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特許7067309ゴムシートの長さ測定装置及び当該ゴムシートの長さ測定方法
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  • 特許-ゴムシートの長さ測定装置及び当該ゴムシートの長さ測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】ゴムシートの長さ測定装置及び当該ゴムシートの長さ測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
G01B11/02 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018119977
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020003225
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 和幸
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-151119(JP,A)
【文献】特開2018-054524(JP,A)
【文献】特開2013-242256(JP,A)
【文献】特開2009-115715(JP,A)
【文献】特開2017-032300(JP,A)
【文献】特開昭55-116208(JP,A)
【文献】特開2017-150973(JP,A)
【文献】米国特許第05434428(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
21/00-21/32
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のゴム成形物を切断することにより得られるゴムシートをコンベアに載置して所定の搬送速度で搬送する過程において、当該ゴムシートの長さを測定するための装置であって、
前記搬送速度に関連付けられたパルス信号を出力するエンコーダーと、
前記ゴムシートに向けてセットされ、前記エンコーダーと同期して前記コンベアを移動するゴムシートを複数回に分けて撮影する撮影手段と、
前記パルス信号と、前記撮影手段により得られる前記ゴムシートの全体画像とに基づいて、当該ゴムシートの長さを測定する測定手段と
を備え、
前記撮影手段がラインカメラである、ゴムシートの長さ測定装置。
【請求項2】
前記測定手段において、前記パルス信号と前記搬送速度とに基づいて前記ゴムシートの移動距離を取得するとともに、当該移動距離を前記ゴムシートの全体画像と関連付けて、前記ゴムシートの全体画像におけるゴムシート各部の位置座標が特定される、請求項1に記載のゴムシートの長さ測定装置。
【請求項3】
前記ゴムシートに向けてセットされ、当該ゴムシートの通過を検知する第一センサ及び第二センサを備え、
前記第一センサと前記第二センサとの間に前記撮影手段が位置し、
前記第一センサが前記ゴムシートの前端部の通過を検知すると、前記撮影手段が撮影を開始し、前記第二センサが前記ゴムシートの後端部の通過を検知すると、前記撮影手段が撮影を終了する、請求項1又は2に記載のゴムシートの長さ測定装置。
【請求項4】
前記ゴムシートを挟んで前記撮影手段と対向して配置されるメインライトを備え、
前記メインカメラが前記撮影手段に向けて光を照射する、請求項1から3のいずれかに記載のゴムシートの長さ測定装置。
【請求項5】
前記ゴムシートの両端面が当該ゴムシートの長さ方向に対して傾斜する傾斜面であり、
前記撮影手段に面する端面を照らすために、サブライトが設けられる、請求項1から4のいずれかに記載のゴムシートの長さ測定装置。
【請求項6】
前記ゴムシートの後端部における端面が前記撮影手段に面する、請求項5に記載のゴムシートの長さ測定装置。
【請求項7】
帯状のゴム成形物を切断することにより得られるゴムシートをコンベアに載置して所定の搬送速度で搬送する過程において、当該ゴムシートの長さを測定するための方法であって、
前記ゴムシートに向けてセットされた撮影手段を用いて、前記搬送速度に関連付けられたパルス信号を出力するエンコーダーに前記撮影手段を同期させて、前記コンベアを移動するゴムシートを複数回に分けて撮影する工程と、
前記パルス信号と、前記撮影手段により得られる前記ゴムシートの全体画像とに基づいて、当該ゴムシートの長さを測定する測定工程と
を含み、
