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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】洗浄水タンク装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/10 20060101AFI20220509BHJP
   E03D 1/26 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
E03D5/10
E03D1/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018117181
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019218761
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】谷沢 勝美
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-311074(JP,A)
【文献】特開2019-11598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を貯留するタンクと、
前記タンクの排水口に設けられる排水弁を開閉する排水弁装置と、
前記タンク内に配置されるとともに、前記排水弁装置を電動駆動によって動作させる電動駆動部を内部に収容する電動駆動ユニットと、
前記電動駆動ユニットの内部の空間を、前記タンクの背面部に形成され満水水位より上方に位置される開口部を介して前記タンクの外部の空間に連通させる連通部と
を備えることを特徴とする洗浄水タンク装置。
【請求項2】
前記タンクの前記開口部に配置されるとともに、前記連通部を保持する保持部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項3】
前記保持部は、
一端が前記連通部に接続される一方、他端が前記タンクの外部の空間に開放される通気部
を備えることを特徴とする請求項2に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項4】
前記保持部はさらに、
前記電動駆動ユニットに接続される電線を保持すること
を特徴とする請求項2または3に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項5】
前記タンクは、
タンク本体部と、
前記タンクの上方に配置される蓋部と
を備え、
前記保持部は、
前記タンク本体部の上端部に係止されて配置されること
を特徴とする請求項2~4のいずれか一つに記載の洗浄水タンク装置。
【請求項6】
前記開口部は、
前記蓋部の下端部に形成される切欠きであること
を特徴とする請求項5に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項7】
前記電動駆動ユニットは、
一端側が前記排水弁装置に気密に接続され、前記電動駆動部の駆動力を出力する出力軸
を備え、
前記連通部は、
前記出力軸の他端側を覆うように取り付けられるキャップ部に接続されて、前記電動駆動ユニットの内部の空間を前記タンクの外部の空間に連通させること
を特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の洗浄水タンク装置。
【請求項8】
前記連通部は、
可撓性を有する連通管を含むこと
を特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の洗浄水タンク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、洗浄水タンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水洗大便器に使用される洗浄水を貯える洗浄水タンク装置が知られている(例えば特許文献1参照)。上記した洗浄水タンク装置にあっては、モータなどの電動駆動部を内部に収容する電動駆動ユニットがタンク内に配置され、かかる電動駆動部によってタンクの排水弁装置を動作させるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-196949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術にあっては、電動駆動ユニットがタンク内に配置されるため、例えば、タンクの洗浄水が水蒸気となって電動駆動ユニット内に流入し、かかる水蒸気の結露によって生じた水が電動駆動部などに付着して影響を及ぼすおそれがあった。
