(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20220509BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
G03G21/16 185
G03G15/20 510
(21)【出願番号】P 2018070991
(22)【出願日】2018-04-02
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】岡内 慶文
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-008141(JP,A)
【文献】特開2016-075752(JP,A)
【文献】特開2006-065228(JP,A)
【文献】特開2007-193087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0020024(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送しつつ当該用紙にトナー像を定着させる定着ユニットと、当該定着ユニットが着脱可能に装着される装置本体と、を有する画像形成装置であって、
前記定着ユニットは、
長手方向の両端側に設けられたガイド突起部と、前記長手方向の一端側に設けられたユニット側接続部
と、を有し、
前記装置本体は、
前記定着ユニットの装着方向に延びて前記ガイド突起部を受け入れて保持するガイド溝部を備えた一対の支持板と、前記ユニット側接続部と電気的に接続される本体側接続部と、
前記一対の支持板の一方の支持板の前記ガイド溝部を支点として、前記一対の支持板の他方の支持板を前記定着ユニットの長手方向及び前記前記定着ユニットの装着方向に直交する方向に移動させて前記装置本体に対し前記定着ユニットを角度調整するための第1の調整機構と、を有し、
前記本体側接続部は、前記第1の調整機構による前記定着ユニットの角度調整の
前記支点側に設けられていることを特徴とする。
【請求項2】
前記第1の調整機構は、
前記定着ユニットの前記支点側とは逆側の端部を保持して用紙の搬送方向に移動可能な保持部材と、
前記保持部材の移動位置を調節するための調節部材と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記保持部材及び前記調節部材の一方に、用紙の搬送方向における位置が段階的に異なる複数の段部が設けられるとともに、他方に、当該複数の段部の一部に当接可能な当接部が設けられ、
前記調節部材は、前記保持部材に対して前記複数の段部の並び方向に移動可能であり、
前記調節部材の移動位置を調節して、前記複数の段部に対する前記当接部の当接位置を変えることにより、前記保持部材の移動位置を調節可能であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の調整機構による前記定着ユニットの角度調整に連動して前記本体側接続部の位置を調整する第2の調整機構を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の調整機構は、
前記本体側接続部が設けられた可動部材を有し、
前記可動部材は、用紙の搬送方向に回動可能且つ前記定着ユニットの長手方向に移動可能であ
り、
前記定着ユニットの角度調整に応じて回動可能であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記一方の支持板は、前記ガイド溝部の前記定着ユニットの装着方向の下流側近傍において円柱状の支軸部が前記定着ユニットの装着方向の下流側に突出して設けられ、
前記可動部材は、前記支軸部に挿入して支持される、前記定着ユニットの長手方法に長い軸孔を有する請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記装置本体から前記定着ユニットに動力を伝達するための動力伝達機構が前記定着ユニットの前記支点側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、用紙の搬送系を構成する各搬送ローラー軸における平行度の精度低下により搬送性に問題が発生する場合がある。例えば中間転写方式の画像形成装置においては、二次転写装置と定着装置間のアライメントの精度低下は用紙の搬送性に問題を及ぼすだけでなく、画像不良の原因にもなる。具体的には、二次転写装置と定着装置間のアライメントがずれていると、用紙は二次転写装置を経て定着装置の定着ニップ部に突入した途端に定着装置の強い搬送力に倣ってしまい、用紙に転写される画像が二次転写部において歪んでしまう。したがって、二次転写装置と定着装置間のアライメント、特に二次転写部のローラー対と定着装置のローラー対の平行度は高精度に保たれている必要がある。
