(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 1/3827 20150101AFI20220509BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
H04B1/3827
H04M1/00 H
(21)【出願番号】P 2018240653
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 義輝
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-048323(JP,A)
【文献】特開2014-042135(JP,A)
【文献】特開2012-199705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/3827
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレストーク通信によって無線通信を行う無線通信装置であって、
ユーザの操作を受け付ける操作部と、
受信した音声信号を音声として出力する出力部と、
前記出力部が出力する前記音声の音量を調整する音量調整部と、
前記音声信号の送信元を示す送信元情報と、前記出力部の音量を調整する度合いである調整係数と、前記調整係数を有効とする期間を定める調整継続時間である調整時間と、を関連付けた調整情報を記憶する記憶部と、を有し、
前記音量調整部は、
前記操作部に前記ユーザの所定の操作があった場合に、前記音声信号の送信元を示す送信元情報を取得し、取得した前記送信元情報
と一致する前記送信元情報が前記調整情報に含まれる場合に、前記送信元情報に関連付けされた前記調整時間を用いて前記調整継続時間を設定して前記音声の音量調整を開始し、
前記調整継続時間の期間に前記出力部から前記音声として出力される前記音声信号の送信元情報と一致する前記送信元情報が前記調整情報に含まれる場合に、前記送信元情報に関連付けされた前記調整係数を用いて、前記音声の音量を調整する、
無線通信装置。
【請求項2】
前記音量調整部は
、前記出力部から音声が出力されていないタイミングに前記操作部に前記ユーザの所定の操作があった場合には、予め定めた前記調整時間であるデフォルト調整時間を用いて、前記調整継続時間を設定する、請求項
1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記音量調整部は、前記出力部から音声が出力されている最中に前記調整継続時間が終了した場合は、前記音声の出力が終了するまで、前記音声の音量調整を続ける、請求項
1又は請求項
2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記音量調整部は、前記調整継続時間中に前記操作部への前記ユーザの延長操作があった場合に、前記調整時間を改めて用いることで、前記調整継続時間を延長する、請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
ユーザの操作を受け付ける操作部と、受信した音声信号を音声として出力する無線通信装置を用いて、プレストーク通信によって無線通信を行う無線通信方法であって、
前記音声信号の送信元を示す送信元情報と、前記音声を出力する音量を調整する度合いである調整係数と、前記調整係数を有効とする期間を定める調整継続時間である調整時間と、を関連付けた調整情報を記憶し、
前記操作部に前記ユーザの所定の操作があった場合に、前記音声信号の送信元を示す送信元情報を取得し、
前記取得した送信元情報と一致する前記送信元情報が前記調整情報に含まれる場合に、前記送信元情報に関連付けされた前記調整時間を用いて前記調整継続時間を設定して前記音声の音量調整を開始し、
前記調整継続時間の期間に前記無線通信装置から前記音声として出力される前記音声信号の送信元情報と一致する前記送信元情報が前記調整情報に含まれる場合に、前記送信元情報に関連付けされた前記調整係数を用いて、前記音声の音量を調整する、
無線通信方法。
【請求項6】
ユーザの操作を受け付ける操作部と、受信した音声信号を音声として出力する無線通信装置を用いて、プレストーク通信によって無線通信を行う無線通信方法を、コンピュータに実行させるプログラムであって、
前記音声信号の送信元を示す送信元情報と、前記音声を出力する音量を調整する度合いである調整係数と、前記調整係数を有効とする期間を定める調整継続時間である調整時間と、を関連付けた調整情報を記憶し、
前記操作部に前記ユーザの所定の操作があった場合に、前記音声信号の送信元を示す送信元情報を取得し、
前記取得した送信元情報と一致する前記送信元情報が前記調整情報に含まれる場合に、前記送信元情報に関連付けされた前記調整時間を用いて前記調整継続時間を設定して前記音声の音量調整を開始し、
前記調整継続時間の期間に前記無線通信装置から前記音声として出力される前記音声信号の送信元情報と一致する前記送信元情報が前記調整情報に含まれる場合に、前記送信元情報に関連付けされた前記調整係数を用いて、前記音声の音量を調整する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プレストーク通信の方式で無線通信を行う無線通信装置は、PTT(Push To Talk)スイッチが操作されている間のみ音声を送信するが、音声の受信は、スイッチ操作を行うことなく、自動的に行われる。従って、ユーザが置かれている状況によっては、無線通信装置からの音声の調整が必要な場合がある。例えば、接客中など、無線通信装置からの音声を聞くよりも優先すべきことがある状況や、周囲に音声を聞かせたくない状況においては、音量を低く設定するニーズがある。また、重要な情報を受信する可能性がある状況では、音量を高く設定するニーズもある。特許文献1には、PTTスイッチを複数回短押しすることで、通話終了まで、音量を低下させる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、無線通信装置は、複数のユーザから異なるタイミングで音声を受信する場合がある。この場合、例えば特許文献1のように一様に音声を下げてしまうと、重要な情報を聞き逃すなど、適切に情報を受けることができなくなるおそれがある。従って、無線通信装置の音量調整を、より柔軟に行う事が求められる。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑み、音量調整を柔軟に行うことができる無線通信装置、無線通信方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる無線通信装置は、プレストーク通信によって無線通信を行う無線通信装置であって、ユーザの操作を受け付ける操作部と、受信した音声信号を音声として出力する出力部と、前記出力部が出力する前記音声の音量を調整する音量調整部と、を有し、前記音量調整部は、前記操作部に前記ユーザの所定の操作があった場合に、前記音声信号の送信元を示す送信元情報を取得し、取得した前記送信元情報に基づき、前記音声の音量を調整する度合いである調整係数を用いて、前記音声の音量を調整する。
【0007】
本発明の一態様にかかる無線通信方法は、ユーザの操作を受け付ける操作部と、受信した音声信号を音声として出力する無線通信装置を用いて、プレストーク通信によって無線通信を行う無線通信方法であって、前記操作部に前記ユーザの所定の操作があった場合に、前記音声信号の送信元を示す送信元情報を取得し、取得した前記送信元情報に基づき、前記音声の音量を調整する度合いである調整係数を用いて、前記音声の音量を調整する。
【0008】
本発明の一態様にかかるプログラムは、ユーザの操作を受け付ける操作部と、受信した音声信号を音声として出力する無線通信装置を用いて、プレストーク通信によって無線通信を行う無線通信方法を、コンピュータに実行させるプログラムであって、前記操作部に前記ユーザの所定の操作があった場合に、前記音声信号の送信元を示す送信元情報を取得し、取得した前記送信元情報に基づき、前記音声の音量を調整する度合いである調整係数を用いて、前記音声の音量を調整する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、音量調整を柔軟に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る無線通信装置の模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る内部装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る調整情報テーブルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、調整係数及び調整継続時間の設定方法を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、調整継続時間の延長方法を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、音量調整方法を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、音量調整方法を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、調整継続時間が経過した場合の処理を説明するフローチャートである。