【0005】
また、例えば、水蒸気の侵入を抑制するため、電動駆動ユニットの内部を気密に封止すると、電動駆動部が放熱されにくくなって内部の温度が上昇し易くなる。そのため、電動駆動部が停止して内部の温度が低下した場合に結露によって水が生じ、電動駆動部などに影響を及ぼすおそれがあった。
【0006】
このように、従来技術には、電動駆動部を内部に収容する電動駆動ユニットにおいて結露を抑制するという点で改善の余地があった。
【0007】
実施形態の一態様は、電動駆動部を内部に収容する電動駆動ユニットにおいて結露を抑制することができる洗浄水タンク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る洗浄水タンク装置は、洗浄水を貯留するタンクと、前記タンクの排水口に設けられる排水弁を開閉する排水弁装置と、前記タンク内に配置されるとともに、前記排水弁装置を電動駆動によって動作させる電動駆動部を内部に収容する電動駆動ユニットと、前記電動駆動ユニットの内部の空間を、前記タンクの背面部に形成され満水水位より上方に位置される開口部を介して前記タンクの外部の空間に連通させる連通部とを備えることを特徴とする。
【0009】
これにより、例えば、電動駆動ユニット内に水蒸気がある場合であっても、かかる水蒸気は連通部を介して外部の空間へ流出し易くなり、これにより結露を抑制することができる。また、結露を抑制することで結露水が生じにくく、結果として電動駆動部などに水が付着して劣化するなどの影響を低減させることができる。また、電動駆動部の駆動に伴う熱を連通部を介して外部の空間へ放出することもでき、よって電動駆動ユニットにおける放熱性を向上させることができる。
【0010】
また、前記タンクの前記開口部に配置されるとともに、前記連通部を保持する保持部をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
これにより、連通部が所期の位置である開口部から移動してしまうことを抑制することができる。
【0012】
また、前記保持部は、一端が前記連通部に接続される一方、他端が前記タンクの外部の空間に開放される通気部を備えることを特徴とする。
【0013】
このように、保持部は、他端がタンクの外部の空間に開放される通気部を備えることから、連通部を通気部の一端に接続することで、電動駆動ユニットの内部の空間をタンクの外部の空間に容易に連通させることができる。
【0014】
また、前記保持部はさらに、前記電動駆動ユニットに接続される電線を保持することを特徴とする。
【0015】
これにより、保持部は、連通部に加え、電線を保持することも可能になる。
【0016】
また、前記タンクは、タンク本体部と、前記タンクの上方に配置される蓋部とを備え、前記保持部は、前記タンク本体部の上端部に係止されて配置されることを特徴とする。
【0017】
これにより、例えば、保持部をタンクに固定するための開口などを新たに設けることなく、タンクに固定することができる。
【0018】
また、前記開口部は、前記蓋部の下端部に形成される切欠きであることを特徴とする。
【0019】
これにより、タンクの背面部に開口部を簡易に形成することができる。
【0020】
また、前記電動駆動ユニットは、一端側が前記排水弁装置に気密に接続され、前記電動駆動部の駆動力を出力する出力軸を備え、前記連通部は、前記出力軸の他端側を覆うように取り付けられるキャップ部に接続されて、前記電動駆動ユニットの内部の空間を前記タンクの外部の空間に連通させることを特徴とする。
【0021】
これにより、電動駆動ユニットの内部の空間をタンクの外部の空間に確実に連通させることができる。
【0022】
また、前記連通部は、可撓性を有する連通管を含むことを特徴とする。
【0023】
これにより、連通部のタンク内における配索を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
実施形態の一態様によれば、電動駆動部を内部に収容する電動駆動ユニットにおいて結露を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施形態に係る洗浄水タンク装置を備えたトイレ装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線断面図である。
図3図3は、洗浄水タンク装置の平面図である。
図4図4は、タンクの拡大背面図である。
図5図5は、図2のV-V線断面図である。
図6図6は、保持部の斜視図である。