【0003】
そこで、二次転写装置と定着装置間のアライメント調整を可能とした画像形成装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1記載の画像形成装置では、定着ローラーと加圧ローラーとを備えた定着ユニットを二次転写装置に対し角度調整可能とするとともに、画像形成装置本体側の電気的接続部の位置を、角度調整後の定着ユニット側の電気的接続部の位置に合わせて調整可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載の画像形成装置では、定着ユニットと画像形成装置本体との電気的接続部が、定着ユニットの角度調整の支点となる側とは逆側に設けられている。このため、定着ユニットの角度調整によって、定着ユニット側の電気的接続部の位置が大きく変動してしまう。その結果、画像形成装置本体側の電気的接続部の位置調整が大掛かりになり、調整作業が煩雑になるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、定着ユニットの角度調整に関わる調整作業を簡略化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、用紙を搬送しつつ当該用紙にトナー像を定着させる定着ユニットと、当該定着ユニットが着脱可能に装着される装置本体と、を有する画像形成装置であって、前記定着ユニットは、ユニット側接続部を有し、前記装置本体は、前記ユニット側接続部と電気的に接続される本体側接続部と、前記装置本体に対し前記定着ユニットを角度調整するための第1の調整機構と、を有し、前記本体側接続部は、前記第1の調整機構による前記定着ユニットの角度調整の支点側に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る画像形成装置において、前記第1の調整機構は、前記定着ユニットの前記支点側とは逆側の端部を保持して用紙の搬送方向に移動可能な保持部材と、前記保持部材の移動位置を調節するための調節部材と、を有してもよい。
【0009】
本発明に係る画像形成装置において、前記保持部材及び前記調節部材の一方に、用紙の搬送方向における位置が段階的に異なる複数の段部が設けられるとともに、他方に、当該複数の段部の一部に当接可能な当接部が設けられ、前記調節部材は、前記保持部材に対して前記複数の段部の並び方向に移動可能であり、前記調節部材を移動させて前記複数の段部に対する前記当接部の当接位置を変えることにより、前記保持部材の移動位置を調節可能としてもよい。
【0010】
本発明に係る画像形成装置において、前記第1の調整機構による前記定着ユニットの角度調整に連動して前記本体側接続部の位置を調整する第2の調整機構を有していてもよい。
【0011】
本発明に係る画像形成装置において、前記第2の調整機構は、前記本体側接続部が設けられた可動部材を有し、前記可動部材は、用紙の搬送方向に回動可能且つ前記定着ユニットの長手方向に移動可能であってもよい。
【0012】
本発明に係る画像形成装置において、前記装置本体から前記定着ユニットに動力を伝達するための動力伝達機構が前記定着ユニットの前記支点側に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、定着ユニットの角度調整に関わる調整作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の模式図である。
【
図2】
図1の画像形成装置の定着装置の断面図である。
【
図3】
図1の画像形成装置の定着装置の前側部分の斜視図である。
【
図4】
図1の画像形成装置の定着装置の後側部分の斜視図である。
【
図5】
図1の画像形成装置の装置本体の前側の部分斜視図である。
【
図6】
図1の画像形成装置の装置本体の後側の部分斜視図である。
【
図7】
図1の画像形成装置の第1の調整機構とその周辺部分を示す部分斜視図である。
【
図8】
図7中に示される第1の調整機構の要部拡大図である。
【
図9】
図1の画像形成装置の第2の調整機構及び本体側接続部とその周辺部分を示す部分斜視図である。
【
図10】
