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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】点灯装置、照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/185 20200101AFI20220509BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20220509BHJP
【FI】
H05B47/185
H05B47/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018112151
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019216010
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】福田 秀樹
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-5364(JP,A)
【文献】特開2010-231994(JP,A)
【文献】登録実用新案第3168069(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H05B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源が供給されて整流電圧を充電する平滑回路と、
前記外部電源の前記平滑回路への供給有無を切り替えるスイッチと、
前記平滑回路の出力を光源の点灯用の電力に変換する点灯回路と、
前記点灯回路を制御する点灯制御部と、を備え、
前記点灯制御部は、前記外部電源が前記平滑回路に供給された後の予め定められた時間変更受付期間に前記スイッチがオフされた場合に点灯開始時間モードへ移行し、前記点灯開始時間モードでの前記スイッチのプルレス操作に応じて前記光源の点灯開始時間を変更することを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記点灯制御部は、前記点灯開始時間モードでの前記スイッチのプルレス操作回数に応じて前記光源の点灯開始時間を変更することを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記点灯制御部は、変更後の前記点灯開始時間を記憶することを特徴とする請求項2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記点灯制御部は、前記点灯開始時間モードで、
予め定められた待機期間に前記スイッチのプルレス操作があったか判定し、前記プルレス操作があった場合には前記プルレス操作回数を1回増加させて次の待機期間を設定し、前記プルレス操作がなかった場合には、現在のプルレス操作回数に応じて前記点灯開始時間を変更することを特徴とする請求項2又は3に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記点灯制御部は、前記平滑回路が前記外部電源の供給を受けてから前記平滑回路の充電電圧が予め定められた電圧になるまでの時間以上の値を前記点灯開始時間の最小値とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記スイッチのプルレス操作を検出して前記点灯制御部に検出結果を伝送するプルレス操作検出回路を備え、
前記プルレス操作検出回路は、前記外部電源が前記平滑回路へ供給されるオン期間と前記外部電源が前記平滑回路から遮断されるオフ期間の組み合わせからなるプルレス操作を検出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記点灯制御部は、前記外部電源が前記平滑回路に供給された後の予め定められた段調光受付期間に前記スイッチがオフされた場合に、段調光モードへ移行し、前記段調光モードでの前記スイッチのプルレス操作に応じて調光することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項8】
前記点灯制御部は、前記点灯開始時間になって前記光源が暗状態から予め定められた明るさまで変化する速度を変更することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の点灯装置と、
