(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】車両用視認装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/06 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
B60R1/06 D
(21)【出願番号】P 2018079179
(22)【出願日】2018-04-17
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】澤田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】濱田 健宏
(72)【発明者】
【氏名】中山 湧斗
(72)【発明者】
【氏名】工藤 信寛
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-166945(JP,A)
【文献】実開昭60-157447(JP,U)
【文献】実開平02-026957(JP,U)
【文献】特開2019-099091(JP,A)
【文献】米国特許第05966254(US,A)
【文献】実開平02-010146(JP,U)
【文献】特開2010-168023(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0251601(US,A1)
【文献】特開2003-335176(JP,A)
【文献】特開昭57-186550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00 - 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に設けられる支持体と、
前記支持体に回動可能に支持され、前記支持体との間に回動径方向における隙間が設けられる回動体と、
前記回動体に設けられると共に、車両の乗員の視認を補助し、前記回動体が一側又は他側に回動されて格納又は展開される視認手段と、
前記支持体及び前記回動体の一方に設けられ、前記隙間の一側と他側との連通を制限すると共に、前記視認手段が格納又は展開される際に前記隙間の一側と他側との連通制限が解除される制限部と、
前記制限部に設けられると共に、湾曲され、前記視認手段が格納又は展開される際に前記支持体及び前記回動体の他方によって弾性変形されて前記回動体の回動が許容される変形部と、
を備える車両用視認装置。
【請求項2】
車体側に設けられる支持体と、
前記支持体に回動可能に支持され、前記支持体との間に回動径方向における隙間が設けられる回動体と、
前記回動体に設けられると共に、車両の乗員の視認を補助し、前記回動体が一側又は他側に回動されて格納又は展開される視認手段と、
前記支持体及び前記回動体の一方に設けられ、前記隙間の一側と他側との連通を制限すると共に、前記視認手段が格納又は展開される際に前記隙間の一側と他側との連通制限が解除される制限部と、
前記支持体及び前記回動体の他方に設けられると共に、平面にされ、前記制限部が接触されて前記隙間の一側と他側との連通を制限する接触面と、
を備える車両用視認装置。
【請求項3】
前記視認手段が格納又は展開される際に前記制限部が傾動されて前記回動体の回動が許容される請求項1又は請求項2記載の車両用視認装置。
【請求項4】
前記制限部が前記隙間の内側に配置される請求項1~請求項3の何れか1項記載の車両用視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視認手段が格納又は展開される車両用視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のドアミラーでは、ミラーステーの台座にミラーボデーが支持されており、ミラーボデーが一側又は他側に回動されて、ミラーボデーのミラーが格納又は展開される。また、ミラーステーの台座とミラーボデーとの間にミラーボデーの回動径方向における隙間が設けられており、ミラーボデーのシール材が当該隙間の一側と他側との連通を制限している。
【0003】
ここで、このドアミラーでは、ミラーが格納及び展開される際に、シール材がミラーステーの台座に対し常に摺動されて、シール材による当該隙間の一側と他側との連通制限が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、回動体の回動性能の低下を抑制できる車両用視認装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の車両用視認装置は、車体側に設けられる支持体と、前記支持体に回動可能に支持され、前記支持体との間に回動径方向における隙間が設けられる回動体と、前記回動体に設けられると共に、車両の乗員の視認を補助し、前記回動体が一側又は他側に回動されて格納又は展開される視認手段と、前記支持体及び前記回動体の一方に設けられ、前記隙間の一側と他側との連通を制限すると共に、前記視認手段が格納又は展開される際に前記隙間の一側と他側との連通制限が解除される制限部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様の車両用視認装置において、前記制限部に設けられると共に、湾曲され、前記視認手段が格納又は展開される際に前記支持体及び前記回動体の他方によって弾性変形されて前記回動体の回動が許容される変形部を備える。
