(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、プログラムおよびシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/02 20220101AFI20220509BHJP
H04N 21/262 20110101ALI20220509BHJP
【FI】
H04L67/02
H04N21/262
(21)【出願番号】P 2018154260
(22)【出願日】2018-08-20
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】及川 朋彦
【審査官】今川 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-092526(JP,A)
【文献】特表2016-508309(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0186004(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/02
H04N 21/262
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コンテンツを第1通信装置に送信されるために用いられる複数の第2通信装置と接続される、処理装置であって、
前記複数の第2通信装置における各第2通信装置から、
前記第1コンテンツにおけるセグメントの時間間隔を示す第1時間情報を用いて取得された情報であり、
前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていることを示す情報である第1情報を受信する、第1処理部と、
前記第1情報を用いて、前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていると判定する、第2処理部と、
を有することを特徴とする、処理装置。
【請求項2】
前記第2処理部は、前記第1情報を用いて、前記第1通信装置において前記第1コンテンツが再生されていると判定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記第2処理部は、前記第1情報を用いて、前記第1通信装置においてコンテンツがユーザにて視聴されていると判定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記第2処理部は、前記第1情報を用いて、前記第1通信装置においてコンテンツかユーザにて聴取されていると判定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記第2処理部は、前記第1情報を用いて、前記第1通信装置においてコンテンツがユーザにて接触されていると判定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記第1情報は、前記第2通信装置が前記第1時間情報の区間に前記第1通信装置から受信したセグメント要求の数である、
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項7】
前記第1時間情報は、長さが異なるセグメントの時間間隔に応じて複数のものがあり、
前記第1情報は、前記第2通信装置が各々の前記第1時間情報の区間に前記第1通信装置から受信した、当該第1時間情報と同じ時間間隔のセグメント要求の合計数である、
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
前記第1情報は、前記第2通信装置が保有する前記第1コンテンツのアクセスログのうち、前記第1時間情報の区間に記録される情報に基づいて算出される、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載の処理装置。
【請求項9】
第1コンテンツを第1通信装置に送信されるために用いられる複数の第2通信装置と接続される、処理装置の処理方法であって、
前記複数の第2通信装置における各第2通信装置から、
前記第1コンテンツにおけるセグメントの時間間隔を示す第1時間情報を用いて取得された情報であり、
前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていることを示す情報である第1情報を受信する、第1処理ステップと、
前記第1情報を用いて、前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていると判定する、第2処理ステップと、
を有することを特徴とする、処理方法。
【請求項10】
第1コンテンツを第1通信装置に送信されるために用いられる複数の第2通信装置と接続される、コンピュータを、
前記複数の第2通信装置における各第2通信装置から、
前記第1コンテンツにおけるセグメントの時間間隔を示す第1時間情報を用いて取得された情報であり、
前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていることを示す情報である第1情報を受信する、第1処理部、
前記第1情報を用いて、前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていると判定する、第2処理部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
第1コンテンツを第1通信装置に送信されるために用いられる複数の第2通信装置と、前記複数の第2通信装置と接続される処理装置と、を備えるシステムであって、
各々の前記第2通信装置は、
前記第1コンテンツにおけるセグメントの時間間隔を示す第1時間情報を用いて、前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていることを示す情報である第1情報を取得する、第3処理部を有し、
前記処理装置は、
前記複数の第2通信装置における各第2通信装置から、前記第1情報を受信する、第1処理部と、