前記点灯装置から電力の供給を受ける光源と、を備えた照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は点灯装置とその点灯装置を含む照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、いわゆるプルレス操作により段階的に照明器具の明るさを変化させることのできる点灯装置が開示されている。プルレス操作とは、一般的に、電源スイッチのオンとオフを短時間に切替える操作のことをいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-285725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プルレス操作によって段調光などの制御が変更可能である。しかしながら、複数設置された照明器具の一部を更新した場合など、同じ形状の照明器具であっても更新した照明器具の仕様変更によって複数の照明器具の点灯開始時間が異なる場合がある。例えば同じフロアに点灯開示時間が早い仕様の照明器具と、点灯開示時間が遅い仕様の照明器具が混在している場合、複数の照明器具の点灯時間にばらつきが生じ、使用者に違和感又は不快感を生じさせる場合があった。従来の照明器具は点灯開始時間を調整する機能を有していないので、照明器具の点灯開始時間を揃えるために、すでに設置した照明器具を入れ替えざるを得ない場合があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、容易に点灯開始時間を調整することができる点灯装置と照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明に係る点灯装置は、外部電源が供給されて整流電圧を充電する平滑回路と、該外部電源の該平滑回路への供給有無を切り替えるスイッチと、該平滑回路の出力を光源の点灯用の電力に変換する点灯回路と、該点灯回路を制御する点灯制御部と、を備え、該点灯制御部は、該外部電源が該平滑回路に供給された後の予め定められた時間変更受付期間に該スイッチがオフされた場合に点灯開始時間モードへ移行し、該点灯開始時間モードでの該スイッチのプルレス操作に応じて該光源の点灯開始時間を変更することを特徴とする。
【0007】
本発明のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プルレス操作によって簡単に照明器具の点灯開始時間を調整できる。これにより、点灯開始時間が異なる照明器具が混在していても照明器具の点灯開始時間を揃えることができるため、使用者に違和感又は不快感を与えず照明器具を点灯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態にかかる点灯装置の構成例を示す回路図である。
図2】光源点灯前の処理を示すフローチャートである。
図3】段調光モードにおける処理を示すフローチャートである。
図4】点灯開始時間モードにおける処理を示すフローチャートである。
図5】段調光受付期間と時間変更受付期間を示すタイムチャートである。
図6】段調光モードの処理を示すタイムチャートである。
図7】点灯開始時間モードの処理を示すタイムチャートである。
図8】点灯開始時間の設定範囲を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る点灯装置と照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかる点灯装置100の構成例を示す回路図である。図1には、外部電源である交流電源ACに接続される点灯装置100と、この点灯装置100から電力が供給されて点灯する光源150とを備える照明器具200が示されている。交流電源ACと点灯装置100との間には、それらの電気的接続をオンオフするためのスイッチSWが設けられている。
【0012】
点灯装置100は、ダイオードブリッジDBと、AC電源検出回路10と、平滑回路20と、点灯回路30と、制御回路40とを備えている。ダイオードブリッジDBは、入力される交流電圧を整流する。AC電源検出回路10は、ダイオードブリッジDBに接続され、交流電源ACが供給されていることを検出する。平滑回路20は、ダイオードブリッジDBの出力電圧を昇圧し平滑化する。点灯回路30は、平滑回路20の電圧を光源150に合わせた電力に変換する。
