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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20220509BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20220509BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20220509BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220509BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
G03B17/56 E
G03B17/56 A
G03B15/05
G03B15/02 L
G03B15/02 G
H04N5/225 100
H04N5/225 600
A61J3/00 310K
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017254525
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019120754
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】登 真良
(72)【発明者】
【氏名】アハマド イズミール アミン ビン ムスタファ カマル
(72)【発明者】
【氏名】旭野 欣也
(72)【発明者】
【氏名】牧野 智成
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-098759(JP,A)
【文献】特開2005-158490(JP,A)
【文献】特開2003-050422(JP,A)
【文献】国際公開第2004/112685(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/081654(WO,A1)
【文献】特開2009-098759(JP,A)
【文献】特開2001-129056(JP,A)
【文献】国際公開第2017/116961(WO,A1)
【文献】特表2019-502118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/05
G03B 15/02
H04N 5/225
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象を撮影するカメラユニットと、
挿入された前記撮像対象を回転可能に保持する挿通穴、および、前記挿通穴と連通する開口のスリットが設けられた容器保持部と、
を備え、
前記カメラユニットは、前記スリットの開口を通して、前記容器保持部の挿通穴に挿入された前記撮像対象を撮影し、
前記容器保持部は、前記カメラユニットの下方に配置され、
前記容器保持部には、前記挿通穴の下側の部分に、その挿通穴の内周壁の一部を構成し、かつ、上部に前記撮像対象の有する曲面の形状に合わせた円弧形状の凹部が形成された可動部材が更に設けられており、
この可動部材は、ばねの弾性力によって前記挿通穴の中心に向かって突出するように動作し、
前記可動部材の凹部の上面には、前記挿通穴へ挿入される前記撮像対象の回転軸線を挟む両側の部分に、前記回転軸線の方向に沿って凸部が設けられている
ことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に、簡単な構成で、コストを低減しつつ、撮像対象の有する曲面に配された印刷情報の特徴点を精度よく認識できる良好な撮影画像を取得することが可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用医薬品には、向精神薬や医療用麻薬など法律で厳密な管理が義務付けられているものがあり、そのような医薬品を扱うことは義務の課せられる医療従事者への業務的また心理的な負担となっている。
【0003】
この医療従事者の負担の軽減を目的とした医薬品の管理方法を構築するための従来技術の1つとして、例えば、特許文献1に開示される薬剤監査装置がある。この薬剤監査装置では、医薬品の容器、例えばアンプルにおけるその胴部の曲面に貼付されたラベル上の印刷文字を光学的に認識し、その印刷文字から医薬品の種類、名称、使用期限などを判別することができる。そのため、例えば、注射薬が、卸から病院に譲受される際、病院の薬剤部から病棟や手術室に払い出される際、また払い出し先から薬剤部に返却、或いは廃棄される際のそれぞれの時点で、注射薬のアンプルに貼付されたラベル上の印刷文字をこの装置で認識するようにする。これにより、認識した文字から、注射薬が向精神薬や医療用麻薬など法律で厳密な管理が義務付けられたものであることを薬剤監査装置によって判別して管理することができるようになるので、医療従事者の負担を軽減することができる。