図1の画像形成装置の本体側の動力伝達機構とその周辺部分を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1について説明する。各図に適宜付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれ画像形成装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を示している。
【0016】
まず、画像形成装置1の全体の構成について説明する。画像形成装置1は、例えば、プリント機能、コピー機能及びファックス機能等を複合的に備えた複合機である。
【0017】
図1に示されるように、画像形成装置1は、箱型の装置本体2を備えている。装置本体2の上端部には、原稿画像を読み取るための画像読取装置3が設けられている。装置本体2の上部には、排紙トレイ4が設けられている。装置本体2の略中央部には、中間転写ベルト5と4個の画像形成部6が収容されている。4個の画像形成部6は、それぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのトナーに対応している。装置本体2の下部には、露光装置7が収容されている。装置本体2の下端部には、用紙Sを収納する給紙カセット8が収容されている。
【0018】
装置本体2の右側部には、用紙Sの搬送路Pが設けられている。搬送路Pの上流端部には、給紙部9が設けられている。搬送路Pの中流部には、二次転写部10が設けられている。搬送路Pの下流部には、定着装置11が設けられている。装置本体2の右側上端近傍には、定着装置11の大部分をなす定着ユニット20を収容するユニット収容室2aが設けられている。定着ユニット20は、装置本体2の右側面に設けられた装着口2bからユニット収容室2aに着脱可能に装着される。
【0019】
次に、画像形成装置1の動作について説明する。
【0020】
まず、露光装置7からの光(
図1の二点鎖線矢印参照)によって、各画像形成部6において静電潜像が形成される。この静電潜像は、各画像形成部6においてトナー像に現像される。このトナー像は、各画像形成部6から中間転写ベルト5に一次転写される。これにより、中間転写ベルト5上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0021】
また、給紙部9によって給紙カセット8から取り出された用紙Sは、搬送路Pを下流側へと搬送されて、二次転写部10に進入する。この二次転写部10において、中間転写ベルト5上に形成されたフルカラーのトナー像が用紙Sに二次転写される。トナー像を二次転写された用紙Sは、搬送路Pを更に下流側へと搬送されて、定着装置11に進入する。この定着装置11において、用紙Sにトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙Sは、排紙トレイ4上に排出される。
【0022】
次に、定着装置11の構成について更に説明する。なお、矢印Aは、用紙Sの搬送方向を示している。
【0023】
図2に示すように、定着装置11は、定着ベルト21と、定着ベルト21の右側に配置される加圧ローラー22と、定着ベルト21の左側に配置されるヒーター23と、を備えている。定着ベルト21及び加圧ローラー22は、定着ユニット20のユニットケーシング24に収容されている。
【0024】
定着ベルト21は、前後方向に長い円筒状を成している。定着ベルト21は、可撓性を有しており、周方向において無端状である。定着ベルト21は、前後方向に延びる軸Xの周りに回転可能に設けられている。定着ベルト21の内側には、支持部材40と、ニップ部材25と、摺動シート26と、が設けられている。
【0025】
定着ベルト21は、例えば、基材層と、この基材層の周りに設けられる弾性層と、この弾性層を被覆する離型層と、を備えている。定着ベルト21の基材層は、例えば、ニッケル等の金属又はポリイミド等の樹脂によって形成されている。定着ベルト21の弾性層は、例えば、シリコンゴム等の弾性材料によって形成されている。定着ベルト21の離型層は、例えば、PFA(Per Fluoro Alkoxy)等のフッ素系樹脂によって形成されている。
【0026】
加圧ローラー22は、前後方向に長い円筒状を成している。加圧ローラー22は、前後方向に延びる軸Yの周りを回転可能に設けられている。加圧ローラー22は、定着ベルト21に所定の圧力で接触しており、定着ベルト21と共に定着ニップNを形成している。
【0027】
加圧ローラー22は、円筒状の芯材34と、芯材34の周りに設けられる弾性層35と、弾性層35を被覆する離型層36と、芯材34の後側端部に固定されるユニット側駆動ギヤ38(