【0013】
制御回路40は、AC電源検出部1と、平滑回路20に対する駆動制御部2と、点灯回路30に対する駆動制御部3と、点灯制御部4とを備える。制御回路40の全体又は一部をマイクロコンピュータおよびマイクロコンピュータの周辺回路によって構成することができる。
【0014】
AC電源検出部1は、AC電源検出回路10の出力から交流電源ACの供給の有無を検出する。駆動制御部2は、平滑回路20のスイッチング素子であるMOSFETQ1を制御する信号を出力する。駆動制御部3は、点灯回路30のスイッチング素子であるMOSFETQ2を制御する信号を出力する。点灯制御部4は、AC電源検出部1と、駆動制御部2と、駆動制御部3に接続され、点灯装置100を制御する。また、直列に接続された抵抗R3、R4が電解コンデンサC1に並列に接続されている。点灯制御部4は、抵抗R3、R4にかかる電圧を分圧して得た電圧により定電圧制御を行い、電流検出抵抗R5に掛かる電流を検出することで定電流制御を行う。したがって、点灯制御部4が点灯回路30を制御するということができる。
【0015】
AC電源検出回路10は、抵抗R1、R2が直列に接続したものである。抵抗R1、R2はダイオードブリッジDBの出力電圧を分圧する。この分圧した電圧は交流電源ACの供給の有無を判別するための検出信号として、AC電源検出部1に入力される。AC電源検出部1は、AC電源検出回路10が出力した電圧のA/D変換値が、予め定めた判定電圧値以上の場合は交流電源ACの供給有りと判定し、判定電圧値未満の場合は交流電源ACの供給無しと判定する。言いかえれば、AC電源検出部1は、スイッチSWのオンオフによって外部電源の平滑回路20への供給有無を切り替えたことを検知する。
【0016】
次に、プルレス操作について説明する。スイッチSWがプルレス操作されたときには、交流電源ACの供給の有無が短期間で切り替わり、AC電源検出回路10の出力電圧が変化する。AC電源検出回路10の出力電圧に基づいてAC電源検出部1によりプルレス操作を検出することができる。本実施の形態の「プルレス操作」は交流電源ACが供給されるオン期間と交流電源ACが遮断されるオフ期間の組み合わせからなるスイッチSWの操作である。したがってAC電源検出部1は、スイッチSWのプルレス操作を検出して点灯制御部4に検出結果を伝送するプルレス操作検出回路として機能する。このプルレス操作検出回路は、外部電源が平滑回路20へ供給されるオン期間と外部電源が平滑回路20から遮断されるオフ期間の組み合わせからなるプルレス操作を検出する。例えば、本実施の形態のプルレス操作はスイッチSWを例えば3秒という短期間でオン、オフ、オンとこの順に操作することをいう。
【0017】
平滑回路20は外部電源が供給されて整流電圧を充電する回路である。平滑回路20は、ダイオードブリッジDBにて全波整流された電圧を昇圧するために、インダクタL1と、MOSFETQ1と、ダイオードD1と、抵抗R3と、抵抗R4と、電解コンデンサC1とを備える。インダクタL1の一端は、ダイオードブリッジDBの高電位側の出力に接続される。インダクタL1の他端には、MOSFETQ1のドレインとダイオードD1のアノードが接続される。MOSFETQ1のソースは、ダイオードブリッジDBの低電位側の出力に接続される。MOSFETQ1のゲートは駆動制御部2の出力に接続される。ダイオードD1のカソードは、抵抗R3の一端と電解コンデンサC1の正極に接続される。抵抗R3の他端は、R4の一端と点灯制御部4が接続される。R4の他端は、ダイオードブリッジDBの低電位側の出力に接続される。
【0018】
駆動制御部2から出力される信号によってMOSFETQ1のオンオフのスイッチング制御が行われる。MOSFETQ1のオン時は、インダクタL1に電流が流れてインダクタL1にエネルギーが蓄えられる。MOSFETQ1のオフ時は、インダクタL1に蓄えられたエネルギーがダイオードD1から電解コンデンサC1の経路で放出され、電解コンデンサC1の電圧は高い電圧に昇圧する。
【0019】
点灯回路30は、平滑回路20の出力を光源の点灯用の電力に変換する。点灯回路30は、MOSFETQ2と、ダイオードD2と、インダクタL2と、電流検出抵抗R5と、コンデンサC2とを備える。MOSFETQ2のドレインは、平滑回路20の出力に接続される。MOSFETQ2のソースには、インダクタL2の一端とダイオードD2のカソードが接続される。MOSFETQ2のゲートは駆動制御部3の出力に接続される。ダイオードD2のアノードは、ダイオードブリッジDBの低電位側の出力に接続される。インダクタL2の他端は、コンデンサC2の一端に接続される。コンデンサC2の他端は、電流検出抵抗R5の一端と点灯制御部4に接続される。電流検出抵抗R5の他端は、ダイオードブリッジDBの低電位側の出力に接続される。
