evベースの噴射開始時刻とを取得する。そして、取得した二つの噴射開始時刻のうち、より遅角側の一方を噴射開始時刻として設定し、その噴射開始時刻にポート噴射が実施されるように、ポート噴射弁11に制御パルス信号を伝達する。なお、燃料噴射量は、例えば充填効率Ecに基づき算出される。
【0049】
[4.フローチャート]
図6は、上述した制御内容を説明するためのフローチャート例である。このフローチャートは、車両の主電源がオンの場合に制御装置1において所定の演算周期で実施される。
まず、上記のセンサ2~8で検出された各種情報が制御装置1に入力され(ステップS1)、目標トルク算出部1Aによって目標トルクTが算出される(ステップS2)。
【0050】
ステップS3では、スロットル制御部1Bにおいてスロットル弁19が制御され、これにより吸入空気量が変化するため、エアフローセンサ3によって実吸入空気量Qが検出される。次いで、充填効率算出部1Cによって充填効率Ecが算出されるとともに(ステップS4)、体積効率算出部1Dによって体積効率Evが算出される(ステップS5)。さらに、エンジン回転数Neに対応する制御マップが選択される(ステップS6)。
【0051】
ステップS7では、第一制御部1Eによって、充填効率Ecおよび体積効率Evのそれぞれに基づいて開弁タイミングが第一マップから取得される。そして、二つの開弁タイミングが異なるか否かが判定される(ステップS8)。二つの開弁タイミングが異なる場合には、ステップS9に進み、より進角側の一方が選択されて、開弁タイミングとして設定される。一方、二つの開弁タイミングが一致する場合には、ステップS10に進み、その値が開弁タイミングとして設定される。
【0052】
ステップS11では、第二制御部1Fによって、充填効率Ecおよび体積効率Evのそれぞれに基づいて噴射開始時刻が第二マップから取得される。そして、二つの噴射開始時刻が異なるか否かが判定される(ステップS12)。二つの噴射開始時期が異なる場合には、ステップS13に進み、より遅角側の一方が選択されて、噴射開始時刻として設定される。一方、二つの噴射開始時刻が一致する場合には、ステップS14に進み、その値が噴射開始時刻として設定される。そして、第一制御部1Eおよび第二制御部1Fによって可変動弁機構20およびポート噴射弁11がそれぞれ制御され(ステップS15)、このフローをリターンする。
【0053】
[5.作用,効果]
(1)上述した制御装置1では、実吸入空気量Qに応じて、吸気弁12の開弁タイミング(すなわちバルブオーバラップ期間)とポート噴射弁11からの燃料の噴射開始時刻(すなわちポート噴射タイミング)とが設定される。具体的には、実吸入空気量Qが出力重視領域にある場合には、開弁タイミングが進角されるとともに噴射開始時刻が遅角される。このため、所望のエンジン出力を実現しつつ、吹き抜けの発生を抑制することができる。
【0054】
(2)上述した制御装置1では、出力重視領域において実吸入空気量Qが増加するほど、開弁タイミングが進角されるとともに噴射開始時刻が遅角される。実吸入空気量Qの増加に伴い、空気の慣性力が大きくなるため、圧縮行程中に吸気弁12を閉じたとしても、空気が逆流しにくくなる。そこで、出力重視領域において実吸入空気量Qが増加するほど開弁タイミングを進角することで閉弁タイミングも進角させ、燃焼に寄与する空気量を増やすことができ、エンジン10の出力を高めることができる。一方で、バルブオーバラップ期間が長くなることにより燃料の吹き抜けが発生しやすいが、出力重視領域(中高負荷領域)では、実吸入空気量Qの増加とともに噴射開始時刻を遅角するため、燃料の吹き抜けを効果的に抑制することができる。
【0055】
(3)上記のエンジン10は過給機16を備えており、出力重視領域には過給が実施されているときの実吸入空気量Qの範囲が含まれている。上述した制御装置1では、過給機16による過給が行われる場合、すなわち実吸入空気量Qが出力重視領域にある場合には、開弁タイミングが進角されるため、所望の出力を確保することができる。さらに、この場合には噴射開始時刻が遅角されるため、吹き抜けの発生を抑制することができる。