図4参照)と、を備えている。芯材34は、例えばステンレスやアルミニウム等の金属によって形成されている。弾性層35は、例えば、シリコンゴム等の弾性材料によって形成されている。離型層36は、例えば、PFA等のフッ素系樹脂によって形成されている。
【0028】
ヒーター23は、定着ベルト21の軸Xを挟んで定着ニップNの反対側に配置されている。ヒーター23は、定着ベルト21の外周面に沿って円弧状に配置されている。
【0029】
支持部材40は、一枚の板金を屈曲させることによって形成されている。支持部材40は、上下方向に沿って延びている主壁部40Aと、主壁部40Aの上下両端部から左側(定着ニップNから離間する側)に向かって屈曲されている第1屈曲部40Bと、各第1屈曲部40Bの左端部から上下方向内側に向かって屈曲されている第2屈曲部40Cと、各第2屈曲部40Cの上下方向内側の端部から右側に向かって屈曲されている第3屈曲部40Dと、を備えている。定着ベルト21の回転方向における上流側に位置する第1屈曲部40Bの外面には、摺動シート26を位置決めするための突起部41が設けられている。
【0030】
ニップ部材25は、例えば、LCP(Liquid Crystal Polymer)等の耐熱性樹脂によって形成されている。ニップ部材25の左面(内面)は、支持部材40の主壁部40Aに固定されている。これにより、ニップ部材25が支持部材40によって支持されている。ニップ部材25は、定着ベルト21を介して加圧ローラー22と対向する対向面25aを有する。ニップ部材25の対向面25aは、摺動シート26を介して定着ベルト21を加圧ローラー22側に向かって押圧している。
【0031】
定着ベルト21と加圧ローラー22とは、支持部材40の両端部と加圧ローラー22の両端部とが加圧機構(図示省略)により加圧されることにより、互いに圧接している。
【0032】
摺動シート26は、例えば、PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)等のフッ素系樹脂によって形成された薄厚の柔軟な部材である。摺動シート26と定着ベルト21の摩擦係数は、ニップ部材25と定着ベルト21の摩擦係数よりも小さい。摺動シート26には、潤滑オイル(潤滑剤)が塗布されている。
【0033】
摺動シート26には、定着ベルト21の回転方向における上流側端部近傍に位置決め孔が設けられている。摺動シート26は、その位置決め孔を支持部材40の突起部41に嵌合させた上で、定着ベルト21の回転方向における上流側及び下流側の端部近傍が支持部材40にそれぞれビス42で固定されてる。
【0034】
上記のように構成された定着装置11において、用紙Sにトナー像を定着させる際には、加圧ローラー22を回転させる(
図2の矢印B参照)。これに伴って、加圧ローラー22と定着ベルト21の間の摩擦力により、定着ベルト21が加圧ローラー22の回転に従動して回転する(
図2の矢印C参照)。また、用紙Sにトナー像を定着させる際には、ヒーター23によって定着ベルト21を加熱する。この状態で、用紙Sが定着ニップNを通過すると、用紙Sとトナー像が加熱及び加圧されて、用紙Sにトナー像が定着する。
【0035】
図3及び
図4に示すように、ユニットケーシング24の長手方向両側部には、定着ユニット20を装置本体2に着脱する際に手で掴む部分となる一対のハンドル部27A、27Bと、定着ユニット20を案内する一対のガイド突起部28A、28Bとが設けられている。ハンドル部27A、27Bは、ユニットケーシング24の上端に設けられている。ガイド突起部28A、28Bは、ユニットケーシング24の前後の端板部31、32にそれぞれ前後方向に突出して設けられている。ガイド突起部28A、28Bは、それぞれ左右一対の円柱状部28aと、左右の円柱状部28aを直線状に結ぶ連結部28bと、を有する。
【0036】
図4に示すように、定着ユニット20の後側端部には、加圧ローラー22の回転状態などを検知するための電気信号を出力するユニット側ドロア端子(ユニット側接続部)37と、加圧ローラー22の回転軸に動力を伝達するユニット側駆動ギヤ38と、が設けられている。この例では、ユニット側ドロア端子37は、ユニットケーシング24の左側面24aに設けられている。また、ユニット側駆動ギヤ38は、定着ユニット20の下端部に設けられている。
【0037】
図5及び
図6に示すように、装置本体2のユニット収容室2aの前後両端部には、定着ユニット20を支持する前後一対の支持板51、52が設けられている。両支持板51、52は、装置本体2の構造体53に固定されている。前側の支持板51の外側(前側)は覆板54で覆われている。覆板54には操作窓54aが設けられている。
【0038】
図5及び