図7図7は、タンクの開口部に配置された状態の保持部を示す側断面図である。
図8図8は、図7のVIII-VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する洗浄水タンク装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0027】
図1は、実施形態に係る洗浄水タンク装置を備えたトイレ装置を示す斜視図である。なお、図1には、説明を分かり易くするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。また、図1および図2以降に示す図は、いずれも模式図である。
【0028】
図1に示すように、トイレ装置1は、便器本体(以下「便器」と記載する場合がある)2と、洗浄水タンク装置10とを備える。便器2は、ボウル部3と、リム部4と、排水トラップ管路5と、導水路6とを備える。
【0029】
ボウル部3は、汚物を受けることが可能なボウル状に形成される。リム部4は、ボウル部3の上縁に形成される。かかるリム部4の上部には、たとえば便座(図示省略)が設けられる。
【0030】
また、リム部4には、導水路6が接続される。導水路6は、第1吐水口6aと、第2吐水口6bとを備える。導水路6には、便器洗浄が行われる場合に、洗浄水タンク装置10の排水口15から排出される洗浄水が流入する。そして、導水路6の洗浄水は、第1、第2吐水口6a,6bを介してボウル部3へ吐水され、旋回しながらボウル部3を洗浄する。なお、導水路6の吐水口の数は2つに限定されるものではなく、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0031】
排水トラップ管路5は、ボウル部3に接続される。詳しくは、排水トラップ管路5は、入口部5aと、溜水部5bとを備える。入口部5aは、ボウル部3の底部と連続するように設けられ、ボウル部3からの洗浄水を排水トラップ管路5へ流入させる。
【0032】
溜水部5bは、入口部5aの下流側に位置されるとともに、所定量の洗浄水が溜まる形状とされる。溜水部5bの下流側は、図示しない排水路に接続され、よって溜水部5bに流れ込む洗浄水は排水路から排出される。このように、排水トラップ管路5は、溜水部5bに洗浄水が溜まり、封水として機能することで、排水管からの臭気等がボウル部3側へ逆流することを防止する。
【0033】
洗浄水タンク装置10は、便器2の後方(Y軸負方向)上部に設置される。洗浄水タンク装置10は、洗浄水を貯留するタンク11を備える。かかるタンク11は、タンク本体部12と、蓋部13とを備える。タンク本体部12は、上面が開口された直方体状の容器であり、便器2のボウル部3を洗浄する洗浄水を貯える。タンク本体部12の底面には、上記した排水口15が設けられる。なお、タンク本体部12の内部の構成については、図2を用いて後述する。また、図1に示すタンク本体部12の形状やタンク本体部12の便器2に対する設置位置などは、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0034】
蓋部13は、タンク本体部12の上面を全体的に覆うように配置され、タンク本体部12の上部に着脱自在に取り付けられる。
【0035】
また、トイレ装置1が設置されるトイレ室の適宜位置には、操作リモコン20が設けられる。かかる操作リモコン20は、便器洗浄を開始する開始指示などが使用者によって入力される操作ボタン21を備える。操作リモコン20は、使用者から操作ボタン21を介して入力された開始指示を示す信号を図示しない制御装置へ出力する。なお、図示は省略するが、人感センサが設けられ、かかる人感センサの出力に基づいて開始指示を示す信号を出力してもよい。
【0036】
図2は、図1のII-II線断面図である。また、図3は、洗浄水タンク装置10の平面図である。なお、図3においては、理解の便宜のため、蓋部13を取り外した洗浄水タンク装置10を示している。
【0037】
図2および図3に示すように、洗浄水タンク装置10は、給水装置30と、排水弁装置40と、手動駆動ユニット50と、電動駆動ユニット60と、固定部70と、オーバーフロー管100とを備え、これらはタンク本体部12内に配置されて収容される。
【0038】
給水装置30は、タンク本体部12内へ洗浄水を供給する。たとえば、給水装置30は、フロート31を備え、かかるフロート31の上下の変動に応じてタンク本体部12内へ洗浄水を供給したり、供給を停止したりする。
【0039】