【0004】
ところで、ラベルが光沢性を有する場合、従来の薬剤監査装置では、印刷文字を認識する際に照射される照明光がラベル表面で鏡面反射(正反射)してその反射光がカメラのイメージセンサ(撮像素子)に入射することにより、撮影画像中に反射光による影響、所謂テカリが発生することがある。そしてテカリが発生すると、文字の認識精度が低下して、撮影画像からラベル上の印刷文字を精度よく認識することができなくなる。
【0005】
このテカリの発生による文字認識精度の低下に対処するためには、例えば、特許文献2に開示される照明光学素子を従来の薬剤監査装置に組み合わせて用いるようにすれば、その認識精度の低下を抑制することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4857768号公報
【文献】特許第6136117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の薬剤監査装置では、印刷文字の認識に用いる撮影画像を取得するためにアンプルなどの医薬品の容器(撮像対象)を回転させる必要があり、それを回転させるローラー等の回転機構を備えるためにコストが増加し、構成も複雑なものとなっていた。
【0008】
また、ラベルが光沢性を有する場合、特許文献1の従来の薬剤監査装置では、印刷文字の認識精度を低下させるテカリの発生を低減するために特許文献2の従来の照明光学素子を組み合わせて用いることができるが、それを追加するためのコストが増加してしまう。
【0009】
近年、ラベル等に印刷された文字(印刷文字)やマークなどの印刷情報を撮影した画像から特徴点を認識し、その認識した特徴点に基づいて当該印刷情報の個体差を判別する技術が開発されている。しかし、この場合にも、特徴点の認識のための撮影画像を取得するにおいては同様の課題がある。
【0010】
上記の課題に鑑み、本発明は、簡単な構成で、コストを低減しつつ、撮像対象の有する曲面に配された印刷情報の特徴点を精度よく認識できる良好な撮影画像を取得することの可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る撮像装置は、撮像対象を撮影するカメラユニットと、挿入された前記撮像対象を回転可能に保持する挿通穴、および、前記挿通穴と連通する開口のスリットが設けられた容器保持部と、を備え、前記カメラユニットは、前記スリットの開口を通して、前記容器保持部の挿通穴に挿入された前記撮像対象を撮影する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る撮像装置によれば、簡単な構成で、コストを低減しつつ、撮像対象の有する曲面に配された印刷情報の特徴点を精度よく認識できる良好な撮影画像を取得することの可能な撮像装置を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る撮像装置の外観図である。
図2】撮像装置のガード部材を説明するための図である。
図3】撮像装置の容器保持部の容器支持部材および可動部材を説明するための図である。
図4】可動部材による撮像対象のブレの抑制について説明するための図である。
図5】撮像装置のカメラユニットの光学系を説明するための図である。
図6】撮像対象からの正反射光を回避するためのカメラユニットのLEDの配置方法について説明するための図である。
図7】カメラユニットにおけるLED配置の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像装置の外観図である。図1(a)に示すとおり、本実施形態の撮像装置1は、カメラユニット10と、容器保持部20と、カメラホルダスタンド30と、によって構成されている。カメラユニット10は、CCDやCMOSなどのイメージセンサを備えており、このイメージセンサを連続駆動して、撮像対象の画像を所定のフレームレートで取得するとともに取得した画像を外部へ出力する。なお、この出力は、カメラユニット10に備えられたUSB等の通信インターフェース(不図示)を介して行われる。ゆえに、カメラユニット10がUSB等の通信ケーブルで画像処理機能を備えたパーソナルコンピュータ(PC)などの装置と接続されている場合には、カメラユニット10の取得(撮影)した画像(撮影画像)を必要に応じてPCなどの装置に取り込むことができる。容器保持部20は、撮像対象となる、例えば、アンプルなどの医療用医薬品の容器を回転可能に保持する。カメラホルダスタンド30は、カメラユニット10を着脱可能に収容しつつ所定の位置に固定する。そして、容器保持部20は、カメラホルダスタンド30に固定されたカメラユニット10の下方となる位置に組み付けられている。