図7に示すように、前側の支持板51には、定着ユニット20を角度調整するための第1の調整機構60が設けられている。第1の調整機構60は、定着ユニット20の前側のガイド突起部(支点側とは逆側の端部)28A(
図3参照)を保持して用紙Sの搬送方向(この例では上下方向)に移動可能な保持部材61と、保持部材61の移動位置を調節するための調節部材62とを有する。
【0039】
保持部材61の右側寄りの上下両端近傍には上下に長い一対のねじ挿通孔61a、61bが設けられている。上側のねじ挿通孔61aの下方近傍には、上下に長いガイド孔61cが設けられている。支持板51には、両ねじ挿通孔61aとそれぞれ連通する一対のねじ孔(不図示)と、ガイド孔61cに挿入される突起51aと、が設けられている。保持部材61の背面側(後面)には、定着ユニット20の前側のガイド突起部28A(
図3参照)を受け入れて保持するガイド溝部61dが設けられている。ガイド溝部61dは、左右方向に延びている。
【0040】
保持部材61は、支持板51の突起51aがガイド孔61cの上端に当たる位置とガイド孔61cの下端に当たる位置との間で上下に移動可能であり、両ねじ挿通孔61a、61bにそれぞれ挿通したねじ59を支持板51のねじ孔(不図示)に締め着けることにより、支持板51に固定される。
【0041】
調節部材62は、保持部材61の下方に配置されている。調節部材62は、支持板51に設けられたガイドスリット51bに沿って左右方向に移動可能である。調節部材62を移動させる操作は、覆板54の操作窓54aを通して行うことができる。
【0042】
図8に示すように、調節部材62には、保持部材61の下端部が当接する複数の段部62aが設けられている。この例では、上下方向(用紙の搬送方向)における位置が段階的に異なる段部62aが同数ずつ左右に二組併設されている。各組の段部62aは、右側から左側に向かって段階的に高くなっている。
【0043】
一方、保持部材61の下端部には、調節部材62に設けられた左右二組の複数の段部62aの一部にそれぞれ当接する左右一対の当接部61eが設けられている。
【0044】
上記のように構成された第1の調整機構60は、調節部材62を左右(複数の段部62aの並び方向)に移動させて複数の段部62aに対する当接部61eの当接位置を変えることにより、保持部材61の上下の移動位置を調節することができる。定着ユニット20の前側のガイド突起部28Aを保持している保持部材61が上下に移動することで、定着ユニット20の前側が上下し、定着ユニット20の角度調整がなされる。角度調整を行った状態で、ねじ59(
図7)を締めて保持部材61を支持板51に固定することにより、定着ユニット20の角度が調整後の角度に保たれる。
【0045】
図6及び
図9に示すように、後側の支持板52には、定着ユニット20の後側のガイド突起部28B(
図3参照)を受け入れて保持するガイド溝部52aと、ユニット側ドロア端子37(
図4参照)と電気的に接続される本体側ドロア端子(本体側接続部)55と、第1の調整機構60(
図7参照)による定着ユニット20の角度調整に連動して本体側ドロア端子55の位置を調整する第2の調整機構70と、が設けられている。ガイド溝部52aは、左右方向に延びている。定着ユニット20は、角度調整の際、ガイド溝部52aに保持された後側のガイド突起部28Bを支点にして上下に回動し得る。後側の支持板52には、ガイド溝部52aの右側近傍に円柱状の支軸部56が突出して設けられている。
【0046】
第2の調整機構70は、可動部材71を有する。可動部材71は、前後方向に長い軸孔71aを有するアーム部72と、アーム部72のから上下に拡幅した端子取付部73と、を有する。軸孔71aには、支持板52の支軸部56が挿入されている。可動部材71は、支軸部56を中心に上下方向に回動可能であり、支軸部56が軸孔71aの前端に当たる位置と軸孔71aの後端に当たる位置との間で前後に移動可能である。可動部材71の端子取付部73には、本体側ドロア端子55が設けられている。すなわち、この例では、本体側ドロア端子55が可動部材71を介して支持板52に上下及び前後に移動可能に設けられている。
【0047】
上記のように構成された第2の調整機構70によれば、ユニット側ドロア端子37と本体側ドロア端子55とを接続した状態で、定着ユニット20の前端側を上下させて角度調整を行う際、定着ユニット20の角度調整に伴って上下方向に変位するユニット側ドロア端子37とともに本体側ドロア端子55が移動する。これにより、定着ユニット20の角度調整と本体側ドロア端子55の上下方向の位置調節が同時になされる。また、定着ユニット20の角度調整に伴ってユニット側ドロア端子37が前後方向に変位する場合も、ユニット側ドロア端子37とともに本体側ドロア端子55が移動する。これにより、定着ユニット20の角度調整と本体側ドロア端子55の前後方向の位置調節が同時になされる。
