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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】加飾部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/54 20170101AFI20220509BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20220509BHJP
   B60Q 3/217 20170101ALI20220509BHJP
   B60Q 3/76 20170101ALI20220509BHJP
   B60Q 3/233 20170101ALI20220509BHJP
   B60Q 3/14 20170101ALI20220509BHJP
   B60Q 3/44 20170101ALI20220509BHJP
【FI】
B60Q3/54
B60R13/02 B
B60Q3/217
B60Q3/76
B60Q3/233
B60Q3/14
B60Q3/44
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018195409
(22)【出願日】2018-10-16
(65)【公開番号】P2020062941
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】山田 孝政
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-143850(JP,U)
【文献】実開昭60-136237(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/54
B60R 13/02
B60Q 3/217
B60Q 3/76
B60Q 3/233
B60Q 3/14
B60Q 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内装材を構成する本体に対する加飾部材の取付構造であって、
前記加飾部材は、前記本体に形成された窓部を覆うように前記本体の車室外側の表面部に沿って移動及び位置決め可能に設けられており、
前記加飾部材の車室内側の表面部には、山切り状の第1ロック部が設けられており、
前記本体の車室外側の表面部には、山切り状の第2ロック部、及び前記第1ロック部と前記第2ロック部が噛み合うように前記加飾部材を挟み込む挟持部が設けられており、
前記第1ロック部は、前記加飾部材の移動方向の両側に設けられており、
前記第2ロック部及び前記挟持部のそれぞれは、前記第1ロック部に対応して前記本体の前記窓部を挟んだ両側に設けられていることを特徴とする加飾部材の取付構造。
【請求項2】
前記本体の車室外側の表面部には、前記加飾部材の移動を規制する移動規制部が設けられている請求項1記載の加飾部材の取付構造。
【請求項3】
前記移動規制部は、前記第1ロック部に対応して前記本体の前記窓部を挟んだ両側に設けられている請求項2記載の加飾部材の取付構造。
【請求項4】
前記加飾部材の車室外側には、前記加飾部材に対向して光源が配置されており、
前記加飾部材には、その移動位置に応じて前記光源の光を異なる照射形態で車室内側に照射する第1照射部及び第2照射部が設けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加飾部材の取付構造。
【請求項5】
前記第1照射部は、前記光源の光を第1照射範囲で照射し、
前記第2照射部は、前記光源の光を前記第1照射範囲よりも狭い第2照射範囲で照射する請求項4記載の加飾部材の取付構造。
【請求項6】
車両内装材を構成する本体に対する加飾部材の取付構造であって、
前記加飾部材は、前記本体に形成された窓部を覆うように前記本体の車室外側の表面部に沿って移動及び位置決め可能に設けられており、
前記加飾部材の車室外側には、前記加飾部材に対向して面状発光体が配置されており、
前記加飾部材には、その移動位置に応じて前記面状発光体の光を異なる照射形態で車室内側に照射する照射部が設けられていることを特徴とする加飾部材の取付構造。
【請求項7】
車両内装材を構成する本体に対する加飾部材の取付構造であって、
前記加飾部材は、前記本体に形成された窓部を覆うように前記本体の車室外側の表面部に沿って移動及び位置決め可能に設けられており、
前記加飾部材の車室外側には、前記加飾部材に対向して表示部材が配置されており、