【0056】
(4)上述した制御装置1では、充填効率Ecおよび体積効率Evのそれぞれに基づいて噴射開始時刻が算出され、二つの噴射開始時刻が異なる場合には、より遅角側の一方が噴射開始時刻として設定されるため、大気圧の影響(例えば標高)をも考慮して燃料の吹き抜けを防止することができ、燃焼安定性を向上させることができる。また、上記の実施形態では、開弁タイミングも同様に二つ算出され、これらが異なる場合には、より進角側の一方が開弁タイミングとして設定されるため、大気圧の影響をも考慮して、所望のエンジン出力を実現することができる。
【0057】
(5)上述した制御装置1では、燃費重視領域において実吸入空気量Qが増加するほど開弁タイミングが遅角されるため、燃費重視領域においても出力を確保すべき状況では吸入空気量を増大させることができ、所望のエンジン出力を実現することができる。なお、上記の実施形態では、噴射開始時刻の遅角側の限界値SOILIMが設定されているため、噴射開始時刻が最遅角に制御された場合にも燃料と新気との最低限の混合時間を確保することができる。さらに、この限界値SOI
LIM
は、エンジン回転数Neが高いほど(混合気が吹き抜けにくいほど)進角側に設定されているため、吹き抜けを考慮しつつ混合時間を確保することができる。また、上記の実施形態では、予め設定された制御マップを用いて開弁タイミングおよび噴射開始時刻が設定されるため、複雑な演算処理が不要であり、制御負荷を低減することができる。
【0058】
[6.その他]
上述した各実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した各実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述した実施形態では、制御マップを用いて開弁タイミングおよび噴射開始時刻を設定する場合を例示したが、制御マップは必須ではなく、例えば数式等を使って開弁タイミングおよび噴射開始時刻を設定してもよい。また、制御マップを使う場合であっても、
図2~
図5に示す制御マップ(第一マップおよび第二マップ)の各特性は一例であり、上述した制御マップ以外のマップを用いてもよい。
【0059】
上述した負荷に対する開弁タイミングの進角の変化(進角し始める充填効率Ecの値,負荷の増大量と進角量との関係など)は一例である。また、上述した負荷に対する噴射開始時刻の遅角の変化(遅角し始める充填効率Ecの値,負荷の増大量と遅角量との関係など)は一例である。例えば、低負荷では吸気通路15内の圧力が低く、排気圧力よりも高くなることがないことから燃料の吹き抜けが発生しにくい。そのため、低負荷側では噴射開始時刻を遅角させない設定としてもよい。
【0060】
また、上述したエンジン10の構成は一例であって、上述したものに限られない。例えば、ポート噴射弁11に加えて、筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁を備えたエンジンであってもよい。また、可変動弁機構は、少なくとも吸気弁12の開弁タイミングを変化させる機構を有していればよく、排気弁13側のバルブタイミング調整機構21は省略してもよい。反対に、可変動弁機構が、吸気弁12や排気弁13の最大バルブリフト量を連続的に変更する機構(バルブリフト量調整機構)を併せ持つものであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 制御装置
1A 目標トルク算出部
1B スロットル制御部
1C 充填効率算出部(第一算出手段)
1D 体積効率算出部(第二算出手段)
1E 第一制御部(第一制御手段)
1F 第二制御部(第二制御手段)
3 エアフローセンサ(第一検出手段)
8 大気圧センサ(第二検出手段)
10 エンジン
11 ポート噴射弁(燃料噴射弁)
12 吸気弁
15 吸気通路
16 過給機(過給手段)
20 可変動弁機構
Ec 充填効率
Ev 体積効率
Ne エンジン回転数
Q 実吸入空気量(吸入空気量)
Qo 所定値