【0016】
撮像対象を撮影する場合、図1(b)に示すように、撮像装置1では、容器保持部20の容器支持部材21に設けられた挿通穴21aに対し、撮像対象、例えばアンプル2を、その頭部2aが先頭となるようにして挿入する。なお、本実施形態の撮像装置1では、注射薬が入った未使用のアンプルだけでなく、使用済みのアンプルについても撮像対象としている。そのため、本実施形態の撮像装置1では、容器保持部20に、容器支持部材21の挿通穴21aと連通する連通穴23aを有するガード部材23が備えられている。
【0017】
撮像対象として未使用のアンプルが容器支持部材21の挿通穴21aに挿入された場合には、図2に示すとおり、ガード部材23の連通穴23aからアンプル2の頭部2aがガード部材23の外側に突き出て外部に露出した状態となる。この場合、挿通穴21aに押し込まれてゆく際、アンプル2は、その頸部から胴部にかけての頭部2aよりも径が大きくなる胴部の外縁(肩)部分2bが、それよりも小径とされているガード部材23の連通穴23aの所定の箇所において接触する。この接触により、アンプル2はそれ以上の押し込みが阻止されて、アンプルの長手方向(回転軸線方向)の移動が停止される。そして、この場合には、移動が停止された状態で、アンプル2は、その頭部2aが連通穴23aからガード部材23の外側に突き出て外部に露出した状態となる。
【0018】
一方、使用済みのアンプルは、通常、その頭部が折られて無くなっており、その折られた後の頸部の部分に尖った突起が残っている場合がある。この場合、その尖った突起により医療従事者の手指が傷つけられる可能性がある。そこで、本実施形態の撮像装置1では、撮像対象として使用済みのアンプルが容器支持部材21の挿通穴21aに挿入された場合には、その尖った突起が連通穴23aからガード部材23の外側に露出しないようにされている。つまり、アンプルは、挿通穴21aに押し込まれてゆく際に上記のようにその肩部分(2b)がガード部材23の連通穴23aの所定の箇所において接触すると、その長手方向(回転軸線方向)の移動が停止される。本実施形態の撮像装置1では、このようなガード部材23の働きにより、その尖った突起の部分を外部に露出させないようにして事故の発生を防止している。
【0019】
また、本実施形態の撮像装置1では、撮像対象となるアンプルの胴部などの曲面に配された印刷情報(印刷文字など)の特徴点を精度よく認識できる良好な撮影画像を取得可能とするために、撮像対象を保持する容器保持部20の容器支持部材21に以下のような工夫を施している。
【0020】
図3(a)に示すとおり、容器支持部材21の上部には、その挿通穴21aへの撮像対象の挿入方向(撮像対象の回転軸線方向)に沿って、この挿通穴21aと連通する開口としてのスリット21bが形成されている。撮像装置1では、このスリット21bの開口を通して、その上方に固定されたカメラユニット10により、挿通穴21aに挿入された撮像対象を撮影することができる。また、容器支持部材21の挿通穴21aには、その下側の部分に、可動部材22が備えられている。この可動部材22は、図3(b)に示すとおり、挿通穴21aの内周面の一部を構成することとなるその上面の部分に、撮像対象の印刷文字が配される曲面の円周の曲率と合わせるように曲面形状に形成された凹部22aを有している。そして、可動部材22の底部側には不図示のばねが設けられており、可動部材22は、このばねの弾性力により付勢されて挿通穴21aの中心に向かって上方に突き出すように動作することが可能な構成とされている。そのため、撮像対象が挿通穴21aに挿入されて回転される際には、その可動部材22の上方への突き出しにより、例えば、撮像対象がアンプルであれば、その胴部の曲面が可動部材22の凹部22aの曲面に当接しつつ挿通穴21aの上側の内周面に押し当てられる。なお、アンプルの回転は、容器支持部材21の挿通穴21aに未挿入のアンプルの後尾側となる部分を医療従事者がその手指で摘んでその回転軸線周りに回転させることによって行う。
【0021】