前記加飾部材には、その移動位置に応じて前記表示部材の異なる部位を目視可能な透光部が設けられていることを特徴とする加飾部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾部材の取付構造に関し、更に詳しくは、車両内装材を構成する本体に対する加飾部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の加飾部材として、ドアトリム等の車両内装材を構成する本体に取り付けられるものが一般に知られている(例えば、特許文献1等参照)。この種の加飾部材105は、例えば、図9に示すように、本体103に対してボス107を介してビス締結108されることが主流である。なお、図9中において、符号R1は車室内側を示し、符号R2は車室外側を示し、符号106は光源を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-189022号公報
【文献】実開平05-35489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の加飾部材105では、本体103に対するビス締結108が主流であるため、一度決めた意匠表現を変更する事が出来ず、異なる意匠表現に変更したいときは別の加飾部材に部品交換する必要がある。
【0005】
また、車両照明においては、例えば、図10に示すように、車室内を広い範囲で照射するドームランプ109と、車室内を狭い範囲で照射するスポットランプ110の機能が独立しており、それぞれにおいて光源が必要なためコスト高となっている。
【0006】
なお、上記特許文献2には、光源の光を反射する反射板を備え、反射板の湾曲程度を調整することで、車室内側への光源の光の照射形態が変更される照明装置が記載されているが、反射板を用いる反射光であるため十分な照明機能を発揮し難い。さらに、湾曲された状態で反射板を位置決めする必要があり、その作業性が悪い。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、部品交換することなく加飾部材による意匠表現を変更できる加飾部材の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両内装材を構成する本体に対する加飾部材の取付構造であって、前記加飾部材は、前記本体に形成された窓部を覆うように前記本体の車室外側の表面部に沿って移動及び位置決め可能に設けられていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記加飾部材の車室内側の表面部には、山切り状の第1ロック部が設けられており、前記本体の車室外側の表面部には、山切り状の第2ロック部、前記第1ロック部と前記第2ロック部が噛み合うように前記加飾部材を挟み込む挟持部、及び前記加飾部材の移動を規制する移動規制部が設けられていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1ロック部は、前記加飾部材の移動方向の両側に設けられており、前記第2ロック部、前記挟持部及び前記移動規制部のそれぞれは、前記第1ロック部に対応して前記本体の前記窓部を挟んだ両側に設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記加飾部材の車室外側には、前記加飾部材に対向して光源が配置されており、前記加飾部材には、その移動位置に応じて前記光源の光を異なる照射形態で車室内側に照射する第1照射部及び第2照射部が設けられていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記第1照射部は、前記光源の光を第1照射範囲で照射し、前記第2照射部は、前記光源の光を前記第1照射範囲よりも狭い第2照射範囲で照射することを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記加飾部材の車室外側には、前記加飾部材に対向して面状発光体が配置されており、前記加飾部材には、その移動位置に応じて前記面状発光体の光を異なる照射形態で車室内側に照射する照射部が設けられていることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記加飾部材の車室外側には、前記加飾部材に対向して表示部材が配置されており、前記加飾部材には、その移動位置に応じて前記表示部材の異なる部位を目視可能な透光部が設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加飾部材の取付構造によると、加飾部材は、本体に形成された窓部を覆うように本体の車室外側の表面部に沿って移動及び位置決め可能に設けられている。これにより、ユーザーが窓部を介して加飾部材を操作することで加飾部材が移動及び位置決めされる。よって、部品交換することなく加飾部材による意匠表現を変更できる。
