(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】ポリウレタンゲル組成物及びその利用
(51)【国際特許分類】
C08G 18/62 20060101AFI20220509BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20220509BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20220509BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20220509BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220509BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220509BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20220509BHJP
C08G 18/72 20060101ALI20220509BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
C08G18/62
A61K8/87
A61Q1/04
A61Q1/10
A61Q17/04
A61Q19/00
C08G18/48
C08G18/72
C08L75/04
(21)【出願番号】P 2019510246
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2018013607
(87)【国際公開番号】W WO2018181899
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2017/013748
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(73)【特許権者】
【識別番号】390028048
【氏名又は名称】根上工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100113860
【氏名又は名称】松橋 泰典
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】増渕 祐二
(72)【発明者】
【氏名】荻野 亮
(72)【発明者】
【氏名】石田 久憲
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-505137(JP,A)
【文献】特表2004-515466(JP,A)
【文献】特開2009-235036(JP,A)
【文献】特開2006-062995(JP,A)
【文献】特開2015-052105(JP,A)
【文献】特表2004-515608(JP,A)
【文献】特開2005-200320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/62
A61K 8/87
A61Q 1/04
A61Q 1/10
A61Q 17/04
A61Q 19/00
C08G 18/48
C08G 18/72
C08L 75/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
AとBとを含有するポリウレタンゲル組成物。
ここで、Aは(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)HO-R
3-OH(式中、R
3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られる
油溶性のポリウレタンであるか、または、Aは(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物と(b)HO-R
3-OH(式中R
3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られる
油溶性のポリウレタンであり、Bは油剤であ
り、かつ、Aのポリウレタンの含有量は1~35質量%である。
【請求項2】
(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンが
【化3】
(式中、nは10~100の整数を表す)であり、
(d)ジイソシアネート化合物が
【化4】
であり、
(b)HO-R
3-OHで表されるグリコールが
【化5】
である請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
Aのポリウレタンの平均分子量(Mw)が、10000~100000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Bの油剤が、炭化水素油、水酸基の数が0又は1個であるエステル油、シリコーン油から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載されたポリウレタンゲル組成物30部と流動パラフィン70部とを、85℃にて加熱溶解し、冷却し得られたゲルが、2cmφ球状アダプタを2cm/minで10mm針入させた時の荷重値が0.20-10.00Nである、請求項1~
4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
ゲル復元性を有する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の組成物を含有する化粧料。
【請求項8】
AとBとを含有するポリウレタンゲル組成物(ここでAは
油溶性のポリウレタンであり、Bは油剤である。)の製造方法であって、Bの油剤中において、Aの(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)HO-R
3-OH(式中R
3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールを加えて重付加反応を行うことを含
み、かつ、Aのポリウレタンの含有量は1~35質量%である、ポリウレタンゲル組成物の製造方法。
【請求項9】
Aのポリウレタンの平均分子量(Mw)が、10000~100000である、請求項
8に記載の製造方法。
【請求項10】
化粧料がアイシャドウ、ファンデーション、化粧下地、日焼け止め料、口紅、及びマスカラからなる群から選択される、請求項7に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強度と柔軟性を合わせ持ち高弾力性を有する、新規なポリウレタンゲル組成物及びその利用、特に化粧料への利用、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりポリウレタンは、熱可塑性樹脂、接着剤、水溶性ゲル化剤等として用いられている(下記特許文献を参照)。熱可塑性樹脂としては、例えば、水添ポリブタジエン骨格を有するポリウレタンアクリレートやポリブタジエン骨格を有するポリウレタンアクリレートを用いて製造した樹脂シートを印刷用強光沢シートとして使用することが提案されている(特許文献1)。また、1分子当り1.6~2個の末端ヒドロキシル基及び数平均分子量500~20,000を有するポリジエンジオール、1分子当り2個のイソシアネート基を有するイソシアネート、並びに必要に応じて、1分子当り2個のヒドロキシル基を有する低分子量の鎖延長剤を含む、良好な物理的性質及び優れた耐候性を有する熱可塑性ポリウレタンの製造のための組成物が提案されている(特許文献2)。
【0003】
接着剤としては、例えば、基材上に、接着剤層または接着剤層およびベースコート層と、転写層とが設けられている化粧板であって、前記接着剤層が、水酸基含有ポリブタジエン系重合体および有機ポリイソシアネートからなる接着剤から得られるものであることを特徴とする化粧版が提案されており、当該接着剤は、必要に応じて、上記水酸基含有ポリブタジエン系重合体以外の水酸基含有樹脂(例えば、エチレングリコールを出発原料とする樹脂)を含むことができることが教示されている(特許文献3)。
【0004】
水溶性ゲル化剤としては、例えば、水溶性ポリオキシアルキレンポリオール(A)、500~2,000の数平均分子量を有する非水溶性ポリオール(B)および有機ポリイソシアネート(C)から誘導され、(A):(B)の重量比が(99.9~85.0):(0.1~15.0)である水溶性固状ポリウレタン樹脂(D)からなる水洗トイレット用自動芳香洗浄剤基材が提案されている(特許文献4)。
【0005】
ポリウレタンは化粧品の分野においてもこれまで様々な用途に用いられてきている。例えば、ウレタン結合を有する親水性化合物からなる会合性増粘剤(親水基部を骨格とし、末端に疎水性部分をもつコポリマー)を含むことを特徴とする化粧料組成物が提案されている(特許文献5)。また、水性媒体と、その水性媒体中に分散された固体粒子の形態をとる膜形成性ポリウレタンとを具備し、25°Cの温度、及び200s-1のせん断速度で、5Pa・s乃至18Pa・sの範囲の粘度を有し、ワックスを含まない組成物を含む貯蔵器と、アプリケーターを備えた密閉手段とを具備したマスカラ製品が提案されている(特許文献6)。更に、会合性ポリウレタンによって増粘化された生理的に許容可能な媒体を含有する組成物であって、上記媒体がエマルション中に水性相と液状の脂肪相を含み、人の顔ならびに身体の皮膚、睫毛、眉毛、頭髪のようなケラチン繊維、又はさらに唇の手入れ、トリートメント又はメークアップのための粘性のある粘稠度を持つエマルションタイプの組成物(特許文献7)、親水性のアルキレンオキサイドのセグメントと疎水性のアルキレンオキサイドのセグメントを有し、セグメントの大半ないし全てが常温で液状である粘着性のポリウレタンゲルからなるゲル層に、ビタミンが含有されていることを特徴とする化粧用貼付材(特許文献8)、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、固形油及び粉体(例えば、ポリウレタンパウダー)含有したことを特徴とする弾性ゲル状油性化粧料(特許文献9)、機能性成分および/または意匠性成分を内包しているポリウレタンゲル粒子を含有する化粧料において、該ゲル粒子が、少なくともいずれかが3官能以上である、ポリイソシアネートと、分子内に活性水素基を有する化合物と、分子内に活性水素基を有するポリシロキサンおよび/または該ポリシロキサンとラクトンとの反応生成物と、を共重合してなる三次元架橋したポリウレタンゲル粒子(粒子A)の表面が、ポリウレアコロイド非水溶媒溶液から析出したポリウレアコロイド粒子(粒子B)により被覆されているポリウレタンゲル粒子(粒子C)であることを特徴とする化粧料(特許文献10)等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-228294号公報
【文献】特表平11-507975号公報
【文献】特開2001-287309号公報
【文献】特開平8-218097号公報
【文献】特開2000-239120号公報
【文献】特開2000-178137号公報
【文献】特開2000-63235号公報
【文献】特開2005-15457号公報
【文献】特開2008-88099号公報
【文献】特許第4802136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、肌や瞼のシワ、たるみ、くま、くすみ等の悩みを解決すべく、従来技術について検討を重ねた。シワ、たるみ、くま、くすみ等に対する従来技術での対応として、粉末固形、油性固形剤型等の種々な剤型による対応が挙げられる。しかしながら、パール剤を含む粉末固形においては、不自然なぎらつきがあり、凹凸を強調し、シワ等が逆に目立つ、パールの付着力が悪い、という欠点を有している。一方、油性固形剤型においては、結晶成分が多いことから、ツヤが不足し、時間の経過とともに凹凸(二重の溝)へのヨレが生じる、という欠点を有している。したがって、シワ、たるみ、くま、くすみを改善するための化粧料を製造するに際しては、立体的で動きの激しい顔や瞼への対応が必要である。本発明者らは、かかる観点から、下記の特性を有する化粧膜を開発することを目標とした。
(1)動きに柔軟であり、自己修復性がある。凹凸が発生しても自然に修復して、常に化粧膜表面が平滑である。即ち、膜がよれない。
(2)膜自体にツヤと厚みがある。即ち、濡れヅヤによる明るさがある。
(3)化粧膜の持続効果に優れる。
【0008】
本発明者らは、復元性素材として、シリコーンゴム、多糖類、水性のポリウレタンを用いて研究を重ねた。しかし、これらの素材は、利点とともに解決されるべき欠点を有していることが分かった。即ち、シリコーンゴムは、ソフトで柔らかいゲルであるが、ツヤが足りず、復元力に欠けるという欠点を有する。多糖類のゲルは、透明度・ゲル強度が強い反面、弾力性・復元力が弱いという欠点を有する。水性のポリウレタンのゲルは透明で弾力性・復元力が強いが、水を必要とするため色域に制限があり、ツヤと化粧膜の持続効果が足りないという重大な欠点を有する。