【
図9】
図9は、停止操作が行われた場合の処理を説明するフローチャートである。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る音量調整の例を説明する図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る音量調整の例を説明する図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る音量調整の例を説明する図である。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る音量調整の例を説明する図である。
【
図14】
図14は、本実施形態に係る音量調整の例を説明する図である。
【
図15】
図15は、本実施形態に係る音量調整の例を説明する図である。
【
図16】
図16は、本実施形態に係る音量調整の例を説明する図である。
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(無線通信装置の構成)
図1は、本実施形態に係る無線通信装置の模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る無線通信装置1は、筐体10と、表示部12と、入力部14と、出力部16と、アンテナ18と、PTTスイッチ20Aと、音量操作部20Bと、スイッチ20C、20D、20Eと、操作ボタン20Fと、接続部22と、内部装置24とを有する。無線通信装置1は、プレストーク通信の方式で無線通信を行う端末である。すなわち、無線通信装置1は、PTT(Push to Talk)スイッチ20Aを押下している間だけ、入力部14から集音した音声を、電波として送信する。
【0013】
筐体10は、無線通信装置1の本体部分であり、内部に内部装置24を収納している。表示部12は、筐体10の表面10aに設けられており、例えば液晶パネルなどの表示画面である。ただし、無線通信装置1は、表示部12を有していなくてもよい。入力部14は、筐体10の表面10aに設けられており、無線通信装置1のユーザからの音声が入力されるマイクである。出力部16は、筐体10の表面10aに設けられており、無線通信により受信した音声を出力するスピーカである。なお、入力部14及び出力部16の設けられる位置は、筐体10の表面10aに限られず、任意であってよい。アンテナ18は、筐体10の上面10bに設けられている。無線通信装置1は、アンテナ18を介して、他の無線通信装置と無線通信を行う。すなわち、アンテナ18は、他の無線通信装置からの信号を、受信信号として受信する。また、アンテナ18は、無線通信装置1から送信される信号である送信信号を、送信する。なお、アンテナ18の設けられる位置も任意である。
【0014】
PTTスイッチ20Aは、筐体10の側面10cに設けられている。PTTスイッチ20Aは、無線通信装置1から、ユーザなどからの音声を送信信号として送信する際に、ユーザによって操作されるボタンである。ユーザがPTTスイッチ20Aを操作、ここでは押圧することで、送信開始を示す制御信号であるPTT信号が送信される。また、PTTスイッチ20Aの設けられる位置も、側面10cに限られず任意である。
【0015】
音量操作部20Bは、筐体10の上面10bに設けられている。音量操作部20Bは、出力部16から出力される音声の音量を調整するレバーである。また、音量操作部20Bは、無線通信の周波数を変更するレバーを備えていてもよい。ただし、音量操作部20Bが設けられる位置は、上面10bに限られず任意である。なお、本実施形態に係る音量とは、所定の大きさの音の情報を含む音声信号を音声として出力する場合において、その音声信号に含まれる音の大きさに対する、出力音声の音の大きさの比率である、と言い換えることができる。従って、同じ音量に設定されていた場合でも、音声信号に含まれる音が大きい場合に出力される音声は、音声信号に含まれる音が小さい場合に出力される音声よりも、大きくなる。
【0016】
スイッチ20C、20D、20Eは、筐体10の側面10dに設けられている。スイッチ20C、20D、20Eは、ユーザによって操作、ここでは押圧されることで、内部装置24に所定の処理を行わせる。本実施形態では、スイッチ20Cは、後述の音量調整のトリガとなる調整操作を行うための操作部である。また、スイッチ20Dは、音量調整の延長のトリガとなる延長操作を行うための操作部である。また、スイッチ20Eは、音量調整の停止のトリガとなる停止操作を行うための操作部である。ただし、スイッチ20C(調整操作を行うための操作部)、スイッチ20D(延長操作を行うための操作部)、及びスイッチ20E(停止操作を行うための操作部)の位置は任意であり、筐体の側面10dに設けられることに限られない。また、スイッチ20C(調整操作を行うための操作部)、スイッチ20D(延長操作を行うための操作部)、及びスイッチ20E(停止操作を行うための操作部)は、本実施形態では別々のスイッチであるが、例えば同じスイッチであってもよい。ただし、スイッチ20C(調整操作を行うための操作部)、スイッチ20D(延長操作を行うための操作部)、及びスイッチ20E(停止操作を行うための操作部)は、PTTスイッチ20Aとは別のスイッチであることが好ましい。
【0017】
操作ボタン20Fは、筐体10の表面10aに設けられる。操作ボタン20Fは、ユーザに操作される複数のキー、例えばテンキーや数字キーなどを有している。
【0018】
このように、PTTスイッチ20A、音量操作部20B、スイッチ20C(調整操作を行うための操作部)、スイッチ20D(延長操作を行うための操作部)、スイッチ20E(停止操作を行うための操作部)、及び操作ボタン20Fは、ユーザの操作を受け付ける操作部であるといえる。PTTスイッチ20A、音量操作部20B、スイッチ20C(調整操作を行うための操作部)、スイッチ20D(延長操作を行うための操作部)、スイッチ20E(停止操作を行うための操作部)、及び操作ボタン20Fを互いに区別しない場合は、操作部20と記載する。なお、操作部20は、ユーザによって操作される形状であればよく、ボタンやレバーやキーなどの構造に限られない。
【0019】
接続部22は、筐体10の下方の下面10eに設けられる。接続部22は、イヤホンなどの音声出力が可能な出力装置や、マイクなどの音声入力が可能な入力装置、更には操作部20の機能を持つ操作装置が接続可能な、接続端子である。すなわち、接続部22にイヤホンなどの出力装置が接続されている場合、接続部22に接続されている出力装置が、無線通信により受信した音声を出力する出力部を構成する。また、接続部22にマイクなどの入力装置が接続されている場合、接続部22に接続されている入力装置が、無線通信装置1のユーザからの音声が入力される入力部を構成する。以下、特に言及が無い場合には、出力部16とは、出力部16及び接続部22に接続されている出力装置との少なくとも一方を指している。同様に、特に言及が無い場合には、入力部14とは、入力部14及び接続部22に接続されている入力装置との少なくとも一方を指している。なお、接続部22の設けられる位置も、下面10eに限られず任意である。
【0020】
図2は、本実施形態に係る内部装置の構成を示すブロック図である。内部装置24は、筐体10の内部に設けられ、
図2に示すように、送信部30と、受信部32と、記憶部34と、制御部36とを有する。送信部30は、後述の送受信制御部40により制御されて、入力部14に入力された音声を、送信信号に変換する回路である。受信部32は、後述の送受信制御部40により制御されて、アンテナ18から受信した受信信号を復調して音声信号を生成する回路である。
【0021】
記憶部34は、制御部36の演算内容やプログラム、後述する調整情報テーブルの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0022】
制御部36は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。
図2に示すように、制御部36は、送受信制御部40と、音量調整部42とを有する。送受信制御部40と、音量調整部42とは、制御部36が記憶部34に記憶されたソフトウェア(プログラム)を読み出すことで実現されて、後述する処理を実行する。ただし、少なくとも送受信制御部40は、プログラムであることに限られず、後述する処理を実行する回路などのハードウェアであってもよい。
