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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】入浴剤キット
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20220509BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220509BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20220509BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20220509BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220509BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220509BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220509BHJP
   A63H 23/08 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/02
A61K8/365
A61K8/60
A61K8/73
A61K8/86
A61Q19/10
A63H23/08 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018000786
(22)【出願日】2018-01-05
(65)【公開番号】P2019119708
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】599064214
【氏名又は名称】株式会社セガトイズ
(73)【特許権者】
【識別番号】502087116
【氏名又は名称】株式会社ツツミプランニング
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】川口 秀明
(72)【発明者】
【氏名】土屋 貴由
(72)【発明者】
【氏名】若山 博代
(72)【発明者】
【氏名】堤 巌
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 文人
(72)【発明者】
【氏名】平野 幸子
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-089333(JP,A)
【文献】登録実用新案第3162195(JP,U)
【文献】登録実用新案第3213089(JP,U)
【文献】バスボムカップケーキ 作り方, [online],2016年02月26日,[検索日 2021年10月5日], インターネット<URL:https://maroonsweets.blog.fc2.com/blog-entry-453.html>
【文献】DIY Bath Bomb CupCake バスボムカップケーキ作り方-YouTube, [online],2016年02月23日,[検索日 2021年10月5日], インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=ezH7LLn2cc8>
【文献】ブーム再来?プロにも負けないボディーのご馳走バスボム作り, [online],2015年08月18日,[検索日 2021年10月5日], インターネット<URL:https://www.1999.co.jp/erumaer/m877.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A63H 1/00-37/00
A45D 33/00-40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムから選択される一種以上の粉状の炭酸塩を主成分とする炭酸塩組成物を後記発泡造形体の混合成形に必要な使用量だけ予め分取し収納した炭酸塩袋体と、
クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸から選択される一種以上の粉状の酸物質を主成分とする酸物質組成物を後記発泡造形体の混合成形に必要な使用量だけ予め分取し収納した酸物質袋体と、
これらの袋体中の組成物を混合して所定の形状に成形するための造形容器と、
前記炭酸塩袋体から取出した粉状の炭酸塩組成物と前記酸物質袋体から取出した粉状の酸物質組成物とを前記造形容器中で混合成形した発泡造形体に積層塗布するための、カラギナン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、ペクチン、グアガム、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、アガーから選択した一種以上の高分子組成物と、界面活性剤と、65~99重量%を占める糖類とを含有してなる副造形剤組成物を収容した副造形剤袋体と、
前記炭酸塩組成物や酸物質組成物、副造形剤組成物等の組合せにより造形容器で造形した発泡造形体にトッピング自在とした浴湯に不溶で浮遊自在の付加装飾体と、
前記炭酸塩組成物と前記酸物質組成物との混合調製に際し必要な水の量と略同容量としたスプーン部を把持部の一端に備え、副造形剤組成物の調製に際し必要な水の量と略同容量としたスプーン部を把持部の他端に備えた計量スプーンと、
略半円形状の透孔が左右対称に形成された木の葉状の攪拌部を把持部の端部に備えた攪拌具と、の組合せよりなる子供による造形可能な入浴剤キット。
【請求項2】
前記造形容器で成形する発泡造形体の形状はケーキ菓子形状であり、ケーキ菓子のスポンジ部に相当する前記発泡造形体の部位は前記炭酸塩組成物と酸物質組成物との混合により形成して入浴剤とし、前記スポンジ部の上層に積層塗布されたクリーム部に相当する前記発泡造形体の部位は前記副造形剤組成物に含まれる高分子組成物及び/又は界面活性剤により粘稠状に成形することを特徴とする請求項に記載の入浴剤キット。