前記第1情報を用いて、前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていると判定する、第2処理部と、を有する、
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法、プログラムおよびシステムに関し、例えば、動画分散配信において視聴ユーザ数を計測する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを用いた動画の配信方式には、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)が採用されることが主流となっている(例えば、非特許文献1参照)。HTTPによる動画配信では、コンテンツは特定の時間間隔で区切られたセグメント単位に分割されることが多く、セグメントの分割と同時に、コンテンツの再生時刻に応じたURL(Uniform Resource Locator)は各セグメントに付与される。また、コンテンツの再生時刻に応じたURLが列挙されたセグメントリストは生成される。
【0003】
視聴ユーザは、コンテンツの再生開始前にセグメントリストを取得し、目的となるセグメントのURLを得る。セグメントを提供するサーバは、一般的に複数用意され、実際に視聴ユーザがセグメントを取得するときに、ユーザ端末またはリバースプロキシ等により無作為にサーバが選択され、配信システム側の負荷分散が図られる。そのため、視聴ユーザは、同一のコンテンツでも数秒単位で別々のサーバからセグメントを取得する。
【0004】
図11を参照して、従来の動画配信システムにおける視聴ユーザ数の計測処理を説明する。ここでは、
図11(a)に示すように、ユーザaが操作するユーザ端末901a、ユーザbが操作するユーザ端末901bおよびユーザcが操作するユーザ端末901cからWebサーバ903A,903Bにアクセス(セグメント要求)がある場合を想定する。Webサーバ903A,903Bは、コンテンツ毎にアクセスログを有しており、アクセスログにはアクセス時刻と視聴ユーザ情報とが対応付けて記録される。
【0005】
ここでは、Webサーバ903AのアクセスログLA(
図11(b)参照)に示されるように、特定のコンテンツを視聴するために、Webサーバ903Aには、時刻「00:00:01」,「00:00:21」にユーザaからセグメント要求があり、時刻「00:00:12」にユーザbからセグメント要求があり、時刻「00:00:07」,「00:00:17」,「00:00:27」にユーザcからセグメント要求があったとする。また、Webサーバ903BのアクセスログLB(
図11(b)参照)に示すように、特定のコンテンツを視聴するために、Webサーバ903Bには、時刻「00:00:11」にユーザaからセグメント要求があり、時刻「00:00:02」,「00:00:22」にユーザbからセグメント要求があり、ユーザcからはセグメント要求がなかったとする。
【0006】
上記のように、セグメントの取得先は、セグメント単位に複数のWebサーバから無作為に選ばれるため、正確な視聴ユーザ数を計測するためには、各Webサーバから出力されているアクセスログを集約する必要がある。例えば、
図11(c)に示すように、アクセスログLAとアクセスログLBとを集約することによって、当該コンテンツの視聴ユーザ数がユーザa,b,cの「3人」であることが分かる。視聴ユーザ数の計測は、例えば、各Webサーバにネットワークを介して接続される計測装置(図示せず)によって行われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】“ハイブリッドキャスト関連技術 MPEG-DASHの応用技術”、[online]、一般財団法人 NHKエンジニアリングシステム、[平成30年7月26日検索]、インターネット<http://www.nes.or.jp/transfer/catalog/2018/01/71a/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のように、複数のWebサーバで記録されたアクセスログを集約して全体の視聴ユーザ数を計測する方法は、膨大な量のアクセスログを常時収集する必要があるため、計測装置やネットワークに負荷がかかるという問題がある。
【0009】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、視聴ユーザ数の計測処理の負荷を軽減することができる、処理装置、処理方法、プログラムおよびシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る処理装置は、第1コンテンツを第1通信装置に送信されるために用いられる複数の第2通信装置と接続される、処理装置であって、前記複数の第2通信装置における各第2通信装置から、前記第1コンテンツにおけるセグメントの時間間隔を示す第1時間情報を用いて取得された情報であり、前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていることを示す情報である第1情報を受信する、第1処理部と、前記第1情報を用いて、前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていると判定する、第2処理部と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る処理方法は、第1コンテンツを第1通信装置に送信されるために用いられる複数の第2通信装置と接続される、処理装置の処理方法であって、前記複数の第2通信装置における各第2通信装置から、前記第1コンテンツにおけるセグメントの時間間隔を示す第1時間情報を用いて取得された情報であり、前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていることを示す情報である第1情報を受信する、第1処理ステップと、前記第1情報を用いて、前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていると判定する、第2処理ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るプログラムは、第1コンテンツを第1通信装置に送信されるために用いられる複数の第2通信装置と接続される、コンピュータを、前記複数の第2通信装置における各第2通信装置から、前記第1コンテンツにおけるセグメントの時間間隔を示す第1時間情報を用いて取得された情報であり、前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていることを示す情報である第1情報を受信する、第1処理部、前記第1情報を用いて、前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていると判定する、第2処理部として機能させる。
