(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】現像装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
G03G15/08 321B
G03G15/08 366
(21)【出願番号】P 2018091470
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 芽衣
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-242679(JP,A)
【文献】特開2010-210697(JP,A)
【文献】特開2006-251051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを含む現像剤が収容された筐体および前記筐体内に配置されたスクリューを備える現像装置であって、
前記スクリューは、
回転軸と、
前記回転軸の周りに螺旋状に配置され、前記回転軸が回転することにより前記トナーを上流側から下流側に搬送するスクリュー羽根と、
を含み、
前記スクリュー羽根は、非連続領域を有し、
前記非連続領域の前記回転軸の表面には、前記回転軸の軸方向に沿って、前記回転軸の半径方向に延びるパドルが設けら
れ、
前記パドルの半径方向の先端部側には、凹凸部が設けら
れ、
前記筐体の前記現像剤中の前記トナーの濃度を検知するトナー濃度検知センサーをさらに含み、
前記トナー濃度検知センサーはセンサーコイルを含み、
前記非連続領域の流さは、前記センサーコイルの長さよりも長く設けられ、
前記非連続領域の中心よりも前記トナー濃度検知センサーが上流側にある場合、前記非連続領域から見て上流側の前記スクリュー羽根と前記パドルとの隙間は、下流側の前記スクリュー羽根と前記パドルとの隙間よりも広く設けられている、
現像装置。
【請求項2】
トナーを含む現像剤が収容された筐体および前記筐体内に配置されたスクリューを備える現像装置であって、
前記スクリューは、
回転軸と、
前記回転軸の周りに螺旋状に配置され、前記回転軸が回転することにより前記トナーを上流側から下流側に搬送するスクリュー羽根と、
を含み、
前記スクリュー羽根は、非連続領域を有し、
前記非連続領域の前記回転軸の表面には、前記回転軸の軸方向に沿って、前記回転軸の半径方向に延びるパドルが設けられ、
前記パドルの半径方向の先端部側には、凹凸部が設けられ、
前記筐体の前記現像剤中の前記トナーの濃度を検知するトナー濃度検知センサーをさらに含み、
前記トナー濃度検知センサーはセンサーコイルを含み、
前記非連続領域の流さは、前記センサーコイルの長さよりも長く設けられ、
前記非連続領域の中心よりも前記トナー濃度検知センサーが下流側にある場合、前記非連続領域から見て下流側の前記スクリュー羽根と前記パドルとの隙間は、上流側の前記スクリュー羽根と前記パドルとの隙間よりも広く設けられている、
現像装置。
【請求項3】
前記スクリューは、
前記筐体内に配置された撹拌スクリューおよび前記撹拌スクリューに並列に配置され、前記撹拌スクリューによって搬送された前記現像剤を受け取る供給スクリューを含み、
前記撹拌スクリューに、前記非連続領域および前記パドルが設けられている、請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記非連続領域および前記パドルは、下流側に設けられた前記トナーの受け取り領域に設けられている、請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記パドルは、前記筐体の内壁面に対して非接触となるように配置されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記非連続領域から見て上流側に位置する前記スクリュー羽根と前記パドルとの間に隙間が設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記非連続領域から見て下流側に位置する前記スクリュー羽根と前記パドルとの間に隙間が設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記トナー濃度検知センサーの中心と前記パドルの凹部の中心とが重なるように配置されている、請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項9】