【請求項3】
前記クリーム部を成形するための絞り器を付加したことを特徴とする請求項に記載の入浴剤キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴剤を自作することのできる入浴剤キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温浴効果や清浄作用を高めるべく、湯船にはった浴湯中に投入して浴用に供する入浴剤が広く知られている。
【0003】
中でも、発泡入浴剤(炭酸ガス系入浴剤)は、炭酸塩と酸物質とが浴湯中で反応することにより二酸化炭素が発生し、浴湯中に溶解した二酸化炭素が入浴している者の皮膚を介して浸透するため、血管拡張作用が生起され高い温浴効果が得られることとなる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-066102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発泡入浴剤は浴湯中にて無数の細かな気泡が発生するため視覚的にも面白味があり、特に子供にとって興味をそそる対象となる場合が多く、科学への興味の入口として知育的側面からも有用性が期待される。
【0006】
しかしながら、市販されている発泡入浴剤は、専ら球状やブロック状、粒状のものであり、その外観に興味を引き付ける要素は未だ少ないのが現状である。
【0007】
勿論、炭酸塩や酸物質、賦形剤等の薬剤を購入し、所定の配合割合で混合した粉末を型枠に収容することで、所望の形状とした発泡入浴剤を自作することも可能ではあるが、各薬剤や型枠などを個々に購入する必要があり、煩雑である。
【0008】
また、知識を身に付けていくのがこれから先である子供は、そもそもどの薬剤を購入すべきかを知らない場合も多く、材料を揃える段階で面倒になって興味が削がれてしまうことも少なくない。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、子供が簡便に発泡入浴剤を作成できるのは勿論のこと、子供が造形を通じて自らの創作力を発揮することができ、更に製作後は入浴に使用することで発泡反応の視覚的な面白味により創作の楽しさをリンクさせつつ科学に対する興味のきっかけとし、しかも二酸化炭素に由来する温浴効果で温まることのできる入浴剤キットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、本発明の態様の一つとしては、(1)炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムから選択される一種以上の粉状の炭酸塩を主成分とする炭酸塩組成物を後記発泡造形体の混合成形に必要な使用量だけ予め分取し収納した炭酸塩袋体と、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸から選択される一種以上の粉状の酸物質を主成分とする酸物質組成物を後記発泡造形体の混合成形に必要な使用量だけ予め分取し収納した酸物質袋体と、これらの袋体中の組成物を混合して所定の形状に成形するための造形容器と、前記炭酸塩袋体から取出した粉状の炭酸塩組成物と前記酸物質袋体から取出した粉状の酸物質組成物とを前記造形容器中で混合成形した発泡造形体に積層塗布するための、カラギナン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、ペクチン、グアガム、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、アガーから選択した一種以上の高分子組成物と、界面活性剤と、65~99重量%を占める糖類とを含有してなる副造形剤組成物を収容した副造形剤袋体と、前記炭酸塩組成物や酸物質組成物、副造形剤組成物等の組合せにより造形容器で造形した発泡造形体にトッピング自在とした浴湯に不溶で浮遊自在の付加装飾体と、前記炭酸塩組成物と前記酸物質組成物との混合調製に際し必要な水の量と略同容量としたスプーン部を把持部の一端に備え、副造形剤組成物の調製に際し必要な水の量と略同容量としたスプーン部を把持部の他端に備えた計量スプーンと、略半円形状の透孔が左右対称に形成された木の葉状の攪拌部を把持部の端部に備えた攪拌具と、の組合せよりなる子供による造形可能な入浴剤キットとした点が挙げられる。
【0011】
また、本発明の選択的な態様としては、以下の点が挙げられる。
(2)前記造形容器で成形する発泡造形体の形状はケーキ菓子形状であり、ケーキ菓子のスポンジ部に相当する前記発泡造形体の部位は前記炭酸塩組成物と酸物質組成物との混合により形成して入浴剤とし、前記スポンジ部の上層に積層塗布されたクリーム部に相当する前記発泡造形体の部位は前記副造形剤組成物に含まれる高分子組成物及び/又は界面活性剤により粘稠状に成形すること。
)前記クリーム部を成形するための絞り器を付加したこと。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムから選択される一種以上の粉状の炭酸塩を主成分とする炭酸塩組成物を収納した炭酸塩袋体と、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸から選択される一種以上の粉状の酸物質を主成分とする酸物質組成物を収納した酸物質袋体と、これらの袋体中の組成物を混合して所定の形状に成形するための造形容器と、の組合せよりなる子供による造形可能な入浴剤キットとしたため、子供が簡便に発泡入浴剤を作成できるのは勿論のこと、子供が造形を通じて自らの創作力を発揮することができ、更に製作後は入浴に使用することで発泡反応の視覚的な面白味により創作の楽しさをリンクさせつつ科学に対する興味のきっかけとし、しかも二酸化炭素に由来する温浴効果で温まることのできる入浴剤キットを提供することができる。
【0013】