前記撮影手段がラインカメラである、ゴムシートの長さ測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムシートの長さ測定装置及び当該ゴムシートの長さ測定方法に関する。詳細には、本発明は、タイヤの製造に用いられるゴムシートの長さ測定装置及び当該ゴムシートの長さ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造では、例えば、トレッドは、このトレッドのためのゴムシートをドラム上で巻き回し、両端面を接合することにより成形される。このゴムシートは、押し出し成形によりゴム組成物を帯状とし、この帯状のゴム組成物を、切断具を用いて所定長さで切断することにより得られる。
【0003】
トレッドには、ゴムシートの接合部分が含まれる。接合部分は、タイヤのユニフォミティに影響する。タイヤの製造では、ゴムシートが短すぎたり、又は長すぎたりすることがないよう、ゴムシートの長さが管理される。
【0004】
ゴムシートの長さの管理では、ゴムシートの長さを正確に測定することが求められる。ゴムシートの長さの測定装置及び測定方法については、様々な検討が行われている(例えば、下記の特許文献1)。
【0005】
特許文献1に開示された測定装置では、2台の撮影手段が用いられる。ゴムシートの上方から、一方の撮影手段でゴムシートの一方の端部が撮影され、他方の撮影手段で他方の端部が撮影される。撮影により得た両端部の画像に基づいて、ゴムシートの長さが測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-115715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の測定装置では、受光素子が二次元に並んだエリアカメラが撮影手段として用いられる。タイヤの部品としての、例えば、トレッドのためのゴムシートは長尺である。ゴムシートの長さ測定のために、ゴムシートを複数に分けて撮影し、得られた画像を組み合わせて全体画像を得た場合、この全体画像は大きな画素数を有する。大きな画素数を有する画像の演算処理は容易でない。
【0008】
長尺なゴムシートの長さ測定では、前述の特許文献1に開示された測定装置のように、2台の撮影手段の使用が一般的である。
【0009】
前述したように、特許文献1では、撮影により得た両端部の画像に基づいて、ゴムシートの長さが測定される。この測定に用いられる両端部の画像は、ゴムシートをコンベアに載置して搬送する過程において撮影される。このゴムシートの搬送においては、搬送中のゴムシートの向きに乱れが生じることがある。両端部の画像だけでは、この乱れを把握できない恐れがある。この乱れは、ゴムシートの長さ測定の正確性に影響する。
【0010】
タイヤのユニフォミティに対する要求は高く、ゴムシートの長さをより正確に測定できる技術の確立が求められている。
【0011】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、ゴムシートの長さをより正確に測定できる、ゴムシートの長さ測定装置及び当該ゴムシートの長さ測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るゴムシートの長さ測定装置は、帯状のゴム成形物を切断することにより得られるゴムシートをコンベアに載置して所定の搬送速度で搬送する過程において、当該ゴムシートの長さを測定するための装置である。この測定装置は、
前記搬送速度に関連付けられたパルス信号を出力するエンコーダーと、
前記ゴムシートに向けてセットされ、前記エンコーダーと同期して前記コンベアを移動するゴムシートを複数回に分けて撮影する撮影手段と、
前記パルス信号と、前記撮影手段により得られる前記ゴムシートの全体画像とに基づいて、当該ゴムシートの長さを測定する測定手段と
を備え、前記撮影手段がラインカメラである。
【0013】
好ましくは、このゴムシートの長さ測定装置では、前記測定手段において、前記パルス信号と前記搬送速度とに基づいて前記ゴムシートの移動距離を取得するとともに、当該移動距離を前記ゴムシートの全体画像と関連付けて、前記ゴムシートの全体画像におけるゴムシート各部の位置座標が特定される。
【0014】
好ましくは、このゴムシートの長さ測定装置は、前記ゴムシートに向けてセットされ、当該ゴムシートの通過を検知する第一センサ及び第二センサを備える。前記第一センサと前記第二センサとの間に前記撮影手段が位置し、
前記第一センサが前記ゴムシートの前端部の通過を検知すると、前記撮影手段が撮影を開始し、前記第二センサが前記ゴムシートの後端部の通過を検知すると、前記撮影手段が撮影を終了する。
【0015】
好ましくは、このゴムシートの長さ測定装置は、前記ゴムシートを挟んで前記撮影手段と対向して配置されるメインライトを備える。前記メインカメラが前記撮影手段に向けて光を照射する。
【0016】