一般的にポリウレタンは、ジイソシアネートとポリオールとを反応させて得られることが知られており、水添ポリブテンと多価アルコールから成るポリウレタンは周知技術の範疇である。しかしながら、ポリウレタンを油溶性のゲル化剤として用いている例はない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明者らは、透明で、ツヤが高く、弾力性、復元力があり、化粧持続効果に優れる化粧膜を得るために鋭意研究開発を重ねた。
その結果、本発明者らは、(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)HO-R3-OH(式中、R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタンであるか、または、Aは(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物と(b)HO-R3-OH(式中R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタン、に油剤を混合すると、弾力性、復元性のあるポリウレタンゲル組成物が得られることを見出した。本ポリウレタンゲル組成物を化粧料に用いると、ツヤに優れた化粧膜が得られ、肌や瞼などの動きによる経時での化粧崩れ等を抑制する効果(化粧持続効果)が高くなることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)AとBとを含有するポリウレタンゲル組成物。
ここで、Aは(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)HO-R
3-OH(式中、R
3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタンであるか、または、Aは(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物と(b)HO-R
3-OH(式中R
3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタンであり、Bは油剤である。
(2)Aの(a)が(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物との反応によって得られるイソシアネート化合物である(1)に記載の組成物。
(3)Aの(d)がOCN-R
2-NCO(式中、R
2はC2~C6アルキレン)で表されるジイソシアネート化合物である(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)Aの(a)が式(1)
【化1】
(式中、R
1、R
2は各々独立してC
1~C
6アルキレン基、nは10~100の整数、n
1、n
2は各々独立して0又は1を表す)で表されるイソシアネート化合物である、(1)~(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)Aの(a)が式(2)
【化2】
(式中、nは10~100の整数を表す)で表されるイソシアネート化合物である、(1)~(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンが
【化3】
(式中、nは10~100の整数を表す)であり、
(d)ジイソシアネート化合物が
【化4】
であり、
(b)HO-R
3-OHで表されるグリコールが
【化5】
である(2)に記載の組成物。
(7)Aのポリウレタンが油溶性のポリウレタンである、(1)に記載の組成物。
(8)Aのポリウレタンの平均分子量(Mw)が、10000~100000である、(1)に記載の組成物。
(9)Bの油剤が25℃で液状の油剤である、(1)に記載の組成物。
(10)Bの油剤が、炭化水素油、水酸基の数が0又は1個であるエステル油、シリコーン油から選ばれる1種以上である、(1)に記載の組成物。
(11)Aのポリウレタンの含有量が1~35質量%である、(1)に記載の組成物。
(12)Bの油剤の含有量が65~99質量%である、(1)に記載の組成物。
(13)(1)~(12)のいずれかに記載されたポリウレタンゲル組成物30部と流動パラフィン70部とを、85℃にて加熱溶解し、冷却し得られたゲルが、2cmφ球状アダプタを2cm/minで10mm針入させた時の荷重値が0.20-10.00N(ニュートン)である、(1)~(12)のいずれかに記載の組成物。
(14)ゲル復元性を有する、(1)~(13)のいずれかに記載の組成物。
(15)700nmの波長の透過率が90%以上である、(1)~(14)のいずれかに記載の組成物。
(16)(1)~(15)のいずれかに記載の組成物を含有する化粧料。
(17)AとBとを含有するポリウレタンゲル組成物(ここでAはポリウレタンであり、Bは油剤である。)の製造方法であって、Bの油剤中において、Aの(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)HO-R
3-OH(式中R
3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールを加えて重付加反応を行うことを含む、ポリウレタンゲル組成物の製造方法。
(18)Aの(a)が(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物との反応によって得られるイソシアネート化合物である、(17)に記載の製造方法。
(19)Aのポリウレタンが(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物と(b)HO-R
3-OHで表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタン(式中R
3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)である、(17)に記載の製造方法。
(20)Aの(d)がOCN-R
2-NCOで表されるジイソシアネート化合物(式中、R
2はC2~C6アルキレン)である(18)又は(19)に記載の製造方法。
(21)Aの(a)が式(1)
【化6】
(式中、R
1、R
2は各々独立してC
1~C
6アルキレン基、nは10~100の整数、n
1、n
2は各々独立して0又は1を表す)で表されるイソシアネート化合物である、(17)、(18)又は(20)に記載の製造方法。
(22)Aの(a)が式(2)
【化7】
(式中、nは10~100の整数を表す)で表されるイソシアネート化合物である、(17)、(18)、(20)又は(21)に記載の製造方法。
(23)(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンが
【化8】
(式中、nは10~100の整数を表す)であり、
(d)ジイソシアネート化合物が
【化9】
であり、
(b)HO-R
3-OHで表されるグリコールが
【化10】
である(20)又は(21)に記載の製造方法。
(24)Aのポリウレタンが油溶性のポリウレタンである、(17)又は(19)に記載の製造方法。
(25)Aのポリウレタンの平均分子量(Mw)が、10000~100000である、(17)又は(19)に記載の製造方法。
(26)Bの油剤が25℃で液状の油剤である、(17)に記載の製造方法。
(27)Bの油剤が、炭化水素油、水酸基の数が0又は1個であるエステル油、シリコーン油から選ばれる1種以上である、(26)に記載の製造方法。
(28)Aのポリウレタンの含有量が1~35質量%である、(17)又は(19)に記載の製造方法。
(29)Bの油剤の含有量が65~99質量%である、(17)に記載の製造方法。
(30)(1)~(12)のいずれかに記載されたポリウレタンゲル組成物30部と流動パラフィン70部とを、85℃にて加熱溶解し、冷却し得られたゲルが、2cmφ球状アダプタを2cm/minで10mm針入させた時のポリウレタンゲル組成物の荷重値が0.20-10.00Nである、(17)~(29)のいずれかに記載の製造方法。
(31)ポリウレタンゲル組成物がゲル復元性を有する、(17)~(30)のいずれか1項に記載の製造方法。
(32)ポリウレタンゲル組成物に対する700nmの波長の透過率が90%以上である、(17)~(31)のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリウレタンゲル組成物は、透明性、ツヤの高さ、及び弾力性、復元力のいずれの点でも極めて優れているため、本発明のポリウレタンゲル組成物は、肌の動きの多い部分に塗布される、ボディオイル、化粧下地、日焼け止め料、アイカラー等の化粧料の基材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】製造実施例2によって得られた本発明のポリウレタンゲルと製造比較例2によって得られたデキストリン脂肪酸エステルゲルの自己復元力を測定する方法を示す模式図である。
【
図2】製造実施例2によって得られた本発明のポリウレタンゲル及び製造比較例2によって得られたデキストリン脂肪酸エステルゲルの各々について行った自己復元力の測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のAとBとを含有するポリウレタンゲル組成物は、次の組成物を包含する。
組成物1
Aとして(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)HO-R3-OH(式中、R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタン、Bとして油剤を含有する組成物。
組成物2
Aとして(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物と(b)HO-R3-OH(式中R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタン、Bとして油剤を含有する組成物。
本発明において「末端」とは「両末端」を意味する。
組成物1において用いられるAの(a)は、末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンであれば、特に限定されない。例えば、下記式(1)で示される化合物が示される。
【0014】
【化11】
(式中、R
1、R
2は各々独立してC
1~C
6アルキレン基、nは10~100の整数、n
1、n
2は各々独立して0又は1を表す)
【0015】
R1、R2は各々独立して、即ち、同一若しくは異なってC1~C6アルキレン基を表し、アルキレンは直鎖であっても分岐鎖であってもよい。C1~C6アルキレン基として、例えば、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ヘキシレン等が挙げられる。
nは10~100の整数を表し、nのより好ましい範囲は、15~55である。
n1、n2は各々独立して、即ち、同一若しくは異なって0又は1を表す。
【0016】
上記式(1)の水添ポリブタジエン部分(下記式(6))、
【化12】
における繰り返し単位「C
4H
8」の構造は、例えば、以下に示すように、様々な種類が存在する。
【0017】
【0018】
本発明において使用する末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンにおける水添ポリブタジエン部分は、上で例示したような繰り返し単位の1種のみからなるものであっても、あるいは、2種以上の繰り返し単位を規則的若しくはランダムに含むものであってもよい。水添ポリブタジエン部分を構成する繰り返し単位「C4H8」の立体構造が同一であっても異なっていても、水添ポリブタジエン部分が式(6)で表される構造は、すべて本発明に包含される。
式(1)で表される末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンとして、例えば、下記式(2)で表される化合物が例示される。
【0019】
【化14】
(式中、nは10~100の整数を表す)
式(2)の化合物は、式(1)の末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンにおいて、R
1がエチレン基、R
2がヘキサメチレン基、n
1=n
2=1である場合に相当する。
【0020】
組成物1及び2において用いられるAの(b)HO-R3-OH(式中、R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールの例として、エチレングリコール(HOCH2CH2OH)、プロピレングリコール(HOCH2CH(OH)CH3)、1,3-ブチレングリコール(HOCH2CH2CH(OH)CH3)、ジエチレングルコール(HOCH2CH2OCH2CH2OH)等が挙げられる。