また、前記加飾部材に、山切り状の第1ロック部が設けられており、前記本体に、山切り状の第2ロック部、前記加飾部材を挟み込む挟持部、及び前記加飾部材の移動を規制する移動規制部が設けられている場合は、加飾部材の第1ロック部が本体の第2ロック部を乗り越えることで、本体に対して加飾部材が移動されるとともに、第1及び第2ロック部が互いに噛み合うことで、本体に対して加飾部材が位置決めされる。
また、前記第1ロック部が、前記加飾部材の移動方向の両側に設けられており、前記第2ロック部、前記挟持部及び前記移動規制部のそれぞれが、前記第1ロック部に対応して前記本体の前記窓部を挟んだ両側に設けられている場合は、車両走行時の振動による加飾部材の位置ずれが確実に防止される。
また、前記加飾部材の車室外側に、光源が配置されており、前記加飾部材に、その移動位置に応じて前記光源の光を異なる照射形態で車室内側に照射する第1照射部及び第2照射部が設けられている場合は、光源の光の異なる照射形態によって加飾部材による意匠表現が変更される。
また、前記第1照射部が、前記光源の光を第1照射範囲で照射し、前記第2照射部が、前記光源の光を前記第1照射範囲よりも狭い第2照射範囲で照射する場合は、光源の光の異なる照射範囲によって加飾部材による意匠表現が変更される。さらに、同じ光源でドームランプとスポットランプの機能を両立できる。
また、前記加飾部材の車室外側に、面状発光体が配置されており、前記加飾部材に、その移動位置に応じて前記面状発光体の光を異なる照射形態で車室内側に照射する照射部が設けられている場合は、照射部の異なる照射形態によって加飾部材による意匠表現が変更される。
さらに、前記加飾部材の車室外側に、表示部材が配置されており、前記加飾部材に、その移動位置に応じて前記表示部材の異なる部位を目視可能な透光部が設けられている場合は、透光部を介する表示部材の異なる部位の目視によって加飾部材による意匠表現が変更される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】実施例1に係る加飾部材の取付構造を備えるドアトリムの斜視図である。
図2図1のII-II線断面拡大図であり、(a)は加飾部材が第1位置に位置決めされた状態を示し、(b)は加飾部材が第2位置に位置決めされた状態を示し、(c)は加飾部材が第3位置に位置決めされた状態を示す。
図3】上記加飾部材の取付構造の作用説明図であり、(a)は第1位置に位置決めされた加飾部材による光の照射形態を示し、(b)は第2位置に位置決めされた加飾部材による光の照射形態を示し、(c)は第3位置に位置決めされた加飾部材による光の照射形態を示す。
図4】実施例2に係る加飾部材の取付構造の断面図であり、(a)は加飾部材が第1位置に位置決めされた状態を示し、(b)は加飾部材が第2位置に位置決めされた状態を示し、(c)は加飾部材が第3位置に位置決めされた状態を示す。
図5】上記加飾部材の取付構造の作用説明図であり、(a)は第1位置に位置決めされた加飾部材による光の照射形態を示し、(b)は第2位置に位置決めされた加飾部材による光の照射形態を示し、(c)は第3位置に位置決めされた加飾部材による光の照射形態を示す。
図6】実施例3に係る加飾部材の取付構造の断面図であり、(a)は加飾部材が第1位置に位置決めされた状態を示し、(b)は加飾部材が第2位置に位置決めされた状態を示し、(c)は加飾部材が第3位置に位置決めされた状態を示す。
図7】上記加飾部材の取付構造の作用説明図であり、(a)は第1位置に位置決めされた加飾部材による表示形態を示し、(b)は第2位置に位置決めされた加飾部材による表示形態を示し、(c)は第3位置に位置決めされた加飾部材による表示形態を示す。
図8】他の形態に係る加飾部材の取付構造の要部断面図である。
図9】従来の加飾部材の取付構造の要部断面図である。
図10】従来の車両照明を説明するための説明図であり、(a)はドームランプを示し、(b)はスポットランプを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0012】
本実施形態に係る加飾部材の取付構造は、車両内装材(2)を構成する本体(3)に対する加飾部材の取付構造(1A~1C)であって、加飾部材(5A~5C)は、本体(3)に形成された窓部(4)を覆うように本体(3)の車室外側(R2)の表面部に沿って移動及び位置決め可能に設けられている(例えば、図2図4及び図6等参照)。この本体(3)及び加飾部材(5A~5C)の材質、形状、大きさ等は特に問わない。また、加飾部材(5A~5C)の移動位置の個数、移動距離、移動方向等は特に問わない。