【0023】
送受信制御部40は、アンテナ18が受信した受信信号を、出力部16に、音声として出力させる。具体的には、PTTスイッチ20Aがユーザに操作されていない場合、すなわちPTT信号を取得していない場合、送受信制御部40は、無線通信装置1を、受信状態、すなわち受信信号を音声として出力可能な状態に保っている。すなわち、送受信制御部40は、断続的に受信状態となる。送受信制御部40は、受信状態においてアンテナ18から受信した受信信号を、受信部32に、音声信号として復調させる。送受信制御部40は、受信部32が復調した音声信号を取得し、音声信号から、送信元情報と、送信先情報と、音声情報信号とを抽出する。すなわち、音声信号には、送信元情報と、送信先情報と、音声情報信号とが含まれている。
【0024】
送信元情報とは、その音声信号(受信信号)の送信元を示す情報である。すなわち、送信元情報は、その音声信号が、どのユーザ又はどの無線通信装置から送信されたかを示すID情報である。送信元情報は、送信元を識別可能な送信元識別子ということもできる。また、送信先情報とは、その音声信号が、どの無線通信装置1に向けた音声信号であるかを示す情報である。すなわち、送信先情報は、その音声信号が、どのユーザ又はどの無線通信装置に向けた信号であるかを示すID情報であるといえる。送信先情報は、送信先を識別可能な送信先識別子ということもできる。なお、音声信号が複数の無線通信装置に同時送信されていた場合、すなわち複数の無線通信装置を含むグループに一斉送信される場合、送信先情報は、そのグループを示す情報であってもよい。
【0025】
音声情報信号は、音声信号(受信信号)に含まれていた音声の情報を含む信号である。送受信制御部40は、送信先情報から、その音声情報信号を音声として出力するかを判断する。送受信制御部40は、音声として出力すると判断した場合、音声情報信号を、出力部16に送信して、出力部16に、音声として出力させる。送受信制御部40は、音声として出力しないと判断した場合、その音声情報信号を、音声として出力させない。なお、送受信制御部40は、例えば、送信先情報で示された送信先が自身の無線通信装置1を示す場合、又は、送信先情報で示された送信先のグループが自身の無線通信装置1を含む場合に、その音声情報信号を音声として出力すると判断する。
【0026】
また、送受信制御部40は、送信部30を制御して、送信信号を送信させる。具体的には、送受信制御部40は、PTTスイッチ20Aがユーザに操作された場合、すなわちPTT信号を取得した場合、入力部14に入力された音声を、音声情報信号に変換する。PTTスイッチ20Aがユーザに操作されている場合、すなわちPTT信号を取得した場合、送受信制御部40は、無線通信装置1を、送信状態、すなわち音声を送信信号として送信可能な状態に保っている。より詳しくは、送受信制御部40は、送信状態において、入力部14に入力された音声を、自身の無線通信装置1を示す送信元情報、及び送信先情報と共に符号化して、音声情報信号と送信元信号と送信先信号とを含む音声信号を生成する。送受信制御部40は、生成した音声信号を、送信部30で、所定の周波数の送信信号に変換させ、アンテナ18から、送信信号を送信させる。なお、自身の無線通信装置1を示す送信元情報とは、無線通信装置1又は無線通信装置1のユーザによって送信されたことを示す送信元情報である。また、送信先情報は、例えばユーザによって設定される。
【0027】
音量調整部42は、出力部16が出力する音声の音量を調整する。音量調整部42は、例えば出力部16に接続されるアンプ部を制御することで、出力部16が出力する音声の音量を調整する。音量調整部42は、操作部20にユーザの所定の操作があった場合に、後述する音量調整の処理を行う。所定の操作とは、音量調整を行うトリガとなる調整操作であり、本実施形態では、スイッチ20Cへの操作である。調整操作は、例えばスイッチ20Cを一回押圧する操作であるが、調整操作の操作内容は、一回押圧に限られず任意である。
【0028】
音量調整部42は、送信元情報取得部50と、調整係数設定部52と、調整時間設定部54と、音量制御部56とを有する。送信元情報取得部50は、スイッチ20Cへ調整操作があった場合に、アンテナ18が受信した受信信号、すなわち受信部32が受信して復調した音声信号の、送信元情報を取得する。すなわち、送信元情報取得部50は、送受信制御部40が音声信号から抽出した送信元情報を、取得する。
【0029】
調整係数設定部52は、スイッチ20Cへ調整操作があった場合に、送信元情報取得部50が取得した送信元情報に基づき、出力部16が出力する音声の音量を調整する度合いである調整係数を設定する。さらに言えば、出力部16が出力する音声の音量として予め設定されていた音量を、通常音量とすると、調整係数は、通常音量に乗じられる係数であるといえる。この場合、通常音量に調整係数が乗じられた値である調整音量が、実際に出力部16が出力する音声の音量となる。調整係数は、本実施形態では0より大きく1より小さい数値範囲内で設定されるが、これに限られず任意の数値範囲で設定されてもよい。例えば、調整係数は、1より大きい値として設定されてもよい。また、予め設定されていた通常音量は、例えば、ユーザが音量操作部20Bを操作することで設定される。このように、調整係数は、スイッチ20Cへ調整操作があった場合に出力部16から出力される音声の音量を、調整音量にするための係数であるといえる。
【0030】
図3は、本実施形態に係る調整情報テーブルの一例を示す図である。記憶部34は、調整情報テーブルを記憶している。調整情報テーブルとは、送信元情報と調整係数とを関連付けた調整情報を複数含む情報群である。すなわち、記憶部34は、送信元情報と調整係数とを関連付けた情報である調整情報を、複数の送信元情報毎に記憶する。調整係数設定部52は、調整情報テーブルに基づき、すなわち複数の調整情報に基づき、調整係数を設定する。なお、
図3に示すように、調整情報には、調整時間も関連付いているが、調整時間については後述する。なお、詳細な説明は省略するが、送信元情報の代わりに送信先グループ情報と調整係数、調整時間とを関連付けて記憶する調整情報テーブルとすることも可能である。前述のように送受信制御部40は、送信先情報がグループを示しており自身の無線通信装置1を含む場合に音声を出力する。無線通信装置1は、複数のグループに属することも可能であるため調整情報テーブルに含まれる送信先グループ情報を使い、グループの違いによる音量調整ができる。
【0031】
図3に示すように、調整情報テーブルは、送信元情報と調整係数とが関連付けられた調整情報を、送信元情報毎に含む。すなわち、調整情報テーブルにおいて、調整係数は、送信元情報毎に割り当てられており、送信元情報毎に異なる値となってもよい。
図3の例では、送信元情報A1に対して調整係数B1が割り当てられており、送信元情報A2に対して調整係数B2が割り当てられており、送信元情報A3に対して調整係数B3が割り当てられている。送信元情報A1は、例えば送信元が無線通信装置P1であることを示す情報であり、送信元情報A2は、例えば送信元が無線通信装置P1とは異なる無線通信装置P2であることを示す情報であり、送信元情報A3は、例えば送信元が無線通信装置P1、P2とは異なる無線通信装置P3であることを示す情報である。
図3では、3つの送信元情報A1、A2、A3に対し、それぞれ調整係数B1、B2、B3が割り当てられる例を示しているが、調整係数が割り当てられる送信元情報の数、すなわち調整情報の数は、3つに限られず任意である。また、
図3では、デフォルト送信元情報A0に対して、デフォルト調整係数B0が割り当てられている。デフォルト送信元情報A0は、調整情報テーブルに含まれる送信元情報以外の、全ての送信元を指している。すなわち、デフォルト送信元情報A0は、調整情報として設定されている送信元情報以外の全ての送信元を指しており、
図3の例では、無線通信装置P1、P2、P3以外の無線通信装置が送信元である場合を意味している。また、デフォルト調整係数B0とは、デフォルト送信元情報A0に対して割り当てられた調整係数Bである。以下、デフォルト送信元情報A0と、送信元情報A1、A2、A3とを互いに区別しない場合は、送信元情報Aと記載し、デフォルト調整係数B0と、調整係数B1、B2、B3とを互いに区別しない場合は、調整係数Bと記載する。
【0032】
調整情報テーブルにおける送信元情報Aと調整係数Bとは、予め設定されて、記憶部34に記憶されている。調整情報テーブルにおける送信元情報Aと調整係数Bとは、例えばユーザに設定されもよい。すなわち、例えばユーザによって、送信元情報Aが選択されて、選択された送信元情報Aに関連付ける調整係数Bが設定される。この場合、ユーザは、例えば操作ボタン20Fなどを操作することで、送信元情報Aと調整係数Bとを設定してもよい。また、例えば無線通信装置1が、無線通信で、送信元情報Aと調整係数Bとを取得することで、送信元情報Aと調整係数Bとを設定してもよい。すなわち、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aは、任意に設定されてよく、送信元情報Aに関連付けられる調整係数Bの値も、任意に設定されてよい。