また、前記炭酸塩袋体から取出した粉状の炭酸塩組成物と前記酸物質袋体から取出した粉状の酸物質組成物とを前記造形容器中で混合成形した発泡造形体に積層塗布するための副造形剤組成物を収容した副造形剤袋体を更に備え、前記副造形剤組成物は、カラギナン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、ペクチン、グアガム、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、アガーから選択した一種以上の高分子組成物、及び/又は界面活性剤を含有することとすれば、創作性の自由度を更に高めることができると共に、含水させた副造形剤組成物の粘性により発泡造形剤への密着度を高めつつ、見た目に滑らかな積層塗布構造を形成することができる。
【0014】
また、前記炭酸塩組成物や酸物質組成物、副造形剤組成物等の組合せにより造形容器で造形した発泡造形体にトッピング自在とした浴湯に浮遊自在の付加装飾体と、よりなることとすれば、造形した入浴剤を浴湯へ投入した際に、付加装飾体の浮力によって入浴剤の沈降を抑制することができ、入浴剤からの発泡や入浴剤の崩壊の観察を容易とすることができる。
【0015】
また、前記造形容器で成形する発泡造形体の形状はケーキ菓子形状であり、ケーキ菓子のスポンジ部に相当する前記発泡造形体の部位は前記炭酸塩組成物と酸物質組成物との混合により形成して入浴剤とし、前記スポンジ部の上層に積層塗布されたクリーム部に相当する前記発泡造形体の部位は前記副造形剤に含まれる高分子組成物及び/又は界面活性剤により粘稠状に成形することとすれば、子供一人一人が持つそれぞれ異なった創作力の表現を、多くの子供が好むケーキ菓子をベースに高い自由度を持って発揮させることができ、科学に対する興味のきっかけとなる創作の楽しさをより顕著なものとすることができる。
【0016】
また、前記クリーム部を成形するための絞り器を付加すれば、前記スポンジ部に対し、より肉厚に副造形剤の塗着を行うことができて本格的なケーキ菓子形状の入浴剤を形成できると共に、子供があたかもパティシエになったかの如くケーキ菓子形状の創作に注力することとなり、創作の楽しさをより助長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】入浴剤の外観を示した説明図である。
図2】入浴剤の使用態様を示した説明図である。
図3】本実施形態に係る入浴剤キットの構成を示した説明図である。
図4】入浴剤の製作手順を示した説明図である。
図5】入浴剤の製作手順を示した説明図である。
図6】入浴剤の製作手順を示した説明図である。
図7】入浴剤の製作手順を示した説明図である。
図8】第2実施形態に係る入浴剤キットの一部構成、及び入浴剤の外観を示した説明図である。
図9】第3実施形態に係る入浴剤キットの一部構成、及び入浴剤の外観を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、自作可能な入浴剤キット、特に子供による造形が可能な入浴剤キットに関するものであり、子供が簡便に発泡入浴剤を作成できるのは勿論のこと、子供が造形を通じて自らの創作力を発揮することができ、更に製作後は入浴に使用することで発泡反応の視覚的な面白味により創作の楽しさをリンクさせつつ科学に対する興味のきっかけとし、しかも二酸化炭素に由来する温浴効果で温まることのできる入浴剤キットを提供するものである。
【0019】
ここで入浴剤とは、浴湯中に投入されることで温浴効果や清浄作用を高めることが可能な成分が含まれていれば特に限定されるものではなく、また、以下において特に言及しない限り、本発明の目的を阻害しない範囲内で、一般的な入浴剤において使用される色素や香料、薬効成分などを添加することも可能である。
【0020】
また、上記目的を達成すべく、本実施形態に係る入浴剤キットの特徴としては、粉状の炭酸塩を主成分とする炭酸塩組成物を収納した炭酸塩袋体と、粉状の酸物質を主成分とする酸物質組成物を収納した酸物質袋体と、これらの袋体中の組成物を混合して所定の形状に成形するための造形容器と、の組合せよりなることとしている。
【0021】
炭酸塩は、浴湯に投入した際に目視可能な大きさの二酸化炭素の気泡が連続的に生成できる程度の酸物質との反応性を備えた炭酸塩であれば特に限定されるものではなく、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム等のいずれか、又はこれら2以上の混合物を挙げることができ、より好ましくは炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムのいずれか、又はこれら2以上の混合物とすることができる。
【0022】
炭酸塩組成物は、上記炭酸塩を主成分とした組成物である。従って、必要に応じて炭酸塩以外の補助成分を含有していても良く、補助成分としては例えば、香料や着色料、賦形剤など入浴剤の構成成分として一般的に使用される成分を添加することができる。
【0023】
炭酸塩と反応を行うための酸は、有機酸や、浴湯に溶解した際に示す塩、有機酸エステルなどの酸性物質(これらを総称して酸物質と称する。)とすることができる。有機酸も炭酸塩と同様に、浴湯に投入した際に目視可能な大きさの二酸化炭素の気泡が連続的に生成できる程度の炭酸塩との反応性を備えた有機酸であれば特に限定されるものではなく、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アデニル酸、エリソルビン酸、クエン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、シチジル酸、シュウ酸、酒石酸、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウム、ソルビン酸、ニコチン酸、乳酸、フマル酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、葉酸、酪酸、リンゴ酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、ピロリドンカルボン酸、グリコール酸等のいずれか、又は2以上の混合物を挙げることができ、より好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸のいずれか、又はこれら2以上の混合物とすることができる。また、酸物質としては、前述の有機酸の他、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウムのいずれか、又はこれら2以上の混合物を選択することも可能である。