【0021】
組成物2において用いられるAの(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンは、特に限定されない。例えば、下記式(3)で示される化合物が示される。
【0022】
【化15】
(式中、nは10~100の整数を表す)
【0023】
式(3)において、水添ポリブタジエン部分(式(6))は、上記と同じ意味を有する。
また、組成物2において用いられる(d)ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネートなどを挙げることができる。これらのうち、下記式(4)で示されるヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0024】
【0025】
上記組成物1において(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)HO-R3-OH(式中、R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールを重付加してポリウレタンを製造する場合、モル比(a):(b)=2:3~3:2で行うことがより好ましい。ポリウレタンポリマー分子中の疎水部である水添ポリブテン部分が多いと、油剤への溶解性が高まり透明性が向上する。一方で、ポリウレタンポリマー分子中の親水部を構成するHO-R3-OH(式中、R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコール量が多いと、ポリウレタンゲルの自己会合性が高まり、弾力性は増加するが、量が多い場合、溶解性が低下する。即ち、疎水部と親水部のバランスが重要となり、この好適なモル比が2:3~3:2となる。この範囲に包含されるモル比(a):(b)として、2:3~3:2、3:4~4:3、4:5~5:4、4:5~4:3、9:10~10:9、が例示される。この場合、(a)の平均分子量(Mw)は1000~3000であることが好ましい。この範囲に包含される分子量として、1000~3000以外に、1200~2800、1200~2600、1200~2400、1200~2000、1200~1800、1300~2700、1300~2500、1300~2100、1300~1800、1500~2500、1500~2100、1800~2800、1800~2600、1800~2400、1800~2100等が例示される。
【0026】
上記組成物2において(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物と(b)HO-R3-OH(式中R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールを重付加してポリウレタンを製造する場合、モル比(c):(b)=2:3~3:2で行うことがより好ましい。ポリウレタンポリマー分子中の疎水部である水添ポリブテン部分が多いと、油剤への溶解性が高まり透明性が向上する。一方で、ポリウレタンポリマー分子中の親水部を構成するHO-R3-OH(式中、R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコール量が多いと、ポリウレタンゲルの自己会合性が高まり、弾力性は増加するが、量が多い場合、溶解性が低下する。即ち、疎水部と親水部のバランスが重要となり、この好適なモル比が2:3~3:2となる。この範囲に包含されるモル比(c):(b)として、2:3~3:2、3:4~4:3、4:5~5:4、4:5~4:3、9:10~10:9、が例示される。この場合、(c)の平均分子量(Mw)は1000~3000であることが好ましい。この範囲に包含される分子量として、1000~3000以外に、1200~2800、1200~2600、1200~2400、1200~2000、1200~1800、1300~2700、1300~2500、1300~2100、1300~1800、1500~2500、1500~2100、1800~2800、1800~2600、1800~2400、1800~2100等が例示される。
また、重付加によって得られるポリウレタンの平均分子量(Mw)は10000~100000であることが好ましい。この範囲に包含される分子量として、10000~100000、10000~90000、10000~80000、10000~70000、10000~60000、10000~50000、20000~90000、20000~80000、20000~70000、20000~60000、20000~50000、30000~90000、30000~80000、30000~70000、30000~60000、30000~50000、40000~90000、40000~80000、40000~70000、40000~60000、50000~90000、50000~80000、50000~70000、が例示される。
【0027】
本発明において使用されるAのポリウレタンは油溶性であることがより好ましい。本発明において、「油溶性」とは、「30℃にて2-エチルヘキサン酸セチルに少なくとも1質量%以上溶解できること」を意味する。
組成物1中のAのポリウレタンの含有量は1~35質量%であることがより好ましい。ポリウレタンポリマーの濃度がこの範囲より低い場合、透明性は高いものの弾力感(荷重値)に劣り、化粧料へのハリ感付与に劣る。この範囲に包含されるポリウレタンの含有量として、1~35質量%、1~30質量%、1~25質量%、1~20質量%、1~15質量%、1~10質量%、1~5質量%、5~30質量%、5~25質量%、5~20質量%、5~15質量%、5~10質量%、10~30質量%、10~25質量%、10~20質量%、10~15質量%、が例示される。また、組成物1中のBの油剤の含有量は65~99質量%であることが好ましい。この範囲に包含される油剤の含有量として、65~99重量%、70~99質量%、80~99質量%、85~99質量%、90~99質量%、95~99質量%、70~95質量%、75~95質量%、80~95質量%、85~95質量%、90~95質量%、70~90質量%、75~90質量%、80~90質量%、85~90質量%、が例示される。
組成物2中のAのポリウレタンの含有量は1~35質量%であることがより好ましい。ポリウレタンポリマーの濃度がこの範囲より低い場合、透明性は高いものの弾力感(荷重値)に劣り、化粧料へのハリ感付与に劣る。この範囲に包含されるポリウレタンの含有量として、1~35質量%、1~30質量%、1~25質量%、1~20質量%、1~15質量%、1~10質量%、1~5質量%、5~30質量%、5~25質量%、5~20質量%、5~15質量%、5~10質量%、10~30質量%、10~25質量%、10~20質量%、10~15質量%、が例示される。また、組成物2中のBの油剤の含有量は65~99質量%であることが好ましい。この範囲に包含される油剤の含有量として、65~99質量%、70~99質量%、80~99質量%、85~99質量%、90~99質量%、95~99質量%、70~95質量%、75~95質量%、80~95質量%、85~95質量%、90~95質量%、70~90質量%、75~90質量%、80~90質量%、85~90質量%、が例示される。
【0028】
ポリウレタンゲル組成物におけるBの油剤は、通常化粧料に用いられるものであれば、特に限定されずに用いることができる。性状としては、特に限定されないが、10℃~30℃、特に25℃で液状の油剤であることが好ましい。
ポリウレタンゲル組成物において用いられるBの油剤としては、動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、炭化水素油、エステル油、油脂類、シリコーン油、フッ素系油類等が挙げられる。これらのうち、極性が低い方がポリウレタンゲル組成物の強度が高くなる傾向にあることから、炭化水素油、水酸基の数が0又は1個であるエステル油、フェニル基を含有するシリコーン油から選ばれる1種以上を使用することが例示される。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、ポリイソブチレン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、ホホバ油等の油脂類、イソオクタン酸セチル(2-エチルヘキサン酸セチル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等のシリコーン類、が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0029】
本発明のポリウレタンゲル組成物は、透明性とツヤのみならず、弾力性・復元性が極めて高いという特徴を有することが好適である。針入荷重値測定の結果、このポリウレタンゲル組成物30部と流動パラフィン(ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm2/s)70部とを、85℃にて加熱溶解し、30℃に冷却し得られたゲルは、2cmφ球状アダプタを2cm/minで10mm針入させた時の荷重値が0.20~10.00Nと優れた特性を示した。これは、本発明のポリウレタンゲル組成物が弾力性・復元力を有することを示している。また、透明性に関しては、本発明のポリウレタンゲル組成物は700nmの波長の透過率が90%以上である。即ち、本発明のポリウレタンゲル組成物は極めて高い透明性を有する。
【0030】
本発明のポリウレタンゲル組成物1は、公知のポリウレタン製造方法を利用して製造することができる。即ち、本発明のポリウレタンゲル組成物1は、Bの油剤中において、Aの(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)HO-R3-OH(式中R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールを加えて重付加反応を行うことによって得られる。
本発明のポリウレタンゲル組成物2は、公知のポリウレタン製造方法を利用して製造することができる。即ち、発明のポリウレタンゲル組成物2は、(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエン、(b)HO-R3-OH(式中R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコール、Bの油剤を仕込んで均一に混合し、(d)ジイソシアネート化合物を投入して反応させることによって製造することができる。
本発明のポリウレタンゲル組成物1及びポリウレタンゲル組成物2におけるポリウレタンの一例として、INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredient(化粧品原料国際命名法))において、「Hydrogenated Polybutadiene/Glycol/HDI Copolymer」という名称が付与されているポリウレタンが挙げられる。
【0031】
本発明のポリウレタンゲル組成物には、必要に応じて含有可能な種々の成分を適宜用いることができる。そのような成分として、揮発性成分、界面活性剤、油剤、粉体、水性成分、アルコール類、水溶性高分子、紫外線吸収剤、保湿剤、ゲル化剤及び増粘剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分(美白剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、防腐剤、抗菌剤、香料、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン等が例示される。
【0032】
水性成分としては特に制限されず、常温で液状の成分であり、通常化粧料に用いられるものであればいずれのものも使用できる。例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられ、これらの水性成分は必要に応じ、1種又は2種以上を用いることができる。本発明に用いられる水性成分の含有量は、使用性、使用感、及び剤型により異なり、特に制限されないが、組成物中、10質量%以下、更に5質量%以下、特に0.1質量%が化粧効果、使用性、使用感の面で好ましい。
【0033】
界面活性剤としては通常化粧料に使用されるものであれば特に制限はなく、何れのものも使用することができる。界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が例示されるが、これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
アニオン性界面活性剤として、具体的にはステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N-アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。
