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  • 特許-クラッチ装置またはブレーキ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】クラッチ装置またはブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 25/12 20060101AFI20220509BHJP
   F16D 25/0638 20060101ALI20220509BHJP
   F16D 55/40 20060101ALI20220509BHJP
   F16D 121/04 20120101ALN20220509BHJP
   F16D 125/06 20120101ALN20220509BHJP
   F16D 125/04 20120101ALN20220509BHJP
【FI】
F16D25/12 Z
F16D25/12 B
F16D25/0638
F16D55/40 F
F16D121:04
F16D125:06
F16D125:04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2016193621
(22)【出願日】2016-09-30
(65)【公開番号】P2018054072
(43)【公開日】2018-04-05
【審査請求日】2019-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591232657
【氏名又は名称】新日本ホイール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】揚張 吉博
(72)【発明者】
【氏名】阿部 強
(72)【発明者】
【氏名】寺田 光芳
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-006190(JP,A)
【文献】特開平05-223130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/00-25/12
F16D 55/40
F16D 121:04
F16D 125:04-125:06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機によって回転駆動する駆動側プレートに隙間を介して対向側プレートを対向配置して両者を互いに密着させることで両者間で回転駆動力の伝達または制動を行うクラッチ装置またはブレーキ装置において、
前記駆動側プレートおよび前記対向側プレートのうちの一方を他方に対して密着または離隔可能な状態で保持する筒状の外側プレート保持部を有して有底筒状に形成された外側プレートホルダと、
前記外側プレートホルダを貫通した状態で支持するホルダ固定軸と、
前記外側プレートホルダの内側にて前記ホルダ固定軸上を往復摺動するリング状に形成されて前記駆動側プレートまたは前記対向側プレートを押圧する押圧部を有したプレートピストンと、
前記外側プレートホルダにおける底部と前記プレートピストンにおける前記押圧部の背面との間に形成されて同プレートピストンを変位させるための作動油を収容する前進用油室と、
前記外側プレートホルダの内側にて前記プレートピストンの外周部に摺動自在に嵌合する筒状の中間筒状部および同プレートピストンにおける前記押圧部の背面に対向配置されて前記外側プレートホルダの前記底部に密着する平板環状の底部密着壁をそれぞれ有したピストンシリンダとを備え、
前記ピストンシリンダは、
前記中間筒状部の外周部と同外周部に対向する前記外側プレートホルダの内周部との間に隙間が形成されるとともに前記平板環状に形成された底部密着壁の内周部が前記ホルダ固定軸の外周部に接触しない大きさに形成されており、前記中間筒状部が前記プレートピストンの外周部に摺動自在に嵌合して支持されることで前記外側プレートホルダ内における径方向位置が前記プレートピストンによって規定されていることを特徴とするクラッチ装置またはブレーキ装置。
【請求項2】
請求項1に記載したクラッチ装置またはブレーキ装置において、
前記プレートピストンおよび前記ピストンシリンダは、
互いに対向する前記押圧部の背面および前記底部密着壁のうちの少なくとも一方に前記前進用油室に連通する油室連通凹部が形成されていることを特徴とするクラッチ装置またはブレーキ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したクラッチ装置またはブレーキ装置において、
前記底部密着壁における前記外側プレートホルダの前記底部に対向する側の全面が同底部に密着していることを特徴とするクラッチ装置またはブレーキ装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載したクラッチ装置またはブレーキ装置において、
前記ホルダ固定軸は、
前記前進用油室に前記作動油を供給する作動油路を有しており、
前記ピストンシリンダは、
前記底部密着壁が前記リング状に形成された前記プレートピストンのリング部分における外周部から径方向の中央部までの範囲に形成されていることを特徴とするクラッチ装置またはブレーキ装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載したクラッチ装置またはブレーキ装置において、
前記外側プレートホルダは、
前記外側プレート保持部が前記ピストンシリンダの前記中間筒状部に対向する部分まで形成されていることを特徴とするクラッチ装置またはブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機によって回転駆動する駆動側プレートに隙間を介して対向側プレートを対向配置した状態から両者を互いに密着させることで両者間で回転駆動力の伝達または制動を行うクラッチ装置またはブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農業用トラクタ、自走式芝刈り機、建機またはポンプ車などの自走式作業車両においては、エンジンなどの原動機の回転駆動力を駆動輪または自走式作業車両が搭載する作業機に対して伝達または遮断する動力伝達装置としてのクラッチ装置が用いられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、回転駆動する1つの入力軸に対して2つの出力軸側にそれぞれ駆動力を伝達および遮断するための2つのクラッチ機構が入力軸上で互いに背中合わせで一体化されて構成された所謂ダブルクラッチ装置が開示されている。この場合、ダブルクラッチ装置におけるクラッチ機構は、クラッチプレートおよびフリクションプレートに対してリング状のクラッチピストンを押圧または離隔させることによってクラッチの接続状態または遮断状態を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-217390号公報
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示されたクラッチ装置においては、リング状のクラッチピストンであるプレートピストンの内周部および外周部がともに一体的に形成されたハウジング内または一体的に連結された入力軸とハウジングとの間で摺動するため、プレートピストンの内周面および外周面の各径および同心度を精度良く成形する加工負担が大きいとともに、このプレートピストンが摺動自在に嵌合するハウジングにおける嵌合部および入力軸の外周部の成形も同様に加工負担が大きいという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、プレートピストンおよびプレートピストンが摺動嵌合する部分の加工負担を軽減することができるクラッチ装置またはブレーキ装置を提供することにある。
【発明の概要】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、原動機によって回転駆動する駆動側プレートに隙間を介して対向側プレートを対向配置して両者を互いに密着させることで両者間で回転駆動力の伝達または制動を行うクラッチ装置またはブレーキ装置において、駆動側プレートおよび対向側プレートのうちの一方を他方に対して密着または離隔可能な状態で保持する筒状の外側プレート保持部を有して有底筒状に形成された外側プレートホルダと、外側プレートホルダに連結されて一体的に回転駆動することにより同外側プレートホルダに対して回転駆動力を入力または出力するホルダ固定軸と、外側プレートホルダの内側にてホルダ固定軸上を往復摺動するリング状に形成されて駆動側プレートまたは対向側プレートを押圧する押圧部を有したプレートピストンと、外側プレートホルダにおける底部とプレートピストンにおける押圧部の背面との間に形成されて同プレートピストンを変位させるための作動油を収容する前進用油室と、外側プレートホルダの内側にてプレートピストンの外周部に摺動自在に嵌合する筒状の中間筒状部および同プレートピストンにおける押圧部の背面に対向配置されて外側プレートホルダの底部に密着する平板環状の底部密着壁をそれぞれ有したピストンシリンダとを備え、ピストンシリンダは、中間筒状部の外周部と同外周部に対向する外側プレートホルダの内周部との間に隙間が形成されるとともに平板環状に形成された底部密着壁の内周部がホルダ固定軸の外周部に接触しない大きさに形成されており、中間筒状部がプレートピストンの外周部に摺動自在に嵌合して支持されることで外側プレートホルダ内における径方向位置が前記プレートピストンによって規定されていることにある。
