(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】車両用表示制御装置、車両用表示システム、車両用表示制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220509BHJP
B60R 1/26 20220101ALI20220509BHJP
B60R 1/20 20220101ALI20220509BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/26 200
B60R1/20 100
(21)【出願番号】P 2018078525
(22)【出願日】2018-04-16
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 直人
(72)【発明者】
【氏名】石田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 義之
(72)【発明者】
【氏名】里見 恒夫
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-088758(JP,A)
【文献】特開2006-180446(JP,A)
【文献】特開2017-073040(JP,A)
【文献】国際公開第2015/098156(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/024444(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 1/20
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右各々の側後方を撮影する撮像部が撮影する左右の側後方映像を取得する映像
取得部と、
前記車両の旋回情報を取得する旋回情報取得部と、
前記旋回情報に基づき前記車両が旋回すると判断した場合、前記車両が備える左右のサイドモニタのうち旋回方向のサイドモニタにおける前記車両の中心から離間する方向の領域に旋回方向の側後方映像を表示させ、前記車両の中心側に向かう方向の領域に旋回方向とは反対方向の側後方映像を表示させる映像処理部と、
を備える車両用表示制御装置。
【請求項2】
前記映像処理部は、前記旋回方向のサイドモニタに、前記旋回方向の側後方映像における前記車両側の映像と、前記旋回方向とは反対方向の側後方映像における前記車両から離間する側の映像とを表示させる、
請求項1に記載の車両用表示制御装置。
【請求項3】
前記映像処理部は、前記旋回方向のサイドモニタに、前記旋回方向の側後方映像における前記車両側の映像と、前記旋回方向とは反対方向の側後方映像における前記車両側の映像とを表示させる、
請求項1に記載の車両用表示制御装置。
【請求項4】
前記映像処理部は、前記車両が後退する場合には、前記車両の側後方下側の映像を表示させる、
請求項3に記載の車両用表示制御装置。
【請求項5】
前記映像処理部は、前記旋回方向の回転角度に応じて、前記旋回方向のサイドモニタに表示させる前記旋回方向とは反対方向の側後方映像の表示範囲を変化させる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用表示制御装置。
【請求項6】
前記サイドモニタは、左方向部において左側後方映像を表示し、右方向部において右側後方映像を表示する横長モニタで構成されており、
前記映像処理部は、前記旋回情報に基づき前記車両が旋回している場合、前記旋回方向の
側後方映像に隣接させて、前記旋回方向とは反対方向の側後方映像を表示させる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用表示制御装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用表示制御装置と、
前記撮像部と、
前記サイドモニタと、
を備える車両用表示システム。
【請求項8】
車両の左右各々の側後方を撮影する撮像部が撮影する左右の側後方映像を取得するステップと、
前記車両の旋回情報を取得するステップと、
前記旋回情報に基づき前記車両が旋回すると判断した場合、前記車両が備える左右のサイドモニタのうち旋回方向のサイドモニタにおける前記車両の中心から離間する方向の領域に旋回方向の側後方映像を表示させ、前記車両の中心側に向かう方向の領域に旋回方向とは反対方向の側後方映像を表示させるステップと、
を含む車両用表示制御方法。
【請求項9】
車両の左右各々の側後方を撮影する撮像部が撮影する左右の側後方映像を取得するステップと、
前記車両の旋回情報を取得するステップと、
前記旋回情報に基づき前記車両が旋回すると判断した場合、前記車両が備える左右のサイドモニタのうち旋回方向のサイドモニタにおける前記車両の中心から離間する方向の領域に旋回方向の側後方映像を表示させ、前記車両の中心側に向かう方向の領域に旋回方向とは反対方向の側後方映像を表示させるステップと、
を車両用表示装置のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示制御装置、車両用表示システム、車両用表示制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の周辺の画像を表示することで、運転を支援する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両の右左折時に、曲がる方向のカメラ映像を複数表示する運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、運転者は、左折時の場合、左折における巻き込み方向の安全確認を特許文献1のような技術を用いて行うとともに、同方向に対しては目視も行う。このため、運転者は、左折時においては、右側後方を表示するサイドモニタの映像の確認が疎かになる。この場合、運転者は、左折中に車両の右側後方(左折前においては前方右方向)から走行してくる他の車両や、歩行者などに気づかない場合も生じる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、右左折時であっても、曲がる方向の反対方向の確認も行うことができる車両用表示制御装置、車両用表示システム、車両用表示制御方法、およびプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様の車両用表示制御装置は、車両の左右各々の側後方を撮影する撮像部が撮影する左右の側後方映像を取得する映像取得部と、前記車両の旋回情報を取得する旋回情報取得部と、前記旋回情報に基づき前記車両が旋回すると判断した場合、前記車両が備える左右のサイドモニタのうち旋回方向のサイドモニタにおける前記車両の中心から離間する方向の領域に旋回方向の側後方映像を表示させ、前記車両の中心側に向かう方向の領域に旋回方向とは反対方向の側後方映像を表示させる映像処理部と、を備える。
