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特許7067310定着装置およびこれを備える画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】定着装置およびこれを備える画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
G03G15/20 510
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018121012
(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2020003564
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】園山 将士
(72)【発明者】
【氏名】原島 隆
(72)【発明者】
【氏名】前田 裕之
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-036422(JP,A)
【文献】実開昭63-22681(JP,U)
【文献】特開2016-110020(JP,A)
【文献】特開2017-090885(JP,A)
【文献】特開2016-114867(JP,A)
【文献】米国特許第9268271(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を上流側から下流側へと向かう搬送方向に沿って搬送するために回転可能な無端状のベルトと、
前記ベルトの内側から前記ベルトを押圧する第1部材と、
前記第1部材に巻き回された摺動シートとを備え、
前記摺動シートは、前記ベルトが前記記録媒体に当接する部分であるニップ部に対応するニップ領域を含み、
前記摺動シートは、展開して平面的に見たときに、一方端と他方端とを備え、
前記一方端は第1の凹凸形状を有し、前記他方端は前記第1凹凸形状と相補的関係にある第2の凹凸形状を有する、定着装置。
【請求項2】
前記摺動シートは、前記ニップ領域において、前記搬送方向と平行になるように、前記第1部材に巻き回されている、請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記第1部材を前記ベルトとは反対側から支持する支持部材を備え、前記摺動シートは、前記支持部材と前記第1部材とに挟まれる部分を含む、請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記ニップ部の少なくとも一部において前記ベルトを外側から押圧する第2部材を備える、請求項1から3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項5】
前記一方端は上流側の端であり、前記第1の凹凸形状は両端が凸状となっている、請求項1から4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記第1部材は、前記搬送方向と垂直な方向に並ぶ複数の連結軸を含み、
前記摺動シートは、前記複数の連結軸に対応する複数の貫通孔を有し、前記支持部材は前記複数の連結軸に対応する複数の連結穴を有し、
前記複数の連結軸のうち両端にあるものは、前記摺動シートの前記複数の貫通孔のうち上流側の端にある貫通孔を貫通する、請求項3に記載の定着装置。
【請求項7】
前記第1部材は、前記搬送方向と垂直な方向に並ぶ複数の連結軸を含み、前記摺動シートは、前記複数の連結軸に対応する複数の貫通孔を有し、前記支持部材は前記複数の連結軸に対応する複数の連結穴を有し、
前記複数の貫通孔は、前記摺動シートの下流側の端より前記摺動シートの上流側の端の方に多くの個数設けられている、請求項3に記載の定着装置。
【請求項8】
前記複数の貫通孔は、前記摺動シートの上流側と下流側とで異なる位置に設けられている、請求項6または7に記載の定着装置。
【請求項9】
前記複数の貫通孔および前記複数の連結軸は、異なるサイズのものを含む、請求項6から8のいずれかに記載の定着装置。
【請求項10】
少なくとも上流側においては、前記摺動シートは前記第1部材に対してテープ留めされている、請求項1から9のいずれかに記載の定着装置。
【請求項11】
前記第1の凹凸形状の凸部は、先端にいくほど細くなっており内角が90°以上となる角部を有する、請求項1から10のいずれかに記載の定着装置。
【請求項12】