前記パドルの凹部の底部は、前記パドルが最下方位置に到達した状態において、前記現像剤の液面高さよりも前記筐体側に位置している、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項10】
前記パドルの半径方向の先端部側には、複数の前記凹凸部が設けられている、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項11】
前記パドルは、前記非連続領域の前記回転軸の表面に、複数設けられている、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項12】
感光体ドラムの上に形成された静電画像をトナー画像に現像する現像装置と、
前記感光体ドラムの形成されたトナー画像を中間転写体に転写する一次転写部と、
前記中間転写体に転写されたトナー画像を記録媒体に転写する二次転写部と、を備える画像形成装置であって、
前記現像装置は、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の現像装置である、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の現像装置および画像形成装置は、電子写真方式により画像を形成する現像装置および画像形成装置に関する。画像形成装置は、カラー、モノクロを問わず、デジタル複写機、FAX、プリンタなどの電子写真装置、記録機器、表示装置などを含む。
【背景技術】
【0002】
特開2010―210697号公報(特許文献1)には、現像装置および画像形成装置に関し、トナー濃度検知センサーの検知面に現像剤が滞留することによる誤検知を防止しつつ、撹拌動作時の検知面での嵩密度の差を低減することができる現像装置の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、トナー濃度検知センサーの検知を安定させるために、搬送スクリューの軸方向で検知面と対向する位置に、検知面を摺擦して現像剤を撹拌可能な検知面撹拌部材が設けられている、この検知面撹拌部材は、矩形波状に形成されて凸部に検知面と接触しながら撓み変形可能な弾性体シートを備えている。
【0005】
トナー濃度検知センサーは、現像装置の外側に固定してあり、現像剤に対して非接触式のトナー濃度検知センサーを用いて、現像装置内の現像剤のトナー濃度を読みとる。トナー濃度検知センサーはコイルとコンデンサーとを組み合わせたもので、現像剤中のキャリアの透磁率を読み取る。現像装置内のトナー濃度を精度よく検知するためには、トナー濃度検知センサー位置に存在する現像剤は、常に一定量である必要がある。
【0006】
しかし、スクリュー羽根によって押される力が現像剤に作用するため、搬送スクリューの回転速度を高速にした場合に、この現像剤への搬送力は大きくなる。スクリュー羽根が連続であると、トナー濃度検知センサーに対向した位置の現像剤はそのまま搬送され、一定量の現像剤が存在せず、トナー濃度を精度よく検知すことが困難になる。
【0007】
一方、現像剤を少量にすると、トナー濃度検知センサー位置の現像剤量も減少するため、疎な空間が大きくなり、検知誤差が生じやすい。
【0008】
この発明は、上記課題を解決することを目的とし、現像装置内の現像剤のトナー濃度を精度よく検知することを可能とする構成を備える、現像装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この現像装置においては、トナーを含む現像剤が収容された筐体および上記筐体内に配置されたスクリューを備える現像装置であって、上記スクリューは、回転軸と、上記回転軸の周りに螺旋状に配置され、上記回転軸が回転することにより上記トナーを上流側から下流側に搬送するスクリュー羽根と、を含み、上記スクリュー羽根は、非連続領域を有し、上記非連続領域の上記回転軸の表面には、上記回転軸の軸方向に沿って、上記回転軸の半径方向に延びるパドルが設けら、上記パドルの半径方向の先端部側には、凹凸部が設けられている。
【0010】
他の形態においては、上記スクリューは、上記筐体内に配置された撹拌スクリューおよび上記撹拌スクリューに並列に配置され、上記撹拌スクリューによって搬送された上記現像剤を受け取る供給スクリューを含み、上記撹拌スクリューに、上記非連続領域および上記パドルが設けられている。
【0011】
他の形態においては、上記非連続領域および上記パドルは、下流側に設けられた上記トナーの受け取り領域に設けられている。
【0012】
他の形態においては、上記パドルは、上記筐体の内壁面に対して非接触となるように配置されている。
【0013】