【0013】
また、本発明に係るシステムは、第1コンテンツを第1通信装置に送信されるために用いられる複数の第2通信装置と、前記複数の第2通信装置と接続される処理装置と、を備えるシステムであって、各々の前記第2通信装置は、前記第1コンテンツにおけるセグメントの時間間隔を示す第1時間情報を用いて、前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていることを示す情報である第1情報を取得する、第3処理部を有し、前記処理装置は、前記複数の第2通信装置における各第2通信装置から、前記第1情報を受信する、第1処理部と、前記第1情報を用いて、前記第2通信装置から前記第1通信装置に前記第1コンテンツが送信されていると判定する、第2処理部とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、視聴ユーザ数の計測処理の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る動画配信システムの構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るMFファイルのイメージ図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るWebサーバのブロック図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る計測装置のブロック図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る動画配信システムにおける視聴ユーザ数の計測処理を説明するための図であり、(a)はシステムの概略構成図であり、(b)は(a)に示す各Webサーバのアクセスログの例示であり、(c)は視聴ユーザ数の計測処理のイメージ図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る動画配信システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図7】コンテンツのセグメント長が一律でない状態で、所定の測定区間で視聴ユーザ数を計測した場合を説明するための図であり、(a)はシステムの概略構成図であり、(b)は(a)に示す各Webサーバのアクセスログの例示であり、(c)は視聴ユーザ数の計測処理のイメージ図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る動画配信システムの構成図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るMFファイルのイメージ図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る動画配信システムにおける視聴ユーザ数の計測処理を説明するための図であり、(a)はシステムの概略構成図であり、(b)は(a)に示す各Webサーバのアクセスログの例示である。
【
図11】従来の動画配信システムにおける視聴ユーザ数の計測処理を説明するための図であり、(a)はシステムの概略構成図であり、(b)は(a)に示す各Webサーバのアクセスログの例示であり、(c)はアクセスログの集約処理のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施するための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、本実施形態では、本発明と直接的に関連しない構成や周知な構成については、説明を省略する場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0017】
[第1実施形態]
<第1実施形態に係る動画配信システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る動画配信システム10の構成図である。動画配信システム10は、特定の時間間隔で区切ったセグメント単位でコンテンツを配信する。また、動画配信システム10では、コンテンツ毎における所定の事項についての数を計測する。動画配信システム10におけるコンテンツの配信方式は特に限定されず、例えば、「HTTP Live Streaming(HLS)」や「Moving Picture Experts Group- Dynamic Adaptive Streaming over HTTP(MPEG-DASH)」である。
ここで、コンテンツ毎における所定の事項についての数の一例は、次の通りである。
一例は、コンテンツが動画配信システムにおけるWebサーバ3(後述)から、ユーザ端末1(後述)に対して配信処理されたと判定される数であり、コンテンツがユーザ端末1にて再生配信処理されたと判定される数であり、コンテンツ(映像と音声)がユーザ端末1を介してユーザにて視聴されたと判定される数、コンテンツ(音声)がユーザ端末1を介してユーザにて聴取されたと判定される数、又はコンテンツ(映像のみ、データ放送などのその他のコンテンツ)がユーザ端末1を介してユーザにて接触されたと判定される数である。
なお、以下に記載される説明は、映像と音声からなるコンテンツを一例として取り上げ、コンテンツ(映像と音声)がユーザ端末1を介してユーザにて視聴されることを一例として取り上げて記載する。