【0008】
このように構成した本発明の特徴によれば、クラッチ装置またはブレーキ装置は、プレートピストンの外周部が外側プレートホルダ(従来技術におけるハウジング)とは別体で構成されたピストンシリンダ内を摺動するため、少なくともプレートピストンにおける内周部と外周部との同心度、およびホルダ固定軸の外周部と外側プレートホルダの内周部との同心度をそれぞれ高精度に加工する必要がない。これにより、本発明に係るクラッチ装置またはブレーキ装置においては、プレートピストンおよびプレートピストンが摺動嵌合する部分の加工負担を軽減することができる。
【0009】
また、このように構成した本発明の特徴によれば、クラッチ装置またはブレーキ装置は、ピストンシリンダの中間筒状部の外周部と同外周部に対向する外側プレートホルダの内周部との間に隙間が形成されているため、ピストンシリンダの外周部の加工精度および外側プレートホルダの内周部の加工精度の各バラツキを前記隙間で吸収することができ両部品の加工負担を軽減することができる。また、この場合、クラッチ装置またはブレーキ装置は、ピストンシリンダと外部プレートホルダとの同心度が低い場合であってもプレートピストンは円滑に摺動するため、プレートピストンの摩擦抵抗を低減させることができる。
【0010】
なお、ホルダ固定軸に摺動自在に嵌合するプレートピストンは、ホルダ固定軸の外周部に直接接して摺動する場合のほか、上記従来技術に示すように、入力軸上に固定的に連結されたハウジングなどを介して間接的に摺動する構成も含むものである。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、前記クラッチ装置またはブレーキ装置において、プレートピストンおよびピストンシリンダは、互いに対向する押圧部の背面および底部密着壁のうちの少なくとも一方に前進用油室に連通する油室連通凹部が形成されていることにある。
【0012】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、クラッチ装置またはブレーキ装置は、プレートピストンおよびピストンシリンダにおける互いに対向する押圧部の背面および底部密着壁のうちの少なくとも一方に前進用油室に連通する油室連通凹部が形成されているため、前進用油室内に作動油が供給された場合にプレートピストンとピストンシリンダとの間に作動油が積極的に導かれてプレートピストンをピストンシリンダに対して離隔する方向に精度良く摺動させることができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、前記クラッチ装置またはブレーキ装置において、底部密着壁における外側プレートホルダの底部に対向する側の全面が同底部に密着していることにある。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記クラッチ装置またはブレーキ装置において、ホルダ固定軸は、前進用油室に作動油を供給する作動油路を有しており、ピストンシリンダは、底部密着壁がリング状に形成されたプレートピストンのリング部分における外周部から径方向の中央部までの範囲に形成されていることにある。
【0015】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、クラッチ装置またはブレーキ装置は、ピストンシリンダにおける底部密着壁がリング状に形成されたプレートピストンのリング部分における外周部から径方向の中央部までの範囲に形成されているため、前進用油室内におけるホルダ固定軸の作動油路の開口部分およびその周辺部分の作動油の円滑な流通を確保することができプレートピストンを精度良く作動させることができる。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記クラッチ装置またはブレーキ装置において、外側プレートホルダは、外側プレート保持部がピストンシリンダの中間筒状部に対向する部分まで形成されていることにある。
【0017】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、クラッチ装置またはブレーキ装置は、外側プレートホルダにおける外側プレート保持部がピストンシリンダの中間筒状部に対向する部分まで形成されているため、外側プレートホルダの加工負担を軽減することができる。すなわち、外側プレートホルダに相当する従来のハウジングにおいては、プレートピストンの外周部に対してハウジングの内周部を液密的かつ摺動可能な筒状に別途形成しなければならなかった。しかし、本発明に係る外側プレートホルダにおいては、外側プレートホルダとは別部品であるピストンシリンダが液密的かつ摺動可能な筒状に形成されているため、外側プレートホルダの加工負担を軽減することができる。
【0018】
なお、本発明に係るピストンシリンダは、外側プレートホルダの内周部にプレートピストンの外周部が液密的に摺動する筒状部が形成された従来のハウジングに装着することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るクラッチ装置の全体構成を概略的に示す断面図である。
図2】(A),(B)は図1に示すクラッチ装置に構成する第1ピストンシリンダおよび第2ピストンシリンダの構成を示しており、(A)は第1ピストンシリンダおよび第2ピストンシリンダの平面図であり、(B)は(A)に示すB-B線から見た第1ピストンシリンダおよび第2ピストンシリンダの断面である。
図3図1に示すクラッチ装置において第1プレートピストンおよび第2プレートピストンがそれぞれ作動した状態を示す断面図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る密閉型のブレーキ装置の全体構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、本発明に係るクラッチ装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るクラッチ装置100の全体構成の概略を模式的に示す断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。このクラッチ装置100は、農業用トラクタなどの車両(図示せず)における原動機であるエンジン(図示せず)の駆動力を従動体である駆動輪(図示せず)に伝達および遮断するための機械装置であり、同エンジンと車輪との間に配置される図示しないトランスミッションケース内に設けられるものである。
【0021】
(クラッチ装置100の構成)
クラッチ装置100は、原動機としてのエンジンに対して図示しないフライホイールを介して接続されるホルダ固定軸101上に設けられている。ホルダ固定軸101は、エンジンの作動によって回転駆動する鋼製の軸体であり、クラッチ装置100内にエンジンの回転駆動力を入力する入力軸として機能する。このホルダ固定軸101には、図示中央部に互いに異なる2つの外径でフランジ状に張り出す連結部102に外側プレートホルダ103が設けられている。
【0022】
外側プレートホルダ103は、第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108をそれぞれ軸方向に変位可能な状態で保持する部品であり、鋼材からなる2つの有底円筒体を互いに背中合わせにして構成されている。この外側プレートホルダ103は、底部104、第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106をそれぞれ備えて構成されている。
【0023】
底部104は、後述する第1プレートピストン116および第2プレートピストン117をそれぞれ受け止めるとともに外側プレートホルダ103をホルダ固定軸101に連結する部分である。この底部104は、ホルダ固定軸101の連結部102上に溶接されて径方向外側に向かってフランジ状に張り出す平板環状に形成されている。