【0007】
本発明の第二の態様の車両用表示システムは、第一の態様の車両用表示制御装置と、前記撮像部と、前記サイドモニタと、を備える。
【0008】
本発明の第三の態様の車両用表示制御方法は、車両の左右各々の側後方を撮影する撮像部が撮影する左右の側後方映像を取得するステップと、前記車両の旋回情報を取得するステップと、前記旋回情報に基づき前記車両が旋回すると判断した場合、前記車両が備える左右のサイドモニタのうち旋回方向のサイドモニタにおける前記車両の中心から離間する方向の領域に旋回方向の側後方映像を表示させ、前記車両の中心側に向かう方向の領域に旋回方向とは反対方向の側後方映像を表示させるステップと、を含む。
【0009】
本発明の第四の態様のプログラムは、車両の左右各々の側後方を撮影する撮像部が撮影する左右の側後方映像を取得するステップと、前記車両の旋回情報を取得するステップと、前記旋回情報に基づき前記車両が旋回すると判断した場合、前記車両が備える左右のサイドモニタのうち旋回方向のサイドモニタにおける前記車両の中心から離間する方向の領域に旋回方向の側後方映像を表示させ、前記車両の中心側に向かう方向の領域に旋回方向とは反対方向の側後方映像を表示させるステップと、を車両用表示装置のコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、右左折時であっても、曲がる方向とは反対方向の確認も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る車両用表示システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の第一実施形態に係る車両用表示システムの構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の第一実施形態に係る車両用表示制御装置の動作を説明するための図である。
【
図4】
図4は、左折時における左サイドモニタに右サイドカメラが取得した画像を表示させる範囲の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、左折時における左サイドモニタに表示させる画像を説明するための図である。
【
図6】
図6は、左折時における左サイドモニタに表示させる画像を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の第一実施形態に係る車両用表示制御装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、左サイドモニタと、右サイドモニタとを一体に設ける構成の一例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、自車両が右左折を行わない場合の左サイドモニタの表示の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、自車両が左折をしている場合の左サイドモニタの表示の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第二実施形態に係る車両用表示制御装置が左折時における左サイドモニタに右サイドカメラが取得した画像を表示させる範囲の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の第二実施形態に係る車両用表示制御装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、本発明の第三実施形態に係る車両用制御装置の動作を説明するための図である。
【
図14】
図14は、本発明の第三実施形態に係る車両用表示制御装置が左折時における左サイドモニタに右サイドカメラが取得した画像を表示させる範囲の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の第三実施形態に係る車両用表示制御装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、本発明の第四実施形態に係る車両用表示システムの構成を示すブロック図である。
【
図17】
図17は、本発明の第四実施形態に係る車両用表示制御装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、各図において同一または相当する部分には同一の符号を付して適宜説明は省略する。
【0013】
[第一実施形態]
図1と、
図2とを用いて、本発明の第一実施形態に係る車両用表示システムについて説明する。
図1は、第一実施形態に係る車両用表示システムの構成例を示すブロック図である。
図2は、第一実施形態に係る車両用表示システムの構成例を示す概略図である。
【0014】
図1と、
図2とに示すように、車両用表示システム1は、車両用表示制御装置10と、リヤカメラ20と、右サイドカメラ30と、左サイドカメラ40と、リヤビューモニタ60と、右サイドモニタ70と、左サイドモニタ80とを有する。具体的には後述するが、車両用表示システム1は、車両に搭載され、車両が右左折する際に、旋回方向のサイドモニタに、旋回方向の後方の映像と、旋回方向と反対方向の後方の映像とを同時に表示する。
【0015】