【0048】
図10に示すように、装置本体2のユニット収容室2aの後側すなわち、定着ユニット20の角度調整の支点側には、ユニット側駆動ギヤ38と連結される本体側駆動ギヤ57が設けられている。本体側駆動ギヤ57は、装置本体2内の図示しない駆動源からの動力で回転駆動される。ユニット側駆動ギヤ38と本体側駆動ギヤ57とが連結されることにより、加圧ローラー22(
図2参照)の回転軸に動力が伝達される。ユニット側駆動ギヤ38及び本体側駆動ギヤ57は、動力伝達機構を構成する。
【0049】
このように、装置本体2から定着ユニット20に動力を伝達するための動力伝達機構が定着ユニット20の角度調整の支点側に配置されていることにより、定着ユニット20の角度調整に伴うユニット側駆動ギヤ38の角度の変化が小さく抑えられる。
【0050】
上記のように構成された本実施形態によれば、本体側ドロア端子55が、第1の調整機構60による定着ユニット20の角度調整の支点側に設けられているので、定着ユニット20の角度調整に伴うユニット側ドロア端子37の変位を小さく抑えることができる。これにより、本体側ドロア端子55の大掛かりな位置調整を不要とし、定着ユニット20の角度調整に関わる調整作業を簡略化することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、保持部材61と調節部材62とからなる簡単な構成で第1の調整機構60を実現できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、調節部材62を保持部材61に対して複数の段部62aの並び方向に移動させるという簡単な操作で、定着ユニット20の角度調整を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、第2の調整機構70を備えたことで、第1の調整機構60による定着ユニット20の角度調整に連動して本体側ドロア端子55の上下方向及び前後方向の位置を調整することができるので、定着ユニット20の角度調整に関わる調整作業をより簡略化することができる
【0054】
また、本実施形態によれば、用紙Sの搬送方向(上下方向)に回動可能であり且つ定着ユニット20の長手方向(前後方向)に移動可能な可動部材71に本体側ドロア端子55を設けたことにより、簡単な構成で第2の調整機構70を実現できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、定着ユニット20の角度調整に伴うユニット側駆動ギヤ38の角度の変化が小さく抑えられるので、ユニット側駆動ギヤ38と本体側駆動ギヤ57との噛み合い不良を防止できる。
【0056】
尚、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、上記実施形態では、所謂ベルト方式の定着装置11を備えた画像形成装置1について説明したが、本発明は、所謂ローラー方式の定着装置を備えた画像形成装置1にも有効に適用可能である。
【0057】
また、上記実施形態における第2の調整機構70は、調節部材62に複数の段部62aが設けられ、保持部材61に当接部61eが設けられているが、調節部材62に当接部61eが設けられ、保持部材61に複数の段部62aが設けられていてもよい。
【0058】
また、上記実施形態の画像形成装置1は、複合機であるが、プリンター、コピー機、ファクシミリ、等であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置
11 定着装置
2 装置本体
20 定着ユニット
21 定着ベルト
22 加圧ローラー
23 ヒーター
24 ユニットケーシング
28A ガイド突起部
28B ガイド突起部(支点)
2a ユニット収容室
2b 装着口
37 ユニット側ドロア端子(ユニット側接続部)
38 ユニット側駆動ギヤ(動力伝達機構)
51 支持板
51a 突起
51b ガイドスリット
52 支持板
52a ガイド溝部
53 構造体
55 本体側ドロア端子(本体側接続部)
57 本体側駆動ギヤ(動力伝達機構)
59 ねじ
60 第1の調整機構
61 保持部材
61a ねじ挿通孔
61c ガイド孔
61d ガイド溝部
61e 当接部
62 調節部材
62a 段部
70 第2の調整機構
71 可動部材
71a 軸孔
72 アーム部
73 端子取付部
P 搬送路
S 用紙