【0024】
第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106は、第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108をそれぞれ保持する部分であり、前記底部104の最外周部がそれぞれ反対方向(図示左右方向)にそれぞれ屈曲して延びる円筒状に形成されている。これらの第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106は、内歯状のスプラインがそれぞれ形成されており、第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108がそれぞれ軸方向に変位可能な状態でスプライン嵌合している。また、第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106の各先端部には、受け板109a、109bおよびサークリップ110a,110bがそれぞれ固定的に取り付けられている。
【0025】
第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108は、それぞれ第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112に対して密着または離隔することによって外側プレートホルダ103からの回転駆動力を伝達または遮断するための鋼板製の平板環状の部品である。これらの第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108における各外周部には、外側プレートホルダ103の第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106にそれぞれスプライン嵌合する外歯状のスプラインが形成されている。そして、これらの第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108は、第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106にそれぞれ複数枚ずつ嵌合して保持されている。
【0026】
受け板109a、109bは、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117によってそれぞれ押圧された第1クラッチプレート107および第1フリクションプレート111、および第2クラッチプレート108および第2フリクションプレート112をそれぞれ受け止める部品であり、鋼材を環状に形成して構成されている。また、サークリップ110a,110bは、受け板109a,109bの第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106からの抜けをそれぞれ防止するための平板環状の部品である。
【0027】
第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112は、第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108に対してそれぞれ密着または離隔することによって第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108からの回転駆動力を第1出力ギア113および第2出力ギア114にそれぞれ伝達または遮断するための鋼板製の平板環状の部品である。これらの第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112における各両側面(表裏面)には、第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108に対する摩擦力をそれぞれ向上させるための摩擦材が周方向に沿って貼り付けられている。
【0028】
また、第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112の各内周面には、内歯状のスプラインが形成されており、第1出力ギア113および第2出力ギア114における第1内側プレート保持部113aおよび第2内側プレート保持部114aにそれぞれスプライン嵌合している。そして、これらの第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112は、前記複数の第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108に対してそれぞれ隣接配置されるように交互に配置された状態で第1内側プレート保持部113aおよび第2内側プレート保持部114aにそれぞれ保持されている。
【0029】
第1出力ギア113および第2出力ギア114は、このクラッチ装置100が搭載される車両の駆動輪を回転駆動する図示しない従動軸に選択的に連結されて回転駆動させるための歯車であり、ニードルベアリング115を介してホルダ固定軸101上にそれぞれ回転自在に支持されている。第1出力ギア113および第2出力ギア114には、それぞれ外側プレートホルダ103の第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108の各内側に向かって延びた状態で筒状の第1内側プレート保持部113aおよび第2内側プレート保持部114aがそれぞれ形成されている。
【0030】
第1内側プレート保持部113aおよび第2内側プレート保持部114aは、第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112をそれぞれ保持する部分であり、第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112の各内周部に形成されたスプラインに嵌合する外歯状のスプラインが形成されている。また、第1内側プレート保持部113aおよび第2内側プレート保持部114aには、第1内側プレート保持部113aおよび第2内側プレート保持部114aの各内側と各外側との間で図示しない潤滑油を流通させるための貫通孔からなる流路孔113b,114bがそれぞれ2つずつ形成されている。
【0031】
第1プレートピストン116および第2プレートピストン117は、第1外側プレート保持部105内および第2外側プレート保持部106内において第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108に密着またはこれらから離隔することにより第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108と第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112とを互いに密着または離隔させるための部品であり、鋼材を円筒状に形成して構成されている。
【0032】
より具体的には、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117は、主として、摺動筒部116a,117aおよび押圧部116b,117bをそれぞれ有している。摺動筒部116a,117aは、ホルダ固定軸101の外周部にシールリング118a、118bをそれぞれ介して嵌合して同外周部上をスライド変位する部分であり、ホルダ固定軸101に沿って延びる筒状にそれぞれ形成されている。これらの摺動筒部116a,117a上には、第1リターンスプリング120および第2リターンスプリング121がそれぞれ設けられている。
【0033】
第1リターンスプリング120および第2リターンスプリング121は、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117を第1クラッチプレート107側および第2クラッチプレート108側からそれぞれ離隔する方向に押すためのコイルスプリングである。これらの第1リターンスプリング120および第2リターンスプリング121は、ホルダ固定軸101の外周面上に設けられた状態で各一方の端部がそれぞれ第1プレートピストン116および第2プレートピストン117をそれぞれ押圧するとともに、他方の端部がホルダ固定軸101の外周面に設けられた受け板122a,122bをそれぞれ押圧している。
【0034】
押圧部116b,117bは、第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108をそれぞれ押圧する部分であり、第1クラッチプレート107側および第2クラッチプレート108側に向けて環状に突出して形成されている。これらの押圧部116b,117bの外周部は、シールリング119a、119bをそれぞれ介して第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131にそれぞれ嵌合している。
