(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】蓋構造
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
E04F19/08 101B
(21)【出願番号】P 2018136220
(22)【出願日】2018-07-19
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】591198320
【氏名又は名称】株式会社TERADA
(73)【特許権者】
【識別番号】000162135
【氏名又は名称】共同カイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100164286
【氏名又は名称】中里 卓夫
(74)【代理人】
【識別番号】100073483
【氏名又は名称】八鍬 昇
(72)【発明者】
【氏名】島村 多加央
(72)【発明者】
【氏名】井上 徹
(72)【発明者】
【氏名】石井 満男
【審査官】津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0236488(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0072198(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0159308(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02495824(EP,A1)
【文献】独国実用新案第202007011051(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床仕上材を配置して使用される二重床に対して第1軸と当該第1軸とは別個に回動可能な第2軸とを有する軸部を介して回動可能に連結される蓋体により、前記二重床の床面に形成された開口部を開閉自在に閉塞する蓋構造であって、
前記蓋体を前記開口部に対する開方向に付勢する蓋付勢部と、
前記開口部を閉塞する位置に前記蓋体を解除可能に保持する蓋保持部と、
前記蓋体が前記開口部を閉塞している状態において
、前記蓋付勢部の付勢力によって前記開口部から
前記第2軸が浮き上がらないように
該第2軸の回動範囲を制限する回動制限部と、を有
し、
前記軸部は、前記開口部に対する前記第2軸の位置が前記第1軸の回動により変化するようになっていることを特徴とする蓋構造。
【請求項2】
前記軸部は、
前記第1軸を介して前記二重床側に連結されると共に、前記第2軸を介して前記蓋体と連結されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋構造。
【請求項3】
床仕上材を配置して使用される二重床に対して第1軸と当該第1軸とは別個に回動可能な第2軸とを有する軸部を介して回動可能に連結される蓋体により、前記二重床の床面に形成された開口部を開閉自在に閉塞する蓋構造であって、
前記蓋体を前記開口部に対する開方向に付勢する蓋付勢部と、
前記開口部を閉塞する位置に前記蓋体を解除可能に保持する蓋保持部と、
前記蓋体が前記開口部を閉塞している状態において、前記蓋付勢部の付勢力によって前記開口部から前記第2軸が浮き上がらないように該第2軸の回動範囲を制限する回動制限部と、を有し、
前記軸部は、前記第1軸を介して前記二重床側に連結されると共に、前記第2軸を介して前記蓋体と連結され
ていることを特徴とす
る蓋構造。
【請求項4】
前記回動制限部は、前記蓋体が前記開口部を閉塞している状態において、前記蓋体と前記第1軸の両端に設けてある軸支持体とが干渉状態となって、前記軸部の回動範囲が制限されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の蓋構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床仕上材を配置して使用される二重床に適用して好適なフロアプレートやフロアコンセントボックスなどにおける蓋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスなどを中心に、床下内に配線スペースを確保し、給電線やLANケーブルなどの線部材を効率よく配線するフリーアクセスフロアが普及している。このフリーアクセスフロアでは、フロアに設けた点検孔等の開口部に対し、フロアプレートなどを取り付けることで二重床の配線スペース内から線部材を引き出したり、フロアコンセントボックスなどを取り付けることでオフィス内の各種情報機器類への電源供給やLAN配線を行っている。
【0003】