【0035】
カチオン性界面活性剤としては長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルエーテルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩や芳香族4級アンモニウム塩をはじめ、アルキルピリジニウム塩等のピリジニウム塩、アルキルジヒドロキシエチルイミダゾリン塩等のイミダゾリン塩、N-アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステル塩、そしてアルキルアミン塩、ポリアミン、アミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩等が挙げられる。
【0036】
非イオン性界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。
【0037】
両性界面活性剤としてはアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメトキシエチル-N-カルボキシメチルエチレンジアミン二塩等のアミドアミン型(イミダゾリン型)両性界面活性剤、N-[3-アルキルオキシ-2-ヒドロキシプロピル]アルギニン塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0038】
保湿剤としては尿素、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
ゲル化剤のうち、水性のものとしては、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体、アクリル酸・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系ゲル化剤及び増粘剤、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
皮膜形成剤としては、天然ゴム、天然セルロース、カチオン化セルロース、種々のアクリル樹脂(共重合体を含む)、種々のアルキド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、種々のシリコーン樹脂(共重合体を含む)、尿素樹脂、変性コーンスターチ等が用いられる。具体的な皮膜形成剤として、アクリル酸アミド・アクリル酸アルキル・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール、エイコセン・ビニルピロリドン重合体、1,1’-メチレンビス(4-イソシアナトシクロヘキサン)ポリプロピレングリコール共重合体、パーフルオロポリエーテル、(アクリレート/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)共重合体、ポリプロピルシルセスキオキサン、(エイコセン/ビニルピロリドン)共重合体、(ビニルピロリドン/ヘキサデセン)共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、シリコーン変性ノルボルネン等が挙げられる。
【0039】
着色剤は、化粧料に通常使用される着色剤であれば、球状、板状、紡錘状、針状等の形状や煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、あるいは多孔質、無孔質等のその粒子構造等には特に限定されず、無機顔料、有機顔料、光輝性顔料、金属類等を使用することができる。具体的な粉体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、ベンガラ等の有色無機顔料、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、有機顔料処理雲母チタン、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の樹脂積層末等の光輝性顔料、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは、更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等を例示することができ、天然色素としてはカルミン、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられ、必要に応じて1種又は2種以上を使用することができる。これらは、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0040】
着色剤以外の粉体としては、通常化粧料原料として使用されるものであれば、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等に特に限定されず、無機粉体類、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、シリカ、炭化珪素、窒化ホウ素等の無機粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N―アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類が挙げられ、これら1種又は2種以上用いることができる。またこれら粉体は、1種又は2種以上の複合化したものも用いてもよく、その表面処理を油剤処理、シリコーン化合物処理、水溶性高分子処理等を施してあってもよい。
【0041】
油剤としては、固形油、半固形油、液状油等が挙げられ、天然動植物油及び半合成油、炭化水素油、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、高級アルコール、高級脂肪酸、有機溶媒等が例示される。
固形油としてはカルナウバロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、セラックロウ、硬化油等の天然ロウ類、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等の合成ワックス、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの高級アルコール、ステアリン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸等を例示することができる。
液状油で、天然動植物油及び半合成油としては、具体的にアボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カヤ油、肝油、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シナギリ油、シナモン油、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、綿実油、ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン等が挙げられる。
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
グリセライド油としては、アセトグリセライド、トリイソオクタン酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等が挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
高級アルコールとしては、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
有機溶媒としては、n-ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等の非芳香族系化合物、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩素系化合物、ジオキサン、テトラハイドロフラン等のエーテル系化合物、2-プロパノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、カービトール類、セロソルブ類、スピンドル油等が挙げられる。
【0042】
アルコール類として、具体的にはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール等の多価アルコール、ソルビトール、マルトース、キシリトール、マルチトール等の糖アルコール、ベンジルアルコール等が例示される。
【0043】
美容成分としては、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0044】
防腐剤、抗菌剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
香料には、天然香料(動物性香料、植物性香料)、合成香料、及び調合香料(天然香料と合成香料のブレンド)があり、現在の化粧品には、天然香料と合成香料をブレンドした調合香料がもっともよく使われている。香料として、例えば、ジャスミン、タジェット、ローズマリー、バニラ、ジンジャーオイル、ローズオイル、ジャスミンオイル、ラベンダーオイル、イランイランオイル、ペパーミントオイル、ゼラニウムオイル、レモンオイル、オレンジオイル、スターアニスオイル、グレープフルーツオイル、ユーカリオイル、サンダルウッドオイル、ブラックペッパーオイル、バジルオイル、イランイランオイル、パチュリオイル、クマリン、ムスクケトン、ヘリオトロピン、1-オクテン-3-オール、及びこれらのブレンド等が挙げられる。
【0045】
酸化防止剤としては、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等、pH調整剤としては乳酸、乳酸塩、クエン酸、クエン酸塩、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、キレート剤としてはアラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン等、清涼剤としてはL-メントール、カンファ、薄荷油、ペパーミント油、ユーカリ油等、抗炎症剤としてはアラントイン、グリチルレチン酸塩、グリチルレチン誘導体、トラネキサム酸、アズレン等が夫々挙げられる。
【0046】
ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-硫酸ナトリウム、dl-α-トコフェロール-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等が挙げられる。
【0047】
アミノ酸類としては、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、アラニン、グリシン、プロリン等、核酸としてはデオキシリボ核酸等、ホルモンとしてはエストラジオール、エチニルエストラジオール等が挙げられる。
【0048】
本発明のポリウレタンゲル組成物は、表面処理剤として粉体の表面に被覆することによって表面処理粉体(以下、「ポリウレタンゲル処理粉体」と称する)を製造することもできる。本発明のポリウレタンゲル組成物で被覆処理される粉体としては、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状や、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径や、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等の1種又は2種以上が使用できる。
【0049】
前記無機粉体類としては、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト及び窒化硼素等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。なお、これらは10~100nm程度の微粒子に調製したものを使用してもよい。
【0050】
前記光輝性粉体類としては、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、酸化チタン被覆ガラス末及びアルミニウムパウダー等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0051】
前記有機粉体類としては、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン-メタクリル酸共重合体パウダー、PET樹脂末、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロースパウダー及びN-アシルリジンパウダー等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0052】