【0033】
調整係数設定部52は、このように設定された調整情報テーブルに基づき、調整係数Bを設定する。すなわち、調整係数設定部52は、送信元情報取得部50から、受信した音声信号の送信元情報Aを取得し、記憶部34から、調整情報テーブルを読み出す。そして、調整係数設定部52は、受信した音声信号の送信元情報Aと調整情報テーブルとを照合して、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aの中に、受信した音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aがあるかを検出する。ここでの調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aとは、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aのうち、デフォルト送信元情報A0を除いた送信元情報Aを指しており、
図3の例では、送信元情報A1、A2、A3である。調整係数設定部52は、受信した音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aが調整情報テーブルに含まれる場合、受信した音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aに関連付けられた調整係数Bを抽出する。調整係数設定部52は、抽出した調整係数Bを、受信した音声信号の音声調整に使用する調整係数Bに設定する。例えば、受信した音声信号の送信元情報Aが送信元情報A1である場合、すなわち受信した音声信号が無線通信装置P1からのものである場合、調整係数設定部52は、調整情報テーブルに含まれる送信元情報A1に関連付いた調整係数B1を、受信した音声信号の調整係数Bに設定する。
【0034】
また、受信した音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aが調整情報テーブルに含まれない場合、すなわち、受信した音声信号の送信元情報Aが、デフォルト送信元情報A0を除いた送信元情報Aのいずれにも一致しない場合、調整係数設定部52は、デフォルト送信元情報A0に関連付いたデフォルト調整係数B0を抽出する。調整係数設定部52は、抽出したデフォルト調整係数B0を、受信した音声信号の音声調整に使用する調整係数Bに設定する。例えば、受信した音声信号の送信元情報Aが、送信元情報A1、A2、A3のいずれにも一致しない場合、すなわち受信した音声信号が無線通信装置P1、P2、P3からのものでない場合、調整係数設定部52は、デフォルト送信元情報A0に関連付いたデフォルト調整係数B0を、受信した音声信号の音声調整に使用する調整係数Bに設定する。調整係数設定部52は、このようにして、調整係数Bを設定する。
【0035】
ここで、出力部16が出力する音声の音量調整を続ける時間を、調整継続時間とする。すなわち、調整継続時間は、後述の音量制御部56が、調整係数Bを用いて、出力部16の出力音声の音量調整を続ける時間である。言い換えれば、音量制御部56は、調整継続時間の時間帯に音声を出力する場合は、音声の音量調整を行う。一方、音量制御部56は、調整継続時間でない時間帯に音声を出力する場合は、音声の音量調整を行わない。
図2に示す調整時間設定部54は、スイッチ20Cへ調整操作があった場合に、送信元情報取得部50が取得した送信元情報に基づき、調整時間を設定する。調整時間とは、調整継続時間を設定するための時間である。
図3に示すように、調整時間は、調整情報において、調整係数Bと共に、送信元情報Aに関連付けられている。すなわち、調整情報テーブルにおける調整情報は、送信元情報Aと、調整係数Bと、調整時間とを、関連付けた情報である。このように、記憶部34は、調整継続時間を設定するための調整時間を、送信元情報に関連付けて調整情報として記憶している。調整時間設定部54は、調整情報テーブルに基づき、すなわち調整情報に基づき、調整時間を設定する。なお、調整時間は無限長の時間を設定することも可能であり、この場合はユーザによる停止操作が行われるまで継続する。
【0036】
図3に示すように、調整情報テーブルは、送信元情報と調整係数と調整時間とが関連付けられた調整情報を、送信元情報毎に含む。すなわち、調整情報テーブルにおいて、調整時間は、送信元情報毎に割り当てられており、送信元情報毎に異なる値となってもよい。
図3の例では、送信元情報A1に対して調整時間ΔT1が割り当てられており、送信元情報A2に対して調整時間ΔT2が割り当てられており、送信元情報A3に対して調整時間ΔT3が割り当てられている。
図3では、3つの送信元情報A1、A2、A3に対し、それぞれ調整時間ΔT1、ΔT2、ΔT3が割り当てられる例を示しているが、調整時間が割り当てられる送信元情報の数、すなわち調整情報の数は、3つに限られず任意である。また、
図3では、デフォルト送信元情報A0に対して、デフォルト調整時間ΔT0が割り当てられている。以下、デフォルト調整時間ΔT0と、調整時間ΔT1、ΔT2、ΔT3とを互いに区別しない場合は、調整時間ΔTと記載する。
【0037】
調整情報テーブルにおける送信元情報Aと調整係数Bと調整時間ΔTとは、予め設定されて、記憶部34に記憶されている。調整情報テーブルにおける送信元情報Aと調整係数Bと調整時間ΔTとは、例えばユーザに設定されもよい。すなわち、例えばユーザによって、送信元情報Aが選択されて、選択された送信元情報Aに関連付ける調整係数Bと調整時間ΔTとが設定される。この場合、ユーザは、例えば操作ボタン20Fなどを操作することで、送信元情報Aと調整係数Bと調整時間ΔTとを設定してもよい。また、例えば無線通信装置1が、無線通信で、送信元情報Aと調整係数Bと調整時間ΔTとを取得することで、送信元情報Aと調整係数Bと調整時間ΔTとを設定してもよい。このように、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aは、任意に設定され、送信元情報Aに関連付けられる調整係数Bと調整時間ΔTとの値も、任意に設定される。
【0038】
調整時間設定部54は、このように設定された調整情報テーブルに基づき、調整継続時間に用いる調整時間ΔTを設定する。すなわち、調整時間設定部54は、送信元情報取得部50から、受信した音声信号の送信元情報Aを取得し、記憶部34から、調整情報テーブルを読み出す。そして、調整時間設定部54は、受信した音声信号の送信元情報Aと調整情報テーブルとを照合して、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aの中に、受信した音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aがあるかを検出する。ここでの調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aとは、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aのうち、デフォルト送信元情報A0を除いた送信元情報Aを指している。調整時間設定部54は、受信した音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aが調整情報テーブルに含まれる場合、受信した音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aに関連付けられた調整時間ΔTを抽出する。調整時間設定部54は、抽出した調整時間ΔTを、調整継続時間に用いる調整時間ΔTに設定する。例えば、受信した音声信号の送信元情報Aが送信元情報A1である場合、すなわち受信した音声信号が無線通信装置P1からのものである場合、調整時間設定部54は、調整情報テーブルに含まれる送信元情報A1に関連付いた調整時間ΔT1を、調整継続時間の設定に用いる調整時間ΔTに設定する。
【0039】
また、調整時間設定部54は、受信した音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aが調整情報テーブルに含まれない場合、すなわち、受信した音声信号の送信元情報Aが、デフォルト送信元情報A0を除いた送信元情報Aのいずれにも一致しない場合、デフォルト送信元情報A0に関連付いたデフォルト調整時間ΔT0を抽出する。調整時間設定部54は、抽出したデフォルト調整時間ΔT0を、受信した音声信号の音声調整に用いる。例えば、受信した音声信号の送信元情報Aが、送信元情報A1、A2、A3のいずれにも一致しない場合、すなわち受信した音声信号が無線通信装置P1、P2、P3からのものでない場合、調整時間設定部54は、デフォルト送信元情報A0に関連付いたデフォルト調整時間ΔT0を、調整継続時間の設定に用いる調整時間ΔTに設定する。また、調整時間設定部54は、スイッチ20Cへ調整操作があった際に、音声信号を受信していない場合にも、デフォルト送信元情報A0を除いた送信元情報Aのいずれにも一致しないとして、デフォルト送信元情報A0に関連付いたデフォルト調整時間ΔT0を、調整継続時間の設定に用いる調整時間ΔTに設定する。
