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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】ディスプレイ内蔵壁面
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220509BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
G09F9/00 351
G09F9/00 313
E04F13/08 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018115953
(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公開番号】P2019219480
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木下 俊貴
(72)【発明者】
【氏名】前川 直輝
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-126304(JP,A)
【文献】特開2015-161835(JP,A)
【文献】実開昭61-41289(JP,U)
【文献】特開2008-83651(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0201436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/42
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型ディスプレイを内蔵した壁面構造であって、下地壁面に固定される裏蓋と、該裏蓋に固定され、該裏蓋に被さる表蓋とを有し、該表蓋は、前面が透明な板であって、内面に薄型ディスプレイを収納するポケット状のディスプレイ収納部を備えており、表蓋の表面には、透光性を有する化粧シートが貼付されていることを特徴とするディスプレイ内蔵壁面。
【請求項2】
前記表蓋の前面を構成する透明な板は、アクリル樹脂板、ポリカーボネート樹脂板、塩化ビニル樹脂板のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ内蔵壁面。
【請求項3】
前記透光性を有する化粧シートは、木目模様の化粧シートであることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ内蔵壁面。
【請求項4】
前記ディスプレイ収納部は、薄型ディスプレイの表面を表蓋の裏面に圧着するための圧着装置を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のディスプレイ内蔵壁面。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイを内蔵した壁面に関し、特にディスプレイ消灯時には普通の壁面に見えており、ディスプレイ点灯時には壁に画像が出現する壁面の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一見壁面に見えて、実は内部にディスプレイを内蔵しており、必要な時に必要な情報が表示される壁面構造が知られている。従来の構造としては、下地壁面に薄型ディスプレイ用の壁掛け装置(特許文献1参照)を取り付け、この壁掛け装置に液晶ディスプレイや、LEDディスプレイ等の薄型ディスプレイを取り付け、最表面に擬似壁面を取り付けるというものであった。下地壁面に予めディスプレイが収納できる凹みを設けておくか、あるいは擬似壁面を壁面全面に設けることにより、ディスプレイが消灯している時には、一見ただの壁面に見せることもできる。
【0003】
特許文献2に記載された薄型ディスプレイ装置の取付け装置は、部屋の床面に沿う底板より壁に沿って並行して伸びる2本の柱状体に薄型ディスプレイ装置が取付けられた取付け枠体を固定し、薄型ディスプレイ装置の重量が柱状体および底板を介して床面で支えられる構成にすることにより、壁面に負荷を与えることなく、安定して薄型ディスプレイ装置を実質的に部屋の壁面に設置できるように構成したものである。
【0004】
特許文献1に記載された壁掛け装置を用いる方法でも、特許文献2に記載されたような取付け装置を用いる方法でも、いずれもまずディスプレイを設置固定し、この外側に擬似壁面を形成しなければならないため、ディスプレイと擬似壁面との間に隙間が生じ、その結果、映像がぼやけて見えるという欠点があった。(図5参照)
また、ディスプレイを固定するためには、正確に水平を出す必要があり、大掛かりな設置作業が必要となるため、熟練した専門の内装業者でなければ、施工することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】登録実用新案第3171513号公報
【文献】特開2004-226791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、ディスプレイを内蔵した壁面において、画像が鮮明であり、容易に、しかも精度良く設置することができるディスプレイ内蔵壁面を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、薄型ディスプレイを内蔵した壁面構造であって、下地壁面に固定される裏蓋と、該裏蓋に固定され、該裏蓋に被さる表蓋とを有し、該表蓋は、前面が透明な板であって、内面に薄型ディスプレイを収納するポケット状のディスプレイ収納部を備えており、表蓋の表面には、透光性を有する化粧シートが貼付されていることを特徴とするディスプレイ内蔵壁面である。