排水弁装置40は、排水弁41と、ワイヤ42,43とを備え、排水弁41を開閉するように構成される。具体的には、排水弁41は、排水口15に設けられるとともに、上下動可能に構成される。そして、排水弁41は、かかる上下動により排水口15を開閉する。ワイヤ42,43は、一端側が排水弁41に接続される。そして、ワイヤ42の他端側は、手動駆動ユニット50に接続される。
【0040】
手動駆動ユニット50は、操作レバー51が操作されると、図示しない歯車が回転してワイヤ42を巻き取る。これにより、排水弁41はワイヤ42に引っ張られて上昇し、排水口15が開放される。排水口15の開放により、タンク本体部12内の洗浄水が便器2(図1参照)へ排水される、すなわち、便器洗浄が行われる。
【0041】
また、ワイヤ43の他端側は、電動駆動ユニット60に接続される。電動駆動ユニット60は、駆動モータや、駆動モータの駆動によって回転動作可能な操作部68などを備え、タンク11内、正確にはタンク本体部12内に配置される。なお、駆動モータは、電動駆動ユニット60の内部に収容されるため、図2,3では見えない。上記したワイヤ43は、操作部68を介して駆動モータに接続される。
【0042】
そして、操作リモコン20(図1参照)から便器洗浄を開始する開始指示を示す信号が制御装置へ出力されると、制御装置は電動駆動ユニット60の駆動モータを駆動し、操作部68を回転させてワイヤ43を巻き取る。これにより、排水弁41はワイヤ43に引っ張られて上昇し、排水口15が開放されて便器洗浄が行われる。なお、上記した制御装置は電動駆動ユニット60が備えてもよい。また、電動駆動ユニット60の詳しい構成については、図5を参照して後述する。
【0043】
固定部70は、上記した電動駆動ユニット60をタンク11内に固定する部材である。例えば、固定部70には、電動駆動ユニット60が取り付けられ、固定部70は、電動駆動ユニット60をオーバーフロー管100の上端部付近に固定する。
【0044】
オーバーフロー管100は、タンク11内において排水弁装置40の側方に設けられる、言い換えると、排水弁装置40に隣接して設けられる。また、オーバーフロー管100は、タンク11内に上下方向に沿って延設される。そして、オーバーフロー管100は、上端側に流入口101が形成される一方、下端側は排水口15と連通される。従って、オーバーフロー管100は、タンク本体部12内において満水水位を超えた洗浄水を流入口101へ溢水させ、排水口15を介して便器2へ排出する。
【0045】
ところで、上記したように、電動駆動ユニット60は、タンク11内に配置される。そのため、例えば、タンク11の洗浄水が水蒸気となって電動駆動ユニット60内に流入し、かかる水蒸気の結露によって生じた水が駆動モータなどに付着して、劣化などの影響を及ぼすおそれがある。
【0046】
そこで、本実施形態に係る洗浄水タンク装置10にあっては、駆動モータを内部に収容する電動駆動ユニット60において結露を抑制することができるような構成とした。
【0047】
以下、詳しく説明すると、洗浄水タンク装置10は、連通部80と、キャップ部85と、保持部90とを備える。連通部80は、電動駆動ユニット60に接続され、電動駆動ユニット60の内部の空間をタンク11の外部の空間に連通させる。
【0048】
これにより、本実施形態にあっては、例えば仮に、電動駆動ユニット60内に水蒸気がある場合であっても、かかる水蒸気は連通部80を介して外部の空間へ流出し易くなり、これにより結露を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態にあっては、結露を抑制することで結露水が生じにくく、結果として駆動モータなどに水が付着して劣化するなどの影響を低減させることができる。
【0050】
また、本実施形態にあっては、駆動モータの駆動に伴う熱を連通部80を介して外部の空間へ放出することもでき、よって電動駆動ユニット60における放熱性を向上させることができる。
【0051】
上記した連通部80は、例えば、一端80aが電動駆動ユニット60に接続され、タンク11内を通るように配設されて、他端80bがタンク11の開口部14(図2参照)まで、あるいは開口部14付近まで延在されることで、電動駆動ユニット60の内部の空間をタンク11の外部の空間に連通させる。
【0052】
上記した開口部14は、タンク11の背面部11aであって、左右方向(X軸方向)において中央または略中央に位置するように形成される。図4は、タンク11の拡大背面図である。
【0053】
図4に示すように、開口部14は、タンク11の背面部11a側において、タンク本体部12と蓋部13との間に形成される。詳しくは、開口部14は、蓋部13の下端部13aに形成される切欠きであり、より詳しくは、下端部13aから上方に向けて湾曲するように形成される切欠きである。これにより、タンク11の背面部11aに開口部14を簡易に形成することができる。