【0040】
図2に示す音量制御部56は、調整係数設定部52が設定した調整係数Bを用いて、出力部16が出力する音声の音量を調整する。すなわち、音量制御部56は、調整係数設定部52が設定した調整係数Bを、予め設定されている通常音量に乗じることで、調整音量を算出する。音量制御部56は、出力部16に対し、受信した音声情報信号を、調整音量で音声として出力させる。
【0041】
また、音量制御部56は、調整時間設定部54が設定した調整時間ΔTを用いて、音量調整を続ける時間である調整継続時間を設定する。すなわち、音量制御部56は、調整時間ΔTの分だけ音量調整を続けるよう、調整継続時間を設定する。ただし、音量制御部56は、状況によっては、調整継続時間を、調整時間ΔTから異ならせる。調整継続時間の設定方法の詳細については、以下で説明するフローチャートで説明する。このように、本実施形態に係る無線通信装置1は、調整時間ΔTに基づき調整継続時間を設定する。ただし、無線通信装置1は、調整継続時間を設定しなくてもよい。この場合、音量制御部56は、音量調整を予め定めた時間だけ続けてもよいし、スイッチ20Eへの停止操作があるまで、音量調整を続けてもよい。調整継続時間を設定しない場合、無線通信装置1は、調整時間ΔTについても設定しなくてよく、
図3に示す調整情報に調整時間ΔTが含まれなくてもよい。すなわち、無線通信装置1は、少なくとも、送信元情報Aに基づき調整係数Bを設定し、設定した調整係数Bを用いて、音声の音量を調整すればよい。
【0042】
(調整係数及び調整継続時間の設定)
次に、音量調整部42による、調整係数B及び調整継続時間の設定方法について説明する。音量調整部42は、音量調整フラグがオフである場合に、ユーザによるスイッチ20Cへの調整操作を検出すると、調整係数及び調整継続時間を設定する。音量調整フラグは、音量調整を行う必要があることを示す情報である。後述のように、音量調整部42は、音量調整フラグがオフ、すなわち偽(False)である場合、音量調整を実施しない。一方、音量調整部42は、調整有効フラグがオン、すなわち真(True)である場合、音量調整を実施する。
【0043】
図4は、調整係数及び調整継続時間の設定方法を説明するフローチャートである。
図4に示すように、音量調整部42は、音量調整フラグがオフである場合にスイッチ20Cへの調整操作があった場合(ステップS10)、すなわち音量調整イベントがあった場合に、調整操作があったことを検出する。音量調整部42は、調整操作があったことを検出したら、出力部16から音声が出力中であるかを判断する(ステップS12)。すなわち、音量調整部42は、出力部16が、スイッチ20Cへの調整操作があったタイミングにおいて、受信した音声信号を音声として出力中であるかを判断する。
【0044】
音声が出力中である場合(ステップS12;Yes)、音量調整部42は、送信元情報取得部50によって、受信している音声信号の送信元情報Aを取得して、取得した送信元情報Aが、調整情報テーブルの送信元情報Aに一致しているかを判断する(ステップS14)。すなわち、音声が出力中である場合、送信元情報取得部50は、出力している音声に対応する音声信号の送信元情報Aを取得する。そして、音量調整部42は、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aの中に、出力している音声に対応する音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aがあるかを判断する。一致する送信元情報Aがある場合(ステップS14;Yes)、音量調整部42は、調整係数設定部52により、一致する送信元情報Aに関連付けられた調整係数Bを、音量調整に用いる調整係数Bとして設定する(ステップS16)。そして、音量調整部42は、調整時間設定部54により、一致する送信元情報Aに関連付けられた調整時間ΔTを、調整継続時間の設定に用いる調整時間ΔTとして設定して、その調整時間ΔTを、調整継続時間に設定する(ステップS18)。すなわち、調整係数設定部52は、調整情報テーブルにおいて、出力中の音声に対応する音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aに関連付けられた調整係数Bを、音量調整に用いる調整係数Bとして設定する。調整時間設定部54は、調整情報テーブルにおいて、出力中の音声に対応する音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aに関連付けられた調整時間ΔTを、調整継続時間に設定する。そして、調整時間設定部54は、調整継続時間のタイマを起動する。すなわち、調整時間設定部54は、設定した調整継続時間が経過するまでのカウントを始める。なお、ステップS16とステップS18との順番は、この順に限られず任意である。
【0045】
一方、一致する送信元情報Aがない場合(ステップS14;No)、音量調整部42は、調整係数設定部52により、デフォルト調整係数B0を、音量調整に用いる調整係数Bとして設定する(ステップS20)。そして、音量調整部42は、調整時間設定部54により、デフォルト調整時間ΔT0を、調整継続時間の設定に用いる調整時間ΔTとして設定して、その調整時間ΔTを、調整継続時間に設定する(ステップS22)。すなわち、調整係数設定部52と調整時間設定部54とは、出力中の音声に対応する音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aが調整情報テーブルに含まれない場合、デフォルト調整係数B0を、音量調整に用いる調整係数Bとして設定し、デフォルト調整時間ΔT0を、調整継続時間に設定する。そして、調整時間設定部54は、調整継続時間のタイマを起動する。すなわち、調整時間設定部54は、設定した調整継続時間が経過するまでのカウントを始める。なお、ステップS20とステップS22との順番は、この順に限られず任意である。
【0046】
また、音声が出力中でない場合(ステップS12;No)、ステップS22に進み、調整時間設定部54は、デフォルト調整時間ΔT0を、調整継続時間に設定する。すなわち、音声が出力中でない場合は音量調整は不要なので、現時点での調整係数Bの設定は不要である。一方、現時点では音声が出力中でなくても、この後に音声が出力される可能性があるため、それに備えて、調整継続時間を設定しておくことが好ましい。従って、音量調整部42は、音声が出力中でない場合には、音量調整のための調整係数Bを設定しない一方、調整時間ΔTを調整継続時間として設定する。
【0047】
ステップS18又はステップS22で調整継続時間を設定したら、音量調整部42は、調整有効フラグをオンにして(ステップS24)、本処理を終了する。
【0048】
次に、音量調整部42による、調整継続時間の延長方法について説明する。
図5は、調整継続時間の延長方法を説明するフローチャートである。音量調整部42は、音量調整フラグがオンである場合に、スイッチ20Dへの延長操作を検出すると、調整継続時間を再設定して、調整継続時間を延長する。
図5に示すように、音量調整部42は、調整有効フラグがオンである場合に、スイッチ20Dへの延長操作があった場合(ステップS30)、すなわち音量調整延長イベントがあった場合に、延長操作があったことを検出する。音量調整部42は、延長操作があったことを検出したら、出力部16から音声が出力中であるかを判断する(ステップS32)。すなわち、音量調整部42は、出力部16が、スイッチ20Dへの延長操作があったタイミングで、受信した音声信号を音声として出力中であるかを判断する。なお、延長操作は、スイッチ20Dへの1回の操作(押圧)であるが、延長操作の方法は任意である。
【0049】
音声が出力中である場合(ステップS32;Yes)、音量調整部42は、送信元情報取得部50によって、受信している音声信号の送信元情報Aを取得して、取得した送信元情報Aが、調整情報テーブルの送信元情報Aに一致しているかを判断する(ステップS34)。音量調整部42は、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aの中に、出力している音声に対応する音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aがあるかを判断する。一致する送信元情報Aがある場合(ステップS34;Yes)、音量調整部42は、調整時間設定部54により、一致する送信元情報Aに関連付けられた調整時間ΔTを、調整継続時間の再設定に用いる調整時間ΔTとして設定して、その調整時間ΔTで、調整継続時間を再設定する(ステップS36)。すなわち、調整時間設定部54は、調整情報テーブルにおいて、出力中の音声に対応する音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aに関連付けられた調整時間ΔTを、抽出する。そして、調整時間設定部54は、抽出した調整時間ΔTを用いて、現在設定されている調整継続時間を延長する。本実施形態では、調整時間設定部54は、現在起動している調整継続時間のタイマのカウント終了までの時間を、現在設定されている時間から、現在の時刻から今回抽出した調整時間ΔTが経過する時刻までの間の時間に、変更する。