前記一方端は上流側の端であり、前記他方端は下流側の端であり、前記第1の凹凸形状の凸部は、先端にいくほど細くなる形状であり、凹部は奥にいくほど細くなる形状であり、前記摺動シートを前記第1部材に巻き回した状態では、前記一方端と前記他方端とは、前記搬送方向に離隔して固定される、請求項1から11のいずれかに記載の定着装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の定着装置を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置およびこれを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、画像形成装置に備わる定着装置では、トナーによる像が用紙上に形成されたものに対して、加熱および加圧が行なわれて画像を用紙に定着させる。定着装置において、パッド状の部材が用いられる場合がある。
【0003】
定着装置の一例が、特開2016-110020号公報(特許文献1)に記載されている。この定着装置では、ニップ形成部材を囲むように摺動シートが巻き回され、両面テープで固定されている。無端ベルトが摺動シートの外側に接するように走行する。
【0004】
定着装置のもうひとつの一例が、特開2017-90885号公報(特許文献2)に記載されている。この定着装置では、ニップ形成部材の3方の面を囲むように低摩擦部材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-110020号公報
【文献】特開2017-90885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パッド状の部材に摺動シートを巻き回して固定する場合、摺動シートでニップ形成部を覆うだけでなく固定のための領域にも摺動シートを延在させる必要があり、摺動シートの必要面積が大きくなる。したがって、摺動シートのコストがかかる。
【0007】
そこで、本発明は、摺動シートの使用面積を小さくして、摺動シートの原反から取ることができる枚数を増やし、なおかつ摺動シートの固定を安定して行なえる定着装置およびこれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に基づく定着装置は、記録媒体を上流側から下流側へと向かう搬送方向に沿って搬送するために回転可能な無端状のベルトと、上記ベルトの内側から上記ベルトを押圧する第1部材と、上記第1部材に巻き回された摺動シートとを備え、上記摺動シートは、上記ベルトが上記記録媒体に当接する部分であるニップ部に対応するニップ領域を含み、上記摺動シートは、展開して平面的に見たときに、一方端と他方端とを備え、上記一方端は第1の凹凸形状を有し、上記他方端は上記第1凹凸形状と相補的関係にある第2の凹凸形状を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、摺動シートの使用面積を小さくして、摺動シートの原反から取ることができる枚数を増やし、なおかつ摺動シートの固定を安定して行なえる定着装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に基づく実施の形態1における画像形成装置の概念図である。
図2】本発明に基づく実施の形態2における定着装置の説明図である。
図3】従来技術に基づいて大判シートから摺動シートを切り出す例の説明図である。
図4】本発明に基づいて大判シートから摺動シートが切り出す例の説明図である。
図5】本発明に基づいて切り出した1枚の摺動シートの平面図である。
図6】本発明に基づく実施の形態2における定着装置に含まれる第1部材に摺動シート9を巻き付けた状態の平面図である。
図7】本発明に基づく実施の形態2における定着装置の第1の変形例の説明図である。
図8】本発明に基づく実施の形態2における定着装置の第2の変形例の説明図である。
図9】本発明に基づく実施の形態3における定着装置の説明図である。
図10】本発明に基づく実施の形態3における定着装置の主要部の分解図である。
図11】本発明に基づく実施の形態3における定着装置の変形例の主要部の分解図である。
図12】本発明に基づく定着装置に備わる第1部材の第1の例の平面図である。
図13】本発明に基づく定着装置に備わる第1部材の第1の例に摺動シートを取り付けた状態の平面図である。
図14】本発明に基づく定着装置に備わる第1部材の第2の例の平面図である。
図15】本発明に基づく定着装置に備わる第1部材の第2の例に摺動シートを取り付けた状態の平面図である。
図16】本発明に基づく定着装置に備わる摺動シートの第1の変形例の平面図である。
図17】本発明に基づく定着装置に備わる摺動シートの第2の変形例の平面図である。
図18】本発明に基づく定着装置に備わる摺動シートの第3の変形例の平面図である。
図19】本発明に基づく定着装置に備わる摺動シートの第3の変形例を第1部材に巻き付けて固定した状態の平面図である。
図20】本発明に基づく定着装置に備わる摺動シートの第4の変形例の平面図である。