前記したフロアプレートやフロアコンセントボックス(以下これらを併せてフロア用品という場合がある。)においては、例えば特許文献1に示すように、不使用時に開口部を閉じることができるように二重床側となるベースプレートに蓋体を開閉自在(回動自在)に取り付けてある。また、この特許文献1の蓋体は、回動軸付近に板バネ(付勢部材)を設けることで、蓋体のロック(蓋保持機構)を解除したときに蓋体の開放側先端部が自動的に上方に少し跳ね上がるようになっており、これにより蓋体の開動作をスムーズに行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フロア用品の中には、閉塞状態の蓋体上面がカーペット等の床仕上材の上面と略同じ高さになるよう設計されたものがある。しかし、このようなフロア用品の場合、蓋体を開けたとき、例えば
図8に示すように、直角状に立ち上がっている床仕上材100の角部101に、蓋体102の回動軸付近の上面が当接して起立した状態となり、蓋体102を床面と平行になるように倒伏させることができない。そのため、蓋体を開けた状態でその周囲で歩行や作業を行う場合に障害となる可能性がある。
【0006】
このような問題点を解消するため、蓋体を回動させる軸部を二軸にして、蓋体の上面が床仕上材に当接するくらいまで回動させられるような蓋構造も開発されている。
【0007】
しかし、そのような蓋構造に対して、前記した特許文献1の板バネ(付勢部材)を適用しようとした場合、蓋体を閉じてロックした状態において蓋体の根元付近が蓋付勢部の付勢力によって浮き上がってしまうことが想定され、好ましくない。また、蓋体のロックを解除した場合には、蓋体の開放側先端部がうまく跳ね上がらなくなることが想定され、この点においても好ましくない。
【0008】
そこで、本発明は、二つの軸の回動により二重床の開口を開閉自在な蓋体において、開口を閉じてロックした際には蓋体の何れの部分も浮き上がらず、ロック解除時には蓋体の開放側先端部が浮き上がるようにした蓋構造を提供すること目的とするものである。すなわち、本発明は蓋付勢部による蓋体の開放時の跳ね上がりという利便性と、二軸式蓋回動機構の利便性とを併有したフロア用品における蓋構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の構成を詳述すれば、請求項1に係る発明は、床仕上材を配置して使用される二重床に対して第1軸と当該第1軸とは別個に回動可能な第2軸とを有する軸部を介して回動可能に連結される蓋体により、前記二重床の床面に形成された開口部を開閉自在に閉塞する蓋構造であって、前記蓋体を前記開口部に対する開方向に付勢する蓋付勢部と、前記開口部を閉塞する位置に前記蓋体を解除可能に保持する蓋保持部と、前記蓋体が前記開口部を閉塞している状態において、前記蓋付勢部の付勢力によって前記開口部から前記第2軸が浮き上がらないように該第2軸の回動範囲を制限する回動制限部と、を有し、前記軸部は、前記開口部に対する前記第2軸の位置が前記第1軸の回動により変化するようになっていることを特徴とする蓋構造である。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記軸部は、前記第1軸を介して前記二重床側に連結されると共に、前記第2軸を介して前記蓋体と連結されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋構造である。
【0011】
請求項3に係る発明は、床仕上材を配置して使用される二重床に対して第1軸と当該第1軸とは別個に回動可能な第2軸とを有する軸部を介して回動可能に連結される蓋体により、前記二重床の床面に形成された開口部を開閉自在に閉塞する蓋構造であって、前記蓋体を前記開口部に対する開方向に付勢する蓋付勢部と、前記開口部を閉塞する位置に前記蓋体を解除可能に保持する蓋保持部と、前記蓋体が前記開口部を閉塞している状態において、前記蓋付勢部の付勢力によって前記開口部から前記第2軸が浮き上がらないように該第2軸の回動範囲を制限する回動制限部と、を有し、前記軸部は、前記第1軸を介して前記二重床側に連結されると共に、前記第2軸を介して前記蓋体と連結されていることを特徴とする蓋構造である。
【0012】
さらに、請求項4に係る発明は、前記回動制限部は、前記蓋体が前記開口部を閉塞している状態において、前記蓋体と前記第1軸の両端に設けてある軸支持体とが干渉状態となって、前記軸部の回動範囲が制限されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の蓋構造である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蓋体を閉じた状態では、回動制限部によって蓋体基部の浮き上がりを有効に防止することができると共に、蓋体のロック状態を解除したときには、蓋体の開放側先端部が蓋付勢部の付勢力によって確実に少し持ち上がるので開き易くなり、使い勝手のきわめて良好なフロア用品における蓋構造を提供することができる。
【0014】
