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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】車載用電子機器のホルダ構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018034990
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2019147529
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼市 皓太
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-012406(JP,A)
【文献】特開2017-171165(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0251605(US,A1)
【文献】国際公開第2016/190153(WO,A1)
【文献】特開2018-012387(JP,A)
【文献】特開2010-188804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドガラスの車幅方向中央部の上方部分の車室内側に、カメラ等のセンサ類を収納したホルダが配置される車載用センサホルダの構造において、前記ウインドガラスに取り付けられる第1のホルダと、該第1のホルダに取り付けられて車体後方に延びる第2のホルダとを備え、前記第1のホルダのウインドガラス側の前面壁面部に検出用開口部が設けられ、該検出用開口部の少なくとも上辺部に前記ウインドガラスに接着する接着面を設け、前記検出用開口部の上辺部に車体後方に延びる上方壁面部を設け、該上方壁面部の車幅方向の両側部に、車体前後方向のスリットが設けられ、該スリットの挿入口を前記上方壁面部の後端側に形成し、かつ該スリットの内側には車幅方向に向けて一定幅拡張する係合用開口部が設けられており、該スリットに係合するフック状部を前記第2のホルダの前端部の下面側に前方に向けて延出して設け、前記スリットに車体後端側から挿入させた前記フック状部を、前記第2のホルダを車幅方向に移動させることで、前記係合用開口部に位置させて、前記フック状部を縁部に係合させて第2のホルダを仮保持させることを特徴とする車載用電子機器のホルダ構造。
【請求項2】
前記第1のホルダの前記上方壁面部の後端に設けられた下方に延びる縦壁面に、車体前
後方向の取付孔を設けるとともに前記フック状部を前記係合用開口部に位置させた状態で
、前記取付孔に対応する位置に取付孔を形成した舌片を前記第2のホルダの下面に垂設したことを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器のホルダ構造。
【請求項3】
前記係合用開口部の内側の上方壁面部に、車幅方向に対向する側壁面と、前記側壁面の前後相互間に接続して設けられ、かつ車体の前後方向に前方側傾斜面と後方側傾斜面を形成した凹状部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用電子機器のホルダ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダまたはカメラ等の電子機器を搭載する車載用電子機器のホルダ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に取り付けられたカメラで撮像した画像を画像処理することで、路面の車線、先行車、対向車、人物または道路標識を抽出する車載カメラが用いられている。このような車載カメラ等のセンサ類の電子機器は、車両の安全走行を支援する車載システムおよび不審者の侵入を監視する監視システムに適用されている。
【0003】
近年、車両には、レインセンサ、照度センサ、ミリ波またはレーザレーダセンサ等の多種多様なセンサ類が搭載されている。このため、レーダまたは車載カメラ等の電子機器は、ドライバーの視野を遮ったり、ドライバーに圧迫感を与えるなど、ドライバーの運転を妨げない必要がある。その結果、車載カメラ等の電子機器は、車両のフロントガラスに沿うように取り付けられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-193366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、フロントガラスに取り付けられるカメラ等の電子機器は、ホルダを介して取り付けられる。ホルダは、ガラスに接着剤で固定されるが、フロントガラスの接着面は、外部から見えないように黒セラミックスで隠されている必要がある。しかし、フロントガラスの黒セラミックスエリアは、安全ガラスの法規によりガラス上方の一部区画に制限され、設定可能な範囲が少ない。そのうえで、高さ方向が小さく、地面に対して角度が付いたガラスの機種では、前述の法規や、視界エリア確保から、ガラス上端付近にホルダを設定している。しかしながら、ホルダがフロントガラスのガラス外周部に飛び出る格好となり、ガラス接着剤塗布の妨げとなったり、ガラスを車体に組み付ける際に車体と干渉したりする問題があり、特許文献1で示された従来機種ではフロントガラスに取り付けられる取付け部材と、車載カメラ用筐体とで、ホルダ部分を2分割する方法で回避を図ってきた。