【0008】
本発明に係るディスプレイ内蔵壁面は、化粧シートを貼付した擬似壁面となる表蓋の裏側にディスプレイ収納部を設けたので、ディスプレイと擬似壁面との間に隙間が生じ難く
、従って鮮明な画像が得られる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記表蓋の前面を構成する透明な板が、アクリル樹脂板、ポリカーボネート樹脂板、塩化ビニル樹脂板のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ内蔵壁面である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記透光性を有する化粧シートが、木目模様の化粧シートであることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ内蔵壁面である。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、前記ディスプレイ収納部が、薄型ディスプレイの表面を表蓋の裏面に圧着するための圧着装置を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のディスプレイ内蔵壁面である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るディスプレイ内蔵壁面は、従来のようにまず下地壁面にディスプレイを固定し、その上から擬似壁面を設ける構造ではなく、擬似壁面となる表蓋そのものにディスプレイを取り付けるものであるため、ディスプレイの表面と擬似壁面とを接近させて設置することができる。このため、文字や画像がぼけたりにじんだりせず、ディスプレイの表示が鮮明になる。
【0013】
また、従来の方法では、ディスプレイの取り付けに当たって正確な水平出し作業が必要であるため、専門の内装業者に依頼する必要があったが、本発明に係る壁面においては、予め工場で製作した表蓋のディスプレイ収納部に、ディスプレイを落とし込むだけの簡単な作業で精度良く組み立てることができるため、素人でも取付けが可能である。
【0014】
さらに、本発明に係る壁面では、ディスプレイの配線等を収納するスペースが十分にとれるので、設置が容易であり、収まりが綺麗に仕上がる。
【0015】
請求項2に記載の発明のように、表蓋の前面を構成する透明な板が、アクリル樹脂板、ポリカーボネート樹脂板、塩化ビニル樹脂板のいずれかである場合には、透明性が良好であり、目的とする壁面の大きさや内蔵するディスプレイの重量等に応じて、厚さやサイズの選択幅が広いため、設計の自由度が高い。
【0016】
請求項3に記載の発明のように、透光性を有する化粧シートが、木目模様の化粧シートである場合には、色や柄の選択幅が広く、またシート自体の隠蔽や模様が不規則であるからディスプレイを点灯していない状態で内面に内蔵したディスプレイを目視し難いという特徴がある。
【0017】
請求項4に記載の発明のように、ディスプレイ収納部が、薄型ディスプレイの表面を表蓋の裏面に圧着するための圧着装置を有する場合には、画像のにじみやぼけを最小限に抑制できるばかりでなく、ディスプレイ収納部の寸法を余裕を持って設計することができるので、ディスプレイの収納作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明に係るディスプレイ内蔵壁面の一例を示した平面模式図であり、ディスプレイが点灯した状態を示したものである。
図2図2は、本発明に係るディスプレイ内蔵壁面の一例を示した平面模式図であり、ディスプレイが消灯した状態を示したものである。
図3図3は、本発明に係るディスプレイ内蔵壁面の断面構造を模式的に示した断面模式図である。
図4図4は、本発明に係るディスプレイ内蔵壁面の他の実施態様を模式的に示した部分断面模式図である。
図5図5は、従来のディスプレイ内蔵壁面の断面構造例を模式的に示した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るディスプレイ内蔵壁面について詳細に説明する。図1は、本発明に係るディスプレイ内蔵壁面の一例を示した平面模式図であり、ディスプレイが点灯した状態を示したものである。また図2は、ディスプレイが消灯した状態を示したものである。いずれも壁面の一部分を拡大して示したものである。
【0020】
図1、2に示したように、本発明に係るディスプレイ内蔵壁面においては、壁面を構成する表蓋3の表面に木目化粧シート6が貼付されているため、薄型ディスプレイ20は、表面からは見えないようになっている。図1のように、薄型ディスプレイ20が点灯した状態では、画像のみが化粧シート越しに視認できるが、図2のように薄型ディスプレイ20が消灯あるいは無信号の状態では、普通の壁面に見える。
【0021】