【0008】
本発明の第3態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様又は第2態様の車両用視認装置において、前記視認手段が格納又は展開される際に前記制限部が傾動されて前記回動体の回動が許容される。
【0009】
本発明の第4態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つの車両用視認装置において、前記制限部が前記隙間の内側に配置される。
【0010】
本発明の第5態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つの車両用視認装置において、前記支持体及び前記回動体の他方に設けられると共に、平面にされ、前記制限部が接触されて前記隙間の一側と他側との連通を制限する接触面を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様の車両用視認装置では、車体側の支持体に回動体が回動可能に支持されており、回動体の視認手段が車両の乗員の視認を補助する。また、回動体が一側又は他側に回動されて、視認手段が格納又は展開される。さらに、支持体と回動体との間に回動体の回動径方向における隙間が設けられており、支持体及び回動体の一方の制限部が当該隙間の一側と他側との連通を制限する。
【0012】
ここで、視認手段が格納又は展開される際に、制限部による当該隙間の一側と他側との連通制限が解除される。このため、制限部が回動体の一側又は他側への回動を制限することを抑制でき、回動体の回動性能の低下を抑制できる。
【0013】
本発明の第2態様の車両用視認装置では、視認手段が格納又は展開される際に、制限部の変形部が支持体及び回動体の他方によって弾性変形されて、回動体の回動が許容される。
【0014】
ここで、変形部が湾曲される。このため、回動体の回動が変形部によって阻害されることを適切に抑制できる。
【0015】
本発明の第3態様の車両用視認装置では、視認手段が格納又は展開される際に、制限部が傾動されて、回動体の回動が許容される。このため、回動体の回動が制限部によって阻害されることを適切に抑制できる。
【0016】
本発明の第4態様の車両用視認装置では、制限部が当該隙間の内側に配置される。このため、制限部が当該隙間の外側から視認されることを抑制できる。
【0017】
本発明の第5態様の車両用視認装置では、制限部が、支持体及び回動体の他方の接触面に接触されて、当該隙間の一側と他側との連通を制限する。
【0018】
ここで、接触面が平面にされる。このため、制限部が当該隙間の一側と他側との連通を適切に制限できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用ミラー装置を示す車両前側かつ車幅方向外側(車両右側)から見た分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る車両用ミラー装置のベース体を示す車幅方向外側から見た側面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る車両用ミラー装置における回動体の展開時を示す下方から見た断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る車両用ミラー装置における回動体の格納時を示す下方から見た断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る車両用ミラー装置のベース体を示す車幅方向外側から見た側面図である。
【
図6】(A)~(C)は、本発明の第2実施形態に係る車両用ミラー装置のベース体を示す斜視図であり、(A)は、ベース体の凹部を示す車両前側かつ車幅方向外側から見た図であり、(B)は、ベース体のシールを示す車幅方向内側から見た図であり、(C)は、ベース体のシールを示す車幅方向外側から見た図である。
【
図7】(A)及び(B)は、本発明の第2実施形態に係る車両用ミラー装置を示す下方から見た断面図であり、(A)は、展開時を示し、(B)は、回動体の格納時を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る車両用視認装置としての車両用ミラー装置10が車両前側かつ車幅方向外側(車両右側)から見た分解斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0021】
本実施形態に係る車両用ミラー装置10は、車両のドア(車体側)としてのサイドドア(特にフロントサイドドア)の上下方向中間部かつ車両前側端に設置されて、車両外側に配置されている。