【0020】
駆動制御部3から出力される信号によってMOSFETQ2のオンオフのスイッチング制御が行われる。MOSFETQ2のオン時は、インダクタL2、コンデンサC2、電流検出抵抗R5の経路に電流が流れ、コンデンサC2を充電するとともに、インダクタL2にエネルギーが蓄えられる。MOSFETQ2のオフ時は、インダクタL2に蓄えられたエネルギーが放出し、コンデンサC2、電流検出抵抗R5、ダイオードD2の順に電流が流れ、さらにコンデンサC2を充電する。充電された電圧が光源150の順方向電圧を超えると光源150に電流が流れる。
【0021】
なお、本実施の形態では、平滑回路20の出力から図示しない制御電源VCC1が生成され、点灯制御部4に供給される。これに限らず、例えばダイオードブリッジDBの出力から制御電源VCC1を生成することもできる。
【0022】
光源150は、例えば、直列接続された複数の半導体発光素子LEDとすることができる。直列接続される半導体発光素子LEDの個数は4個に限定されず任意の数とすることができる。また、複数の半導体発光素子LEDを並列接続してもよい。半導体発光素子LEDの発光色は、5000Kの白色としてもよいし、3500Kなどの異なる色温度としてもよい。
【0023】
点灯装置100の動作について説明する。点灯回路30は駆動制御部3が出力する制御信号に基づいて、光源150に供給する電流を決定する。光源150に流れる電流は、電流検出抵抗R5に流れる電流と等しい。このため、駆動制御部3は、電流検出抵抗R5に流れる電流または電流検出抵抗R5に発生する電圧を検出して、MOSFETQ2のオンデューティ比を制御することにより、目標とする電流を光源150に供給するように制御する。このように、定電流制御をすることにより光源150の明るさを安定させる。
【0024】
次にプルレス操作を受けて点灯開始時間を変更する制御回路40の動作について説明する。図2-4は、本実施の形態にかかる点灯装置100においてスイッチSWがプルレス操作されたときの動作を示すフローチャートである。図5-7は点灯装置100の処理例を示すタイムチャートである。図8は点灯開始時間の設定範囲を示すタイムチャートである。
【0025】
制御回路40は、「プルレス時間カウンタ」および「プルレス回数カウンタ」を有する。「プルレス時間カウンタ」は、プルレス操作時間をカウントするためのカウンタであり、例えばマイクロコンピュータのタイマで構成される。プルレス操作時間とは、AC電源検出回路10で検出されている交流電源ACの供給が遮断されている時間、すなわち出力停止時間を意味している。例えば、プルレス操作時間を2秒以下とし、プルレス操作が点灯開始から1秒後に行われた場合、プルレス操作がされたと判断する。プルレス操作時間は2秒以下より長くしたり短くしたりさせてもよい。
【0026】
「プルレス回数カウンタ」は、プルレス時間カウンタで指定した時間内に、プルレス操作が行われた場合、プルレス操作が行われたと判断しカウントを行う。例えばプルレス操作が1回行われた場合、カウント回数を1回増加させる。また、プルレス回数カウンタの上限値を定め、上限値を超えてプルレス操作を行った場合、そのプルレス操作によるプルレス回数カウンタを無効とする。制御回路40は、光源150の累積点灯時間をカウントするための「累積点灯時間カウンタ」をさらに備えても良い。「プルレス時間カウンタ」および「プルレス回数カウンタ」は例えばAC電源検出部1に設けることができる。
【0027】
プルレス操作時間が短期間であれば、スイッチSWの意図的なオン、オフ、オンと切り換える操作、つまりプルレス操作があったと判断できる。つまり、本実施の形態ではスイッチSWの操作自体を監視するのではなく、スイッチSWの操作の結果として生ずる外部電源の供給の断続を監視することで、プルレス操作の有無を検出する。
【0028】