リヤカメラ20は、車両の後方に後方を向いて配置され、車両の後方を撮影する。リヤカメラ20は、水平方向の画角が例えば90~135°、上下方向の画角が例えば45~90°である。リヤカメラ20は、リヤビューモニタ60に表示させる範囲より広い範囲の映像を撮影可能であるが、リヤビューモニタ60を用いて車両の運転者が適切に後方を認識できるような範囲を切出してリヤビューモニタ60に表示する。リヤカメラ20は、撮影した後方映像データを映像取得部110へ出力する。
【0016】
図1、
図2に戻って、右サイドカメラ30は、車両の右側方に後方を向いて配置され、車両の右側後方を撮影する。右サイドカメラ30は、右サイドモニタ70による確認範囲を撮影する。右サイドカメラ30は、水平方向の画角が例えば15~45°、上下方向の画角が例えば15~45°である。右サイドカメラ30は、撮影した右側後方映像データを映像取得部110へ出力する。
【0017】
左サイドカメラ40は、車両の左側方に後方を向いて配置され、車両の左側後方を撮影する。左サイドカメラ40は、左サイドモニタ80による確認範囲を撮影する。左サイドカメラ40は、水平方向の画角が例えば15~45°、上下方向の画角が例えば15~45°である。左サイドカメラ40は、撮影した左側後方映像データを映像取得部110へ出力する。
【0018】
リヤビューモニタ60は、一例としては電子ルームミラーである。リヤビューモニタ60を電子ルームミラーとして用いる場合は、後方を光学的な反射により確認するためのハーフミラーの有無は問わない。リヤビューモニタ60は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。リヤビューモニタ60は、車両用表示制御装置10の表示制御部122から出力された映像信号に基づき、車両の後方映像を表示する。そのため、リヤビューモニタ60は、運転者から視認容易な位置に配置されている。本実施形態では、リヤビューモニタ60は、ウィンドシールドの車幅方向の中央上部に配置されている。または、リヤビューモニタ60は、ダッシュボードやヘッドライナーに埋め込まれていてもよい。リヤビューモニタ60には、タッチパネルが設けられていてもよい。
【0019】
リヤビューモニタ60は、大きさ、形状は限定されない。例えば、リヤビューモニタ60は、従来の光学式のルームミラーと同様な大きさ、形状であってもよい。または、例えば、リヤビューモニタ60は、従来の光学式のルームミラーに比べて車幅方向の幅が広くてもよい。または、例えば、リヤビューモニタ60は、従来の光学式のルームミラーに比べて縦方向の幅が広くてもよい。
【0020】
図1、
図2に戻って、右サイドモニタ70は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどを含むディスプレイである。右サイドモニタ70は、車両用表示制御装置10の表示制御部122から出力された映像信号に基づき、車両の右側後方映像を表示する。右サイドモニタ70は、運転者から視認容易な位置に配置されている。本実施形態では、右サイドモニタ70は、ダッシュボードの車幅方向の右側に配置されている。右サイドモニタ70にはタッチパネルが設けられていてもよい。また、右サイドモニタ70をリヤビューモニタ60の右側に一体的に設けてもよい。
【0021】
左サイドモニタ80は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイを含むディスプレイである。左サイドモニタ80は、車両用表示制御装置10の表示制御部122から出力された映像信号に基づき、車両の左側後方映像を表示する。左サイドモニタ80は、運転者から視認容易な位置に配置されている。本実施形態では、左サイドモニタ80は、ダッシュボードの車幅方向の左側に配置されている。左サイドモニタ80にはタッチパネルが設けられていてもよい。また、左サイドモニタ80をリヤビューモニタ60の左側に一体的に設けてもよい。
【0022】
次に、車両用表示制御装置10について説明する。車両用表示制御装置10は、制御部100と、記憶部200とを備える。
【0023】
制御部100は、車両用表示制御装置10を構成する各部を制御する。具体的には、制御部100は、記憶部200に記憶されているプログラムを展開して実行することによって車両用表示制御装置10を構成する各部を制御する。制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む電子的な回路などで実現することができる。制御部100は、映像取得部110と、映像処理部120と、旋回情報取得部130とを備える。
【0024】
記憶部200は、制御部100が車両用表示制御装置10の各部を制御するためのプログラムを記憶している。記憶部200は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、光ディスクなどの記憶装置である。
【0025】
映像取得部110は、車両の後方および側後方を撮影した映像を取得する。具体的には、映像取得部110は、リヤカメラ20が出力した後方映像データと、右サイドカメラ30が出力した右側後方映像データと、左サイドカメラ40が出力した左側後方映像データとを取得する。映像取得部110は、取得した映像データを映像処理部120に出力する。
【0026】
映像処理部120は、切出し処理部121と、表示制御部122と、合成処理部123とを有している。映像処理部120は、例えば、旋回情報取得部130が取得した車両情報に基づいて、自車両が右左折しているかを判断する。具体的には、映像処理部120は、旋回情報取得部130が取得したステアリングホイール90のステア角が所定以上である場合に、自車両が左折または右折していると判断する。映像処理部120は、例えば、ウィンカで方向指示がなされた場合に、自車両が左折または右折すると判断してもよい。映像処理部120は、旋回情報取得部130から受けた位置情報が交差点であり、所定の速度以下に減速された場合に、左折または右折すると判断してもよい。
【0027】