前記色素粉体類としては、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
前記複合粉体類としては、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0053】
これらのうち、特に、被覆処理される粉体として好適なのは、無機体質粉体である酸化チタン、ベンガラ、タルク、セリサイト、および雲母である。これらの粉体は化粧料において汎用され、多量に含有されるものであるため、これらを被覆処理することにより、化粧料に用いた際に顕著な効果を発揮することができる。
【0054】
これらの粉体に上記のポリウレタンゲルを被覆処理する方法としては、特に限定されるものではなく、通常公知の方法で製造される。例えば、ポリウレタンゲルを直接粉体と混合する方法(乾式処理法)、溶媒を用いる方法(湿式法)等が挙げられる。これらの中でも、均質で使用感に優れるポリウレタンゲル処理粉体を得られる点から、ポリウレタンゲルを溶媒に分散させた分散液と粉体とを混練した後、溶媒を蒸発除去し完全に乾燥させる湿式法が好ましく、さらにこれを粉砕することにより、より均質で使用感に優れるポリウレタンゲル処理粉体を製造することができる。粉砕方法も特に限定されるものではない。前記溶媒として用いられる化合物は、ポリウレタンゲルを分散することができるものであれば特に限定されないが、水、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ヘキサン、イソパラフィン、ベンゼン、トルエン等を例示することができ、1種又は2種以上を用いることができる。より均質で使用感に優れるポリウレタンゲル処理粉体を得られる点から、イソプロピルアルコール、n-ヘキサンを1種又は2種以上用いることが好ましい。
【0055】
また、前記ポリウレタンゲル処理粉体は、さらに、化粧料基材への分散性改良、感触改良等の目的で、シリコーン化合物、フッ素化合物、油剤、油脂、高級アルコール、ワックス、高分子、樹脂等の通常公知の表面処理剤を被覆処理して用いても良い。
【0056】
前記ポリウレタンゲル処理粉体は、粉体表面が前記ポリウレタンゲルで処理されたものであり、粉体表面にはポリウレタンゲルが存在する。その被覆量は、特に限定されないが、本発明の効果がより顕著に発揮される等の点から、被覆処理粉体の全質量を基準に0.1~10質量%であると好ましい。この範囲に包含される被覆量として、0.1~10質量%、0.1~7.5質量%、0.1~5質量%、0.5~10質量%、0.5~7.5質量%、0.5~5質量%、1~10質量%、1~7.5質量%、1~5質量%、2~10質量%、2~7.5質量%、2~5質量%、3~10質量%、3~7.5質量%、3~5質量%、が例示される。
【0057】
前記ポリウレタンゲル処理粉体の1種又は2種以上を、常法に従い、公知の化粧料成分と組み合わせて用いることにより、化粧料を製造することができる。前記化粧料における、当該処理粉体の含有量は、特に限定されるものではなく、化粧料の剤型により異なるが、1~99質量%、好ましくは、5~95質量%である。また、前記ポリウレタンゲル処理粉体を使用する化粧料は粉体を主成分とする粉体化粧料で顕著な効果を発揮することができ、その場合は、1~70質量%、更に5~50質量%、特に10~30質量%であると好ましい。
前記ポリウレタンゲル処理粉体を含む化粧料には、必要に応じて含有可能な成分を適宜用いることができる。
例えば、前記の揮発性成分、界面活性剤、油剤、粉体、水性成分、アルコール類、水溶性高分子、紫外線吸収剤、保湿剤、ゲル化剤及び増粘剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分(美白剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、防腐剤、抗菌剤、香料、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン等、各種の効果を付与するために通常化粧品に用いられる他の成分を適宜用いることができる。
【0058】
本発明のポリウレタンゲル組成物を、常法に従い、公知の化粧料成分と組み合わせて用いることにより、化粧料を製造することができる。前記化粧料における、当該ポリウレタンゲル組成物の含有量は、特に限定されるものではなく、化粧料の剤型により異なるが、0.1~99質量%、好ましくは、1~95質量%である。
前記ポリウレタンゲル組成物を含む化粧料には、必要に応じて含有可能な成分を適宜用いることができる。
例えば、そのような成分として、前記の揮発性成分、界面活性剤、油剤、粉体、水性成分、アルコール類、水溶性高分子、紫外線吸収剤、保湿剤、ゲル化剤及び増粘剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分(美白剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、防腐剤、抗菌剤、香料、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン等が例示される。
本発明のポリウレタンゲル組成物は、種々の剤型、例えば、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、プレス状、多層状、ムース状、スプレー状、又はスティック状等の剤型の化粧料の製造に使用することができる。また、本発明のポリウレタンゲル組成物は、種々の適用部位を対象とした化粧料、例えば、メイクアップ化粧料、スキンケア化粧料、頭髪化粧料、制汗剤、又は紫外線防御用化粧料等の製造に使用することができる。
本発明のポリウレタンゲル組成物を含有する化粧料アイテムとして、化粧水、乳液、美容液、パック、オールインワンジェル、クリーム、ボディミルク、オイルクレンジング、クレンジングクリーム、日焼け止め等の基礎化粧料、スタイリングウォーター、ヘアワックス等の頭髪用化粧料、マスカラ、リップグロス、口紅、アイシャドウ、アイライナー、ファンデーション、フェイスカラー、コンシーラー、化粧下地等のメイクアップ化粧料等が例示される。
【0059】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
以下の製造実施例1~5はいずれも組成物2に関するものであるが、末端水酸基水素化ポリブタジエンを、末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンに置き換えることによって、組成物1を用いた場合も同様にしてポリウレタンゲルを製造することができる。
具体的には以下のようになる。即ち、組成物2におけるポリウレタンは、(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物と(b)HO-R3-OH(式中R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタンである。これに対して、組成物1におけるポリウレタンは、組成物2の(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンを、(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンに置き換えて、(a)水添ポリブタジエンと(b)HO-R3-OH(式中、R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタンである。この場合、(a)と(b)のモル比を(c)と(b)のモル比と同じにすることによって、同様のポリウレタンを製造することができる。
【実施例】
【0060】
[製造実施例1]
3Lの三口フラスコに末端水酸基水素化ポリブタジエン899部(分子量2200)と、2-エチルヘキサン酸セチル2450部、ヘキサメチレンジイソシアネート128部を仕込み、均一に混合した。
60℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート0.9部を投入し、3時間攪拌後、エチレングリコールを24部投入した。
投入終了後、80℃で5時間攪拌後、エタノールを18部添加して反応を完結させた。
得られたポリウレタンゲル中のポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて10000であった。また、得られたゲル30部を、流動パラフィン70部と、85℃にて加熱溶解、30℃に冷却したゲルの荷重値は、荷重測定機(FUDOH社製)による、2cmφ球状アダプター、2cm/min、10mm針入の条件の場合、2.50Nであった。
【0061】
[製造実施例2]
3Lの三口フラスコに末端水酸基水素化ポリブタジエン899部(分子量2200)と、2-エチルヘキサン酸セチル2450部、ヘキサメチレンジイソシアネート128部を仕込み、均一に混合した。
60℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート0.9部を投入し、3時間攪拌後、エチレングリコールを24部投入した。
投入終了後、80℃で10時間攪拌後、エタノールを18部添加して反応を完結させた。
得られたポリウレタンゲル中のポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて50000であった。また、得られたゲル30部を、流動パラフィン70部と、85℃にて加熱溶解、30℃に冷却したゲルの荷重値は、荷重測定機(FUDOH社製)による、2cmφ球状アダプター、2cm/min、10mm針入の条件の場合、5.00Nであった。
【0062】
[製造実施例3]
3Lの三口フラスコに末端水酸基水素化ポリブタジエン899部(分子量2200)と、2-エチルヘキサン酸セチル2450部、ヘキサメチレンジイソシアネート128部を仕込み、均一に混合した。
60℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート0.9部を投入し、3時間攪拌後、2-エチルヘキサン酸セチルで希釈しながら、エチレングリコールを24部投入した。
投入終了後、80℃で15時間攪拌後、エタノールを18部添加して反応を完結させた。
得られたポリウレタンゲル中のポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて100000であった。また、得られたゲル30部を、流動パラフィン70部と、85℃にて加熱溶解、30℃に冷却したゲルの荷重値は、荷重測定機(FUDOH社製)による、2cmφ球状アダプター、2cm/min、10mm針入の条件の場合、7.50Nであった。
【0063】
[製造実施例4]
3Lの三口フラスコに末端水酸基水素化ポリブタジエン899部(分子量2200)、エチレングリコール24部、ジブチル錫ジラウレート0.9部、2-エチルヘキサン酸セチル2450部を仕込み、均一に混合した。
60℃に制御しながらヘキサエチレンジイソシアネート128部を投入し、投入終了後80℃で10時間攪拌し、その後、エタノールを18部添加して反応を完結させた。
得られたポリウレタンゲル中のポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて50000であった。また、得られたゲル30部を、流動パラフィン70部と、85℃にて加熱溶解、30℃に冷却したゲルの荷重値は、荷重測定機(FUDOH社製)による、2cmφ球状アダプター、2cm/min、10mm針入の条件の場合、3.00Nであった。
【0064】
[製造実施例5]
3Lの三口フラスコに末端水酸基水素化ポリブタジエン899部(分子量2200)、エチレングリコール24部、ジブチル錫ジラウレート0.9部、2-エチルヘキサン酸セチル2450部を仕込み、均一に混合した。
60℃に制御しながら、ヘキサエチレンジイソシアネート128部を投入し、投入終了後80℃で15時間攪拌し、その後、エタノールを18部添加して反応を完結させた。
得られたポリウレタンゲル中のポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて100000であった。また、得られたゲル30部を、流動パラフィン70部と、85℃にて加熱溶解、30℃に冷却したゲルの荷重値は、荷重測定機(FUDOH社製)による、2cmφ球状アダプター、2cm/min、10mm針入の条件の場合、4.50Nであった。
【0065】
[製造比較例1]
架橋型シリコーンゲル(KSG-43 信越化学工業社製)100部を用いる。
【0066】
[製造比較例2]
デキストリン脂肪酸エステル(レオパールISK 千葉製粉社製)35部と、2-エチルヘキサン酸セチル65部を、90℃にて加熱、冷却し、多糖類ゲルを調製した。
【0067】
[製造比較例3]
結晶性ポリエチレンワックス(PERFORMALENE655 ニューフェーズテクノロジー社製)35部と、2-エチルヘキサン酸セチル65部を、90℃にて加熱、冷却し、ワックスオイルゲルを調製した。