上記のような可動部材22の働きにより、図4に示すように、撮像対象のアンプル2が回転される際には、図4(a)に示すその回転軸線周りの回転動作Rは許容されつつ、図4(b)に示すアンプル2の本体に生じ得る上下(鉛直)方向の動き(ブレ)V、および、図4(c)に示すアンプル2の本体に生じ得る左右(水平)方向のブレHについては抑制される。よって、本実施形態の撮像装置1では、カメラユニット10と撮像対象(ここではアンプル2)の被撮像面Iとの間の距離を一定に保つことができるので、撮像対象の曲面に配された印刷情報の特徴点を精度よく認識できる良好な撮影画像を取得することが可能となる。
【0022】
なお、可動部材22における撮像対象の挿入口となる側の端部には、図3(b)に示すとおり、その奥から挿入口側に向かって拡径する形状のテーパー部22bが形成されている。撮像対象を容器支持部材21の挿通穴21aに挿入する際には、その挿通穴21aの内周面と、可動部材22における撮像対象の挿入口となる側の端部との境目の部分で撮像対象に貼付された切り取りラベルの縁が引っ掛かってしまう場合がある。その結果、ラベルが剥がれてしまったり、撮像対象の挿入がスムーズに行えなくなってしまうことがある。本実施形態の撮像装置1では、可動部材22の挿入口となる側の端部(縁)に、その挿入口側に向かって拡径するようにテーパー部22bが形成されているので、撮像対象を挿通穴21aに挿入する際に、当該境目の部分での切り取りラベルの引っ掛かりを回避することができる。
【0023】
また、可動部材22の凹部22aの曲面には、図3(b)に示すとおり、撮像対象の回転軸線を挟む両側の部分に、点状の突起の凸部22cが回転軸線方向に沿って複数形成されている。図3(b)の例では、その回転軸線を挟む両側の上下の位置に、凸部22cがそれぞれ1つずつ、合計で4つ形成されている。撮像対象が挿通穴21aに挿入されて回転される際には、凹部22aの曲面のこの凸部22cが撮像対象の有する曲面に当接するため、凸部22cが形成されない場合と比べて、撮像対象の有する曲面と凹部22aの曲面との当接における接触抵抗が大幅に低減される。よって、本実施形態の撮像装置1では、撮像対象を少ない力で容易に回転させることができる。
【0024】
なお、可動部材22の凹部22aの曲面に形成される凸部の数と形状はこれに限定されない。例えば、形成される点状の突起の凸部の数は、撮像対象の回転軸線を挟む両側の部分にそれぞれ3つずつ、合計で6つとしてもよい。この場合には、その両側の部分にそれぞれ点状の突起の凸部を回転軸線方向に沿って等間隔で配するのが好適である。また、例えば、凸部の形状はリブ形状であってもよく、この場合には、撮像対象の回転軸線を挟む両側の部分に、回転軸線方向に沿って延在させたリブ形状の凸部をそれぞれ1つずつ配するのが好適である。
【0025】
ところで、既述のように、撮像対象に貼付されたラベルの印刷文字を撮影する場合にラベルが光沢性を有するものであると、その撮影画像中にラベル表面からの鏡面反射光(正反射光)によるテカリが生じてしまうことがある。本実施形態の撮像装置1では、カメラユニット10の光学系に以下のような工夫を施すことで、撮像対象の曲面に配された印刷情報の特徴点を精度よく認識できる良好な撮影画像を取得可能としている。
【0026】
図5は、カメラユニット10の光学系を説明するための図である。図5(a)に示すとおり、カメラユニット10は、光学系の構成要素として、撮像レンズとしての単焦点レンズ11と、照明用の光源としてのLED12と、LED12からの照明光を拡散整形して、撮像対象に対する照明光の照明ムラを抑制するための拡散板13と、を備えている。なお、LED12は、白色光を発するものが好ましい。拡散板13には、汎用で低コストなものを使用することができる。但し、拡散板13は、撮像装置の構成要素として必須なものではなく、省略することも可能である。
【0027】
また、図5(b)に示すとおり、カメラユニット10は、その下方に置かれる撮像対象の側に向かって径が小さくなる絞り形状のフード14を備えている。カメラユニット10の備える光学系の上記構成要素は、このフード14によって覆われている。カメラユニット10は、このフード14の径が絞られた(小さくされた)側の先端に形成された開口としての撮影窓14aを通して、その下方の容器支持部材21の挿通穴21aに挿入される撮像対象を、照明光を照射しながら撮影することができる。なお、フード14の内壁には、拡散板13による拡散整形後の照明光を拡散反射光として反射させるために、小さな凹凸が壁面の略全体に亘って形成され、そして、そこに白色のペイント(塗装)が施されている。このフード14の凹凸の形成された白色の内壁面が本発明の拡散反射面に対応する。本実施形態の撮像装置1では、フード14の絞り形状と白色の拡散反射面とによって、撮像対象に対する照明光の集光効率が高められるようになっている。