切出し処理部121は、後方映像データからリヤビューモニタ60に合わせた表示用後方映像データを切出す。切出し処理部121は、右側後方映像データから右サイドモニタ70に合わせた表示用右側後方映像データを切出す。切出し処理部121は、左側後方映像データから左サイドモニタ80に合わせた表示用左側後方映像データを切出す。切出し処理部121は、切出した表示用後方映像データと、表示用右側後方映像データと、表示用左側後方映像データとを表示制御部122に出力する。
【0028】
切出し処理部121は、車両が右折する際には、右側後方映像データから右サイドモニタ70に表示させるための右折時表示用右側後方映像データを切出す。切出し処理部121は、車両が右折する際には、左側後方映像データから右サイドモニタ70に表示させるための右折時表示用左側後方映像データを切出す。切出し処理部121は、車両が右折する際には、右折時表示用右側後方映像データと、右折時表示用左側後方映像データとを合成処理部123に出力する。
【0029】
切出し処理部121は、車両が左折する際には、右側後方映像データから左サイドモニタ80に表示させるための左折時表示用右側後方映像データを切出す。切出し処理部121は、車両が左折する際には、左側後方映像データから左サイドモニタ80に表示させるための左折時表示用左側後方映像データを切出す。切出し処理部121は、車両が左折する際には、左折時表示用右側後方映像データと、左折時表示用左側後方映像データとを合成処理部123に出力する。
【0030】
切出し処理部121が、右左折時に、右側後方映像データおよび左側後方映像データを切出す範囲については後述する。
【0031】
合成処理部123は、車両が右折をする場合には、右折時表示用右側後方映像データと、右折時表示用左側後方映像データとを合成して表示制御部122に出力する。合成処理部123は、車両が左折をする場合には、左折時表示用右側後方映像データと、左折時表示用左側後方映像データとを合成して表示制御部122に出力する。
【0032】
表示制御部122は、表示用後方映像データをリヤビューモニタ60に出力することで、リヤカメラ20が撮影した後方映像をリヤビューモニタ60に表示させる。表示制御部122は、表示用右側後方映像データを右サイドモニタ70に出力することで、右サイドカメラ30が撮影した右側後方映像を右サイドモニタ70に表示させる。表示制御部122は、左側後方映像データを左サイドモニタ80に出力することで、左サイドカメラ40が撮影した左側後方映像を左サイドモニタ80に表示させる。
【0033】
表示制御部122は、車両が右折をする場合には、合成処理部123が合成した右折時表示用右側後方映像データと、右折時表示用左側後方映像データとを右サイドモニタ70に出力する。これにより、表示制御部122は、右サイドカメラ30が撮影した右折時右側後方映像と、左サイドカメラ40が撮影した右折時左側後方映像とを右サイドモニタ70に表示させる。
【0034】
表示制御部122は、車両が左折をする場合には、合成処理部123が合成した左折時表示用右側後方映像データと、左折時表示用左側後方映像データを左サイドモニタ80に出力する。これにより、表示制御部122は、右サイドカメラ30が撮影した左折時右側後方映像と、左サイドカメラ40が撮影した左折時左側後方映像とを左サイドモニタ80に表示させる。
【0035】
表示制御部122は、映像取得部110によって取得された、リヤカメラ20が出力した後方映像データを切出し処理部121による切出し処理を行わずにリヤビューモニタ60に出力してもよい。表示制御部122は、映像取得部110によって取得された、右サイドカメラ30が出力した右側後方映像データを切出し処理部121による切出し処理を行わずに右サイドモニタ70に出力してもよい。表示制御部122は、映像取得部110によって取得された、左サイドカメラ40が出力した左側後方映像データを切出し処理部121による切出し処理を行わずに左サイドモニタ80に出力してもよい。表示制御部122が、右サイドモニタ70または左サイドモニタ80に、右側後方映像および左側後方映像を表示させる方法については後述する。
【0036】
旋回情報取得部130は、自車両情報を、CAN(Controller Area Network)や、カーナビゲーション装置から取得したナビゲーション情報から取得する。具体的には、旋回情報取得部130は、車両情報として、自車両の車速、位置情報、ステアリング操作(ステア角)に関する情報を取得する。旋回情報取得部130は、例えば、車両情報を映像処理部120に出力する。
【0037】
図3を用いて、自車両が左折する時の車両用表示制御装置10の動作について説明する。
図3は、自車両が左折する際の車両用表示制御装置10の動作を説明するための図である。
【0038】
図3において、車両用表示システム1は、自車両C1に搭載されているものとする。運転者は、左折をする際には、左折方向の進行方向および歩行者などを目視するため、右側方と、右サイドモニタ70の映像の確認が疎かになることがある。車両用表示制御装置10は、自車両C1が、左折をする際には、車両C2の存在を運転者に気づかせるために右サイドカメラ30で撮影した右側後方映像を、左サイドモニタ80に表示させる。具体的には後述するが、車両用表示制御装置10は、左サイドカメラ40が撮影した自車両C1に近接する範囲B2の左側後方映像と、右サイドカメラ30が撮影した自車両C1から離間する方向の範囲A2の右側後方映像とを左サイドモニタ80に表示させる。
【0039】
図4を用いて、左折時に左サイドモニタ80に表示させる映像の範囲について説明する。
図4は、左折時に左サイドモニタ80に表示させる映像の水平方向における範囲を説明するための図である。
【0040】
図4において、範囲A1は、自車両C1が右左折を行わない場合に、右サイドモニタ70が表示する右側後方の表示範囲である。範囲B1は、自車両C1が右左折を行わない場合に、左サイドモニタ80が表示する左側後方の範囲である。
【0041】