【0035】
また、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117には、外側プレートホルダ103の底部104に対向する背面部分に第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cがそれぞれ形成されている。第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cは、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117と第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131との間に積極的に作動油(図示せず)を導くための部分であり、前記背面部分上において環状に凹状に窪んで形成されている。これらの第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cは、第1前進用油室123および第2前進用油室124にそれぞれ連通した状態で形成されている。
【0036】
第1前進用油室123および第2前進用油室124は、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117をそれぞれ第1クラッチプレート107側および第2クラッチプレート108側にそれぞれ変位させるための油圧を発生させる図示しない作動油が流入する部分であり、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117と外側プレートホルダ103の底部104との間にそれぞれ形成されている。これらの第1前進用油室123および第2前進用油室124には、第1作動油路125および第2作動油路126がそれぞれ連通している。
【0037】
第1作動油路125および第2作動油路126は、図示しない油圧装置(送液ポンプ)から第1前進用油室123および第2前進用油室124にそれぞれ作動油を導く部分であり、ホルダ固定軸101内に管状に形成されている。これらの第1作動油路125および第2作動油路126は、一方の端部が前記油圧装置に連通しているとともに、他方の端部が連結部102に隣接する部分に開口して第1前進用油室123および第2前進用油室124にそれぞれ連通している。
【0038】
また、ホルダ固定軸101には、第1作動油路125および第2作動油路126とは別に第1潤滑油路127および第2潤滑油路128がそれぞれ形成されている。第1潤滑油路127および第2潤滑油路128は、互いに接触し合う第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108と第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112との間の潤滑および冷却ための図示しない潤滑油を供給するための部分であり、ホルダ固定軸101内に管状に形成されている。これらの第1潤滑油路127および第2潤滑油路128は、ホルダ固定軸101上における第1プレートピストン116および第2プレートピストン117と受け板122a,122bとの間に開口している。
【0039】
第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131は、図2に示すように、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の摺動性を確保しつつ第1前進用油室123および第2前進用油室124の液密性を確保するための金属製の部品であり、主として、中間筒状部130a,131aおよび底部密着壁130b,131bをそれぞれ備えて構成されている。
【0040】
中間筒状部130a,131aは、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117における押圧部116b,117bの各外周部を摺動自在に嵌合する筒状の部分である。この場合、中間筒状部130a,131aは、内径が押圧部116b,117bの外径に対して液密的に摺動する嵌め合い公差で形成されるとともに、外径が第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106の各内周部との間に隙間Sが形成可能な大きさに形成されている。
【0041】
ここで、隙間Sは、押圧部116b,117bの各外径の成形誤差および第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106の各内径の成形誤差をそれぞれ吸収するとともに、中間筒状部130a,131aと第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106との間に潤滑油を介在させて押圧部116b,117bの冷却を行うための部分である。この隙間Sは、0.1mm以上かつ1mm以下の範囲が好適である。
【0042】
底部密着壁130b,131bは、外側プレートホルダ103の底部104にシールリング132a,132bをそれぞれ介して密着して第1前進用油室123および第2前進用油室124の液密性を確保する部分であり、平板環状に形成されている。この場合、底部密着壁130b,131bの内周部は、第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cの各形成領域にそれぞれ面する位置に形成されている。すなわち、底部密着壁130b,131bは、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の各押圧部116b,117bの外周部から径方向中央部までの範囲に形成されている。
【0043】
これらの第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131は、切削加工またはプレス加工などの機械加工によって成形される。そして、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131は、切削加工またはプレス加工などの機械加工によって成形された第1プレートピストン116および第2プレートピストン117における押圧部116b,117bに被せられた状態で外側プレートホルダ103における第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106の各内部に嵌め込まれて設置される。
【0044】
(クラッチ装置100の作動)
次に、上記のように構成したクラッチ装置100の作動について説明する。このクラッチ装置100は、前記したように車両におけるトランスミッションケース内に組み付けられて用いられる。そして、このクラッチ装置100は、車両の操作者によるクラッチ操作子(図示せず)の操作によってエンジンの駆動力の駆動輪への伝達および遮断を行なう。この場合、クラッチ装置100は、入力軸であるホルダ固定軸101の回転駆動力を第1出力ギア113および第2出力ギア114に同時にまたは選択的に伝達または遮断することができる。
【0045】
まず、第1出力ギア113および第2出力ギア114に対してホルダ固定軸101からの回転駆動力を伝達しないクラッチの遮断状態(図1参照)においては、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117は、第1リターンスプリング120および第2リターンスプリング121の弾性力によって第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108からそれぞれ離隔して外側プレートホルダ103の底部104側に位置する。すなわち、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の各背面は、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131の各底部密着壁130b,131bにそれぞれ密着する。
【0046】
これにより、クラッチ装置100は、第1クラッチプレート107と第1フリクションプレート111とが互いに離隔するとともに第2クラッチプレート108と第2フリクションプレート112とが互いに離隔するため、ホルダ固定軸101の回転駆動力が第1出力ギア113および第2出力ギア114にそれぞれ伝達されない遮断状態となる。
【0047】
