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特許7067108情報処理システム、情報処理装置、および、情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、および、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20220509BHJP
   G06F 11/30 20060101ALI20220509BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20220509BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
G06F11/07 160
G06F11/07 181
G06F11/07 140Q
G06F11/30 140D
G06F11/30 172
G06F3/12 336
H04N1/00 127A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018027840
(22)【出願日】2018-02-20
(65)【公開番号】P2019144799
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 晋弥
(72)【発明者】
【氏名】浅井 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】穐田 勝彦
【審査官】吉倉 大智
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-194903(JP,A)
【文献】特開2016-177358(JP,A)
【文献】特開2006-221484(JP,A)
【文献】特開2016-181115(JP,A)
【文献】国際公開第2011/043447(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
G06F 11/28-11/36
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御部と第1記憶部とを備える情報処理サーバと、第2制御部と第2記憶部とを備え前記情報処理サーバと通信可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記第2制御部は、
当該情報処理装置における第1事象の発生を検知可能であり、
検知された前記第1事象の発生回数を計数し、前記第2記憶部に記憶させ、
前記第2記憶部に記憶された前記発生回数を、所定契機ごとに前記情報処理サーバに送信し、
前記第1制御部は、
前記情報処理装置からの前記発生回数の受信により、当該発生回数の前記情報処理装置からの送信時刻を特定可能であり、
受信した前記発生回数と、特定された前記送信時刻とを対応付けて前記第1記憶部に記憶させ、
前記第2制御部は、
発生した後に前記情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている第2事象が発生したか否かを判断し、
前記第2事象が発生したと判断した場合、前記所定契機の増加処理を実行し、
前記第1制御部は、
前記第1記憶部に記憶された前記発生回数の変化の態様が、当該発生回数を送信した前記情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている異常な態様であるか否かを判断可能であり、
前記情報処理装置の前記発生回数の変化が異常な態様であると判断した場合、当該情報処理装置において異常が発生するまたは発生している可能性が高いことを管理者に報知する、情報処理システム。
【請求項2】
前記第1制御部は、
前記増加処理の実行を禁止する指示を前記情報処理装置に送信可能であり、
前記第2制御部は、
前記情報処理サーバから禁止する指示を受信した場合、前記増加処理の実行を禁止する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1制御部は、
前記増加処理の実行を許可する指示を前記情報処理装置に送信可能であり、
前記第2制御部は、
前記情報処理サーバから許可する指示を受信した場合、前記増加処理の実行を許可する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1制御部は、
前記増加処理を実行していない場合に対応する前記所定契機を変更する内容を送信可能であり、
前記第2制御部は、
前記増加処理を実行していない場合に対応する前記所定契機を前記情報処理サーバから受信した内容に変更する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1制御部は、
前記増加処理を実行した場合に対応する前記所定契機を変更する内容を送信可能であり、
前記第2制御部は、
前記増加処理を実行した場合に対応する前記所定契機を前記情報処理サーバから受信した内容に変更する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第2制御部は、当該情報処理装置の通信量を特定可能であり、
前記第2事象は、特定した前記通信量が所定閾値を超えたとの事象である、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第2制御部は、複数の所定機能の実行回数を計数可能であり、
前記第2事象は、計数した複数の前記所定機能の前記実行回数の増加態様が所定態様であるとの事象である、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第2制御部は、当該情報処理装置の通信のリトライ頻度を特定可能であり、
前記第2事象は、特定した前記リトライ頻度が所定閾値を超えたとの事象である、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記第2制御部は、CPUを含み、
前記第2記憶部は、RAMを含み、
前記第2制御部は、前記CPUまたは前記RAMの使用率を特定可能であり、
前記第2事象は、前記使用率が所定閾値を超えたとの事象である、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第2制御部は、ユーザへの通知の発生頻度を特定可能であり、
前記第2事象は、特定した前記発生頻度が所定閾値を超えたとの事象である、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記第2制御部は、複数種類のユーザへの通知のうち少なくとも所定組合せの複数の通知が発生したか否かを判定し、
前記第2事象は、前記所定組合せの複数の通知が発生したと判定したとの事象である、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記第2制御部は、周辺の温度または湿度を測定可能であり、
前記第2事象は、測定した前記温度または前記湿度が所定閾値を超えたとの事象である、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記第2制御部は、当該情報処理装置の所定部品の使用回数または使用期間を特定可能であり、
前記第2事象は、特定した前記使用回数または前記使用期間が所定閾値を超えたとの事象である、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記情報処理装置は、印刷部をさらに備え、
前記第2制御部は、
前記印刷部を制御して印刷を実行可能であり、
前記印刷部による印刷枚数を計数可能であり、
前記第2事象は、計数した前記印刷枚数が所定閾値を超えたとの事象である、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記第1制御部は、
変更後の前記所定閾値を送信可能であり、
前記第2制御部は、
前記情報処理サーバから受信した前記所定閾値に変更する、請求項6、請求項8から請求項10、および、請求項12から請求項14のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記第1制御部は、
変更後の前記所定態様を送信可能であり、
前記第2制御部は、
前記情報処理サーバから受信した前記所定態様に変更する、請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記第1制御部は、
変更後の前記所定組合せを送信可能であり、
前記第2制御部は、
前記情報処理サーバから受信した前記所定組合せに変更する、請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項18】
制御部と記憶部とを備え情報処理サーバと通信可能な情報処理装置であって、
前記制御部は、
当該情報処理装置における第1事象の発生を検知可能であり、
検知された前記第1事象の発生回数を計数し、前記記憶部に記憶させ、
前記記憶部に記憶された前記発生回数を、所定契機ごとに前記情報処理サーバにおいて当該発生回数と送信時刻とを対応付けて記憶させるために当該情報処理サーバに送信し、
発生した後に当該情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている第2事象が発生したか否かを判断し、
前記第2事象が発生したと判断した場合、前記所定契機の増加処理を実行し、