範囲A2は、自車両C1が左折している場合に、左サイドモニタ80に表示させるために右サイドカメラ30が撮影した左折時右側後方映像の範囲である。すなわち、映像処理部120は、自車両C1が左折をする場合には、右サイドカメラ30が撮影した映像のうち、自車両C1から離間している方向の映像を表示させる。これは、自車両C1から離間している方向が、左折前の右前方向(例えば、交差する道路や横断歩道)となるので、右方向から近づく車両C2や歩行者を適切に検出することができるためである。
【0042】
範囲B2は、自車両C1が左折をしている場合に、左サイドモニタ80に表示させるために左サイドカメラ40が撮影した左折時左側後方映像の範囲である。すなわち、映像処理部120は、自車両C1が左折をする場合には、左サイドカメラ40が撮影した映像のうち、自車両C1に近接している範囲の映像を表示させる。これは、左折時は、運転者は、進行方向を注視するため、自車両C1の左側面に近い範囲の目視が疎かになりがちなためである。
【0043】
図5と、
図6とを用いて、自車両C1が左折をする際の左サイドモニタ80の表示について説明する。
図5と、
図6とは、自車両C1が左折をする際の左サイドモニタ80の表示の一例を示す図である。
【0044】
図5に示すように、左サイドモニタ80は、車両が左折をする際には、合成処理部123によって左折時表示用右側後方映像データと左折時表示用左側後方映像データとが合成された映像データが表示される。
図5においては、左サイドモニタ80の縦方向に沿って分割された第一表示領域81が、左折時表示用左側後方映像データが表示される領域であり、第二表示領域82が、左折時表示用右側後方映像データが表示される領域である。つまり、映像処理部120は、例えば、右サイドモニタ70に表示される映像の少なくとも一部を切出した映像を第二表示領域82に表示させる。具体的には、映像処理部120は、左折する場合には、左サイドモニタ80における、自車両C1の中心から離間する方向の領域に左折時左側後方映像を表示させる。映像処理部120は、左折する場合には、左サイドモニタ80における、自車両C1の中心側に向かう方向の領域に左折時右側後方映像を表示させる。映像処理部120は、自車両C1が右折をする場合には、自車両C1が左折をする場合の左右を反転させた動作を実行する。すなわち、映像処理部120は、右左折をする場合には、旋回方向のサイドモニタにおける、自車両C1から離間する方向の領域には、旋回方向の後方映像を表示させる。そして、映像処理部120は、右左折をする場合には、旋回方向のサイドモニタにおける、自車両C1の中心側に向かう方向の領域には、旋回方向とは反対方向の後方映像を表示させる。
【0045】
映像処理部120は、第一表示領域81と第二表示領域82との境界が明確になるように、自車両C1の左側部C1Lの少なくとも一部を、第一表示領域81に表示させることが好ましい。第一表示領域81の大きさは、第二表示領域82よりも大きいことが好ましい。第一表示領域81と、第二表示領域82との割合は、例えば、3:1程度である。なお、左サイドモニタ80に、左方向の後方映像と、右方向の後方映像とを分割して表示させる方法は
図5に限定されない。
【0046】
図6は、
図5とは異なるパターンで分割させた左サイドモニタ80を示す図である。
図6に示すように、左サイドモニタ80は、第一表示領域81Aと、第二表示領域82Aとを有する。
図6に示すように、右側後方の映像を表示する第二表示領域82Aは、小さな四角で囲われた領域であってもよい。この場合、映像処理部120は、例えば、右サイドモニタ70で表示されている映像を縮小した映像を第二表示領域82Aに表示させる。
【0047】
図7を用いて、車両用表示制御装置10の制御部100の動作について説明する。
図7は、制御部100の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0048】
まず、制御部100は、右サイドモニタ70に右側後方映像を表示させ、左サイドモニタ80に左側後方映像を表示させる(ステップS101)。そして、制御部100は、ステップS102に進む。ステップS101の処理は、車両のエンジンがオンとなった場合など車両が動作可能な状態となった場合に、右サイドモニタ70の右側後方映像の表示と、左サイドモニタ80の左側後方映像の表示が開始される。ステップS101の処理の後、制御部100は、ステップS101で開始された表示を終了するか否かを判断する(ステップS102)。ステップS102の判断は、車両のエンジンがオフとなった場合など車両の動作が終了した場合に表示終了と判断する(ステップS102の「Yes」)。
【0049】
ステップS101で開始された表示が継続されている間(ステップS102の「No」)、制御部100は、車両情報に基づいて、車両が旋回を開始するか否かを判断する(ステップS103)。制御部100による車両が旋回を開始するか否かの判断は、旋回情報取得部130が取得する自車両のステア角情報や、自車両の位置情報とカーナビゲーション装置などから取得した経路案内情報などに基づいて判断する。具体的には、制御部100は、自車両のステア角情報が所定以上となった場合に旋回開始と判断する。
【0050】
ステップS103の判断は、現在の位置が交差点であるか否かの判定を加えてもよい。この場合、制御部100は、例えば、交差点である場合にはステア角を取得し、交差点でない場合にはステア角を取得しないようにしてもよい。また、制御部100は、車両の現在位置がナビゲーション装置による経路案内で旋回する交差点の直前に位置した場合に旋回開始と判断してもよい。この場合、車両が実際に旋回開始していなくとも、旋回予定位置から例えば5mなどの所定距離手前から旋回開始とみなしてもよい。さらには、制御部100は、現在位置が交差点の直前に位置しているときのウィンカの動作情報に基づき旋回開始と判断してもよい。制御部100は、旋回開始したと判断した場合(ステップS103の「Yes」)、ステップS104に進む。制御部100は、旋回開始していないと判断した場合(ステップS103の「No」)、ステップS102に進む。
【0051】
制御部100が旋回開始したと判断した場合(ステップS103の「Yes」)、制御部100は、ステップS104に進み、旋回方向のサイドモニタに、旋回方向の後方映像と、旋回方向とは反対方向の後方映像を表示させる(ステップS104)。そして、制御部100は、ステップS105に進む。