【0022】
図1に示す如く、車両用ミラー装置10には、支持体を構成する本体部としてのベース体12(
図2参照)が設けられており、ベース体12には、金属製又は樹脂製のベース14が設けられている。ベース14の下部は、サイドドアに固定されており、これにより、車両用ミラー装置10がサイドドアに設置されている。ベース14の上端部14Aは、略有底円筒状にされており、ベース14の上端部14Aは、軸方向が上下方向に平行にされると共に、内部が上側に開放されている。
【0023】
ベース14の外周には、樹脂製の略有底円筒状のベースカバー16が設けられており、ベースカバー16内は、下側に開放されている。ベースカバー16は、ベース14に固定されており、ベースカバー16は、周壁がベース14の外周を被覆すると共に、上壁(底壁)にベース14の上端部14Aが貫通されている。また、ベースカバー16の周壁上部(
図3参照)は、車幅方向外側部分から車両後側部分までの範囲において、ベース14の上端部14Aと同軸上に湾曲されている。
【0024】
ベースカバー16の周壁上部の車幅方向外側部分には、正面視略台形状の凹部18が形成されており、凹部18は、車幅方向外側及び上側に開放されると共に、下面が車両後側へ向かうに従い下側へ向かう方向に傾斜されている。凹部18の車両前側端部、車両後側端部及び下端部には、嵌合面18Aが形成されており、嵌合面18Aは、凹部18の底壁とベースカバー16の周壁上部の外周面との間に配置されている。凹部18の底壁には、車両前側部及び車両後側部において、矩形状の貫通孔18Bが貫通形成されており、貫通孔18Bは、上下方向に延伸されている。凹部18の底壁には、貫通孔18Bより車両前後方向内側において、規制部としての断面矩形状のリブ18Cが設けられており、リブ18Cは、車幅方向外側に突出されると共に、上下方向に延伸されている。
【0025】
ベースカバー16の上側及び車幅方向外側には、制限部材としての樹脂製で板状のシール20が設けられており、シール20は、剛性がベースカバー16の剛性に比し小さくされて、弾性を有している。シール20の上壁22は、円環板状にされており、上壁22は、ベースカバー16の上壁に固定されて、ベースカバー16の上壁上側を被覆すると共に、ベース14の上端部14Aが貫通されている。シール20の制限部としての側壁24は、正面視略台形の湾曲板状にされており、側壁24は、車両前後方向中央部を除き、ベース14の上端部14Aと同軸上に湾曲されている。側壁24の下面は、車両後側へ向かうに従い下側へ向かう方向に傾斜されており、側壁24は、ベース14の凹部18に略嵌合されている。側壁24の車両前側端部、車両後側端部及び下端部は、凹部18の嵌合面18Aに嵌合されており、凹部18は、側壁24によってシールされている。
【0026】
側壁24の車両前側部及び車両後側部には、取付部としての取付爪24Aが一体形成されており、取付爪24Aは、車幅方向内側に延出されて、凹部18底壁の貫通孔18Bに貫通されている。取付爪24Aの先端部は、側壁24の車両前後方向外側に突出されており、取付爪24Aは、先端部が凹部18の底壁に車幅方向内側かつ貫通孔18B側から係合されて、車幅方向外側への移動が制限されている。このため、側壁24の車幅方向外側への移動が制限されて、側壁24が凹部18に取付けられている。
【0027】
側壁24の車両前側部及び車両後側部には、取付爪24Aより車両前後方向内側において、被規制部としての矩形柱状の規制柱24Bが一体形成されており、規制柱24Bは、車幅方向内側に突出されると共に、上下方向に延伸されている。規制柱24Bは、凹部18底壁のリブ18Cに側壁24の車両前後方向外側から当接されており、このため、規制柱24Bのリブ18C側への移動が規制されて、側壁24の車両前後方向内側への移動が規制されている。
【0028】
側壁24の車両前後方向中央部には、変形部としての略円筒側壁状の変形板24Cが形成されており、変形板24Cは、車幅方向外側に凸状に湾曲されている。変形板24Cは、上下方向に延伸されており、変形板24Cの上面及び下面は、閉塞されている。変形板24Cは、幅寸法(車両前後方向寸法)が突出寸法(車幅方向寸法)に対し大きくされており(例えば5倍にされている)、変形板24Cの曲率は、小さくされている。
【0029】
ベース体12の上側には、格納機構26が支持されている。格納機構26には、支持体を構成する支持部としての略円柱状のスタンド26Aが設けられており、スタンド26Aは、ベース体12のベース14の上端部14Aに同軸上に固定されている。
【0030】
スタンド26Aには、回動体28(
図3参照)の車幅方向内側部分が支持されており、回動体28内の車幅方向内側部分には、作動体(図示省略)が設けられている。作動体は、格納機構26を構成して、スタンド26Aに支持されており、格納機構26が作動されることで、作動体がスタンド26Aに対し回動されて、回動体28がスタンド26Aを中心として格納方向(
