(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】共振整合回路
(51)【国際特許分類】
H02J 50/05 20160101AFI20220509BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20220509BHJP
【FI】
H02J50/05
H02M7/48 A
(21)【出願番号】P 2018055133
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 弘行
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-070055(JP,A)
【文献】国際公開第2015/186581(WO,A1)
【文献】特開2015-097433(JP,A)
【文献】特開2018-107973(JP,A)
【文献】国際公開第2014/122829(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/05
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界結合方式で電力を供給する給電システムに使用される共振整合回路であって、
電圧源として機能するインバータ回路と、
前記インバータ回路に並列に接続されて前記インバータ回路から供給された電流を伝送する並列トランス装置と、
前記インバータ回路と前記並列トランス装置との間にあって、前記インバータ回路が供給したパルス電流の入力タイミングを調整するタイミング調整回路と、
調整用コイルと、
を
備え、
前記タイミング調整回路は、前記インバータ回路に対し直列に接続される直列容量素子を含み、
前記並列トランス装置は一次コイル及び二次コイルを含み、
前記調整用コイルは、前記直列容量素子及び前記一次コイルを含む第一回路の共振周波数を、前記二次コイルと前記二次コイルに並列な並列コンデンサを含む第二回路の共振周波数に応じて調整する、
共振整合回路。
【請求項2】
前記調整用コイルは、前記インバータ回路の電流の位相が、前記インバータ回路の電圧の位相より進んだ状態になるように前記第一回路の共振周波数を調整する、
請求項1に記載の共振整合回路。
【請求項3】
前記インバータ回路
は、電力を出力する第一端子及び第二端子を備え、
前記タイミング調整回路は、前記第一端子に直列に接続される第一容量素子及び前記第二端子に直列に接続される第二容量素子を前記直列容量素子として備え、
前記並列トランス装置は、前記第一容量素子に直列に接続される第一の前記一次コイルと、当該第一の一次コイルと前記第二容量素子との間にあって前記第一の一次コイル及び前記第二容量素子と直列に接続される第二の前記一次コイルと、を備える、
請求項1又は2に記載の共振整合回路。
【請求項4】
前記調整用コイルは、前記第一容量素子と前記第一の一次コイルとの間、前記第一の一次コイルと前記第二の一次コイルとの間、及び前記第二の一次コイルと前記第二容量素子との間の少なくとも一つに設けられる、
請求項3に記載の共振整合回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振整合回路に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ回路は、直流の電力を交流に変換する機器である。インバータ回路には、電圧形のインバータ回路と電流形のインバータ回路がある。電圧形のインバータ回路は、負荷に対して電圧源として動作し、電流形のインバータ回路は、負荷に対して電流源として動作する。このようなインバータ回路は、例えば、非特許文献1に記載されている。
非特許文献1には、電圧形インバータ回路、電流形インバータ回路は共振回路と組み合わされて、電圧形インバータ回路の共振回路としては直列共振回路が好ましく、電流形インバータ回路の共振回路としては並列共振回路が好ましいことが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】久本正昭、伊藤豊、野村年弘、「高周波誘導電源加熱電源」、富士時報、p 268-273, vol.71,No5,1998.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、携帯端末機器やロボット、さらには電気自動車等、携帯型や走行型の電気機器の分野において、非接触で充電を行う充電装置に電圧形インバータ回路を用いることが考えられている。電圧形インバータ回路を用い、負荷の側に直列共振回路を設けた場合、負荷と接続される電界結合部が環境変化の影響を受け易くなることが知られている。なお、この場合、電界結合部の環境とは、負荷となる電気機器と電界結合部との接触の状況、あるいは携帯端末機器等の充電の状態を指す。具体的には、電気機器と電界結合部との接触の状況が不適切であれば無負荷になり得るし、電気機器等の充電量が非常に多い場合には過負荷になり得る。
