(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】負荷制御システム、端末器および端末器の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20220509BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20220509BHJP
H01H 47/00 20060101ALI20220509BHJP
H01H 47/18 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
H04Q9/00 311A
H01H9/54 B
H01H47/00 H
H01H47/18 Z
(21)【出願番号】P 2018087380
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】中井 智之
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 幸喜
【審査官】今川 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-204513(JP,A)
【文献】特開2011-113760(JP,A)
【文献】特開2001-224077(JP,A)
【文献】特開2016-058323(JP,A)
【文献】特開2018-037233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H01H 9/54
H01H 47/00
H01H 47/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号を送信する制御装置と、
前記制御信号に応じて負荷を制御する複数の端末器と、
を備え、
前記複数の端末器は、異なる機器指定情報をそれぞれ記憶し、
前記複数の端末器の各々が、前記制御信号を受信した後、自己の機器指定情報に応じた待機時間の経過後に前記負荷と電源との接続状態を変更するパルスを出力することで、前記複数の端末器は前記機器指定情報に応じた順番で前記負荷と
前記電源との接続状態を変更
し、
前記複数の端末器の各々は、1つの端末器がパルスを出力してから次の端末器がパルスを出力するまでの時間であるパルス待ち時間と前記機器指定情報から前記待機時間を計算することを特徴とする負荷制御システム。
【請求項2】
前記機器指定情報は、前記複数の端末器が前記負荷と前記電源との接続状態を変更する順番を示す連続する値であることを特徴とする請求項
1に記載の負荷制御システム。
【請求項3】
制御信号を送信する制御装置と、
前記制御信号に応じて負荷を制御する複数の端末器と、
を備え、
前記複数の端末器は、異なる機器指定情報をそれぞれ記憶し、
前記複数の端末器の各々が、前記制御信号を受信した後、自己の機器指定情報に応じた待機時間の経過後に前記負荷と電源との接続状態を変更することで、前記複数の端末器は前記機器指定情報に応じた順番で前記負荷と前記電源との接続状態を変更し、
前記機器指定情報は、前記複数の端末器が前記負荷と前記電源との接続状態を変更する順番を示す連続する値であり、
前記複数の端末器の各々の前記待機時間は、前記端末器の機器指定情報よりも1小さい値に予め定められたパルス待ち時間を乗じた時間であることを特徴とす
る負荷制御システム。
【請求項4】
前記パルスのパルス幅は、1つの端末器がパルスを出力してから次の端末器がパルスを出力するまでの時間であるパルス待ち時間よりも短いことを特徴とする請求項
1または2に記載の負荷制御システム。
【請求項5】
制御信号を送信する制御装置と、
前記制御信号に応じて負荷を制御する複数の端末器と、
を備え、
前記複数の端末器は、異なる機器指定情報をそれぞれ記憶し、
前記複数の端末器の各々が、前記制御信号を受信した後、自己の機器指定情報に応じた待機時間の経過後に前記負荷と電源との接続状態を変更するパルスを出力することで、前記複数の端末器は前記機器指定情報に応じた順番で前記負荷と前記電源との接続状態を変更し、
前記複数の端末器の各々は、1つの端末器がパルスを出力してから次の端末器がパルスを出力するまでの時間であるパルス待ち時間の間に前記パルスを1回だけ出力することを特徴とす
る負荷制御システム。
【請求項6】
制御信号を送信する制御装置と、
前記制御信号に応じて負荷を制御する複数の端末器と、
を備え、
前記複数の端末器は、異なる機器指定情報をそれぞれ記憶し、