図3の矢印Aの方向)及び展開方向(復帰方向、
図3の矢印Bの方向)に回動可能にされている。
【0031】
回動体28には、摺動部材としての樹脂製のバイザ30が設けられており、バイザ30の剛性は、ベース体12のシール20の剛性に比し大きくされている。バイザ30の車幅方向内側部分は、格納機構26の作動体に固定されており、バイザ30は、作動体と一体回動可能にされている。
【0032】
バイザ30の車両前側部分には、被覆部材としてのバイザカバー30Aが設けられており、バイザ30の車両後側部分には、収容部材としてのバイザボデー30Bが設けられている。バイザカバー30Aは、バイザボデー30Bに組付けられており、バイザカバー30Aは、バイザボデー30Bの車両前側を被覆している。
【0033】
バイザ30の下部の車幅方向内側端部には、対向部としての断面U字形枠状の対向枠32が設けられており、対向枠32内は、車幅方向内側及び下側に開放されている。対向枠32は、車幅方向内側においてベース体12のベースカバー16の周壁上部に対向されており、対向枠32とベースカバー16の周壁上部との間には、回動体28の回動径方向における隙間34が形成されている。
【0034】
対向枠32の車両前側部分には、接触部としての略湾曲板状の延出板32Aが設けられており、延出板32Aは、バイザカバー30Aに設けられている。延出板32Aは、車幅方向内側に延出されており、延出板32Aの先端は、ベース体12のベースカバー16の周壁上部に離間された状態で対向されている。
【0035】
対向枠32の車幅方向内側かつ車両前側の部分には、略平板状の第1対向板32Bが設けられており、第1対向板32Bは、バイザカバー30Aに設けられている。第1対向板32Bの車両前側端は、延出板32Aの車幅方向外側端と一体にされており、第1対向板32Bは、車幅方向に垂直に配置されている。対向枠32の車幅方向内側かつ車両後側の部分には、略平板状の第2対向板32Cが設けられており、第2対向板32Cは、バイザボデー30Bに設けられると共に、車幅方向に垂直に配置されている。
【0036】
第1対向板32Bの車両後側端部と第2対向板32Cの車両前側端部とは、重合されており、第1対向板32Bの車幅方向内側面と第2対向板32Cの車幅方向内側面とは、面一にされて、平面状の接触面32Dにされている。接触面32Dには、上下方向全体において、ベース体12におけるシール20の側壁24の変形板24Cが弾性変形された状態で接触されており、シール20の側壁24(変形板24Cを含む)は、バイザ30の対向枠32とベースカバー16の周壁上部との間をシールして、対向枠32とベースカバー16の周壁上部との隙間34の車両前側(展開方向側、他側)と車両後側(格納方向側、一側)との連通を制限している。
【0037】
バイザボデー30B内には、視認手段としての板状のミラー(図示省略)が一体回動可能に収容されており、ミラーは、バイザボデー30Bから車両後側に露出されている。ミラーの鏡面は、車両後側に向けられており、ミラーの鏡面による光の反射によって、車両の乗員の車両後側の視認が補助される。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0039】
以上の構成の車両用ミラー装置10では、回動体28が展開されて、バイザ30の対向枠32の接触面32Dにベース体12におけるシール20の側壁24の変形板24Cが接触されており、シール20の側壁24が対向枠32とベースカバー16の周壁上部との隙間34の車両前側と車両後側との連通を制限している。このため、車両の走行時に、走行風が隙間34を車両前側から車両後側へ通過することをシール20の側壁24が制限することで、隙間34による風切音の発生が抑制される。
【0040】
また、格納機構26が作動されることで、回動体28(格納機構26の作動体、バイザ30及びミラーを含む)が格納機構26のスタンド26Aを中心として回動される。この場合、回動体28が格納方向に回動されることで、回動体28が格納される。さらに、回動体28が展開方向に回動されることで、回動体28が展開(復帰)される。
【0041】
ここで、回動体28が格納及び展開される際には、対向枠32の接触面32Dが変形板24Cから離間されて、シール20の側壁24による隙間34の車両前側と車両後側との連通制限が解除される(
図3及び
図4参照)。このため、対向枠32の接触面32Dが変形板24Cに接触される期間、及び、対向枠32の延出板32Aの先端が変形板24Cに接触される期間を除き、対向枠32が変形板24Cに対し摺動されずに、回動体28(バイザ30)に変形板24Cとの摺動抵抗が作用されない。これにより、変形板24Cが回動体28の格納方向及び展開方向への回動を制限することを抑制でき、格納機構26の作動による回動体28の回動性能の低下を抑制できる。
【0042】
さらに、回動体28が格納及び展開される際には、通常、車両が停止されている。このため、回動体28が格納及び展開される際に、シール20の側壁24による隙間34の車両前側と車両後側との連通制限が解除されても、車両の走行時には、隙間34による風切音の発生を抑制できる。