図21】本発明に基づく定着装置に備わる摺動シートの第4の変形例を第1部材に巻き付けて固定した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
(画像形成装置)
図1を参照して、本発明に基づく実施の形態1における画像形成装置について説明する。
【0012】
本実施の形態における画像形成装置801の概念図を図1に示す。画像形成装置801は、筐体1と、筐体1の下部に配置されたカセット40とを備える。筐体1の内部には、感光体44、帯電器46、転写ベルト47、画像露光装置48、現像ローラ45、1次転写ローラ42、2次転写ローラ43、定着装置101などが配置されている。カセット40内には1以上の記録媒体2が格納されている。記録媒体2は、たとえば紙であってよいが、紙以外のものであってもよい。転写ベルト47は無端状であって、循環して走行するように配置されている。
【0013】
画像形成装置801においては、感光体44の表面が、帯電器46によって一様に所定電位となるように帯電させられる。この帯電域に対して画像露光装置48から原稿画像に応じた画像露光が施される。これによって、感光体44の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像バイアスを印加された現像ローラ45で現像されて可視トナー像とされる。1次転写ローラ42にはトナーを引き寄せるバイアスが印加されており、感光体44の表面の可視トナー像は転写ベルト47に転写される。
【0014】
一方、給紙ローラ41によってカセット40から記録媒体2が1枚ずつ取り出され、2次転写ローラ43に搬送される。2次転写ローラ43にも1次転写ローラ42と同様に電圧が印加されている。転写ベルト47は、2次転写ローラ43と押圧ローラ49とによって挟まれており、この部分はニップ部38となっている。記録媒体2がニップ部38を通過する際には、記録媒体2および転写ベルト47が2次転写ローラ43と押圧ローラ49とによって挟み込まれて押圧される。転写ベルト47によって搬送された可視トナー像は、ニップ部38において記録媒体2に転写される。可視トナー像を担持した状態の記録媒体2は、定着装置101へと送り込まれる。定着装置101の詳細な構成は、後述するいずれかの実施の形態で説明する通りである。すなわち、画像形成装置801は、後述のいずれかの定着装置を備える。定着装置では、加熱および加圧が行なわれ、トナーは記録媒体2に定着する。このようにして画像形成が完了した記録媒体2は、出口39から排出される。
【0015】
(作用・効果)
本実施の形態では、後述するいずれかの実施の形態で説明するような定着装置を備えているので、摺動シートの使用面積を小さくして、摺動シートの原反から取ることができる枚数を増やし、なおかつ摺動シートの固定には問題ない画像形成装置とすることができる。
【0016】
(実施の形態2)
(構成)
図2図6を参照して、本発明に基づく実施の形態2における定着装置について説明する。図1に示した画像形成装置801に備わる定着装置101を取り出したところを図2に示す。定着装置101は、図2に示した構成の他にこれらを収容する筐体などを備えていてもよい。
【0017】
本実施の形態における定着装置101は、記録媒体2を上流側から下流側へと向かう搬送方向に沿って搬送するために回転可能な無端状のベルト51と、ベルト51の内側からベルト51を押圧する第1部材52と、第1部材52に巻き回された摺動シート9とを備える。第1部材52は「加圧部材」とも呼ばれる。第1部材52は加圧パッドであってもよい。
【0018】
摺動シート9は、ベルト51が記録媒体2に当接する部分であるニップ部50に対応するニップ領域60を含む。摺動シート9は、展開して平面的に見たときに、一方端と他方端とを備える。一方端は第1の凹凸形状を有し、前記他方端は前記第1凹凸形状と相補的関係にある第2の凹凸形状を有する。第1部材52は連結軸52bを備える。連結軸52bはピンであってもよい。連結軸52bは支持部材54に設けられた孔54aに挿入されている。第1部材52は支持部材54によって支持されている。第1部材52から見て支持部材54はベルト51とは反対側に位置する。第1部材52と第2部材58とで摺動シート9およびベルト51を挟み込んでいる。
【0019】
熱源ローラ59には熱源56が設けられている。支持部材54の一方の側にはベルト曲率付与部材8が配置されている。ベルト51は、熱源ローラ59と、ベルト曲率付与部材8と、摺動シート9が巻かれた第1部材52とを取り囲むように配置され、走行可能となっている。
【0020】
第1部材52に巻き回される際の摺動シート9の必要な長さをAとする。摺動シートは、原反である大判シートから切り出される。たとえば図3に示すように、大判シートからは長さAの摺動シートが4つ切り出せるものとする。図3では、切断線が一直線となっている。これに対して、切断線を変更して図4のようにした場合、長さAの摺動シートを少なくとも5つ切り出すことができる。ただし、図4では、説明の便宜のため、形状を簡略化して示している。