【0028】
また、フード14の撮影窓14aが形成された先端はその撮影窓14aの周辺部分が平坦(フラット)な形状とされている。これにより、このフラットなフード14の先端を、その下方に配置された容器支持部材21のスリット21bの形成された上部に対して密着させることができるようになる。なお、本実施形態の撮像装置1では、フード14先端の撮影窓14aの開口と容器支持部材21のスリット21bの開口とが互いに合わさるように、カメラユニット10と容器保持部20の容器支持部材21とが配置されている。
【0029】
ここで、カメラユニットにおいてのLEDの配置方法を、図6を用いて説明する。なお図6は、照明による正反射光を考慮していない旧型のカメラユニット10’の場合の構成を示したものである。このカメラユニット10’の基本的な構成は本実施形態の撮像装置1のカメラユニット10と同様であるが、同図では、説明の都合上、単焦点レンズ11’を除くLEDおよび拡散板については図示を省略している。さて、配置方法であるが、図6に示したAの範囲にLEDを配置した場合には、照明による正反射光が生じてしまいやすい。そして、撮像対象の有する曲面や、そこに貼付されるラベルの表面は、実際には、必ずしも均一の平面とはならないことから、そこからの正反射光の成分について考慮した場合の、それを回避するためのマージン分を含む図中のBの範囲内にはLEDを配置しないようにする。従って、本実施形態の撮像装置1では、図中のBの範囲よりも外側となるCの範囲にLED12を配置するようにしている。
【0030】
即ち、撮像装置1では、LED12を、その発光面が撮像対象の被撮像面I側を向くように、そして、カメラユニット10の有する単焦点レンズ11の光軸を囲むように配置するが、図7(a)に示すように、上記のマージン分を含む範囲B内にLED12を配置して照明した場合には、撮像対象からの正反射光が生じてしまう可能性がある。そこで、これを回避するために、撮像装置1では、図7(b)に示すように、マージン分を含む範囲Bよりも外側の位置(図6のCの範囲)にLED12を配置するようにしている。照明用の光源としてのLED12をこのような配置とすることにより、撮像装置1では、撮像対象の曲面に貼付されたラベルが光沢性を有する場合にも、ラベル表面からの正反射光が生じることを回避することができ、その結果、撮影画像中にテカリが生じることを回避することができる。
【0031】
上記のとおり、本実施形態の撮像装置1では、引用文献2に示されるような特殊な照明光学素子、および、引用文献1の装置での撮像対象を回転させるためのローラー等の回転機構(そのための制御プログラムを含む)などを必要としない。また、容器支持部材21の挿通穴21aに設けられた可動部材22の動作によって、挿通穴21aに挿入された撮像対象が回転される際にも撮像対象本体に生じ得るブレが抑制される。即ち、撮像対象が回転される際にそのブレが抑制されるので、カメラユニット10と撮像対象の被撮像面Iとの間の距離を一定に保つことができることから、ブレがなく、印刷情報の特徴点を精度よく認識できる良好な撮影画像を取得することができる。そして、照明用の光源としてのLED12の配置方法を工夫することによって、撮像対象の光沢性を有する曲面に配された印刷文字を照明しながら撮影した場合にも撮影画像中にテカリの生じることが回避される。
【0032】
よって、本実施形態の撮像装置1では、簡単な構成で、コストを低減しつつ、撮像対象の曲面に配された印刷情報の特徴点を精度よく認識できる良好な撮影画像を取得することができる。
【0033】
なお、図5の拡散板13は、実施形態としての一例を示したものであり、その形状やカメラユニット内における配置位置、またその枚数については図5に示した例に限定されるものではない。即ち、拡散板は、照明光の照明ムラを抑制するのに適したものとなるように、その形状および配置位置、またその枚数を実験結果などに基づいて適宜設計するようにする。その際には、拡散板の材質についても照明ムラの抑制に適したものを選定するように考慮するとよい。
【0034】
また、図6に示したA、B、Cの各範囲は、実験などによって決定するようにする。
【符号の説明】
【0035】
1 撮像装置
2 アンプル(撮像対象の一例)
10 カメラユニット
20 容器保持部
21 容器支持部材
21a 挿通穴
21b スリット
22 可動部材
23 ガード部材
12 LED
13 拡散板
14 フード
14a 撮影窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7