【0018】
動画配信システム10は、視聴ユーザが操作するユーザ端末1a,・・1n(以下、区別しない場合には「ユーザ端末1」と表記する)と、セグメントリストを発行するセグメントリスト生成装置2と、Webサーバ群を形成する複数のWebサーバ3A,・・3N(以下、区別しない場合には「Webサーバ3」と表記する)と、Webサーバ3A,・・3Nにアクセスを振り分けるロードバランサ4と、コンテンツ毎の視聴ユーザ数を計測する計測装置5とを備える。
【0019】
本実施形態では、一人の視聴ユーザが一台のユーザ端末1を操作し、一つのコンテンツを視聴する場合を想定する。つまり、一人の視聴ユーザが同時に二つ以上のユーザ端末1の操作やコンテンツの視聴を行わない場合を想定する。そのため、本実施形態では、「コンテンツの視聴ユーザ数」と「ユーザ端末1の台数」と「ユーザ端末1にて再生されるコンテンツの数」と「コンテンツの配信数」とが同じになる。なお、当然ながら、一人の視聴ユーザが同時に複数のコンテンツの視聴を行ってもよいし、同時に複数のユーザ端末1を操作してもよい。
【0020】
なお、動画配信システム10は、「システム」の一例であり、「システム」の一例は、動画配信システム10に限るものではない。
また、ユーザ端末1は、「第1通信装置」の一例であり、「第1通信装置」の一例は、ユーザ端末1に限るものではない。
また、Webサーバ3は、「第2通信装置」の一例であり、「第2通信装置」の一例は、Webサーバ3に限るものではない。
また、計測装置5は、「処理装置」の一例であり、「処理装置」の一例は、計測装置5に限るものではない。
【0021】
ユーザ端末1は、コンテンツを再生する装置であり、少なくとも表示機能と通信機能と演算機能とを備えている。ユーザ端末1は、例えば、テレビ受像機、PC(Personal Computer)、タブレット端末、スマートフォンである。
ユーザ端末1は、セグメントリスト生成装置2からセグメントの取得先が記載されたセグメントリストを取得し、セグメントリストに従ってセグメントを取得する。
【0022】
セグメントリスト生成装置2は、セグメントの取得先が記載されたセグメントリストを生成するものであり、例えばサーバである。セグメントリストは、例えば、セグメントのメタデータであるマニフェストファイル(MFファイル)に記載される。マニフェストファイルは、HLSにおけるプレイリストであり、MPEG-DASHにおけるMPD(Media Presentation Description)である。MFファイルのイメージを
図2に示す。
図2に示すように、第1実施形態のセグメントリストには、セグメントのURLが記載されており、ここでは「<url>http://url1/segment1</url>」,「<url>http://url1/segment2</url>」を例示している。セグメントリスト生成装置2は、コンテンツの視聴要求があったユーザ端末1に対してセグメントリスト(MFファイル)を送信する。
【0023】
ロードバランサ4は、ロードバランシングによりセグメント要求を分散して各Webサーバ3A,・・3Nに転送する。本実施形態のように、ロードバランサ4を用いてセグメント要求を分散して各Webサーバ3A,・・3Nに転送する場合、セグメントリストのURLには、例えば各Webサーバ3A,・・3Nを代表するURLが設定される。なお、セグメントリストのURLに各Webサーバ3A,・・3NのURLを設定し、ロードバランサ4を介さずにセグメント要求を各Webサーバ3A,・・3Nに直接送信してもよい。
【0024】
Webサーバ3は、コンテンツを特定の時間間隔で区切ったセグメントを保有し、ユーザ端末1a,・・1nからのセグメント要求に応じて、該当するセグメントを要求元のユーザ端末1a,・・1nに提供する。
図3は、第1実施形態に係るWebサーバ3のブロック図である。
図3に示すように、Webサーバ3は、他の装置との通信を行う通信部31と、Webサーバ3の動作を制御する処理部32と、Webサーバ3の動作に必要な情報を記憶する記憶部33とを備える。
【0025】
記憶部33は、ハードディスクやメモリ等の記録媒体によって構成される。記憶部33は、コンテンツファイル記憶部34と、アクセスログ記憶部35とを備える。
コンテンツファイル記憶部34は、コンテンツを構成するセグメントを格納する。アクセスログ記憶部35は、コンテンツ毎のアクセスログを格納する。
【0026】
処理部32は、CPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。処理部32は、コンテンツ配信部36と、視聴ユーザ計数部37とを備える。
なお、視聴ユーザ計数部37は、「第3処理部」の一例であり、「第3処理部」の一例は、視聴ユーザ計数部37に限るものではない。
【0027】
コンテンツ配信部36は、ユーザ端末1からの要求に応じて、コンテンツ本体のデータをセグメント単位で配信する。視聴ユーザ計数部37は、自身が保有するアクセスログを参照し、コンテンツを視聴している視聴ユーザを計数する。
【0028】
図5を参照して、視聴ユーザ計数部37の処理を説明する。
図5は、動画配信システム10における視聴ユーザ数の計測処理を説明するための図である。
ここでは、
図5(a)に示すように、ユーザaが操作するユーザ端末1a、ユーザbが操作するユーザ端末1bおよびユーザcが操作するユーザ端末1cからWebサーバ3A,3Bにアクセス(セグメント要求)がある場合を想定する。Webサーバ3A,3Bは、コンテンツ毎にアクセスログを有しており、アクセスログにはアクセス時刻と視聴ユーザ情報とが対応付けて記録される。ここでは、Webサーバ3Aが保有するアクセスログLA(
図5(b)参照)およびWebサーバ3Bが保有するアクセスログLB(
図5(b)参照)を例にして説明する。
【0029】
本実施形態では、ユーザ端末1からのセグメント要求の間隔がセグメント長の周期となる特性を利用し、セグメント長と同じ長さを持つ特定の時間帯に着目する。このとき、全てのWebサーバ3の時刻は同期されているものとする。例えば、セグメント長が「10秒」であった場合、着目する時間帯も同様に「10秒」の時間帯である。この時間帯の開始時刻はいつでもよく、