【0006】
分割されたホルダを組み付ける際、ネジやクリップでホルダ同士が締結される、あるいはセンサがホルダに組み付けられるまでの間、落ちることなく保持されていなければならない。しかしながら、保持するためには爪構造を設定しなければならず、爪を嵌合させるためにホルダを回転させたり、上方から組み付けたりするためのスペース確保が必要である。
しかしながらこれらの方法だと、車室内上面のルーフフロントメンバの逃げ量が増大して断面が小さくなり、剛性が下がる。取り付けるためのスペース確保のためにルーフライニングの切欠き量が増え、ルーフライニングの剛性が下がる。ルーフライニングの切欠きを小さくすると組付け性が悪化する不具合が生じる。
【0007】
本発明は、作業性を損なわずにルーフライニングの切欠き量を減らし、ルーフフロントメンバの逃げ量を抑えたうえで、法規や商品性を満足できる位置にセンサ等の電子機器をレイアウトできるとともに、スライドさせて引っ掛けられる位置へフック状部を移動させることで、最小の作業スペースで仮保持構造が成立する車載用電子機器のホルダ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、車両のウインドガラスの車幅方向中央部の上方部分の車室内側に、カメラ等のセンサ類を収納したホルダが配置される車載用センサホルダの構造において、前記ウインドガラスに取り付けられる第1のホルダと、該第1のホルダに取り付けられて車体後方に延びる第2のホルダとを備え、前記第1のホルダのウインドガラス側の前面壁面部に検出用開口部が設けられ、該検出用開口部の少なくとも上辺部に前記ウインドガラスに接着する接着面を設け、前記検出用開口部の上辺部に車体後方に延びる上方壁面部を設け、該上方壁面部の車幅方向の両側部に、車体前後方向のスリットが設けられ、該スリットの挿入口を前記上方壁面部の後端側に形成し、かつ該スリットの内側には車体の前後方向所定長さで車体の車幅方向に向けて一定幅拡張する係合用開口部が設けられており、該スリットに係合するフック状部を前記第2のホルダの前端部の下面側に前方に向けて延出して設け、前記スリットに車体後端側から挿入させた前記フック状部を、前記第2のホルダを車幅方向に移動させることで、前記フック状部を前記係合用開口部に位置させるとともに先端の縁部に前記フック状部を係合させて仮保持させることにある。
【発明の効果】
【0009】
第2のホルダのフック状部を第1のホルダのスリットに後端側から挿入させ第2のホルダを車幅方向に移動させることで、前記フック状部を係合用開口部先端の縁部に係合させて仮保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態による車載用電子機器のホルダ構造を示す斜視図である。
図2図1のカバーを外して車載用電子機器のホルダ構造の第1のホルダと第2のホルダを示す斜視図である。
図3図2の第1のホルダと、第2のホルダを外した状態を示す斜視図である。
図4図3の第1のホルダと、第2のホルダの取付部を示す拡大斜視図である。
図5】第1のホルダのスリットに第2のホルダのフック状部を挿入した状態を車体後方から見た図である。
図6図5の第1のホルダの開口部に第2のホルダのフック状部を車幅方向に移動して組み付けた状態を車体後方から見た図である。
図7図6の第1のホルダと、第2のホルダをネジ止めにより締結した状態を車体後方から見た図である。
図8図2の車載用電子機器のホルダ構造の第1のホルダと第2のホルダを車体前方側から見た斜視図である。
図9図3の第1のホルダを斜め上方から見た斜視図である。
図10図3の第2のホルダを車体前方側から見た斜視図である。
図11】車載用電子機器のホルダの取付位置を示すフロントウインドガラスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1ないし図7は、本発明の実施の形態によるレーダあるいは車載カメラなどのセンサ類の車載用電子機器のホルダ構造を示す図で、車載用電子機器ホルダをフロントウインドガラスの室内側に取り付けた状態の図である。図8ないし図10は、車載用電子機器ホルダの第1のホルダと第2のホルダをそれぞれ示す斜視図である。図11はフロントウインドガラスの車載用電子機器ホルダの取付位置を示す概念図である。