他の形態においては、上記非連続領域から見て上流側に位置する上記スクリュー羽根と上記パドルとの間に隙間が設けられている。
【0014】
他の形態においては、上記非連続領域から見て下流側に位置する上記スクリュー羽根と上記パドルとの間に隙間が設けられている。
【0015】
他の形態においては、上記筐体の上記現像剤中の上記トナーの濃度を検知するトナー濃度検知センサーをさらに含み、上記トナー濃度検知センサーはセンサーコイルを含み、上記非連続領域の流さは、上記センサーコイルの長さよりも長く設けられている。
【0016】
他の形態においては、上記非連続領域の中心よりも上記トナー濃度検知センサーが上流側にある場合、上記非連続領域から見て上流側の上記スクリュー羽根と上記パドルとの隙間は、下流側の上記スクリュー羽根と上記パドルとの隙間よりも広く設けられている。
【0017】
他の形態においては、上記非連続領域の中心よりも上記トナー濃度検知センサーが下流側にある場合、上記非連続領域から見て下流側の上記スクリュー羽根と上記パドルとの隙間は、上流側の上記スクリュー羽根と上記パドルとの隙間よりも広く設けられている。
【0018】
他の形態においては、上記トナー濃度検知センサーの中心と上記パドルの上記凹部の中心とが重なるように配置されている。
【0019】
他の形態においては、上記パドルの上記凹部の底部は、上記現像剤の液面高さよりも上記筐体側に位置している。
【0020】
他の形態においては、上記パドルの半径方向の先端部側には、複数の上記凹凸部が設けられている。
【0021】
他の形態においては、上記パドルは、上記非連続領域の上記回転軸の表面に、複数設けられている置。
【0022】
この画像形成装置においては、感光体ドラムの上に形成された静電画像をトナー画像に現像する現像装置と、上記感光体ドラムの形成されたトナー画像を中間転写体に転写する一次転写部と、上記中間転写体に転写されたトナー画像を記録媒体に転写する二次転写部と、を備える画像形成装置であって、上記現像装置は、上述に記載のいずれかの現像装置である。
【発明の効果】
【0023】
この現像装置および画像形成装置によれば、現像装置内の現像剤のトナー濃度を精度よく検知することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施の形態の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】実施の形態の現像装置の概略構成を示す図である。
【
図3】実施の形態の現像装置において循環時間を説明するための模式図である。
【
図4】実施の形態の撹拌スクリューの具体的構成を示す部分拡大斜視図である。
【
図5】実施の形態の現像ローラー、供給スクリュー、および、撹拌スクリューの配置関係を示す図である。
【
図6】実施の形態の撹拌スクリュー、壁面W、および、トナー濃度検知センサーの配置関係を示す模式図である。
【
図7】実施の形態のパドルとトナーの現像剤液面の高との関係を示す模式図である。
【
図8】実施の形態の非連続領域におけるパドルによる現像剤の撹拌状態を示す図である。
【
図9】実施の形態のスクリュー羽根とパドルとの隙間が上流側の方が大きい場合の模式図である。
【
図10】実施の形態のスクリュー羽根とパドルとの隙間が下流側の方が大きい場合の模式図である。
【
図11】実施の形態のパドルの他の形態を示す図である。
【
図12】実施の形態の非連続領域にパドルが1枚設けられた場合の模式図である。
【
図13】実施の形態の非連続領域にパドルが2枚設けられた場合の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図を参照しながら、各実施の形態における画像形成装置について説明する。以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。
【0026】
画像形成装置は、スキャナー機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、およびサーバ機能を備えたMFP、ファクシミリ装置、または複写機を含む。
【0027】
(画像形成装置)
以下、
図1を参照して、本実施の形態の画像形成装置1について説明する。
図1は、本実施の形態の画像形成装置1の概略構成を示す図である。
【0028】
画像形成装置1は、公知の電子写真方式により記録媒体上に画像を形成するものである。画像形成装置1は、画像プロセス部10と、転写部20と、給紙部30と、定着部40と、制御部45とを備える。画像形成装置1は、ネットワーク(例えばLAN)を介して外部の端末装置(不図示)から受け付けたプリントジョブに基づき、カラーおよびモノクロのプリントを選択的に実行する。