【0005】
上記の点により、電圧形インバータ回路と接続される負荷の側に並列共振回路を設けることが考えられる。しかし、電圧形インバータ回路は、並列共振回路が接続されると0クロス動作を行うことができずに伝送効率が低下するという課題が生じている。なお、0クロス動作とは、負荷側の電流が0になったタイミングでインバータスイッチ素子をオン、オフさせる動作をいい、インバータ変換効率の向上やノイズの発生抑止に有利である。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、並列共振回路と接続した場合にも電圧形インバータ回路の伝送効率を低下させることがない、共振整合回路に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の共振整合回路の一形態は、電界結合方式で電力を供給する給電システムに使用される共振整合回路であって、電圧源として機能するインバータ回路と、前記インバータ回路に並列に接続されて前記インバータ回路から供給された電流を伝送する並列トランス装置と、前記インバータ回路と前記並列トランス装置との間にあって、前記インバータ回路が供給したパルス電流の入力タイミングを調整するタイミング調整回路と、調整用コイルと、を備え、前記タイミング調整回路は、前記インバータ回路に対し直列に接続される直列容量素子を含み、前記並列トランス装置は一次コイル及び二次コイルを含み、前記調整用コイルは、前記直列容量素子及び前記一次コイルを含む第一回路の共振周波数を、前記二次コイルと前記二次コイルに並列な並列コンデンサを含む第二回路の共振周波数に応じて調整する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、並列共振回路と接続した場合にも電圧形インバータ回路の伝送効率を低下させることがない共振整合回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の共振整合回路が適用された給電システムを説明するための図である。
【
図2】
図1に示した共振整合回路を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、本実施形態で示した回路は、本実施形態を具現化した一例であって、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜回路素子の追加や代替を許容する。
【0010】
[概要]
図1は、本実施形態の共振整合回路が適用された給電システム100を説明するための図である。ただし、
図1に示した給電システム100は、負荷7を含むものではない。
給電システム100は、共振整合回路1と、整合ユニット3と、電界結合部101と、負荷整合回路102と、を有している。このような構成のうち、インバータ回路10及び整合ユニット3が本実施形態の共振整合回路1を構成する。
電界結合部101及び負荷整合回路102は、共振整合回路1と負荷7との間にあって、共振整合回路1から負荷7へ給電する部位である。電界結合部101は互いに直列に接続された容量素子111、112を含んでいる。また、負荷整合回路102は、容量素子111、112と共にLC回路を構成する一次コイル113、一次コイル113とトランス装置を構成する二次コイル114及び二次コイル114と共にLC回路を構成する容量素子115を含んでいる。
【0011】
共振整合回路1は、電界結合方式で電力を供給する給電システムに使用される回路である。電界結合方式は、電力の供給側の機器から被供給側の機器へ電力をワイヤレスかつ非接触で供給する方式をいう。このような方式の給電は、例えば、携帯可能な通信端末や自走式のロボット等の分野で行われている。
【0012】
図2は、
図1に示した共振整合回路1を説明するための図であって、
図1に示した給電システム100のうち、電界結合部101及び負荷整合回路102を除いた構成を示している。以下、上記構成について説明する。
【0013】