前記複数の端末器の各々が、前記制御信号を受信した後、自己の機器指定情報に応じた待機時間の経過後に前記負荷と電源との接続状態を変更するパルスを出力することで、前記複数の端末器は前記機器指定情報に応じた順番で前記負荷と前記電源との接続状態を変更し、
前記パルスは、第1パルスと第2パルスを含み、
前記複数の端末器の各々は、前記第1パルスで負荷を駆動させた後に、前記第2パルスで別の負荷を駆動させることを特徴とす
る負荷制御システム。
【請求項7】
前記パルスのパルス幅と、
前記パルス待ち時間は、前記制御装置から設定されることを特徴とする請求項
1または2に記載の負荷制御システム。
【請求項8】
前記複数の端末器の各々は、前記制御信号に応じて前記パルスを出力する制御端末と、前記パルスに応じて前記負荷と前記電源との接続状態を変更するリレーと、を備えることを特徴とする請求項
1または2に記載の負荷制御システム。
【請求項9】
前記複数の端末器の各々は、前記制御端末と前記リレーとが一体化されたリレー内蔵端末器であることを特徴とする請求項
8に記載の負荷制御システム。
【請求項10】
制御信号を送信する制御装置と、
前記制御信号に応じて負荷を制御する複数の端末器と、
を備え、
前記複数の端末器は、異なる機器指定情報をそれぞれ記憶し、
前記複数の端末器の各々が、前記制御信号を受信した後、自己の機器指定情報に応じた待機時間の経過後に前記負荷と電源との接続状態を変更するパルスを出力することで、前記複数の端末器は前記機器指定情報に応じた順番で前記負荷と前記電源との接続状態を変更し、
前記複数の端末器の各々は、第1の制御信号に応じた前記待機時間または前記パルスの出力中に第2の制御信号を受信すると、前記第1の制御信号に応じた処理を中断し、前記第2の制御信号に応じて前記負荷を制御することを特徴とす
る負荷制御システム。
【請求項11】
前記複数の端末器の各々は、一括して制御されるグループであることを示すグループ番号を記憶し、
前記制御信号は、制御対象であるグループ番号を含み、
前記複数の端末器の各々は、前記制御対象であるグループ番号と、記憶した前記グループ番号とが一致すると、前記制御信号を受信した後、前記待機時間の経過後に前記負荷と前記電源との接続状態を変更することを特徴とする請求項
1から1
0の何れか1項に記載の負荷制御システム。
【請求項12】
前記機器指定情報は、前記複数の端末器のアドレスであることを特徴とする請求項
1に記載の負荷制御システム。
【請求項13】
前記負荷は照明器具であることを特徴とする請求項1から1
2の何れか1項に記載の負荷制御システム。
【請求項14】
機器指定情報を記憶し、
1つの端末器がパルスを出力してから次の端末器がパルスを出力するまでの時間であるパルス待ち時間と前記機器指定情報から待機時間を計算し、外部からの制御信号を受信した後、前記機器指定情報に応じた
前記待機時間の経過後に、前記制御信号に応じて負荷と電源との接続状態を変更する
パルスを出力することを特徴とする端末器。
【請求項15】
機器指定情報を記憶することと、
1つの端末器がパルスを出力してから次の端末器がパルスを出力するまでの時間であるパルス待ち時間と前記機器指定情報
から待機時間を計算することと、
外部からの制御信号を受信した後、前記待機時間の経過後に前記制御信号に応じて負荷と電源との接続状態を変更する
パルスを出力することと、
を備えることを特徴とする端末器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷制御システム、端末器および端末器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、制御端末器に複数台のラッチングリレーが接続された負荷制御システムが開示されている。制御装置から送信された伝送信号に基づいて、制御端末器は対応するラッチングリレーをオンオフさせる。この負荷制御システムでは、制御装置から複数の負荷を全て動作させる伝送信号が入力されると、複数の負荷を順番に駆動する。このため、同時に複数の負荷が駆動されることがなく、複数の負荷を駆動させる電源の電源容量を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された負荷制御方法には、複数の負荷を順番に駆動する具体的な方法について記載されていない。例えば、制御装置から複数のリレーに順番に負荷駆動指令を送信する場合、通信遅れが数百ミリ秒ずつ蓄積していく可能性がある。