【0024】
酸物質組成物は、上記酸物質を主成分とした組成物である。従って、炭酸塩組成物と同様に、必要に応じて酸物質以外の補助成分を含有していても良く、補助成分としては例えば、香料や着色料、賦形剤など入浴剤の構成成分として一般的に使用される成分を添加することができる。
【0025】
また、炭酸塩組成物や酸物質組成物は、それぞれ炭酸塩や酸物質を主成分とするものであるが、ここで主成分とは、各組成物中で占める重量や体積割合が最も大きいことを必ずしも意味するものではなく、本発明の課題を解決する上で必要な機能を実現するための成分、一例としては、二酸化炭素の気泡の発生に必要な成分であることを意味するものである。
【0026】
また、炭酸塩組成物や酸物質組成物を構成する補助成分の一つとして、必要に応じ塩類を選択することも可能である。塩類は入浴剤に良く使用される塩類であったり、食品添加物として使用されている塩類とすることができ、これら両者の条件を満たす塩類は、特に子供が使用する入浴剤キットという本発明の性質上、誤って口に運んだ場合であっても安全性が確保されるため好ましい。
【0027】
このような塩類のうち、入浴剤に良く使用される塩類の一例としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸鉄、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、臭化カリウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0028】
また、食品添加物として使用されている塩類としては、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化鉄、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、カオリン、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸カルシウム、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸マグネシウム、酸化カルシウム、活性炭、酸化マグネシウム、酸化鉄、硝酸ナトリウム、タルク、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、パーライト、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0029】
また、入浴剤に良く使用され、且つ、食品添加物として使用される塩類としては、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸鉄、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等を挙げることができる。
【0030】
炭酸塩組成物や酸物質組成物が収納される袋体の素材は特に限定されるものではないが、複数回の入浴剤の製作が可能な量の組成物を収容する場合には、ジッパー付き(チャック付き)プラスチック製袋を採用することで、各組成物の吸湿等を抑制することができる。
【0031】
造形容器は、炭酸塩組成物と酸物質組成物とを混合して調製した混合剤を充填し、成形するための立体造形型枠として機能するものであり、この造形容器内で成形された混合剤は、製作後の入浴剤の一部を構成する発泡造形体として機能する。
【0032】
造形容器の型形状、すなわち、発泡造形体の形状は特に限定されるものではないが、子供が好む物品をモチーフとするのが好ましい。このような物品の例としては、例えば菓子や冷菓、料理等の食品であったり、花や木などの植物、うさぎや犬などの動物、バスや電車、自動車、ロケット等の乗り物、ゲームやアニメの登場人物やヒーロー、ヒロインなどのキャラクター物等を挙げることができ、時代に応じた子供の嗜好に合わせて適宜選択することができる。
【0033】
また、本実施形態に係る入浴剤キットでは、前記炭酸塩袋体から取出した粉状の炭酸塩組成物と前記酸物質袋体から取出した粉状の酸物質組成物とを前記造形容器中で混合成形した発泡造形体に積層塗布するための副造形剤組成物を収容した副造形剤袋体を更に備えることとしても良い。
【0034】
この副造形剤組成物は、発泡造形体に積層塗布して副造形体を形成するための組成物である。前述の発泡造形体がケーキ菓子のスポンジ部に相当することとすれば、副造形体は例えばスポンジを覆うクリームであったり、デコレーション部分に相当する。
【0035】
副造形剤組成物は、発泡造形体の形成に加えて更なる創造の自由度を拡張するためのものであり、必ずしも発泡機能を備える必要はなく、また発泡造形体を見た目美しく装飾できる組成を有するのが好ましい。
【0036】
この点、本実施形態に係る入浴剤キットにおいて副造形剤組成物は、カラギナン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、ペクチン、グアガム、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、アガーから選択した一種以上の高分子組成物、及び/又は、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリド有機酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベートから選択した一種以上の界面活性剤を含有することとしており、創作性の自由度を更に高めることができると共に、含水させた副造形剤組成物の粘性により発泡造形剤への密着度を高めつつ、見た目に滑らかな積層塗布構造を形成することができるよう構成している。
【0037】
また、本実施形態に係る入浴剤キットでは、炭酸塩組成物や酸物質組成物、副造形剤組成物等の組合せにより造形容器で造形した造形本体部分にトッピング自在とした浴湯に浮遊自在の付加装飾体を更に備えることとしても良い。