前記情報処理サーバによって、記憶された前記発生回数の変化の態様が、当該発生回数を送信した前記情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている異常な態様であると判断された場合、当該情報処理装置において異常が発生するまたは発生している可能性が高いことが管理者に報知される、情報処理装置。
【請求項19】
制御部と記憶部とを備え情報処理サーバと通信可能な情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、
当該情報処理装置における第1事象の発生を検知するステップと、
検知された前記第1事象の発生回数を計数し、前記記憶部に記憶させるステップと、
前記記憶部に記憶された前記発生回数を、所定契機ごとに前記情報処理サーバにおいて当該発生回数と送信時刻とを対応付けて記憶させるために当該情報処理サーバに送信するステップと、
発生した後に当該情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている第2事象が発生したか否かを判断するステップと、
前記第2事象が発生したと判断した場合、前記所定契機の増加処理を実行するステップとを前記制御部に実行させ、
前記情報処理サーバによって、記憶された前記発生回数の変化の態様が、当該発生回数を送信した前記情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている異常な態様であると判断された場合、当該情報処理装置において異常が発生するまたは発生している可能性が高いことが管理者に報知される、情報処理プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、情報処理システム、情報処理装置、および、情報処理プログラムに関し、特に、第1制御部と第1記憶部とを備える情報処理サーバと、第2制御部と第2記憶部とを備え前記情報処理サーバと通信可能な情報処理装置とを含む情報処理システム、当該情報処理システムに含まれる情報処理装置および、当該情報処理装置によって実行される情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機(以下、「MFP」(Multi Function Peripherals)という)やコピー機などの画像形成装置のような情報処理装置において、実行した機能および発生した現象などの事象のログ情報を管理する方法の1つに、すべての事象履歴と日時とを紐付けて保存するような詳細なログ情報の管理方法がある。このような方法の場合、情報処理装置においてログ情報を記憶する記憶領域、情報処理装置からサーバにログ情報を送信するための通信量、および、サーバにおいてすべての情報処理装置のログ情報を記憶する記憶領域のいずれについても増大するという問題がある。
【0003】
ログ情報の他の管理方法としては、予め登録した複数の機能それぞれの実行回数および予め登録した複数の現象それぞれの発生回数などの、各事象の発生回数をカウント値としてカウントして、これらのカウント値を、サーバに送信して、サーバに蓄積しておく方法がある。この方法によれば、情報処理装置にエラーや不具合が発生したときに、サーバに蓄積されたログ情報であるカウント値を解析して、エラーや不具合の原因を解析や改善を行なうことが可能となる。
【0004】
このような方法の場合、カウント値を0~65535とすると、ログ情報のサイズが項目数×2byteとなるため、上述のような詳細なログ情報を記憶する場合と比較して、保存するための記憶領域が、大幅に増加することは考慮しなくてよい。しかし、カウント値が増加した時刻に関する情報は記憶されないので、どのようなタイミングでカウント値が増加したかは把握し難い。この場合に、カウント値をサーバに送信する頻度を高くすれば、このような問題は解決できる。しかし、情報処理装置とサーバとの間の通信量が増加するという別の問題が発生する。
【0005】
また、特開2000-232449号公報(以下、特許文献1という)によれば、サーバ側がビジー状態であるか否かを判定し、ビジー状態であれば、データ送信の間隔を空けてデータを送信する頻度を低くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-232449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の方法を用いる場合、ログ情報としての各事象の発生回数のカウント値が増加したタイミングを把握するために、すべての情報処理装置とサーバとの間の通信量を増加させると、サーバ側が常にビジー状態となるおそれがある。そのたびに、データ送信の頻度を低くしていたのでは、カウント値のようなデータを適切なタイミングでサーバ側に送信することができないといった問題が生じる。
【0008】
この開示は上述の問題を解決するためになされたもので、この開示の目的の1つは、情報処理装置における事象の発生回数を所定契機ごとにサーバに送信する場合であっても、異常が発生するまたは発生している可能性が高いことを適切に管理者に報知することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、この開示のある局面によれば、情報処理システムは、第1制御部と第1記憶部とを備える情報処理サーバと、第2制御部と第2記憶部とを備え情報処理サーバと通信可能な情報処理装置とを含む。第2制御部は、当該情報処理装置における第1事象の発生を検知可能であり、検知された第1事象の発生回数を計数し、第2記憶部に記憶させ、第2記憶部に記憶された発生回数を、所定契機ごとに情報処理サーバに送信する。第1制御部は、情報処理装置からの発生回数の受信により、当該発生回数の情報処理装置からの送信時刻を特定可能であり、受信した発生回数と、特定された送信時刻とを対応付けて第1記憶部に記憶させる。
【0010】
第2制御部は、発生した後に情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている第2事象が発生したか否かを判断し、第2事象が発生したと判断した場合、所定契機の増加処理を実行する。第1制御部は、第1記憶部に記憶された発生回数の変化の態様が、当該発生回数を送信した情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている異常な態様であるか否かを判断可能であり、情報処理装置の発生回数の変化が異常な態様であると判断した場合、当該情報処理装置において異常が発生するまたは発生している可能性が高いことを管理者に報知する。
【0011】
好ましくは、第1制御部は、増加処理の実行を禁止する指示を情報処理装置に送信可能である。第2制御部は、情報処理サーバから禁止する指示を受信した場合、増加処理の実行を禁止する。
【0012】
好ましくは、第1制御部は、増加処理の実行を許可する指示を情報処理装置に送信可能である。第2制御部は、情報処理サーバから許可する指示を受信した場合、増加処理の実行を許可する。
【0013】
好ましくは、第1制御部は、増加処理を実行していない場合に対応する所定契機を変更する内容を送信可能である。第2制御部は、増加処理を実行していない場合に対応する所定契機を情報処理サーバから受信した内容に変更する。
【0014】
好ましくは、第1制御部は、増加処理を実行した場合に対応する所定契機を変更する内容を送信可能である。第2制御部は、増加処理を実行した場合に対応する所定契機を情報処理サーバから受信した内容に変更する。
【0015】
好ましくは、第2制御部は、当該情報処理装置の通信量を特定可能である。第2事象は、特定した通信量が所定閾値を超えたとの事象である。
【0016】
好ましくは、第2制御部は、複数の所定機能の実行回数を計数可能である。第2事象は、計数した複数の所定機能の実行回数の増加態様が所定態様であるとの事象である。
【0017】
好ましくは、第2制御部は、当該情報処理装置の通信のリトライ頻度を特定可能である。第2事象は、特定したリトライ頻度が所定閾値を超えたとの事象である。
【0018】
好ましくは、第2制御部は、CPUを含む。第2記憶部は、RAMを含む。第2制御部は、CPUまたはRAMの使用率を特定可能である。第2事象は、使用率が所定閾値を超えたとの事象である。
【0019】
好ましくは、第2制御部は、ユーザへの通知の発生頻度を特定可能である。第2事象は、特定した発生頻度が所定閾値を超えたとの事象である。
【0020】
好ましくは、第2制御部は、複数種類のユーザへの通知のうち少なくとも所定組合せの複数の通知が発生したか否かを判定する。第2事象は、所定組合せの複数の通知が発生したと判定したとの事象である。
【0021】
好ましくは、第2制御部は、周辺の温度または湿度を測定可能である。第2事象は、測定した温度または湿度が所定閾値を超えたとの事象である。
【0022】
好ましくは、第2制御部は、当該情報処理装置の所定部品の使用回数または使用期間を特定可能である。第2事象は、特定した使用回数または使用期間が所定閾値を超えたとの事象である。
【0023】
好ましくは、情報処理装置は、印刷部をさらに備える。第2制御部は、印刷部を制御して印刷を実行可能であり、印刷部による印刷枚数を計数可能である。第2事象は、計数した印刷枚数が所定閾値を超えたとの事象である。
【0024】
さらに好ましくは、第1制御部は、変更後の所定閾値を送信可能である。第2制御部は、情報処理サーバから受信した所定閾値に変更する。
【0025】