【0029】
画像プロセス部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の現像色に対応した作像ユニット10Y、10M、10C、10Kを有する。作像ユニット10Yは、静電潜像担体である感光体ドラム11と、その周囲に配された帯電器12、露光部13、現像装置14、一次転写ローラー15、クリーナー16などを備えている。帯電器12は、矢印Aで示す方向に回転する感光体ドラム11の周面を帯電させる。
【0030】
露光部13は、帯電された感光体ドラム11をレーザー光により露光走査して、感光体ドラム11上に静電潜像を形成する。現像装置14は、内部にトナーを含む現像剤が収容され、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーで現像し、これにより感光体ドラム11上にY色のトナー画像が作像される。すなわち、これにより静電潜像担体にトナー画像が担持される。
【0031】
一次転写ローラー15は、感光体ドラム11上のY色トナー画像を中間転写体21上に静電作用により転写させる。すなわち、上記のトナー画像が中間転写体に一次転写される。クリーナー16は、転写後に感光体ドラム11上に残った残留トナーを清掃する。他の作像ユニット10M、10C、10Kについても作像ユニット10Yと同様の構成であり、同図では符号が省略されている。転写部20は、駆動ローラー24と従動ローラー25とに張架されて矢印方向に循環走行される中間転写体21を備える。
【0032】
カラーのプリント(カラーモード)を実行する場合には、作像ユニット10M、10C、10K毎に、対応する色のトナーが感光体ドラム11上に作像され、その作像されたトナー画像それぞれが中間転写体21上に転写される。このY~Kの各色の作像動作は、各色のトナー画像が、走行する中間転写体21の同じ位置に重ね合わせて転写されるように上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
【0033】
給紙部30は、上記の作像タイミングに合わせて、給紙カセットから記録媒体であるシートSを1枚ずつ繰り出して、繰り出されたシートSを搬送路31上を二次転写ローラー22に向けて搬送する。二次転写ローラー22に搬送されたシートSが二次転写ローラー22と中間転写体21の間を通過する際に、中間転写体21の上に形成された各色トナー画像が二次転写ローラー22の静電作用によりシートSに一括して二次転写される。すなわち、該トナー画像が、該中間転写体から記録媒体へ二次転写されることになる。
【0034】
各色トナー画像が二次転写された後のシートSは、定着部40まで搬送され、定着部40において加熱、加圧されることにより、その表面のトナーがシートSの表面に融着して定着された後、排紙ローラー32によって排紙トレイ33上に排出される。このようにして、記録媒体上にトナー画像に対応した画像が形成される。
【0035】
上記では、カラーモードを実行する場合の動作を説明したが、モノクロ、例えばブラック色のプリント(モノクロモード)を実行する場合には、ブラック色用の作像ユニット10Kだけが駆動され、上記と同様の動作によりブラック色に対する帯電、露光、現像、転写、定着の各工程を経てシートSにブラック色の画像形成(プリント)が実行される。
【0036】
中間転写体21上の、シートSに転写しきれなかったトナーやトナーパターンは、中間転写体21を挟んで従動ローラー25に対向する位置に配されたクリーニングブレード26により除去される。作像ユニット10Kの、中間転写体21走行方向の下流側には、例えば、反射型の光電センサーからなる濃度検知センサー23が配されており、中間転写体21に形成されたトナーパターンの濃度を検知する。
【0037】
制御部45は、たとえば、ネットワークを介して外部の端末装置から受け付けたプリントジョブのデータに基づき各部を制御して円滑なプリント動作を実行させる。画像形成装置1の装置本体の正面側かつ上側であり、ユーザの操作し易い位置に、操作パネル35が配置されている。操作パネル35は、ユーザからの各種指示を受け付けるボタンやタッチパネル式の液晶表示部などを備えており、当該受け付けた指示内容を制御部45に伝えることができる。
【0038】
このような画像形成装置としては、たとえば複写機、プリンタ、デジタル印刷機、簡易印刷機等の電子写真方式の画像形成装置を挙げることができ、乾式または湿式のいずれであっても良いが乾式の画像形成装置とすることが特に有効である。