また、軸部は、第1軸を介して前記二重床側に連結されると共に、第2軸を介して前記蓋体に連結されているので、軸部の回動により前記第1軸の軸心より高い位置となる第2軸の軸心を基点にして蓋体を回動させることができ、床面と略平行の状態を得ることが可能となる。
従って、直角状に立ち上がっている床仕上材の角部に、蓋体の下端部周縁が当接して上方に突出したままの状態となるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る蓋構造を具備したフロア用品の一実施形態を示す分解状態斜視図である。
【
図2】
図1の反対側からみた本発明に係る蓋構造を具備したフロア用品の一実施形態を示す分解状態斜視図である。
【
図3】本発明に係る蓋構造を具備したフロア用品の一実施形態を示す平面図である。
【
図6】本発明に係る蓋構造を具備したフロア用品の一実施形態を示す背面図である。
【
図7】蓋体を180°展開して床面と平行になるように倒伏させた本発明に係る蓋構造の使用例を示す説明図である。
【
図8】従来のフロア用品における蓋体を開けたときの状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る蓋構造の具体的構成を図示の実施形態について詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための蓋構造の一例を示すに過ぎないものであって、本発明は以下の説明及び図示したものに限定されるものではない。特に、実施の形態及び図面に記載されている構成部品の形状、相対的配置関係等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎないものである。
【0017】
図示する実施形態の蓋構造はフロア用品としてのフロアプレートに適用した例を示すものであり、当該フロアプレート1はベースプレート2と、蓋体3と、第1軸5および左右一対の第2軸6,6からなる軸部4とを有している。
【0018】
先ず、ベースプレート2は、床面に開けた開口部の周縁に固定する取付部7,7を有すると共に、中央開口8の一側縁上面に前記軸部4のうちの第1軸5を支承するための長尺状の軸支持部9を突設してある。
また、ベースプレート2における当該軸支持部9を突設した辺に対向位置する辺のほぼ中央には、蓋体3の閉じた状態を保持する蓋保持部31を構成する係合段部10を設けてある。なお、軸支持部9の背面側は開放状態となっているが、軸部4のうちの第1軸5を所定方向で挿着した後に、図中11で示すカバーを嵌め込み、当該カバー11を止めネジ12,12で固定して解放部を閉じるようになっている。
【0019】
次に、蓋体3は、前記ベースプレート2の中央開口8を実質的に塞ぐ大きさを有すると共に、一側部両端に、前記軸部4のうち第2軸6,6を受ける軸受溝13,13を形成してある。一方、蓋体3の他側部中央付近には、図示しないコイルスプリングの弾発力によって前記ベースプレート2に設けた係合段部10に係合させ、閉じた状態を保持することができる蓋保持部31を構成する係止爪14を設けてある。なお、この係止爪14の表面側は指先などで容易にスライドさせることができるように溝を設けたスライドボタン15となっている。
【0020】
前記したコイルスプリング自体は、
図1および
図2に示す化粧プレート16によって覆われて表面には表れてこないが、係止爪14を外方に向け付勢する力を有しており、当該付勢力に抗して表面側のスライドボタン15を
図3の矢印方向にスライドさせると、係止爪14が前記ベースプレート2の係合段部10から外れて蓋保持部31によるロックが解除された状態となる。
【0021】
なお、図示する実施形態の蓋保持部31は、前記したように蓋体3の開放側端面中央付近に進退自在に取り付けた係止爪14を、ベースプレート2に設けた係合段部10に係合させて、蓋体3の閉塞状態を保持する構成となっているが、当該蓋保持部31はこの構造に限定されるものではなく、例えばマグネットの磁着力を利用して蓋体3の閉塞状態を保持するようにしたものとしてもよい。
【0022】
蓋体3には前記軸受溝13,13に隣接して立上げ部17,17を形成すると共に、当該立上げ部17,17の内側端面に、後述する軸支持体に形成してある切欠段部に当接する段部18,18を形成してあると共に、蓋体3の保持状態を解除したときに蓋体3を開方向に跳ね上げる蓋付勢部32を設けてある。
【0023】
図示する実施形態の蓋付勢部32は、板バネのバネ弾性を利用した構造となっている。すなわち、蓋体3の前記した軸受溝13,13内に、第2軸6,6を位置させた後、当該軸受溝13,13の表面側には保持プレート19,19を止めネジ29,29によってネジ止めするものであるが、当該保持プレート19,19には、
図1および
図2に示すように、蓋体3のロック状態を解除したと同時に蓋体3の先端が自動的に跳ね上がるようにするための板バネ部20,20を設けてある。従って、蓋保持部31の保持状態を解除すると、板バネ部20,20の弾発力によって蓋体3の開放側先端が上方に跳ね上がり、蓋体3の開動作をスムーズに行なうことが可能となるのである。
