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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】排気ガス浄化装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
F01N3/28 301V
F01N3/28 301N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018132066
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020008002
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐平
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 高広
(72)【発明者】
【氏名】元山 雄登
【審査官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/055717(WO,A1)
【文献】特開2012-106836(JP,A)
【文献】特開2010-019188(JP,A)
【文献】特開2016-175588(JP,A)
【文献】特開2014-159202(JP,A)
【文献】特開2017-122422(JP,A)
【文献】特開平11-144839(JP,A)
【文献】特開2005-076459(JP,A)
【文献】特開平08-144753(JP,A)
【文献】特開2010-065559(JP,A)
【文献】国際公開第2010/004790(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0169452(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00- 3/38
F01N 9/00-11/00
B01D 46/00-46/54
B01D 53/73
B01D 53/86-53/90
B01D 53/94-53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に搭載されたエンジンの排気ガス通路に設けられた上流筒体と、
前記上流筒体の下流側に設けられた下流筒体と、
前記上流筒体と前記下流筒体との間に同軸に取り付け、取り外し可能に直列接続されて、排気ガスを通して浄化する浄化処理部材を収容する浄化用筒体と、
を有して、車体後部に設けられたカウンタウエイト内に配置された排気ガス浄化装置の取付構造において、
前記上流筒体と前記下流筒体と前記浄化用筒体は、互いに当接して接続される筒体端部に平坦な接続面を有するフランジ部を有し、
断面U字形又はV字形の溝が内側を向いて環状になるように構成されて、前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部とのうちの互いに対向するフランジ部を前記溝内に挟んで、取り付け、取り外し可能に互いに接続する一対のクランプ結合具と、
前記カウンタウエイトの所定位置に貫通して設けられた開口部と、
前記車体に固定されて前記上流筒体を支持する第1支持部と、
前記車体にボルトによるボルト止めにより取り付けられる取付台座部に一端側が固定されて、他端側が前記下流筒体の下面側に固定されて該下流筒体を支持する板状の第2支持部と、
を備え、
前記開口部は、該開口部を介して前記一対のクランプ結合具を取り付け、取り外し可能に形成されると共に、前記浄化用筒体が通過し得る大きさに形成され、
前記第2支持部は、前記下流筒体の軸方向に沿って配置されて、前記一端側が前記下流筒体よりも軸方向下流側に位置するように前記取付台座部に固定され、
前記ボルトを緩めることによって前記取付台座部と前記第2支持部と前記下流筒体とが一体的に前記浄化用筒体の軸方向に沿ってスライド移動可能に構成されている、
排気ガス浄化装置の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の排気ガス浄化装置の取付構造において、
前記開口部は、前記浄化用筒体に対向して前記カウンタウエイトの車両上方側に形成され、
前記取付台座部は、前記カウンタウエイト内に配置された架台に前記開口部を介して車両上方側から前記ボルトによって着脱可能に取り付けられると共に、該ボルトが挿通される前記軸方向に長い長孔が形成されている、
排気ガス浄化装置の取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載の排気ガス浄化装置の取付構造において、
前記開口部は、前記浄化用筒体に対向して前記カウンタウエイトの車両後方側に形成され、
前記取付台座部は、前記第2支持部の下方に配置されて、車体から車両後方側に突出する取付ブラケットに前記ボルトによって着脱可能に取り付けられると共に、前記取付ブラケットから前記軸方向外側へ所定長さ突出する案内軸が嵌挿される貫通孔が形成されている、
排気ガス浄化装置の取付構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置の取付構造において、
前記浄化用筒体は、軸方向略中央部の外周面から車両上方側へ突出して設けられた側面視T字形の把持部を有する、
排気ガス浄化装置の取付構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置の取付構造において、
前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部と、のうちの一方の前記各フランジ部は、前記接続面から周方向全周に渡って、前記接続面よりも軸方向外側へ所定高さ突出するリング状の挿入用リブ部を有し、
前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部と、のうちの他方の前記各フランジ部は、前記挿入用リブ部に相対向する位置に周方向全周に渡って形成されて、前記挿入用リブ部が挿入される正面視環状の挿入溝部を有する、
排気ガス浄化装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンから排出される排気ガスを浄化処理する排気ガス浄化装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置は、排気ガス中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集して除去する粒子状物質除去フィルタ(通常、Diesel Particulate Filterと呼ばれ、以下、「DPF」という。)等の浄化処理部材を備えている。ここで、排気ガスを浄化処理するDPFは、排気ガス中の粒子状物質を捕集するものであることから、捕集して堆積した粒子状物質を洗浄して除去するクリーニング作業を定期的に行う必要がある。そこで、DPFのクリーニング作業の作業性を高めることができる排気ガス浄化装置の取付構造に関する技術が種々提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載された産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造では、カウンタウエイトの上面パネルの車幅方向中央部分に開口部が貫通形成されている。カウンタウエイトの内部には、ディーゼル・パティキュレート・フィルターが、開口部に対して車幅方向のいずれかの側にオフセットされて、車幅方向に延びる一対の架台上にボルト止め固定されている。この開口部は、ディーゼル・パティキュレート・フィルターが上下方向に通過し得る大きさに設定されている。また、開口部は、該開口部を閉塞するための蓋体がネジ等により着脱自在に取り付けられている。
【0004】
そして、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのクリーニング作業をする際には、作業者が蓋体を取り外して、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのネジ止めを外す。その後、作業者は、ディーゼル・パティキュレート・フィルターをクレーン等を用いて少し吊り上げて開口部の真下に移動させて、ディーゼル・パティキュレート・フィルターを上方に吊り上げ、開口部を通って車両の外側に吊り出して降ろす。
【0005】