【0013】
本実施形態に係る加飾部材の取付構造としては、例えば、上記加飾部材(5A~5C)の車室内側(R1)の表面部には、山切り状の第1ロック部(11)が設けられており、本体(3)の車室外側(R2)の表面部には、山切り状の第2ロック部(12)、第1ロック部(11)と第2ロック部(12)が噛み合うように加飾部材(5A~5C)を挟み込む挟持部(17)、及び加飾部材(5A~5C)の移動を規制する移動規制部(18)が設けられている形態(例えば、図2等参照)が挙げられる。
【0014】
上述の形態の場合、例えば、上記第1ロック部(11)は、加飾部材(5A~5C)の移動方向(P)の両側に設けられており、第2ロック部(12)、挟持部(17)及び移動規制部(18)のそれぞれは、第1ロック部(11)に対応して本体(3)の窓部(4)を挟んだ両側に設けられていることができる(例えば、図2等参照)。
【0015】
本実施形態に係る加飾部材の取付構造としては、例えば、上記加飾部材(5A)の車室外側(R2)には、加飾部材(5A)に対向して光源(6)が配置されており、加飾部材(5A)には、その移動位置(A1~A3)に応じて光源(6)の光を異なる照射形態で車室内側(R1)に照射する第1照射部(21)及び第2照射部(22)が設けられている形態(例えば、図2及び図3等参照)が挙げられる。この照射形態としては、例えば、照射範囲、照射形状、照射方向等のうちの1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0016】
上述の形態の場合、例えば、上記第1照射部(21)は、光源(6)の光を第1照射範囲(Q1、Q1’)で照射し、第2照射部(22)は、光源(6)の光を第1照射範囲(Q1、Q1’)よりも狭い第2照射範囲(Q2)で照射することができる(例えば、図3等参照)。
【0017】
本実施形態に係る加飾部材の取付構造としては、例えば、上記加飾部材(5B)の車室外側(R2)には、加飾部材(5B)に対向して面状発光体(31)が配置されており、加飾部材(5B)には、その移動位置(A1~A3)に応じて面状発光体(31)の光を異なる照射形態で車室内側(R1)に照射する照射部(33)が設けられている形態(例えば、図4及び図5等参照)が挙げられる。この照射形態としては、例えば、照射範囲、照射形状、照射方向等のうちの1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0018】
本実施形態に係る加飾部材の取付構造としては、例えば、上記加飾部材(5C)の車室外側(R2)には、加飾部材(5C)に対向して表示部材(41)が配置されており、加飾部材(5C)には、その移動位置(A1~A3)に応じて表示部材(41)の異なる部位を目視可能な透光部(43)が設けられている形態(例えば、図6及び図7等参照)が挙げられる。
【0019】
なお、上記実施形態で記載した各構成の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的構成との対応関係を示すものである。
【実施例
【0020】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例1~3では、本発明に係る「車両内装材」としてドアトリム2を例示する(図1参照)。このドアトリム2は、板状の本体3を備えている。この本体3には、後述の加飾部材5A、5B、5Cで覆われる窓部4が開口して形成されている。なお、本体3は、例えば、ケナフ等の繊維を含む樹脂ボードにより形成される。
【0021】
<実施例1>
(1)加飾部材の取付構造
本実施例に係る加飾部材の取付構造1Aでは、図2に示すように、板状の加飾部材5Aは、窓部4を覆うように本体3の車室外側R2の表面部に沿って移動方向P(具体的に、車両前後方向P)に移動及び位置決め可能に設けられている。さらに、加飾部材5Aの車室外側R2には、加飾部材5Aに対向して発光ダイオード等の光源6が配置されている。この光源6は、本体3に対して移動不能に設けられている。
【0022】
上記加飾部材5Aの車室内側R1の表面部には、加飾部材5Aの移動方向Pに沿う山切り状の第1ロック部11が設けられている。この第1ロック部11は、加飾部材5Aの移動方向Pの両側にそれぞれ設けられている。また、本体3の車室外側R2の表面部には、加飾部材5Aの移動方向Pに沿う山切り状の第2ロック部12が設けられている。この第2ロック部12は、一対の第1ロック部11に対応して本体3の窓部4を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。また、本体3の車室外側R2の表面部には、支持片13がボス14を介してビス締結15されている。この支持片13は、一対の第1ロック部11に対応して本体3の窓部4を挟んだ両側のそれぞれに設けられている。