また、共振整合回路1は、インバータ回路10と、インバータ回路10と接続される整合ユニット3を有している。整合ユニット3は、インバータ回路10に並列に接続されて、インバータ回路10から供給された電流を伝送する並列トランス装置30、40と、インバータ回路10と並列トランス装置30、40との間にあって、インバータ回路10が供給したパルス電流の入力タイミングを調整する直列容量素子である第一容量素子21、第二容量素子22と、を含んでいる。第一容量素子21、第二容量素子22は、本実施形態のタイミング調整回路20として機能する。
以下、上記構成を順に説明する。
【0014】
[インバータ回路]
図1、
図2に示すように、本実施形態の共振整合回路1は、インバータ回路10を有している。インバータ回路10は、図示しない電源から直流電圧(Vin)を入力し、これをパルス電流に変換して出力する。パルス電流の生成の制御は電圧信号のオン、オフによって行われる。インバータ回路10は、電圧源として機能する電圧スイッチ・電流共振形のインバータ回路である。
【0015】
[並列トランス装置]
並列トランス装置30は、一次コイル31(第一の一次コイル)、二次コイル32を有している。一次コイル31に電流が流れると磁界が発生し、二次コイル32に相互誘導によって起電力が発生する。一次コイル31、二次コイル32は、高誘電率の芯材33に巻き回されていて、この巻数の比に応じて電圧を昇圧する。また、並列トランス装置40は、一次コイル41(第二の一次コイル)、二次コイル42を有している。一次コイル41に電流が流れると磁界が発生し、二次コイル42に相互誘導によって起電力が発生する。一次コイル41、二次コイル42は、高誘電率の芯材43に巻き回されていて、この巻数の比に応じて電圧を昇圧する。
このような並列トランス装置30、40は、整合ユニット3において高い電圧を維持する必要がある。本実施形態は、耐圧性の観点から、並列トランス装置を並列トランス装置30、40の二系統にしている。
【0016】
つまり、本実施形態では、インバータ回路10が電力を出力する第一端子11及び第二端子12を備え、上記した並列トランス装置30、40及びタイミング調整回路20を二系統にして構成している。そして、上記の直列容量素子である第一容量素子21、一次コイル31及び二次コイル32を第一端子11の側の系統とし、第二端子12の側にも同様に直列容量素子である第二容量素子22及び並列トランス装置40を接続している。本実施形態では、このような第二容量素子22及び並列トランス装置40を第二端子12の系統としている。なお、ここで、共振整合回路1はインバータ回路10を電圧源とする並列回路を形成しているから、第一端子11と第二端子12とは電気的に接続されている。本実施形態は、インバータ回路10から負荷7に至るまでの回路の部分を第一端子11の側と第二端子12の側とに分けて、それぞれを「系統」と記している。
【0017】
以上のことから、本実施形態のタイミング調整回路20は、第一端子11に直列に接続される第一容量素子21及び第二端子12に直列に接続される第二容量素子22を備えている。また、並列トランス装置30は、第一容量素子21に直列に接続される一次コイル31を備えている。並列トランス装置40は、一次コイル31と第二容量素子22との間にあって一次コイル31及び第二容量素子22と直列に接続される一次コイル41を備えている。また、並列トランス装置40は、並列トランス装置30と同様に、一次コイル41と相互誘導する二次コイル42を有している。並列トランス装置40の一次コイル41及び二次コイル42は、いずれも芯材43に巻き回されている。
【0018】
[調整用コイル]
また、本実施形態は、
図2に示すように、一次コイル31、一次コイル41との間に調整用コイル35が設けられている。調整用コイル35は、直列コンデンサである第一容量素子21、第二容量素子22及び一次コイル31、41を含む共振回路Aの共振周波数を、二次コイル32、42と二次コイル
32、42に並列な並列コンデンサ5を含む共振回路Bの共振周波数に応じて調整するコイルである。
なお、ここで調整用コイル35が共振周波数を「調整」するとは、調整用コイル35を含む場合と、調整用コイル35を含まない場合とで共振回路Aの共振周波数が相違することを指す。本実施形態では、インバータ回路10の効率が高まるように共振回路Aの共振周波数を調整している。
【0019】