【0068】
[試験例1]
[ゲルの評価]
前記製法により得られたポリウレタンゲルの中から、製造実施例2のポリウレタンゲルに対して、化粧品に汎用される各種油剤に対するゲル荷重値、並びにゲルの透明性に関して評価した。その結果を表1に示す。また、種々の評価方法は、以下となる。
【0069】
【0070】
[荷重値の測定及び評価]
製造実施例2のポリウレタンゲルと、表1に記載の各種油剤を85℃にて加熱溶解、30℃に冷却し、弾力性のあるゲルを調製した。ゲルの荷重値に関しては、荷重測定機(FUDOH社製)を用いて、2cmφ球状アダプター)、2cm/min、10mm針入の条件にて測定した。実施例1~4の結果、分子中の水酸基数が少ない油剤ほど、荷重値が高い傾向にあることを確認した。これは、ポリウレタンゲルの親水基会合性増粘機構における、親水基部分に、油剤中の水酸基が影響を与え、増粘低下をもたらしたと考えられる。
【0071】
[透明性の測定及び評価]
表1に記載の各種ゲルに対する透明性は、透過度測定機(島津製作所社製)を用いて、700nmにおける透過率を測定した。その結果、実施例1~6全てのゲルにおいて、90%以上と、良好な透明性(A)を示した。
【0072】
[自己復元力の測定及び評価]
製造実施例2のポリウレタンゲル、及び製造比較例2のデキストリン脂肪酸エステルゲルを用いて、自己復元力の評価を実施した。測定サンプルは、各々、純分が10.5質量%になる様に2-エチルヘキサン酸セチルで希釈し、85℃にて加熱後、ジャー容器に流し込み、30℃に冷却することで弾力性のあるゲルを調製した。調製したサンプルに対し、テクスチュアアナライザー(英栄精機社製)を用いて、2cmφ球状アダプターにて5gの荷重をかけた時点から、1mm/minの速度、5mm針入する条件にて、7回、同じ動作を繰り返すことで、荷重によりゲル構造が破壊されず、復元力があるか確認した。測定の模式図を
図1に示す。その結果(
図2)、製造比較例2のデキストリン脂肪酸エステルゲルは、繰り返しの荷重で、ゲル構造が破壊し、同じ曲線にならないのに対し、製造実施例2のポリウレタンゲルは、繰り返しの荷重でゲルが崩壊することなく、同じ曲線を辿ることから、ゲルの復元性が高いことが分かった。また、荷重値自体の値も、製造比較例2のデキストリン脂肪酸エステルゲルと比較して高いことから、弾力性に優れることが分かった。
【0073】
前記検討により、本発明のポリウレタンゲル組成物は、透明性、高い弾力性に優れ、また、自己復元力に優れる新規性の高いゲルであることが分かった。
【0074】
[試験例2]
[ゲルの評価]
末端水酸基水素化ポリブタジエン、ヘキサメチレンジイソシアネート、2-エチルヘキサン酸セチル及びエチレングリコールの各成分の混合比率を変更した以外は、製造実施例2と同様にして、表2に示す通り、製造実施例6~16のポリウレタンゲルを製造した。これらのポリウレタンゲルの荷重値、並びに透明性に関して評価した。その結果を表2に示す。なお、参考のために、製造実施例2のポリウレタンゲルのデータも表2に記載した。評価方法は以下に記載する。
【0075】
【表2】
(注)表2における(c)/(b)のモル比率は、(b)及び(c)の分子量を各々下記の値で算出した。
(b)エチレングリコール:分子量(Mw)=62とし、当該分子量を1モルとして算出
(c)末端水酸基水素化ポリブタジエン:分子量(Mw)=2200とし、当該分子量を1モルとして算出
【0076】
[荷重値の測定及び評価]
表2に記載の各製造実施例のポリウレタンゲル30部を、流動パラフィン70部と、85℃にて加熱溶解し、30℃に冷却したゲルの荷重値は、荷重測定機(FUDOH社製)を用いて、2cmφ球状アダプター、2cm/min、10mm針入の条件にて測定した。評価は以下の基準に基づき行った。
A:4.50N以上
B:2.50N以上4.50N未満
C:0.50N以上2.50N未満
D:0.50N未満
【0077】
[透明性の測定及び評価]
表2に記載のポリウレタンゲルに対する透明性は、透過度測定機(島津製作所社製)を用いて、700nmにおける透過率を測定した。評価は以下の基準に基づき行った。
A:90%以上
B:85%以上90%未満
C:80%以上85%未満
D:80%未満
【0078】
表2から、製造実施例2、6~16で得られたポリウレタンゲルに関して、以下のことが言える。
(c):(b)のモル比((c)/(b)のモル比率)は、2:3~3:2(0.66~1.5)がより好ましい。
A(ポリウレタン)の含有量(質量%)は、1~35質量%で、B(2-エチルヘキサン酸セチル(油剤))の含有量(質量%)は65~99質量%を満たす場合がより好ましい。
【0079】
[油性ボディオイルの実施例1~7及び比較例1~5]
表3に示す組成の油性ボディオイルを下記の製造方法により調製し、各試料を、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」について下記評価方法にて評価し、その結果も併せて表3に示した。
【0080】
【0081】
[製造方法]
(1)成分1~16をデスパーにて均一に混合する。
(2)(1)に成分17を添加、脱泡、容器に充填し、油性型ボディオイルを得た。
【0082】
[評価]
実施例1~7、及び比較例1~5の油性型ボディオイルに対して、化粧品評価専門パネル20名に、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を用いて、以下の判定基準に従って判定した。
[評価基準]
(評価結果) :(評点)
非常に良好 : 6点
良好 : 5点
やや良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
非常に不良 : 0点
[判定基準]
(評点の平均点) :(判定)
5.0以上 : A
3.5以上~5.0未満 : B
1.5以上~3.5未満 : C
1.5未満 : D
【0083】
実施例1~7の油性型ボディオイルは、伸び広がりの良さ、ハリ感、ツヤ感、べたつきのなさ、化粧持続効果に優れた油性型ボディオイルであった。実施例1~7の油性型ボディオイルと比較して、比較例1~5の油性型ボディオイルは各々以下の点で劣っていることが確認された。比較例1の油性型ボディオイルは、架橋型シリコーンゲルの弾力性と透明性が低いため、特にハリ感、ツヤ感に劣り、また、比較例2の油性型ボディオイルは、デキストリン脂肪酸エステルの多糖類ゲルの透明性は比較的高いものの、糖類特有のべたつき感があり、また、弾力性が低いため、伸び広がりが悪く、ハリ感、べたつきのなさに劣る。更に、比較例3の油性型ボディオイルは、ワックスオイルゲルの透明感、弾力感に劣り固いため、伸び広がりが悪く、ツヤ感も劣るものであった。本発明のポリウレタンゲルの代わりに、ポリウレタン粉末と多糖類ゲルを用いた比較例4の油性型ボディオイルは、伸び広がりとべたつきの点で不十分であり、ハリ感、ツヤ感及び化粧持続効果の点で劣るものであった。なお、本発明のポリウレタンゲルの代わりに、ポリウレタン粉末を用いた比較例5は、ポリウレタン粉末が沈降してしまい、評価を行うことが困難であった。
【0084】
実施例8:乳化型化粧水
(成分) (質量%)
1.セチルアルコール 0.2
2.製造実施例1のポリウレタンゲル 0.2
3.リン脂質・フィトステロール混合物(15:85)(注8) 0.5
4.ポリオキシエチレン(40モル)硬化ヒマシ油 0.1
5.酢酸トコフェロール 0.5
6.ステアリン酸トリエタノールアミン 0.5
7.精製水 残量
8.エタノール 10.0
9.香料 0.1
(注8):日本精化株式会社製
【0085】
(製法)
(1)成分1~6を75℃に加熱し、均一に混合溶解する。
(2)成分7、8を75℃に加熱し、均一に混合溶解する。
(3)(1)に(2)を添加し、乳化する。
(4)(3)を冷却し、成分9を添加し、乳化型化粧水を得た。
【0086】
実施例8の乳化型化粧水は、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れた乳化型化粧水であった。
【0087】
実施例9 乳液
(成分) (質量%)
1.ステアリン酸 0.5
2.モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO)1.0
3.テトラオレイン酸ポリオキシプロピレンソルビトール
(40EO) 1.0
4.ベヘニルアルコール 1.5
5.流動パラフィン 2.0
6.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
7.製造実施例2のポリウレタンゲル 2.0
8.アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.1
9.キサンタンガム 0.1
10.水酸化ナトリウム 0.05
11.1,3-ブチレングリコール 8.0
12.防腐剤 適量
13.香料 0.1
14.精製水 残量
【0088】
(製法)
(1)成分1~7を80℃にて均一に混合する。
(2)成分8~14を80℃にて均一に混合する。
(3)(1)に(2)を添加し、乳化する。
(4)(3)を攪拌しながら冷却し、乳液を得た。
【0089】
実施例9の乳液は、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れた乳液であった。
【0090】
実施例10 O/W型クリーム
(成分) (質量%)
1.ペンタオレイン酸デカグリセリル 2.5
2.ベヘニルアルコール 1.5
3.ワセリン 3.0
4.重質流動イソパラフィン 1.0
5.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
6.製造実施例3のポリウレタンゲル 4.0
7.精製水 残量
8.グリセリン 7.0
9.アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.2
10.水酸化ナトリウム 0.09
11.防腐剤 適量
12.香料 0.1
【0091】
(製法)
(1)成分1~6を80℃にて均一に混合する。
(2)成分7~12を80℃にて均一に混合する。
(3)(1)に(2)を添加し、乳化する。
(4)(3)を攪拌しながら冷却し、クリームを得た。
【0092】
実施例10のO/W型クリームは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたO/W型クリームであった。
【0093】
実施例11 W/O型クリーム
(成分) (質量%)
1.マイクロクリスタリンワックス 1.5
2.ミツロウ 1.5
3.セチルアルコール 3.0
4.製造実施例4のポリウレタンゲル 3.0
5.水素添加大豆リン脂質 1.0
6.スクワラン 35.0
7.ソルビタンセスキオレイン酸エステル 3.0
8.プロピレングリコール 10.0
9.防腐剤 適量
10.香料 0.1
11.精製水 残量
【0094】
(製法)
(1)成分1~7を75℃に加熱し、均一に混合溶解する。
(2)成分8、11を75℃に加熱し、均一に混合溶解する。
(3)(1)に(2)を添加し、乳化する。
(4)(3)を冷却し、成分9、10を添加し、W/O型クリームを得た。
【0095】
実施例11のW/O型クリームは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたW/O型クリームであった。
【0096】
実施例12 オイルクレンジング
(成分) (質量%)
1.テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 8.0
2.ジイソステアリン酸ポリグリセリル 0.5
3.流動パラフィン 残量
4.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 25.0
5.製造実施例5のポリウレタンゲル 1.0
6.防腐剤 適量
7.香料 0.1
【0097】
(製法)
(1)成分1~7を常温にて均一に混合し、オイルクレンジングを得た。
【0098】
実施例12のオイルクレンジングは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたオイルクレンジングであった。
【0099】
実施例13 クレンジングクリーム
(成分) (質量%)
1.ステアリン酸 3.0
2.セタノール 2.0
3.テトラオレイン酸ポリオキシプロピレンソルビトール
(40EO) 1.0
4.モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO)1.0
5.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 20.0
6.流動パラフィン 20.0
7.製造実施例1のポリウレタンゲル 2.0
8.アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.1