なお、この場合、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cは、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131の各底部密着壁130b,131bが第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の各押圧部116b,117bの外周部から径方向中央部までの範囲に形成されているため、第1前進用油室123および第2前進用油室124に連通した状態を保っている。
【0048】
次に、図3に示すように、ホルダ固定軸101の回転駆動力を第1出力ギア113および第2出力ギア114に同時に伝達する場合には、車両の操縦者は、クラッチ操作子の操作によって第1プレートピストン116および第2プレートピストン117をそれぞれ第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108側にそれぞれ変位させる。これにより、クラッチ装置100は、図示しない油圧装置によって第1作動油路125および第2作動油路126を介して第1前進用油室123および第2前進用油室124にそれぞれ作動油を供給する。
【0049】
この場合、第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cのそれぞれに導入された作動油は、第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cが第1前進用油室123および第2前進用油室124にそれぞれ連通しているため、速やかに第1油室連通凹部116c内および第2油室連通凹部117c内にそれぞれ導かれる。これにより、クラッチ装置100は、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131が外側プレートホルダ103の底部104に押し付けられた状態を維持するとともに第1プレートピストン116および第2プレートピストン117が第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108側にそれぞれ変位する。
【0050】
この場合、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117は、第1リターンスプリング120および第2リターンスプリング121の各弾性力に抗しながら、ホルダ固定軸101の外周部、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131における各中間筒状部130a,131aの各内周部に対してそれぞれ摺動して第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108をそれぞれ押圧する。
【0051】
これにより、クラッチ装置100は、第1クラッチプレート107と第1フリクションプレート111とが密着するとともに第2クラッチプレート108と第2フリクションプレート112とが密着するため、第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108の各回転駆動力が第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112を介して伝達されて第1出力ギア113および第2出力ギア114がそれぞれ回転駆動する。すなわち、第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108が本発明に係る駆動側プレートに相当し、第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112が本発明に係る対向側プレートに相当する。
【0052】
次に、再び、クラッチの遮断状態に戻る場合には、車両の操作者はクラッチ操作子の操作によって第1プレートピストン116および第2プレートピストン117をそれぞれ外側プレートホルダ103の底部104側に変位させる。具体的には、クラッチ装置100は、図示しない油圧装置によって第1前進用油室123内および第2前進用油室124内の各作動油の圧力を第1作動油路125および第2作動油路126を介して弱める。
【0053】
これにより、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117は、第1リターンスプリング120および第2リターンスプリング121の弾性力によって第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108からそれぞれ離隔して外側プレートホルダ103の底部104側に変位して第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131の各底部密着壁130b,131bにそれぞれ密着する。
【0054】
この場合においても、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117は、ホルダ固定軸101の外周部、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131における各中間筒状部130a,131aの各内周部に対してそれぞれ摺動する。この結果、クラッチ装置100は、第1クラッチプレート107と第1フリクションプレート111とが互いに離隔するとともに、第2クラッチプレート108と第2フリクションプレート112とが互いに離隔するため、ホルダ固定軸101の回転駆動力が第1出力ギア113および第2出力ギア114にそれぞれ伝達されない遮断状態となる。
【0055】
なお、車両の操縦者は、クラッチ操作子の操作によってホルダ固定軸101の回転駆動力を第1出力ギア113および第2出力ギア114のうちの一方にのみ伝達することができる。この場合、クラッチ装置100は、車両の操縦者によるクラッチ操作子の操作によって指定された側の第1プレートピストン116または第2プレートピストン117を前記と同様にして第1クラッチプレート107または第2クラッチプレート108側に変位させる。これにより、クラッチ装置100は、第1クラッチプレート107または第2クラッチプレート108の回転駆動力を第1フリクションプレート111または第2フリクションプレート112を介して第1出力ギア113または第2出力ギア114に伝達して回転駆動させる。
【0056】
上記作動説明からも理解できるように、上記第1実施形態によれば、クラッチ装置100は、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の各外周部が外側プレートホルダ103(従来技術におけるハウジング)とは別体で構成された第1ピストンシリンダ130内および第2ピストンシリンダ131内をそれぞれ摺動するため、少なくとも第1プレートピストン116および第2プレートピストン117における各内周部と各外周部との同心度、およびホルダ固定軸101の外周部と外側プレートホルダ103の内周部との同心度をそれぞれ高精度に加工する必要がない。これにより、本発明に係るクラッチ装置100においては、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117がそれぞれ摺動嵌合する部分の加工負担を軽減することができる。
【0057】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0058】
例えば、上記第1実施形態においては、クラッチ装置100は、ホルダ固定軸101によって伝達される原動機の回転駆動力を第1出力ギア113および第2出力ギア114にそれぞれ伝達または遮断するように構成した。しかし、クラッチ装置100は、第1出力ギア113および第2出力ギア114が原動機の回転駆動力を直接受けてホルダ固定軸101にそれぞれ伝達または遮断するように構成することもできる。すなわち、クラッチ装置100は、第1出力ギア113および第2出力ギア114を原動機の回転駆動力を直接受けて回転駆動する入力ギアとして構成することができるとともに、ホルダ固定軸101を出力軸としての従動軸として構成することができる。この場合、第1フリクションプレート111および第2フリクションプレート112が本発明に係る駆動側プレートに相当し、第1クラッチプレート107および第2クラッチプレート108が本発明に係る対向側プレートに相当する。
【0059】