つまり、本実施形態は、整合ユニット3のうち、電圧源と直接接続されている側の回路を共振回路A、共振回路Aと磁気的に接続されている回路を共振回路Bとする。共振回路Aにおいては、第一容量素子21、第二容量素子22、一次コイル31、調整用コイル35及び一次コイル41がLC回路を構成し、LC回路を構成する各素子の特性等で決まる所定の共振周波数で共振する。一方、共振回路Bでは、二次コイル32、二次コイル42及び並列コンデンサ5がLC回路を構成し、共振回路Bは所定の共振周波数で共振する。相互誘導に寄与しない調整用コイル35は、共振回路Aの共振周波数を共振回路Bの共振周波数に応じて調整するために設けられている。
【0020】
共振周波数の調整は、インバータ回路10における伝送効率が高まるように行われる。インバータ回路10は、電流の位相が電圧の位相にくらべて進んでいる、所謂進み位相で動作すると伝送効率が高まるために好ましい。調整用コイル35は、インバータ回路10の電流の位相が、インバータ回路10の電圧の位相より進んだ状態になるように共振回路Aの共振周波数を調整する。
インバータ回路10を進み位相で動作させる場合、共振整合回路1の共振回路Aの共振周波数を目標周波数よりもわずかに低く設計し、共振回路Bの共振周波数を目標周波数よりもわずかに高く設計する。このような設計は、例えば、一次コイル31と一次コイル41との間に調整用コイル35を設けることによって実現できる。
本実施形態の調整用コイル35によれば、例えば、目標共振周波数2MHzに対し、共振回路Aの共振周波数を1.95MHzから1.97MHzとすることができる。このとき、共振回路Bの共振周波数は2.01MHz程度にすることが好ましい。
【0021】
なお、本実施形態は、調整用コイル35によって共振回路A、共振回路Bの共振周波数を上記の数値にすることに限定されるものではない。共振周波数の調整は、例えば、共振回路Aの共振周波数が目標周波数から10%減じた周波数になるように行ってもよく、より好ましくは、共振回路Aの共振周波数が目標周波数から5%減じた周波数になるように行ってもよい。
【0022】
また、調整用コイルは、調整用コイル35のように、一次コイル31と一次コイル41との間に設けられることに限定されるものではない。調整用コイルは、例えば、一次コイル31と一次コイル41との間、第一容量素子21と一次コイル31との間、及び一次コイル41と第二容量素子22との間の少なくとも一つに設けることができる。調整用コイルとしては、例えば、公知のチョークコイルを使用することができる。
【0023】
本実施形態の共振回路A、共振回路Bは、インバータに対し、次のように作用する。つまり、負荷7が重い場合(=負荷Zが低い場合)、共振回路Bの並列共振Qが低下し、共振回路Aの直列共振Qが高くなるため、インバータとしては直列共振負荷として動作する。このため、電圧形インバータはゼロクロススイッチング駆動が可能となり、高い変換効率が実現できる。また、負荷7が軽い場合(=負荷Zが高い場合)、共振回路Bの並列共振Q値が高くなり、共振回路Aの直列共振Q値が低下するため、インバータとしては並列共振負荷として動作する。この場合、電圧形インバータとしてはゼロクロススイッチングにはならないが、インバータに流れる電流も低いため、大きな電力損失とはならない。
【0024】
[動作]
次に、本実施形態の共振整合回路1の動作を説明する。
図2に示す共振整合回路1において、インバータ回路10は図示しない直流電源から直流電圧を入力する。インバータ回路10は、入力された直流電圧を矩形波のパルス電流に変換する。パルス電流への変換は、パルス電流の周波数が共振回路Aの共振周波数と一致するように行われる。
パルス電流は、整合ユニット3のタイミング調整回路20に入力される。このとき、タイミング調整回路20では、第一容量素子21、第二容量素子22がインバータ回路10から供給される電流によって充放電を繰り返していて、充電中には電圧が高まり、放電中に電圧が下がっている。このことにより、インバータ回路10は、パルス電流の出力タイミング(オンタイミング)を第一容量素子21、第二容量素子22の放電時(充電開始直前)に合わせることによって0クロス動作し、スイッチングノイズや突入電流の発生を抑え、効率的に動作することができるようになる。
【0025】
一次コイル31、調整用コイル35及び一次コイル41には、第一容量素子21、第二容量素子22が放電した電荷が電流として流れ込む。この電流は、第一容量素子21、第二容量素子22の充放電に合わせて間欠的に流れるので、一次コイル31、調整用コイル35及び一次コイル41には電流の変化を妨げるように磁界が発生し、磁界によって二次コイル32、二次コイル42に起電力が発生する。共振回路Bは、共振周波数において電圧が最も高くなるので、並列トランス装置30、40は、高い昇圧効果を得ることができる。