9.1,3-ブチレングリコール 7.0
10.水酸化ナトリウム 0.05
11.精製水 残量
12.防腐剤 適量
13.香料 0.1
【0100】
(製法)
(1)成分1~7を80℃にて均一に混合する。
(2)成分8~13を80℃にて均一に混合する。
(3)(2)に(1)を添加し、乳化する。
(4)(3)を攪拌しながら冷却し、クレンジングクリームを得た。
【0101】
実施例13のクレンジングクリームは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたクレンジングクリームであった。
【0102】
実施例14 スタイリングウォーター
(成分) (質量%)
1.エタノール 15.0
2.塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.2
3.イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2
4.製造実施例2のポリウレタンゲル 0.1
5.精製水 残量
6.ヒドロキシプロピルセルロース 0.01
7.高重合メチルポリシロキサンエマルション(注9) 2.0
8.防腐剤 適量
9.香料 0.1
(注9)BY11-007(東レ・ダウコーニング社製)
【0103】
(製法)
(1)成分1~9を常温にて均一に混合し、スタイリングウォーターを得た。
【0104】
実施例14のスタイリングウォーターは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたスタイリングウォーターであった。
【0105】
実施例15 ヘアワックス
(成分) (質量%)
1.精製水 残量
2.プロピレングリコール 10.0
3.モノステアリン酸ポリエチレングリコール 3.0
4.ワセリン 10.0
5.パラフィンワックス 3.0
6.セトステアリルアルコール 3.0
7.ベヘニルアルコール 3.0
8.製造実施例3のポリウレタンゲル 2.0
9.エタノール 5.0
10.精製水 15.0
11.ビニルピロリドン 1.0
12.アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.15
13.水酸化ナトリウム 0.05
14.防腐剤 適量
15.香料 0.1
【0106】
(製法)
(1)成分1~3を80℃にて均一に混合する。
(2)成分4~8を80℃にて均一に混合する。
(3)(1)に(2)を添加し、乳化する。
(4)(3)に成分9~15を添加後、攪拌しながら冷却し、ヘアワックスを得た。
【0107】
実施例15のヘアワックスは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたヘアワックスであった。
【0108】
実施例16 O/W型マスカラ
(成分) (質量%)
1.ステアリン酸 2.0
2.ミツロウ 10.0
3.セトステアリルアルコール 1.0
4.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 1.5
5.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
6.製造実施例4のポリウレタンゲル 3.0
7.黒酸化鉄 5.0
8.無水ケイ酸 3.0
9.精製水 残量
10.1,3-ブチレングリコール 10.0
11.トリエタノールアミン 1.5
12.アクリル酸アルキル共重合体エマルション(注10) 30.0
13.防腐剤 適量
14.香料 0.1
(注10)ヨドゾール32A707(45質量%固形分)(日本NSC社製)
【0109】
(製法)
(1)成分1~3を80℃にて均一に混合する。
(2)成分4~8をローラーにて処理する。
(3)成分9~14を80℃にて均一に混合する。
(4)(1)、(2)を混合後、(3)を添加し、乳化する。
(5)(4)を冷却し、O/W型マスカラを得た。
【0110】
実施例16のO/W型マスカラは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたO/W型マスカラであった。
【0111】
実施例17 ペースト状リップグロス
(成分) (質量%)
1.製造実施例5のポリウレタンゲル 2.0
2.リンゴ酸ジイソステアリル 10.0
3.乳酸ステアリル 10.0
4.水添ポリイソブテン 30.0
5.トリエチルヘキサノイン 残量
6.流動パラフィン 5.0
7.マイクロクリスタリンワックス 2.0
8.12-ヒドロキシステアリン酸 0.1
9.αオレフィン・ビニルピロリドン共重合体(注11) 0.5
10.無水ケイ酸(注12) 3.5
11.ベンガラ 0.1
12.赤色201号 0.3
13.黒酸化鉄 0.05
14.酸化チタン 0.2
15.大豆リン脂質 0.01
16.p-メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル 3.0
17.防腐剤 適量
18.香料 0.1
(注11)ANTARON V-220(ISP社製)
(注12)AEROSIL 200 (日本アエロジル社製)
【0112】
(製法)
(1)成分1~9を100℃で溶解混合する。
(2)(1)に成分10~18を加え、均一に混合分散する。
(3)(2)をチューブに流し込み、冷却してペースト状リップグロスを得た。
【0113】
実施例17のペースト状リップグロスは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたペースト状リップグロスであった。
【0114】
実施例18 スティック状口紅
(成分) (質量%)
1.ポリエチレンワックス 10.0
2.カルナウバワックス 5.0
3.パラフィンワックス 2.0
4.2-エチルへキサン酸セチル 残量
5.製造実施例1のポリウレタンゲル 2.0
6.流動パラフィン 10.0
7.イソノナン酸イソトリデシル 10.0
8.赤202号 0.5
9.黄色4号 2.0
10.酸化チタン 0.5
11.黒酸化鉄 0.1
12.α-トコフェロール 0.5
13.香料 0.1
【0115】
(製法)
(1)成分1~7を100℃で均一に溶解混合する。
(2)(1)に成分8~13を添加し均一に混合する。
(3)(2)を容器に流し込み、冷却してスティック状口紅を得た。
【0116】
実施例18のスティック状口紅は、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたスティック状口紅であった。
【0117】
実施例19 油性アイシャドウ
(成分) (質量%)
1.デキストリン脂肪酸エステル(注13) 2.0
2.製造実施例2のポリウレタンゲル 1.0
3.リンゴ酸ジイソステアリル 2.5
4.2-エチルヘキサン酸セチル 13.0
5.ラウリン酸デキストリン 2.0
6.ミリスチン酸デキストリン 5.0
7.ベヘニン酸デキストリン 5.0
8.流動パラフィン 残量
9.水添ポリイソブテン 1.5
10.無水ケイ酸 6.0
11.ナイロン末 5.0
12.シリコーン処理タルク(注14) 5.5
13.赤色202号 0.05
14.黄色4号アルミニウムレーキ 0.05
15.青色1号アルミニウムレーキ 0.05
16.雲母チタン 1.5
17.防腐剤 適量
18.香料 0.1
(注13)レオパールTT(千葉製粉社製)
(注14)ジメチルポリシロキサン 5質量%処理
【0118】
(製法)
(1)成分1~9を100℃で溶解混合する。
(2)(1)に成分10~18を加え、均一に混合分散する。
(3)(2)を容器に流し込み、冷却固化して油性アイカラーを得た。
【0119】
実施例19の油性アイシャドウは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れた油性アイシャドウであった。
【0120】
実施例20 固形粉末状ファンデーション
(成分) (質量%)
1.ジメチルポリシロキサン処理タルク 30.0
2.ジメチルポリシロキサン処理マイカ 15.0
3.ジメチルポリシロキサン処理酸化チタン 15.0
4.ジメチルポリシロキサン処理セリサイト 残量
5.合成金雲母 5.0
6.黄酸化鉄 2.0
7.ベンガラ 0.5
8.黒酸化鉄 0.2
9.防腐剤 適量
10.製造実施例3のポリウレタンゲル 1.0
11.流動パラフィン 3.0
12.ジメチルポリシロキサン 1.0
13.2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
14.香料 0.1
【0121】
(製法)
(1)成分1~9をヘンシェルミキサー(三井三池社製)75℃で均一に分散する。
(2)成分10~13を均一に混合溶解する。
(3)(1)をヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、(2)及び14を添加し、均一分散する。
(4)(3)をパルベライザーにて粉砕する。
(5)(4)を金皿に充填し、圧縮成型し、固形粉末状のファンデーションを得た。
【0122】
実施例20の固形粉末状ファンデーションは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れた固形粉末状ファンデーションであった。
【0123】
実施例21 固形粉末状アイシャドウ
(成分) (質量%)
1.ジメチルポリシロキサン処理合成金マイカ 10.0
2.ジメチルポリシロキサン処理タルク 残量
3.酸化チタン被覆雲母 30.0
4.窒化ホウ素 5.0
5.ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末 5.0
6.群青 2.0
7.赤202号 0.5
8.ポリアクリル酸アルキル 1.0
9.防腐剤 適量
10.製造実施例4のポリウレタンゲル 1.0
11.流動パラフィン 3.0
12.ジメチルポリシロキサン 2.0
13.2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
14.香料 0.1
【0124】
(製法)
(1)成分1~9をヘンシェルミキサー(三井三池社製)75℃で均一に分散する。
(2)成分10~13を均一に混合溶解する。
(3)(1)をヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、(2)及び14を添加し、均一分散する。
(4)(3)をパルベライザーにて粉砕する。
(5)(4)を金皿に充填し、圧縮成型し、固形粉末状のアイシャドウを得た。
【0125】
実施例21の固形粉末状アイシャドウは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れた固形粉末状アイシャドウであった。
【0126】
実施例22 固形粉末状フェイスカラー
(成分) (質量%)
1.雲母 20.0
2.タルク 残量
3.酸化チタン被覆雲母 10.0
4.群青 0.5
5.赤226号 0.2
6.ポリアクリル酸アルキル 1.0
7.防腐剤 適量
8.製造実施例5のポリウレタンゲル 1.0
9.流動パラフィン 2.0
10.ジメチルポリシロキサン 1.0
11.2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
12.香料 0.1
【0127】
(製法)
(1)成分1~7をヘンシェルミキサー(三井三池社製)75℃で均一に分散する。
(2)成分8~11を65℃に加熱し、均一に混合溶解する。
(3)(1)をヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、(2)及び12を添加し、均一分散する。
(4)(3)をパルベライザーにて粉砕する。
(5)(4)を金皿に充填し、圧縮成型し、固形粉末状のフェイスカラーを得た。
【0128】
実施例22の固形粉末状フェイスカラーは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れた固形粉末状フェイスカラーであった。
【0129】
実施例23 スティック状コンシーラー
(成分) (質量%)
1.パラフィンワックス 5.0
2.ポリエチレンワックス 5.0
3.キャンデリラロウ 2.0
4.製造実施例1のポリウレタンゲル 2.0
5.トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル 15.0
6.メチルフェニルポリシロキサン 5.0
7.酢酸液状ラノリン 10.0
8.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 5.0
9.酸化チタン 20.0
10.黄酸化鉄 2.0
11.ベンガラ 0.5
12.黒酸化鉄 0.2
13.マイカ 7.0
14.防腐剤 適量
【0130】
(製法)
(1)成分1~8を100℃にて混合溶解する。
(2)(1)に成分9~14を90℃にて均一に混合する。
(3)(2)を3本ローラーにて処理する。