このため、動作が遅く負荷が全て動作するまで時間がかかるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、動作の遅れを改善できる負荷制御システム、端末器、端末器の制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示に係る負荷制御システムは、制御信号を送信する制御装置と、該制御信号に応じて負荷を制御する複数の端末器と、を備え、該複数の端末器は、異なる機器指定情報をそれぞれ記憶し、該複数の端末器の各々が、該制御信号を受信した後、自己の機器指定情報に応じた待機時間の経過後に該負荷と電源との接続状態を変更するパルスを出力することで、該複数の端末器は該機器指定情報に応じた順番で該負荷と該電源との接続状態を変更し、該複数の端末器の各々は、1つの端末器がパルスを出力してから次の端末器がパルスを出力するまでの時間であるパルス待ち時間と該機器指定情報から該待機時間を計算する。
第2の開示に係る負荷制御システムは、制御信号を送信する制御装置と、該制御信号に応じて負荷を制御する複数の端末器と、を備え、該複数の端末器は、異なる機器指定情報をそれぞれ記憶し、該複数の端末器の各々が、該制御信号を受信した後、自己の機器指定情報に応じた待機時間の経過後に該負荷と電源との接続状態を変更することで、該複数の端末器は該機器指定情報に応じた順番で該負荷と該電源との接続状態を変更し、該機器指定情報は、該複数の端末器が該負荷と該電源との接続状態を変更する順番を示す連続する値であり、該複数の端末器の各々の該待機時間は、該端末器の機器指定情報よりも1小さい値に予め定められたパルス待ち時間を乗じた時間である。
第3の開示に係る負荷制御システムは、制御信号を送信する制御装置と、該制御信号に応じて負荷を制御する複数の端末器と、を備え、該複数の端末器は、異なる機器指定情報をそれぞれ記憶し、該複数の端末器の各々が、該制御信号を受信した後、自己の機器指定情報に応じた待機時間の経過後に該負荷と電源との接続状態を変更するパルスを出力することで、該複数の端末器は該機器指定情報に応じた順番で該負荷と該電源との接続状態を変更し、該複数の端末器の各々は、1つの端末器がパルスを出力してから次の端末器がパルスを出力するまでの時間であるパルス待ち時間の間に該パルスを1回だけ出力する。
第4の開示に係る負荷制御システムは、制御信号を送信する制御装置と、該制御信号に応じて負荷を制御する複数の端末器と、を備え、該複数の端末器は、異なる機器指定情報をそれぞれ記憶し、該複数の端末器の各々が、該制御信号を受信した後、自己の機器指定情報に応じた待機時間の経過後に該負荷と電源との接続状態を変更するパルスを出力することで、該複数の端末器は該機器指定情報に応じた順番で該負荷と該電源との接続状態を変更し、該パルスは、第1パルスと第2パルスを含み、該複数の端末器の各々は、該第1パルスで負荷を駆動させた後に、該第2パルスで別の負荷を駆動させる。
第5の開示に係る負荷制御システムは、制御信号を送信する制御装置と、該制御信号に応じて負荷を制御する複数の端末器と、を備え、該複数の端末器は、異なる機器指定情報をそれぞれ記憶し、該複数の端末器の各々が、該制御信号を受信した後、自己の機器指定情報に応じた待機時間の経過後に該負荷と電源との接続状態を変更するパルスを出力することで、該複数の端末器は該機器指定情報に応じた順番で該負荷と該電源との接続状態を変更し、該複数の端末器の各々は、第1の制御信号に応じた該待機時間または該パルスの出力中に第2の制御信号を受信すると、該第1の制御信号に応じた処理を中断し、該第2の制御信号に応じて該負荷を制御する。
【0007】
第6の開示に係る端末器は、機器指定情報を記憶し、1つの端末器がパルスを出力してから次の端末器がパルスを出力するまでの時間であるパルス待ち時間と該機器指定情報から待機時間を計算し、外部からの制御信号を受信した後、該機器指定情報に応じた該待機時間の経過後に、該制御信号に応じて負荷と電源との接続状態を変更するパルスを出力する。
【0008】
第7の開示に係る端末器の制御方法は、機器指定情報を記憶することと、1つの端末器がパルスを出力してから次の端末器がパルスを出力するまでの時間であるパルス待ち時間と該機器指定情報から待機時間を計算することと、外部からの制御信号を受信した後、該待機時間の経過後に該制御信号に応じて負荷と電源との接続状態を変更するパルスを出力することと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る負荷制御システムでは、複数の端末器は機器指定情報に応じて順番に負荷と電源との接続状態を変更する。このため、各々の端末器が制御装置と通信することなく、複数の端末器は順番に負荷を制御できる。従って、動作の遅れを改善できる。