【0012】
図1は、車室内前部の車載用電子機器1が取り付けられたフロントウインドガラス2の車幅方向中央部の上端部を示したもので、車載用電子機器1はカバー3で覆われてフロントガラス2とルーフ部4との境界部分に取り付けられている。ルーフ部4には、図2に示すようにルーフライニング41に凹み部42が設けられており、この凹み部42に一部が入り込むようにして車載用電子機器1の車載用電子機器ホルダ5が取り付けられている。
【0013】
フロントウインドガラス2は、図11に示すように法規により車載用電子機器1を取り付ける貼り付ける面に対する黒セラミックス(不透明遮蔽)の塗布面に制限があり、斜線で示した範囲内2Aに制限されている。これは内側の二点鎖線で示された平面21以内という制限から下限が規定され、L1という幅以内であって、下限の幅がL2以内であることという制限を満足しなければならない。
このような規定を満足するために、車載用電子機器1は、黒セラミックスが施工される車幅方向中央部の上端部の範囲内に制限されて取り付けられている。
【0014】
本発明の実施の形態による車載用電子機器のホルダ構造を説明すると、図2図1の車載用電子機器1のカバー3および内部のレーダあるいはカメラ等の電子機器を取り除いて車載用電子機器ホルダ5を示したものである。
前記車載用電子機器ホルダ5は、フロントウインドガラス2に接着して取り付けられる第1のホルダ6と、この第1のホルダ6の上部側に配置されて、第1のホルダ6にねじ止めにより取り付けられ、かつ車体後方に延びる第2のホルダ7とで構成されている。
【0015】
前記車載用電子機器ホルダ5の第1のホルダ6と第2のホルダ7について図2ないし図10により詳細に説明する。
前記第1のホルダ6は、フロントウインドガラス2の車室内側の面に対向する前面壁面部61を有し、この前面壁面部61の中央部には四角形の検出用開口部61aが設けられている。この検出用開口部61aの上下と両側の周囲に接着剤8が塗布されてフロントウインドガラス2に前記第1のホルダ6の前面壁面部61が接着されている。前記検出用開口部61aの内側には、図示しないレーダあるいはカメラ等の電子機器が前記第1のホルダ6に設置されており、前記検出用開口部61aを通してフロントウインドガラス2の外側の被写体を撮像するものである。
【0016】
前記第1のホルダ6には、図9に示すように前記検出用開口部61aが設けられた前面壁面部61の上辺部に車体後方側に延びる上方壁面部62が設けられ、該上方壁面部62の車幅方向の両側部に、車体前後方向のスリット63が設けられている。該スリット63は挿入口63aを前記上方壁面部62の車体後端側に形成し、かつ該スリット63の内側には車体の前後方向所定長さm1で車体の車幅方向に向けて一定幅m2拡張する係合用開口部64が設けられている。
【0017】
前記係合用開口部64の内側の上方壁面部62には、車幅方向に対向する側壁面65と、前記側壁面65の前後相互間を接続して設けられ、かつ車体の前後方向に前方側傾斜面66aと後方側傾斜面66bとで形成される前後方向断面が三角形の凹状部66が設けられている。前記前方側傾斜面66aと後方側傾斜面66bの内面には、前後方向に連続するリブ67が車幅方向に複数設けられて補強されている。
【0018】
前記第1のホルダ6の前記上方壁面部62の後端両側には、下方に延びる縦壁面68が設けられ、該縦壁面68に、前記第2のホルダ7をねじ止めするための車体前後方向の取付孔68aが設けられ、この取付孔68aに対応するねじ孔9aを設けた断面U字状のナット9が縦壁面68を裏表の両側から挟持するように装着されている。
【0019】
前記第2のホルダ7は、図2および図8に示すように前記ルーフライニング41に凹み部42に組み付けられて取り付けられる前面壁面部71と、この前面壁面部71の左右の両側に車体後方に向けて延出された一対の側壁部72と、前面壁面部71と側壁部72の外側に延出された底面部73とで構成されている。前面壁面部71と底面部73には、両方に跨って車体前方に延出された三角形状のリブ74が車幅方向に一定間隔で複数設けられて補強されている。
【0020】
前記第2のホルダ7の底面部73の前端部下面側には、図10に示すように前記第1のホルダ6のスリット63にそれぞれ係合する一対のフック状部75が前方に向けて延出して設けられている。このフック状部75は車幅方向にスリット63の幅よりも薄い板状の厚みに形成されており、先端に前記第2のホルダ7の底面部73よりも前方に突出する爪部75aが設けられている。