【0038】
この付加装飾体は、形成された入浴剤がトッピングとして備えることで入浴剤に浮力を与えるためのものであり、造形した入浴剤を浴湯へ投入した際に、付加装飾体の浮力によって入浴剤の沈降を抑制することができ、入浴剤からの発泡や入浴剤の崩壊の観察を容易とすることができる。
【0039】
付加装飾体の外観は、入浴剤を装飾する形状であれば特に限定されるものではないが、子供が興味を示すような形状が好ましく、例えばハート型や星形、リボン形状などとすることができる。
【0040】
また、付加装飾体の外観は、本実施形態に係る入浴剤キットの販売等を行う者が意図するコンセプトに見合った形状とすることも可能である。例えば、ケーキ菓子様の入浴剤の製作が意図された入浴剤キットであれば、フルーツ形状やキャンドル形状としたり、ハロウィンをコンセプトとしたならば、かぼちゃおばけ(ジャック・オ・ランタン)形状やコウモリ形状とするのも一案である。
【0041】
なお、付加装飾体は、浴湯に投入した際に必ずしも入浴剤と共に溶解する必要はなく、どちらかと言えば溶解しない方が好ましい。従って、付加装飾体は水に不溶の樹脂等で成形、特に浮力を要する時はブロー成形されたものであっても良い。
【0042】
このような構成とすることにより、製作した入浴剤の使用後にあっても、手元には付加装飾体が残るため、製作した記憶の呼び戻しをより容易とすることができ、子供に「また作ってみたい」という気持ちを生起させることができる。
【0043】
また、本実施形態に係る入浴剤キットは、前述の如くコンセプトを積極的に限定するものではないが、ケーキ菓子の製作というコンセプトは、実際のケーキ菓子も手作りで製作されることが多い点や、ケーキ菓子は多くの子供が好む食べ物である点を鑑みれば、本実施形態に係る入浴剤キットに極めて合致したコンセプトの一つであると言える。
【0044】
すなわち、前述した造形容器で成形する発泡造形体の形状はケーキ菓子形状であり、ケーキ菓子のスポンジ部に相当する発泡造形体の部位は炭酸塩組成物と酸物質組成物との混合により形成して入浴剤とし、スポンジ部の上層に積層塗布されたクリーム部に相当する部位は副造形剤に含まれる高分子組成物及び/又は界面活性剤により粘稠状に成形することとすれば、子供一人一人が持つそれぞれ異なった創作力の表現を、多くの子供が好むケーキ菓子をベースに高い自由度を持って発揮させることができ、科学に対する興味のきっかけとなる創作の楽しさをより顕著なものとすることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る入浴剤キットのコンセプトをケーキ菓子の製作とした場合、実際のケーキ菓子の製作に使用される器具類をキットの構成要素として加えることも可能である。
【0046】
例えば、副造形体としてのクリーム部を成形するための絞り器を付加することにより、スポンジ部に対し、より肉厚に副造形剤の塗着を行うことができて本格的なケーキ菓子形状の入浴剤を形成できると共に、子供があたかもパティシエになったかの如くケーキ菓子形状の創作に注力することとなり、創作の楽しさをより助長することができる。
【0047】
以下、本実施形態に係る入浴剤キットについて、製作された入浴剤の構成や、キット構成、製作手順等を参照しながら更に詳説する。なお、以下において入浴剤キットは、ケーキ菓子の製作をコンセプトとし、また、使用者は子供として説明するが、コンセプトや造形容器の形状、その他後述する装飾等の形状はこれに限定されるものではなく、また使用者の年齢層も限定されるものではない。但し出願人が本願権利化を図るにあたり、コンセプトや使用者年齢層などその他構成を限定するのも妨げない。
【0048】
図1は、本実施形態に係る入浴剤キットAを用いて製作された入浴剤Bの外観を示した説明図である。
【0049】
入浴剤Bは、使用者、特に子供が、後述する本実施形態に係る入浴剤キットAを用い、入浴剤キットAに添付されている各種粉体に加水して成形し、トッピング等を行うことでケーキ菓子形状に形成されたものである。
【0050】
入浴剤Bは、ペーパーカップ10と、入浴剤本体部11とで構成している。ペーパーカップ10は、入浴剤本体部11の包装的な役割を果たす部分であり、入浴剤Bを展示して楽しむ際に、入浴剤本体部11を構成する粉体等が散逸してしまうことを防止しつつ、あたかも本物のケーキ菓子であるかのような雰囲気を醸すものである。
【0051】
入浴剤本体部11は、実際のケーキ菓子であれば可食部に相当する造形本体部12と、造形本体部12上にトッピングされた付加装飾体13とで構成している。
【0052】
造形本体部12は、浴湯中に投入されることで入浴剤として機能する部分であり、また、ケーキ菓子の製作をコンセプトとした入浴剤キットAにおいて、子供が最も創作力を発揮できる創作自由度の高い部分である。
【0053】
付加装飾体13は、造形本体部12に更なる美観を付与するための部材であり、この付加装飾体13の造形本体部12へのトッピングもまた、子供による創作力が発揮される部分でもある。
【0054】
また付加装飾体13は、造形本体部12に浮力を付与する役割も有している。特に本実施形態では、水に不溶の樹脂をブロー成形することで中空状としており、造形本体部12の溶解後においても手元に残るようにしている。
【0055】
造形本体部12は、実際のケーキ菓子であればスポンジ部分に相当する発泡造形体14と、同じくクリーム部分に相当する副造形体15とで構成している。
【0056】
発泡造形体14は、浴湯中で反応して二酸化炭素の気泡を発生させる(発泡する)部位であり、後述する炭酸塩組成物と酸物質組成物とを加水混合した上で、造形容器に収容して成形がなされた部位である。
【0057】
副造形体15は、後述する副造形剤組成物に加水して粘稠状の組成物を調製し、使用者である子供が様々な趣向を凝らしながら発泡造形体14上に装飾を施した部分である。
【0058】
そして、このように製作された入浴剤Bは、製作後まもなくであったり、また、しばらくの間屋内(例えば、製作した子供の自室など)に展示して楽しんだ後に、ペーパーカップ10を取り外し、図2(a)に示すように入浴剤本体部11を浴槽16内の浴湯17中へ投入して浴用に供する。
【0059】