【0021】
切り出した1枚の摺動シート9のより具体的な形状を図5に示す。上記「一方端」が図5における上側の辺である。第1の凹凸形状は2つの突起を含む。上記「他方端」が図5における下側の辺である。第2の凹凸形状は3つの突起を含む。各突起には連結軸を通すための貫通孔9aが設けられている。摺動シート9を第1部材52に巻き付けた様子を図6に示す。
【0022】
(作用・効果)
本実施の形態では、摺動シート9を展開して平面的に見たときに、摺動シート9の一方端は第1の凹凸形状を有し、他方端は前記第1凹凸形状と相補的関係にある第2の凹凸形状を有するので、図4に示すように効率良く切り出すことができ、その結果、本実施の形態における定着装置は、摺動シート9の使用面積を小さくして、摺動シートの原反から取ることができる枚数を増やし、なおかつ摺動シートの固定を安定して行なえる。
【0023】
本実施の形態で示したように、摺動シート9は、ニップ領域60において、記録媒体2の搬送方向と平行になるように、第1部材52に巻き回されていることが好ましい。この構成を採用することにより、摺動シート9は、記録媒体2の搬送による摩擦力に耐えやすくなる。
【0024】
本実施の形態で示したように、第1部材52をベルト51とは反対側から支持する支持部材54を備え、摺動シート9は、支持部材54と第1部材52とに挟まれる部分を含むことが好ましい。この構成を採用することにより、摺動シート9を安定して保持することができる。
【0025】
本実施の形態で示したように、ニップ部50の少なくとも一部においてベルト51を外側から押圧する第2部材58を備えることが好ましい。この構成を採用することにより、摺動シート9を安定して保持することができる。第2部材58は「加圧ローラ」であってもよい。
【0026】
前記一方端は上流側の端であり、前記第1の凹凸形状は両端が凸状となっていることが好ましい。すなわち、図5における下側の辺を上流側とし、上側の辺を下流側とすればよい。この構成を採用することにより、負荷が大きくかかる上流側の辺において両端が凸状であるので、摺動シート9を安定して取り付けることができる。
【0027】
なお、ここでは定着装置101を例に説明しているが、これに限らず、たとえば図7に示す定着装置102のように、第1部材52がベルト51を介して熱源ローラ59に押し付けられていて、第1部材52を摺動シート9が取り囲んでいる構成であってもよい。
【0028】
図2に示した例では、ベルト51は、第1部材52と熱源ローラ59とを結ぶように張り渡されていた。すなわち、いわゆる2軸方式であった。しかし、図8に示す定着装置103のように、1軸方式であってもよい。
【0029】
(実施の形態3)
(構成)
図9図10を参照して、本発明に基づく実施の形態3における定着装置104について説明する。図9に示すように、両面テープ7が用いられている。定着装置104では、第1部材9と支持部材54との間において摺動シート9と第1部材52との間に両面テープ7が配置されている。主要部の分解図を図10に示す。両面テープ7は摺動シート9と第1部材52とを接合している。少なくとも上流側においては、摺動シート9は第1部材52に対してテープ留めされている。図10に示した状態では、下流側は、まだテープ留めされておらず、矢印95に示すように第1部材52に巻き付けられる。支持部材54は、複数の連結穴54aを有する。
【0030】
(作用・効果)
本実施の形態では、摺動シート9がテープ留めされているので、摺動シート9を安定して保持することができる。テープ留めされていることによって、第1部材52に摺動シート9を巻き付ける際の組立作業が容易となりうる。
【0031】
図10では、両面テープ7は、摺動シート9の上流側の端の突起に対応する箇所のみにそれぞれ個別に配置されていた。このような構成の代わりに、図11に示す両面テープ7iのように配置してもよい。図11に示した例では、第1部材52のほぼ全長にわたって両面テープ7iが貼られている。この例では、1枚の両面テープ7iで、摺動シート9の上流側の端と下流側の端とを一括して接合する。
【0032】
実施の形態2,3で示したように、第1部材52は、前記搬送方向と垂直な方向に並ぶ複数の連結軸52bを含み、摺動シート9は、複数の連結軸52bに対応する複数の貫通孔9aを有し、支持部材54は複数の連結軸52bに対応する複数の連結穴54aを有し、複数の連結軸52bのうち両端にあるものは、摺動シート9の複数の貫通孔9aのうち上流側の端にある貫通孔9aを貫通することが好ましい。たとえば図10でいえば、摺動シート9のうち上流側の端の3ヶ所の貫通孔9aに、連結軸52bが通されている。摺動シート9のうち下流側の端の2ヶ所の貫通孔9aは、矢印95に示すように摺動シート9を第1部材52に巻き付けた後で、第1部材52の連結軸52bに通される。この構成を採用することにより、摺動シート9に引張力が作用する上流側の両端において貫通孔9aに連結軸52bを通した形となるので、摺動シート9を安定して支持することができる。