本発明に係る端末器および端末器の制御方法では、端末器は制御信号を受信した後、機器指定情報に応じた待機時間の経過後に、制御信号に応じて負荷と電源との接続状態を変更する。このため、各々の端末器が制御装置と通信することなく、複数の端末器は順番に負荷を制御できる。従って、動作の遅れを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る負荷制御システムのブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る負荷制御システムの通信シーケンスを説明する図である。
【
図3】実施の形態1に係るパルス待ち時間とパルス幅を説明する図である。
【
図4】第1の比較例に係る通信シーケンスを説明する図である。
【
図5】第2の比較例に係る通信シーケンスを説明する図である。
【
図6】実施の形態1の変形例に係る通信シーケンスを説明する図である。
【
図7】実施の形態2に係る負荷制御システムのブロック図である。
【
図8】実施の形態2に係るパルス待ち時間とパルス幅を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る負荷制御システム、端末器、端末器の制御方法について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る負荷制御システム50のブロック図である。負荷制御システム50は統合操作器1、制御装置2、複数の制御端末6-1~6-4および複数のリモコンリレーRRY1-1~4-4を備える。
【0013】
統合操作器1はパソコン等で構成される。統合操作器1は、例えば守衛室等の管理室に設置される。統合操作器1と制御装置2は有線または無線の通信網であるイーサネット(登録商標)等のLAN(Local Area Network)10で接続される。これに限らず統合操作器1と制御装置2はネットワークで接続されていれば良い。統合操作器1は、LAN10を介して制御装置2に蓄積されている制御機器の状態を受信し、制御機器の状態を画面等に表示して操作者に通知する。統合操作器1はまた、操作者からの操作に応じて、LAN10を介して制御装置2に設定信号または操作信号を送信する。
【0014】
制御装置2は、伝送処理装置または照明コントローラとも呼ばれる。制御装置2は、LAN10を介して統合操作器1からの設定信号及び操作信号を受信する。制御装置2は、図示しない壁スイッチ等からの操作信号または図示しないセンサからの情報信号を受信し、内部演算処理を行った後、複数の制御端末6-1~6-4に制御信号を送信する。
【0015】
制御端末6-1~6-4はリレーを制御するリレー制御端末器である。制御装置2と制御端末6-1~6-4の通信側は一対の通信線5で接続される。通信線5には、図示しない壁スイッチ及び図示しない照度センサまたは人感センサ等のセンサも接続される。制御装置2と制御端末6-1~6-4は一対の通信線5にて双極性の時分割多重信号で通信している。この信号は、例えば±24Vの信号である。制御装置2は、通信線5を介して制御端末6-1~6-4に制御信号を送信する。また、制御端末6-1~6-4は通信線5の通信信号を全波整流し安定化させることによって、内部回路の動作用の電源を得る。
【0016】
制御端末6-1~6-4の制御側には共通端子が設けられる。共通端子は、リモコントランス3の出力の一端と接続される。リモコントランス3は、リモコンリレーRRY1-1~4-4を動作させる電源を供給する。この電源は例えばAC24Vである。
【0017】
また、制御端末6-1~6-4の各々は4本の制御線を有する。制御線はそれぞれ、リモコンリレーRRY1-1~4-4の入力側の一端と接続される。制御端末6-1の制御線は、リモコンリレーRRY1-1~1-4と接続される。制御端末6-2の制御線は、リモコンリレーRRY2-1~2-4と接続される。制御端末6-3の制御線は、リモコンリレーRRY3-1~3-4と接続される。制御端末6-4の制御線は、リモコンリレーRRY4-1~4-4と接続される。
【0018】
リモコンリレーRRY1-1~1-4の入力側の他端は、リモコントランス3の出力の他端と接続される。リモコンリレーRRY1-1~4-4の負荷側には、外部電源ACを経由して負荷4が接続される。負荷4は例えば照明器具である。外部電源ACは交流電源に限らず直流電源であっても良い。リモコンリレーRRY1-1~4-4のON、OFFによって外部電源ACに接続された負荷4が制御される。なお、
図1において一部の負荷4は省略されている。
【0019】