好ましくは、このゴムシートの長さ測定装置では、前記ゴムシートの両端面が当該ゴムシートの長さ方向に対して傾斜する傾斜面であり、前記撮影手段に面する端面を照らすために、サブライトが設けられる。
【0017】
好ましくは、このゴムシートの長さ測定装置では、前記ゴムシートの後端部における端面が前記撮影手段に面する。
【0018】
本発明に係るゴムシートの長さ測定方法は、帯状のゴム成形物を切断することにより得られるゴムシートをコンベアに載置して所定の搬送速度で搬送する過程において、当該ゴムシートの長さを測定するための方法である。この測定方法は、
(1)前記ゴムシートに向けてセットされた撮影手段を用いて、前記搬送速度に関連付けられたパルス信号を出力するエンコーダーに前記撮影手段を同期させて、前記コンベアを移動するゴムシートを複数回に分けて撮影する工程、及び
(2)前記パルス信号と、前記撮影手段により得られる前記ゴムシートの全体画像とに基づいて、当該ゴムシートの長さを測定する測定工程と
を含み、前記撮影手段がラインカメラである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るゴムシートの長さ測定装置では、搬送速度に関連付けられたパルス信号を出力するエンコーダーに撮影手段を同期させて、ゴムシート全体を複数回に分けて撮影することにより、ゴムシートの全体画像が得られる。撮影手段にラインカメラが用いられるので、エリアカメラを撮影手段として用いた場合に比べて、全体画像の画素数は小さく、この全体画像の演算処理は容易である。全体画像に基づいてゴムシートの長さが測定されるので、例えば、搬送におけるゴムシートの向きの乱れを考慮した長さの測定も可能である。この測定装置は、ゴムシートの長さをより正確に測定できる。しかも撮影手段は一台でよいので、この測定装置はコンパクト化にも貢献できる。
【0020】
本発明に係るゴムシートの長さ測定方法においても、搬送速度に関連付けられたパルス信号を出力するエンコーダーに撮影手段を同期させて、ゴムシート全体を複数回に分けて撮影することにより、ゴムシートの全体画像が得られる。撮影手段にラインカメラが用いられるので、エリアカメラを撮影手段として用いた場合に比べて、全体画像の画素数は小さく、この全体画像の演算処理は容易である。全体画像に基づいてゴムシートの長さが測定されるので、例えば、搬送におけるゴムシートの向きの乱れを考慮した長さの測定も可能である。この測定方法は、ゴムシートの長さをより正確に測定できる。しかも撮影手段は一台でよいので、この測定方法は測定装置のコンパクト化にも貢献できる。
【0021】
本発明によれば、ゴムシートの長さをより正確に測定できる、ゴムシートの長さ測定装置及び当該ゴムシートの長さ測定方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るゴムシートの長さ測定装置の大要が示された図である。
図2図2は、ゴムシートの先端の撮影状況を説明する図である。
図3図3は、ゴムシートの後端の撮影状況を説明する図である。
図4図4は、ゴムシートの全体画像が示された図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る測定装置2の大要を示す。この測定装置2は、ゴムシート4をコンベア6に載置して所定の搬送速度で搬送する過程において、このゴムシート4の長さを測定するための装置である。
【0025】
図1において、左右方向はゴムシート4の搬送方向である。この測定装置2では、ゴムシート4は右側から左側に向かって搬送される。このゴムシート4の搬送方向を基準にした場合、この図1において、紙面の右側は測定装置2の上流側であり、この紙面の左側はこの測定装置2の下流側である。
【0026】
[ゴムシート4]
この測定装置2において長さが測定されるゴムシート4は、未加硫状態のゴム組成物を押し出し機(図示されず)に通すことで得られる帯状のゴム組成物を、切断装置(図示されず)で切断することにより得られる。
【0027】
この測定装置2では、測定対象としてのゴムシート4に特に制限はない。このゴムシート4としては、例えば、タイヤの部品としての、トレッドのためのゴムシート、サイドウォールのためのゴムシート、エイペックスのためのゴムシート等が挙げられる。
【0028】
図1において、符号UFはゴムシート4の上面8の前端である。符号UEは、この上面8の後端である。符号SFは、ゴムシート4の下面10の前端である。符号SEは、この下面10の後端である。この測定装置2では、両矢印Lで示される、ゴムシート4の上面8の長さ、すなわち前端UFから後端UEまでの長さが、ゴムシート4の長さとして測定される。
【0029】