【0023】
上記各支持片13には、第1ロック部11と第2ロック部12が噛み合うように加飾部材5Aを表裏方向に挟み込む挟持部17が設けられている。そして、第1ロック部11が第2ロック部12を乗り越えることで、本体3に対して加飾部材5が移動されるとともに、第1及び第2ロック部11、12が互いに噛み合うことで、本体3に対して加飾部材5Aが位置決めされる。なお、本実施例では、加飾部材5Aは、本体3に対して3つの第1~第3位置A1~A3(すなわち、移動位置A1~A3)の間で移動され各位置A1~A3で位置決めされるものとする。
【0024】
上記各支持片13には、加飾部材5Aの移動方向Pの端面と当接して該加飾部材5Aの移動を規制する移動規制部18(移動規制リブ18)が設けられている。この移動規制部18は、加飾部材5Aが移動端位置A1、A3を超えて移動することを規制する。また、移動規制部18は、挟持部17の一端側に連なっている。
【0025】
ここで、加飾部材5Aが移動端位置A1、A3に位置決めされた状態において、加飾部材5Aの移動方向Pの一方の端面と移動規制部18との間隔a1、a2は、加飾部材5Aの移動方向Pの他方の第1ロック部11と窓部4の端縁との間隔b1、b2よりも小さな値に設定されている。これにより、加飾部材5Aが移動端位置A1、A3に位置決めされたときに、第1ロック部11が窓部4に露出しない。
【0026】
上記加飾部材5Aは、透光性を有する合成樹脂により形成されている。この加飾部材5Aには、その移動位置A1~A3に応じて光源6の光を異なる照射形態で車室内側R1に照射する第1照射部21及び第2照射部22が設けられている。この第1照射部21の車室外側R2の表面部には、凹凸状のレンズカット23が形成されている。また、第1照射部21は、加飾部材5Aが第1位置A1又は第2位置A2に位置決めされたときに、光源6の光を比較的広い第1照射範囲Q1、Q1’で車室内側R1に照射する(図3(a)(b)参照)。また、第2照射部22は、加飾部材5Aの車室外側R2の表面から立ち上がる支持筒24に支持されるフィルム状の変光レンズ25を備えている。この変光レンズ25は、加飾部材5Aが第3位置A3に位置決めされたときに、光源6の光を第1照射範囲Q1、Q1’よりも狭い第2照射範囲Q2で車室内側R1に照射する(図3(c)参照)。
【0027】
なお、車室内側R1に窓部4に所定間隔で対向する仮想平面を設定したときに、仮想平面上の第1照射範囲Q1、Q1’の外郭形状は、仮想平面上の第2照射範囲Q2の外郭形状に対して相似形であってもよいし、非相似形であってもよい。
【0028】
(2)加飾部材の取付構造の作用
次に、上記構成の加飾部材の取付構造1Aの作用について説明する。ユーザーが窓部4を介して加飾部材5Aを指先操作することで、加飾部材5A及び/又は挟持部17の弾性変形により、加飾部材5Aの第1ロック部11が本体3の第2ロック部12を乗り越えて、本体3に対して加飾部材5Aが移動方向Pに移動される。そして、加飾部材5A及び/又は挟持部17の弾性復元力により第1及び第2ロック部11、12が互いに噛み合うことで、本体3に対して加飾部材5Aが位置決めされる。このように、第1ロック部11が第2ロック部12を乗り越えて互いに噛み合う際の感触(すなわち、クリック感)によりユーザーは加飾部材5Aが移動したことを確認できる。
【0029】
そして、図3(a)(b)に示すように、加飾部材5Aが第1位置A1又は第2位置A2に位置決めされたときに、光源6の光が第1照射部21を透過して比較的広い第1照射範囲Q1、Q1’で車室内側R1に照射される。この第1照射部21による光源6の光の照射は、ドームランプとして機能する。一方、図3(c)に示すように、加飾部材5Aが第3位置A3に位置決めされたときに、光源6の光が第2照射部22(すなわち、変光レンズ25)を透過して比較的狭い第2照射範囲Q2で車室内側R1に照射される。この第2照射部22による光源6の光の照射は、スポットランプとして機能する。
【0030】
(3)実施例の効果
本実施例の加飾部材の取付構造1Aによると、加飾部材5Aは、本体3に形成された窓部4を覆うように本体3の車室外側R2の表面部に沿って移動及び位置決め可能に設けられている。これにより、ユーザーが窓部4を介して加飾部材5Aを操作することで加飾部材5Aが移動及び位置決めされる。よって、部品交換することなく加飾部材5Aによる意匠表現を変更できる。