さらに好ましくは、第1制御部は、変更後の所定態様を送信可能である。第2制御部は、情報処理サーバから受信した所定態様に変更する。
【0026】
さらに好ましくは、第1制御部は、変更後の所定組合せを送信可能である。第2制御部は、情報処理サーバから受信した所定組合せに変更する。
【0027】
この発明の他の局面によれば、情報処理装置は、制御部と記憶部とを備え、情報処理サーバと通信可能である。制御部は、当該情報処理装置における第1事象の発生を検知可能であり、検知された第1事象の発生回数を計数し、記憶部に記憶させ、記憶部に記憶された発生回数を、所定契機ごとに情報処理サーバにおいて当該発生回数と送信時刻とを対応付けて記憶させるために当該情報処理サーバに送信する。
【0028】
制御部は、発生した後に当該情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている第2事象が発生したか否かを判断し、第2事象が発生したと判断した場合、所定契機の増加処理を実行する。情報処理サーバによって、記憶された発生回数の変化の態様が、当該発生回数を送信した情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている異常な態様であると判断された場合、当該情報処理装置において異常が発生するまたは発生している可能性が高いことが管理者に報知される。
【0029】
この発明のさらに他の局面によれば、情報処理プログラムは、制御部と記憶部とを備え情報処理サーバと通信可能な情報処理装置によって実行される。情報処理プログラムは、当該情報処理装置における第1事象の発生を検知するステップと、検知された第1事象の発生回数を計数し、記憶部に記憶させるステップと、記憶部に記憶された発生回数を、所定契機ごとに情報処理サーバにおいて当該発生回数と送信時刻とを対応付けて記憶させるために当該情報処理サーバに送信するステップとを情報処理装置に実行させる。
【0030】
情報処理プログラムは、発生した後に当該情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている第2事象が発生したか否かを判断するステップと、第2事象が発生したと判断した場合、所定契機の増加処理を実行するステップとを制御部に実行させる。情報処理サーバによって、記憶された発生回数の変化の態様が、当該発生回数を送信した情報処理装置に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている異常な態様であると判断された場合、当該情報処理装置において異常が発生するまたは発生している可能性が高いことが管理者に報知される。
【発明の効果】
【0032】
この開示によれば、情報処理装置における事象の発生回数を所定契機ごとにサーバに送信する場合であっても、異常が発生するまたは発生している可能性が高いことを適切に管理者に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】この発明の実施の形態における情報処理システムの概略を示す図である。
図2】この実施の形態におけるMFPの構成を示すブロック図である。
図3】この実施の形態における管理サーバの構成を示すブロック図である。
図4】この実施の形態におけるカウント処理の流れを示すフローチャートおよびカウンタテーブルを説明するための図である。
図5】この実施の形態におけるカウンタログ取得処理およびカウンタログ管理処理の流れを示すフローチャートである。
図6】この実施の形態におけるMFPで異常が発生する例を示すタイミングチャートである。
図7】この実施の形態におけるカウンタログ設定処理の流れを示すフローチャートである。
図8】この実施の形態におけるカウンタログ関連の機能ブロック図である。
図9】第2実施形態における所定事象発生判定部の構成を示す機能ブロック図である。
図10】第3実施形態における所定事象発生判定部の構成を示す機能ブロック図である。
図11】第4実施形態における所定事象発生判定部の構成を示す機能ブロック図である。
図12】第5実施形態における所定事象発生判定部の構成を示す機能ブロック図である。
図13】第6実施形態における所定事象発生判定部の構成を示す機能ブロック図である。
図14】第7実施形態における所定事象発生判定部の構成を示す機能ブロック図である。
図15】第8実施形態における所定事象発生判定部の構成を示す機能ブロック図である。
図16】第9実施形態における所定事象発生判定部の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[第1実施形態]
以下に、図面を参照しつつ、情報処理システムの実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0035】
図1は、この発明の実施の形態における情報処理システム1の概略を示す図である。図1を参照して、情報処理システム1は、MFP200(図1においては、MFP200A,200B,200C)と、管理サーバ300とを含む。管理サーバ300は、単体のサーバに限定されず、サーバ群であってもよい。また、管理サーバ300は1台のコンピュータで構成されてもよい。
【0036】
管理サーバ300は、MFP200A~200Cの製造者等のサービスの提供者側に設置される。MFP200A,200BおよびMFP200Cは、ユーザ側(利用者側)に設置される。MFP200A,200Bは、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの同じプライベートネットワーク900に接続される。MFP200A~200Cは、インターネットや公衆回線や公衆無線LANなどのパブリックネットワーク700を介して、管理サーバ300などのサーバ側と接続される。
【0037】
MFP200は、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファックス機能、および、通信機能を有し、画像が表された読取対象から画像を画像データとして読取ったり、他のMFPなどの画像処理装置やコンピュータなどの他の装置から通信ネットワーク回線や電話回線などの通信回線を経由して画像データを受信したり、通信回線を経由して他の装置に画像データを送信したり、画像データに基づき画像を印刷したりする。画像とは、文書、線図、図面、イラスト、絵画および写真などである。画像データは、画像をデータとして表現したものであって、テキストデータもしくは文書データ、または、ベクトル形式もしくはビットマップ形式の画像データである。
【0038】
管理サーバ300は、MFP200A~200Cを含む複数のMFP200を管理する。たとえば、管理サーバ300は、MFP200において発生した事象(たとえば、MFP200による所定機能の実行、MFP200による所定動作の実行、MFP200での所定エラーの発生など)のログ(履歴)を管理する。
【0039】
図2は、この実施の形態におけるMFP200の構成を示すブロック図である。図2を参照して、MFP200は、MFP200の全体を制御するための制御部210と、所定の情報を記憶するための記憶部220と、MFP200を操作するための操作部230と、MFP200の所定の情報を表示するための表示部240と、外部の装置とプライベートネットワーク900やパブリックネットワーク700を介して通信するための通信部260と、所定の画像を読込むためのスキャナ部270と、所定の画像を印刷するためのプリンタ部280とを含む。
【0040】
記憶部220は、制御部210でプログラムを実行するために必要な作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)と、制御部210で実行するためのプログラムを記憶するためのROM(Read Only Memory)とを含む。また、RAMには、所定の処理を実行するためのプログラムおよびデータが、操作部230、通信部260またはスキャナ部270から読込まれて記憶される。さらに、RAMの記憶領域を補助するための補助記憶装置として、ハードディスクドライブまたはメモリカードが用いられてもよい。
【0041】
操作部230は、MFP200に所定の機能を実行させるための複数の操作ボタン、および、表示部240のディスプレイに構成されるタッチパネルを含む。操作部230の操作ボタンおよびタッチパネルが操作されることによってMFP200に入力された操作内容を示す操作信号は、制御部210に受け渡される。
【0042】
表示部240は、ディスプレイにタッチパネルが構成された液晶表示装置(以下「LCD」(Liquid Crystal Display)という)を含む。表示部240のLCDは、制御部210から受けた画像であって、MFP200の状態およびタッチパネルの操作ボタンを示す画像を表示する。なお、表示部240は、LCDに替えて、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)など他のFPD(Flat Panel Display)を含むようにしてもよい。
【0043】
通信部260は、外部の装置、たとえば、管理サーバ300などとの間でプライベートネットワーク900やパブリックネットワーク700を介して、予め定められたプロトコルで、データを送受信する。通信部260は、制御部210から受けたデータを外部に送信したり、外部から受信したデータを制御部210に受け渡したりする。
【0044】
スキャナ部270は、紙またはその他の物から、それらの表面の視覚可能な情報を、光学的に読取って、読取った画像を画像データに変換し、その画像データを制御部210に受け渡す。