前記第2のホルダ7は、図3図7に示すように前記第1のホルダ6のスリット63に車体後端側から前記フック状部75を挿入させて、前記第2のホルダ7を車幅方向に一定幅移動させることで、前記フック状部75を前記係合用開口部64に位置させるとともに前記係合用開口部64先端の縁部64aに前記フック状部75の爪部75aを係合させて前記第2のホルダ7を前記第1のホルダ6に仮保持させることができる。
【0021】
前記第2のホルダ7には、前記フック状部75の車体後方側に前記第1のホルダ6の縦壁面68に設けられた取付孔68aに対応する位置に取付孔76aを形成した一対の舌片76が底面部73の後端部下面に垂設されている。
前記第2のホルダ7は、舌片76の取付孔76aを第1のホルダ6の取付孔68aに位置合わせさせてネジ10を介して締結されている。
【0022】
前記車載用電子機器のホルダ構造の組立手順を説明する。
第1のホルダ6は、検出用開口部61aの上下と両側の周囲に接着剤8が塗布されてフロントウインドガラス2に第1のホルダ6の前面壁面部61を接着して取り付けられる。
次に、第2のホルダ7は、第1のホルダ6のスリット63に車体後端側からフック状部75を挿入させて第1のホルダ6に組み付ける。そして、第2のホルダ7を車幅方向に一定幅移動させることで、フック状部75を第1のホルダ6の係合用開口部64に位置させる。次に、第1のホルダ6の係合用開口部64先端の縁部64aに第2のホルダ7のフック状部75の爪部75aを係合させて第2のホルダ7を第1のホルダ6に仮保持させることができる。
前記係合用開口部64先端の縁部64aに前記フック状部75の爪部75aを係合させて前記第2のホルダ7を前記第1のホルダ6に仮保持させた状態で、前記第2のホルダ7を車幅方向に移動させながら、前記第1のホルダ6の取付孔68aに、舌片76の取付孔76aを合わせて、ねじ10をホルダ6の取付孔68aに組み付けられたナット9に螺合して取り付けられる。第2のホルダ7は車幅方向に移動させることで、第1のホルダ6に組み付けることができるので、第2のホルダ7を上方に回動させる必要がないことから、第2のホルダ7の先端部分だけ、ルーフライニング41の凹み部42に配置すればよいことから、ルーフライニングの切欠き量を減らすことができる。よって、ルーフライニングの切欠き量を減らし、図示されていないルーフフロントメンバの逃げ量を抑えたうえで、法規や商品性を満足できる位置にセンサ等の電子機器をレイアウトすることができる。
この後、レーダあるいはカメラ等の電子機器がホルダに組み付けられる。
そして、第1のホルダ6と第2のホルダ7の外側にカバー3を被せて取り付けられる。
【0023】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第1の発明による車載用センサホルダの構造は、カメラ等のセンサ類を収納した車載用電子機器ホルダ5が車両のフロントウインドガラス2の車幅方向中央部の上方部分の車室内側に配置されている。前記車載用電子機器ホルダ5は、フロントウインドガラス2に取り付けられる第1のホルダ6と、該第1のホルダ6に取り付けられて車体後方に延びる第2のホルダ7とを備えている。
前記第1のホルダ6はフロントウインドガラス2側の前面壁面部61に検出用開口部61aが設けられ、該検出用開口部61aの少なくとも上辺部に前記フロントウインドガラス2に接着する接着面を設けている。また、前記第1のホルダ6は前記検出用開口部61aの上辺部に車体後方に延びる上方壁面部62を設け、該上方壁面部62の車幅方向の両側部に、車体前後方向のスリット63が設けられ、該スリット63の挿入口63aを前記上方壁面部62の車体後端側に形成している。そして、該スリット63の内側には車体の前後方向所定長さで車体の車幅方向に向けて一定幅拡張する係合用開口部64が設けられている。一方、前記第2のホルダ7には、該スリット63に係合するフック状部75が前記第2のホルダ7の前端部の下面側に車体前方に向けて延出して設けられている。そして、前記スリット63に車体後端側から挿入させた前記フック状部75を、前記第2のホルダ7を車幅方向に移動させることで、前記フック状部75の爪部75aを前記係合用開口部64に位置させるとともに先端の縁部64aに前記フック状部75の爪部75aを係合させて仮保持させることができる。このように、本発明によれば、作業性を損なわずにルーフライニングの切欠き量を減らし、ルーフフロントメンバの逃げ量を抑えたうえで、法規や商品性を満足できる位置にセンサ等の電子機器をレイアウトできるとともに、スライドさせて引っ掛けられる位置へフック状部を移動させることで、最小の作業スペースで仮保持構造を成立ことができる。
【0024】