また、上記第1実施形態においては、クラッチ装置100は、回転駆動する1つのホルダ固定軸101に対して2つの第1出力ギア113および第2出力ギア114にそれぞれ駆動力を伝達および遮断するための2つのクラッチ機構がホルダ固定軸101上で互いに背中合わせで一体化されて構成された所謂ダブルクラッチ装置で構成した。しかし、本発明に係るクラッチ装置は、回転駆動する1つのホルダ固定軸101に対して1つの従動軸に駆動力を伝達および遮断するための1つのクラッチ機構を備えて構成することもできる。また、本発明に係るクラッチ装置は、トランスミッションに付属して設けられるほかに、トラクタなどの作業車における草刈り機、稲刈り機、脱穀機、または掘起し機などの各種作業機に対してエンジンの回転駆動力を伝達または遮断する所謂PTO(Power take-off)クラッチ装置としても用いることができる。
【0060】
すなわち、第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106が本発明に係る外側プレート保持部に相当し、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117が本発明に係るプレートピストンに相当し、第1前進用油室123および第2前進用油室124が本発明に係る前進用油室に相当し、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131が本発明に係るピストンシリンダに相当する。
【0061】
また、上記第1実施形態においては、第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cは、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の各背面にそれぞれ形成した。しかし、第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cは、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の各背面に代えてまたは加えて第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131の底部密着壁130b,131bに形成されていてもよい。
【0062】
また、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117は、第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cが形成されていなくても第1クラッチプレート107側および第2クラッチプレート108側にそれぞれ変位することは可能である。したがって、クラッチ装置100は、第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cをそれぞれ省略して構成することもできる。
【0063】
また、上記第1実施形態においては、第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cは、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117のリング状に形成された部分の径方向の中央部にそれぞれ形成した。しかし、第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cは、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117と第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131とにおける互いに対向する面に形成されていれば、上記実施形態に限定されるものではない。
【0064】
また、上記第1実施形態においては、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131における各底部密着壁130b,131bがリング状に形成された第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の各リング部分における外周部から径方向の中央部までの範囲に形成されている。しかし、底部密着壁130b,131bは、外側プレートホルダ103の底部104に密着する部分が形成されていればよい。したがって、底部密着壁130b,131bは、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117における外周部から押圧部116b,117bの各背面に対向する部分までの範囲で形成することもできる。これによれば、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131を軽量に構成することができる。また、底部密着壁130b,131bは、第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の外周部から摺動筒部116a,117aの各背面に対向する部分までの範囲で形成することもできる。これによれば、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131をより確実に外側プレートホルダ103の底部104に密着させることができる。
【0065】
また、上記第1実施形態においては、クラッチ装置100は、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131の中間筒状部130a,131aの外周部と同外周部に対向する外側プレートホルダ103における第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106の各内周部との間に隙間Sを形成して構成した。しかし、クラッチ装置100は、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131の中間筒状部130a,131aの外周部が第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106の各内周部に隙間Sを介することなく接触し合って嵌合するように構成することもできる。この場合、クラッチ装置100は、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131の中間筒状部130a,131aの外周部が第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106の各内周部に液密的に嵌合するように構成することもできる。
【0066】
また、上記第1実施形態においては、外側プレートホルダ103は、第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106が先端部から底部104まで形成されている。これにより、クラッチ装置100は、外側プレートホルダ103の加工負担を軽減することができる。しかし、第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131は、外側プレートホルダ103の内周部に第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の外周部が液密的に摺動する筒状部が形成された従来のハウジングに装着することも可能である。すなわち、クラッチ装置100は、外側プレートホルダ103における第1外側プレート保持部105および第2外側プレート保持部106がそれぞれ形成された筒状部における底部104側に第1プレートピストン116および第2プレートピストン117の外周部が液密的に摺動する部分を形成して構成することができる。
【0067】
<第2実施形態>
以下、本発明に係るブレーキ装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図4は、ゴルフ場内を走行するゴルフカートなどからなる車両における後輪の一方に取り付けられた本発明に係るブレーキ装置200の概略断面図である。このブレーキ装置200は、前記車両が備える4つの車輪のうち後側の2つの車輪(すなわち、後輪)にそれぞれ設けられる制動装置であり、ブレーキケースとしての外側プレートホルダ208内に所定量だけ貯留した冷却油のみで駆動側プレート204および対向側プレート211を冷却する所謂密閉型の湿式ディスクブレーキである。なお、本第2実施形態においては、上記第1実施形態と実質的に同様の部分については適宜説明を省略する。
【0068】
(ブレーキ装置200の構成)
このブレーキ装置200は、図示しない車両の後輪の車軸を構成するリアアクスル201の端部に取り付けられている。リアアクスル201は、車両の駆動源となるエンジン(図示せず)に連結され、同エンジンの回転駆動により回転する駆動軸である。なお、リアアクスル201は、エンジンから延びる出力軸、クラッチ、変速機、減速装置、デフ(デファレンシャルギア)などを介してエンジンと連結されるが、これらの部品については本発明と直接関連しないため、その説明は省略する。