【0050】
一方、一致する送信元情報Aがない場合(ステップS34;No)、音量調整部42は、調整時間設定部54により、デフォルト調整時間ΔT0を、調整継続時間の再設定に用いる調整時間ΔTとして設定して、デフォルト調整時間ΔT0で、調整継続時間を再設定する(ステップS38)。すなわち、調整時間設定部54は、出力中の音声に対応する音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aが調整情報テーブルに含まれない場合、デフォルト調整時間ΔT0を抽出する。そして、調整時間設定部54は、抽出したデフォルト調整時間ΔT0を用いて、現在設定されている調整継続時間を延長する。すなわち、調整時間設定部54は、現在起動している調整継続時間のタイマのカウント終了までの時間を、現在設定されている時間から、現在の時刻からデフォルト調整時間ΔT0が経過する時刻までの間の時間に、変更する。また、音声が出力中でない場合(ステップS32;No)も、同様にステップS38に進み、デフォルト調整時間ΔT0で、調整継続時間を再設定する。
【0051】
ステップS36又はステップS38で調整継続時間を再設定したら、
図5の処理は終了する。なお、
図5の処理においては、音量調整フラグがオンの状態であるため、音声出力中である場合は調整係数Bが設定済みで、音声出力中でない場合は調整係数Bの設定が不要である。従って、
図5の処理においては、調整係数Bを設定しない。ただし、
図5の処理においても、音声出力中であれば、
図4と同様の方法で調整係数Bを設定し直してもよい。
【0052】
なお、音量調整部42は、調整継続時間を再設定したら、出力部16から報知情報、ここでは報知音を出力させてもよい。すなわち、音量調整部42は、音量調整を延長する旨を、報知情報でユーザに報知してもよい。
【0053】
(音量調整)
次に、音量調整部42による、音量調整方法について説明する。音量調整部42は、
図4又は
図5で設定された調整係数Bと調整継続時間とに基づき、出力部16の出力音声の音量調整を行う。すなわち、音量調整部42は、調整係数Bと調整継続時間とに基づき、通常音量を調整音量に変換して、出力部16に調整音量で音声を出力させる。以下、具体的に説明する。
【0054】
図6は、音量調整方法を説明するフローチャートである。
図6に示すように、音量調整部42は、受信状態において音声信号を受信したら(ステップS40)、すなわち受信状態において受信信号を受信したら、調整有効フラグがオンであるかを判断する(ステップS42)。より詳しくは、音量調整部42は、受信した音声信号に含まれる送信先情報から、その音声信号の宛先が自身の無線通信装置1であるか、又は、その音声信号の宛先のグループに自身の無線通信装置1が含まれるかを判断する。音量調整部42は、その音声信号の宛先が自身の無線通信装置1であるか、又は、その音声信号の宛先のグループに自身の無線通信装置1が含まれる場合に、ステップS42で、調整有効フラグがオンであるかを判断する。音量調整部42は、音声信号の宛先が自身の無線通信装置1でない場合、又は、音声信号の宛先のグループに自身の無線通信装置1が含まれない場合、出力部16に音声を出力させず(ミュート音声として)、本処理を終了してよい。
【0055】
調整有効フラグがオンである場合(ステップS42;Yes)、音量調整部42は、送信元情報取得部50によって、受信している音声信号の送信元情報Aを取得して、取得した送信元情報Aが、調整情報テーブルの送信元情報Aに一致しているかを判断する(ステップS44)。すなわち、送信元情報取得部50は、受信した音声信号の送信元情報Aを取得する。そして、音量調整部42は、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aの中に、受信した音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aがあるかを判断する。一致する送信元情報Aがある場合(ステップS44;Yes)、音量調整部42は、調整係数設定部52により、一致する送信元情報Aに関連付けられた調整係数Bを、音量調整に用いる調整係数Bとして設定して、設定した調整係数Bで、調整音量を設定する(ステップS46)。本実施形態においては、音量調整部42は、設定した調整係数Bを現在の通常音量に乗じて算出した値を、調整音量として設定する。
【0056】
一方、一致する送信元情報Aがない場合(ステップS44;No)、音量調整部42は、調整係数設定部52により、デフォルト調整係数B0を、音量調整に用いる調整係数Bとして設定して、設定した調整係数Bで、調整音量を設定する(ステップS48)。本実施形態においては、音量調整部42は、設定した調整係数B(デフォルト調整係数B0)を現在の通常音量に乗じて算出した値を、調整音量として設定する。
【0057】
このように、音量調整部42は、音声信号を受信したら、調整有効フラグがオンである場合に、調整係数Bを設定して、設定した調整係数Bを用いて調整音量を設定する。すなわち、調整有効フラグがオンであっても、音声信号を受信する前には音声出力を行っていないため、音声信号を受信したタイミングでは、調整係数Bが設定されていない。例えばこれより前に調整係数Bが設定されていても、その調整係数Bを用いた音声出力は終了しているため、調整係数Bはリセットされている。従って、音量調整部42は、音声信号を受信したタイミングで、受信した音声信号に対して調整係数Bを設定して、設定した調整係数Bを用いて、調整音量を設定する。なお、調整有効フラグがオンである場合、これより前の音声出力が終了していても、調整継続時間として設定された時間が経過するまで、調整継続時間はリセットされずに設定されたままとなっている。従って、音量調整部42は、調整継続時間の設定は行わない。
【0058】
また、調整有効フラグがオンでない場合(ステップS42;No)、すなわち調整有効フラグがオフの場合、音量調整部42は、出力部16から出力する音量を、通常音量に設定する(ステップS50)。すなわち、調整有効フラグがオンでない場合は、音量調整を行わない。
【0059】
ステップS46、ステップS48、又はステップS50が終了したら、音量調整部42は、音量制御部56により、出力部16に音声を出力させる(ステップS52)。すなわち、音量制御部56は、ステップS46、S48で調整音量を設定した場合は、出力部16が受信した音声信号を音声として出力する際の音量を、調整音量として設定して、出力部16に、調整音量で音声を出力させる。一方、音量制御部56は、ステップS50で通常音量を出力部16が出力する音声として設定した場合は、出力部16が受信した音声信号を音声として出力する際の音量を、通常音量として設定して、出力部16に、通常音量で音声を出力させる。これにより、本処理は終了する。
【0060】
なお、音量調整部42は、調整音量で出力部16から音声を出力させる前に、出力部16から報知情報、ここでは報知音を出力させてもよい。すなわち、音量調整部42は、音量調整して音声を出力させる際に、音量調整する旨を、報知情報でユーザに報知してもよい。
【0061】
図7は、音量調整方法を説明するフローチャートである。
図7は、通常音量で音声を出力している最中に、調整有効フラグがオンに切り替えられた場合の、音量調整方法を説明するものである。
図7に示すように、出力部16が通常音量で音声を出力中に(ステップS60)、調整有効フラグがオンに切り替わった場合(ステップS62;Yes)、音量調整部42は、調整有効フラグをオンに切り替えた際に設定した調整係数Bで、調整音量を設定し、出力部16に、調整音量で音声を出力させる(ステップS64)。調整有効フラグをオンに切り替えた際に設定した調整係数Bとは、
図4のステップS16又はステップS20で設定された調整係数Bである。一方、調整有効フラグがオンに切り替わらない場合(ステップS62;No)、音量調整部42は、出力部16に、通常音量での出力を続けさせる(ステップS66)。
【0062】
次に、音量調整を終了する場合の処理について説明する。
図8は、調整継続時間が経過した場合の処理を説明するフローチャートであり、
図9は、停止操作が行われた場合の処理を説明するフローチャートである。