制御端末6-1~6-4とリモコンリレーRRY1-1~4-4は複数の端末器を構成する。制御端末6-1~6-4は制御信号に応じてパルスを出力する。リモコンリレーRRY1-1~4-4は、パルスに応じて負荷4と外部電源ACとの接続状態を変更する。このように、複数の制御端末6-1~6-4は制御信号に応じて負荷4を制御する。
【0020】
図2は、実施の形態1に係る負荷制御システム50の通信シーケンスを説明する図である。
図2において、LC1は制御装置2を示す。また、TU1~TU4はそれぞれ制御端末6-1~6-4を示す。まず、
図2の通信aに示される複数の負荷4の一括制御を行うためのグループ情報の登録手順を説明する。本実施の形態では、制御端末6-1~6-4が一括して制御されるグループ1に登録される場合を説明する。ここで、グループ1のグループ番号をG1とする。
【0021】
制御端末6-1~6-4の各々は自身のアドレスを記憶している。
図2の端末器情報登録に示されるように、負荷制御システム50の電源ON時、制御端末6-1~6-4は自身のアドレスを制御装置2に送信する。制御端末6-1~6-4のアドレスを受信した制御装置2は、制御装置2の内部記憶装置にアドレスを記憶する。また、制御装置2は、統合操作器1に制御端末6-1~6-4のアドレス一覧を送信する。
【0022】
次に、
図2のグループ情報登録の信号に示されるように、統合操作器1の操作者は、制御装置2から送られてきた制御端末6-1~6-4のアドレス一覧から一括制御したいアドレスを適宜選択し、制御装置2に送信する。
【0023】
一括制御したい制御端末6-1~6-4のアドレスを統合操作器1から受信した制御装置2は、制御端末6-1~6-4の各々のアドレス宛に一括制御対象であることを送信する。つまり、制御装置2は、グループ1に属する制御端末6-1~6-4にグループ番号であるG1を送信する。
【0024】
また、制御装置2は、グループ1に属する制御端末6-1~6-4に機器指定情報を送信する。機器指定情報は、制御端末6-1~6-4の各々が制御信号に応じてグループ1の中で何番目に動作するかを示す情報である。本実施の形態において機器指定情報は、複数の制御端末6-1~6-4が負荷4と外部電源ACとの接続状態を変更する順番を示す連続する値である。
【0025】
本実施の形態では、グループ情報登録において、制御端末6-1にはグループ番号G1と機器指定情報1が送信される。制御端末6-2にはグループ番号G1と機器指定情報2が送信される。制御端末6-3にはグループ番号G1と機器指定情報3が送信される。制御端末6-4にはグループ番号G1と機器指定情報4が送信される。グループ1に属する制御端末6-1~6-4は、グループ番号と機器指定情報を受信し、内部記憶装置に記憶する。
【0026】
次に、通信bに示される負荷制御システム50の一括制御する動作について説明する。まず、統合操作器1から制御信号としてグループ制御指令が制御装置2に送信される。グループ制御指令はグループを一括操作する信号である。
【0027】
制御装置2は、グループ制御指令をブロードキャストで通信線5を介して制御端末6-1~6-4に送信する。ここで、ブロードキャストとは、通信コマンドの送信先アドレス領域に機器アドレスを指定せず、グループ番号を指定する通信をいう。ここでは、グループ制御指令の送信先アドレスにG1が設定される。つまり、グループ制御指令は制御対象であるグループ番号を含む。また、グループ制御指令は、データ領域に負荷4をONさせる指令を含むものとする。
【0028】
制御端末6-1~6-4の各々は、通信線5を介して受信した制御対象であるグループ番号と、記憶したグループ番号とが一致すると、共通端子とリモコンリレーへの制御線を一定期間導通させる。つまり、制御端末6-1~6-4の各々は、負荷4と外部電源ACとの接続状態を変更するパルスを出力する。
【0029】
上述したように、制御端末6-1~6-4が共通端子と制御線をON側に導通させた場合、対応するリモコンリレーの入力側接点に一定方向でAC24Vが一定期間供給される。リモコンリレーRRY1-1~4-4は、入力側接点に一定方向でAC24Vが一定期間供給されると、出力側の2つの端子間を導通させる。リモコンリレーRRY1-1~4-4の入力側接点に導通時と逆方向でAC24Vが一定期間供給されると、出力側の2つの端子間が離れる。このようにリモコンリレーRRY1-1~4-4は1巻線ラッチングタイプのリレーとなっている。
【0030】