並列トランス装置30、40によって昇圧された電圧は、負荷7に非接触で供給される。
【0026】
[実験結果]
本発明の発明者は、共振整合回路1に示した給電システム100を用い、低負荷時と高負荷時の伝送効率を確認する実験を行った。以下、実験の結果を説明する。
表1は、過負荷時における給電システム100の伝送効率を示す表である。表2は、無負荷時における給電システム100の伝送効率を示す表である。
表1、表2において、「周波数」はインバータ回路10が出力するパルス電流の周波数F(MHz)である。「インバータ回路入力」は、図示しない直流電源からインバータ回路10に入力される電圧DCV(V)及び電流DCI(A)である。出力電力Pout(W)は、給電システム100から出力される電力、入力電力Pin(W)は、給電システム100に入力される電力である。
【0027】
【0028】
【0029】
表1によれば、本実施形態の給電システム100は、負荷7が比較的大きい場合には92.6%から93.1%の伝送効率を得ることができることがわかる。電圧形のインバータ回路10に直接並列トランス装置30、40を接続した回路の伝送効率は70%程度であった。このことにより、タイミング調整回路20を備えた本実施形態の共振整合回路1は、インバータ回路10の動作効率を高める効果を有していることが明らかである。
【0030】
また、表2によれば、給電システム100は、無負荷の場合には伝送効率が0になることが分かる。しかし、このような領域ではそもそも出力電力が少ないため、伝送効率の低下が問題になることはない。
【0031】
以上説明したように、本実施形態は、電圧形インバータ回路と並列トランス装置とを使って負荷の変動の影響を受け難い電界結合が可能な共振整合回路を実現することができる。また、本実施形態は、このような構成において、電圧形インバータ回路の効率を低下させることがなく、直列共振コイルと組み合わせられた場合の電圧形インバータ回路と同様の効率を維持することができる。
【0032】
上記実施形態および実施例は以下の技術思想を包含するものである。
(1)電界結合方式で電力を供給する給電システムに使用される共振整合回路であって、電圧源として機能するインバータ回路と、前記インバータ回路に並列に接続されて前記インバータ回路から供給された電流を伝送する並列トランス装置と、前記インバータ回路と前記並列トランス装置との間にあって、前記インバータ回路が供給したパルス電流の入力タイミングを調整するタイミング調整回路と、を含む、共振整合回路。
(2)前記タイミング調整回路は、前記インバータ回路に対し、直列に接続される直列容量素子を含む、(1)の共振整合回路。
(3)前記並列トランス装置が一次コイルと二次コイルとを含み、前記直列容量素子及び前記一次コイルを含む第一回路の共振周波数を、前記二次コイルと前記二次コイルに並列な並列コンデンサを含む第二回路の共振周波数に応じて調整する調整用コイルをさらに含む、(2)の共振整合回路。
(4)前記調整用コイルは、前記インバータ回路の電流の位相が、前記インバータ回路の電圧の位相より進んだ状態になるように前記第一回路の共振周波数を調整する、(3)の共振整合回路。
(5)前記インバータ回路が電力を出力する第一端子及び第二端子を備え、前記タイミング調整回路は、前記第一端子に直列に接続される第一容量素子及び前記第二端子に直列に接続される第二容量素子を前記直列容量素子として備え、前記並列トランス装置は、前記第一容量素子に直列に接続される第一の前記一次コイルと、当該第一の一次コイルと前記第二容量素子との間にあって前記第一の一次コイル及び前記第二容量素子と直列に接続される第二の前記一次コイルと、を備える、(3)または(4)の共振整合回路。
(6)前記調整用コイルは、前記第一容量素子と前記第一の一次コイルとの間、前記第一の一次コイルと前記第二の一次コイルとの間、及び前記第二の一次コイルと前記第二容量素子との間の少なくとも一つに設けられる、(5)の共振整合回路。
【符号の説明】
【0033】
1・・・共振整合回路
3・・・整合ユニット
5・・・並列コンデンサ
7・・・負荷
10・・・インバータ回路
11・・・第一端子
12・・・第二端子
20・・・タイミング調整回路
21・・・第一容量素子
22・・・第二容量素子
30、40・・・並列トランス装置
31、41、113・・・一次コイル
32、42、114・・・二次コイル
33、43、44・・・芯材
35・・・調整用コイル
100・・・給電システム
101・・・電界結合部
102・・・負荷整合回路
111、112、115・・・容量素子