【0043】
また、対向枠32の接触面32Dが平面にされている。このため、回動体28が展開された際には、変形板24Cが接触面32Dに適切に接触できて、シール20の側壁24が隙間34の車両前側と車両後側との連通を適切に制限できる。このため、隙間34による風切音の発生を適切に抑制できる。
【0044】
さらに、回動体28が展開された際には、対向枠32による変形板24Cの弾性変形量が最大にされて、シール20の側壁24による隙間34の車両前側と車両後側との連通制限力が最大にされる(
図3参照)。このため、隙間34による風切音の発生を一層適切に抑制できる。
【0045】
また、変形板24Cが湾曲されている。このため、回動体28が格納及び展開される際に、対向枠32の延出板32Aの先端が変形板24Cに接触されても(
図3及び
図4参照)、延出板32Aが変形板24Cに引掛かることを抑制でき、変形板24Cが回動体28の回動を阻害することを適切に抑制できる。
【0046】
さらに、変形板24Cが、幅寸法を突出寸法に対し大きくされて、曲率を小さくされている。このため、回動体28が格納及び展開される際に、延出板32Aの先端が変形板24Cに接触されても、延出板32Aが変形板24Cに引掛かることを効果的に抑制でき、変形板24Cが回動体28の回動を阻害することを効果的に抑制できる。
【0047】
また、回動体28が格納される際に、延出板32Aの先端が変形板24Cを車両後側に押圧しても(
図3参照)、シール20の車両前側の規制柱24Bがベースカバー16の車両前側のリブ18Cに当接されて、シール20の車両前側の取付爪24Aの車両後側への移動が制限されることで、車両前側の取付爪24Aの先端部がベースカバー16の凹部18底壁への係合を解除されることが制限される。このため、シール20の側壁24の車両前側部による凹部18のシールが解除されることを制限できる。
【0048】
さらに、回動体28が格納される際に、延出板32Aの先端が変形板24Cを車両後側に押圧しても(
図3参照)、シール20の車両後側の取付爪24Aが車両後側に移動されることで、車両後側の取付爪24Aの先端部がベースカバー16の凹部18底壁への係合量を増加される。このため、シール20の側壁24の車両後側部による凹部18のシールが解除されることを制限できる。
【0049】
また、回動体28が展開される際に、延出板32Aの先端が変形板24Cを車両前側に押圧しても(
図4参照)、シール20の車両後側の規制柱24Bがベースカバー16の車両後側のリブ18Cに当接されて、シール20の車両後側の取付爪24Aの車両前側への移動が制限されることで、車両後側の取付爪24Aの先端部がベースカバー16の凹部18底壁への係合を解除されることが制限される。このため、シール20の側壁24の車両後側部による凹部18のシールが解除されることを制限できる。
【0050】
さらに、回動体28が展開される際に、延出板32Aの先端が変形板24Cを車両前側に押圧しても(
図4参照)、シール20の車両前側の取付爪24Aが車両前側に移動されることで、車両前側の取付爪24Aの先端部がベースカバー16の凹部18底壁への係合量を増加される。このため、シール20の側壁24の車両前側部による凹部18のシールが解除されることを制限できる。
【0051】
また、シール20の側壁24が隙間34の車両前後方向内側に配置される。このため、側壁24が隙間34の車両前後方向外側から視認されることを抑制でき、車両用ミラー装置10の見栄えを良好にできる。
【0052】
[第2実施形態]
図5には、本発明の第2実施形態に係る車両用ミラー装置50のベース体12が車幅方向外側から見た側面図にて示されている。
【0053】
本実施形態に係る車両用ミラー装置50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0054】
図5に示す如く、本実施形態に係る車両用ミラー装置50では、ベース体12の凹部18(
図6(A)参照)がベースカバー16の周壁上部の車幅方向外側部分の車両前側に配置されており、凹部18は、正面視矩形状にされている。凹部18の底壁の車両後側部分には、取付部としての略円柱状の取付軸18Dが一体形成されており、取付軸18Dは、上下方向に延伸されている。凹部18の底壁には、取付軸18Dの車両前側及び車両後側において、矩形状の挿入孔18Eが貫通形成されており、挿入孔18Eは、上下方向に延伸されている。また、凹部18には、上記第1実施形態における嵌合面18A及び貫通孔18Bが設けられていない。
【0055】
ベース体12のシール20(
図6の(B)及び(C)参照)は、略矩形板状にされており、シール20は、ベース14の上端部14Aと同軸上に湾曲されると共に、凹部18に嵌合されている。シール20の車幅方向内側面の車両後側部分には、断面略C字状の取付枠20Aが一対一体形成されており、一対の取付枠20Aは、上下方向に並べられている。一対の取付枠20A内には、凹部18の取付軸18Dが嵌合されており、一対の取付枠20Aは、凹部18の挿入孔18Eに挿入されている。このため、シール20が、取付軸18Dに支持されて、取付軸18Dを中心として制限方向(