以上から、グループ制御指令に応じて、負荷4に外部電源ACから電力が供給される。または、グループ制御指令に応じて、負荷4への電力供給が遮断される。従って、制御端末6-1~6-4は、負荷4と電源との接続状態を変更して、負荷4である照明器具等の動作を制御する。また、制御端末6-1~6-4は、制御装置2から調光指令を受信し、接続された照明器具に調光信号を出力しても良い。
【0031】
ここで、本実施の形態に係る制御端末6-1~6-4の各々は、機器指定情報を受信すると、機器指定情報に応じた待機時間を計算する。表1を用いて、本実施の形態における機器指定情報と待機時間の関係を説明する。
【0032】
【0033】
本実施の形態では、
図1において4台の制御端末6-1~6-4が図示されているが、負荷制御システム50の通信線5には最大で127台の制御端末が接続されているものとする。制御端末にはアドレスとして、それぞれ1~127を割り当てる。そして、予め統合操作器1のグループ情報登録によって、アドレス12、27、56、127がグループ1に設定された場合について説明する。
【0034】
制御端末6-1のアドレスは12であり、機器指定情報は1である。制御端末6-2のアドレスは27であり、機器指定情報は2である。制御端末6-3のアドレスは12であり、機器指定情報は3である。制御端末6-4のアドレスは127であり、機器指定情報は4である。
【0035】
制御端末6-1~6-4の各々の待機時間は、機器指定情報よりも1小さい値に予め定められたパルス待ち時間T1を乗じた時間である。ここで、パルス待ち時間は、1つの制御端末がパルスを出力してから次の制御端末がパルスを出力するまでの時間である。
【0036】
制御端末6-1~6-4の各々は、制御信号を受信した後、自己の機器指定情報に応じた待機時間の経過後に負荷4と外部電源ACとの接続状態を変更するパルスを出力する。つまり、制御端末6-1~6-4の各々は、制御信号を受信した後、機器指定情報で決まる待ち時間処理を行ってからリモコンリレーを駆動させる。
【0037】
図3は、実施の形態1に係るパルス待ち時間T1とパルス幅T2を説明する図である。
図3は、上からリモコンリレーRRY1-1~1-4、リモコンリレーRRY2-1~2-4、リモコンリレーRRY3-1~3-4、リモコンリレーRRY4-1~4-4に繋がる制御線の電圧波形を示す。制御端末6-1~6-4の各々は、グループ制御指令で通知された制御対象であるグループ番号と、記憶したグループ番号とが一致すると、パルス待ち時間T1を機器指定情報より1小さい回数分待ってから、共通端子と制御線を一定期間導通させる。つまり、制御端末6-1~6-4は順番に、対応するリモコンリレーにパルスを入力する。
【0038】
ここで、リレー駆動パルスのパルス幅T2は、パルス待ち時間T1よりも短い。このため、制御端末6-1~6-4が出力するパルスは重複しない。パルス待ち時間T1は、リモコンリレーRRY1-1~4-4が導通または解放動作を完了するまでの時間に加えて、制御端末6-1~6-4の動作タイミングばらつきを考慮して設定される。パルス待ち時間T1は制御端末6-1~6-4の動作を制御するマイコンのクロックのバラつき等を考慮して、パルスが重複しないように設定されている。パルス待ち時間T1は、例えば数十ミリ秒である。
【0039】
なお、パルス幅T2とパルス待ち時間T1は、制御端末6-1~6-4の各々に予め定められた固定値であっても良く、後から変更可能であっても良い。パルス幅T2とパルス待ち時間T1は、統合操作器1または制御装置2から設定されても良い。
【0040】
図4は、第1の比較例に係る通信シーケンスを説明する図である。第1の比較例では、グループ制御指令によって、制御端末6-1~6-4がリモコンリレーRRY1-1~4-4を一括して同時操作する。この場合、リモコンリレーRRY1-1~4-4が一斉に動作し、リモコントランス3が供給可能な電流容量を超える可能性がある。このとき、リモコンリレーRRY1-1~4-4が操作不可能になるおそれがある。
【0041】
対策として、リモコンリレーRRY1-1~4-4が一斉に動作できる電流容量となるように、制御端末6-1~6-4とリモコンリレーRRY1-1~4-4の入力側にリモコントランス3を増設することが考えられる。しかし、コストが増加し、設置場所の確保が困難となる可能性がある。
【0042】
図5は、第2の比較例に係る通信シーケンスを説明する図である。第2の比較例では、制御装置2は統合操作器1からのグループ制御指令に応じて、制御端末6-1~6-4に順番に制御信号を送信する。この場合、通信遅れが数百ミリ秒ずつ蓄積していく可能性がある。このため、動作が遅く、負荷が全て動作するまで長時間が掛かるおそれがある。また、1つの制御端末からのリレー駆動の完了の応答を待ち、その後に次の制御端末に制御信号を送る場合には、さらに動作が遅くなる可能性がある。