図8に示すように、出力部16から調整音量で音声を出力させている最中、すなわち音量調整の最中に、停止操作が行われることなく調整継続時間が経過したら(ステップS70)、音量調整部42は、オンとなっていた調整有効フラグをオフにする(ステップS72)。言い換えれば、音量調整部42は、調整音量で音声を出力させている最中に調整継続時間のタイマにセットされた調整継続時間が経過したら、タイマを停止させて、調整有効フラグをオフにする。そして、音量調整部42は、出力部16からの音声出力が終了するまで、音量調整を継続して(ステップS74)、音声出力が終了したら、音量調整を終了する。すなわち、音量調整部42は、停止操作が行われることなく調整継続時間が経過した場合、現在出力している音声信号の音声出力が終了するまで、調整音量での音声出力を続ける。
【0063】
一方、
図9に示すように、出力部16から調整音量で音声を出力させている最中に、ユーザによる停止操作が行われたら(ステップS80)、すなわち音量調整部42がスイッチ20Eへの停止操作を検出したら、音量調整部42は、タイマを停止させて、オンとなっていた調整有効フラグをオフにする(ステップS82)。なお、停止操作は、スイッチ20Eへの1回の操作(押圧)であるが、停止操作の方法は任意である。そして、音量調整部42は、音量調整を中止して(ステップS84)、以降は通常音声で音声を出力させる。すなわち、音量調整部42は、停止操作が行われた場合、調整継続時間が経過していてもしていなくても、調整音量での音声出力から通常音量での音声出力に切り替える。なお、音量調整部42は、音声出力がされていない際に調整継続時間が経過した場合、及び、音声出力がされていない際に停止操作を検出した場合にも、タイマを停止させて、オンとなっていた調整有効フラグをオフにする。また、音量調整部42は、調整継続時間が経過した際に、出力部16から報知情報、ここでは報知音を出力させてもよい。すなわち、音量調整部42は、調整継続時間が終了して音量調整が終了する旨を、報知情報でユーザに報知してもよい。報知情報は、調整継続時間が経過したタイミングに限られず、音量調整している音声の出力が終了したタイミングに報知されてもよい。
【0064】
また、音量調整部42は、音声信号に緊急通信であることを示す緊急情報が含まれていた場合に、音量調整を停止してもよい。緊急情報は、音声信号に含まれた情報であり、必要に応じて、送信元が音声信号に含める。音量調整部42は、送受信制御部40によって音声信号から緊急情報が抽出された場合、この緊急情報を取得して、音量調整を停止する。この場合の停止フローは、
図9の停止操作による音量調整の停止フローと同様である。すなわち、
図9の停止情報の検出を、緊急情報の取得に置き換えればよい。以上が、音量調整の設定方法である。
【0065】
(音量調整例)
次に、以上説明した音量調整方法を用いた音量調整の例を説明する。
図10から
図16は、本実施形態に係る音量調整の例を説明する図である。
図10から
図16において、横軸は時間であり、縦軸は出力部16が出力する音声の音量である。
図10は、音量調整を行わず通常音量で音声出力を行っている例である。
図10から
図12は、最初に送信元情報A1の音声信号を出力し、その後、送信元情報A2の音声信号を出力し、その後、送信元情報A1の音声信号を出力し、その後、送信元情報A3の音声信号を出力し、その後、送信元情報A1の音声信号を出力した例を示している。
図10では、音量調整を行っていないため、全ての音量が、通常音量Rとなっている。
【0066】
図11は、最初の送信元情報A1の音声信号の出力中の時刻Taに、音量調整を始めた場合の例を説明している。すなわち、
図11では、時刻Taに、スイッチ20Cへの調整操作が検出されたため、音量調整部42は、
図4のステップS16に示すように、送信元情報A1に関連付いた調整係数B1を設定して、
図4のステップS18に示すように、送信元情報A1に関連付いた調整時間ΔT1を調整継続時間に設定して、調整有効フラグをオンにしている。そして、音量調整部42は、時刻Taに、
図7のステップS64に示すように、設定した調整係数B1で調整音量R1を設定して、音声出力を通常音量Rから調整音量R1に切り替える。
図11の例では、調整時間ΔT1、すなわち調整継続時間は、時刻Taから、送信元情報A3の音声信号の出力中の時刻Tbまでの時間となる。従って、最初の送信元情報A1の音声信号の出力終了後、送信元情報A2の音声信号は、調整係数B2に基づき設定された調整音量R2で出力され、その後の送信元情報A1の音声信号は、調整音量R1で出力される。また、送信元情報A3の音声信号の出力開始のタイミングでも、調整継続時間が続いて調整有効フラグがオンになっているため、送信元情報A3の音声信号は、調整係数B3に基づき設定された調整音量R3で出力される。そして、時刻Tbにおいて調整継続時間が経過するため、音量調整部42は、
図8のステップS72に示すように、調整有効フラグをオフにする。ただし、時刻Tbにおいては、送信元情報A3の音声信号の出力が続いているため、音量調整部42は、送信元情報A3の音声信号の出力が終了するまで、調整音量R3での出力を続ける。送信元情報A3の音声信号の次の送信元情報A1の音声信号は、調整有効フラグがオフになっているため、通常音量Rで出力される。
【0067】
図12は、最初の送信元情報A1の音声信号の出力前の時刻Tcに、音量調整を始めた場合の例を説明している。すなわち、
図12では、時刻Tcに、スイッチ20Cへの調整操作が検出されたため、音量調整部42は、
図4のステップS22に示すように、デフォルト調整時間ΔT0を調整継続時間に設定して、調整有効フラグをオンにしている。
図12の例では、デフォルト調整時間ΔT0、すなわち調整継続時間は、時刻Tcから、送信元情報A3の音声信号の出力中の時刻Tdまでの時間となる。従って、最初の送信元情報A1の音声信号、送信元情報A2の音声信号、及びその後の送信元情報A1の音声信号は、音量調整された調整音量R1、R2、R1で出力される。また、
図11と同様に、調整継続時間が終了する時刻Tdは、送信元情報A3の音声信号の出力中であるため、
図10と同様、送信元情報A3の音声信号は、出力が終了するまで、調整音量R3で出力される。送信元情報A3の音声信号の次の送信元情報A1の音声信号は、調整有効フラグがオフになっているため、通常音量Rで出力される。
【0068】
図13は、2つ目の音声信号が、調整情報テーブルに含まれない送信元情報Aを有する場合の例であり、その点以外は、
図12と同じである。すなわち、
図13では、最初に送信元情報A1の音声信号を出力し、その後、デフォルト送信元情報A0の音声信号を出力し、その後、送信元情報A1の音声信号を出力し、その後、送信元情報A3の音声信号を出力し、その後、送信元情報A1の音声信号を出力した例を示している。
図13に示すように、2つ目の音声信号は、調整情報テーブルに含まれない送信元情報Aを有する音声信号であるため、デフォルト送信元情報A0が割り当てられる。従って、2つ目の音声信号は、デフォルト調整係数B0に基づき設定された調整音量R0で出力される。なお、本実施形態では、調整音量R0は、通常音量Rより小さく、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aの調整音量R1、R2、R3より大きい。すなわち、デフォルト調整係数B0は、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aに関連付けられた調整係数B(ここでは調整係数B1、B2、B3)より大きく、1より小さい。このように設定することで、調整情報テーブルに送信元が設定されていない送信元からの音量を、調整情報テーブルに送信元が設定された送信元からの音量より大きくすることができるため、送信元が不明の音声が小さくなり過ぎることを抑制できる。ただし、デフォルト調整係数B0は、このような値に限られず任意に設定可能である。なお、デフォルト調整時間ΔT0も、調整情報テーブルに含まれる送信元情報Aに関連付けられた調整時間ΔTより長いことが好ましいが、それに限られず任意に設定可能である。
【0069】
図14から
図16は、最初に送信元情報A2の音声信号が出力され、次に送信元情報A1の音声信号が出力される例を示している。
図14は、音声出力中に調整継続時間が経過した場合であって、停止操作が行われない場合の例を示している。
図14の例では、送信元情報A2の音声信号を出力中の時刻Teに、音量調整を始めた場合の例を説明している。すなわち、
図14では、時刻Teに、スイッチ20Cへの調整操作が検出されたため、音量調整部42は、時刻Teにおいて、送信元情報A2の音声信号の音量を、通常音量Rから調整音量R2に切り替えている。また、音量調整部42は、送信元情報A2に関連付いた調整時間ΔT2を、調整継続時間に設定する。調整時間ΔT2、すなわち調整継続時間は、時刻Teから、送信元情報A2の音声信号の出力中の時刻Tfまでの時間となる。従って、音量調整部42は、調整継続時間が経過した時刻Teで調整有効フラグをオフにして、送信元情報A2の音声信号の出力が終了するまで、調整音量R2での音声出力を続ける。次の送信元情報A1の音声信号は、調整有効フラグがオフになっているため、通常音量Rで出力される。