図5(b)では時刻「00:00:10」~時刻「00:00:20」の「10秒間」を例示している。このように、セグメント長と同じ長さの時間帯に着目した場合、ユーザ端末1からのセグメント要求は、Webサーバ群のうちの1箇所(何れか一つのWebサーバ3)にだけ行われる。そのため、この着目した時間帯においては、視聴ユーザからのアクセス記録がWebサーバ群のうちの何れか一つのWebサーバ3のアクセスログにだけ現れる。したがって、各々のWebサーバ3で記録したアクセスログの特定の時間帯における視聴ユーザ数を計数し、その累計を取った場合に、全体の視聴ユーザ数と一致する。そこで、本実施形態では、各々のWebサーバ3の視聴ユーザ計数部37が、アクセスログの特定の時間帯における視聴ユーザ数を計数し、計測装置5でその数を累計する。なお、以下では、視聴ユーザ数を計数する特定の時間帯を「測定区間T」と呼ぶ。測定区間Tは、セグメント長と同じ長さであり、開始時刻(または終了時刻)は特に限定されない。
【0030】
図5(b)を参照して、視聴ユーザ計数部37の処理の具体例を説明する。例えば、アクセスログLAに記録されるように、Webサーバ3Aには、時刻「00:00:01」,「00:00:21」にユーザaからセグメント要求があり、時刻「00:00:12」にユーザbからセグメント要求があり、時刻「00:00:07」,「00:00:17」,「00:00:27」にユーザcからセグメント要求があったとする。また、アクセスログLBに記録されるように、Webサーバ3Bには、時刻「00:00:11」にユーザaからセグメント要求があり、時刻「00:00:02」,「00:00:22」にユーザbからセグメント要求があり、ユーザcからのセグメント要求がなかったとする。このように、本実施形態では、セグメント長の周期と同じ10秒間隔で、Webサーバ3A,3Bの何れかにアクセスがあることが前提となる。
【0031】
この場合、Webサーバ3Aの視聴ユーザ計数部37は、時刻「00:00:10」~時刻「00:00:20」の測定区間Tにおいて、ユーザb,cからセグメント要求があったので、視聴ユーザ数として「2人」を計数する。ここで、視聴ユーザ計数部37は、セグメントの要求元のユーザを認識する必要はなく、測定区間Tにセグメント要求があった回数(アクセス数)を計数すればよい。Webサーバ3Aの視聴ユーザ計数部37は、計数した視聴ユーザ数「2人」の情報を計測装置5に通知する。
一方、Webサーバ3Bの視聴ユーザ計数部37は、時刻「00:00:10」~時刻「00:00:20」の測定区間Tにおいて、ユーザaからセグメント要求があったので、視聴ユーザ数として「1人」を計数する。そして、Webサーバ3Bの視聴ユーザ計数部37は、計数した視聴ユーザ数「1人」の情報を計測装置5に通知する。
【0032】
なお、測定区間Tは、「第1時間情報」の一例であり、「第1時間情報」の一例は、測定区間Tに限るものではない。
また、視聴ユーザ数の情報は、「第1情報」の一例であり、「第1情報」の一例は、視聴ユーザ数の情報に限るものではない。
【0033】
図1に示す計測装置5は、ユーザがユーザ端末1にてコンテンツを視聴する全ての視聴ユーザ数を計測する。
すなわち、
図1に示す計測装置5は、Webサーバ3からユーザ端末1に対して配信処理されたと判定される数を計測するものであり、コンテンツがユーザ端末1にて再生配信処理されたと判定される数を計測するものであり、コンテンツがユーザ端末1を介してユーザにて視聴されたと判定される数を計測するものである。
図4は、計測装置5のブロック図である。
図4に示すように、計測装置5は、他の装置との通信を行う通信部51と、計測装置5の動作を制御する処理部52とを備える。
【0034】
処理部52は、CPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。処理部52は、ユーザ数情報取得部53と、視聴ユーザ累計部54とを備える。
なお、ユーザ数情報取得部53は、「第1処理部」の一例であり、「第1処理部」の一例は、ユーザ数情報取得部53に限るものではない。
また、視聴ユーザ累計部54は、「第2処理部」の一例であり、「第2処理部」の一例は、視聴ユーザ累計部54に限るものではない。
【0035】
ユーザ数情報取得部53は、全てのWebサーバ3から視聴ユーザ数の情報を取得する。
すなわち、ユーザ数情報取得部53は、Webサーバ3から、ユーザ端末1に対して配信処理されたと判定される数の情報を取得するものであり、コンテンツがユーザ端末1にて再生配信処理されたと判定される数の情報を取得するものであり、コンテンツがユーザ端末1を介してユーザにて視聴されたと判定される数の情報を取得するものである。
ここで、この視聴ユーザ数の情報は、測定区間Tにあったセグメント要求の数を計数した情報であり、アクセスログそのものではない。
【0036】
視聴ユーザ累計部54は、各々のWebサーバ3から収集した視聴ユーザ数を累計し、コンテンツを視聴する全体の視聴ユーザ数を算出する。
すなわち、視聴ユーザ累計部54は、Webサーバ3から、ユーザ端末1に対して配信処理されたと判定される数を累計するものであり、コンテンツがユーザ端末1にて再生配信処理されたと判定される数を累計するものであり、コンテンツがユーザ端末1を介してユーザにて視聴されたと判定される数を累計するものである。
図5(c)を参照して、視聴ユーザ累計部54の処理の具体例を説明する。
図5(c)は、視聴ユーザ数の計測処理のイメージであり、
図5(a),(b)で示したシステム構成およびセグメント要求の状況に対応している。ここでは、視聴ユーザ累計部54は、Webサーバ3Aで計測された「2人」と、Webサーバ3Bで計測された「1人」とを合計し、合計した「3人」がコンテンツを視聴する全ての視聴ユーザ数となる。
【0037】
<第1実施形態に係る動画配信システムの動作>
図6を参照して(適宜、
図1ないし
図5を参照)、第1実施形態に係る動画配信システム10の動作について説明する。ここでは、動画配信システム10の動作を「コンテンツの再生処理」と「視聴ユーザの計測処理」とに分けて説明する。
【0038】