【0043】
次に、本実施の形態の効果を説明する。本実施の形態では、制御端末6-1~6-4が順番に負荷4を制御する。つまり、制御端末6-1~6-4がグループ制御指令を受信しても、リモコンリレーRRY1-1~4-4が一斉に動作しない。このため、リモコントランス3は一度に1つの制御端末に電力を供給できれば良い。従って、トランス容量を大きくすることによるコストアップおよび装置の大型化を防止できる。また、1台のリモコントランス3に多数の制御端末を接続できる。
【0044】
また、制御端末6-1~6-4の各々が機器指定情報を記憶することで、制御装置2がタイミングをずらして、制御端末6-1~6-4の各々に制御信号を送信する必要がない。本実施の形態では、制御端末6-1~6-4自身が負荷4を制御するタイミングを決める。従って、上位の機器との通信回数を抑制でき、動作の遅れを改善できる。
【0045】
本実施の形態では、制御端末6-1~6-4のうち順番が最後の制御端末6-4は、制御信号の受信からT1×3の遅れでパルス出力を開始する。パルス待ち時間T1は、例えば数十ミリ秒であるため、通信遅れが数百ミリ秒ずつ蓄積していく可能性がある第2の比較例よりも、動作の遅れを大きく改善できる。
【0046】
また、制御端末6-1~6-4自身が機器指定情報を参照して負荷4を制御するタイミングを決めるため、制御装置2はグループ番号をアドレスに指定してブロードキャストで制御信号を送信できる。このため、通信回数を低減できる。
【0047】
本実施の形態の変形例として、制御端末6-1~6-4の各々は、第1の制御信号に応じた待機時間またはパルスの出力中に第2の制御信号を受信すると、第1の制御信号に応じた処理を中断し、第2の制御信号に応じて負荷4を制御しても良い。制御端末6-1~6-4は、パルス待ち時間T1またはパルス出力中に異なる制御信号を受信すると、新しい制御情報に基づき動作する。これにより、制御装置2等から入力される最新の操作から、負荷4への反映までの時間を低減できる。
【0048】
また、本実施の形態の負荷制御システム50が備える制御端末は複数であれば良い。また、1台の制御端末に接続されるリモコンリレーは1つ以上であれば良い。本実施の形態は、制御信号を送信する制御装置2と、制御信号に応じて負荷4を制御する複数の端末器を備えたあらゆるシステムに適用できる。
【0049】
また、本実施の形態では、機器指定情報に応じて待機時間が決定される。これに限らず、機器指定情報に応じて制御端末6-1~6-4が負荷4と電源との接続状態を変更する順番が決定されれば良い。例えば、制御端末6-1~6-4の各々は、機器指定情報を参照し、1つ前の順番の制御端末がリレーを駆動させたことを確認してから、リレーを駆動させても良い。
【0050】
また、機器指定情報は連続した番号に限らず、複数の制御端末6-1~6-4が順番にパルスを出力できるように、別の制御端末と異なる値、言い換えるとそれぞれの制御端末に固有の値であれば良い。
図6は、実施の形態1の変形例に係る通信シーケンスを説明する図である。
図6に示される変形例において、機器指定情報は、制御端末6-1~6-4のアドレスである。つまり、制御端末6-1~6-4の各々は、自己のアドレスを参照し、待機時間を決定する。表2を用いて、本変形例における機器指定情報と待機時間の関係を説明する。
【0051】
【0052】
制御端末6-1~6-4の各々の待機時間は、機器指定情報であるアドレスよりも1小さい値にパルス待ち時間T1を乗じた時間である。制御端末6-1~6-4のうち順番が最後の制御端末6-4は、制御信号の受信からT1×126の遅れでパルス出力を開始する。パルス待ち時間T1は、例えば数十ミリ秒であるため、第2の比較例よりも負荷4の制御を早くできる。
【0053】
しかし、制御端末6-1は11台分、制御端末6-2は26台分、制御端末6-3は55台分、制御端末6-1は126台分だけ制御端末を操作した場合に相当する待機時間が発生する。つまり、グループ1の操作完了までに、制御端末を127台分順番に操作した場合に相当する時間が掛かる。グループ1には4台の制御端末6-1~6-4のみが登録されている。このため、操作開始及び操作完了までに無駄な待ち時間が発生している。
【0054】
本変形例では、実施の形態1と比較して操作開始及び操作完了までに時間が掛かる。しかし、グループ制御時に同時刻に制御している制御端末は1台となるため、リモコントランス3の容量は抑制できる。また、制御端末6-1~6-4があらかじめ保持しているアドレスが機器指定情報となるため、後から機器指定情報を設定する必要がない。従って、本実施の形態よりも容易に、制御端末6-1~6-4を順番に動作させることができる。