【0054】
なお、開口部14の形状は、上記に限定されるものではない。すなわち、例えば、開口部14は、タンク本体部12の上端部12aに形成される切欠きや、タンク本体部12や蓋部13に穿設される孔などであってもよい。
【0055】
また、開口部14は、例えば、図4に一点鎖線で示すタンク11の満水水位Lより上方に位置される。これにより、他端80bが開口部14付近に位置される連通部80(図2参照)において、他端80bから洗浄水が流入することはない。
【0056】
上記した開口部14は、例えば、便器洗浄においてタンク11内の洗浄水が排出される際の空気の流入口として機能することができる。
【0057】
従って、図2に示すように、本実施形態にあっては、連通部80の他端80bが開口部14付近まで延在されることで、連通部80は、便器洗浄時の空気の流入口として機能する開口部14を利用して、電動駆動ユニット60の内部の空間とタンク11の外部の空間と連通させることが可能となる。これにより、例えば、開口部を新たに設けることなく、電動駆動ユニット60の内部の空間とタンク11の外部の空間と連通させることができる。
【0058】
このように、連通部80は、電動駆動ユニット60の内部の空間を、開口部14を介してタンク11の外部の空間に連通させる。なお、かかる開口部14には、連通部80を保持する保持部90が係止されて配置されるが、これについては後述する。
【0059】
また、連通部80としては、ゴムチューブなど可撓性を有し、屈曲自在な連通管を用いることができる。このように、連通部80が可撓性を有することで、連通部80のタンク11内における配索を容易に行うことができる。
【0060】
なお、連通部80は、上記した可撓性を有する連通管に限定されるものではなく、例えば、硬質のパイプなどその他の種類の連通する部材であってもよい。
【0061】
ここで、連通部80の一端80aが接続される電動駆動ユニット60の構成について、図5を参照して説明する。図5は、図2のV-V線断面図であり、具体的には、電動駆動ユニット60の横断面図である。
【0062】
図5に示すように、電動駆動ユニット60は、駆動モータ61と、動力伝達機構62と、出力軸63と、ケース64と、操作部65とを備える。
【0063】
駆動モータ61は、排水弁装置40を電動駆動によって動作させる電動モータである。例えば、駆動モータ61は、出力軸61aを備え、駆動力(回転動力)を出力軸61aを介して出力することができる。なお、駆動モータ61は、電動駆動部の一例である。
【0064】
動力伝達機構62は、駆動モータ61に接続され、駆動モータ61から出力される駆動力を出力軸63へ伝達する。なお、図5においては、図示の簡略化のため、動力伝達機構62を一点鎖線で模式的に示した。かかる動力伝達機構62としては、歯車機構などを用いることができるが、これに限られず、ベルト機構などその他の機構であってもよい。
【0065】
出力軸63は、動力伝達機構62に接続されるとともに、回転可能に軸支される。従って、出力軸63は、駆動モータ61の駆動力が動力伝達機構62を介して伝達されて回転し、駆動モータ61の駆動力を出力する。
【0066】
ケース64は、上記した駆動モータ61と、動力伝達機構62と、出力軸63とを収容する。なお、図5に示すように、ケース64は、出力軸63の一部を収容する、言い換えると、出力軸63を部分的に露出させた状態で収容する。
【0067】
詳しくは、ケース64には、孔64a,64bが形成される。そして、ケース64は、出力軸63の一端63aを孔64aから突出させて露出させる一方、出力軸63の他端63bを孔64bから突出させて露出させた状態で収容する。
【0068】
ここで、上記したケース64の孔64a付近において、ケース64と出力軸63の一端63aとの間には、封止部材66aが設けられる。なお、封止部材66aとしては、Oリングなどを用いることができるが、これに限定されるものではない。従って、ケース64にあっては、出力軸63の一端63a側が気密に封止される。
【0069】
また、ケース64から露出される出力軸63の一端63aには、操作部65が接続される。操作部65は、上記したように、排水弁装置40のワイヤ43が接続されることから、出力軸63は、一端63a側が排水弁装置40に気密に接続されるといえる。
【0070】
他方、出力軸63の他端63bが挿通されるケース64の孔64b付近には、上記したような、出力軸63に対する封止部材は設けられていない。そして、ケース64から露出される出力軸63の他端63bに、キャップ部85が取り付けられる。
【0071】