続いて、作業者は、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのクリーニング作業を行った後、再度、クレーン等を用いて吊り上げ、カウンタウエイトの開口部からカウンタウエイト内に導入する。そして、作業者は、ディーゼル・パティキュレート・フィルターを車幅方向のいずれかの側にオフセットさせて、一対の架台上にボルト止め固定した後、蓋体を開口部に取り付けて、クリーニング作業を終了するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-106836号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載された産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルター取付構造では、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのクリーニング作業を行うためには、ディーゼル・パティキュレート・フィルターをクレーン等を用いて吊り上げて開口部から車両の外側に吊り出して降ろす必要がある。そして、クリーニング作業を行った後、ディーゼル・パティキュレート・フィルターをクレーン等を用いて吊り上げて開口部からカウンタウエイト内に導入する必要がある。このため、クレーン等の設備が必要となり、客先でのクリーニング作業が困難なため、販売店等への車両回収が必要となる。その結果、ディーゼル・パティキュレート・フィルターのクリーニング作業に必要な作業時間が長くなり、産業車両の稼働効率が低下するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、排気ガス浄化装置のクリーニング作業に必要な作業時間の短縮化を図り、産業車両の稼働効率を向上させることができる排気ガス浄化装置の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、車体に搭載されたエンジンの排気ガス通路に設けられた上流筒体と、前記上流筒体の下流側に設けられた下流筒体と、前記上流筒体と前記下流筒体との間に同軸に取り付け、取り外し可能に直列接続されて、排気ガスを通して浄化する浄化処理部材を収容する浄化用筒体と、を有して、車体後部に設けられたカウンタウエイト内に配置された排気ガス浄化装置の取付構造において、前記上流筒体と前記下流筒体と前記浄化用筒体は、互いに当接して接続される筒体端部に平坦な接続面を有するフランジ部を有し、断面U字形又はV字形の溝が内側を向いて環状になるように構成されて、前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部とのうちの互いに対向するフランジ部を前記溝内に挟んで、取り付け、取り外し可能に互いに接続する一対のクランプ結合具と、前記カウンタウエイトの所定位置に貫通して設けられた開口部と、前記車体に固定されて前記上流筒体を支持する第1支持部と、前記車体にボルトによるボルト止めにより取り付けられる取付台座部に一端側が固定されて、他端側が前記下流筒体に固定されて該下流筒体を支持する第2支持部と、を備え、前記開口部は、該開口部を介して前記一対のクランプ結合具を取り付け、取り外し可能に形成されると共に、前記浄化用筒体が通過し得る大きさに形成され、前記ボルトを緩めることによって前記取付台座部と前記第2支持部と前記下流筒体とが一体的に前記浄化用筒体の軸方向に沿ってスライド移動可能に構成されている、排気ガス浄化装置の取付構造である。
【0010】
尚、浄化用処理部材は、粒子状物質除去フィルタ(DPF)を含む。
【0011】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る排気ガス浄化装置の取付構造において、前記開口部は、前記浄化用筒体に対向して前記カウンタウエイトの車両上方側に形成され、前記取付台座部は、前記カウンタウエイト内に配置された架台に前記開口部を介して車両上方側から前記ボルトによって着脱可能に取り付けられると共に、該ボルトが挿通される前記軸方向に長い長孔が形成されている、排気ガス浄化装置の取付構造である。
【0012】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明に係る排気ガス浄化装置の取付構造において、前記開口部は、前記浄化用筒体に対向して前記カウンタウエイトの車両後方側に形成され、前記取付台座部は、前記第2支持部の下方に配置されて、車体から車両後方側に突出する取付ブラケットに前記ボルトによって着脱可能に取り付けられると共に、前記取付ブラケットから前記軸方向外側へ所定長さ突出する案内軸が嵌挿される貫通孔が形成されている、排気ガス浄化装置の取付構造である。
【0013】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明乃至第3の発明のいずれか1つに係る排気ガス浄化装置の取付構造において、前記浄化用筒体は、軸方向略中央部の外周面から車両上方側へ突出して設けられた側面視T字形の把持部を有する、排気ガス浄化装置の取付構造である。
【0014】
次に、本発明の第5の発明は、上記第1の発明乃至第4の発明のいずれか1つに係る排気ガス浄化装置の取付構造において、前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部と、のうちの一方の前記各フランジ部は、前記接続面から周方向全周に渡って、前記接続面よりも軸方向外側へ所定高さ突出するリング状の挿入用リブ部を有し、前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部と、のうちの他方の前記各フランジ部は、前記挿入用リブ部に相対向する位置に周方向全周に渡って形成されて、前記挿入用リブ部が挿入される正面視環状の挿入溝部を有する、排気ガス浄化装置の取付構造である。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、開口部を介して一対のクランプ結合具を取り外した後、取付台座部を車体にボルト止めにより取り付けているボルトを緩めて、下流筒体を取付台座部と共に浄化用筒体の軸方向外側へ移動させることによって、浄化用筒体だけを取り外して、開口部からカウンタウエイトの外側に取り出すことができる。そして、浄化用処理部材のクリーニング作業をした後、開口部からカウンタウエイト内に挿入して、上流筒体と下流筒体との間に同軸に配置する。尚、浄化用処理部材は、粒子状物質除去フィルタ(DPF)を含む。
【0016】
そして、下流筒体を浄化用筒体側へスライド移動させて、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体との間に同軸に直列接続した後、開口部を介して一対のクランプ結合具によって各フランジ部を挟んで互いに接続する。その後、取付台座部をボルト止めによって取り付けることによって、排気ガス浄化装置のクリーニング作業が終了する。これにより、作業者は、クレーン等の設備を用いることなく、客先で排気ガス浄化装置のクリーニング作業を行うことができるため、排気ガス浄化装置のクリーニング作業に必要な作業時間の短縮化を図り、産業車両の稼働効率を向上させることができる。
【0017】
第2の発明によれば、カウンタウエイトの車両上方側に形成された開口部を介して、一対のクランプ結合具を取り外した後、車両上方側から取付台座部を取り付けているボルトを緩めることによって、下流筒体及び取付台座部を長孔に沿って軸方向に移動させることができる。これにより、作業者は、下流筒体を迅速に軸方向外側に移動させて、浄化用筒体だけを取り外し、車両上方側へ取り出すことができる。
【0018】
そして、浄化用処理部材をクリーニングした後、再び、車両上方側から浄化用筒体を上流筒体と下流筒体との間に配置し、下流筒体を浄化用筒体側へスライド移動させて、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体との間に同軸に直列接続する。続いて、車両上方側から開口部を介して一対のクランプ結合具によって各フランジ部を挟んで互いに接続する。その後、取付台座部をボルト止めによって取り付けることによって、排気ガス浄化装置のクリーニング作業が終了する。従って、簡易な構成により、開口部の車両上方側から浄化用筒体の取り付け、取り外しをクレーン等を用いないで、容易に行うことができる。
【0019】
第3の発明によれば、カウンタウエイトの車両後方側に形成された開口部を介して、一対のクランプ結合具を取り外した後、車体側面部の後輪とカウンタウエイトとの隙間から取付台座部を取り付けているボルトを緩めることによって、下流筒体及び取付台座部を案内軸に沿って軸方向に移動させることができる。これにより、下流筒体を迅速に軸方向外側に移動させて、浄化用筒体だけを取り外し、浄化用処理部材をクリーニングした後、再び、下流筒体を浄化用筒体側へスライド移動させて、取付台座部のボルトを締結した後、一対のクランプ結合具を取り付けることによって、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体との間に同軸に直列接続することができる。従って、簡易な構成により、開口部の車両後方側から浄化用筒体の取り付け、取り外しをクレーン等を用いないで、容易に行うことができる。
【0020】