【0070】
図15は、音声出力中に停止操作が行われた場合の例を示している。
図15の例では、調整継続時間の時間帯の時刻Teと時刻Tfとの間の時刻Tgに、停止操作が行われている。すなわち、
図14では、送信元情報A2の音声信号を出力中の時刻Tgに、スイッチ20Eへの停止操作が検出されたため、音量調整部42は、時刻Tgにおいて、調整有効フラグをオフにして、送信元情報A2の音声信号の音量を、調整音量R2から通常音量Rに切り替えている。
【0071】
図16は、延長操作が行われた場合の例を示している。
図16の例では、調整継続時間の時間帯の時刻Teと時刻Tfとの間の時刻Thに、延長操作が行われている。すなわち、
図16では、送信元情報A2の音声信号を出力中の時刻Thに、スイッチ20Dへの延長操作が検出されたため、音量調整部42は、時刻Thにおいて、
図5のステップS36に示すように、送信元情報A2に関連付いた調整時間ΔT2で、調整継続時間を延長している。調整継続時間は、時刻Thから調整時間ΔT2だけ経過した時刻Tiまで延長される。時刻Tiは、送信元情報A1の音声信号の出力中の時間である。従って、送信元情報A1の音声信号は、出力終了まで、調整音量R1で出力される。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信装置1は、プレストーク通信によって無線通信を行うものであって、ユーザの操作を受け付ける操作部20と、受信した音声信号を音声として出力する出力部16と、出力部16が出力する音声の音量を調整する音量調整部42と、を有する。音量調整部42は、操作部20にユーザの所定の操作があった場合に、音声信号の送信元を示す送信元情報Aを取得し、取得した送信元情報Aに基づき、音声の音量を調整する度合いである調整係数Bを設定し、設定した調整係数Bを用いて、音声の音量を調整する。無線通信装置1は、受信した音声信号の送信元を示す送信元情報Aに基づき、音声信号の音量を調整する。従って、この無線通信装置1によると、全ての送信元からの音声信号に対し、音量を一様に調整せずに、送信元毎に音量調整することができ、調整音量を送信元毎に異ならせることができる。従って、この無線通信装置1によると、送信元毎に応じて、音量制御を柔軟に行うことができる。
【0073】
また、無線通信装置1は、送信元情報Aと調整係数Bとを関連付けた情報である調整情報を、複数の送信元毎に記憶する記憶部34をさらに有する。音量調整部42は、受信した音声信号から取得した送信元情報Aと一致する送信元情報Aが、調整情報に含まれる場合に、一致する送信元情報Aに関連付けられた調整係数Bを用いて、音声の音量を調整する。この無線通信装置1は、音量調整を行うための調整係数Bを、送信元情報A毎にあらかじめ設定する。従って、この無線通信装置1によると、送信元毎に応じて、音量制御を柔軟に行うことができる。また、送信元情報A毎に予め調整係数Bを設定しておくことで、送信元に応じた音量調整をユーザのニーズに応じて適切に行うことができる。なお、調整係数Bの値は、変更可能である。
【0074】
また、音量調整部42は、操作部20にユーザの所定の操作(調整操作)があった場合であって、受信した音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aが、調整情報に含まれない場合に、予め定めた調整係数Bであるデフォルト調整係数B0を用いて、音声の音量を調整する。この無線通信装置1によると、デフォルト調整係数B0を用いて音量調整を行うため、予め設定していない送信元から音声信号を受信した場合でも、音量調整を好適に行うことができる。
【0075】
また、記憶部34は、音声の音量調整を続ける調整継続時間を設定するための調整時間ΔTを、送信元情報Aに関連付けて調整情報として記憶する。音量調整部42は、受信した音声信号の送信元情報Aと一致する送信元情報Aが調整情報に含まれる場合に、一致する送信元情報Aに関連付けられた調整時間ΔTを用いて、調整継続時間を設定する。この音量調整部42は、調整時間ΔTに基づき、音量調整を継続する調整継続時間を設定する。調整継続時間を設定しておくことで、1回の音声出力が終了して、次の音声出力が始まるまで、音量調整を続ける(有効調整フラグをオンにし続ける)ことが可能であるため、音声信号を受信する度に、調整操作を行う必要がなくなり、音量調整を容易に行う事も可能となる。さらに、調整時間ΔTを、送信元毎に設定することで、送信元に応じて、音量調整する時間を柔軟に設定することができる。例えば、複数回に分けて通信してくる傾向がある送信元からの音声信号を受信した場合には、その傾向に合わせて調整時間ΔTを長く設定しておくことで、その送信元からの複数回にわたる音声を、1回の操作で音量調整した状態で受け取ることができる。また、調整継続時間を設定しておくことで、音量調整する時間が長くなり過ぎることも抑制できる。
【0076】
また、音量調整部42は、出力部16から音声が出力されているタイミングに操作部20へのユーザの所定の操作(調整操作)があった場合であって、一致する送信元情報Aが調整情報に含まれる場合に、一致する送信元情報Aに関連付けられた調整時間ΔTを用いて、調整継続時間を設定して、音声の音量調整を開始する。そして、音量調整部42は、出力部16から音声が出力されていないタイミングに操作部20にユーザの調整操作があった場合には、予め定めた調整時間ΔTであるデフォルト調整時間ΔT0を用いて、調整継続時間を設定する。この音量調整部42は、音声出力中に予め設定している送信元から音声信号を受信した場合には、送信元毎に設定した調整時間ΔTで調整継続時間を設定し、音声を出力していない際に音声信号を受信した場合には、デフォルト調整時間ΔT0で調整継続時間を設定する。従って、無線通信装置1によると、状況に応じて適切に音量調整の時間を設定することができる。
【0077】
また、音量調整部42は、一致する送信元情報Aが調整情報に含まれない場合に、デフォルト調整時間ΔT0を用いて、調整継続時間を設定する。従って、無線通信装置1によると、予め設定していない送信元から音声信号を受信した場合でも、音量調整を好適に行うことができる。
【0078】
また、音量調整部42は、出力部16から音声が出力されている最中に調整継続時間が終了した場合は、音声の出力が終了するまで、音声の音量調整を続ける。無線通信装置1は、調整継続時間が終了しても、その音声が終了するまでは音量調整を続けるため、延長操作が増えることを抑制して、容易に音量調整を設定することが可能となる。
【0079】
また、無線通信装置1は、調整継続時間が経過して音量調整が終了することを報知する報知情報を出力する。この無線通信装置1によると、ユーザが音量調整が終了することを認識可能となるため、必要に応じて再度調整操作を行うなど、音量調整を好適に行わせることができる。
【0080】
なお、本実施形態では、1つの送信元情報Aに対して、1つの調整係数Bと1つの調整時間ΔTとが設定されたが、それに限られない。すなわち、複数の送信元情報Aに対して、1つの調整係数Bと1つの調整時間ΔTとが設定されてもよい。また、1つの送信元情報Aに対して、複数の調整係数Bと複数の調整時間ΔTとが設定されてもよい。この場合、調整係数設定部52は、送信元情報Aに対して割り当てられた複数の調整係数Bのうち、1つの調整係数Bを、抽出する調整係数Bとして選択する。例えば、調整係数設定部52は、無線通信装置1の外部環境に基づき、抽出する調整係数Bを選択する。例えば、調整係数設定部52は、無線通信装置1の周囲の音声が所定値より大きい場合、すなわち騒音が大きい場合は、値が高い調整係数Bを、抽出する調整係数Bとして選択してよい。また、調整係数設定部52は、無線通信装置1の周囲の音声が所定値以下である場合、すなわち騒音が小さい場合は、値が高い調整係数Bを、抽出する調整係数Bとして選択してよい。外部環境、ここでは周囲の音声は、無線通信装置1に備えられた音量センサで検出してもよい。なお、抽出する調整係数Bの選択方法は、これに限られず任意であり、例えばユーザの操作によって選択してもよい。また、1つの送信元情報Aに対して複数の調整時間ΔTが設定されている場合も、調整時間設定部54が、同様の方法で、送信元情報Aに対して割り当てられた複数の調整時間ΔTのうち、1つの調整時間ΔTを、抽出する調整時間ΔTとして選択してよい。
【0081】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、各実施形態の構成を組み合わせることも可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0082】
1 無線通信装置
10 筐体
14 入力部
16 出力部
20 操作部
24 内部装置
40 送受信制御部
42 音量調整部
50 送信元情報取得部
52 調整係数設定部
54 調整時間設定部
56 音量制御部
A 送信元情報
B 調整係数
ΔT 調整時間