詳しくは、キャップ部85は、本体部86と、突出部87とを備える。本体部86は、円筒状であり、内周面に雌ネジ86aが形成される。突出部87は、本体部86から軸方向(図5においてX軸方向)に沿って突出する形状であり、内部には空間A2が形成される。また、突出部87には、連通部80が接続される接続口87aが形成される。
【0072】
出力軸63の他端63bには、本体部86の雌ネジ86aに対応する雄ネジ63b1が形成される。従って、本体部86を出力軸63の他端63bに被せて締め付けることで、キャップ部85は、出力軸63の他端63bを覆うように取り付けられる。
【0073】
なお、出力軸63の他端63b付近において、キャップ部85は固定部70に当接し、固定部70はケース64に当接するように位置される。そして、キャップ部85と固定部70との間には封止部材66bが設けられ、固定部70とケース64との間には封止部材66cが設けられ、気密に封止される。これにより、例えば、水蒸気が上記した当接部分からキャップ部85内に流入することを抑制することができる。なお、封止部材66b,66cとしては、Oリングなどを用いることができるが、これに限られない。
【0074】
上記のようにしてキャップ部85が出力軸63に取り付けられるとともに、連通部80の一端80aがキャップ部85の接続口87aに接続されることで、矢印D1,D2で示すように、電動駆動ユニット60の内部の空間A1と連通部80とが、キャップ部85の内部の空間A2を介して連通される。
【0075】
このように、電動駆動ユニット60にあっては、出力軸63の一端63a側が排水弁装置40に気密に接続される一方、他端63bにキャップ部85が取り付けられることで、電動駆動ユニット60の内部の空間A1を他端63bのみから開放させることが可能となる。そして、内部の空間A1が開放される他端63bのキャップ部85に連通部80が接続されることで、例えば、内部の空間A1を確実に連通部80を介してタンク11の外部の空間に連通させることができる。
【0076】
次に、保持部90について図6を参照して説明する。図6は、保持部90の斜視図である。図6に示すように、保持部90は、本体部91と、通気部92と、クリップ部93と、電線用保持部94とを備え、連通部80や電線Bを保持する。なお、図6などでは、保持部90を明確に図示するため、連通部80や電線Bを想像線で示す場合がある。
【0077】
また、保持部90は、タンク11の開口部14に配置される(図2,4参照)。図7は、タンク11の開口部14に配置された状態の保持部90を示す側断面図である。
【0078】
図6および図7に示すように、本体部91は、平板状に形成される。本体部91は、タンク11の開口部14に配置されるとき、タンク11内に位置される。
【0079】
通気部92は、本体部91の上端部91a付近に設けられる。図8は、図7のVIII-VIII線断面図である。図8に示すように、通気部92は、平面視L字状に形成される。また、通気部92は、中空状であり、内部に通気路92cが形成される。
【0080】
そして、例えば、通気部92の一端92aには、連通部80が接続される。このとき、連通部80にあっては、通気部92の一端92aが内側に入り込むようにすることで、連通部80が通気部92から抜けにくくすることができる。このように、通気部92が連通部80に接続されることで、保持部90は、連通部80を保持することができる。
【0081】
また、通気部92の他端92bは、タンク11の外部の空間に開放される。これにより、通気部92の通気路92cは、図8に矢印D3で示すように、連通部80とタンク11の外部の空間とを連通して通気することとなる。
【0082】
図7に示すように、クリップ部93は、保持部90自体をタンク11の開口部14に取り付けるための部位であり、弾性変形可能とされる。具体的には、クリップ部93は、延在部93aと、湾曲部93bとを備える。延在部93aは、通気部92の他端92bから下方へ向けて延在するように形成される。
【0083】
湾曲部93bは、延在部93aの端部(下端部)から連続するように形成される。湾曲部93bは、タンク11に取り付けられたときに、側面視においてタンク11側へ突出するように湾曲される部位である。そして、クリップ部93は、湾曲部93bにおいて突出する部位93b1と、本体部91との間で、タンク本体部12を挟むようにすることで、保持部90をタンク11に固定する、正確にはタンク本体部12に係止して固定する。
【0084】