第4の発明によれば、作業者は、浄化用筒体の軸方向略中央部の外周面から車両上方側へ突出して設けられた側面視T字形の把持部を把持して、浄化用筒体の脱着作業を開口部を介して容易に行うことができる。従って、作業者は、クレーン等の設備を用いることなく、客先で排気ガス浄化装置材のクリーニング作業を行うことができる。
【0021】
第5の発明によれば、浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部の接続面と、上流筒体と下流筒体の各フランジ部の接続面とを当接させた場合には、一方の各フランジ部の接続面よりも軸方向外側へ、周方向全周に渡って所定高さ突出するリング状の挿入用リブ部が、他方の各フランジ部の接続面の挿入用リブ部に相対向する位置に周方向全周に渡って形成された正面視環状の挿入溝部に挿入される。これにより、浄化用筒体が、挿入用リブ部を介して、上流筒体と下流筒体に対して同軸に支持されるため、上流筒体と下流筒体との間に浄化用筒体を接続するときの作業性の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る排気ガス浄化装置を備えたフォークリフトの一例を示す側面図である。
図2】カウンタウエイト内の排気ガス浄化装置の配置状態を説明する要部側断面図である。
図3】蓋部材を外した開口部を示す平面図である。
図4】排気ガス浄化装置の車両上方側から見た平面図である。
図5】排気ガス浄化装置の車両後方側から見た正面図である。
図6】取付台座の要部拡大平面図である。
図7】排気ガス浄化装置の分解斜視図である。
図8】クランプ結合具を取り付けた状態を示す要部側断面図である。
図9】浄化用筒体を上流筒体と下流筒体から取り外す手順を説明する図である。
図10図9に示す取付台座の動きを説明する図である。
図11】浄化用筒体を上流筒体と下流筒体に取り付ける手順を説明する図である。
図12図11に示す取付台座の動きを説明する図である。
図13】第2実施形態に係る排気ガス浄化装置を備えたフォークリフトの一例を示す側面図である。
図14図13に示す車両後方に形成された後方開口部を示す正面図である。
図15】カウンタウエイト内の排気ガス浄化装置の配置状態を説明する要部側断面図である。
図16】排気ガス浄化装置の車両後方側から見た正面図である。
図17】排気ガス浄化装置の分解斜視図である。
図18】浄化用筒体を上流筒体と下流筒体に取り付ける手順を説明する図である。
図19図18に示す第2取付台座の動きを説明する図である。
図20】浄化用筒体を上流筒体と下流筒体から取り外す手順を説明する図である。
図21図20に示す第2取付台座の動きを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る排気ガス浄化装置の取付構造をフォークリフトについて適用した第1実施形態及び第2実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、第1実施形態に係るフォークリフト10の概略構成について図1乃至図3に基づいて説明する。尚、図1及び図2に示される矢印RRは、車両後方側を示し、又、矢印UPRは車両上方側を示している。また、矢印INRは、車幅方向内側を示している。
【0024】
図1に示すように、フォークリフト10の車体11の後方側には、カウンタウエイト12が搭載されている。車体11のエンジンルーム14内には、エンジン15が搭載されている。このエンジン15は、例えば、ディーゼルエンジンにより構成されている。エンジンルーム14の側壁には、不図示の外気取入れ口が設けられている。エンジン15の後側には、エンジン15によって駆動される、つまり、回転されるファン16が設けられている。
【0025】
ファン16の後方側には、エンジン15の冷却水を冷却するラジエータ17が設置されている。ファン16は、エンジン15の駆動によって、外気取入れ口から外気(空気)をエンジンルーム14に取り入れてラジエータ17に吹き付ける。これにより、エンジン15の冷却水が冷却される。そして、ラジエータ17を通過した送風は、ラジエータ17の後側に設けられて、前方側が開放された略箱体状に区画された通風室18を経て、カウンタウエイト12の後壁部を前後方向に貫通する後向き吹き出し口19から車両後方へ吹き出される。後向き吹き出し口19は、例えば、車幅方向に長い断面横長矩形状に形成され、カウンタウエイト12の後壁部の上下2個所に平行に貫通している。
【0026】
また、図2に示すように、通風室18には、ラジエータ17の後側に排気ガス浄化装置21が車幅方向に沿って配置され、排気ガスを排出する排気ガス通路の一部をなす排気管22が排気ガス浄化装置21の上流側に接続されている。従って、排気ガス浄化装置21は、排気管22と共に排気ガス通路を構成し、上流側から下流側に排気ガスが通過する間に、排気ガスに含まれる有害物質を除去するものである。
【0027】
ここで、エンジン15は、高効率で耐久性にも優れているが、粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等の有害物質を、排気ガスと一緒に排出してしまうものである。そこで、排気管22に接続される排気ガス浄化装置21は、後述するように、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)25(図4図5参照)を上流側に配置し、粒子状物質(PM)を捕集して除去する粒子状物質除去フィルタ(以下、「DPF」という。)26(図4図5参照)を下流側に配置して構成されている。
【0028】
図2及び図3に示すように、排気ガス浄化装置21の下流側の下端部は、車両前後方向に沿って配置された側面視クランク状に折り曲げ形成された取付台座(取付台座部)27に取り付けられている。また、この取付台座27は、通風室18内に車幅方向に沿って配置された平面視細長矩形で平板状の架台28上にボルト31によってボルト止めされている。また、排気ガス浄化装置21の上流側の下端部は、通風室18内の側壁から車幅方向内側に突出する取付用ブラケット29(図4図5参照)に取り付けられている。
【0029】
また、図2及び図3に示すように、通風室18の天井部には、上方に開放された車幅方向に長い平面視略矩形状の開口部18Aが形成されている。また、図3に示すように、開口部18Aの車両後方側の側縁部には、車幅方向略中央部から車両後方側へ、平面視コの字状に切り欠かれた切欠き窓部18Bが形成されている。平面視コの字状の切欠き窓部18Bは、排気ガス浄化装置21の軸方向略中央部に配置される浄化用筒体36及び一対のクランプ結合具67の直上に形成されている。また、切欠き窓部18Bは、車両後方側へ、一対のクランプ結合具67間の距離よりも少し広い幅で、浄化用筒体36の車両後方側端縁部に対向する位置まで車両後方側へ平面視コの字状に切り欠かれている。
【0030】
そして、開口部18A及び切欠き窓部18Bは、車幅方向に長い平面視略矩形状で平板状の蓋部材32が上方からボルト止め等によって固定され、閉塞されている。従って、後述のように、作業者は、蓋部材32を取り外すことによって、切欠き窓部18Bを介して、排気ガス浄化装置21の浄化用筒体36の取り付け、取り外しを行うことができる。
【0031】
次に、排気ガス浄化装置21の構成について図4乃至図12に基づいて説明する。図4乃至図7に示すように、排気ガス浄化装置21は、上流側に配置される上流筒体35と、下流側に配置される下流筒体37と、上流筒体35と下流筒体37との間に同軸に取り付け、取り外し可能に直列接続される浄化用筒体36と、から構成されている。上流筒体35には、酸化触媒25が収容され、浄化用筒体36には、DPF26が収容されている。
【0032】
図7に示すように、上流筒体35は、排気ガスが流入する流入筒部35Aと、円筒部35Bと、フランジ部35Cと、円筒部35B内に収容される酸化触媒25と、から構成されている。流入筒部35Aは、上流側端部に排気管22(図4図5参照)が接続される断面円形の筒状に形成されている。円筒部35Bは、円筒状に形成されて、上流側端部が閉塞されて、略中央部に流入筒部35Aとほぼ同径の貫通孔が形成され、この貫通孔の軸方向外側に流入筒部35Aの下流側端部が溶接等によって全周に渡って溶着されている。また、円筒部35Bは、内側に略円柱状に形成された酸化触媒25が下流側に寄せられるように嵌入されている。
【0033】
フランジ部35Cは、円筒部35Bの下流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられている(図8参照)。図8に示すように、フランジ部35Cの下流側端面である接続面35Dは、軸方向に直交する環状の平坦面として形成され、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bに当接されて接続される(図4図5参照)。
【0034】
酸化触媒25は、円筒部35Bの内径寸法にほぼ等しい外径寸法を有するセラミック製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に白金(Pt)等の貴金属がコーティングされている。そして、酸化触媒25は、所定の温度下で多数の貫通孔に排気ガスを通すことにより、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。