【0052】
制御部100は、車両情報に基づいて、旋回が終了したか否かを判断する(ステップS105)。旋回が終了したと判断した場合(ステップS105の「Yes」)、制御部100は、ステップS106に進み、右サイドモニタ70に右側後方映像を表示させ、左サイドモニタ80に左側後方映像を表示させる(ステップS106)、ステップS102に進む。そして、制御部100は、ステップS101で開始された表示を終了するか否かを判断し、終了すると判断した場合(ステップS102の「Yes」)、
図7の処理を終了する。
【0053】
上述のとおり、本実施形態では、車両が旋回する際に、旋回方向のサイドモニタに、旋回方向の側後方映像と、旋回方向とは反対方向の側後方映像とを表示させることができる。これにより、運転者は、右左折時に旋回方向とは反対方向の側後方映像を確認することができるので、安全に車両を運転することができる。そのため、本実施形態では、交差点の右左折時などで特に有用である。
【0054】
[サイドモニタの変形例]
第一実施形態において、右サイドモニタ70と、左サイドモニタ80とは、分離して設けられているが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。右サイドモニタ70と、左サイドモニタ80とは、一体に設けられていてもよい。
【0055】
図8を用いて、右サイドモニタと、左サイドモニタとを一体に設ける構成の一例について説明する。
図8は、左サイドモニタと、右サイドモニタとを一体に設ける構成の一例を示す概略図である。
【0056】
図8に示すように、第一実施形態の変形例では、例えば、ステアリングホイール90の前方のダッシュボードの左端部から右端部にわたって、横長の電子モニタ300が設けられている。
【0057】
電子モニタ300は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどを含むディスプレイである。電子モニタ300において、ステアリングホイール90から見た右方向部が右サイドモニタ70Aとして機能し、ステアリングホイール90から見た左方向部が左サイドモニタ80Aとして機能する。
図8の例においては、右サイドモニタ70Aは電子モニタ300の右端部、左サイドモニタ80Aは電子モニタ300の左端部としている。この場合、映像処理部120は、右側後方映像を右サイドモニタ70Aに表示させ、左側後方映像を左サイドモニタ80Aに表示させる。
【0058】
次に、
図9と、
図10とを用いて、自車両C1の走行時における、左サイドモニタ80Aの表示について説明する。
図9は、自車両C1が右左折を行わない場合の左サイドモニタ80Aの表示の一例を示す図である。
図10は、自車両C1が左折をしている場合の左サイドモニタ80Aの表示の一例を示す図である。
【0059】
図9に示すように、左サイドモニタ80Aは、自車両C1が右左折を行わない場合には、第一表示領域81Bが左サイドモニタ80Aとして機能する。この場合、映像処理部120は、第一表示領域81Bに、左側後方映像を表示させる。第一表示領域81Bに表示させる左側方映像の表示範囲は、自車両C1の左側部C1Lを含む範囲であることが好ましい。
【0060】
図10に示すように、左サイドモニタ80Aは、自車両C1が左折をする場合には、第一表示領域81Bと、第二表示領域82Bが左サイドモニタ80Aとして機能する。この場合、映像処理部120は、第一表示領域81Bに左側後方映像を表示させ、第二表示領域82Bに含む右側後方映像を表示させる。ここで、電子モニタ300は、横長の電子モニタなので、映像処理部120は、第一表示領域81Bの表示範囲を狭くせずに、第一表示領域81Bの表示範囲を保った状態で第一表示領域81Bに隣接した第二表示領域82Bに右側後方映像を表示させてもよい。すなわち、映像処理部120は、左側後方映像の横方向の表示範囲を狭くしなくても、右側後方映像を表示させることができる。この場合、映像処理部120は、第二表示領域82Bに右サイドモニタ70Aに表示させる右側後方映像をそのまま表示させてもよいし、一部のみを表示させてもよい。
【0061】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る車両用表示制御装置10の動作について説明する。第二実施形態においては、右サイドカメラ30および左サイドカメラ40が撮影した映像を切出し処理部121によって切出して、右サイドモニタ70または左サイドモニタ80に表示させる。なお、第二実施形態に係る車両用表示制御装置10の構成は、第一実施形態に係る車両用表示制御装置10の構成と同じである。
【0062】
図11を用いて、切出し処理部121が右サイドカメラ30および左サイドカメラ40が撮影した映像を切出す動作について説明する。
図11は、切出し処理部121が右サイドカメラ30および左サイドカメラ40が撮影した映像を切出す範囲を示す模式図である。
【0063】
まず、自車両C1が右左折を行わない場合の車両用表示制御装置10の動作について説明する。
【0064】
図11に示すように、右サイドカメラ30は、範囲A3の右側後方映像を撮影する。切出し処理部121は、例えば、自車両C1が右左折を行わない場合には、範囲A3のうち、範囲A4を切出して表示用右側後方映像データを生成する。この場合、切出し処理部121は、範囲A4の表示用右側後方映像データを表示制御部122に出力する。そして、表示制御部122は、範囲A4の表示用右側後方映像を右サイドモニタ70に表示させる。右サイドカメラ30は、位置情報や速度情報に基づいて、範囲A4を変化させてもよい。
【0065】
左サイドカメラ40は、範囲B3の左側後方映像を撮影する。切出し処理部121は、例えば、自車両C1が右左折を行わない場合には、範囲B3のうち、範囲B4を切出して表示用左側後方映像データを生成する。この場合、切出し処理部121は、範囲B4の表示用左側後方映像データを表示制御部122に出力する。そして、表示制御部122は、範囲B4の表示用左側後方映像を左サイドモニタ80に表示させる。
【0066】