第2の発明による車載用センサホルダの構造は、第1の発明と同様に、カメラ等のセンサ類を収納した車載用電子機器ホルダ5が車両のフロントウインドガラス2の車幅方向中央部の上方部分の車室内側に配置されている。前記車載用電子機器ホルダ5は、フロントウインドガラス2に取り付けられる第1のホルダ6と、該第1のホルダ6に取り付けられて車体後方に延びる第2のホルダ7とを備えている。
前記第1のホルダ6はフロントウインドガラス2側の前面壁面部61に検出用開口部61aが設けられ、該検出用開口部61aの少なくとも上辺部に前記フロントウインドガラス2に接着する接着面を設けている。
また、前記第1のホルダ6は前記検出用開口部61aの上辺部に車体後方に延びる上方壁面部62を設け、該上方壁面部62の車幅方向の両側部に、車体前後方向のスリット63が設けられ、該スリット63の挿入口63aを前記上方壁面部62の後端に下方向に延出された縦壁面に形成し、かつ該スリット63の内側には車体の前後方向所定長さで車体の車幅方向に向けて一定幅拡張する係合用開口部64が設けられている。一方、前記第2のホルダ7には、該スリット63に係合するフック状部75が前記第2のホルダ7の前端部の下面側に前方に向けて延出して設けられている。該フック状部75の幅をスリット63の幅よりも小さく、該フック状部75の長さを前記係合用開口部64の下面に先端部が係合する長さに車体前後方向の長さを設定している。
そして、前記スリット63に車体後端側から挿入させた前記フック状部75を、前記第2のホルダ7を車幅方向に移動させることで、前記フック状部75の爪部75aを前記係合用開口部64に位置させるとともに先端の縁部64aに前記フック状部75の爪部75aを係合させて仮保持させることができる。仮保持させた状態で第2のホルダ7を第1のホルダ6にねじ止めすることで固定することができる。また、第1の発明と同様の効果を奏することができる。
【0025】
第3の発明によれば、前記この前記上方壁面部62の後端には、下方に延びる縦壁面68が設けられ、該縦壁面68の上端部にスリット63の挿入口63aを設け、かつ該縦壁面68に、車体前後方向の取付孔68aを設けるとともに前記フック状部75を前記係合用開口部64に位置させた状態で、前記取付孔68aに対応する位置に取付孔76aを形成した舌片76を前記第2のホルダ7の下面に垂設している。これにより、第2のホルダ7を第1のホルダ6に仮保持させた状態で、第2のホルダ7を第1のホルダ6にねじ留めすることができる。
【0026】
第4の発明によれば、前記係合用開口部64の内側の上方壁面部62に、車幅方向に対向する側壁面65と、前記側壁面65の前後相互間を接続して設けられ、かつ車体の前後方向に前方側傾斜面66aと後方側傾斜面66bを形成して凹状部66を形成したので、機器の重量に耐える剛性を保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、上記実施の形態では上方壁面部62にスリット63を形成し、このスリット63から車幅方向に一定幅の係合用開口部64を設けると説明したが、上方壁面部62に一定幅の係合用開口部64を形成し、この係合用開口部64に繋がる切溝(スリット)を上方壁面部62の後端から形成して連通させてもよく、フック状部75を上方壁面部62の後端から係合用開口部64に組み付ける構造であれば、どのような構造でも適用することができるものである。また、第2のホルダ7は、図2および図8に示すように前記ルーフライニング41に凹み部42に組み付けられて取り付けられるので、凹み部42の幅は、第2のホルダ7を車幅方向に移動させる幅以上に形成されている。第2のホルダ7の前面壁面部71の高さ寸法を低くすることにより、ルーフライニング41に凹み部42の深さも任意に変更することができる。さらに、第1のホルダ6と第2のホルダ7の外側に被せるカバー3については、どのような形状、あるいは組み付け構造も採用することができるので、前記実施の形態では特に説明をしていない。第1のホルダ6と第2のホルダ7に係合部を設けて、カバー3側に第1のホルダ6と第2のホルダ7に係合部に係合する係止部を設けて組み付けて良く、ネジ止めによって組み付けることも可能である。等、そのほか、本発明の技術的範囲を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0028】
1 車載用電子機器
2 フロントウインドガラス(ウインドガラス)
3 カバー
4 ルーフ部
5 車載用電子機器ホルダ
6 第1のホルダ
61 前面壁面部
61a 検出用開口部
62 上方壁面部
63 スリット
64 係合用開口部
65 側壁面
66 凹状部
67 リブ
68 縦壁面
7 第2のホルダ
71 前面壁面部
72 側壁部
73 底面部
74 リブ
75 フック状部
75a 爪部
76 舌片
8 接着剤
9 ナット
10 ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11