【0035】
このように構成された上流筒体35は、図5及び図7に示すように、円筒部35Bの下面側に、側面視クランク状に折り曲げて形成された板状の支持部材(第1支持部)41の上端面が、この支持部材41の下端側が流入筒部35Aの下側に位置するように溶接等で固着されている。そして、支持部材41の下端側には、貫通孔41Aが形成されており、この支持部材41が取付用ブラケット29の上面部に載置されて、貫通孔41Aに挿通されたボルト42によりボルト止めされる。このように、上流筒体35は、車体に取り付けられた取付用ブラケット29上に支持部材41を介して固定される。
【0036】
次に、図7に示すように、下流筒体37は、浄化用筒体36に収容されたDPF26を通った排気ガスが流入する円筒状の円筒部37Aと、フランジ部37Bと、排気ガスを流出する排出筒部37Cと、から構成されている。円筒部37Aは、上流筒体35の円筒部35Bとほぼ同じ外径で、軸方向の長さが円筒部35Bよりも短い、例えば、約半分の長さの円筒状に形成されている。そして、円筒部37Aは、下流側端部が閉塞されて、略中央部に排出筒部37Cとほぼ同径の貫通孔が形成され、この貫通孔の軸方向外側に排出筒部37Cの上流側端部が溶接等により全周に渡って溶着されている。排出筒部37Cは、下流側端部に排気管23(図4図5参照)が接続される断面円形の筒状に形成されている。
【0037】
フランジ部37Bは、円筒部37Aの上流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられ、上記上流筒体35のフランジ部35Cに対して面対称に形成されている。従って、フランジ部37Bの上流側端面である接続面37Dは、軸方向に直交する環状の平坦面として形成され、浄化用筒体36の下流側フランジ部36Cに当接されて接続される(図4図5参照)。
【0038】
このように構成された下流筒体37は、図5及び図7に示すように、円筒部37Aの下面側に、側面視クランク状に折り曲げて形成された板状の支持部材(第2支持部)45の上端面が、この支持部材45の下端側が円筒部37Aよりも軸方向下流側に位置するように溶接等で固着されている。そして、支持部材45の下端側には、貫通孔45Aが形成されており、側面視クランク状に折り曲げて形成された板状の取付台座27の下端側27Bの上面部に載置されて、貫通孔45Aに挿通されたボルト46によりボルト止めされる。また、取付台座27は、下流筒体37の軸方向に対して直交する方向に沿って配置され、支持部材45の長手方向に対して直交した状態で、該支持部材45の下端側がボルト止めされている。
【0039】
支持部材45の下端側にボルト止めされた取付台座27の上端側27Aには、下流筒体37の軸方向に長い長孔47が形成されている。そして、図4乃至図6に示すように、取付台座27は、上端側27Aが架台28の上面部に載置されると共に、上端側27Aの下端側27Bに対向する端縁部から略直角に下方に延出された壁部27Cが、架台28の車両後方側の端部に当接された状態で配置され、長孔47に挿通されたボルト31により架台28にボルト止めされる。
【0040】
ここで、図5及び図6に示すように、上流筒体35と下流筒体37との間に浄化用筒体36が同軸に取り付けられた場合には、ボルト31は、長孔47の長手方向において下流筒体37に対して反対側の端部の近傍に位置して、ボルト止めされている。また、図9及び図10に示すように、上流筒体35と下流筒体37との間から浄化用筒体36が取り外された場合には、ボルト31は、少し緩められた状態で、長孔47の長手方向において下流筒体37に近い側の端部の近傍に位置している。
【0041】
従って、下流筒体37は、支持部材45と架台28上にボルト止めされた取付台座27を介して、長孔47の長さだけ軸方向前後に移動させて固定できる。尚、架台28の車両後方側の端部は、排気ガス浄化装置21の軸方向に沿って、つまり、車幅方向に沿って設けられている。そして、ボルト31を少し緩めて、取付台座27の壁部27Cを架台28の車両後方側の端部に当接させた状態でスライド移動させることによって、下流筒体37を軸方向前後に容易に移動させることができる。
【0042】
次に、図7及び図9に示すように、浄化用筒体36は、上流筒体35に収容された酸化触媒25を通った排気ガスが流入する円筒状の円筒部36Aと、上流側フランジ部36Bと、下流側フランジ部36Cと、把持部36Dと、円筒部36A内に収容されるDPF26と、から構成されている。円筒部36Aは、上流筒体35の円筒部35Bとほぼ同じ外径の円筒状に形成され、内側に略円柱状に形成されたDPF26がほぼ全長に渡って嵌入されている。
【0043】
上流側フランジ部36Bは、円筒部36Aの上流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられている。下流側フランジ部36Cは、円筒部36Aの下流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられている。この上流側フランジ部36Bと下流側フランジ部36Cは、同じ構成である。また、上流側フランジ部36Bの上流側端面である接続面36Eは、軸方向に直交する環状の平坦面として形成され、後述のように、上流筒体35のフランジ部35Cの接続面35Dに当接されて接続される(図8参照)。
【0044】
下流側フランジ部36Cの下流側端面である接続面36F(図9参照)は、軸方向に直交する環状の平坦面として形成され、下流筒体37のフランジ部37Bの接続面37Dに当接されて接続される。また、円筒部36Aの外周面の軸方向中央部には、軸方向視T字形の把持部36Dが外周面から鉛直方向上方に突出して設けられている。把持部36Dは、円筒部36Aの外周面の軸方向中央部から径方向外側に突出する突出軸361と、突出軸361の先端部に形成されたネジ部361Aがねじ込まれるネジ孔362Aが、長手方向中央部に形成された把持軸362と、から構成されている。突出軸361の基端部は、円筒部36Aの外周面にネジ止め、レーザ溶着等によって固定されている。これにより、作業者は、把持部36Dの把持軸362を握って、浄化用筒体36を持ち運ぶことができる。
【0045】
DPF26は、図8に示すように、例えば、セラミックス材料等からなる多孔質な部材によって円柱状に形成されたフィルタ本体26Aと、該フィルタ本体26Aの外周側に全周に渡って設けられた緩衝材となる円筒状の断熱材26Bとから構成されている。フィルタ本体26Aは、軸方向に多数の小孔が設けられたハニカム構造のセル状筒体をなし、各小孔は、隣同士で交互に異なる端部が目封じ部材によって閉塞されている。そして、フィルタ本体26Aは、上流側から各小孔に流入する排気ガスを多孔質材料に通すことで粒子状物質(PM)を捕集し、排気ガスのみを隣の小孔を通じて下流側へと流出させる。
【0046】
この場合、フィルタ本体26Aによって捕集された粒子状物質は、定期的に排気ガス温度を上昇させて燃焼除去されるが、その一部は灰となって小孔内に徐々に堆積する。また、その他の未燃焼残留物、例えば、エンジンオイル中の重金属、カルシウム等も徐々に堆積する。そこで、後述のように、浄化用筒体36を取り外し、DPF26をクリーニングする構成となっている(図9参照)。
【0047】
また、図7図9に示すように、上流側フランジ部36Bの接続面36Eと、下流側フランジ部36Cの接続面36Fとには、それぞれ、径方向内側周縁部から周方向全周に渡って、ほぼ同じ突出高さで軸方向外側へ突出して、径方向に所定厚さを有する正面視リング状の挿入用リブ部51が、円筒部36Aに対して同軸に設けられている。
【0048】
また、接続面36Eと接続面36Fとには、それぞれ、挿入用リブ部51の半径方向外側の基端部に沿って周方向全周に渡って軸方向内側に窪む、半径方向断面コの字状に形成されたガスケット挿入溝部52が形成されている。各ガスケット挿入溝部52には、断面略矩形でリング状のガスケット53が、それぞれ1個ずつ挿入用リブ部51に挿通された状態で挿入される(図8参照)。
【0049】
また、図7図9に示すように、上流筒体35と下流筒体37との間に浄化用筒体36を同軸に配置した場合に、上流筒体35のフランジ部35Cの接続面35Dと、下流筒体37のフランジ部37Bの接続面37Dとには、それぞれ、各挿入用リブ部51に相対向する位置に、該挿入用リブ部51が挿入される正面視円形状で断面略コの字状の挿入溝部59が周方向全周に渡って形成されている。各挿入溝部59の深さは、各挿入用リブ部51の浄化用筒体36の各フランジ部36B、36Cの各接続面36E、36Fからの突出高さにほぼ等しい深さ寸法に形成されている。各挿入溝部59の径方向の幅は、各挿入用リブ部51の径方向の厚さにほぼ等しい寸法に形成されている。
【0050】