【0024】
蓋付勢部32は前記した板バネ以外にも、コイルスプリングやマグネットの反発力、弾力性のある軟質樹脂などの任意の弾発部材を用いることができるのは勿論である。
その他、
図1および
図2中の蓋体3に関連して表示された符号21,21は図示しないフロアコンセントに繋いだケーブル類を蓋体3を閉じた状態でフロア上に引き出すためのスライドさせて反転可能にした通線チップである。
【0025】
次に、前記ベースプレート2と蓋体3を繋ぐ軸部4は、前記したように、長尺状の第1軸5と、左右一対の第2軸6,6の二つの軸部材から構成され、そのうちの第1軸5は、前記したベースプレート2の一側縁上面に沿って突成した長尺状の前記軸支持部9によって一定角度回動できるように保持されると共に、その両端に軸支持部9の外側に位置するように軸支持体22,22を、第1軸5の中心軸に対しほぼ直角をなすように突設してある。
【0026】
また、この第1軸5の外周部には、
図1に示すようにストッパー23,23を突成してあり、当該ストッパー23,23は、前記軸支持体22,22が第1軸5の軸心に対しほぼ90°の位置において軸支持部9内のフラットな状態の天井部の隅角部に当って第1軸5の回動を制限する作用をなすものである。
【0027】
一方、第2軸6,6は、図示の実施形態においては、前記第1軸5の両端に突設してある前記軸支持体22,22の斜め上方に形成してある取付孔24,24内に挿着して第1軸5の軸心とは異なる軸心を形成するように取り付けられている。
このように、本発明に係る蓋構造においては、軸部4は、前記第1軸を介して二重床側となるベースプレート2に連結されると共に、前記第2軸6,6を介して前記蓋体3と連結され、前記中央開口8に対する第2軸6,6の位置は、前記第1軸5の回動によって変化するようになっているのである。
【0028】
前記したように、保持プレート19,19は、前記第2軸6,6が蓋体3の前記軸受溝13,13内から離脱するのを防ぐためのカバー部を有すると共に、前記蓋板3のロック状態を解除したと同時に蓋体3の先端を自動的に跳ね上げる蓋付勢部を構成する板バネ部20を一体的に設けてある。なお、図示の実施形態においては、板バネ部20が位置する蓋体3の対応箇所にはバネ効果を発現するための凹所27を形成してあると共に、板バネ部20の先端付近に対応するベースプレート2の中央開口8の周縁部には板バネ部20の先端部が当接し得る当接部28を設けてある。
【0029】
従って、前記蓋保持部31によって蓋体3をベースプレート2の中央開口8を閉塞するように保持させた状態においては、蓋付勢部32を構成する板バネ部20にテンションが掛かった状態となっており、第2軸6,6は軸支持部9の両端から外れた位置にあるため通常であれば、蓋体3の基部が蓋付勢部32の付勢力を受けて上方に浮き上がることになる。
【0030】
しかしながら、本発明に係る蓋構造によった場合は、蓋体3をロックした状態において、第1軸5の左右両端に突設してある前記軸支持体22,22の切欠段部25,25と前記蓋体3の軸受溝13,13に隣接して形成した立上げ部17,17の端面に形成してある段部18,18とが当接し、干渉状態を形成して軸部4の回動範囲を制限する回動制限部33を構成することとなり、軸部4の跳ね上がりを防止することができるのである。なお、
図5中の斜線で表わした部分が干渉部分である。
【0031】
図示の実施形態においては、組み立ての便宜のため、第2軸6,6は軸支持体22,22の斜め上方に形成した取付孔24,24内に挿着する構造となっているが、組み立ての際に特に支障がなければ、これを軸支持体22,22の所定箇所に一体的に突成するようにしてもよいのは勿論である。
【0032】
本発明に係る蓋構造によった場合は、中央開口8を閉塞した状態では蓋保持部31によって蓋体3はロックされた状態であり、しかも前記したように回動制限部33によって第2軸6,6の回動範囲が制限されるので蓋体3の基部(蓋体3と軸部4との連結部分であり、第2軸6,6の部分でもある)の浮き上がりを抑えることができる。
【0033】
一方、蓋体3の表面に位置するスライドボタン15をスライドさせて、蓋保持部31の保持状態を解除すると、蓋付勢部32を構成する保持プレート19に一体的に設けてある板バネ部20の弾発力によって蓋体3の先端部が上方に少し開くので、蓋体3の先端を掴んで第1軸5の軸心を中心にしてほぼ90°の位置まで回動させる。すると、第1軸5の外周部に突成してあるストッパー23,23が軸支持部9内のフラットな状態の天井部の隅角部に当って第1軸5の回動が停止状態になると同時に、蓋体3の回動軸が第2軸6,6に移行し、第1軸5の軸心より高い位置となる第2軸6,6を中心にして、
図7に示すように、蓋体3を床面と平行状態に倒伏させることができる。
【0034】