【0031】
また、本実施例では、加飾部材5Aには、山切り状の第1ロック部11が設けられており、本体3には、山切り状の第2ロック部12、加飾部材5Aを挟み込む挟持部17、及び加飾部材5Aの移動を規制する移動規制部18が設けられている。これにより、加飾部材5Aの第1ロック部11が本体3の第2ロック部12を乗り越えることで、本体3に対して加飾部材5Aが移動されるとともに、第1及び第2ロック部11、12が互いに噛み合うことで、本体3に対して加飾部材5Aが位置決めされる。
【0032】
また、本実施例では、第1ロック部11は、加飾部材5Aの移動方向Pの両側に設けられており、第2ロック部12、挟持部17及び移動規制部18のそれぞれは、第1ロック部11に対応して本体3の窓部4を挟んだ両側に設けられている。これにより、車両走行時の振動による加飾部材5Aの位置ずれが確実に防止される。
【0033】
また、本実施例では、加飾部材5Aの車室外側R2には、光源6が配置されており、加飾部材5Aには、その移動位置A1~A3に応じて光源6の光を異なる照射形態で車室内側R1に照射する第1照射部21及び第2照射部22が設けられている。これにより、光源6の光の異なる照射形態によって加飾部材5Aによる意匠表現が変更される。
【0034】
さらに、本実施例では、第1照射部21は、光源6の光を第1照射範囲Q1、Q1’で照射し、第2照射部22は、光源6の光を第1照射範囲Q1、Q1’よりも狭い第2照射範囲Q2で照射する。これにより、光源6の光の異なる照射範囲によって加飾部材5Aによる意匠表現が変更される。さらに、同じ光源6でドームランプとスポットランプの機能を両立できる。
【0035】
<実施例2>
次に、実施例2に係る加飾部材の取付構造1Bについて説明する。なお、本実施例2の加飾部材の取付構造1Bにおいて、上記実施例1の加飾部材の取付構造1Aと略同じ構成部位には同じ符号を付けて詳説を省略し、両者の相違点について説明する。
【0036】
(1)加飾部材の取付構造
本実施例に係る加飾部材の取付構造1Bでは、図4に示すように、加飾部材5Bの車室外側R2には、加飾部材5Bに対向して面状発光体31が配置されている。この面状発光体31は、本体3に対して移動不能に設けられている。また、面状発光体31は、端部に配置された発光ダイオード等の光源32の光を導入することで、加飾部材5Bに対向する表面全体が発光する。さらに、面状発光体31の発光面には、格子状、網状又は複数の点状に発光させるための遮光部36が設けられている。なお、上記遮光部36は、面状発光体31と加飾部材5Bとの間に配置されていてもよい。
【0037】
上記加飾部材5Bは、透光性を有する合成樹脂により形成されている。この加飾部材5Bには、その移動位置A1~A3に応じて面状発光体31の光を異なる照射形態で車室内側R1に照射する照射部33が設けられている。この照射部33には、面状発光体31と対向する表面領域に凹凸状のレンズカット34が形成されている。
【0038】
ここで、図5は、加飾部材5Bが各位置A1~A3に位置決めされたときの照射部33の一部を車室内側R1から見た外観画像処理図を示す。この外観画像処理図によると、加飾部材5Bの移動位置A1~A3に応じて、照射部33での格子状の照射形状が異なることがわかる。
【0039】
(2)加飾部材の取付構造の作用及び効果
本実施例の加飾部材の取付構造1Bによると、上記実施例の加飾部材の取付構造1Aと略同様の作用効果を奏することに加えて、加飾部材5Bの車室外側R2には、面状発光体31が配置されており、加飾部材5Bには、その移動位置A1~A3に応じて面状発光体31の光を異なる照射形態で車室内側R1に照射する照射部33が設けられているので、照射部33の異なる照射形態によって加飾部材5Bによる意匠表現が変更される。
【0040】
<実施例3>
次に、実施例3に係る加飾部材の取付構造1Cについて説明する。なお、本実施例3の加飾部材の取付構造1Cにおいて、上記実施例1の加飾部材の取付構造1Aと略同じ構成部位には同じ符号を付けて詳説を省略し、両者の相違点について説明する。
【0041】
(1)加飾部材の取付構造
本実施例に係る加飾部材の取付構造1Cでは、図6に示すように、加飾部材5Cの車室外側R2には、加飾部材5Cに対向して板状の表示部材41が配置されている。この表示部材41は、本体3に対して移動不能に設けられている。また、表示部材41の加飾部材5Cに対向する表面には、複数(図中3つ)の表示部42a、42b、42cが設けられている。
【0042】