尚、各挿入用リブ部51の各接続面36E、36Fからの突出高さは、異なるように形成してもよい。例えば、各挿入用リブ部51の接続面36Eからの突出高さが、一方は、突出高さ約3mmで、他方は、突出高さ約6mmとなるように形成してもよい。そして、各挿入溝部59の深さを、一方は、深さ約3mmで、他方は、深さ約6mmの深さ寸法となるように形成してもよい。これにより、上流筒体35と下流筒体37との間に浄化用筒体36を同軸に配置した場合に、浄化用筒体36の軸方向の向きを常に一定にして、DPF26の排気ガスの流れ方向に合わせて取り付けることができる。
【0051】
ここで、クランプ結合具67について図2図4図5及び図8に基づいて説明する。図2図4図5及び図8に示すように、クランプ結合具67は、略U字形又は略V字形(図8には、略U字形の一例を示している。)の断面形状を有する半円弧状の2個の枠体67Aと、各枠体67Aの一端側を回動可能に連結するヒンジ部67Bと、各枠体67Aの他端側を接続するボルト・ナット式の接続部67Cとから構成されている。
【0052】
そして、クランプ結合具67は、接続部67Cのボルト67Dを締め付けることによって、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bと上流筒体35のフランジ部35Cとを軸方向に締め付けるものである。また、クランプ結合具67は、接続部67Cのボルト67Dを締め付けることによって、浄化用筒体36の下流側フランジ部36Cと下流筒体37のフランジ部37Bとを軸方向に締め付けるものである。
【0053】
次に、DPF26のクリーニングを行うために、カウンタウエイト12の上部に設けられた開口部18Aの切欠き窓部18Bを介して、上記のように構成された排気ガス浄化装置21の浄化用筒体36を上流筒体35と下流筒体37との間から取り外す手順について図9及び図10に基づいて説明する。尚、作業者は、先ず、カウンタウエイト12の上部の開口部18Aを覆う蓋部材32(図2参照)を取り外す。そして、作業者は、切欠き窓部18Bを介して、各クランプ結合具67の接続部67Cのボルト67D(図3図4参照)をナットから外して、各クランプ結合具67を取り外している。続いて、作業者は、開口部18Aの切欠き窓部18Bを介して、以下の作業を行う。
【0054】
図9及び図10に示すように、作業者は、取付台座27の上端側27Aに形成された長孔47に挿通されるボルト31を少し緩めて、下流筒体37が支持部材45及び取付台座27と一体的に軸方向下流側(図9中、左側)へ移動可能にすると共に、各接続面35D、36Eの間、及び、各接続面36F、37Dの間の軸方向における密着力を解放する。続いて、作業者は、浄化用筒体36の円筒部36Aの外周面から鉛直方向上方に突出する把持部36Dの把持軸362を握った状態で、下流筒体37を浄化用筒体36から離間する方向、つまり、軸方向下流側(図9中、矢印61方向)へ移動させる。
【0055】
そして、図10に示すように、作業者は、取付台座27を下流筒体37及び支持部材45と一体的に軸方向下流側へ移動させ、取付台座27の上端側に形成される長孔47の長手方向において下流筒体37側の端部をボルト31に当接させ、若しくは、ボルト31の近傍に位置させる。これにより、作業者は、浄化用筒体36の下流側フランジ部36Cの挿入用リブ部51を、下流筒体37のフランジ部37Bの挿入溝部59から抜き出して、下流筒体37を浄化用筒体36から取り外す。
【0056】
そして、作業者は、把持部36Dの把持軸362を握った状態で、該浄化用筒体36を上流筒体35から離間する方向、つまり、軸方向下流側(図9中、矢印62方向)へ略水平に移動させる。これにより、作業者は、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bの挿入用リブ部51を、上流筒体35のフランジ部35Cの挿入溝部59から抜き出して、浄化用筒体36を上流筒体35から取り外すことができる。
【0057】
その後、作業者は、把持部36Dの把持軸362を握った状態で、該浄化用筒体36を鉛直方向上側(図9中、矢印63方向)へ、つまり、車両上方側へ移動させて、カウンタウエイト12の上部に形成された開口部18Aの切欠き窓部18B(図3参照)から、車両外部に取り出す。これにより、作業者は、上流筒体35を支持部材41及びボルト42を介して取付用ブラケット29上に固定し、且つ、下流筒体37を支持部材45、取付台座27及びボルト31を介して架台28上に軸方向移動可能に取り付けた状態で、把持軸362を持って浄化用筒体36のみを切欠き窓部18B(図3参照)から上方に取り出すことができる。
【0058】
そして、浄化用筒体36内に収容されたDPF26のフィルタ本体26A(図8参照)に、例えば、エアガン等を用いて圧縮空気を吹き付け、小孔内に堆積した粒子状物質の灰、未燃焼残留物を除去することにより、DPF26をクリーニングして捕集機能を再生することができる。従って、DPF26をクリーニングした後には、このDPF26を収容した浄化用筒体36を再度、上流筒体35と下流筒体37との間に取り付けることができる(図11参照)。
【0059】
次に、DPF26をクリーニングした後、上記のように構成された排気ガス浄化装置21の浄化用筒体36を上流筒体35と下流筒体37との間に取り付ける手順について図4図5図8図11及び図12に基づいて説明する。図11に示すように、先ず、作業者は、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bと下流側フランジ部36Cのそれぞれの挿入用リブ部51にリング状のガスケット53を挿通して、該ガスケット53を更に、ガスケット挿入溝部52に挿入する。そして、作業者は、カウンタウエイト12の上部に設けられた開口部18Aの切欠き窓部18B(図3参照)を介して、以下の作業を行う。
【0060】
先ず、作業者は、浄化用筒体36の円筒部36Aの外周面から鉛直方向上方に突出する把持部36Dの把持軸362を持って、開口部18Aの切欠き窓部18Bから鉛直方向下方(図11中、矢印71方向)へ挿入して、該浄化用筒体36を上流筒体35と下流筒体37との間に位置させる。そして、作業者は、把持部36Dの把持軸362を持った状態で、浄化用筒体36を上流筒体35側(図11中、矢印72方向)へ移動させて、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bの正面視リング状の挿入用リブ部51を、上流筒体35のフランジ部35Cの挿入溝部59に挿入する(図8参照)。尚、上流筒体35は、ボルト42によって支持部材41を介して取付用ブラケット29上に固定されている。
【0061】
続いて、図11及び図12に示すように、作業者は、取付台座27の上端側27Aに形成された長孔47に挿通されるボルト31が少し緩められているため、把持部36Dの把持軸362を持った状態で、下流筒体37を取付台座27及び支持部材45と一体的に浄化用筒体36側(図11中、矢印73方向)へ移動させる。そして、作業者は、把持部36Dの把持軸362を持った状態で、浄化用筒体36の下流側フランジ部36Cの正面視リング状の挿入用リブ部51(図9参照)を、下流筒体37のフランジ部37Bの挿入溝部59に挿入して、ボルト31を仮締めする。
【0062】
そして、図4図5及び図8に示すように、作業者は、先ず、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bと上流筒体35のフランジ部35Cの径方向外周部に、環状のクランプ結合具67を組み付ける。そして、作業者は、このクランプ結合具67の接続部67Cのボルト67Dを締め付けて、上流側フランジ部36Bのガスケット挿入溝部52に挿入されたガスケット53を押し潰しつつ、上流側フランジ部36Bの接続面36Eを、相対向する上流筒体35のフランジ部35Cの接続面35Dに当接させて、固定する。
【0063】
続いて、作業者は、浄化用筒体36の下流側フランジ部36Cと下流筒体37のフランジ部37Bの径方向外周部に、環状のクランプ結合具67を組み付ける。その後、作業者は、取付台座27の上端側27Aに形成された長孔47に挿通されるボルト31を少し緩めて、このクランプ結合具67の接合部67Cのボルト67Dを締め付けて、下流側フランジ部36Cのガスケット挿入溝部52に挿入されたガスケット53を押し潰しつつ、下流側フランジ部36Cの接続面36F(図9参照)を、相対向する下流筒体37のフランジ部37Bの接続面37Dに当接させて、固定する。
【0064】
この状態で、作業者は、取付台座27の長孔47に挿通されるボルト31を締め付けて、下流筒体37を支持部材45及び取付台座27を介して架台28上に固定する。図12に示すように、この場合には、ボルト31は、長孔47の長手方向において下流筒体37に対して反対側の端部に当接して、若しくは、この端部の近傍に位置して、締結されている。
【0065】