【0039】
(現像装置14)
図2および
図3を参照して、現像装置14について説明する。
図2は、現像装置14の概略構成を示す図、
図3は、現像ローラー17、供給スクリュー18、および、撹拌スクリュー19の配置関係を示す図である。
【0040】
現像装置14は、感光体ドラム11に対応して設けられ、感光体ドラム11の表面に対向して配置される。現像装置14は、帯電バイアスが印加されることにより、感光体ドラム11にトナーを供給する。現像装置14は、感光体ドラム11に形成された静電潜像に所定の色のトナーを付着させて、トナー画像を感光体ドラム11の表面に形成する。
【0041】
現像装置14は、感光体ドラム11の表面に対向配置された現像ローラー17、供給スクリュー18、および、撹拌スクリュー19を有している。トナーカートリッジ5は、現像装置14に対応して設けられており、現像装置14に対して供給されるトナーを収容する。現像ローラー17、供給スクリュー18、および、撹拌スクリュー19は、筐体(壁面W)の内部に収容されている。
【0042】
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5および現像装置14に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像装置14に対して供給する。トナー供給部6と現像装置14とは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0043】
現像装置14は、上述した構成要素に加えて、帯電バイアス印加部100を備える。帯電バイアス印加部100は、制御部45からの命令を実行する。帯電バイアス印加部100は、所定の帯電バイアスを現像装置14に印加する。具体的には、帯電バイアス印加部100は、所定の帯電バイアスを現像ローラー17に印加する。帯電バイアス印加部100は、制御部45の制御に基づいて、帯電バイアスを調整する。帯電バイアスは、直流バイアスに交流バイアスを重畳させたバイアスである。
【0044】
図3を参照して、トナーカートリッジ5から供給される補給トナーは、まず、撹拌スクリュー19の一端側(図示右側)に投入される。投入されたトナーは、撹拌スクリュー19によって他端側(図示左側)に送られながら、既存の現像剤に撹拌される。
【0045】
撹拌スクリュー19の他端に到達したトナーは、供給スクリュー18の一端側に移動する。供給スクリュー18の一端側に到達した現像剤は、供給スクリュー18から現像ローラーに受け渡されながら、供給スクリュー18の他端側に移動する。その後、残った現像剤は、再び、撹拌スクリュー19の一端側に戻される。このように、撹拌スクリュー19の一端側に投入されたトナーが、現像装置14の撹拌スクリュー19および供給スクリュー18が配置された循環通路内を一循する。
【0046】
(撹拌スクリュー19の具体的構成)
図4を参照して、本実施の形態における撹拌スクリュー19の具体的構成について説明する。
図4は、撹拌スクリュー19の具体的構成を示す部分拡大斜視図である。
【0047】
撹拌スクリュー19は、回転軸19aと、この回転軸19aに螺旋状に設けられたスクリュー羽根19bとを備える。
【0048】
トナー濃度検知センサー50が対向する位置のスクリュー羽根19bにおいては、スクリュー羽根19bを有さない長さL1の非連続領域19dが設けられている。さらに、非連続領域19dの回転軸19aの表面には、回転軸19aの軸方向に沿って、回転軸19aの半径方向に延びるパドル60が、180度対向する位置に2枚設けられている。パドル60の先端部側には、3カ所の凸部61および2カ所の凹部62が設けられ、パドル60としては、全体として櫛歯形状を有する。パドル60の数量は、適宜変更が可能である。
【0049】
さらに、対向配置されたパドル60は、凹部62の位相がずれるように配置されている。具体的には、1箇所の凹部62が対向する位置に配置され、他の凹部62は対向しないように配置されている。一方のパドル60(図示の上側)においては、上流側のスクリュー羽根19bとの間に大きく隙間Sが設けられ、他方のパドル60(図示の下側)においては、下流側のスクリュー羽根19bとの間に大きく隙間Sが設けられている。
【0050】
このように、本実施の形態の撹拌スクリュー19においては、トナー濃度検知センサー50の対向するスクリュー羽根19bを非連続にし、非連続部に櫛歯形状のパドル60を配置する。スクリュー羽根19bの上流側先端(非連続部の上流側)とパドル60には隙間を設け、同様に、スクリュー羽根19bの下流側先端(非連続部の下流側)とパドル60にも隙間を設ける。