次に、自車両C1が左折をする場合の車両用表示制御装置10の動作について説明する。
【0067】
切出し処理部121は、自車両C1が左折をする場合には、右サイドカメラ30が撮影した範囲A3のうち、範囲A2を切出して左折時表示用右側後方映像データを生成する。すなわち、切出し処理部121は、自車両C1の左折時においては、右側後方映像のうち、自車両C1から離間する方向の映像を切出す。この場合、切出し処理部121は、範囲A2の左折時表示用右側後方映像データを合成処理部123に出力する。そして、表示制御部122は、右側後方映像における自車両C1から離間する方向の映像を、例えば
図5に図示の左サイドモニタ80の第二表示領域82に表示させる。
【0068】
切出し処理部121は、自車両C1が左折をする場合には、左サイドカメラ40が撮影した範囲B3のうち、範囲B2を切出して左折時表示用左側後方映像データを生成する。すなわち、切出し処理部121は、自車両C1の左折時においては、左側後方映像のうち、自車両C1に近接する範囲の映像を切出す。この場合、切出し処理部121は、範囲B2の左折時表示用左側後方映像データを合成処理部123に出力する。そして、合成処理部123は、左折時表示用右側後方映像データおよび左折時表示用左側後方映像データを合成し、表示制御部122は、合成処理部123が合成した映像を、例えば
図5に図示の左サイドモニタ80に表示させる。この場合、右側後方映像における自車両C1から離間する方向の映像は、左サイドモニタ80の第二表示領域82に表示され、左側後方映像における自車両C1に近接する範囲の映像は、左サイドモニタ80の第一表示領域81に表示される。
【0069】
切出し処理部121は、右左折をする際に、旋回情報取得部130から取得した、旋回方向の回転角度に応じて切出す映像の範囲を変えてもよい。例えば、
図3を参照すると、自車両C1が左折を開始し始めた時には、範囲A3のうち、自車両C1に近接する範囲を切出す。次いで、自車両C1が左折をしている時には、右方向から近づく車両C2を検出するために、切出し処理部121は、範囲A3のうち、自車両C1から離間する方向の映像を切出する。そして、切出し処理部121は、左折が終わる時には急接近してくるバイクなどを検出するために、範囲A3のうち、自車両C1に近接する範囲を切出してもよい。これにより、映像処理部120は、旋回角度に応じて異なる範囲の右側後方映像を左サイドモニタ80に表示させる。すなわち、切出し処理部121は、自車両C1の走行状況に応じて切出す範囲を変えてもよい。
【0070】
図12を用いて、第二実施形態に係る制御部100の動作について説明する。
図12は、第二実施形態に係る制御部100の動作の流れの一例について説明する。
図12の処理においては、
図7と共通する処理については説明を省略する。
図12におけるステップS201、ステップS202、ステップS203、ステップS205、ステップS206は、
図7におけるステップS101、ステップS102、ステップS103、ステップS105、ステップS106と同一の処理である。
【0071】
制御部100は、旋回したと判断した場合(ステップS203の「Yes」)、ステップS204に進み、旋回方向のサイドモニタに、旋回方向の側後方映像のうち、車両に近接する後方映像と、旋回方向とは反対方向の側後方映像のうち、車両から離間する方向の側後方映像とを表示させる(ステップS204)。そして、制御部100は、ステップS205に進む。
【0072】
上述のとおり、本実施形態では、車両が旋回する際に、旋回方向のサイドモニタに、旋回方向における車両に近接する側後方映像と、旋回方向とは反対方向における車両から離間する方向の側後方映像とを表示させることができる。これにより、運転者は、旋回方向とは反対方向の側後方映像を確認することができるので、安全に車両を運転することができる。
【0073】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る車両用表示制御装置10の動作について説明する。第三実施形態においては、車両を後退させて車庫入れする場合などに、右サイドカメラ30および左サイドカメラ40が撮影した映像を、右サイドモニタ70または左サイドモニタ80に表示させる。第三実施形態に係る車両用表示制御装置10の構成は、第一実施形態に係る車両用表示制御装置10の構成と同じである。
【0074】
図13を用いて、車両を後退させて車庫入れする場合などに、右サイドモニタ70および左サイドモニタ80に表示させる範囲について説明する。
図13は、車両を後退させる場合に右サイドモニタ70および左サイドモニタ80に表示させる範囲を説明するための模式図である。
【0075】
図13には、ステアリングホイールを左に切って後退させて車庫に車庫入れすることを示している。この場合、自車両C1と、車庫の側壁との位置関係を運転者が把握できるように、映像処理部120、右サイドモニタ70および左サイドモニタ80に、自車両C1に近接する範囲の後方映像を表示させる。そして、右サイドモニタ70には、自車両C1の右後輪タイヤが通過する経路の障害物などを運転者が把握できるように、自車両C1の下側を表示させることが好ましい。つまり、後退による旋回方向の内周側においては、自車両C1の下側を表示させる。
【0076】
自車両C1が後退する場合に、右サイドカメラ30および左サイドカメラ40が撮影した映像を切出して右サイドモニタ70または左サイドモニタ80に表示させてもよい。
図14は、ステアリングホイールを左に切って後退させる場合に、切出し処理部121が右サイドカメラ30および左サイドカメラ40が撮影した映像を切出す範囲を示す模式図である。
【0077】
図14に示すように、右サイドカメラ30は、範囲A3の右側後方映像を撮影する。切出し処理部121は、例えば、自車両C1が後退する場合には、範囲A3のうち、自車両C1に近接する範囲A5を切出して後退時表示用右側後方映像データを生成する。この時、切出し処理部121は、範囲A5のうち、下側(タイヤ側)の映像を切出すことが好ましい。切出し処理部121は、範囲A5のうち、下側(タイヤ側)の映像を拡大して切出してもよい。切出し処理部121は、範囲A5の後退時表示用右側後方映像データを表示制御部122に出力する。そして、映像処理部120は、これらの映像データを合成して、範囲A5の後退時右側後方映像を左サイドモニタ80に表示させる。