これにより、図4及び図5に示すように、排気ガス浄化装置21は、浄化用筒体36が上流筒体35と下流筒体37との間に同軸に配置されると共に、上流筒体35、浄化用筒体36及び下流筒体37の軸方向の位置合わせが行われた状態で、車体11の通風室18内に固定される(図1参照)。その後、作業者は、開口部18A及び切欠き窓部18Bを蓋部材32で覆って、この蓋部材32をボルト止め等によって固定して、DPF26のクリーニングを終了する(図2参照)。
【0066】
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るフォークリフト10では、車体11の後方側には、カウンタウエイト12が搭載されている。また、ラジエータ17とカウンタウエイト12との間に形成された通風室18内に排気ガス浄化装置21が車幅方向に沿って配置されている。通風室18の天井部には、上方に開放された車幅方向に長い平面視略矩形状の開口部18Aが形成されている。また、開口部18Aの車両後方側の側縁部には、車幅方向略中央部から車両後方側へ、平面視コの字状に切り欠かれた切欠き窓部18Bが形成されている。切欠き窓部18Bは、排気ガス浄化装置21の軸方向略中央部に配置される浄化用筒体36及び一対のクランプ結合具67の直上に形成されている。
【0067】
また、排気ガス浄化装置21の上流筒体35は、支持部材41を介して取付用ブラケット29にボルト止めされ、固定されている。また、排気ガス浄化装置21の下流筒体37は、支持部材45及び取付台座27を介して、架台28上にボルト31によってボルト止めされている。ボルト31は、取付台座27の上端側27Aに形成された下流筒体37の軸方向に長い長孔47に挿通されて、架台28に締結されている。
【0068】
従って、作業者は、カウンタウエイト12の車両上方側に形成された開口部18Aの切欠き窓部18Bを介して、一対のクランプ結合具67を取り外す。その後、作業者は、車両上方側から取付台座27を取り付けているボルト31を緩めることによって、下流筒体37、支持部材45及び取付台座27を長孔47に沿って軸方向に一体的に移動させることができる。これにより、作業者は、浄化用筒体36の把持部36Dの把持軸362を握った状態で、下流筒体37を迅速に軸方向外側に移動させて、浄化用筒体36だけを取り外すことができる。そして、作業者は、把持部36Dを握った状態で、浄化用筒体36のみを切欠き窓部18Bから車両上方側へ取り出すことができる。
【0069】
そして、作業者は、DPF26をクリーニングした後、再び、車両上方側から浄化用筒体36を把持部36Dを把持した状態で、上流筒体35と下流筒体37との間に配置し、下流筒体37を浄化用筒体36側へスライド移動させて、浄化用筒体36を上流筒体35と下流筒体37との間に同軸に直列接続する。続いて、作業者は、車両上方側から開口部18Aの切欠き窓部18Bを介して一対のクランプ結合具67によって各フランジ部35C、36Bと、各フランジ部36C、37Bを挟んで互いに接続する。その後、作業者は、取付台座27をボルト31によって架台28に締結することによって、DPF26のクリーニング作業が終了する。
【0070】
これにより、作業者は、クレーン等の設備を用いることなく、客先で排気ガス浄化装置21のクリーニング作業を行うことができるため、排気ガス浄化装置21のクリーニング作業に必要な作業時間の短縮化を図り、フォークリフト10の稼働効率を向上させることができる。また、簡易な構成により、作業者は、開口部18Aの切欠き窓部18Bを介して、車両上方側から浄化用筒体36の取り付け、取り外しをクレーン等を用いないで、容易に行うことができる。
【0071】
また、浄化用筒体36の上流側と下流側の各フランジ部36B、36Cの各接続面36E、36Fと、上流筒体35と下流筒体37の各フランジ部35C、37Bの各接続面35D、37Dとを当接させた場合には、各フランジ部36B、36Cの各接続面36E、36Fよりも軸方向外側へ、周方向全周に渡って所定高さ突出するリング状の各挿入用リブ部51が、各フランジ部35C、37Bの各接続面35D、37Dの周方向全周に渡って形成された正面視環状の各挿入溝部59に挿入される。これにより、浄化用筒体36が、各挿入用リブ部51を介して、上流筒体35と下流筒体37に対して同軸に支持されるため、上流筒体35と下流筒体37との間に浄化用筒体36を接続するときの作業性の更なる向上を図ることができる。
【0072】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るフォークリフト81の概略構成について図13乃至図15に基づいて説明する。尚、図13乃至図15に示される矢印RRは、車両後方側を示し、また、矢印UPRは車両上方側を示している。また、矢印INRは、車幅方向内側を示している。また、以下の説明及び図13乃至図21において上記図1図12に示す第1実施形態に係るフォークリフト10、排気ガス浄化装置21の構成等と同一符号は、第1実施形態に係るフォークリフト10、排気ガス浄化装置21の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0073】
第2実施形態に係るフォークリフト81の全体構成は、第1実施形態に係るフォークリフト10とほぼ同じ構成である。但し、図13乃至図15に示すように、フォークリフト81のラジエータ17の後方側に設けられた通風室18は、天井部が塞がれて、開口部18A及び切欠き窓部18Bが設けられていない。一方、カウンタウエイト12の後壁部には、上下2箇所に設けられた後向き吹き出し口19に替えて、車幅方向に沿って配置された排気ガス浄化装置21に対向する位置に、後方開口部82が車両前後方向に貫通して設けられている。
【0074】
後方開口部82は、図14に示すように、排気ガス浄化装置21の軸方向長さとほぼ等しい車幅方向の長さで、図15に示すように、把持部36Dが設けられた浄化用筒体36が通過し得る車両上下方向の幅を有する断面略横長矩形状に形成されている。後方開口部82は、図14に示すように、車幅方向に沿って配置された排気ガス浄化装置21の約上半分が車両後方側から見えるように設けられている。従って、ラジエータ17を通過した送風は、通風室18を経て、カウンタウエイト12の後壁部を前後方向に貫通する後方開口部82から車両後方へ吹き出される。
【0075】
また、図13及び図15に示すように、車体11の後端部の下端11Rと、後輪13Rとの間には、隙間L1が形成されている。この隙間L1は、例えば、車体11が止まった状態で後輪13Rだけをその場で動かして、後方左側へ曲る方向に最大角度まで据え切りした状態において、作業者が、手に持ったスパナ83等の工具を、排気ガス浄化装置21の下流筒体37を支持する支持部材45及び第2取付台座87の取り付け位置まで挿入してボルト88を操作することが可能となっている。
【0076】
また、図15乃至図17に示すように、排気ガス浄化装置21の上流筒体35を支持する側面視クランク状に折り曲げられた支持部材41の下端側は、取付用ブラケット29(図5参照)に替えて、車体フレーム11Aの車両後方側の壁面部から略水平に突出する上流側取付ブラケット85の上面部85Aに載置されて、支持部材41の貫通孔41Aに挿通されたボルト42により上面部85Aにボルト止めされる。上流側取付ブラケット85は、車幅方向から見て側面視L字状に形成され、略矩形の平板状に形成された上面部85Aの車両前方側の端部から鉛直上方に折り曲げられた略矩形の壁部85Bが、車体フレーム11Aの車両後方側の壁面部に溶接等によって固定されている。
【0077】
また、図15乃至図17に示すように、排気ガス浄化装置21の下流筒体37を支持する側面視クランク状に折り曲げられた支持部材45の下端側は、取付台座27(図5参照)に替えて、下流筒体37の軸方向に沿って水平に配置された第2取付台座(取付台座部)87の上面部87Aに載置されて、支持部材45の貫通孔45Aに挿通されたボルト46により上面部87Aにボルト止めされる。
【0078】
第2取付台座87は、車幅方向外側(図16中、左側)から見て側面視逆L字状に形成され、車幅方向に長い長方形の平板状に形成された上面部87Aと、上面部87Aの車両前方側の端部から鉛直下方に折り曲げられた補強壁部87Bと、補強壁部87Bの車幅方向内側(図16中、右側)の端部から略直角車両後方側に折り曲げられた矩形状の取付案内部87Cと、から構成されている。また、第2取付台座87の取付案内部87Cには、ボルト88が車幅方向外側(図16中、左側)から嵌挿される第1貫通孔89Aと、第1貫通孔89Aの横側に形成されて、後述の細長略円柱状の案内軸92が車幅方向内側(図16中、右側)から嵌挿される第2貫通孔89Bと、が形成されている。
【0079】
ボルト88は、軸部88Aが浄化用筒体36の各挿入用リブ部51の各フランジ部36B、36Cからの突出高さの合計長さよりも長い長さ(例えば、長さ約40mm~60mmである。)に形成されると共に、軸部88Aの全長に渡ってネジが形成されている。そして、第2取付台座87の取付案内部87Cは、第2貫通孔89Bに細長略円柱状の案内軸92が嵌挿された状態で、下流側取付ブラケット91の取付部91Aの車幅方向外側面(図16中、左側面)に当接され、若しくは、接近した状態で、第1貫通孔89Aに挿通されたボルト88によってボルト止めされる。