図3は、本発明に係るディスプレイ内蔵壁面の断面構造を模式的に示した断面模式図である。本発明に係るディスプレイ内蔵壁面1は、薄型ディスプレイ20を内蔵した壁面構造であって、下地壁面10に固定される裏蓋2と、裏蓋2に固定され、裏蓋2に被さる表蓋3とを有する。表蓋3は、前面が透明な板であって、内面に薄型ディスプレイ20を収納するポケット状のディスプレイ収納部4を備えており、表蓋3の表面には、透光性を有する化粧シート6が貼付されていることを特徴とする。
【0022】
従来、このような壁面構造を構築する手段としては、図5に模式的に示したように、下地壁面10に台座12を介してL字金具13等を用いて薄型ディスプレイ20を下地壁面に固定した後に、表面に化粧シート6を貼付した透明な表蓋14を被せて固定していた。
【0023】
このような方法では、薄型ディスプレイ20と表蓋3との間にどうしても多少の隙間が生じるため、画像がぼやけて見えるという問題があった。また、従来の方法では、薄型ディスプレイ20を水平出しをしながら壁面に固定する作業に、ある程度の熟練を要するため、一連の作業を内装施工業者に依頼せざるを得ず、費用も掛かるものとなっていた。
【0024】
本発明に係るディスプレイ内蔵壁面においては、薄型ディスプレイ20を、表蓋3に予め設けられたディスプレイ収納部4に収納するため、現場における水平出しが不要であるばかりでなく、薄型ディスプレイ20を表蓋3の裏面にぴったり密着させることが容易に可能となり、鮮明な画像が得られるようになったのである。
【0025】
本発明に係るディスプレイ内蔵壁面は、このように、施工上のばらつきが少なくなるため、専門の内装業者でなくても誰でも設置することが可能であり、納期や費用の面でのメリットが大である。
【0026】
本発明に係るディスプレイ内蔵壁面に用いる薄型ディスプレイ20としては、特に制約は無く、LEDディスプレイや、通常の液晶ディスプレイの他、バックライトにLEDを用いた液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等任意である
【0027】
裏蓋2としては、金属製や合成樹脂製の他、木製、あるいはこれらの複合でも良い。裏蓋2は、タッピングねじ等によって下地壁面に固定する。取り付けに当たっては、ディスプレイそのものを取り付ける場合と異なり、特に厳密な水平出し等の必要はなく、長孔を利用した角度調整も容易である。なお裏蓋2には、表蓋を固定するための受け治具を備えている必要がある。
【0028】
表蓋3としては、透明な合成樹脂製の板や、ガラスを用いることができる。合成樹脂製の板としては、アクリル樹脂板、ポリカーボネート樹脂板、塩化ビニル樹脂板等の透明樹脂板を用いることができる。透明性、強度や重量、加工性、設計の自由度、取扱いの容易さ等の観点から、中でもアクリル樹脂板が最も適している。
【0029】
アクリル樹脂板は、周囲に板を接着して五面体の蓋状に加工したり、次に述べるディスプレイ収納部4を取り付けたりすることが比較的容易にできる特徴がある。
【0030】
表蓋3の裏面には、ディスプレイ収納部4を予め設けておく。ディスプレイ収納部4は、ポケット状の治具であり、薄型ディスプレイ20を落とし込んで、保持できるように設置する。材質は、特に制約は無く、金属製や合成樹脂製が可能であるが、表蓋3の材質と同じ材質とするのが、加工上有利である。
【0031】
ディスプレイ収納部4には、図4に示したように、圧着装置5を設けても良い。圧着装置5は、薄型ディスプレイ20の表面を表蓋3の裏面に圧着するための装置である。圧着装置5としては、図4に示したような、ねじで押し付ける方式でも良いし、特に図示しないが、板ばねで押すような方式でも良い。
【0032】
ディスプレイ圧着装置5を備えた場合、ディスプレイ収納部4の寸法に余裕を持たせることができるので、薄型ディスプレイ20の挿入が容易になり、また表蓋3の裏面と薄型ディスプレイ20の表面との隙間を最小限に保つことが容易に可能となる。
【0033】
表蓋3の表面には、化粧シート6を貼付することにより、薄型ディスプレイ20が消灯している場合には、薄型ディスプレイ20が外側からは見えず、ただの壁面に見える。薄型ディスプレイ20が点灯すると、化粧シート6が透光性を有するため、画像が化粧シート6を透過して、外側から認識できるようになる。
【0034】
このような透光性を有する化粧シート6としては、合成樹脂製基材シートにグラビア印刷方式等を用いて、任意の絵柄を印刷した化粧シートに、裏面タック加工を施した化粧シートが好適に用いられる。合成樹脂製基材シートとしては、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂等のベース樹脂に、フィラー、着色剤、安定剤等を添加した樹脂組成物をシート状に加工した着色合成樹脂シートを用いることができる。
【0035】
化粧シート6の表面には、透明な保護層を設けることで、絵柄層の耐摩耗性や耐光性等を向上させることができる。
【0036】
化粧シート6の絵柄や色調については、任意であり、設置場所のインテリアに応じて選択されるが、規則的な抽象柄よりも、木目模様のように、ある程度不規則な模様の方が、内部のディスプレイ装置を隠し易いというメリットがある。
【符号の説明】
【0037】
1・・・ディスプレイ内蔵壁面
2・・・裏蓋
3・・・表蓋
4・・・ディスプレイ収納部
5・・・圧着装置
6・・・化粧シート
10・・・下地壁面
11・・・床
12・・・台座
13・・・L字金具
14・・・表蓋
20・・・薄型ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5