【0069】
ブレーキ装置200は、ブレーキハブ202を備えている。ブレーキハブ202は、円筒状に形成されるとともに、同円筒状の形成された部分の一端部が鍔状に張り出したフランジ状に形成されており、リアアクスル201の端部に固定されている。ブレーキハブ202の鍔状に張り出した部分には、バルーンタイヤ203(二点鎖線で示す)が固定されている。バルーンタイヤ203は、幅広の低圧型のタイヤであり車両の車輪を構成する。すなわち、ブレーキハブ202およびバルーンタイヤ203は、リアアクスル201に一体的に組み付けられており、リアアクスル201の回転駆動により同リアアクスル201と一体的に回転する。
【0070】
ブレーキハブ202の円筒状に形成された部分の外周面には、4つの駆動側プレート204が設けられている。これらの駆動側プレート204は、ブレーキハブ202と一体的に回転駆動する部品であり、鋼板を平板環状に形成して構成されている。この場合、これらの駆動側プレート204の両面における径方向外側の部分には、方形薄板状の複数の小片からなる図示しないブレーキライニングが所定の間隔を介して駆動側プレート204上に円周方向に並んで固着されている。
【0071】
そして、これらの各駆動側プレート204は、ブレーキハブ202に対してスプライン嵌合によりブレーキハブ202(リアアクスル201)の軸線方向に変位可能、かつブレーキハブ202と一体的に回転可能な状態でそれぞれ取り付けられている。すなわち、4つの駆動側プレート204は、リアアクスル201の回転とともに一体的に回転する。これらのブレーキハブ202およびリアアクスル201の各外周面上には、オイルシール205およびベアリング206をそれぞれ介してホルダ固定軸207が設けられている。ホルダ固定軸207は、リアアクスル201を覆いつつ外側プレートホルダ208およびプレートピストン213それぞれを支持する部品であり、金属材を筒状に形成して構成されている。この場合、ホルダ固定軸207は、外側プレートホルダ208を一体的に支持するとともに、プレートピストン213をOリング207aを介して軸方向および周方向に対してそれぞれ摺動可能な状態で支持している。
【0072】
駆動側プレート204の外側には、同駆動側プレート204およびホルダ固定軸207の端部を覆う状態で外側プレートホルダ208が設けられている。外側プレートホルダ208は、複数の駆動側プレート204を収容するとともに後述する複数の対向側プレート211をそれぞれ保持する円筒状に形成されており、一方(図示右側)の端部がホルダ固定軸207の外周面上に嵌合して固定的に取り付けられているとともに、他方(図示左側)の端部が蓋体219によって閉塞されている。この外側プレートホルダ208は、底部209、外側プレート保持部210をそれぞれ備えて構成されている。
【0073】
底部209は、後述するプレートピストン213をそれぞれ受け止めるとともに外側プレートホルダ208をホルダ固定軸207に連結する部分である。この底部209は、ホルダ固定軸207上に取り付けられて径方向外側に向かってフランジ状に張り出す平板環状に形成されている。
【0074】
外側プレート保持部210は、駆動側プレート204を収容するとともに対向側プレート211を保持する部分であり、円筒状に形成されている。この外側プレート保持部210は、内周面に内歯状のスプラインがそれぞれ形成されており、5つの対向側プレート211がそれぞれ軸方向に変位可能な状態でスプライン嵌合している。
【0075】
これらの対向側プレート211は、駆動側プレート204に対して密着または離隔することによって駆動側プレート204の回転駆動を制動または制動の解除をする部品であり、鋼板を平板環状に形成して構成されている。この場合、各対向側プレート211は、前記ブレーキライニング(図示せず)の径方向の幅に対応する幅のリング状に形成されている。また、各対向側プレート211における外周部に外側プレート保持部210の内周面にスプライン嵌合するための外歯状のスプラインが形成されている。これらの対向側プレート211は、前記4つの駆動側プレート204をそれぞれ挟むように同駆動側プレート204の各両側に所定の隙間を介して配置されている。
【0076】
この場合、5つの対向側プレート211には、外側に配置された2つ対向側プレート211間にピン212aが架設されるとともにこのピン212aの外側にスプリング212bが設けられている。これにより、5つの対向側プレート211のうちの外側に配置された2つの対向側プレート211は互いに外側に押圧された状態となっている。また、5つの対向側プレート211のうちの底部209側の対向側プレート211には、プレートピストン213が配向配置されている。
【0077】
プレートピストン213は、上記第1実施形態における第1プレートピストン116および第2プレートピストン117と同様に、外側プレート保持部210の内側において対向側プレート211に密着またはこれらから離隔することにより駆動側プレート204と対向側プレート211とを互いに密着または離隔させるための部品であり、鋼材を円筒状に形成して構成されている。
【0078】
より具体的には、プレートピストン213は、主として、摺動筒部213aおよび押圧部213bをそれぞれ有している。摺動筒部213aは、ホルダ固定軸207の外周部に嵌合して同外周部上をスライド変位する部分であり、ホルダ固定軸207に沿って延びる筒状にそれぞれ形成されている。押圧部213bは、対向側プレート211を押圧する部分であり、対向側プレート211側に向けて環状に突出して形成されている。この押圧部213bの外周部は、シールリング214を介してピストンシリンダ217に嵌合している。
【0079】
また、プレートピストン213には、外側プレートホルダ208の底部209に対向する背面部分に油室連通凹部213cが形成されている。油室連通凹部213cは、上記第1油室連通凹部116cおよび第2油室連通凹部117cと同様に、プレートピストン213とピストンシリンダ217との間に積極的に作動油(図示せず)を導くための部分であり、前記背面部分上において環状に凹状に窪んで形成されている。この油室連通凹部213cは、前進用油室215に連通した状態で形成されている。
【0080】
前進用油室215は、上記第1前進用油室123および第2前進用油室124と同様に、プレートピストン213を対向側プレート211側に変位させるための油圧を発生させる図示しない作動油が流入する部分であり、プレートピストン213と外側プレートホルダ208の底部209との間に形成されている。この前進用油室215には、作動油供給管216が連通している。作動油供給管216は、上記第1作動油路125および第2作動油路126と同様に、図示しない油圧装置(マスタシリンダ)から前進用油室215に作動油を導く管状の部品であり、一方の端部が前記油圧装置に連通しているとともに、他方の端部が前進用油室215に連通している。
【0081】
ピストンシリンダ217は、上記第1ピストンシリンダ130および第2ピストンシリンダ131と同様に、プレートピストン213の摺動性を確保しつつ前進用油室215の液密性を確保するための金属製の部品であり、主として、中間筒状部217aおよび底部密着壁217bをそれぞれ備えて構成されている。
【0082】
中間筒状部217aは、上記中間筒状部130a,131aと同様に、プレートピストン213における押圧部213bの外周部を摺動自在に嵌合する筒状の部分である。この場合、中間筒状部217aは、内径が押圧部213bの外径に対して液密的に摺動する嵌め合い公差で形成されるとともに、外径が外側プレート保持部210の内周部との間に隙間Sが形成可能な大きさに形成されている。
【0083】
底部密着壁217bは、上記底部密着壁130b,131bと同様に、外側プレートホルダ208の底部209にシールリング218を介して密着して前進用油室215の液密性を確保する部分であり、平板環状に形成されている。この場合、底部密着壁217bの内周部は、油室連通凹部213cの形成領域にそれぞれ面する位置に形成されている。すなわち、底部密着壁217bは、プレートピストン213の押圧部213bの外周部から径方向中央部までの範囲に形成されている。
【0084】
蓋体219は、ブレーキハブ202に嵌合した状態で外側プレートホルダ208における前記他方(図示左側)の端部に取り付けられており、外側プレートホルダ208内を液密的に塞いでいる。すなわち、外側プレートホルダ208の内部は、プレートピストン213およびピストンシリンダ217の外側の領域に図示しない冷却油が封入されている。また、蓋体219は、表面に凹凸が形成されており、ヒートシンクとしても機能する。
【0085】
(ブレーキ装置200の作動)