【0080】
下流側取付ブラケット91の取付部91Aは、車体フレーム11Aの車両後方側の壁面部から、下流筒体37の軸方向に対して直交するように突出する略矩形の平板状に形成されている。また、下流側取付ブラケット91は、車両上方から見て側面視L字状に形成され、略矩形の平板状に形成された取付部91Aの車両前方側の端部から略直角車幅方向内側に折り曲げられた略矩形の壁部91Bが、車体フレーム11Aの車両後方側の壁面部に溶接等によって固定されている。
【0081】
また、下流側取付ブラケット91の取付部91Aは、第2取付台座87の取付案内部87Cに形成された第1貫通孔89Aに対向する位置に、不図示の貫通孔が形成され、この貫通孔の車幅方向内側端部に、ナット93が溶接等によって固着されている。また、下流側取付ブラケット91の取付部91Aは、ナット93の横側において、第2取付台座87の取付案内部87Cに形成された第2貫通孔89Bに対向する位置に、不図示の貫通孔が形成され、細長略円柱状の案内軸92が車幅方向内側(図16中、右側)から嵌挿されて、案内軸92の頭部92Aが、取付部91Aに溶接等によって固着されている。
【0082】
案内軸92は、浄化用筒体36の各挿入用リブ部51の各フランジ部36B、36Cからの突出高さの合計長さよりも長い長さ(例えば、長さ約40mm~60mmである。)の細長略円柱状に形成されている。また、案内軸92の長さは、ボルト88の長さとほぼ同じ長さ、若しくは、ボルト88の長さよりも長い長さに形成されるのが好ましい。また、案内軸92の先端部は、半球状、若しくは、先細り形状に形成されている。
【0083】
ここで、図15及び図16に示すように、上流筒体35と下流筒体37との間に浄化用筒体36が同軸に取り付けられた場合には、下流筒体37は、支持部材45及び第2取付台座87を介して、下流側取付ブラケット91にボルト88によってボルト止めされている。また、案内軸92は、第2取付台座87の取付案内部87Cに形成された第2貫通孔89Bに嵌挿されている。
【0084】
また、図18に示すように、各クランプ結合具67を取り外して、上流筒体35と下流筒体37との間から浄化用筒体36が取り外された場合には、ボルト88は所定長さ(例えば、長さ約30mm)だけ緩められた状態で、第2取付台座87は、案内軸92及びボルト88の軸部88Aに案内されて車幅方向外側(図18中、左側)へスライド移動されている。従って、ボルト88を所定長さ(例えば、長さ約30mm)だけ緩めて、第2取付台座87を案内軸92及びボルト88の軸部88Aに沿ってスライド移動させることによって、下流筒体37、支持部材45及び第2取付台座87を一体的に軸方向前後に容易に移動させることができる。
【0085】
次に、DPF26のクリーニングを行うために、カウンタウエイト12の後壁部に設けられた後方開口部82を介して、上記のように構成された排気ガス浄化装置21の浄化用筒体36を上流筒体35と下流筒体37との間から取り外す手順について図15図18及び図19に基づいて説明する。
【0086】
尚、作業者は、先ず、車体11が止まった状態で後輪13Rだけをその場で動かして、後方左側へ曲る方向に最大角度まで据え切りする。そして、作業者は、図15に示すように、車体11の後端部の下端11Rと、後輪13R(図13参照)との間に形成された隙間L1から、スパナ83等の工具を手で持って差し込み、図19の上側に示すように、ボルト88を所定長さ(例えば、長さ約30mm)だけ緩める。
【0087】
そして、作業者は、後方開口部82を介して、各クランプ結合具67の接続部67Cのボルト67D(図14図16参照)をナットから外して、各クランプ結合具67を取り外している。これにより、下流筒体37が支持部材45及び第2取付台座87と一体的に軸方向下流側(図18中、左側)へ移動可能となると共に、各接続面35D、36Eの間、及び、各接続面36F、37Dの間の軸方向における密着力が解放される。続いて、作業者は、後方開口部82を介して、以下の作業を行う。
【0088】
図18及び図19に示すように、作業者は、浄化用筒体36の円筒部36Aの外周面から鉛直方向上方に突出する把持部36Dの把持軸362を握った状態で、下流筒体37を浄化用筒体36から離間する方向、つまり、軸方向下流側(図18中、矢印96方向)へ押して、第2取付台座87を下流筒体37及び支持部材45と一体的に案内軸92及びボルト88の軸部88Aに沿って軸方向下流側(図19中、矢印101方向)へスライド移動させる。
【0089】
そして、作業者は、第2取付台座87の取付案内部87Cをボルト88の頭部に当接させ、若しくは、ボルト88の頭部の近傍に位置させる。これにより、作業者は、浄化用筒体36の把持部36Dの把持軸362を握った状態で、浄化用筒体36の下流側フランジ部36Cの挿入用リブ部51を、下流筒体37のフランジ部37Bの挿入溝部59から抜き出して、下流筒体37を浄化用筒体36から取り外す。
【0090】
続いて、作業者は、把持部36Dの把持軸362を握った状態で、該浄化用筒体36を上流筒体35から離間する方向、つまり、軸方向下流側(図18中、矢印97方向)へ略水平に移動させる。これにより、作業者は、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bの挿入用リブ部51を、上流筒体35のフランジ部35Cの挿入溝部59から抜き出して、浄化用筒体36を上流筒体35から取り外す。
【0091】
その後、作業者は、図15及び図18に示すように、把持部36Dの把持軸362を握った状態で、該把持部36Dを斜め手前側へ傾けた状態で、車両後方側(図18中、矢印98方向)へ移動させて、カウンタウエイト12の後壁部に形成された後方開口部82から、車両外部に取り出す。これにより、作業者は、上流筒体35を支持部材41及びボルト42を介して上流側取付ブラケット85の上面部85A上に固定し、且つ、下流筒体37を支持部材45及び第2取付台座87を介して下流側取付ブラケット91の取付部91Aに軸方向移動可能に取り付けた状態で、把持軸362を持って浄化用筒体36のみを後方開口部82から車両後方へ取り出すことができる。
【0092】
そして、浄化用筒体36内に収容されたDPF26のフィルタ本体26A(図8参照)に、例えば、エアガン等を用いて圧縮空気を吹き付け、小孔内に堆積した粒子状物質の灰、未燃焼残留物を除去することにより、DPF26をクリーニングして捕集機能を再生することができる。従って、DPF26をクリーニングした後には、このDPF26を収容した浄化用筒体36を再度、上流筒体35と下流筒体37との間に取り付けることができる(図20参照)。
【0093】
次に、DPF26をクリーニングした後、上記のように構成された排気ガス浄化装置21の浄化用筒体36を上流筒体35と下流筒体37との間に取り付ける手順について図15図16図20及び図21に基づいて説明する。図20に示すように、先ず、作業者は、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bと下流側フランジ部36Cのそれぞれの挿入用リブ部51にリング状のガスケット53を挿通して、該ガスケット53を更に、ガスケット挿入溝部52に挿入する。そして、作業者は、カウンタウエイト12の後壁部に設けられた後方開口部82(図14参照)を介して、以下の作業を行う。
【0094】
先ず、図15及び図20に示すように、浄化用筒体36の円筒部36Aの外周面から鉛直方向上方に突出する把持部36Dの把持軸362を握った状態で、該把持部36Dを斜め手前側へ傾けた状態で、後方開口部82から車両前方側(図20中、矢印105方向)へ挿入して、該浄化用筒体36を上流筒体35と下流筒体37との間に位置させる。そして、作業者は、把持部36Dの把持軸362を持った状態で、浄化用筒体36を上流筒体35側(図20中、矢印106方向)へ移動させて、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bの正面視リング状の挿入用リブ部51を、上流筒体35のフランジ部35Cの挿入溝部59に挿入する(図8参照)。尚、上流筒体35は、ボルト42によって支持部材41を介して上流側取付ブラケット85上に固定されている。
【0095】
続いて、図20及び図21に示すように、作業者は、浄化用筒体36の円筒部36Aの外周面から鉛直方向上方に突出する把持部36Dの把持軸362を握った状態で、下流筒体37を浄化用筒体36側へ、つまり、軸方向上流側(図20中、矢印107方向)へ押して、第2取付台座87を下流筒体37及び支持部材45と一体的に案内軸92及びボルト88の軸部88Aに沿って軸方向上流側(図21中、矢印107方向)へスライド移動させる。そして、作業者は、把持部36Dの把持軸362を持った状態で、浄化用筒体36の下流側フランジ部36Cの正面視リング状の挿入用リブ部51(図18参照)を、下流筒体37のフランジ部37Bの挿入溝部59に挿入する。