【0051】
この構成により、高速かつ現像剤の量を減量化した場合であっても、スクリュー羽根19bの非連続領域19dに現像剤が溜まる。溜まった現像剤は櫛歯形状のパドル60によってパドル60の通過前後で現像剤の粗密差が解消され、一定量の現像剤の密度が保たれることになる。
【0052】
さらに、スクリュー羽根19bとパドル60との間にも隙間を設けることで、より効果的に、現像剤の粗密差を解消することが可能となる。搬送速度を高速にした場合でも、非連続領域19dのスクリュー羽根19bの先端とパドル60との間においては搬送力が無くなり、トナー濃度検知センサー50が対向する位置に現像剤を溜まり易くすることができる。
【0053】
<非連続領域19d/トナー濃度検知センサー50の配置位置>
図5および
図6を参照して、上記構成有する撹拌スクリュー19を採用した場合の非連続領域19dおよびトナー濃度検知センサー50の好ましい配置位置について説明する。
図5は、現像ローラー17、供給スクリュー18、および、撹拌スクリュー19の配置関係を示す図、
図6は、撹拌スクリュー19、壁面W、および、トナー濃度検知センサー50の配置関係を示す模式図である。図中の白抜き矢印は、トナーの移動方向を示し、「×」印部は、トナー濃度検知センサー50の配置位置を示す。
【0054】
撹拌スクリュー19に補給されたトナーは、撹拌スクリュー19によって撹拌され、供給スクリュー18へと搬送される。供給スクリュー18へ搬送されたトナーは、キャリアと共に現像ローラー17へ搬送される。
【0055】
図6を参照して、非連続領域19dは供給スクリュー18へ搬送される直前(現像剤の受け取り領域)の、撹拌スクリュー19の下流側の位置に設けることが好ましく、トナー濃度検知センサー50は、その撹拌スクリュー19の下流側の位置に対向した壁面Wの外側に設けておくと良い。
【0056】
補給されたトナーが撹拌スクリュー19によって撹拌され、スクリュー羽根19bの非連続領域19dに現像剤が溜まる。この対向位置に、トナー濃度検知センサー50を配置することで、供給スクリュー18への搬送直前のトナー濃度を精度よく安定して測定ができる。仮に供給スクリュー18に本構成を設けた場合、供給スクリュー18に非連続領域が存在するため、現像剤の液面高さが変化し、画像不良が発生してしまう。
【0057】
<非連続領域19dの長さ(L1)とトナー濃度検知センサー50の長さ>
図7を参照して、非連続領域19dの長さ(L1)とトナー濃度検知センサー50の長さについて説明する。
図7は、パドル60とトナーの現像剤液面の高さ(WL)との関係を示す模式図である。
【0058】
トナー濃度検知センサー50の長さ(L2)よりも非連続領域19dの長さ(L1)を長くすることで、現像剤の密度が一定の領域が広がるため、トナー濃度検知センサー50による検知精度を向上させることができる。ここで、トナー濃度検知センサー50の長さ(L2)は、トナー濃度検知センサー50が有するセンサーコイルの長さを意味する。
【0059】
<位置関係>
パドル60の凸部61と壁面Wとの位置関係については、パドル60の凸部61は、筐体の壁面Wの内側に対して非接触であるとよい。壁面Wと接触してしまうと、トナーがパドル60によって内壁面にこすられ、トナー成分がキャリアに移行して帯電不良を引き起こすスペントと呼ばれる現象が生じてしまうからである。
【0060】
パドル60とトナー濃度検知センサー50の内部に設けられるコイルとの位置関係については、
図7に示すように、トナー濃度検知センサー50の中心(図中「×」印)とパドル60の凹部62の中心とが重なる(同一線CL上に位置する)ように配置するとよい。凹部62に現像剤が溜まっており、密度が一定であるために検知精度を向上させることができる。
【0061】
<パドル60の凹部62と現像剤の液面高さとの位置関係>
パドル60の凹部62の底部62bは、現像剤の液面の高さ(WL)よりも筐体の内側の壁面W側に配置するのがよい。ここで、現像剤の液面の高さ(WL)とは、現像装置の筐体の壁面Wからの現像剤の高さのことである。
【0062】
図8を参照して、現像剤の撹拌状態について説明する。
図8は、非連続領域19dにおけるパドル60による現像剤の撹拌状態を示す図である。
図8に示すように、非連続領域19dには、底面に存在し動かない現像剤T2と、パドル60の凹部62によって押されて動く現像剤T1とが存在するため、現像剤には速度差が生じる。速度差が生じることで、より現像剤は撹拌されるため、補給されたトナーが上滑りすることなく、搬送され、精度よくトナー濃度の検知が可能となる。