図1図8を用いて、点灯開始時間の設定可能な範囲について説明する。図8には、点灯装置100への入力電圧と、電解コンデンサC1の電極間に生じる電圧であるC1間電圧と、点灯装置100の出力電圧の波形が示されている。時刻Taを経過すると、外部電源が供給され平滑回路20の電解コンデンサC1間に掛かる電圧が上昇する。上昇したC1間電圧が閾値電圧Vaに達したときの時刻をTbとする。C1間電圧が閾値電圧Vaを超えてオーバーシュートした後に安定するまでの最短の時刻をTc_minとする。Tb-Tc_minの区間での光源点灯は可能であるが、C1間電圧が安定していないので、光源150にちらつきが生じ使用者に違和感又は不快感を与えてしまうおそれがある。そこで、本実施の形態では、Tb-Tc_min区間での光源点灯を制限している。Tc_min以降は、C1間電圧が安定しており、光源150のちらつきがないため、Tc_min-Tc_maxの区間を点灯開始時間が設定可能な範囲としている。すなわち、点灯制御部4は、平滑回路20が外部電源の供給を受けてから平滑回路20の充電電圧が予め定められた電圧になるまでの時間以上の値を点灯開始時間の最小値とする。
【0029】
次に図2~4のフローチャート、図5~8のタイムチャートを用いて、制御回路40の動作について説明する。まず、図2のステップS1にて、時刻T1にスイッチSWをオンさせ、時刻T2に光源が点灯する。図5には、時刻T1、T2が示されている。このとき制御回路40では、点灯開始時間が時刻T2(Tc_0(Tc_default))に設定されていることとする。図5に示すように制御回路40は、外部電源が平滑回路20に供給された後の時刻T2~T3までの期間を段調光モードの変更受付期間とし、時刻T3~T4までの期間を点灯開始時間の変更受付期間としている。時刻T2~T3までの期間を段調光受付期間といい、時刻T3~T4までの期間を時間変更受付期間という。段調光受付期間と時間変更受付期間の前後を入れ替えたり、段調光受付時間を省略したりしてもよい。
【0030】
時刻T2~T3の期間においてスイッチSWをオフさせた場合、段調光モードが設定され、段調光モードカウント回数Mが0となる。図2ではステップSa2、ステップSa3、ステップSa4にてこれらの処理が行われる。すなわち、点灯制御部4は、外部電源が平滑回路20に供給された後の予め定められた段調光受付期間にスイッチSWがオフされた場合に、段調光モードへ移行する。
【0031】
時刻T3~T4の期間においてスイッチSWをオフさせた場合、点灯開始時間モードが設定され、点灯開始時間モードカウント回数Nが0となる。図2ではステップSb2、ステップSb3、ステップSb4にてこれらの処理が行われる。すなわち、点灯制御部4は、外部電源が平滑回路20に供給された後の予め定められた時間変更受付期間にスイッチSWがオフされた場合に、点灯開始時間モードへ移行する。
【0032】
時刻T2~T3までの期間でスイッチSWがオフされず、時刻T3~T4までの期間でもスイッチSWがオフされなかった場合は、通常点灯となる。図2でいえば、ステップSc2に進む。
【0033】
[段調光モード]
段調光モードについて説明する。図2のステップSa5では、段調光モードに設定されてから、例えば2秒以下の短期間の間にプルレス操作が行われたか判定する。時間内にプルレス操作が行われた場合、ステップSa6にて段調光モードカウント回数Mが上限値を超えていないか判定する。上限値は例えば10回である。段調光モードカウント回数Mが上限値を超えていなければ、ステップSa7に進み段調光モードカウント回数Mを1つ増やす。時間内にプルレス操作が行われていない場合、ステップSa8の段調光モード処理に移行する。また、段調光モードカウント回数Mが上限値を超えていれば、ステップSa8の段調光モード処理に移行する。
【0034】
図3には、段調光モード処理の例が示されている。段調光モード処理は、事前に行われたプルレス操作のカウント回数を利用して、カウント回数に適合する動作を行うものである。
【0035】
ステップSa9にて、段調光モードカウント回数Mが1未満であればステップSa25に進み段調光モード設定を終了し、段調光モードカウント回数Mが1以上であればステップSa10にて次のカウント回数の確認を行う。
【0036】
ステップSa10にて、段調光モードカウント回数Mが2未満であれば、ステップSa25に進み段調光モード処理を終了し、段調光モードカウント回数Mが2以上であればステップSa11にて次のカウント回数の確認を行う。
【0037】
ステップSa11にて、段調光モードカウント回数Mが3未満であれば、ステップSa12にて段調光モードが「出力状態の確認」に設定されて終了し、段調光モードカウント回数Mが3以上であればステップSa13にて次のカウント回数の確認を行う。
【0038】