図7(A)の矢印Cの方向)及び解除方向(
図7(A)の矢印Dの方向)に傾動可能にされている。また、シール20は、解除方向に付勢されている。
【0056】
シール20の車両前側端部には、制限部としての矩形柱状の制限柱20Bが形成されており、制限柱20Bは、車幅方向外側に突出されると共に、上下方向に延伸されている。シール20の車両後側端部には、矩形柱状の傾動柱20Cが形成されており、傾動柱20Cは、車幅方向外側に突出されると共に、上下方向に延伸されている。傾動柱20Cの車両後側かつ車幅方向外側の角面は、湾曲面20Dにされており、湾曲面20Dは、凸状に湾曲されている。
【0057】
回動体28のバイザ30の対向枠32では、第1対向板32Bの車幅方向内側面が第2対向板32Cの車幅方向内側面に対し車幅方向外側に配置されており、第1対向板32Bの車幅方向内側面と第2対向板32Cの車幅方向内側面との間には、段差32Eが形成されている。第2対向板32Cには、段差32Eの車両後側において、シール20の傾動柱20Cの先端面(車幅方向外側面)が当接されており、シール20は、付勢力に抗して制限方向側に傾動されている(
図7(A)参照)。ベースカバー16の凹部18の車両前側面と対向枠32の延出板32Aとには、上下方向全体において、シール20の制限柱20Bが接触されており、制限柱20Bは、対向枠32とベースカバー16の周壁上部との間をシールして、対向枠32とベースカバー16の周壁上部との隙間34の車両前側と車両後側との連通を制限している。このため、車両の走行時に、走行風が隙間34を車両前側から車両後側へ通過することを制限柱20Bが制限することで、隙間34による風切音の発生が抑制される。
【0058】
ここで、回動体28が格納及び展開される際には、シール20の傾動柱20C先端面が対向枠32の段差32Eより車両前側の第1対向板32Bに当接されて、シール20が付勢力により解除方向側に傾動されることで、シール20の制限柱20Bによる隙間34の車両前側と車両後側との連通制限が解除される(
図7(B)参照)。このため、対向枠32の延出板32Aがシール20の制限柱20Bに接触される期間、対向枠32の第1対向板32B及び第2対向板32Cの少なくとも一方がシール20の傾動柱20Cに接触される期間、及び、対向枠32の延出板32Aがシール20の傾動柱20Cに接触される期間を除き、対向枠32がシール20に対し摺動されずに、回動体28(バイザ30)にシール20との摺動抵抗が作用されない。これにより、シール20が回動体28の格納方向及び展開方向への回動を制限することを抑制でき、格納機構26の作動による回動体28の回動性能の低下を抑制できる。
【0059】
さらに、回動体28が格納及び展開される際には、通常、車両が停止されている。このため、回動体28が格納及び展開される際に、シール20の制限柱20Bによる隙間34の車両前側と車両後側との連通制限が解除されても、車両の走行時には、隙間34による風切音の発生を抑制できる。
【0060】
また、シール20が付勢力により解除方向側に傾動されて、シール20の制限柱20Bによる隙間34の車両前側と車両後側との連通制限が解除される。このため、回動体28が格納及び展開される際に、対向枠32の延出板32Aが制限柱20Bに引掛かることを抑制でき、制限柱20Bが回動体28の回動を阻害することを適切に抑制できる。
【0061】
さらに、回動体28が展開される際には、シール20の傾動柱20Cの湾曲面20Dが対向枠32の段差32Eに当接されることで、シール20が付勢力に抗して制限方向側に傾動されて、傾動柱20Cの先端面が対向枠32の第2対向板32Cに当接される。このため、傾動柱20Cが段差32Eに引掛かることを湾曲面20Dによって抑制でき、シール20を制限方向側に適切に傾動させることができる。
【0062】
また、シール20が隙間34の車両前後方向内側に配置される。このため、シール20が隙間34の車両前後方向外側から視認されることを抑制でき、車両用ミラー装置50の見栄えを良好にできる。
【0063】
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態では、ベース体12にシール20を設けた。しかしながら、回動体28にシール20を設けてもよい。
【0064】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、視認手段をミラーにした。しかしながら、視認手段を撮像した画像により乗員の視認を補助するカメラにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 車両用ミラー装置(車両用視認装置)
12 ベース体(支持体)
20B 制限柱(制限部)
24 側壁(制限部)
24C 変形板(変形部)
26A スタンド(支持体)
28 回動体
32D 接触面
34 隙間
50 車両用ミラー装置(車両用視認装置)