【0096】
そして、図16に示すように、作業者は、先ず、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bと上流筒体35のフランジ部35Cの径方向外周部に、環状のクランプ結合具67を組み付ける。そして、作業者は、このクランプ結合具67の接続部67Cのボルト67Dを締め付けて、上流側フランジ部36Bのガスケット挿入溝部52に挿入されたガスケット53を押し潰しつつ、上流側フランジ部36Bの接続面36Eを、相対向する上流筒体35のフランジ部35Cの接続面35Dに当接させて、固定する。
【0097】
続いて、作業者は、浄化用筒体36の下流側フランジ部36Cと下流筒体37のフランジ部37Bの径方向外周部に、環状のクランプ結合具67を組み付ける。そして、作業者は、このクランプ結合具67の接合部67Cのボルト67Dを締め付けて、下流側フランジ部36Cのガスケット挿入溝部52に挿入されたガスケット53を押し潰しつつ、下流側フランジ部36Cの接続面36F(図9参照)を、相対向する下流筒体37のフランジ部37Bの接続面37Dに当接させて、固定する。
【0098】
この状態で、図15に示すように、作業者は、車体11の後端部の下端11Rと、後輪13R(図13参照)との間に形成された隙間L1から、スパナ等の工具を手で持って差し込み、図21に示すように、ボルト88を締め付けて、下流筒体37を支持部材45及び第2取付台座87を介して下流側取付ブラケット91の取付部91Aに固定する。この場合には、第2取付台座87の取付案内部87Cは、下流側取付ブラケット91の取付部91Aに当接して、若しくは、この取付部91Aの近傍に位置して、固定されている。
【0099】
これにより、DPF26のクリーニング作業が終了し、図16に示すように、排気ガス浄化装置21は、浄化用筒体36が上流筒体35と下流筒体37との間に同軸に配置されると共に、上流筒体35、浄化用筒体36及び下流筒体37の軸方向の位置合わせが行われた状態で、車体11の通風室18内に固定される(図13参照)。
【0100】
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係るフォークリフト81では、車体11の後方側には、カウンタウエイト12が搭載されている。また、ラジエータ17とカウンタウエイト12との間に形成された通風室18内に排気ガス浄化装置21が車幅方向に沿って配置されている。通風室18は、天井部が塞がれている。一方、カウンタウエイト12の後壁部には、車幅方向に沿って配置された排気ガス浄化装置21に対向する位置に、後方開口部82が車両前後方向に貫通して設けられている。
【0101】
後方開口部82は、排気ガス浄化装置21の軸方向長さとほぼ等しい車幅方向の長さで、把持部36Dが設けられた浄化用筒体36が通過し得る車両上下方向の幅を有する断面略横長矩形状に形成されている。後方開口部82は、車幅方向に沿って配置された排気ガス浄化装置21の約上半分が車両後方側から見えるように設けられている。
【0102】
また、排気ガス浄化装置21の上流筒体35は、支持部材41を介して上流側取付ブラケット85にボルト止めされ、固定されている。また、排気ガス浄化装置21の下流筒体37は、支持部材45及び第2取付台座87を介して、下流側取付ブラケット91の取付部91Aにボルト88によってボルト止めされている。また、第2取付台座87の取付案内部87Cに形成された第1貫通孔89Aに、ボルト88が車幅方向外側から嵌挿されると共に、取付案内部87Cに形成された第2貫通孔89Bに、下流側取付ブラケット91の取付部91Aから車幅方向外側へ突出する細長略円柱状の案内軸92が嵌挿されている。ボルト88は、案内軸92とほぼ同じ長さで、全長に渡ってネジが形成された軸部88Aを有している。
【0103】
また、車体11の後端部の下端11Rと、後輪13Rとの間には、隙間L1が形成されている。この隙間L1は、車体11が止まった状態で後輪13Rだけをその場で動かして、後輪13Rを据え切りすることによって、作業者が、手に持ったスパナ83等の工具を、排気ガス浄化装置21の下流筒体37を支持する第2取付台座87の取り付け位置まで挿入してボルト88を操作することが可能となっている。
【0104】
従って、作業者は、後輪13Rを据え切りして、車体11の後端部の下端11Rと、後輪13Rとの間に形成された隙間L1から、スパナ83等の工具を手で持って差し込み、ボルト88を所定長さ(例えば、長さ約30mm)だけ緩める。そして、作業者は、後方開口部82を介して、一対のクランプ結合具67を取り外す。続いて、作業者は、把持部36Dの把持軸362を握った状態で、下流筒体37、支持部材45及び第2取付台座87を一体的に案内軸92及びボルト88の軸部88Aに沿って軸方向下流側へスライド移動させることができる。
【0105】
これにより、作業者は、浄化用筒体36の把持部36Dの把持軸362を握った状態で、下流筒体37を迅速に軸方向外側に移動させて、浄化用筒体36だけを取り外すことができる。そして、作業者は、把持部36Dを把持した状態で、浄化用筒体36のみを後方開口部82から車両後方側へ取り出すことができる。
【0106】
そして、作業者は、DPF26をクリーニングした後、再び、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bと下流側フランジ部36Cにガスケット53を取り付ける。その後、作業者は、浄化用筒体36の把持部36Dの把持軸362を把持して、後方開口部82から車両前方側へ挿入して、該浄化用筒体36を上流筒体35と下流筒体37との間に配置する。そして、作業者は、下流筒体37を浄化用筒体36側へスライド移動させて、浄化用筒体36を上流筒体35と下流筒体37との間に同軸に直列接続する。
【0107】
続いて、作業者は、車両後方側から後方開口部82を介して一対のクランプ結合具67によって各フランジ部35C、36Bと、各フランジ部36C、37Bを挟んで互いに接続する。その後、作業者は、車体11の後端部の下端11Rと、後輪13Rとの間に形成された隙間L1から、スパナ83等の工具を手で持って差し込み、第2取付台座87をボルト88によって下流側取付ブラケット91に締結することによって、DPF26のクリーニング作業が終了する。
【0108】
これにより、作業者は、クレーン等の設備を用いることなく、客先で排気ガス浄化装置21のクリーニング作業を行うことができるため、排気ガス浄化装置21のクリーニング作業に必要な作業時間の短縮化を図り、フォークリフト81の稼働効率を向上させることができる。また、簡易な構成により、作業者は、後方開口部82を介して、車両後方側から浄化用筒体36の取り付け、取り外しをクレーン等を用いないで、容易に行うことができる。
【0109】
本発明の排気ガス浄化装置の取付構造は、前記第1実施形態及び第2実施形態で説明した構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更、改良、追加、削除が可能である。尚、以下の説明において上記図1図21に示す前記第1実施形態及び第2実施形態に係る各フォークリフト10、81、及び排気ガス浄化装置21の構成等と同一符号は、前記第1実施形態及び第2実施形態に係る各フォークリフト10、81、及び排気ガス浄化装置21の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0110】
(A)例えば、第2実施形態に係るフォークリフト81では、カウンタウエイト12の後壁部に設けられた後方開口部82の車両後方側端部に、この後方開口部82を覆う横長略矩形状の網状カバーを着脱可能に取り付けてもよい。これにより、通風室18内への異物の進入を抑止することができる。
【0111】
(B)また、本発明の排気ガス浄化装置の取付構造が各フォークリフト10、81に適用された実施形態を示したが、本発明はその他の産業車両(例えば、ショベルローダ)にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0112】
11 車体
12 カウンタウエイト
15 エンジン
18A 開口部
18B 切欠き窓部
21 排気ガス浄化装置
22 排気管
26 粒子状物質除去フィルタ(DPF)(浄化処理部材)
27 取付台座(取付台座部)
28 架台
31、88 ボルト
35 上流筒体
35C、37B フランジ部
35D、36E、36F、37D 接続面
36 浄化用筒体
36B 上流側フランジ部
36C 下流側フランジ部
36D 把持部
37 下流筒体
41 支持部材(第1支持部)
45 支持部材(第2支持部)
47 長孔
51 挿入用リブ部
59 挿入溝部
67 クランプ結合具
82 後方開口部
87 第2取付台座(取付台座部)
89B 第2貫通孔
91 下流側取付ブラケット
92 案内軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21