(コンテンツの再生処理)
最初に、ユーザ端末1は、セグメントリスト生成装置2に対してセグメントリスト(MFファイル)を要求する(ステップS11)。セグメントリストの要求は、コンテンツの視聴要求の一部をなすものであってもよい。なお、ユーザ端末1は、セグメントリスト生成装置2のURLを予め保有していてもよいし、ポータルサーバ等からセグメントリスト生成装置2のURLを取得してもよい。セグメントリスト生成装置2は、要求に応じてセグメントリスト(MFファイル)をユーザ端末1に応答する(ステップS12)。
【0039】
続いて、ユーザ端末1は、セグメントリストに記載のURLに基づいて、Webサーバ3にセグメントを要求する(ステップS13)。ロードバランサ4は、ロードバランシングによりセグメント要求を分散して各Webサーバ3に送信する(ステップS14)。ロードバランサ4によるセグメント要求の分散方法は、特に限定されない。
【0040】
続いて、各Webサーバ3のコンテンツ配信部36(
図3参照)は、セグメント要求を行ったユーザ端末1に対して、セグメント要求に対応したセグメントを応答する(ステップS15)。この際に、コンテンツ配信部36は、自身のアクセスログに、セグメント要求元のユーザ情報やアクセス時刻を記録する。これにより、
図5(b)に示すように、アクセスログには、アクセスがあったユーザ情報が時系列で記録される。ロードバランサ4は、セグメント要求元のユーザ端末1にセグメントを転送する(ステップS16)。そして、ユーザ端末1は、取得したセグメントをコンテンツの一部として再生する(ステップS17)。コンテンツが終了するまで、以上説明した処理が繰り返して行われる。
なお、ステップS15及びステップS16の処理は、ロードバランサ4を介さず、直接、セグメント要求を行ったユーザ端末1に対して、セグメント要求に対応したセグメントを応答してもよい。
【0041】
(視聴ユーザの計測処理)
最初に、計測装置5のユーザ数情報取得部53(
図4参照)は、各Webサーバ3に対して視聴ユーザ数を計測する測定区間Tを連絡する(ステップS21)。測定区間Tの連絡方法は特に限定されず、Webサーバ3が測定区間Tを特定できるものであればよい。ユーザ数情報取得部53は、例えば、開始時刻および終了時刻を通知してもよいし、開始時刻および時間長(測定区間Tに関わる時間長)や終了時刻および時間長を通知してもよい。また、各Webサーバ3に測定区間Tを予め周知や設定しておくこともできる。なお、全てのWebサーバ3の時刻は同期されているものとする。
【0042】
続いて、各Webサーバ3の視聴ユーザ計数部37(
図3参照)は、アクセスログの中の測定区間Tを参照し、測定区間Tにあるセグメント要求の数(視聴ユーザ数(コンテンツ再生数))を計数する(ステップS22)。また、各Webサーバ3の視聴ユーザ計数部37は、計数した視聴ユーザ数の情報を計測装置5に通知する(ステップS23)。これにより、計測装置5には、全てのWebサーバ3から測定区間Tで計測した視聴ユーザ数が収集される。そして、計測装置5の視聴ユーザ累計部54(
図4参照)は、全てのWebサーバ3から収集した視聴ユーザ数を累計し、コンテンツを視聴した全体の視聴ユーザ数を算出する(ステップS24)。
【0043】
なお、パケットロスやアクセスの集中などによって、実際は視聴しているユーザのセグメント要求がアクセスログに一時的に記録されないことも想定されるが、
図6に示す視聴ユーザの計測処理(ステップS21~S24)を続けて複数回行うこと、又は所定間隔で複数回行うことにより、その影響を小さくすることができる。
【0044】
以上のように、第1実施形態に係る動画配信システム10は、ユーザ端末1からのセグメント要求の間隔がセグメント長の周期となる特性を利用し、セグメント長と同じ長さである測定区間Tにあったセグメント要求の数を各Webサーバ3で計測する。そして、計測装置5は、各Webサーバ3で計測したセグメント要求数を収集および累計し、累計した数を当該コンテンツにおける全体の視聴ユーザ数とする。そのため、第1実施形態に係る動画配信システム10では、視聴ユーザ数の計測処理の負荷を軽減することができる。
【0045】
つまり、第1実施形態に係る動画配信システム10では、複数のWebサーバ3を使用する動画配信において、全体のアクセスログを集約することなく視聴ユーザ数を計測することが可能である。したがって、アクセスログを転送するためのトラフィック並びにログを集約、解析するための処理が不要となるため、システム全体としての負荷が下がる。
また、第1実施形態に係る動画配信システム10では、Webサーバ3においてアクセスログの特定の時間帯における視聴ユーザ数を計測するため、アクセスログ全体を解析するより少ない処理量で視聴ユーザ数を計測することが可能である。そのため、リアルタイムでサービス全体における視聴ユーザ数を計測することが容易となる。
【0046】
[第2実施形態]
第1実施形態では、各Webサーバ3で提供されるコンテンツのセグメント長が一律(例えば、10秒)であることが前提条件であった。そのため、コンテンツのセグメント長が一律でない場合(コンテンツにより、セグメント長が異なる場合)、第1実施形態における技術を適用できなかった。
例えば、セグメント長を長くすると、ユーザ端末1からWebサーバ3へのセグメント要求の頻度が減るのでWebサーバ3等の負荷が減少するが、その分、例えばコンテンツがカメラで撮影等されてからユーザ端末1で再生されるまでの遅延(再生時間の遅延)が大きくなる。一方、各セグメント長を短くすると、再生時間の遅延は小さくなるが、その分、ユーザ端末1からWebサーバ3へのセグメント要求の頻度が増すので、Webサーバ3等の負荷が増大する。このように、セグメント長は、システムの状況に合わせて適宜調整することが好ましい場合がある。
【0047】
コンテンツのセグメント長が一律でない状態において、所定の測定区間Tで視聴ユーザ数を計測した場合を
図7に示す。ここでは、