(4)(3)を脱泡し、85℃にてカプセルに溶解充填後、4℃にて冷却して、スティック状コンシーラーを得た。
【0131】
実施例23のスティック状コンシーラーは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたスティック状コンシーラーであった。
【0132】
実施例24 W/O型日焼け止め料
(成分) (質量%)
1.酸化亜鉛 2.0
2.シリコーン被覆微粒子酸化チタン 5.0
3.トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 5.0
4.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
5.パルミチン酸オクチル 3.0
6.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 10.0
7.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
8.メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン
・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)
メチルポリシロキサン共重合体(注15) 1.8
9.製造実施例2のポリウレタンゲル 1.0
10.防腐剤 適量
11.塩化ナトリウム 0.3
12.精製水 残量
13.ジプロピレングリコール 5.0
14.エタノール 5.0
15.香料 0.1
(注15)ABIL EM-90(EVONIC GOLDSCHMIDT GMBH社製)
【0133】
(製法)
(1)成分3、4を加温溶解した後、成分1、2を添加しローラーにて均一に分散する。
(2)成分5~10を70℃で溶解させた後、60℃で(1)を添加し均一に混合溶解する。
(3)成分11~13を混合溶解させた後、60℃で(2)へ添加し乳化する。
(4)(3)に成分14、15を添加し均一に混合し、W/O型日焼け止め料を得た。
【0134】
実施例24のW/O型日焼け止め料は、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたW/O型日焼け止め料であった。
【0135】
実施例25 W/O型ファンデーション
(成分) (質量%)
1.ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイル
メチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(注16) 2.0
2.PEG-3ジメチコン(注17) 1.0
3.シクロペンタシロキサン 20.0
4.シリコーン処理赤酸化鉄 1.0
5.シリコーン処理黄酸化鉄 1.5
6.シリコーン処理黒酸化鉄 0.5
7.シリコーン処理酸化チタン 10.0
8.シリコーン処理タルク 5.0
9.トリ2-エチルへキサン酸グリセリル 5.0
10.製造実施例3のポリウレタンゲル 1.0
11.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
12.精製水 残量
13.1,3-ブチレングリコール 15.0
14.塩化ナトリウム 0.5
15.防腐剤 適量
16.香料 0.1
【0136】
(注16)KF-6026(信越化学工業社製)
(注17)KF-6015(信越化学工業社製)
【0137】
(製法)
(1)成分1~3を均一に混合する。
(2)成分4~11をローラーにて均一に分散する。
(3)(1)に(2)を添加し、均一混合する。
(4)(3)に成分12~16を添加、乳化し、W/O型ファンデーションを得た。
【0138】
実施例25のW/O型ファンデーションは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたW/O型ファンデーションであった。
【0139】
実施例26 O/W型ファンデーション
(成分) (質量%)
1.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.5
2.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
3.1,3-ブチレングリコール 10.0
4.シリコーン処理酸化チタン 10.0
5.シリコーン処理ベンガラ 0.4
6.シリコーン処理黄酸化鉄 2.0
7.シリコーン処理黒酸化鉄 0.1
8.シリコーン処理タルク 5.0
9.カルボキシビニルポリマー 0.3
10.トリエタノールアミン 1.0
11.精製水 残量
12.エタノール 2.0
13.ステアリン酸 1.0
14.ベヘニルアルコール 0.5
15.流動パラフィン 5.0
16.製造実施例4のポリウレタンゲル 1.0
17.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
18.パラメトキシケイ皮酸2-エチルへキシル 2.0
19.ワセリン 0.5
20.防腐剤 適量
21.香料 0.1
【0140】
(製法)
(1)成分1~8をローラーにて均一に分散する。
(2)成分9~12を均一に混合する。
(3)(2)に(1)を添加し、均一に混合する。
(4)成分13~20を80℃にて混合溶解する。
(5)(3)に(4)を80℃にて添加し、乳化する。
(6)(5)を冷却し、成分21を添加し、O/W型ファンデーションを得た。
【0141】
実施例26のO/W型ファンデーションは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたO/W型ファンデーションであった。
【0142】
実施例27 油性固形ファンデーション
(成分) (質量%)
1.タルク 15.0
2.マイカ 10.0
3.シリコーン処理酸化チタン 15.0
4.シリコーン処理ベンガラ 1.0
5.シリコーン処理黄酸化鉄 3.0
6.シリコーン処理黒酸化鉄 0.2
7.ポリエチレンワックス 7.0
8.マイクロクリスタリンワックス 6.0
9.トリ2-エチルへキサン酸グリセリル 残量
10.製造実施例5のポリウレタンゲル 3.0
11.ジメチルポリシロキサン 5.0
12.流動パラフィン 20.0
13.ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイル
メチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(注16) 2.0
14.防腐剤 適量
15.香料 0.1
(注16)KF-6026(信越化学工業社製)
【0143】
(製法)
(1)成分7~14を90℃にて加熱溶解する。
(2)(1)に成分1~6を添加し、ローラーにて均一に分散する。
(3)(2)に成分15を添加し、80℃にて溶解後、金皿に充填し、油性固形ファンデーションを得た。
【0144】
実施例27の油性固形ファンデーションは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れた油性固形ファンデーションであった。
【0145】
実施例28 化粧下地
(成分) (質量%)
1.セトステアリルアルコール 2.0
2.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 5.0
3.製造実施例1のポリウレタンゲル 2.0
4.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
5.精製水 残量
6.N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム 0.5
7.カルボキシビニルポリマー 0.1
8.アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.1
9.水酸化ナトリウム 0.05
10.エタノール 10.0
11.1,3-ブチレングリコール 10.0
12.防腐剤 適量
13.香料 0.1
【0146】
(製法)
(1)成分1~4を80℃にて均一に溶解する。
(2)成分5~13を80℃にて均一に溶解する。
(3)(2)に(1)を添加し、乳化する。
(4)(3)に成分14を添加、冷却し、化粧下地を得た。
【0147】
実施例28の化粧下地は、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れた化粧下地であった。
【0148】
実施例29 ボディミルク
(成分) (質量%)
1.ステアリン酸 1.0
2.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.5
3.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
4.ベヘニルアルコール 0.5
5.2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
6.流動パラフィン 2.0
7.製造実施例2のポリウレタンゲル 2.0
8.エタノール 10.0
9.ジプロピレングリコール 10.0
10.トリエタノールアミン 1.0
11.精製水 残量
12.グリセリン 5.0
13.1,3-ブチレングリコール 5.0
14.アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.2
15.防腐剤 適量
16.香料 0.1
【0149】
(製法)
(1)成分1~7を80℃にて均一に溶解する。
(2)成分8~16を80℃にて均一に溶解する。
(3)(2)に(1)を添加し、乳化する。
(4)(3)を攪拌冷却し、ボディミルクを得た。
【0150】
実施例29のボディミルクは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたボディミルクであった。
【0151】
実施例30 リムーバー
(成分) (質量%)
1.1,3-ブチレングリコール 15.0
2.アクリル酸アルキル共重合体エマルション(注18) 2.5
3.L-アルギニン 0.5
4.精製水 残量
5.軽質流動イソパラフィン 3.0
6.製造実施例3のポリウレタンゲル 0.5
7.防腐剤 適量
8.香料 0.1
(注18)ヨドゾール32A707(45質量%固形分)(日本NSC社製)
【0152】
(製法)
(1)成分1~4を均一に混合する。
(2)(1)に成分5~8を60℃で添加し、乳化する。
(3)(2)を攪拌しながら冷却し、リムーバーを得た。
【0153】
実施例30のリムーバーは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れたリムーバーであった。
【0154】
実施例31 非水系マスカラ
(成分) (質量%)
1.ロジン酸ペンタエリトリット 10.0
2.キャンデリラ樹脂 3.0
3.ミツロウ 2.0
4.セレシンワックス 2.0
5.パルミチン酸デキストリン 2.0
6.トリメチルシロキシケイ酸 3.0
7.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 5.0
8.プロピオンカーボネート 1.0
9.軽質流動イソパラフィン 残量
10.製造実施例4のポリウレタンゲル 2.0
11.黒酸化鉄 5.0
12.シリカ 3.0
13.タルク 5.0
【0155】
(製法)
(1)成分1~5を110℃に加温する。
(2)(1)に成分6~10を添加混合する。
(3)(2)に成分11~13を添加混合する。
(4)(3)をローラーにて処理し、非水系マスカラを得た。
【0156】
実施例31の非水系マスカラは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れた非水系マスカラであった。
【0157】
実施例32 油性アイライナー
(成分) (質量%)
1.セレシンワックス 11.0
2.ポリイソブチレン 16.0
3.ポリエチレンワックス 8.0
4.軽質流動イソパラフィン 残量
5.製造実施例5のポリウレタンゲル 2.0
6.シリコーン処理黒酸化鉄 15.0
7.シリコーン処理タルク 5.0
8.防腐剤 適量
9.香料 0.1
【0158】
(製法)
(1)成分1~5を100℃に加温し、均一混合する。
(2)成分6~9を80℃に加温し、均一混合する。
(3)(1)に(2)を添加し、均一に混合する。
(4)(3)をローラーにて処理し、油性アイライナーを得た。
【0159】
実施例32の油性アイライナーは、「伸び広がりの良さ」、「ハリ感」、「ツヤ感」、「べたつきのなさ」、「化粧持続効果」に優れた油性アイライナーであった。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明のポリウレタンゲル組成物は、透明性、ツヤの高さ、及び弾力性、復元力のいずれの点でも極めて優れている油溶性ゲルの膜を提供することができるため、特に化粧料の技術分野において極めて有用な発明である。