【0045】
プリンタ部280は、制御部210から受けた画像データを画像に変換し、その画像を印刷用紙に印刷する。印刷用紙には、普通紙、写真用紙およびOHP(Overhead projector)フィルムなどが含まれる。
【0046】
制御部210は、MPU(Micro Processing Unit)およびその補助回路からなる。制御部210は、記憶部220、操作部230、表示部240、通信部260、スキャナ部270およびプリンタ部280を制御し、記憶部220に記憶されたプログラムおよびデータにしたがって所定の処理を実行し、操作部230、通信部260またはスキャナ部270から入力されたデータを処理し、処理されたデータを、記憶部220に記憶させたり、表示部240に表示させたり、通信部260から出力させたり、プリンタ部280で印刷させたりする。
【0047】
MFP200のコピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能および通信機能は、それぞれ、制御部210、記憶部220、操作部230、表示部240、通信部260、スキャナ部270およびプリンタ部280のMFP200の各部が協調することによって実現される。
【0048】
図3は、この実施の形態における管理サーバ300の構成を示すブロック図である。図3を参照して、管理サーバ300は、管理サーバ300の全体を制御するための制御部310と、所定の情報を記憶するための記憶部320と、記憶部320を補助して所定の情報を記憶するための外部記憶装置350と、外部の装置とパブリックネットワーク700などを介して通信するための通信部360とを含む。
【0049】
記憶部320および通信部360は、それぞれ、図2で説明したMFP200の記憶部220および通信部260と同様であるので、重複する説明は繰返さない。
【0050】
外部記憶装置350は、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、MO(Magneto-Optical disk)ドライブ、CD(Compact Disc)ドライブ、DVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、または、メモリカードリーダライタなどの記憶装置で構成される。外部記憶装置350は、制御部310から受けた所定のデータまたはプログラムを、記録媒体351に磁気的、光学的、または電気的に記録したり、記録媒体351から読出して制御部310に受け渡したりする。記録媒体351としては、ハードディスク,フレキシブルディスクなどの磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory),CD-R(Compact Disk Recordable),CD-RW(Compact Disk ReWritable),DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory),DVD-R(Digital Versatile Disk Recordable),DVD-RW(Digital Versatile Disk Rerecordable Disc),DVD-RAM(Digital Versatile Disk Random Access Memory),DVD+R,DVD+RW(Digital Versatile Disk ReWritable)などの光ディスク、MO(Magneto-Optical disk)などの光磁気ディスク、メモリカード、または、USB(Universal Serial Bus)メモリなどがある。
【0051】
制御部310は、図2で説明したMFP200の制御部210と同様の構成を有する。制御部310は、記憶部320、外部記憶装置350および通信部360を制御し、記憶部320に記憶されたプログラムおよびデータにしたがって所定の処理を実行し、外部記憶装置350または通信部360から入力されたデータを処理し、処理されたデータを、記憶部320または外部記憶装置350の記録媒体351に記憶させたり、通信部360から出力させたりする。
【0052】
なお、この実施の形態においては、管理サーバ300は、操作部および表示部を含まず、外部の装置の操作部からの操作によって操作され、外部の装置の表示部に情報を出力するが、これに限定されず、操作部および表示部の構成を含むこととしてもよい。操作部は、キーボードおよびマウスを含み、操作部のキーボードおよびマウスが操作されることによって管理サーバ300に入力された操作内容を示す操作信号は、制御部310に受け渡される。表示部は、LCDを含み、LCDは、制御部310から受けた画像データに対応する画像を表示する。
【0053】
図4は、この実施の形態におけるカウント処理の流れを示すフローチャートおよびカウンタテーブルを説明するための図である。図4(A)は、カウント処理の流れを示すフローチャートである。図4(A)を参照して、MFP200の制御部210は、カウンタ加算条件が成立したか否かを判断する(ステップS201)。
【0054】
図4(B)は、カウンタテーブルを説明するための図である。図4(B)を参照して、カウンタ加算条件としては、所定機能が実行されたとの条件、所定動作が実行されたとの条件、および、所定エラーが発生したとの条件である。
【0055】
たとえば、カウンタ加算条件は、印刷要求があったとの条件、モノクロ印刷が実行されたとの条件、カラー印刷が実行されたとの条件、コピー操作がされたとの条件、スキャン操作がされたとの条件、用紙上に転写したトナーの用紙への定着制御が実行されたとの条件、MFP200の○○モータが動作したとの条件、MFP200の制御プログラムの○○モジュールが実行されたとの条件、MFP200へのデータの送信においてデータ未到達とのエラーが発生したとの条件、および、MFP200からサーバへの通信においてサーバが無応答であるエラーが発生したとの条件などである。
【0056】
図4(A)に戻って、カウンタ加算条件が成立した(ステップS201でYES)と判断した場合、制御部210は、成立した条件に対応するカウント回数を1加算する(ステップS202)。たとえば、印刷要求があったとのカウンタ加算条件が成立した場合、図4(B)のカウンタID「0000」のカウンタ回数を1加算する。
【0057】
カウンタ加算条件が成立していない(ステップS201でNO)と判断した場合、および、ステップS202の後、制御部210は、実行する処理をこのカウント処理の呼出元に戻す。
【0058】
図5は、この実施の形態におけるカウンタログ取得処理およびカウンタログ管理処理の流れを示すフローチャートである。図5を参照して、MFP200によって実行されるカウンタログ取得処理においては、まず、MFP200の制御部210は、予め設定されたカウンタログの取得周期となったか否かを判断する(ステップS211)。カウンタログの取得周期とは、管理サーバ300がMFP200からカウンタログを取得する周期である。カウンタログとは、MFP200でカウントされているカウント加算条件ごとのカウント回数のログである。
【0059】
カウンタログの取得周期になった(ステップS211でYES)と判断した場合、制御部210は、カウント回数の前回との差分値を取得する(ステップS212)。たとえば、図4(B)で示したカウンタID「0000」の、前回、カウンタログを送信したときのカウント回数が57回で、今回のカウント回数が100回である場合、カウント回数の前回との差分値は、100-57=43回である。
【0060】
制御部210は、カウンタID、および、カウンタIDごとの取得した差分値を特定可能なカウンタログを作成する(ステップS213)。たとえば、カウンタID「0000」の差分値が43回であることや他のカウンタIDの差分値を特定可能なカウンタログを作成する。制御部210は、送信元のMFP200のID、送信時刻、および、作成したカウンタログを管理サーバ300に送信する(ステップS214)。
【0061】
カウンタログの取得周期となっていない(ステップS211でNO)と判断した場合、および、ステップS214の後、制御部210は、短縮禁止フラグがオフ状態とされているか否かを判断する(ステップS215)。短縮禁止フラグは、カウンタログの取得周期の短縮が禁止されている状態とされているか否かを示すフラグである。
【0062】
短縮禁止フラグがオフ状態である(ステップS215でYES)、つまり、短縮が禁止されていない状態であると判断した場合、制御部210は、カウンタログの取得周期を短縮する契機となる所定事象が発生したか否かを判断する(ステップS216)。
【0063】
所定事象が発生した(ステップS216でYES)と判断した場合、制御部210は、カウンタログの取得周期を、予め設定されている短縮時取得周期に短縮する(ステップS217)。
【0064】
短縮禁止フラグがオフ状態でない(ステップS215でNO)と判断した場合、所定事象が発生していない(ステップS216でNO)と判断した場合、および、ステップS217の後、制御部210は、所定事象が解消したか否かを判断する(ステップS218)。
【0065】
所定事象が解消した(ステップS218でYES)と判断した場合、制御部210は、カウンタログの取得周期を元の通常時取得周期に戻す(ステップS219)。所定事象が解消していない(ステップS218でNO)と判断した場合、および、ステップS219の後、制御部210は、実行する処理をこのカウンタログ取得処理の呼出元に戻す。