この際、図2(b)に示すように、入浴剤本体部11では、発泡造形体14を構成する炭酸塩組成物と酸物質組成物とが浴湯17を介して反応し、発泡造形体14から無数の二酸化炭素の気泡18が発生し、入浴者、特に入浴剤Bの製作を行った子供に対し温浴効果が高められることとなる。
【0060】
また、浴湯17中に投入された入浴剤本体部11は、付加装飾体13の浮力によって浴湯17の水面19近傍に浮遊する。従って、浴槽16に浸かっている子供が造形本体部12(発泡造形体14)からの発泡や崩壊を容易に観察することができ、視覚的な面白味をより印象付けることができる。
【0061】
また追って詳説するが、本実施形態において副造形体15には、保湿効果が期待できる糖類が多く含まれている。従って、造形本体部12の崩壊に伴って浴湯17中へは副造形体15から糖類が溶出することとなり、風呂上がりに肌が乾燥してしまうことを効果的に防止することができる。
【0062】
なお、本実施形態において入浴剤B(入浴剤本体部11)は、付加装飾体13の浮力により浴湯17中において浮遊することとしたが、これに限定されるものではなく、沈降するような構成としても良い。但し、このような場合であっても、付加装飾体13自体は造形本体部12から分離した際に水面19近傍に浮上するような構成としておくのが望ましい。
【0063】
次に、本実施形態に係る入浴剤キットAの具体的な構成について説明する。図3は本実施形態に係る入浴剤キットAの構成を示した説明図である。
【0064】
図3に示すように入浴剤キットAは、炭酸塩袋体21と、酸物質袋体22と、副造形剤袋体23と、絞り器24と、造形容器25と、ヘラ26と、計量スプーン27と、攪拌具35と、ペーパーカップ10と、付加装飾体13と、トッピング型プレート28と、カップ29とで構成している。
【0065】
炭酸塩袋体21は、粉状や粒状の炭酸塩組成物21aが収容された袋体であり、発泡造形体14を構成する材料の一つである。
【0066】
炭酸塩組成物21aの組成は、浴湯17中において十分な発泡が可能な程度の炭酸塩が含有されていれば特に限定されるものではないが、概ね80~99重量%程度の炭酸塩を含有するのが望ましい。本実施形態では一例として、99重量%を炭酸水素ナトリウムとし、残余を香料、色素、シリカ等の補助成分としている。
【0067】
酸物質袋体22は、粉状や粒状の酸物質組成物22aが収容された袋体であり、同じく発泡造形体14を構成する材料の一つである。
【0068】
酸物質組成物22aの組成についても、浴湯17中において十分な発泡が可能な程度の酸物質が含有されていれば特に限定されるものではなく、例えば30~99重量%程度の酸物質を含有するのが望ましい。本実施形態では一例として、49.85重量%をクエン酸とし、残余は賦形剤やシリカ等の補助成分としている。
【0069】
副造形剤袋体23は、粉状の副造形剤組成物23aが収容された袋体であり、副造形体15を構成する材料である。
【0070】
副造形剤組成物23aの組成は、前述の高分子組成物(増粘多糖類)を含有し、含水させた際にクリーム状となり、且つ、浴湯17中において溶解可能な組成であれば特に限定されるものではなく、必要に応じて更に機能成分を添加することも可能である。本実施形態では一例として、65~99重量%のスクロースと、0.1~2.5重量%の無水ケイ酸と、0.1~2.5重量%のキサンタンガムと、0.05~30重量%の界面活性剤と、微量の色素とで構成している。
【0071】
また先述したように、副造形剤組成物23aの多く、すなわち65~99重量%を糖類であるスクロースとしており、また、高分子組成物による効果も相俟って、大人に比して皮膚が薄い子供の肌が、風呂上がりに過度に乾燥してしまうことを防止可能としている。
【0072】
絞り器24は、ケーキ菓子形状とした入浴剤Bにおける副造形体15としてのクリーム部の形成を補助するためのものであり、略円錐状の収容空間を備える袋部24aの先端隅部開口に嵌着した金口部24bからクリーム状の副造形剤組成物の絞り出しを行い、発泡造形体14の表面に副造形剤組成物を積層塗着して装飾が行われる。
【0073】
造形容器25は、炭酸塩袋体21の炭酸塩組成物21aと、酸物質袋体22の酸物質組成物22aとを後述のカップ29を用いて加水しつつ混合し、若干湿り気を有する砂状となった混合剤を充填し、発泡造形体14を形成するための立体造形型枠として機能する。特に本実施形態では、入浴剤キットAのコンセプトをケーキ菓子の製作としていることから、上部がドーム状のスポンジ型の型枠としている。
【0074】
ヘラ26は、把持部26aの一端にヘラ部26bを形成した道具であり、発泡造形体14へのクリーム剤の塗着や整形に使用されるのは勿論のこと、トッピング型プレート28へのクリーム状組成物の塗着などにも使用される。
【0075】
計量スプーン27は、相対的に大容量の大スプーン部27bを把持部27aの一端に形成し、相対的に小容量の小スプーン部27c他端に形成した道具であり、炭酸塩組成物21aや酸物質組成物22a、副造形剤組成物23a等の粉体の規定量の分取や、加水のための水の計量等に使用する。特に、本実施形態では、小スプーン部27cの容量を、炭酸塩組成物21aと酸物質組成物22aとの混合調製に際し必要な水の量と略同容量とし、大スプーン部27bの容量を、クリーム状組成物の調製に際し必要な水の量と略同容量とすることで、使用者である子供が容易に加水できるよう構成している。
【0076】
攪拌具35は、把持部35aの一端に形成された比較的浅型でスパーテル状のさじ部35bと、他端に形成された透孔35cを有する木の葉状の攪拌部35dとを備えた道具である。さじ部35bは、例えば炭酸塩組成物21aと酸物質組成物22aとの混合や、混合剤の造形容器25への収容時、クリーム状組成物を掬う時などに使用される。また、攪拌部35dは、透孔35cにより攪拌抵抗を抑制しつつ空気を多く巻き込みながら攪拌可能に形成した部位であり、例えば副造形剤組成物23aに加水してクリーム状組成物を調製する際の攪拌などに使用される。
【0077】