上記加飾部材5Cは、合成樹脂の2色成形により形成されており、透光部43及び非透光部44を備えている。この透光部43は、加飾部材5Cの移動位置A1~A3に応じて表示部材41の異なる部位を目視可能とする。具体的に、図7に示すように、加飾部材5Cが第1位置A1に位置決めされたときに、透光部43を介して表示部42a、42bが目視され、加飾部材5Cが第2位置A2に位置決めされたときに、透光部43を介して表示部42bが目視され、加飾部材5Cが第3位置A3に位置決めされたときに、透光部43を介して表示部42b、42cが目視される。
【0043】
(2)加飾部材の取付構造の作用及び効果
本実施例の加飾部材の取付構造1Cによると、上記実施例の加飾部材の取付構造1Aと略同様の作用効果を奏することに加えて、加飾部材5Cの車室外側R2には、加飾部材5Cに対向して表示部材41が配置されており、加飾部材5Cには、その移動位置A1~A3に応じて表示部材41の異なる部位を目視可能な透光部43が設けられているので、透光部43を介する表示部材41の異なる部位の目視によって加飾部材5Cによる意匠表現が変更される。
【0044】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更することができる。すなわち、上記実施例1~3では、山切り状の第1及び第2ロック部11、12により構成される加飾部材5A~5Cの移動及び位置決め構造を例示したが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、加飾部材5A~5C及び本体3のうちの一方に、バネ46により他方に付勢されたロックピン47を設け、他方に、ロックピン47の先端部が嵌り込む複数の凹部48を設けてなる加飾部材5A~5Cの移動及び位置決め構造としてもよい。
【0045】
また、上記実施例1~3では、加飾部材5A~5Cの移動方向Pの両側に対応して第1ロック部11及び第2ロック部12を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、これに替えて又は加えて、加飾部材5A~5Cの移動方向Pと直交する方向の両側に対応して第1ロック部11及び第2ロック部12を設けるようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施例1~3において、加飾部材5A~5Cの移動位置A1~A3を検知するスイッチを設け、加飾部材5A~5Cの位置情報を報知するようにしてもよい。この場合、例えば、移動規制部18がスイッチ機能を備え、加飾部材5A~5Cが移動端に位置したことを報知するようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施例1では、2つの照射部21、22を備える加飾部材5Aを例示したが、これに限定されず、例えば、3つ以上の照射部を備える加飾部材5Aとしてもよい。
【0048】
また、上記実施例1では、光源6の光を異なる照射範囲で照射する照射部21、22を例示したが、これに限定されず、例えば、光源6の光を異なる照射形状(例えば、矩形、星形、月形等の照射範囲の外郭形状の異なる形状)で照射する照射部21、22としてもよい。
【0049】
また、上記実施例3において、表示部材41が透光性を有する場合、表示部材41の車室外側に発光ダイオード等の光源を備えるようにしてもよい。
【0050】
さらに、上記実施例では、車両用内装材としてドアトリム2を例示したが、これに限定されず、例えば、ダッシュボード、ピラーガーニッシュ、コンソールボックス、アームレスト、デッキサイドトリム、ルーフトリム等としてもよい。
【0051】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0052】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
自動車、鉄道車両、船舶、飛行機等の車両内装材を構成する本体に対する加飾部材の取付構造に関する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0054】
1A~1C;加飾部材の取付構造、2;ドアトリム(車両内装材)、3;本体、4;窓部、5A~5C;加飾部材、6;光源、11;第1ロック部、12;第2ロック部、17;挟持部、18;移動規制部、21;第1照射部、22;第2照射部、31;面状発光体、33;照射部、41;表示部材、43;透光部、Q1,Q1’;第1照射範囲、Q2;第2照射範囲、R1;車室内側、R2;車室外側。
図1
図2
図3
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図10