このゴムシート4においては、上面8の前端UFと下面10の前端SFとを含む部分が前端部12と称され、上面8の後端UEと下面10の後端SEとを含む部分が後端部14と称される。上面8の前端UFと下面10の前端SFとを架け渡す面、そして、上面8の後端UEと下面10の後端SEとを架け渡す面が、切断により得られる端面16である。
【0030】
[測定装置2]
この測定装置2は、ゴムシート4の製造ラインにおいて完成したゴムシート4を、コンベア6で保管装置(図示されず)に搬送する途中に設けられる。この測定装置2は、ゴムシート4の製造ラインの一部でもある。この測定装置2が、製造ラインとは別に独立して設けられてもよい。
【0031】
この測定装置2では、コンベア6は搬送方向に並列した多数本のローラ18を備える。図示されていないが、このコンベア6は搬送方向に伸びるフレームを備え、このフレームがローラ18を回転可能に支持する。このコンベア6は、ローラコンベアである。
【0032】
ローラコンベアとしては、ローラ18が駆動しないフリーローラコンベアと、ローラ18が駆動する駆動ローラコンベアと、が挙げられる。
【0033】
図1に示された測定装置2では、コンベア6は駆動ローラコンベアである。このコンベア6では、ローラ18は駆動手段(図示されず)により回転させられる。この駆動手段としては、チェーン、ベルト、モーター等が挙げられる。なお、この測定装置2では、ローラコンベアとして、フリーローラコンベアが用いられてもよい。コンベア6として、ベルトコンベアが用いられてもよい。
【0034】
前述したように、この測定装置2では、帯状のゴム成形物を切断することにより得られるゴムシート4がコンベア6で搬送される。図1に示されるように、この測定装置2では、切断により形成されるゴムシート4の端面16が搬送方向を向くように、ゴムシート4はコンベア6に載置される。
【0035】
この測定装置2のコンベア6では、ゴムシート4が載せられる載置面20は水平に拡がる。この測定装置2では、ゴムシート4はコンベア6に水平に載置される。
【0036】
この測定装置2は、ゴムシート4を搬送するコンベア6以外に、エンコーダー22、撮影手段24及び制御装置26を備える。
【0037】
エンコーダー22は、回転の変位をパルス信号として出力する。このエンコーダー22は、ロータリーエンコーダーとも称される。この測定装置2では、エンコーダー22は、コンベア6のローラ18の回転軸(図示されず)に取り付けられ、このローラ18の回転の変位をパルス信号として出力する。
【0038】
図1に示されるように、この測定装置2では、ゴムシート4はローラ18と当接する。このゴムシート4は、ローラ18が回転することにより下流側に向けて搬送される。この測定装置2では、ローラ18の外径(又は周長)とエンコーダー22が出力するパルス信号とに基づいて、例えば、ゴムシート4の搬送速度が得られる。このエンコーダー22は、ゴムシート4の搬送速度に関連付けられたパルス信号を出力する。
【0039】
この測定装置2では、後述する撮影手段24の撮影位置を通過するゴムシート4の搬送速度に関連付けられたパルス信号が得られるのであれば、この測定装置2におけるエンコーダー22の位置に特に制限はない。図1に示された測定装置2では、エンコーダー22は撮影手段24よりも上流側に位置するローラ18に取り付けられる。
【0040】
撮影手段24は、コンベア6に載置されたゴムシート4に向けてセットされる。図1に示されるように、この測定装置2の撮影手段24は、ゴムシート4の上方からこのゴムシート4に向けてセットされる。
【0041】
この測定装置2では、撮影手段24はラインカメラである。このラインカメラは、エリアカメラのように二次元ではなく、直線状に配列された受光素子を備える。この測定装置2では、撮影手段24はコンベア6の幅方向に沿った画像を撮影する。このラインカメラとしては、例えば、キーエンス社製の商品名「ラインスキャンカメラ:XG-HL02M」が挙げられる。
【0042】
前述したように、エンコーダー22は、ゴムシート4の搬送速度に関連付けられたパルス信号を出力する。この測定装置2では、撮影手段24は、エンコーダー22と同期して、コンベア6を移動するゴムシート4を複数回に分けて撮影する。これにより、ゴムシート4の全体画像が得られる。
【0043】
制御装置26は、例えばCPU等の演算部、RAM及びROMを含む記憶部等を有するマイクロコンピュータにより構成され、記憶部に記憶されたプログラムを演算部が実行することによって所定の機能を発揮する。
【0044】
制御装置26は、測定装置2の一構成要素として、エンコーダー22からのパルス信号の入力により撮影手段24にゴムシート4を撮影させる同期手段26aとしての機能を有する。この同期手段26aは、撮影手段24をエンコーダー22と同期させて、この撮影手段24に、ゴムシート4全体を複数回に分けて所定の時間間隔で撮影させる。
【0045】