ペーパーカップ10は、前述の如く入浴剤本体部11の包装的な役割を果たして入浴剤Bを展示して楽しむ際に入浴剤本体部11を構成する粉体等が散逸してしまうことを防止するためのものであり、本実施形態ではカップ内方に樹脂コーティングを施し耐水性を持たせて形成している。
【0078】
付加装飾体13は、入浴剤Bの外観をより華やかなものとすると共に、入浴剤本体部11に浮力を付与するためのものである。本実施形態に係る入浴剤キットAではハート型の付加装飾体13であるハート型付加装飾体13aと、リボン型の付加装飾体13bとの2種類で構成している。
【0079】
トッピング型プレート28は、副造形剤組成物23aを用いて調製したクリーム状組成物の一部を用いて、副造形体15の一部を構成する装飾用のトッピング部材を形成するための道具である。
【0080】
トッピング型プレート28は、平面視略矩形の板状に形成した樹脂板により構成した基板28aの表面に、ハート型やクッキー型、リボン型など様々な成形凹部28bが形成されており、ヘラ26のヘラ部26b等を用いながらクリーム状組成物を成形凹部28bに擦りつけて充填し、乾燥後に成形凹部28bから取出すことでトッピング部材を形成する。
【0081】
カップ29は、炭酸塩組成物21aと酸物質組成物22aとの混合や、副造形剤組成物23aによるクリーム状組成物の調製の際に使用する、縁部に取手29aを備えた椀状の容器である。
【0082】
なお、図3に示す入浴剤キットAの構成は、必要に応じて各構成の数を増減させても良く、またこれら以外の要素を加えるようにしても良い。例えば、炭酸塩袋体21や酸物質袋体22、副造形剤袋体23の量や、絞り器24における袋部24aの枚数、金口部24bの種類、ペーパーカップ10や付加装飾体13の種類や個数、カップ29の数などは適宜変更することができる。
【0083】
次に、本実施形態に係る入浴剤キットAを用いた入浴剤Bの製作について、図4図7を参照しつつ、手順を追って説明する。なお、以下の手順は一例であって、最終的に入浴剤Bが完成すれば、各手順は前後しても良い。
【0084】
(1.発泡造形体の製作)
入浴剤Bの製作にあたり、本実施形態ではまず、炭酸塩組成物21aと酸物質組成物22aとを混合し、ケーキ菓子のスポンジ部に相当する発泡造形体14の製作を行う。
【0085】
具体的には、図4の左上図に示すように、清浄なカップ29内に炭酸塩袋体21から取出した炭酸塩組成物21aと、酸物質袋体22から取出した酸物質組成物22aとを規定量ずつ入れる。ここでは、炭酸塩袋体21及び酸物質袋体22のいずれも1回分の使用量だけ予め分取されており、各袋体の全量をカップ29内に入れるようにしている。
【0086】
次いで、図4の右上図に示すように、計量スプーン27の小スプーン部27cにて別途準備した水30を量り取り、カップ29内へ投入して加水する。
【0087】
次に、図4の右下図に示すように、カップ29内で良く混合し、混合剤31の調製を行う。なおここでは、攪拌具35のさじ部35bを用いて混合を行っているが、先述したヘラ26のヘラ部26bにより混合することも可能であり、使用者である子供が混合に適した道具や部位を模索することも、創造力の育成に寄与することとなる。
【0088】
そして、図4の左下図に示すように、得られた混合剤31を造形容器25に充填し、上蓋25aを閉蓋して成形することにより、未乾燥状態の発泡造形体14を得る。得られた発泡造形体14は乾燥に供し、ペーパーカップ10へセットする。なお、ペーパーカップ10へのセットは、発泡造形体14の乾燥前に行って、ペーパーカップ10にセットした状態で乾燥に供しても良い。
【0089】
(2.クリーム剤の調製)
次に、副造形剤組成物23aを使用してクリーム剤の調製を行う。図5の左上図に示すように、清浄なカップ29内に副造形剤袋体23から取出した副造形剤組成物23aを規定量入れる。ここで副造形剤袋体23は1回分の使用量だけ予め分取されており、副造形剤袋体23の全量をカップ29内に入れるようにしている。
【0090】
次いで、図5の右上図に示すように、計量スプーン27の大スプーン部27bにて別途準備した水30を量り取り、カップ29内へ投入して加水する。
【0091】
次に、図5の右下図に示すように、攪拌具35の攪拌部35dを用い、カップ29内で良く混合し、ペースト状のクリーム剤32の調製を行う。
【0092】
そして、図5の左下図に示すように、得られたクリーム剤32を絞り器24の袋部24a内に収容し、絞り器24を使用することで副造形体15の形成が可能な状態とする。
【0093】
(3.トッピング部材の調製)
次に、先述の(2.クリーム剤の調製)にて調製したクリーム剤32の一部を使用し、トッピング型プレート28を用いてトッピング部材33の調製を行う。
【0094】
まず、図6左図に示すように、トッピング型プレート28に形成された所望の成形凹部28bにクリーム剤32を入れ、ヘラ26のヘラ部26bを使用して平に均しつつ充填する。ここではハート型の成形凹部28bを用いて成形しているが、別の成形凹部28bを用いたり、複数の成形凹部28bを用いてトッピング部材33の調製を行っても良い。
【0095】
次に、このままの状態で乾燥に供し、図6右図に示すように、クリーム剤32が固化した時点で成形凹部28bから抜去し、トッピング部材33が得られる。
【0096】
(4.副造形体の形成)
次に、(1.発泡造形体の製作)にて形成した発泡造形体14に、(2.クリーム剤の調製)で調製したクリーム剤32を積層塗布し、また、(3.トッピング部材の調製)にて調製したトッピング部材33を使用しつつ副造形体15の形成を行う。
【0097】
まず、図7の左上図に示すように、ドーム状に成形された発泡造形体14の上面部に、絞り器24を用いてクリーム剤32を積層塗布する。ここでは、クリーム剤32をソフトクリーム状に塗着させているが、別途ヘラ26のヘラ部26bを利用するなどして、発泡造形体14の上面や側面にかけて満遍なく塗りつけ(所謂、ナッペ)を行うようにしても良い。
【0098】
すなわち本工程は、本実施形態に係る入浴剤キットAの使用者である子供が、最も創造力を発揮しつつ造形作業を行う部分であり、個々人の個性に併せて造形作業を行うことができる。
【0099】
次に、図7の右上図に示すように、積層塗布したクリーム剤32の上に、所望のトッピング部材33をトッピングして装飾する。