電線用保持部94は、電動駆動ユニット60に接続される電線Bを保持する部位である。例えば、電線用保持部94は、本体部91の上端部91aに形成され、電線Bが挿通可能な切欠きであり、より詳しくは、上端部91aから下方に向けて湾曲するように形成される切欠きである。これにより、保持部90は、連通部80に加え、電線Bを保持することも可能になる。
【0085】
なお、図6などに示す電線用保持部94の形状は、あくまでも例示であって限定されるものではない。上記では、保持部90が電線用保持部94を備えるようにしたが、これに限定されるものではなく、電線用保持部94を備えない構成であってもよく、また、電線Bを保持する別の部材を用いるようにしてもよい。
【0086】
このように、保持部90は、タンク11の開口部14に配置されるとともに、連通部80を保持する。これにより、連通部80が所期の位置である開口部14から移動してしまうことを抑制することができる。
【0087】
また、保持部90が配置される開口部14は、上記したように、タンク11の背面部11aに形成されることから、保持部90は、使用者から見えにくい位置となる。これにより、本実施形態にあっては、保持部90や連通部80が見えてしまうことによる洗浄水タンク装置10の意匠性の低下を抑制することができる。
【0088】
また、保持部90は、図4,7に示すように、タンク本体部12の上端部12aに係止されて配置される。これにより、例えば、保持部90をタンク11に固定するための開口などを新たに設けることなく、タンク11に固定することができる。
【0089】
また、保持部90は、他端92bがタンク11の外部の空間に開放される通気部92を備えることから、連通部80を通気部92の一端92aに接続することで、電動駆動ユニット60の内部の空間A1をタンク11の外部の空間に容易に連通させることができる。
【0090】
なお、上記では、連通部80は、通気部92の一端92aが内側に入り込むようにして通気部92に接続されるようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、連通部80は、通気部92の一端92aが外側になるように、言い換えると、連通部80が通気部92の中に入り込むようにして、通気部92に接続されてもよい。
【0091】
また、保持部90は、通気部92を備えるようにしたが、これに限定されるものではなく、通気部92を備えない構成であってもよい。かかる場合、例えば、保持部90は、連通部80の他端80bが直接タンク11の外へ出るような位置で、連通部80を保持するようにしてよい。
【0092】
また、連通部80は、必ずしも保持部90に保持されなくてもよい。すなわち、連通部80は、他端80bが直接タンク11の外へ出るような位置(例えば開口部14)で、タンク11に粘着テープなどで固定されてもよい。
【0093】
上述してきたように、実施形態に係る洗浄水タンク装置10は、タンク11と、排水弁装置40と、電動駆動ユニット60と、連通部80とを備える。タンク11は、洗浄水を貯留する。排水弁装置40は、タンク11の排水口15に設けられる排水弁41を開閉する。電動駆動ユニット60は、タンク11内に配置されるとともに、排水弁装置40を電動駆動によって動作させる駆動モータ61を内部に収容する。連通部80は、電動駆動ユニット60の内部の空間を、タンク11の背面部11aに形成され満水水位より上方に位置される開口部14を介してタンク11の外部の空間に連通させる。これにより、駆動モータ61を内部に収容する電動駆動ユニット60において結露を抑制することができる。
【0094】
なお、上記では、連通部80は、一端80aが電動駆動ユニット60に取り付けられたキャップ部85に接続されて、電動駆動ユニット60の内部の空間A1と連通するように構成したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、連通部80は、一端80aが電動駆動ユニット60のケース64に直接接続されて、電動駆動ユニット60の内部の空間A1と連通するようにしてもよい。
【0095】
なお、電動駆動ユニット60にあっては、出力軸63の他端63bがケース64から露出していることから、例えば、他端63bに手動レバーなどを取り付け、電動駆動ユニット60を手動駆動ユニットとしても機能させるようにしてもよい。
【0096】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0097】
10 洗浄水タンク装置
11 タンク
12 タンク本体部
13 蓋部
14 開口部
40 排水弁装置
60 電動駆動ユニット
63 出力軸
80 連通部
85 キャップ部
92 通気部
90 保持部
94 電線用保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8