【0066】
管理サーバ300によって実行されるカウンタログ管理処理においては、管理サーバ300の制御部310は、カウンタログを、いずれかのMFP200から受信したか否かを判断する(ステップS311)。
【0067】
カウンタログを受信した(ステップS311でYES)と判断した場合、制御部310は、カウンタログで示される情報を、送信元のMFP200のID、および、送信時刻と対応付けて、記憶部320や外部記憶装置350に記憶させる(ステップS312)。
【0068】
カウンタログを受信していない(ステップS311でNO)と判断した場合、および、ステップS312の後、制御部310は、記憶部320や外部記憶装置350に記憶されているカウンタログで示される情報を解析する(ステップS313)。たとえば、あるカウンタ加算条件についてのカウンタログで示される差分値と、当該差分値の送信時刻と前回の差分値との送信時刻との差から、そのカウンタ加算条件のカウント回数の増加率を算出し、算出した増加率が、所定値以上であるか否かを判断する。この所定値は、このカウンタ加算条件のカウント回数の増加率がこの所定値以上となると、MFP200で異常が発生する可能性が高い、または、異常が発生していることを示す値であり、カウンタ加算条件ごとに予め定められる。
【0069】
制御部310は、ステップS313での解析の結果にしたがって、カウンタログが異常態様であるか否かを判断する(ステップS314)。カウンタログが異常態様である(ステップS314でYES)と判断した場合、異常態様のカウンタログの送信元のMFP200について、管理者に報知する(ステップS315)。
【0070】
カウンタログが異常態様でない(ステップS314でNO)と判断した場合、および、ステップS315の後、制御部310は、実行する処理をこのカウンタログ管理処理の呼出元の処理に戻す。
【0071】
図6は、この実施の形態におけるMFP200で異常が発生する例を示すタイミングチャートである。図6を参照して、通常時は、比較的長い取得周期で、MFP200によって、カウンタログが作成され、管理サーバ300に送信されている。ここで、MFP200からの通信量が増加するという所定事象が発生したことに応じて、図5のステップS217で示したように、カウンタログの取得周期が短縮される。その後、MFP200において、スキャン動作が開始されると、通信量が増加しているために、スキャンエラーが発生する。
【0072】
このような場合に、エラーが発生する兆候が表れたときから、取得周期が短縮されているので、管理サーバ300において、取得周期が短縮されたカウンタログが解析されることによって、MFP200においてエラーが発生した原因の究明に役立てることができる。
【0073】
図7は、この実施の形態におけるカウンタログ設定処理の流れを示すフローチャートである。図7を参照して、MFP200において、まず、制御部210は、カウンタログの取得周期を短縮する契機となる所定事象の変更基準を、管理サーバ300から受信したか否かを判断する(ステップS221)。管理サーバ300側では、カウンタログの取得周期を現状よりも長くしたい場合や短くしたい場合に、所定事象の基準を変更するために、変更基準を、変更したいMFP200に送信する。
【0074】
変更基準を受信した(ステップS221でYES)と判断した場合、制御部210は、所定事象の基準を、受信した変更基準に変更する(ステップS222)。たとえば、所定事象が、MFP200からの通信量が増加したことであり、その所定事象の基準が、50Mbps以上となったことという基準であった場合に、25Mbps以上となったことという変更基準を受信した場合、その所定事象の基準を、25Mbps以上となったこととの基準に変更する。
【0075】
変更基準を受信していない(ステップS221でNO)と判断した場合、および、ステップS222の後、制御部210は、周期短縮禁止指示を、管理サーバ300から受信したか否かを判断する(ステップS223)。周期短縮禁止指示は、MFP200におけるカウンタログの取得周期の短縮を禁止することを、MFP200に指示する情報である。
【0076】
周期短縮禁止指示を受信した(ステップS223でYES)と判断した場合、制御部210は、図5のステップS215で示した短縮禁止フラグをオン状態にする(ステップS224)。これにより、MFP200において、カウンタログの取得周期の短縮が禁止される。
【0077】
周期短縮禁止指示を受信していない(ステップS223でNO)と判断した場合、および、ステップS224の後、制御部210は、周期短縮許可指示を、管理サーバ300から受信したか否かを判断する(ステップS225)。周期短縮許可指示は、MFP200におけるカウンタログの取得周期の短縮を許可することを、MFP200に指示する情報である。
【0078】
周期短縮許可指示を受信した(ステップS225でYES)と判断した場合、制御部210は、図5のステップS215で示した短縮禁止フラグをオフ状態にする(ステップS226)。これにより、MFP200において、カウンタログの取得周期の短縮が許容される。
【0079】
周期短縮禁止指示を受信していない(ステップS223でNO)と判断した場合、および、ステップS224の後、制御部210は、通常時取得周期を、管理サーバ300から受信したか否かを判断する(ステップS231)。
【0080】
通常時取得周期を受信した(ステップS231でYES)と判断した場合、制御部210は、通常時取得周期を、受信したものに変更する(ステップS232)。
【0081】
通常時取得周期を受信していない(ステップS231でNO)と判断した場合、および、ステップS232の後、制御部210は、短縮時取得周期を、管理サーバ300から受信したか否かを判断する(ステップS233)。
【0082】
短縮時取得周期を受信した(ステップS233でYES)と判断した場合、制御部210は、短縮時取得周期を、受信したものに変更する(ステップS234)。
【0083】
短縮時取得周期を受信していない(ステップS233でNO)と判断した場合、および、ステップS234の後、制御部210は、実行する処理をこのカウンタログ設定処理の呼出元に戻す。
【0084】
図8は、この実施の形態におけるカウンタログ関連の機能ブロック図である。図8を参照して、MFP200は、特定事象カウント部211と、カウント値記憶部221と、所定事象発生判定部212と、カウンタログ取得周期変更部213と、カウンタログ作成部214と、カウンタログ送信部215と、計時部216とを備える。
【0085】
管理サーバ300は、カウンタログ受信部311と、カウンタログ記憶部321と、カウンタログ異常判定部312と、異常報知部313と、カウンタログ取得設定部314とを備える。
【0086】
特定事象カウント部211は、MFP200における特定事象の発生を検知し、検知された特定事象の発生回数を計数する。
【0087】
カウント値記憶部221は、記憶部220で構成され、特定事象カウント部211によって計数された発生回数を記憶する。
【0088】
カウンタログ取得設定部314は、発生した後にMFP200に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている所定事象、カウンタログの取得周期、および、取得周期の短縮の禁止/許可を、MFP200ごとに設定する。
【0089】
所定事象発生判定部212は、カウンタログ取得設定部314によって設定された所定事象が発生したか否かを判断する。
【0090】
カウンタログ取得周期変更部213は、所定事象発生判定部212によって所定事象が発生したと判断した場合、カウンタログ取得設定部314によって取得周期の短縮が許可されていれば、カウンタログ取得設定部314によって設定されたカウンタログの取得周期を、カウンタログ取得設定部314によって設定された取得周期に短縮させたり、所定事象が解消したと判断した場合、カウンタログの取得周期を元に戻したりする。
【0091】
カウンタログ作成部214は、カウント値記憶部221に記憶されているカウント値からカウンタログを作成する。
【0092】
計時部216は、現在時刻を特定する。カウンタログ送信部215は、カウンタログ作成部214によって作成されたカウンタログと、計時部216で特定された送信時刻と、送信元のMFP200のIDとを含む情報を、管理サーバ300に送信する。
【0093】
カウンタログ受信部311は、MFP200から、カウンタログと送信時刻と送信元のIDとを含む情報を受信する。
【0094】
カウンタログ記憶部321は、記憶部320および外部記憶装置350で構成され、カウンタログ受信部311によって受信された情報に含まれる、カウンタログと送信時刻と送信元のIDとを対応付けて記憶する。
【0095】
カウンタログ異常判定部312は、カウンタログ記憶部321に記憶された、カウンタログと送信時刻とから、カウント回数の変化の態様を解析する。解析の方法としては、たとえば、図5のステップS313で示した方法が考えられる。
【0096】
異常報知部313は、カウンタログ異常判定部312によって異常な態様であると判断されたカウンタログに対応するIDのMFP200において異常が発生する、または、発生している可能性が高いことを、管理サーバ300の管理者に報知する。報知としては、たとえば、管理サーバ300が表示部を備えるようにして、異常の旨を表示部のディスプレイに表示するようにしてもよいし、管理サーバ300が音声出力部を備えるようにして、異常の旨を音声出力部のスピーカから出力するようにしてもよい。