なお、この状態においては、蓋体3の前記軸受溝13,13に隣接して設けてある立上げ部17,17の端面に形成してある段部18,18が、前記第1軸5の両端に突設してある軸支持体22,22の当接部26,26にあたって蓋板3の回動が規制され、過度な回動から蓋板3が保護される。
【0035】
以上のように、本発明に係る蓋構造によれば、蓋体を閉塞した状態では、回動制限部によって蓋体基部の浮き上がりを有効に防ぐことができると共に、蓋体の保持状態を解除したときには、蓋体の開放側先端部が蓋付勢部の付勢力によって確実に少し持ち上がるので開き易くなり、使い勝手のきわめて良好なフロア用品を提供することができる。
また、軸部は、第1軸を介して二重床側(この場合、ベースプレート2はフロアプレート1の一部であるが、床板に嵌め込んで一体化させるという使用状況を考えると、機能的には二重床側の部材と考えることもできる)に連結されると共に、第2軸を介して前記蓋体に連結されているので、前記第1軸の軸心より高い位置となる第2軸の軸心を基点にして回動でき、床面とほぼ平行の状態を得ることができる。
従って、直角状に立ち上がっている床仕上材の角部に、蓋板の下端部周縁が当接して上方に突出したままの状態となるのを防ぐことができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、蓋構造を、フリーアクセスフロアの床板に形成された開口に取り付けるフロアプレート1(フロア用品)に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、コンセントボックスに適用しても良いし、フリーアクセスフロアの床面に形成された開口を直接蓋体で開閉自在に閉塞するような構造に適用しても良い。特に、後者の場合、蓋体3を軸部4を介して床面の開口の縁に開閉自在(回動自在)に取り付ければよく、そうすることで上述の実施形態と同様の効果が得られるものである。
【0037】
また、本実施形態においては、軸支持体22,22(軸部4)の切欠段部25,25と立上げ部17,17(蓋体3)の端面に形成してある段部18,18とが当接する(或いは干渉する)ことで軸部4(第2軸6、6)の回動範囲を制限する回動制限部33を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、軸部4(第2軸6、6)の回動範囲を制限できるものであれば、当接する(干渉する)のは軸部4と蓋体3のどの部位であっても良い。また、第2軸6、6に対して、蓋体3の開放側先端部側が上方に付勢されるようにコイルスプリングを設けるようにすることで、回動制限部を形成するようにしても良い。
【0038】
さらに、本実施の形態においては、
図7に示すように、蓋体3の上面が床仕上材100に当接するくらいまで(すなわち180°程度)回動できるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、床仕上材100に対する蓋体3の回動角度は蓋体の構造や使用形態等に合わせて適宜であって構わない。例えば、軸部4において、仮に第1軸5と第2軸6との間隔が大きく設定されていた場合には、蓋体3の上面が床仕上材100に当接するくらいまで開くためには、180°以上回動する必要がある。また、使用する床仕上材100が厚い場合には、蓋体3を開放しても180°回動しない状態も有り得、さらにその場合、蓋体3を開放した状態から更に手で蓋体3を下方に押し付けると床仕上材100が撓んで蓋体3を180°回動させることができるような場合も有り得る。
すなわち、本発明は、蓋体3の回動範囲に拘らず、2つの軸により回動している蓋体(蓋構造)であれば、効果を発揮し得るものである。
【0039】
さらに、本実施の形態においては、第1軸と当該第1軸とは別個に回動可能な第2軸とを有する軸部として、第1軸5および左右一対の第2軸6,6を有する軸部4を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、二重床側の床板と蓋体とを2つの軸を介して連結できる構成(或いは二つの軸により蓋体を回動可能な構成)であれば、その形状等は適宜であり、その2つの軸の内、例えば床板側に連結していない方の軸の回動範囲を制限することで本発明と同等の効果を得るようにすることができる。
【符号の説明】
【0040】
1:フロアプレート(フロア用品)
2:ベースプレート
3:蓋体
4:軸部
5:第1軸部材
6:第2軸部材
7:取付部
8:中央開口
9:軸支持部
10:係合段部
11:カバー
12:止めネジ
13:軸受溝
14:係止爪
15:スライドボタン
16:化粧プレート
17:立上げ部
18:段部
19:保持プレート
20:板バネ部
21:通線チップ
22:軸支持体
23:ストッパー
24:取付孔
25:切欠段部
26:当接部
27:凹所
28:当接部
29:止めネジ
31:蓋保持部
32:蓋付勢部
33:回動制限部