制御装置26は、測定装置2の一構成要素として、エンコーダー22からのパルス信号の入力と、撮影手段24からの画像信号の入力とによってゴムシート4の長さLを測定する測定手段26bとしての機能を有する。この測定手段26bは、パルス信号と、撮影手段24により得られるゴムシート4の全体画像とに基づいて、ゴムシート4の長さLを測定する。具体的には、この測定手段26bにおいて、パルス信号と搬送速度とに基づいてゴムシート4の移動距離を取得するとともに、この移動距離をゴムシート4の全体画像と関連付けて、ゴムシート4の全体画像におけるゴムシート4各部の位置座標が特定される。そして、ゴムシート4の全体画像において、長さ方向の端、すなわち、上面8の前端UF及び後端UEの位置が求められ、これらの端の位置に基づいてゴムシート4の長さLが測定される。
【0046】
この測定装置2では、搬送速度に関連付けられたパルス信号を出力するエンコーダー22に撮影手段24を同期させて、ゴムシート4全体が複数回に分けて撮影されることにより、ゴムシート4の全体画像が得られる。撮影手段24にラインカメラが用いられるので、エリアカメラを撮影手段として用いた場合に比べて、全体画像の画素数は小さく、この全体画像の演算処理は容易である。全体画像に基づいてゴムシート4の長さLが測定されるので、例えば、搬送におけるゴムシート4の向きの乱れを考慮した長さLの測定も可能である。この測定装置2は、ゴムシート4の長さLをより正確に測定できる。しかも撮影手段24は一台でよいので、この測定装置2はコンパクト化にも貢献できる。
【0047】
この測定装置2は、第一センサ28及び第二センサ30を備える。図1に示されるように、第一センサ28及び第二センサ30はゴムシート4の上方においてゴムシート4に向けてセットされる。この測定装置2では、第一センサ28と第二センサ30との間に撮影手段24が位置する。
【0048】
第一センサ28は、撮影手段24の上流側に位置する。図2に示されるように、ゴムシート4は第一センサ28を通過した後、撮影手段24を通過する。この測定装置2では、第一センサ28は光電センサである。この第一センサ28は、ゴムシート4の前端部12の通過を検知すると第一検知信号を出力する。この第一検知信号は、前述の制御装置26に入力される。
【0049】
この測定装置2では、制御装置26は、第一センサ28からの第一検知信号の入力によって、撮影手段24に撮影を開始させる開始手段26cとしての機能を有する。この開始手段26cは、第一センサ28がゴムシート4の前端部12の通過を検知すると、撮影手段24に撮影を開始させる。
【0050】
第二センサ30は、撮影手段24の下流側に位置する。図3に示されるように、ゴムシート4は撮影手段24を通過した後、第二センサ30を通過する。この測定装置2では、第二センサ30は光電センサである。この第二センサ30は、ゴムシート4の後端部14の通過を検知すると第二検知信号を出力する。この第二検知信号は、前述の制御装置26に入力される。
【0051】
この測定装置2では、制御装置26は、第二センサ30からの第二検知信号の入力によって、撮影手段24に撮影を終了させる終了手段26dとしての機能を有する。この終了手段26dは、第二センサ30がゴムシート4の後端部14の通過を検知すると、撮影手段24に撮影を終了させる。
【0052】
この測定装置2では、第一センサ28によってゴムシート4の前端部12の位置を把握し、第二センサ30によってこのゴムシート4の後端部14の位置を把握した上で、コンベア6を移動するゴムシート4が撮影手段24により撮影される。この測定装置2では、撮影手段24によってゴムシート4が確実に撮影されるとともに、ゴムシート4に関する画像データの特定が容易である。この測定装置2に第一センサ28及び第二センサ30を設けることは、ゴムシート4の長さLを確実にそして効率よく測定することに貢献する。この観点から、この測定装置2は、ゴムシート4に向けてセットされ、このゴムシート4の通過を検知する第一センサ28及び第二センサ30を備えるのが好ましい。この場合、第一センサ28と第二センサ30との間に撮影手段24が位置し、第一センサ28がゴムシート4の前端部12の通過を検知すると撮影手段24が撮影を開始し、第二センサ30がゴムシート4の後端部14の通過を検知すると撮影手段24が撮影を終了するように、この測定装置2は構成されるのが好ましい。
【0053】
前述したように、この測定装置2では、第一センサ28がゴムシート4の前端部12の通過を検知すると、撮影手段24において撮影が開始される。この測定装置2では、エンコーダー22と同期させて撮影が行われるので、撮影手段24の上流側に第一センサ28が設けられる場合には、エンコーダー22はこの第一センサ28よりも上流側に位置するローラ18に設けられるのがより好ましい。撮影手段24の撮影位置を通過するゴムシート4の搬送速度の正確な把握の観点から、エンコーダー22は撮影手段24に近い位置に設けられるのが好ましいので、撮影手段24の上流側に第一センサ28が設けられる場合には、好ましくは、この第一センサ28よりも上流側で、しかもこの第一センサ28に近接する位置にあるローラ18に、このエンコーダー22は設けられる。