【0097】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態における所定事象発生判定部212の構成を示す機能ブロック図である。図9を参照して、第2実施形態においては、前述した第1実施形態の所定事象発生判定部212が、通信量特定部212Aと、通信量判定部212Bとを含むようにする。第2実施形態においては、カウンタログの取得周期を短縮する契機となる所定事象は、MFP200の通信量が所定閾値を超えたとの事象である。
【0098】
通信量特定部212Aは、MFP200の通信部260で送受信される情報の単位時間当りの通信量を特定可能である。
【0099】
通信量判定部212Bは、通信量特定部212Aによって特定された単位時間当りの通信量が、所定閾値を超えたか否かを判定する。
【0100】
所定事象発生判定部212は、通信量判定部212Bによって単位時間当りの通信量が所定閾値を超えたと判定された場合に、所定事象が発生したと判断する。
【0101】
MFP200などの情報処理装置においては、監視している通信量が所定閾値を超えたとの事象のような所定事象が発生した場合に、不具合が起こることが多々ある。第2実施形態においては、通信量が所定閾値を超えたときに、カウンタログの取得周期を短縮して、頻繁にカウンタログを管理サーバ300に送信する。これによって、不具合が発生したときに、カウンタログで示されるカウンタ加算条件ごとのカウント回数の増加傾向を、不具合の発生原因の解析に役立てることができる。
【0102】
オフィスに設置されているMFP200が接続されているプライベートネットワーク900に、複数のPC(Personal Computer)が接続されている例において、たとえば、以下に示す事象が発生しているとする。
【0103】
(1)複数のPCから同時にMFP200に保存しているドキュメントにアクセスが発生する。
【0104】
(2)複数のPCのIP(Internet Protocol)アドレスの重複がないかの確認のために、各PCに対してマルチキャストのパケットを送信する。
【0105】
(3)複数のPCがプライベートネットワーク900に同時に接続し、当該プライベートネットワークに接続されている機器を検索する。
【0106】
これらのような事象が同時に発生している場合には、それぞれの事象の頻度によっては、MFP200のパケットの送受信数が増大して、単位時間当りの通信量が所定閾値を超える。第2実施形態においては、このような場合に、カウンタログの取得周期を短縮する(たとえば、1日に一度の周期から、1分に一度の周期に短縮する)。これにより、上述の事象がどの程度の頻度で発生しているのかの監視が可能となる。
【0107】
このような通信量が過多となっている状態において、たとえば、MFP200を操作するユーザがプライベートネットワーク900に接続しているPCに対してスキャン画像を送信したりすると、送信エラーが発生する場合がある。この場合に、上述の事象のカウント回数の増加態様を解析することによって、送信エラーが発生した原因の解析に役立てることができる。
【0108】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態における所定事象発生判定部212の構成を示す機能ブロック図である。図10を参照して、第3実施形態においては、前述した第1実施形態の所定事象発生判定部212が、カウンタ増加量特定部212Cと、カウンタ増加量判定部212Dとを含むようにする。第3実施形態においては、カウンタログの取得周期を短縮する契機となる所定事象は、複数の所定機能および所定動作の実行回数ならびに所定エラーの発生回数の増加態様が所定態様であるとの事象である。
【0109】
カウンタ増加量特定部212Cは、MFP200で実行される所定機能および所定動作の実行回数ならびにMFP200で発生した所定エラーの発生回数の増加態様を特定可能である。
【0110】
カウンタ増加量判定部212Dは、カウンタ増加量特定部212Cによって特定された所定機能および所定動作の実行回数ならびに所定エラーの発生回数の増加態様が所定態様であるか否かを判定する。
【0111】
所定事象発生判定部212は、カウンタ増加量判定部212Dによって所定機能および所定動作の実行回数ならびに所定エラーの発生回数の増加態様が所定態様であると判定された場合に、所定事象が発生したと判断する。
【0112】
MFP200では、MFP200の前で使用しているユーザの操作に応じた所定機能および所定動作以外に、MFP200の外部のPCなどから実行される印刷処理、スキャン処理、FAX処理、および、MFP200に保存されているファイルの閲覧処理などの複数の機能および動作が非同期で実行される。
【0113】
複数の機能および動作が同時に起こる状況をタイミングを含めて網羅して事前に評価することは困難である。このため、或るタイミングで或る機能や動作が同時に実行されたときに不具合が起こった場合に、いずれの機能や動作が実行されていたのかを把握することは、不具合の解析に有効になる。
【0114】
図4(B)で示したカウント回数の増加態様が、図4(B)で示したようなカウンタの加算条件のうち所定期間(たとえば30秒)のうちにカウント回数が所定数(たとえば3)増加した加算条件が所定個数(たとえば、3つ)以上となるという所定態様である場合に、カウンタログの取得周期を短縮する(たとえば、1日に一度の周期から、1分に一度の周期に短縮する)。この場合に、すべての加算条件のうち所定の複数個の加算条件(たとえば、スキャン機能の実行、プリント機能の実行およびFAX機能の実行の3つの加算条件)について、同様にしてもよい。
【0115】
[第4実施形態]
図11は、第4実施形態における所定事象発生判定部212の構成を示す機能ブロック図である。図11を参照して、第4実施形態においては、前述した第1実施形態の所定事象発生判定部212が、通信リトライ数特定部212Eと、通信リトライ数判定部212Fとを含むようにする。第4実施形態においては、カウンタログの取得周期を短縮する契機となる所定事象は、通信のリトライ頻度が所定閾値を超えたとの事象である。
【0116】
通信リトライ数特定部212Eは、MFP200の通信部260での通信のリトライ頻度を特定可能である。通信リトライ数判定部212Fは、通信リトライ数特定部212Eによって特定されたリトライ頻度が所定頻度を超えたか否かを判定する。所定事象発生判定部212は、通信リトライ数判定部212Fによってリトライ頻度が所定頻度を超えたと判定された場合に、所定事象が発生したと判断する。
【0117】
MFP200からFAXを送信したり、メールを送信したり、スキャンしたデータを送信する場合、送信先からの応答によっては、送信をリトライする場合がある。リトライを数回行なって、送信が正常に終了する場合もあれば、リトライを数回繰り返した後に、送信タイムアウトとなり、エラーが発生する場合もある。
【0118】
オフィスに設置されているMFP200が接続されているプライベートネットワーク900に、複数のPC(Personal Computer)が接続されている例において、たとえば、以下に示す事象が発生しているとする。
【0119】
(1)複数のPCから同時にMFP200に保存しているドキュメントにアクセスが発生する。
【0120】
(2)複数のPCのIP(Internet Protocol)アドレスの重複がないかの確認のために、各PCに対してマルチキャストのパケットを送信する。
【0121】
(3)複数のPCがプライベートネットワーク900に同時に接続し、当該プライベートネットワークに接続されている機器を検索する。
【0122】
これらのような事象が同時に発生している場合には、ネットワークの通信品質が悪くなる場合がある。このような状況で、たとえば、スキャン画像のデータをPCに送信する場合、送信のリトライが発生することがある。この場合に、単位時間当りのリトライ回数が所定回数以上となった場合に、カウンタログの取得周期を短縮する(たとえば、1日に一度の周期から、1分に一度の周期に短縮する)。
【0123】
これにより、カウンタログの取得周期を短縮した後、すべてのスキャン画像のデータの送信が終了するまでにタイムアウトエラーが発生した場合、カウンタログを解析することにより、どのような事象によりリトライのタイムアウトエラーが発生したかが判明する。その結果、MFP200を性能が高い機種に変更することでユーザ環境を改善したり、MFP200の不具合対策をしたりすることが可能となる。
【0124】
[第5実施形態]
図12は、第5実施形態における所定事象発生判定部212の構成を示す機能ブロック図である。図12を参照して、第5実施形態においては、前述した第1実施形態の所定事象発生判定部212が、リソース使用量特定部212Gと、リソース使用量判定部212Hとを含むようにする。第5実施形態においては、カウンタログの取得周期を短縮する契機となる所定事象は、制御部210のMPU(CPUともいう)ならびに記憶部220のRAMおよび補助記憶装置などのリソースの使用率が所定閾値を超えたとの事象である。
【0125】
リソース使用量特定部212Gは、リソースの使用率を特定可能である。リソース使用量判定部212Hは、リソース使用量特定部212Gによって特定された使用率が所定閾値を超えたか否かを判定する。所定事象発生判定部212は、リソース使用量判定部212Hによって使用率が所定閾値を超えたと判定された場合に、所定事象が発生したと判断する。
【0126】