ステップSa13にて、段調光モードカウント回数Mが4未満であれば、ステップSa14にて段調光モードが「出力の切り換え」に設定され終了し、段調光モードカウント回数Mが4以上であればステップSa15にて次のカウント回数の確認を行う。
【0039】
ステップSa15にて、段調光モードカウント回数Mが5未満であれば、ステップSa16にて段調光モードが「出力リセット」に設定され終了し、段調光モードカウント回数Mが5以上であればステップSa17にて次のカウント回数の確認を行う。
【0040】
ステップSa17にて、段調光モードカウント回数Mが6未満であればステップSa25にて段調光モード処理を終了し、段調光モードカウント回数Mが6以上であればステップSa18にて次のカウント回数の確認を行う。
【0041】
ステップSa18にて、段調光モードカウント回数Mが7未満であれば、ステップSa19にて段調光モードが「初期照度補正のリセット」に設定され終了し、段調光モードカウント回数Mが7以上であればステップSa20にて次のカウント回数の確認を行う。
【0042】
ステップSa20にて、段調光モードカウント回数Mが8未満であればステップSa25にて段調光モード処理を終了し、段調光モードカウント回数Mが8以上であればステップSa21にて次のカウント回数の確認を行う。
【0043】
ステップSa21にて、段調光モードカウント回数Mが9未満であればステップSa22にて段調光モードが「リセットキャンセル」に設定され終了し、段調光モードカウント回数Mが9以上であればステップSa23にて次のカウント回数の確認を行う。
【0044】
ステップSa23にて、段調光モードカウント回数Mが10未満であれば、ステップSa25にて段調光モード処理を終了し、段調光モードカウント回数Mが10であればステップSa24にて段調光モードが「全光点灯」に設定され終了する。
【0045】
ステップSa25で段調光モード処理が確定する。その後、図2のステップS26にて、スイッチSWをオンさせると、上述の段調光モード処理にて設定した処理が実行される。
【0046】
図6には、段調光モードにおけるタイムチャートの例が示されている。図6において、時刻T3~T5の期間に使用者がプルレス操作を行い、そのプルレス操作のカウント回数に応じた段調光モード処理が実現される。このように、段調光モードでのスイッチSWのプルレス操作に応じて調光することができる。
【0047】
[点灯開始時間モード]
次に、点灯開始時間モードについて説明する。図2のステップSb5では、点灯開始時間モードに設定されてから例えば2秒以下の短期間の間にプルレス操作が行われたか判定する。時間内にプルレス操作が行われた場合、ステップSb6にて点灯開始時間モードカウント回数Nが上限値を超えていないか判定する。上限値は例えば7回である。点灯開始時間モードカウント回数Nが上限値を超えていなければ、ステップSb7に進み点灯開始時間モードカウント回数Nを1つ増やす。時間内にプルレス操作が行われていない場合、ステップSb8の点灯開始時間モード処理に移行する。また、ステップSb6にて点灯開始時間モードカウント回数Nが上限値を超えていれば、ステップSb8の点灯開始時間モード処理に移行する。なお、点灯開始時間モードカウント回数Nは、プルレス操作回数である。
【0048】
このように、点灯制御部4は、点灯開始時間モードに進むと、予め定められた待機期間にスイッチSWのプルレス操作があったか判定し、プルレス操作があった場合には上限値を超えない限りプルレス操作回数を1回増加させて次の待機期間を設定し、プルレス操作がなかった場合には、プルレス操作回数に応じた点灯開始時間を実現する。プルレス操作回数に応じた点灯開始時間の設定例が図4に示されている。
【0049】
図4を参照しつつ、点灯開始時間モード処理の例について説明する。点灯開始時間モード処理は、図2のステップSb5、Sb6、Sb7にて設定されたプルレス操作回数を利用して、当該プルレス操作回数に適合する動作を行うものである。
【0050】
図4のステップSb9にて、プルレス操作回数Nが1未満であればステップSb22に進み点灯開始時間モード設定を終了し、プルレス操作回数Nが1以上であればステップSb10にて次のカウント回数の確認を行う。
【0051】
ステップSb10にて、プルレス操作回数Nが2未満であればステップSb22に進み点灯開始時間モード設定を終了し、プルレス操作回数Nが2以上であればステップSb11にて次のカウント回数の確認を行う。