【0054】
ゴムシート4は、長さ方向に伸びる一対の側縁32を有する。搬送中のゴムシート4において、この側縁32の向きを把握することは、搬送におけるゴムシート4の向きの乱れの検知に貢献する。
【0055】
この測定装置2は、メインライト34を備える。図1に示されるように、メインライト34はゴムシート4を挟んで撮影手段24と対向して配置される。メインカメラは、ゴムシート4の下側から撮影手段24に向けて光を照射する。
【0056】
前述したように、この測定装置2では、撮影手段24にラインカメラが用いられる。このため、メインライト34から光を撮影手段24に向けて照射しても、この光による画質への影響は、エリアカメラを撮影手段24として用いた場合に比べて小さい。この測定装置2では、ゴムシート4がメインライト34の光を遮るので、ゴムシート4の側縁32が明りょうに表わされた、ゴムシート4の全体画像が得られる。
【0057】
この測定装置2では、撮影により得られるゴムシート4の画像において、ゴムシート4の側縁32が明りょうに表わされるので、搬送におけるゴムシート4の向きの乱れを考慮して、ゴムシート4の長さLが測定される。この測定装置2では、ゴムシート4の長さLがより正確に測定される。この観点から、この測定装置2は、ゴムシート4を挟んで撮影手段24と対向して配置されるメインライト34を備え、このメインカメラが撮影手段24に向けて光を照射するように構成されるのが好ましい。この場合、ゴムシート4に効果的に光が照射され、側縁32が明りょうに表わされた画像が得られる観点から、撮影手段24及びメインライト34は、図1に示されるように、一のローラ18とこの一のローラ18の隣に位置する他のローラ18との間に配置されるのがより好ましい。
【0058】
この測定装置2では、ゴムシート4の側縁32が明りょうに表わされた画像が得られるのであれば、メインライト34に特に制限はない。このメインライト34としては、例えば、バー状のLED照明が挙げられる。
【0059】
前述したように、ゴムシート4は、帯状のゴム組成物を切断装置で切断することにより得られる。タイヤの製造では、切断面を接合面として用いるために、切断装置の切断具は、帯状のゴム組成物に対して斜めに進入させられる。このため、ゴムシート4の切断面、すなわち端面16は、長さ方向に対して傾斜する。このゴムシート4の両端面16は、ゴムシート4の長さ方向に対して傾斜する傾斜面である。
【0060】
この測定装置2では、ゴムシート4の円滑な搬送の観点から、前端部12の端面16がコンベア6に面し、後端部14の端面16が撮影手段24に面するように、ゴムシート4はコンベア6に載置される。
【0061】
この測定装置2では、ゴムシート4は上方から撮影されるので、ゴムシート4の前端部12の画像には端面16は含まれない。前述したように、この測定装置2では、メインライト34がゴムシート4を下側から照らす。このため、この前端部12の画像においては、図4に示されるように、ゴムシート4の上面8の端UFが明りょうに表わされる。
【0062】
これに対してゴムシート4の後端部14の画像には、端面16が含まれる。この後端部14の画像において、上面8の後端UE、すなわち上面8と端面16との境界を明りょうに表わすことは、ゴムシート4の長さLのより正確な測定に貢献する。
【0063】
この測定装置2は、サブライト36を備える。図3に示されるように、撮影手段24の撮影位置を通過するゴムシート4の後端部14の端面16を照らすように、このサブライト36は撮影手段24の上流側に配置される。
【0064】
前述したように、この測定装置2では、撮影手段24にラインカメラが用いられる。このため、サブライト36から端面16に向けて光を照射し、端面16以外(すなわち背景)に光が反射する部分(例えば、撮影位置の近傍でかつこの撮影位置の下流側に位置するローラ18)が存在しても、エリアカメラで撮影をした場合のように、光の反射が画質に影響することはない。
【0065】
図4に示されるように、この測定装置2では、上面8と端面16との境界、すなわち、上面8の後端UEが明りょうに表わされた画像が得られる。この測定装置2では、ゴムシート4の長さLがより正確に測定される。この観点から、この測定装置2は、ゴムシート4の両端面16がゴムシート4の長さ方向に対して傾斜する傾斜面である場合、撮影手段24に面する端面16を照らすために、サブライト36が設けられるのが好ましい。ゴムシート4を円滑に搬送しながら、このゴムシート4の長さLがより正確に測定される観点から、ゴムシート4の後端部14の端面16が撮影手段24に面するように、このゴムシート4はコンベア6に載置されるのが好ましい。