MFP200のような情報処理装置は、CPU、RAMおよび外部記憶装置の使用率を監視する機能を有する場合がある。それらの使用率が100%に近付いた場合には、想定している使用方法を超えた状態でMFP200が使用されている場合がある。このような場合には、MFP200に不具合が発生する可能性が高くなる。この第5実施形態のようにすることによって、そのような不具合が発生した場合に、原因を究明したり、不具合の発生を事前に防ぐための方策を執ったりすることができる。
【0127】
[第6実施形態]
図13は、第6実施形態における所定事象発生判定部212の構成を示す機能ブロック図である。図13を参照して、第6実施形態においては、前述した第1実施形態の所定事象発生判定部212が、ユーザ通知発生特定部212Jと、ユーザ通知発生判定部212Kとを含むようにする。第6実施形態においては、カウンタログの取得周期を短縮する契機となる所定事象は、ユーザへの通知の発生頻度が所定閾値を超えたとの事象である。
【0128】
ユーザ通知発生特定部212Jは、MFP200からのユーザへの通知の発生頻度を特定可能である。ユーザ通知発生判定部212Kは、ユーザ通知発生特定部212Jによって特定された発生頻度が所定閾値を超えたか否かを判定する。所定事象発生判定部212は、ユーザ通知発生判定部212Kによってユーザへの通知の発生頻度が所定閾値を超えたと判定された場合に、所定事象が発生したと判断する。
【0129】
また、ユーザ通知発生特定部212Jは、複数種類のユーザへの通知のうち少なくとも所定組合せの複数の通知の発生を特定可能としてもよい。この場合、ユーザ通知発生判定部212Kは、ユーザ通知発生特定部212Jによって特定された所定組合せの複数の通知が発生したと特定されたか否かを判定する。所定事象発生判定部212は、ユーザ通知発生判定部212Kによって所定組合せの複数の通知が発生したと特定されたと判定された場合に、所定事象が発生したと判断する。
【0130】
MFP200のユーザ通知には、用紙の継ぎ足しを促す用紙切れ通知、インクやトナーのカートリッジの交換を促すインクやトナーの残量低下通知、および、廃トナータンクの容量の満杯通知などがある。このような通知は、現在実行している印刷などのジョブが終了したときに実行する場合が多い。このような用紙切れの検知や、トナーの残量の低下の検知、および、他の機能が非同期で実行されるため、それぞれの発生タイミングによっては不具合が発生する場合がある。このような場合にも、カウンタログの取得周期を短くすることによって、不具合の原因の解析を効率良く行なうことができる。
【0131】
たとえば、MFP200において、以下に示す事象が順に発生しているとする。
(1)100ページの印刷ジョブ開始。
【0132】
(2)30ページの印刷が終了したときにトナー残量低下を検出し、その旨をユーザに通知。
【0133】
(3)廃トナータンクの満杯を検出し、その旨をユーザに通知。
(4)複数のユーザ通知が発生したことにより、カウンタログの取得周期を短縮。
【0134】
(5)用紙切れを検出し、その旨をユーザに通知。
(6)上述の(2),(3),(5)の3つの通知が重なることで通信エラーが発生。
【0135】
このような場合に、(4)でカウンタログの取得周期が短縮されているため、(6)で発生したエラーの原因の解析を有効に行なうことができる。
【0136】
なお、上述のような場合、ユーザ通知発生判定部212Kによって所定組合せの複数の通知が発生したと特定されたと判定された場合に、所定事象が発生したと判断するが、1つの通知や少数(たとえば、2つ)の通知のみの発生によっては、所定事象が発生したと判断しないことが好ましい。
【0137】
[第7実施形態]
図14は、第7実施形態における所定事象発生判定部212の構成を示す機能ブロック図である。図14を参照して、第7実施形態においては、前述した第1実施形態の所定事象発生判定部212が、温度/湿度特定部212Lと、温度/湿度判定部212Mとを含むようにする。第7実施形態においては、カウンタログの取得周期を短縮する契機となる所定事象は、測定した周辺の温度/湿度が所定閾値を超えたとの事象である。
【0138】
温度/湿度特定部212Lは、周辺の温度/湿度を測定可能である。温度/湿度判定部212Mは、温度/湿度特定部212Lによって測定された温度/湿度が所定閾値を超えたか否かを判定する。所定事象発生判定部212は、温度/湿度判定部212Mによって周辺の温度/湿度が所定閾値を超えたと判定された場合に、所定事象が発生したと判断する。
【0139】
MFP200において、MFP200の内部またはMFP200の部品の温度管理を行なって、一定温度を超えた場合に、印刷枚数を抑えたり、印刷不能としたりする制御を実行する場合がある。このような場合に、ユーザ通知を実行したり、冷却ファンを動作させたり、印刷間隔を長くしたりする場合がある。また、湿度が大きく変わった場合、用紙の搬送精度に変化が生じたり、紙詰まりの発生頻度に変化が生じたりする場合がある。
【0140】
第7実施形態のようにすることによって、不具合の発生を予測して、カウンタログの取得周期を短縮し、問題が発生した場合に備えることができる。
【0141】
[第8実施形態]
図15は、第8実施形態における所定事象発生判定部212の構成を示す機能ブロック図である。図15を参照して、第8実施形態においては、前述した第1実施形態の所定事象発生判定部212が、部品使用期間特定部212Pと、部品使用期間判定部212Qとを含むようにする。第8実施形態においては、カウンタログの取得周期を短縮する契機となる所定事象は、MFP200の所定部品の使用回数または使用期間が所定閾値を超えたとの事象である。
【0142】
部品使用期間特定部212Pは、MFP200の所定部品の使用回数または使用期間を特定可能である。部品使用期間判定部212Qは、部品使用期間特定部212Pによって特定された使用回数または使用期間が所定閾値を超えたか否かを判定する。所定事象発生判定部212は、部品使用期間判定部212Qによって所定部品の使用回数または使用期間が所定閾値を超えたと判定された場合に、所定事象が発生したと判断する。
【0143】
MFP200には冷却ファンや用紙の搬送ローラの駆動のために多数のモータや、感光体などの部品が搭載されている。それぞれの使用期間や使用回数や使用頻度を監視して、所定閾値を超えた場合に、不具合発生を予測して、カウンタログの取得周期を短縮することで、故障予測や交換時期の予測を精度良く行なうことができる。
【0144】
[第9実施形態]
図16は、第9実施形態における所定事象発生判定部212の構成を示す機能ブロック図である。図16を参照して、第9実施形態においては、前述した第1実施形態の所定事象発生判定部212が、印刷枚数特定部212Rと、印刷枚数判定部212Sとを含むようにする。第9実施形態においては、カウンタログの取得周期を短縮する契機となる所定事象は、プリンタ部280による印刷枚数(MFP200の製造時からの印刷枚数、または、感光体やトナーカートリッジなどの所定部品の交換からの印刷枚数)が所定閾値を超えたとの事象である。
【0145】
印刷枚数特定部212Rは、プリンタ部280による印刷枚数を計数可能である。印刷枚数判定部212Sは、印刷枚数特定部212Rによって計数された印刷枚数が所定閾値を超えたか否かを判定する。所定事象発生判定部212は、印刷枚数判定部212Sによって印刷枚数が所定閾値を超えたと判定された場合に、所定事象が発生したと判断する。
【0146】
MFP200は、総印刷枚数を記憶している場合があり、その総印刷枚数を課金する金額や部品交換時期の特定に利用することができる。総印刷枚数が多くなると、部品の消耗が激しくなったり、不具合が発生したりすることがある。第9実施形態のようにすることで、故障予測の精度の向上や不具合発生時の原因の解析に役立てることができる。
【0147】
[効果]
(1) 以上説明したように、図1から図6および図8で示したように、この実施の形態における情報処理システム1は、制御部310と記憶部320とを備える管理サーバ300と、制御部210と記憶部220とを備え管理サーバ300と通信可能なMFP200とを含む。制御部210は、当該MFP200における第1事象の発生を検知可能であり、検知された第1事象の発生回数を計数し、記憶部220に記憶させ、記憶部220に記憶された発生回数を、所定契機ごとに管理サーバ300に送信する。制御部310は、MFP200からの発生回数の受信により、当該発生回数のMFP200からの送信時刻を特定可能であり、受信した発生回数と、特定された送信時刻とを対応付けて記憶部320に記憶させる。
【0148】
制御部210は、発生した後にMFP200に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている第2事象が発生したか否かを判断し、第2事象が発生したと判断した場合、所定契機の増加処理を実行する。制御部310は、記憶部320に記憶された発生回数の変化の態様が、当該発生回数を送信したMFP200に異常が発生するおよび発生している可能性が高いと予め見出されている異常な態様であるか否かを判断可能であり、MFP200の発生回数の変化が異常な態様であると判断した場合、当該MFP200において異常が発生するまたは発生している可能性が高いことを管理者に報知する。
【0149】
これにより、MFP200における事象の発生回数を所定契機ごとに管理サーバ300に送信する場合であっても、異常が発生する、または、発生している可能性が高いことを適切に管理者に報知することができる。この報知に応じて、管理者は、異常の発生後であれば、当該MFP200での異常の原因を究明したり、異常の発生前であれば、異常が発生しないように対策したりすることによって、当該MFP200に対して適切な対処をすることができる。