【0078】
左サイドカメラ40は、範囲B3の左側後方映像を撮影する。切出し処理部121は、例えば、自車両C1が後退する場合には、範囲B3のうち、範囲B2を切出して後退時表示用左側後方映像データを生成する。切出し処理部121は、範囲B2の後退時表示用左側後方映像データを表示制御部122に出力する。そして、映像処理部120は、これらの映像データを合成して、範囲B2の左側後方映像を左サイドモニタ80に表示させる。
【0079】
映像処理部120が左サイドモニタ80に映像を表示させる方法については、右左折する場合と同じなので説明は省略する。
【0080】
図15を用いて、第三実施形態に係る制御部100の動作について説明する。
図15は、第三実施形態に係る制御部100の動作の流れの一例について説明する。
【0081】
図15の処理においては、
図7と共通する処理については説明を省略する。
図15におけるステップS301、ステップS302は、
図7におけるステップS101、ステップS102と同一であり、
図15におけるステップS304は、
図7におけるステップS103と同一であり、
図15におけるステップS306は、
図7におけるステップS105と同一であり、
図15におけるステップS308は
図7におけるステップS106と同一の処理である。
【0082】
ステップS301で開始された表示が継続されている間(ステップS302の「No」)、制御部100は、車両情報に基づいて、車両が後退するか否かを判断する(ステップS303)。ステップS303の判断は、例えばリバースギヤが選択された場合、制御部100は、車両が後退すると判断する。制御部100が、車両が後退すると判断した場合(ステップS303の「Yse」)、ステップS304に進み、車両が後退しないと判断した場合(ステップS303の「No」)、ステップS302に進む。
【0083】
ステップS305においては、制御部100は、旋回方向のサイドモニタに、旋回方向の側後方映像のうち、車両に近接する側後方映像と、旋回方向とは反対方向の側後方映像のうち車両に近接し且つ下方向の側後方映像を表示させる。そして、制御部100は、ステップS306に進む。
【0084】
ステップS306で、旋回が終了したと判断した場合(ステップS306の「Yes」)、ステップS307に進む。ステップS307で、後退が終了したと判断した場合(ステップS307の「No」)、ステップS308に進む。
【0085】
上述のとおり、本実施形態では、後退して車庫入れする場合などに、車両が旋回する際に、旋回方向のサイドモニタに、旋回方向における車両に近接する側後方映像と、旋回方向とは反対方向における車両に近接し、かつ下側の側後方映像とを表示させることができる。これにより、運転者は、旋回方向とは反対方向側の後方映像を確認することができるので、安全に車両を運転することができる。
【0086】
[第四実施形態]
次に、
図16を参照して、本発明の第四実施形態に係る車両用表示システム1Aについて説明する。
図16は、本発明の第四実施形態に係る車両用表示システム1Aの構成を示すブロック図である。
【0087】
図16に示すように、車両用表示制御装置10Aの制御部100Aの映像処理部120Aは、切出し処理部121と、表示制御部122と、合成処理部123と、物体認識部124とを備えている。すなわち、車両用表示システム1Aは、車両用表示制御装置10Aの制御部100Aの映像処理部120Aが物体認識部124を備えている点で車両用表示システム1とは異なっている。
【0088】
物体認識部124は、右サイドカメラ30または左サイドカメラ40が撮影した映像に対して物体認識処理を行い物体を検出する。物体認識部124は、右サイドカメラ30または左サイドカメラ40が撮影した映像から、例えば、車両、バイク、人物を検出する。物体認識部124は、例えば、右サイドモニタ70または左サイドモニタ80に右側後方映像および左側後方映像が表示されているときに物体認識処理を行い、物体が検出された場合に、運転者に対して物体が検出されたことを報知する。物体認識部124は、例えば、右サイドカメラ30または左サイドカメラ40が撮影した映像に対して、常時、物体認識処理を行い、物体が検出された場合に、運転者に対して物体が検出されたことを報知してもよい。
【0089】
図17を用いて、物体認識部124の動作について説明する。
図17は、物体認識部124の動作を説明するための図である。
【0090】
図17には、左折時の左サイドモニタ80が示されている。物体認識部124は、左サイドモニタ80に表示されている特定の物体を抽出する。特定の物体とは、左サイドモニタ80が表示する映像のうち、運転に支障をきたすおそれのある物体のことを意味する。物体認識部124は、例えば、第二表示領域82に運転に支障をきたすおそれのある物体Oを検出すると、四角上のアイコンMで物体Oを囲む。これにより、物体認識部124は、物体認識部124は、運転者に物体が検知されたことを報知する。
【0091】
上述のとおり、本実施形態は、右サイドモニタ70または左サイドモニタ80に右側後方映像および左側後方映像が表示されている場合に、運転者に対して物体が検出されたことを報知することができる。これにより、運転者は、旋回方向とは反対方向側の後方映像の物体を容易に把握することができるので、より安全に運転することができる。
【符号の説明】
【0092】
1,1A 車両用表示システム
10,10A 車両用表示制御装置
20 リヤカメラ
30 右サイドカメラ
40 左サイドカメラ
60 リヤビューモニタ
70,70A 右サイドモニタ
80,80A 左サイドモニタ
81,81A,81B 第一表示領域
82,82A,82B 第二表示領域
90 ステアリングホイール
100,100A 制御部
110 映像取得部
120,120A 映像処理部
121 切出し処理部
122 表示制御部
123 合成処理部
124 物体認識部
130 旋回情報取得部
200 記憶部