【0063】
(スクリュー羽根19bとパドル60との隙間(S)の大小関係>
図9および
図10を参照して、スクリュー羽根19bとパドル60との隙間(S)の大小関係について説明する。
図9は、スクリュー羽根19bとパドル60との隙間(S)が上流側の方が大きい場合の模式図、
図10は、スクリュー羽根19bとパドル60との隙間(S)が下流側の方が大きい場合の模式図である。
【0064】
図9を参照して、非連続領域19dの中心(CL2)よりもトナー濃度検知センサー50が上流側に配置されている場合には、上流側のスクリュー羽根19bとパドル60との隙間(S1)を、下流側のスクリュー羽根19bとパドル60との隙間(S2)よりも広くするとよい(S1>S2)。溜まっている現像剤量が多いほど、現像剤の密度が一定に保たれているため、トナー濃度検知センサー50による検知精度を向上させることができる。
【0065】
図10を参照して、非連続領域19dの中心(CL2)よりもトナー濃度検知センサー50が下流側に配置されている場合には、下流側のスクリュー羽根19bとパドル60との隙間(S2)を、上流側のスクリュー羽根19bとパドル60との隙間(S1)よりも広くするとよい(S1<S2)。溜まっている現像剤量が多いほど、現像剤の密度が一定に保たれているため、トナー濃度検知センサー50による検知精度を向上させることができる。
【0066】
(パドル60に設ける凸部61の数量)
図11を参照して、パドル60に設ける凸部61の数量について説明する。
図11は、パドル60の他の形態を示す図である。
【0067】
上述のパドル60においては、凸部61を3つ、凹部62を2つ設けた構成を示している。パドル60の凸部によって現像剤が押され、非連続領域19dでは現像剤の速度差が生じ撹拌される。そのため、凸部を複数もつことで、非連続領域19dに溜まった現像剤の撹拌性が向上し、検知精度が向上する。したがって、
図11に示すように、凸部61を4つ、凹部62を3つ設けた構成を採用しても良いし、それ以上の数量の凸部61および凹部62を有するパドル60を採用してもよい。
【0068】
(パドル60の枚数)
図12および
図13を参照して、撹拌スクリュー19の非連続領域19dに設けられるパドル60の枚数について検討する。
図12は、非連続領域19dにパドル60が1枚設けられた場合の模式図、
図13は、非連続領域19dにパドル60が2枚設けられた場合の模式図である。
【0069】
図4に示した撹拌スクリュー19は、非連続領域19dにおいては、回転軸19aの軸方向に沿って、回転軸19aの半径方向に延びるパドル60が、180度対向する位置に2枚設けられている。ここで、
図12を参照して、非連続領域19dにパドル60が1枚設けられた場合には、凹部62を通過した現像剤はパドル60の通過前後で粗密差は無くなる。しかし、パドルの凸部61によって押された部分は現像剤が密な状態であるため、パドル通過前後で粗密差が残る。
【0070】
図13に示すように、パドル60を2枚設けることで、非連続領域19dに存在する現像剤は、撹拌され易くなり、現像剤の粗密差を解消し、現像剤の密度を一定にすることができる。その結果、トナー濃度検知センサー50にるトナー濃度の検知精度も向上させることができる。なお、本実施の形態では、パドル60を2枚設ける場合について説明したが、3以上の複数枚を設けるようにしてもよい。その場合には、
図4において説明したように、各パドル60の凹凸の位相をずらすように配置することで、非連続領域19dに存在する現像剤は、より撹拌され易くなる。
【0071】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置、5 トナーカートリッジ、6 トナー供給部、10 画像プロセス部、10K,10M,10Y 作像ユニット、11 感光体ドラム、12 帯電器、13 露光部、14 現像装置、15 一次転写ローラー、16 クリーナー、17 現像ローラー、18 供給スクリュー、19 撹拌スクリュー、19a 回転軸、19b スクリュー羽根、19d 非連続領域、20 転写部、21 中間転写体、22 二次転写ローラー、23 濃度検知センサー、24 駆動ローラー、25 従動ローラー、26 クリーニングブレード、30 給紙部、31 搬送路、32 排紙ローラー、33 排紙トレイ、35 操作パネル、40 定着部、45 制御部、50 トナー濃度検知センサー、60 パドル、61 凸部、62 凹部、62b 底部、100 帯電バイアス印加部。