【0150】
(2) 図7で示したように、制御部310は、増加処理の実行を禁止する指示をMFP200に送信可能である。図5で示したように、制御部210は、管理サーバ300から禁止する指示を受信した場合、増加処理の実行を禁止する。これにより、異常の発生を監視する必要のないMFP200については、カウンタログの増加処理を不能とすることができる。これにより、他のMFP200について効率良く異常を監視することができる。
【0151】
(3) 図7で示したように、制御部310は、増加処理の実行を許可する指示をMFP200に送信可能である。図5で示したように、制御部210は、管理サーバ300から許可する指示を受信した場合、増加処理の実行を許可する。これにより、異常の発生を監視する必要のあるMFP200については、カウントログの増加処理を可能とすることができる。これにより、特定のMFP200について異常を監視することができる。
【0152】
(4) 図7で示したように、制御部310は、増加処理を実行していない場合に対応する所定契機を変更する内容を送信可能である。制御部210は、増加処理を実行していない場合に対応する所定契機を管理サーバ300から受信した内容に変更する。これにより、増加処理を実行していない場合に対応する所定契機の内容を管理サーバ300の側から管理することができる。
【0153】
(5) 図7で示したように、制御部310は、増加処理を実行した場合に対応する所定契機を変更する内容を送信可能である。制御部210は、増加処理を実行した場合に対応する所定契機を管理サーバ300から受信した内容に変更する。これにより、増加処理を実行した場合に対応する所定契機の内容を管理サーバ300の側から管理することができる。
【0154】
(6) 図9で示したように、制御部210は、当該MFP200の通信量を特定可能である。第2事象は、特定した通信量が所定閾値を超えたとの事象である。
【0155】
(7) 図10で示したように、制御部210は、複数の所定機能の実行回数を計数可能である。第2事象は、計数した複数の所定機能の実行回数の増加態様が所定態様であるとの事象である。
【0156】
(8) 図11で示したように、制御部210は、当該情報処理装置の通信のリトライ頻度を特定可能である。第2事象は、特定したリトライ頻度が所定閾値を超えたとの事象である。
【0157】
(9) 図12で示したように、制御部210は、CPUを含む。記憶部220は、RAMを含む。制御部210は、CPUまたはRAMの使用率を特定可能である。第2事象は、使用率が所定閾値を超えたとの事象である。
【0158】
(10) 図13で示したように、制御部210は、ユーザへの通知の発生頻度を特定可能である。第2事象は、特定した発生頻度が所定閾値を超えたとの事象である。
【0159】
(11) 図13で示したように、制御部210は、複数種類のユーザへの通知のうち少なくとも所定組合せの複数の通知が発生したか否かを判定する。第2事象は、所定組合せの複数の通知が発生したと判定したとの事象である。
【0160】
(12) 図14で示したように、制御部210は、周辺の温度または湿度を測定可能である。第2事象は、測定した温度または湿度が所定閾値を超えたとの事象である。
【0161】
(13) 図15で示したように、制御部210は、当該MFP200の所定部品の使用回数または使用期間を特定可能である。第2事象は、特定した使用回数または使用期間が所定閾値を超えたとの事象である。
【0162】
(14) 図16で示したように、MFP200は、プリンタ部280をさらに備える。制御部210は、プリンタ部280を制御して印刷を実行可能であり、プリンタ部280による印刷枚数を計数可能である。第2事象は、計数した印刷枚数が所定閾値を超えたとの事象である。
【0163】
(15) 図7で示したように、制御部310は、変更後の所定閾値を送信可能である。制御部210は、管理サーバ300から受信した所定閾値に変更する。これにより、所定閾値を管理サーバ300の側から管理することができる。
【0164】
(16) 図7で示したように、制御部310は、変更後の所定態様を送信可能である。制御部210は、管理サーバ300から受信した所定態様に変更する。これにより、所定態様を管理サーバ300の側から管理することができる。
【0165】
(17) 図7で示したように、制御部310は、変更後の所定組合せを送信可能である。制御部210は、管理サーバ300から受信した所定組合せに変更する。これにより、所定組合せを管理サーバ300の側から管理することができる。
【0166】
[変形例]
(1) 前述した実施の形態においては、情報処理装置がMFP200,200A~200Cであることとした。しかし、これに限定されず、情報処理装置は、制御部と記憶部とを備え管理サーバ300と通信可能であれば、他の装置であってもよく、たとえば、PC、制御部と記憶部とを備えるテレビ受像機や家電製品などの組込機器であってもよい。
【0167】
(2) 前述した実施の形態においては、所定事象が発生したと判断した場合に、カウンタログの取得周期を、通常時取得周期(たとえば、1日、1週間)から短縮時取得周期(たとえば、1分、5分)に短縮するようにした。しかし、カウンタログの取得契機を増加させるのであれば、これに限定されず、MFP200の使用回数当りの取得契機の回数の割合を多くするようにしてもよい。たとえば、MFP200が100回、使用されるごとにカウンタログが1回取得されているときに、所定事象が発生したと判断した場合、MFP200が5回、使用されるごとにカウンタログが1回取得されるようにしてもよい。
【0168】
(3) 前述した実施の形態のおいては、所定事象の内容に関わらず、一律に、カウンタログの取得契機を増加させるようにした。しかし、これに限定されず、所定事象の内容に応じて、カウンタログの取得契機の増加態様を異ならせるようにしてもよい。たとえば、その事象が発生した場合に異常が発生する割合が第1の事象よりも高い第2の事象が発生したと判断した場合には、第1の事象が発生した場合よりも、カウンタログの取得契機をより多く増加させるようにしてもよい。たとえば、「感光体を交換して下さい」とのユーザへの通知の発生頻度が所定閾値を超えたとの事象が発生した場合には、取得周期を1日から3時間に増加させる一方、「印刷できません」とのユーザへの通知の発生頻度が所定閾値を超えたとの事象が発生した場合には、取得周期を1日から1分に増加させるようにしてもよい。
【0169】
(4) 前述した実施の形態においては、図4図5および図7のフローチャートで示したようなソフトウェアが制御部によって実行されることで、図8で示したような機能が制御部によって実現されるようにした。しかし、これに限定されず、図8で示したような機能が、制御部の内部でハードウェア回路で実現されるようにしてもよい。
【0170】
(5) 前述した実施の形態においては、画像処理装置の具体例が、画像形成装置の1つであるMFP200であることとしたが、これに限定されず、複写機やプリンタなどの画像形成装置であってもよいし、スキャナであってもよいし、ファクシミリであってもよい。
【0171】
(6) 前述した実施の形態においては、情報処理システム1として発明を説明した。しかし、これに限定されず、情報処理システム1で実行される情報処理方法として発明を捉えることができる。また、情報処理システム1に含まれるMFP200などの情報処理装置または管理サーバ300などのサーバの装置として発明を捉えることができる。また、情報処理システム1に含まれるMFP200などの情報処理装置または管理サーバ300などのサーバにおいて、フローチャート等で説明した処理を実行する方法またはプログラムとして発明を捉えることができる。
【0172】
また、当該プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として発明を捉えることができる。この記録媒体は、磁気テープ、フレキシブルディスク,ハードディスクなどの磁気ディスク、CD-ROM,CD-R,CD-RW,DVD-ROM,DVD-R,DVD-RW,DVD-RAM,DVD+R,DVD+RWなどの光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、メモリカード、または、USBメモリなどの固定的にプログラムを担持する媒体であってもよいし、ASP(Application Service Provider)などのサーバから通信ネットワークを介してプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0173】
(7) 実施の形態および各変形例において説明された技術は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【0174】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0175】
1 情報処理システム、210,310 制御部、220,320 記憶部、350 外部記憶装置、351 記録媒体、230 操作部、240 表示部、260,360 通信部、270 スキャナ部、280 プリンタ部、300 管理サーバ、700 パブリックネットワーク、900 プライベートネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16