【0066】
この測定装置2では、ゴムシート4の上面8と端面16との境界、すなわち上面8の後端UEが明りょうに表わされた画像が得られるのであれば、サブライト36に特に制限はない。このサブライト36としては、例えば、バー状のLED照明が挙げられる。
【0067】
[測定方法]
次に、本発明の他の実施形態に係る測定方法について説明する。この測定方法では、図1に示された測定装置2が用いられる。この測定方法は、帯状のゴム成形物を切断することにより得られるゴムシート4をコンベア6に載置して所定の搬送速度で搬送する過程において、このゴムシート4の長さを測定するための方法である。この測定方法は、撮影工程及び測定工程を含む。
【0068】
撮影工程では、ゴムシート4に向けてセットされた撮影手段24を用いて、搬送速度に関連付けられたパルス信号を出力するエンコーダー22にこの撮影手段24を同期させて、コンベア6を移動するゴムシート4が複数回に分けて撮影される。
【0069】
測定工程では、パルス信号と、撮影手段24により得られるゴムシート4の全体画像とに基づいて、このゴムシート4の長さLが測定される。
【0070】
この測定方法においても、搬送速度に関連付けられたパルス信号を出力するエンコーダー22に撮影手段24を同期させて、ゴムシート4全体を複数回に分けて撮影することにより、ゴムシート4の全体画像が得られる。撮影手段24にラインカメラが用いられるので、エリアカメラを撮影手段として用いた場合に比べて、全体画像の画素数は小さく、この全体画像の演算処理は容易である。全体画像に基づいてゴムシート4の長さが測定されるので、例えば、搬送におけるゴムシート4の向きの乱れを考慮した長さの測定も可能である。この測定方法は、ゴムシート4の長さをより正確に測定できる。しかも撮影手段24は一台でよいので、この測定方法は測定装置2のコンパクト化にも貢献できる。
【0071】
この測定方法では、ゴムシート4の長さLが確実にそして効率よく測定される観点から、撮影工程においては、撮影手段24の上流側に第一センサ28が設けられ、この第一センサ28がゴムシート4の前端部12の通過を検知すると撮影手段24が撮影を開始し、この撮影手段24の下流側に第二センサ30が設けられ、この第二センサ30がゴムシート4の後端部14の通過を検知すると撮影手段24が撮影を終了するのが好ましい。
【0072】
この測定方法ではさらに、ゴムシート4の長さLがより正確に測定される観点から、撮影工程においては、ゴムシート4を挟んで、撮影手段24と対向してメインライト34が設けられ、このメインライト34により撮影手段24に向けて光が照射されるのが好ましい。
【0073】
この測定方法ではさらに、ゴムシート4の長さLがより正確に測定される観点から、撮影工程においては、撮影手段24に面するゴムシート4の端面16を照らすサブライト36が設けられるのが好ましい。この場合、ゴムシート4を円滑に搬送しながら、このゴムシート4の長さLがより正確に測定される観点から、ゴムシート4の後端部14の端面16が撮影手段24に面するように、このゴムシート4はコンベア6に載置されるのが好ましい。
【0074】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ゴムシート4の長さをより正確に測定できる、ゴムシート4の長さ測定装置2及び当該ゴムシート4の長さ測定方法が得られる。
【0075】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は前述の実施形態に限定されるものではなく、この技術的範囲には特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明されたゴムシートの長さ測定に関する技術は、種々のゴムシートの長さ測定においても適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
2・・・測定装置
4・・・ゴムシート
6・・・コンベア
8・・・ゴムシート4の上面
10・・・ゴムシート4の下面
12・・・ゴムシート4の前端部
14・・・ゴムシート4の後端部
16・・・ゴムシート4の端面
18・・・ローラ
20・・・コンベア6の載置面
22・・・エンコーダー
24・・・撮影手段
26・・・制御装置
26a・・・同期手段
26b・・・測定手段
26c・・・開始手段
26d・・・終了手段
28・・・第一センサ
30・・・第二センサ
32・・・ゴムシート4の側縁
34・・・メインライト
36・・・サブライト
図1
図2
図3
図4