次に、このように構成されたブレーキ装置200の作動について説明する。まず、車両に操作者が搭乗して図示しないエンジンを始動させた後、同車両を停車させている状態においては、リアアクスル201は回転駆動しないため、外側プレートホルダ208内の駆動側プレート204も回転せず静止している。
【0086】
この状態において操作者がブレーキ操作子(図示せず)を介して制動操作を行った場合には、図示しない油圧装置(マスタシリンダ)によって作動油供給管216を介して前進用油室215に作動油が供給される。この場合、前進用油室215に導入された作動油は、油室連通凹部213cが前進用油室215に連通しているため、速やかに油室連通凹部213c内に導かれる。これにより、ブレーキ装置200は、ピストンシリンダ217が外側プレートホルダ208の底部209に押し付けられた状態を維持しながらプレートピストン213が対向側プレート211に変位する。
【0087】
この場合、プレートピストン213は、ホルダ固定軸207の外周部およびピストンシリンダ217の中間筒状部217aの内周部に対してそれぞれ摺動して対向側プレート211を圧する。これにより、ブレーキ装置200は、駆動側プレート204と対向側プレート211とが密着するため、バルーンタイヤ203の回転駆動をロックする。
【0088】
次に、操作者の操作により車両を走行させた状態においては、エンジンの回転動力がリアアクスル201を介してブレーキハブ202に伝達される。これにより、ブレーキハブ202に一体的に組み付けられたバルーンタイヤ203および駆動側プレート204がそれぞれ回転する。
【0089】
車両の走行時において操作者がブレーキ操作子(図示せず)を介して制動操作を行った場合には、前記と同様にして、図示しない油圧装置(マスタシリンダ)によって作動油供給管216を介して前進用油室215に作動油が供給される。これにより、ブレーキ装置200は、前記と同様にして、ピストンシリンダ217が外側プレートホルダ208の底部209に押し付けられた状態を維持しながらプレートピストン213が対向側プレート211に変位して対向側プレート211を押圧するため、駆動側プレート204と対向側プレート211とが密着して駆動側プレート204の回転数を低下させる。この結果、ブレーキ装置200を備えた車両は、バルーンタイヤ203の回転駆動が制動される。
【0090】
次に、再び、走行状態に戻る場合には、車両の操作者はブレーキ操作子の操作によって前進用油室215内の油圧を低下させる。これにより、プレートピストン213は、対向側プレート211から離隔して外側プレートホルダ208の底部209側に変位してピストンシリンダ217の底部密着壁217bに密着する。この結果、ブレーキ装置200は、駆動側プレート204と対向側プレート211とが互いに離隔するため、ブレーキハブ202の回転数が上昇して車両の走行速度を上昇させることができる。
【0091】
上記作動説明からも理解できるように、上記第2実施形態によれば、ブレーキ装置200は、プレートピストン213の外周部が外側プレートホルダ208(従来技術におけるハウジング)とは別体で構成されたピストンシリンダ217内を摺動するため、少なくともプレートピストン213における内周部と外周部との同心度、およびホルダ固定軸207の外周部と外側プレートホルダ208の内周部との同心度をそれぞれ高精度に加工する必要がない。これにより、本発明に係るブレーキ装置200においては、プレートピストン213が摺動嵌合する部分の加工負担を軽減することができる。
【0092】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0093】
例えば、上記第2実施形態においては、油室連通凹部213cは、プレートピストン213の背面に形成した。しかし、油室連通凹部1213cは、プレートピストン213の背面に代えてまたは加えてピストンシリンダ217の底部密着壁217bに形成することもできる。また、プレートピストン213は、油室連通凹部213cが形成されていなくても対向側プレート211側に変位することは可能である。したがって、ブレーキ装置200は、油室連通凹部213cを省略して構成することもできる。
【0094】
また、上記第2実施形態においては、油室連通凹部213cは、プレートピストン213のリング状に形成された部分の径方向の中央部にそれぞれ形成した。しかし、油室連通凹部213cは、プレートピストン213とピストンシリンダ217とにおける互いに対向する面に形成されていれば、上記実施形態に限定されるものではない。
【0095】
また、上記第2実施形態においては、ピストンシリンダ217における底部密着壁217bがリング状に形成されたプレートピストン213のリング部分における外周部から径方向の中央部までの範囲に形成されている。しかし、底部密着壁217bは、外側プレートホルダ208の底部209に密着する部分が形成されていればよい。したがって、底部密着壁217bは、プレートピストン213における外周部から押圧部213bの背面に対向する部分までの範囲で形成することもできる。これによれば、ピストンシリンダ217を軽量に構成することができる。また、底部密着壁217bは、プレートピストン213の外周部から摺動筒部213aの背面に対向する部分までの範囲で形成することもできる。これによれば、ピストンシリンダ217をより確実に外側プレートホルダ208の底部209に密着させることができる。
【0096】
また、上記第2実施形態においては、ブレーキ装置200は、ピストンシリンダ217の中間筒状部217aの外周部と同外周部に対向する外側プレートホルダ208における外側プレート保持部210の内周部との間に隙間Sを形成して構成した。しかし、ブレーキ装置200は、ピストンシリンダ217の中間筒状部217aの外周部が外側プレート保持部210の内周部に隙間Sを介することなく接触し合って嵌合するように構成することもできる。この場合、ブレーキ装置200は、ピストンシリンダ217の中間筒状部217aの外周部が外側プレート保持部210の内周部に液密的に嵌合するように構成することもできる。
【0097】
また、上記第1実施形態においては、ホルダ固定軸101は、外側プレートホルダ103に連結されて一体的に回転駆動することにより同外側プレートホルダ103に対して回転駆動力を入力または出力するように構成した。また、上記第2実施形態においては、ホルダ固定軸207は、ブレーキハブ202を介して駆動側プレート204およびバルーンタイヤ203に対してエンジンからの回転駆動力を伝達する入力軸として構成した。しかし、ホルダ固定軸101,207は、外側プレートホルダ103,208を貫通した状態で支持する棒状(筒状を含む)の部品であればよい。
【符号の説明】
【0098】
S…隙間、
100…クラッチ装置、101…ホルダ固定軸、102…連結部、103…外側プレートホルダ、104…底部、105…第1外側プレート保持部、106…第2外側プレート保持部、107…第1クラッチプレート、108…第2クラッチプレート、109a,109b…受け板、110a,110b…サークリップ、111…第1フリクションプレート、112…第2フリクションプレート、113…第1出力ギア、113a…第1内側保持部、113b…流路孔、114…第2出力ギア、114a…第2内側保持部、114b…流路孔、115…ニードルベアリング、116…第1プレートピストン、116a…摺動筒部、116b…押圧部、116c…第1油室連通凹部、117…第2プレートピストン、117a…摺動筒部、117b…押圧部、117c…第1油室連通凹部、118a,118b…シールリング、119a,119b…シールリング、120…第1リターンスプリング、121…第2リターンスプリング、122a,122b…受け板、123…第1前進用油室、124…第2前進用油室、125…第1作動油路、126…第2作動油路、127…第1潤滑油路、128…第2潤滑油路、130…第1ピストンシリンダ、130a…中間筒状部、130b…底部密着壁、131…第2ピストンシリンダ、131a…中間筒状部、131b…底部密着壁、132a,132b…シールリング、
200…ブレーキ装置、201…リアアクスル、202…ブレーキハブ、203…バルーンタイヤ、204…駆動側プレート、205…オイルシール、206…ベアリング、207…ホルダ固定軸、207a…Oリング、208…外側プレートホルダ、209…底部、210…外側プレート保持部、211…対向側プレート、212a…ピン、212b…スプリング、213…プレートピストン、213a…摺動筒部、213b…押圧部、213c…油室連通凹部、214…シールリング、215…前進用油室、216…作動油供給管、217…ピストンシリンダ、217a…中間筒状部、217b…底部密着壁、218…シールリング、219…蓋体。
図1
図2
図3
図4