【0052】
ステップSb11にて、プルレス操作回数Nが3未満であれば、ステップSb12に進み点灯開始時間モードが「出力状態の確認」に設定され終了し、プルレス操作回数Nが3以上であればステップSb13にて次のカウント回数の確認を行う。
【0053】
ステップSb13にて、プルレス操作回数Nが4未満であればステップSb14に進み点灯開始時間が「点灯開始時間Tc_-2(Tc_min)」に設定され終了する。点灯開始時間Tc_-2(Tc_min)は図8に示されている。他方、ステップSb13にて、プルレス操作回数Nが4以上であればステップSb15にて次のカウント回数の確認を行う。
【0054】
ステップSb15にて、プルレス操作回数Nが5未満であれば、ステップSb16に進み点灯開始時間が「点灯開始時間Tc_-1」に設定され終了する。点灯開始時間Tc_-1は図8に示されている。他方、ステップSb15にて、プルレス操作回数Nが5以上であればステップSb17にて次のカウント回数の確認を行う。
【0055】
ステップSb17にて、プルレス操作回数Nが6未満であれば、ステップSb18に進み点灯開始時間が「点灯開始時間Tc_0」に設定され終了する。点灯開始時間Tc_0は図8に示されるようにデフォルトの点灯開始時間である。他方、ステップSb17にて、プルレス操作回数Nが6以上であればステップSb19にて次のカウント回数の確認を行う。
【0056】
ステップSb19にて、プルレス操作回数Nが7未満であれば、ステップSb20に進み点灯開始時間が「点灯開始時間Tc_+1」に設定され終了する。点灯開始時間Tc_+1は図8に示されている。他方、ステップSb19にてプルレス操作回数Nが7であればステップSb21に進み、点灯開始時間が「点灯開始時間Tc_+2」に設定され終了する。点灯開始時間Tc_+2は図8に示されている。
【0057】
ステップSb22で点灯開始時間モード処理が確定し、図2のステップS26へ処理が進められる。ステップS26では、スイッチSWをオンさせると設定した処理が実行される。
【0058】
図7には、点灯開始時間モードにおけるタイムチャートの例が示されている。図7において、時刻T4~T6の期間に使用者がプルレス操作を行い、プルレス操作のカウント回数であるプルレス操作回数Nに応じた点灯開始時間が設定される。このように、照明器具のソフトウェアを更新することなく点灯開始時間モードでのスイッチSWのプルレス操作回数に応じて光源の点灯開始時間を調整することができる。点灯開始時間は、例えば、スイッチSWがオンされてから点灯回路30が光源150に対する電力変換を開始するまでの時間である。図5において点灯開始時間を時刻T2に設定するということは、時刻T1から時刻T2までの期間は光源150の点灯を留保することを意味する。上述の処理によって点灯開始時間を調整することは、複数の照明器具の点灯留保期間を統一又は実質的に統一することを可能とする。いいかえれば、複数の照明器具の点灯開始時間を統一又は実質的に統一することができる。
【0059】
上述の段調光モードでの処理と点灯開始時間モードでの処理は点灯制御部4によって行うことができる。そのような処理は専用のハードウエアで実現してもよいし、記憶装置に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現してもよい。この実施の形態では、段調光モードのカウント回数の上限値を10回、点灯開始時間モードのカウント回数の上限値を7回としているが、これらのカウント回数は任意の値とすることができる。また、段調光モードカウント回数に対応した動作を変更したり、プルレス操作回数に対応した動作を変更したりすることができる。
【0060】
さらに、点灯制御部4は、変更後の点灯開始時間を記憶することで、変更がない限り、記憶された点灯開始時間を継続使用することができる。点灯制御部4は、点灯開始時間になって光源が暗状態から予め定められた明るさまで変化する速度を変更することで、任意のフェードを実現することとしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 AC電源検出部、 2 駆動制御部、 3 駆動制御部、 4 点灯制御部、 10 AC電源検出回路、 20 平滑回路、 30 点灯回路、 40 制御回路、 100 点灯装置、 150 光源、 200 照明器具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8