【0100】
次いで、図7の左下図に示すように、クリーム剤32に付加装飾体13を刺して乾燥に供することで、図7の右下図に示すように、付加装飾体13を添えた副造形体15が形成されて入浴剤本体部11が構築されることとなり、ペーパーカップ10に装着して入浴剤Bが完成することとなる。
【0101】
このようにして製作した入浴剤Bは、その後まもなく、又はしばらくの間部屋に飾るなどして楽しんだ後に、図2を参照しつつ説明した如く、入浴の際に浴湯17へ投入して浴用に供することができる。
【0102】
〔第2実施形態〕
次に、第2の実施形態に係る入浴剤キットA2について説明する。入浴剤キットA2は、先述の入浴剤キットAと略同様の構成、すなわち、炭酸塩袋体や酸物質袋体、副造形剤袋体、造形容器、付加装飾体を中心としたその他構成を備えるものであるが、コンセプトをドーナツの製作とし、造形容器の内空型枠形状をドーナツ形状とした点、及び、副造形剤組成物による調製物をクリーム剤ではなく、チョコレート様ペーストやアイシング様ペーストとしている点で構成を異にしている。
【0103】
図8(a)は、第2実施形態に係る入浴剤キットA2にて製作された入浴剤B2を示す説明図である。図8(a)の左図に示すように、入浴剤B2は、ドーナツ形状に成形された発泡造形体44と、発泡造形体44上にてチョコレートコーティング状に積層塗布され、更にチョコスプレー状のトッピング部材43がちりばめられた副造形体45aとで構成している。
【0104】
また、図8(a)の右図に示すように、別の入浴剤B2は、ドーナツ形状に成形された発泡造形体44と、発泡造形体44上にてアイシング状に積層塗布され、更にチョコスプレー状のトッピング部材43がちりばめられた副造形体45aとで構成している。なお、本第2実施形態におけるトッピング部材43は、浴湯中にて溶解可能な素材にて形成されたものである。
【0105】
大方の説明は先の入浴剤キットAの説明に委ねることとし、図8(b)では入浴剤キットA2の構成要素のうち特徴的な造形容器のみを示してその他の構成は省略するが、ドーナツの製作をコンセプトとした入浴剤キットA2を構成する造形容器46は、内空型枠形状をドーナツ形状としている。
【0106】
従って、形成される発泡造形体44はドーナツ形状となり、チョコレート様ペーストやアイシング様ペースト等の副造形剤組成物による調製物を発泡造形体44上部に積層塗布し、更にトッピング部材43を使用して装飾を施すことにより入浴剤B2が製作される。
【0107】
このとき、入浴剤キットA2の使用者である子供が、チョコレートコーティングやアイシングの加減をどのように施すかや、チョコレートスプレーとしたトッピング部材43をどの位置にどの程度施すかなど、創造力が発揮されることとなる。
【0108】
また、浴用に供して発泡反応を観察することで、創作の楽しさを身に付けつつ、また、科学への興味を持たせることが可能となる。
【0109】
〔第3実施形態〕
次に、第3の実施形態に係る入浴剤キットA3について、図9を参照しながら説明する。入浴剤キットA3は、先述の入浴剤キットAと略同様の構成を備えるものであるが、コンセプトをソフトクリームの製作とし、造形容器の内空型枠形状をコーン形状とした点で構成を異にしている。
【0110】
図9(a)は、第3実施形態に係る入浴剤キットA3にて製作された入浴剤B3を示す説明図である。図9(a)に示すように、入浴剤B3は、コーン形状に成形された発泡造形体54と、発泡造形体54上にてうずまき状に積層塗布された副造形体55とで構成している。なお、符号56は入浴剤キットA3に付属しているソフトクリーム立てである。
【0111】
第2実施形態と同様に、図9(b)でも入浴剤キットA3の構成要素のうち造形容器のみを示してその他の構成は省略するが、ソフトクリームの製作をコンセプトとした入浴剤キットA3を構成する造形容器57は、内空型枠形状をコーン形状としている。
従って、形成される発泡造形体54はコーン形状となり、副造形剤組成物による調製物としてのクリーム剤を発泡造形体44の上部に積層塗布することで入浴剤B3の製作を行うことができる。
【0112】
またこのとき、入浴剤キットA3の使用者である子供が、クリーム剤の巻きの加減をどのようにするかや、高さをどの程度とすれば安定するかなど創造力や思考力が発揮され、また、浴用に供して発泡反応を観察することで、創作の楽しさを身に付けつつ、科学への興味を持たせることが可能となる。
【0113】
このように、本実施形態に係る入浴剤キットによれば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムから選択される一種以上の粉状の炭酸塩を主成分とする炭酸塩組成物を収納した炭酸塩袋体と、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸から選択される一種以上の粉状の酸物質を主成分とする酸物質組成物を収納した酸物質袋体と、これらの袋体中の組成物を混合して所定の形状に成形するための造形容器と、の組合せよりなる子供による造形可能な入浴剤キットとしたため、子供が簡便に発泡入浴剤を作成できるのは勿論のこと、子供が造形を通じて自らの創作力を発揮することができ、更に製作後は入浴に使用することで発泡反応の視覚的な面白味により創作の楽しさをリンクさせつつ科学に対する興味のきっかけとし、しかも二酸化炭素に由来する温浴効果で温まることのできる入浴剤キットを提供することができる。
【0114】
また特に、風呂嫌いの子供に対し、入浴習慣を促すといった効果も期待することができる。
【0115】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0116】
13 付加装飾体
14 発泡造形体
15 副造形体
17 浴湯
18 気泡
21 炭酸塩袋体
21a 炭酸塩組成物
22 酸物質袋体
22a 酸物質組成物
23 副造形剤袋体
23a 副造形剤組成物
24 絞り器
25 造形容器
32 クリーム剤
33 トッピング部材
A~A3 入浴剤キット
B~B3 入浴剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9