【0055】
これに対し、本実施の形態ではグループに登録されたアドレス番号が連続していなくても、操作完了までに掛かる時間はグループに登録された制御端末の台数分となる。
図6に示される変形例との比較で分かるように、本実施の形態では、機器指定情報を連続する番号とすることで、操作開始及び操作完了までに無駄な待ち時間が発生することを抑制できる。
【0056】
これらの変形は以下の実施の形態に係る負荷制御システム、端末器、端末器の制御方法について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る負荷制御システム、端末器、端末器の制御方法については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0057】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る負荷制御システム250のブロック図である。本実施の形態では、複数の端末器11-1~11-4の構成が実施の形態1と異なる。複数の端末器11-1~11-4の各々は、制御端末とリレーとが一体化されたリレー内蔵端末器である。
【0058】
端末器11-1は内蔵リレーIRY1-1~1-4を備える。端末器11-2は内蔵リレーIRY2-1~2-4を備える。端末器11-3は内蔵リレーIRY3-1~3-4を備える。端末器11-4は内蔵リレーIRY4-1~4-4を備える。内蔵リレーIRY1-1~4-4は内蔵パワーリレーである。
【0059】
実施の形態1ではリレー駆動用のパルスを制御端末6-1~6-4が外部出力していた。本実施の形態では、パルスは端末器11-1~11-4の内部で、内蔵リレーIRY1-1~4-4に出力される。
【0060】
また、実施の形態1ではリモコントランス3を用いてリモコンリレーRRY1-1~4-4の操作電力を供給していた。これに対し本実施の形態では、内蔵リレーIRY1-1~4-4に端末器11-1~11-4の内部電源を用いて操作電力を供給する。これ以外については、本実施の形態は実施の形態1と同じである。よって、制御方法も基本的には同じになる。
【0061】
但し、実施の形態1と本実施の形態とでは操作対象となるリレーの種類が違う。このため、本実施の形態におけるパルス待ち時間T1とパルス幅T2は、実施の形態1と違う値が最適値となる場合がある。また、実施の形態1では、リレー操作に端末器11-1~11-4の内部電源を用いるため、実施の形態1よりもリレー操作時の電力供給に制約が発生し易い。
【0062】
実施の形態1では1台の制御端末にリモコンリレーが4台接続される。言い換えれば、リモコントランス3は、一度に4台のリモコンリレーを操作できる電流容量を有する。対して、本実施の形態では、一度に4台の内蔵リレーIRY1-1~4-4を同時操作すると、通信線5の電流容量を超える可能性がある。
【0063】
図8は、実施の形態2に係るパルス待ち時間T1とパルス幅T2を説明する図である。本実施の形態では、パルス待ち時間T1の1サイクル中にパルスを2回出力する。パルス待ち時間T1の1サイクル中に出力されるパルスは、第1パルスと第2パルスを含む。1台の端末器において、第1パルスで2個の内蔵リレーを駆動し、第2パルスで残りの2個の内蔵リレーを駆動する。つまり、複数の端末器11-1~11-4の各々は、第1パルスで負荷4を駆動させた後に、第2パルスで別の負荷4を駆動させる。
【0064】
実施の形態1では、制御端末6-1~6-4の各々は、パルス待ち時間T1の間にパルスを1回だけ出力した。これと比較して、本実施の形態では消費電流のピーク値を2分の1に減らすことができる。従って、消費電流が通信線5の電流容量を超えることを防止できる。
【0065】
さらに消費電流のピーク値を抑えるために、パルス待ち時間T1の1サイクル中にパルスを3回以上出力しても良い。また、実施の形態1の負荷制御システム50において、リモコントランス3の電流容量が足りない場合には、パルス待ち時間T1の1サイクル中にパルスを2回以上出力しても良い。
【0066】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 統合操作器、2 制御装置、3 リモコントランス、4 負荷、5 通信線、6-1~6-4 制御端末、10 イーサネット、11-1~11-4 端末器、50、250 負荷制御システム、RRY1-1~4-4 リモコンリレー、IRY1-1~4-4 内蔵リレー