図7(b)に示すように、ユーザaは5秒周期にWebサーバ3A,3Bにアクセスし、ユーザbは10秒周期にWebサーバ3A,3Bにアクセスし、ユーザcは15秒周期にWebサーバ3A,3Bにアクセスする場合を想定する。例えば、アクセスログLAに記録されるように、Webサーバ3Aには、時刻「00:00:01」,「00:00:06」,「00:00:21」,「00:00:26」にユーザaからセグメント要求があり、時刻「00:00:12」にユーザbからセグメント要求があり、時刻「00:00:14」にユーザcからセグメント要求があったとする。また、アクセスログLBに記録されるように、Webサーバ3Bには、時刻「00:00:11」,「00:00:16」にユーザaからセグメント要求があり、時刻「00:00:02」,「00:00:22」にユーザbからセグメント要求があり、時刻「00:00:29」にユーザcからセグメント要求があったとする。
【0048】
この場合、第1実施形態の方法では、例えば、Webサーバ3Aの視聴ユーザ計数部37は、時刻「00:00:10」~時刻「00:00:20」の測定区間Tにおいて、ユーザb,cからセグメント要求があったので、視聴ユーザ数として「2人」を計数する。また、Webサーバ3Bの視聴ユーザ計数部37は、時刻「00:00:10」~時刻「00:00:20」の測定区間Tにおいて、ユーザaからのセグメントの要求が二度あったので、視聴ユーザ数として「2人」を計数する。そのため、
図7(c)に示すように、計測装置5で累計すると「2+2=4(人)」となり、正確な視聴ユーザ数にならない。つまり、全ての視聴ユーザが1回ずつアクセスする区間(特定の時間帯)は存在しなくなり、全体の視聴ユーザ数をアクセスログから計測することが不可能となる。そこで第2実施形態では、異なるセグメント長が混在する動画配信システムにおいて、正確に視聴ユーザ数を計測する方法を提案する。
【0049】
<第2実施形態に係る動画配信システムの構成>
図8は、第2実施形態に係る動画配信システム110の構成図である。第2実施形態に係る動画配信システム110は、第1実施形態に係る動画配信システム10と同様の構成であるが、セグメントリスト生成装置102およびWebサーバ103の機能が第1実施形態とは異なる。
【0050】
第2実施形態のセグメントリスト生成装置102は、発行するセグメントリストにセグメント長の情報をURLのクエリとして追記する点で第1実施形態と相違する。クエリは、Webアプリケーションなどでクライアントからサーバにパラメータを渡すのに使われる表記法で、URLの末尾に「?」マークを付けるとともに、続けて「名前=値」の形式で記述する。
第2実施形態で使用するMFファイルのイメージを
図9に示す。
図9に示すように、第2実施形態のセグメントリストには、セグメント長の情報をURLのクエリとして追記している。ここでは、セグメント長が15秒であるセグメントリストが例示されており、「<url>http://url1/segment1?period=15</url>」,「<url>http://url1/segment2?period=15</url>」を例示している。セグメントリストに追記されたセグメント長の情報は、ユーザ端末1からのセグメント要求によって、各Webサーバ103のアクセスログに記録される。
ここで、セグメント長が5秒であるセグメントリストにおける、URLのクエリは、「<url>http://url1/segment1?period=5</url>」,「<url>http://url1/segment2?period=5</url>」(図示せず)となる。また、セグメント長が10秒であるセグメントリストにおける、URLのクエリは、「<url>http://url1/segment1?period=10</url>」,「<url>http://url1/segment2?period=10</url>」(図示せず)となる。
【0051】
図10を参照して、第2実施形態に係るWebサーバ103の処理を説明する。
図10は、動画配信システム110における視聴ユーザ数の計測処理を説明するための図である。
ここでは、
図10(a)に示すように、ユーザaが操作するユーザ端末1a、ユーザbが操作するユーザ端末1bおよびユーザcが操作するユーザ端末1cからWebサーバ103A,103Bにアクセス(セグメント要求)がある場合を想定する。ユーザaは5秒周期にWebサーバ103A,103Bにアクセスし、ユーザbは10秒周期にWebサーバ103A,103Bにアクセスし、ユーザcは15秒周期にWebサーバ103A,103Bにアクセスすることにする。Webサーバ103A,103Bは、コンテンツ毎にアクセスログを有しており、アクセスログにはアクセス時刻と視聴ユーザ情報とセグメント長の情報とが対応付けて記録される(
図10(b)参照)。
【0052】
第2実施形態に係るWebサーバ103の視聴ユーザ計数部37は、複数のセグメント長に応じた複数の測定区間Tを設定し、各測定区間Tでは当該測定区間Tと同じセグメント長のセグメント要求のみを計数する。つまり、各Webサーバ103では、各測定区間Tの開始時点からセグメント長の時間が経過するまでのユニークな視聴ユーザ数を計測する。この計測を検出できた全てのセグメント長に対して行い、セグメント長ごとの視聴ユーザ数の合計から1つのWebサーバ103にアクセスした視聴ユーザ数を求める。
すなわち、第2実施形態に係るWebサーバ103の視聴ユーザ計数部37は、セグメント長ごとに、Webサーバ3からユーザ端末1に対して配信処理されたと判定される数を計測するものであり、コンテンツがユーザ端末1にて再生配信処理されたと判定される数を計測するものであり、コンテンツがユーザ端末1を介してユーザにて視聴されたと判定される数を計測するものである。
【0053】
図10(b)のアクセスログLAに示されるように、例えば、Webサーバ103Aには、時刻「00:00:01」,「00:00:06」,「00:00:21」,「00:00:26」にユーザaからセグメント要求があり、時刻「00:00:12」にユーザbからセグメント要求があり、時刻「00:00:14」にユーザcからセグメント要求があったとする。また、アクセスログLBに示すように、Webサーバ103Bには、時刻「00:00:11」,「00:00:16」にユーザaからセグメント要求があり、時刻「00:00:02」,「00:00:22」にユーザbからセグメント要求があり、時刻「00:00:29」にユーザcからセグメント要求があったとする。