【0033】
実施の形態2,3で示したように、第1部材52は、前記搬送方向と垂直な方向に並ぶ複数の連結軸52bを含み、摺動シート9は、複数の連結軸52bに対応する複数の貫通孔9aを有し、支持部材54は複数の連結軸52bに対応する複数の連結穴54aを有し、複数の貫通孔9aは、摺動シート9の下流側の端より摺動シート9の上流側の端の方に多くの個数設けられていることが好ましい。この構成を採用することにより、摺動シート9に引張力が作用する上流側に多くの数の貫通孔9aおよび連結軸52bが配置されることとなるので、作用する引張力を分散させることができ、摺動シート9を安定して支持することができる。
【0034】
実施の形態2,3で示したように、複数の貫通孔9aは、摺動シート9の上流側と下流側とで異なる位置に設けられていることが好ましい。ここでいう「異なる位置」とは、上流側から下流側に向かう方向に関してずれた位置であってもよく、上流側から下流側に向かう方向に対して垂直な方向に関してずれた位置であってもよい。
【0035】
たとえば図12に示すように、第1部材52の1つの面の中で、複数の連結軸52bはジグザグに配列されていてもよい。図12に示す第1部材52に摺動シート9を取り付けた状態を図13に示す。図13では、摺動シート9の端と端とが噛み合うのではなく図中上下方向にずれた配置となっている。このような構成であってもよい。
【0036】
あるいは、図14に示すように、第1部材52の1つの面の中で、異なるサイズの連結軸52b,52cが混在して配置されていてもよい。このような第1部材52に摺動シート9の一方の端を取り付けた状態を図15に示す。複数の貫通孔9aおよび複数の連結軸52bは、異なるサイズのものを含むことが好ましい。この構成を採用することにより、組立時に摺動シート9の取付け向きを誤って逆にしてしまうことを防止することができる。
【0037】
摺動シート9の形状は図16または図17に示すようなものであってもよい。図16および図17では、貫通孔9aは図示省略している。
【0038】
図16に示したように、前記第1の凹凸形状の凸部は、先端にいくほど細くなっており内角が90°以上となる角部を有することが好ましい。
【0039】
摺動シート9の形状のさらに他の例を図18に示す。図18に示した例では、B1>B2である。C1>C2である。この摺動シート9を第1部材52に巻き付けて固定したところを図19に示す。摺動シートの一方端と他方端との間に、間隙Dがあいている。
【0040】
前記一方端は上流側の端であり、前記他方端は下流側の端であり、前記第1の凹凸形状の凸部は、先端にいくほど細くなる形状であり、凹部は奥にいくほど細くなる形状であり、摺動シート9を第1部材52に巻き回した状態では、前記一方端と前記他方端とは、前記記録媒体の搬送方向に離隔して固定されることが好ましい。図19に示した例では図中上下方向に長さDだけ離隔している。この構成を採用することにより、摺動シート9と第1部材52との間の相対的な寸法誤差に柔軟に対応することができる。
【0041】
摺動シート9の形状のさらに他の例を図20に示す。図20に示した例では、B1>B2である。C1>C2である。この摺動シート9を第1部材52に巻き付けて固定したところを図21に示す。摺動シートの一方端と他方端との間に、図中上下方向に間隙Dがあいている。このような構成であってもよい。図19図21などでいう「図中上下方向」とは、摺動シート9を第1部材52に巻き付ける際の周方向を意味する。
【0042】
なお、上記実施の形態のうち複数を適宜組み合わせて採用してもよい。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0043】
1 筐体、2 記録媒体、7,7i 両面テープ、8 ベルト曲率付与部材、9 摺動シート、9a 貫通孔、38 (2次転写のための)ニップ部、39 出口、40 カセット、41 給紙ローラ、42 1次転写ローラ、43 2次転写ローラ、44 感光体、45 現像ローラ、46 帯電器、47 転写ベルト、48 画像露光装置、49 押圧ローラ、50 (定着装置のベルトの)ニップ部、51 ベルト、52 第1部材(加圧部材)、52b,52c 連結軸、54 支持部材、54a 連結穴、56 熱源、58 第2部材(加圧ローラ)、59 熱源ローラ、60 (摺動シートの)ニップ領域、91,92,93,94,95 矢印、101,102,103,104 定着装置、801 画像処理装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21