【0054】
この場合、Webサーバ103Aの視聴ユーザ計数部37は、時刻「00:00:00」~時刻「00:00:05」の5秒間の測定区間Taにおいて、アクセス周期が「5秒」のユーザaからセグメント要求があったので、測定区間Taにおける視聴ユーザ数として「1人」を計数する(測定区間Taにあるセグメント要求の数(コンテンツ再生数)=「1」)。
また、視聴ユーザ計数部37は、時刻「00:00:00」~時刻「00:00:10」の10秒間の測定区間Tbにおいて、アクセス周期が「10秒」のユーザbからセグメント要求がなかったので、測定区間Tbにおける視聴ユーザ数として「0人」を計数する(測定区間Tbにあるセグメント要求の数(コンテンツ再生数)=「0」)。なお、時刻「00:00:01」にユーザaからセグメント要求があるが、アクセス周期「5秒」が測定区間Tbの長さと異なるのでカウントしない。
また、視聴ユーザ計数部37は、時刻「00:00:00」~時刻「00:00:15」の15秒間の測定区間Tcにおいて、アクセス周期が「15秒」のユーザcからセグメント要求があったので、測定区間Tcにおける視聴ユーザ数として「1人」を計数する(測定区間Tcにあるセグメント要求の数(コンテンツ再生数)=「1」)。なお、時刻「00:00:01」,「00:00:06」にユーザaからセグメント要求があり、また、時刻「00:00:12」にユーザbからセグメント要求があるが、アクセス周期「5秒」,「10秒」が測定区間Tcの長さと異なるのでカウントしない。
そのため、Webサーバ103Aの視聴ユーザ計数部37は、「1+0+1=2(人)」をWebサーバ103Aにおける視聴ユーザ数(セグメント要求の数(コンテンツ再生数))として計数し、計数した視聴ユーザ数(セグメント要求の数(コンテンツ再生数))を計測装置5に通知する。
【0055】
同様に、Webサーバ103Bの視聴ユーザ計数部37は、時刻「00:00:00」~時刻「00:00:05」の5秒間の測定区間Taにおいて、アクセス周期が「5秒」のユーザaからセグメント要求がなかったので、測定区間Taにおける視聴ユーザ数として「0人」を計数する(測定区間Taにあるセグメント要求の数(コンテンツ再生数)=「0」)。なお、時刻「00:00:02」にユーザbからセグメント要求があるが、アクセス周期「10秒」が測定区間Taの長さと異なるのでカウントしない。
また、視聴ユーザ計数部37は、時刻「00:00:00」~時刻「00:00:10」の10秒間の測定区間Tbにおいて、アクセス周期が「10秒」のユーザbからセグメント要求があったので、測定区間Tbにおける視聴ユーザ数として「1人」を計数する(測定区間Tbにあるセグメント要求の数(コンテンツ再生数)=「1」)。
また、視聴ユーザ計数部37は、時刻「00:00:00」~時刻「00:00:15」の15秒間の測定区間Tcにおいて、アクセス周期が「15秒」のユーザcからセグメント要求がなかったので、測定区間Tcにおける視聴ユーザ数として「0人」を計数する(測定区間Tcにあるセグメント要求の数(コンテンツ再生数)=「0」)。なお、時刻「00:00:02」にユーザbからセグメント要求があり、また、時刻「00:00:11」にユーザaからセグメント要求があるが、アクセス周期「5秒,10秒」が測定区間Tcの長さと異なるのでカウントしない。
そのため、Webサーバ103Bの視聴ユーザ計数部37は、「0+1+0=1(人)」をWebサーバ103Bにおける視聴ユーザ数(セグメント要求の数(コンテンツ再生数))として計数し、計数した視聴ユーザ数(セグメント要求の数(コンテンツ再生数))を計測装置5に通知する。
【0056】
<第2実施形態に係る動画配信システムの動作>
第2実施形態に係る動画配信システム110の動作は、
図6に示す第1実施形態の動画配信システム10の動作と同様である。
【0057】
以上のように、第2実施形態に係る動画配信システム110は、複数のセグメント長に応じた複数の測定区間Tを設定し、各測定区間Tでは当該測定区間Tと同じセグメント長のセグメント要求のみを各Webサーバ103で計数する。そして、計測装置5は、各Webサーバ103で計測したセグメント要求の数を収集および累計し、累計した数を当該コンテンツにおける全体の視聴ユーザ数とする。
すなわち、第2実施形態に係る動画配信システム110は、各測定区間Tにおいて当該測定区間Tと同じセグメント長のセグメント要求のみについて、Webサーバ3からユーザ端末1に対して配信処理されたと判定される数を収集および累計するものであり、コンテンツがユーザ端末1にて再生配信処理されたと判定される数を収集および累計するものであり、コンテンツがユーザ端末1を介してユーザにて視聴されたと判定される数を収集および累計するものである。
そのため、第2実施形態に係る動画配信システム110では、異なるセグメント長が混在する条件下でも、全体の視聴ユーザ数を計測することが可能となる。
【0058】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例を以下に示す。
【0059】
各実施形態では、一人の視聴ユーザが一台のユーザ端末1を操作し、一つのコンテンツを視聴する場合を想定していた。つまり、一人の視聴ユーザが同時に二つ以上のユーザ端末1の操作やコンテンツの視聴を行わない場合を想定していた。しかしながら、一人の視聴ユーザが同時に複数のコンテンツの視聴を行ってもよいし、同時に複数のユーザ端末1を操作してもよい。その場合、コンテンツ毎の配信数を計測するようにしてもよい。
【0060】
また、第2実施形態では、
図10に示すように、測定区間Ta,Tb,Tcの開始時刻を揃えていたが、終了時刻を揃えるようにしてもよい。つまり、測定区間Tは互いが重複していればよい。
【符号の説明】
【0061】
1 ユーザ端末
2,102 セグメントリスト生成装置
3,103 Webサーバ
4 ロードバランサ
5 計測装置
10,110 動画配信システム
36 コンテンツ配信部
37 視聴ユーザ計数部
53 ユーザ数情報取得部
54 視聴ユーザ累計部